サービス比較の記事一覧

法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

サービス比較の記事一覧

法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

不正利用・金融トラブルを未然に防ぎたい

反社チェックツール
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

反社チェックマニュアルの作り方|そのまま使える構成テンプレートとチェックシート項目

反社チェックマニュアルの作り方のサムネイル画像

新しい取引先や契約のたびに反社チェック(取引の相手方が反社会的勢力に該当しないかの確認)を任されているものの、実態は担当者ごとの自己流になっていないでしょうか。どこまで調べれば「確認済み」と言えるのか、結果をどう記録に残すのかがばらばらのままだと、監査や上司から「反社チェックのルールは文書化されているのか」と問われたときに答えられません。

この記事では、反社チェックを属人的な運用から社内の仕組みへと引き上げるために、マニュアルに盛り込む項目とその章立て、各項目にそのまま直して使える文面サンプル、記録様式である反社チェックシートの欄と記入例までを一つずつ示します。

あわせて、反社会的勢力排除規程や契約書の暴力団排除条項の文言サンプル、そして各項目がなぜ必要なのかを社内で説明できるよう、政府指針や暴力団排除条例といった根拠を出所付きで整理します。

マニュアルとチェックシートの土台ができれば、次に見えてくるのは毎回の手作業や属人化をどう減らすかという課題です。記事の後半では、その運用を効率化する反社チェックツールの選択肢もあわせて紹介します。まずは自社の反社チェックを、誰が担当しても同じ水準で回せる状態に整えていきましょう。

この記事を読むとわかること
  • 反社チェックマニュアルに盛り込む項目と、全体の章立て
  • 目的・定義・適用範囲などの条項サンプルと、判定基準・エスカレーション・記録の実務ルール
  • 反社チェックシート(記録様式)に並べる欄と記入例
  • 反社会的勢力排除規程・暴力団排除条項の文言サンプルと、政府指針など法的な根拠
  • マニュアル運用を効率化する反社チェックツールの選択肢

反社チェックマニュアルの全体構成(章立て・目次一覧)

まずは、反社チェックマニュアルにどの項目を、どの順で並べるかという全体像から確認します。マニュアルは「反社チェックの手続きと判断基準を、担当者が変わっても同じ水準で実施できるようルール化した文書」です。次の章立てをたたき台にすると、抜け漏れのない構成を組めます。

記載する内容
1. 目的マニュアルを定める目的と、経営トップ以下、組織全体で対応する方針
2. 反社会的勢力の定義排除の対象とする反社会的勢力の範囲(属性要件・行為要件)
3. 適用範囲チェック対象とする取引・関係者(取引先、株主、役員、従業員など)
4. 実施タイミングいつチェックするか(新規取引時・契約更新時・定期・懸念情報の発生時)
5. 調査方法どの手段で、どこまで調べるか(公知情報検索・新聞記事データベース・ツール・調査会社・行政機関)
6. 判定基準調査結果を「該当なし/要確認/該当」のどれに分類し、誰が確認・承認するか
7. エスカレーション・対応該当・疑わしいと判断した場合や不当要求を受けた場合の初動と連絡経路
8. 記録・保管実施記録として残す項目と保管の方法・期間
9. 運用・更新体制教育・研修、マニュアルの見直し、契約更新時の再チェックの運用

この章立ては、担当者任せにしないための最低限の骨格です。政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」も、社内規則に明文の根拠を設けて対応マニュアルを整備し、情報を一元的に管理することを企業に求めています。以降の章で、各項目に書き込む具体的な中身を文面サンプルとともに見ていきます。

マニュアルに盛り込む項目と文面サンプル

ここからは、章立ての各項目に何を書き込むかを、そのまま自社に合わせて調整できる文面サンプルとともに解説します。文面はあくまでたたき台であり、自社の取引実態や体制に合わせて言い回しを整えて使ってください。章5の「調査方法」は手段の選び方が要点になるため、後半の「反社チェックの調査手段とレベル別の使い分け」でまとめて扱います。

目的・反社会的勢力の定義・適用範囲の条項サンプル

マニュアルの冒頭では、「何のために・誰に対して・どの取引で」反社チェックを行うかを明文化しておくのが基本です。目的・定義・適用範囲の3点は、以降のすべての手続きの前提になるため、最初に固めておきたい項目です。

目的条項のサンプル

本マニュアルは、当社の取引先その他の関係者が反社会的勢力に該当しないことを確認する手続きを定め、反社会的勢力との関係を遮断することを目的とする。新規取引の開始および既存取引の継続にあたっては、本マニュアルに定める手続きを経るものとし、担当者や担当部署のみに委ねず、代表取締役以下、組織全体として対応する。

反社会的勢力の定義条項のサンプル

本マニュアルにおいて「反社会的勢力」とは、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者をいい、暴力的な要求行為や法的な責任を超えた不当な要求を行う個人・団体を含む。

反社会的勢力の範囲は、政府指針が示す「属性要件」と「行為要件」の両面でとらえるのが実務の基本です。定義条項は、この考え方に沿って自社の文言を組み立てます。

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省

適用範囲条項のサンプル

本マニュアルは、販売・外注・仕入・経費等に関わるすべての取引先を対象とする。加えて、株主、役員および役員に準ずる者、従業員についても、必要に応じて確認の対象とする。

実施タイミング(新規取引時・契約更新時・定期・懸念情報の発生時)

「いつチェックするか」を決めておかないと、新規取引のときだけ確認して既存取引先が放置される、といった穴が生まれます。タイミングごとに、やること・担当・記録の有無を対応づけておきます。

タイミングやること担当(例)記録
新規取引時契約・発注の前に、取引先と代表者・主要な役員を調査取引を担当する部署+管理部門チェックシートに残す
契約更新時更新・継続の可否判断にあわせて再調査(前回以降の新規情報を確認)取引を担当する部署+管理部門チェックシートに残す
定期継続的な取引先を対象に、一定周期で再スクリーニング管理部門チェックシートに残す
懸念情報の発生時報道・通報などで疑わしい情報が出た時点で臨時に調査管理部門+経営層チェックシートに残す

契約前の確認を基本としつつ、継続的な取引先には更新時と定期の再チェックを組み込むと、時間の経過による見落としを防げます。定期の周期は取引量や体制に応じて決めますが、契約更新のタイミングに合わせる、あるいは年1回など、既存の社内手続きの周期にそろえると運用に乗せやすくなります。

初回・定期・随時のそれぞれで確認の頻度をどこまで設定すべきか、実務での回し方をより具体的に決めたい場合は、次の記事で目安と運用例を解説しています。

判定基準(該当・要確認・該当なし)

調査した結果を、担当者の感覚ではなく共通の基準で分類できるようにします。三段階に整理し、それぞれで次に何をするかまで決めておくと、判断が属人化しません。

反社チェックの調査結果を該当なし・要確認・該当の3段階で判定し、それぞれの次のアクションを示した図解。該当なしは取引を進めて記録・保管、要確認は対象を特定してレベルを上げた追加調査と管理部門・法務の確認、該当は取引の見送り・解除とエスカレーション手順での対応。
判定状態次のアクション
該当なし調査手段で懸念情報が確認されなかった取引を進める。結果を記録して保管
要確認同姓同名の疑い、断片的な懸念情報など、白黒を判断できない生年月日・所在地などで対象を特定し、後述のレベルを上げた手段で追加調査。管理部門・法務が確認
該当反社会的勢力またはその関係者と判断できる情報が確認された取引を見送り・解除。エスカレーション手順に沿って対応

「要確認」をあいまいなまま担当者に委ねると運用が崩れます。誰が追加調査を行い、誰が最終判断するかまでマニュアルに書き込んでおくと、判断が担当者任せになりません。

実際に懸念情報がヒットしたとき、そのヒットが何を意味するのか、同姓同名をどう見分け、どんな手順で対応するかは判断に迷いやすいところです。ヒット時の具体的な進め方は、次の記事で詳しく解説しています。

社内エスカレーション手順(該当・不当要求時の初動)

反社会的勢力に該当する疑いが出たときや、不当要求を受けたときの初動を、担当者一人に背負わせない経路を定めます。政府指針も、担当者や担当部署だけで対応せず、組織として対応し、外部の専門機関と連携することを基本原則に挙げています。

  • 担当者は単独で対応・回答せず、速やかに管理部門・法務へ報告する
  • 対応記録(日時・相手・要求内容・やりとり)を残す
  • 判断の経緯や理由の詳細は相手方に伝えない
  • 必要に応じて、弁護士・警察・暴力追放運動推進センター(暴追センター)に相談する

記録の保管ルール(保存項目・保存期間)

誰を・いつ・どの手段で調べ、どう判断したかを記録に残すことは、反社チェックを「実施した」と社内外に示すための土台になります。政府指針は、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築し、一元的に管理・蓄積することを求めており、記録様式の整備はその実践にあたります。

  • 保存する項目:調査日時、対象(取引先・代表者・役員など)、調査手段、検索キーワード、結果、判定、対応状況、添付資料
  • 保存の方法:次の章の反社チェックシートに記入し、担当部署ごとに散逸しないよう一元的に保管する
  • 保存期間:法令で一律に定められた期間はないため、契約期間や取引の実態を踏まえて自社で定める。契約終了後の一定期間、契約書など他の取引関連書類の保存年限に合わせて定める例が多い

作って終わりにしない継続運用・更新体制

マニュアルは、作成した時点で完成ではありません。運用の中で見直し、社内に定着させて初めて機能します。次の3点を運用ルールとして組み込んでおきます。

  • 教育・研修:取引を担当する部署にも、判定基準とエスカレーション経路を共有し、担当者が変わっても運用が続くようにする
  • マニュアルの更新:法改正や社内体制の変更にあわせて定期的に見直す。改訂の履歴を残す
  • 契約更新時の再チェック:一度確認した取引先も、更新・継続のタイミングで再調査する運用を組み込む

反社チェックシート(記録様式)の欄と記入例

マニュアルの実施記録を残す様式が、反社チェックシートです。文章で「実施者や結果を記録する」と書くだけでは、現場は結局どの欄を作ればよいか分かりません。ここでは、シートに並べる欄を記入例とともに具体的に示します。自社のExcelやスプレッドシートにそのまま項目として起こして使ってください。

記載欄内容・記入例
管理番号2026-0001
取引先名(商号)株式会社◯◯
代表者名・主要役員名代表取締役 ◯◯ ◯◯
所在地東京都◯◯区◯◯
実施日2026年7月9日
実施者管理部 ◯◯
確認者(承認欄)管理部長 ◯◯(承認印・確認日)
調査手段インターネット検索/新聞記事データベース/反社チェックツール など、使用した手段
検索キーワード「◯◯(商号)」×「逮捕」「暴力団」「行政処分」など
結果該当情報なし/◯◯の記事あり など
判定該当なし/要確認/該当
コメント・添付同姓同名の可能性あり、生年月日で特定済み など。検索結果のスクリーンショットを添付
次回チェック予定日2027年7月(契約更新時)

どこまでを調査対象に含めるかは、上場審査の考え方も参考になります。証券取引所の新規上場審査では、反社会的勢力の関与を確認する対象として、申請会社の企業グループに加え、役員または役員に準ずる者、主な株主、主な取引先までが挙げられています。取引先だけでなく、代表者・役員の欄を設けておくと、こうした水準にも耐える記録になります。

取引先本体・代表者・役員・株主のどこまでを調べるべきか、その優先度を取引ごとのリスクに応じて設計する考え方は、次の記事で整理しています。

反社チェックの調査手段とレベル別の使い分け

マニュアルの「調査方法」の章で最も迷いやすいのが、「どの手段で、どこまで調べれば済みとするか」です。手段の特徴とコスト感を押さえ、取引のリスクに応じて段階的に使い分ける考え方を整理します。

5つの調査手段とレベル1〜3の使い分け

反社チェックの調査手段は、大きく次の5つに分けられます。それぞれ精度とコスト、手間が異なります。

調査手段概要精度・コストの目安
インターネット検索(公知情報)商号・代表者名に「逮捕」「暴力団」などのネガティブな語を組み合わせて検索低コストで着手しやすい。ノイズが多く、網羅性・確実性は限定的
新聞記事データベース大手の新聞記事データベース(日経テレコンなど)で過去記事を横断検索公知情報より信頼性が高い。利用料・記事閲覧料がかかる
反社チェックツール公知情報・新聞記事・独自データベースなどを一括で照合し、記録も残せるSaaS調査と記録を効率化。月額・従量の費用がかかる
調査会社・興信所専門の調査会社に人手による調査を依頼精度は高いが、費用と時間がかかる
警察・暴追センター危険度が高い場合に、警察や暴力追放運動推進センターへ相談・照会公的機関による対応。一般の与信目的で常用する手段ではない

これらを、取引のリスクに応じて段階的に使い分けます。すべての取引に最上位の手段を使うのは非現実的なため、次の3レベルで整理すると運用に落とし込みやすくなります。

  1. レベル1(標準):公知情報の検索・新聞記事データベース・反社チェックツールによるスクリーニング。大半の取引はここで確認する
  2. レベル2(慎重):懸念情報がある場合。追加の資料提供依頼、現地確認、業界内の評判確認などで深掘りする
  3. レベル3(高危険度):懸念が払拭できない場合。調査会社への委託や、警察・暴追センターへの相談を行う
反社チェックの調査手段をリスクに応じて3レベルで使い分けることを示したピラミッド図。レベル1(標準)は公知情報の検索・新聞記事データベース・反社チェックツールでのスクリーニングで大半の取引をここで確認、レベル2(慎重)は懸念情報がある場合に資料提供依頼・現地確認・業界内の評判確認で深掘り、レベル3(高危険度)は懸念が払拭できない場合に調査会社への委託や警察・暴追センターへの相談。

調査レベルの選び方(取引リスク・業種・上場に応じて)

どのレベルまで調べるかは、取引の性質や自社の立場によって変わります。次の3つの軸で、標準をどこに置くかを決めておくと判断がぶれません。業種・上場で水準が変わる法的な根拠は、後述の「反社チェックの法的根拠」で詳しく扱います。

  • 取引リスク:取引金額が大きい、継続的・長期にわたる、資金の流れが関わるといった取引ほど、初めからレベルを上げる
  • 業種:金融機関など、監督指針で反社会的勢力への対応が明確に求められる業種は、より高い水準の体制で臨む
  • 上場の有無:上場企業や上場準備中の企業は、審査で問われる水準を見据え、取引先・役員・株主まで確認範囲を広げる

反社会的勢力排除規程・暴力団排除条項との関係

反社チェックを仕組みとして完成させるには、マニュアルとチェックシートだけでなく、上位の社内規程と、契約書に入れる条項までをセットで整えます。それぞれの役割は次のように整理できます。

  • 反社会的勢力排除規程:反社会的勢力を排除するという会社の方針・基本原則を定めた上位規程
  • 反社チェックマニュアル:規程を実務の手続きに落とし込んだもの(本記事で扱ってきた内容)
  • 反社チェックシート:マニュアルに沿って実施した結果を残す記録様式
  • 暴力団排除条項:取引契約そのものに組み込む、反社会的勢力を排除するための条項

上位の反社会的勢力排除規程は、会社としての基本方針を短く定めるものです。マニュアルの目的条項と重複しすぎないよう、方針・排除対象・対応体制・契約への反映を数条にまとめるのが基本です。文言サンプルは次のとおりです。

(目的)
第1条 本規程は、当社が反社会的勢力との一切の関係を遮断し、反社会的勢力による被害を防止するための基本方針を定めることを目的とする。
(基本方針)
第2条 当社は、反社会的勢力に対して、代表取締役以下、組織全体として毅然と対応し、外部の専門機関と連携する。反社会的勢力とは一切の取引その他の関係を持たず、不当な要求には応じない。
(排除の対象)
第3条 当社は、取引先、株主、役員および従業員その他の関係者について、反社会的勢力に該当しないことを確認する。
(対応体制)
第4条 当社は、反社会的勢力への対応を統括する部署を定め、関連する情報を一元的に管理する。具体的な確認の手続きは、別に定める反社チェックマニュアルによる。
(契約への反映)
第5条 当社は、契約書その他の書面に、反社会的勢力を排除するための条項を定めるものとする。

このうち暴力団排除条項は、契約の相手方が反社会的勢力であると判明した場合などに、契約を解除して取引から排除できるようにするものです。政府指針は、契約書や取引約款に、①反社会的勢力が取引の相手方となることを拒絶する旨と、②取引開始後に相手方が反社会的勢力と判明した場合などに契約を解除できる旨を盛り込んでおくことが有効だとしています。

また、東京都をはじめ全都道府県で施行されている暴力団排除条例も、事業者に対し、契約時に相手方が暴力団関係者でないことを確認し、契約書に排除の特約を定めるよう求めています。東京都暴力団排除条例では、これらは「努めるものとする」という努力義務として規定されています。

第18条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。

2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。

一 当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。

出典:東京都暴力団排除条例(平成23年東京都条例第54号)第18条|警視庁

これらを踏まえた暴力団排除条項の文言サンプルは、次のとおりです。実際の契約に用いる際は、自社の契約類型にあわせて法務・弁護士に確認してください。

(反社会的勢力の排除)
第◯条 甲および乙は、相手方が現在および将来にわたり、暴力団、暴力団関係企業、総会屋その他の反社会的勢力(以下「反社会的勢力」という。)に該当しないことを表明し、保証する。
2 甲および乙は、相手方が前項に反することが判明した場合、または相手方が不当な要求行為を行った場合には、催告することなく本契約を解除することができる。
3 前項により本契約を解除した場合、解除した当事者は、これによって相手方に生じた損害を賠償する責任を負わない。

暴力団排除条項は、契約書か誓約書か、また契約の類型によって盛り込むべき要素や書き方が変わります。より多くの例文とひな形、条項に欠かせない必須要素を確認したい場合は、次の記事で詳しく解説しています。

反社チェックの法的根拠(政府指針・暴排条例・暴対法・個人情報保護法)

マニュアルの各項目がなぜ必要なのかを社内で説明できるよう、根拠となる指針・法令を出所付きで整理します。稟議や監査で「その根拠は」と問われたときに、ここを示せるようにしておきます。

まず土台になるのが、政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(2007年〔平成19年〕6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)です。この指針は、社内規則に明文の根拠を設け、対応マニュアルを整備し、情報を一元的に管理することを企業に求めています。反社チェックを属人運用から仕組みへと変える取り組みは、この指針が正面から後押ししています。

反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、何らかの行動基準等を設けないままに担当者や担当部署だけで対応した場合、要求に応じざるを得ない状況に陥ることもあり得るため、企業の倫理規程、行動規範、社内規則等に明文の根拠を設け、担当者や担当部署だけに任せずに、代表取締役等の経営トップ以下、組織全体として対応する。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省

指針は、被害を防止するための基本原則として次の5点を挙げています。マニュアルの方針を定めるときの拠りどころになります。

  • 組織としての対応
  • 外部専門機関との連携
  • 取引を含めた一切の関係遮断
  • 有事における民事と刑事の法的対応
  • 裏取引や資金提供の禁止

契約実務の面では、各都道府県の暴力団排除条例が、契約時の相手方確認と契約書への排除条項の導入を事業者に求めています(前章の東京都暴力団排除条例第18条を参照)。

また、暴力団という言葉自体は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)第2条で「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と定義されています。一方で「反社会的勢力」は暴力団より広い概念で、その範囲は前述の政府指針が示しています。

業種特化で求められる高い水準(金融庁監督指針・上場審査基準)

一般企業に加えて、業種や立場によってはより高い水準の体制が求められます。金融機関には、金融庁の監督指針が反社会的勢力への対応態勢の整備を明文で求めています。

反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築 反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築され、機能しているか。

出典:主要行等向けの総合的な監督指針 III-3-1-4|金融庁

同様の規定は、中小・地域金融機関向けの監督指針にも置かれています。こうした監督指針は金融機関を対象とするものであり、金融機関以外の一般企業に直接適用されるわけではありませんが、体制整備の考え方は参考になります。

金融機関では、犯罪収益移転防止法やマネロン対策の観点から、口座開設時の確認など一般企業とは異なる実務が求められます。金融機関に固有の反社チェックとAML実務は、次の記事で詳しく解説しています。

また、上場企業や上場準備中の企業は、証券取引所の新規上場審査で反社会的勢力の排除に向けた社内体制が問われます。審査では、反社会的勢力の関与を防止するための社内体制の整備が、公益または投資者保護の観点から確認されます。

新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。

出典:新規上場ガイドブック(プライム市場編)|日本取引所グループ

収集してはならない個人情報(要配慮個人情報)の注意

反社チェックで扱う情報の中には、取り扱いに配慮が必要なものがあります。個人情報保護法は、本人の人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪により害を被った事実などを「要配慮個人情報」と定めています。反社チェックで確認しようとする犯罪の経歴などは、まさにこれにあたります。

この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

出典:個人情報の保護に関する法律 第2条第3項|e-Gov法令検索

要配慮個人情報は、一律に収集が禁止されているわけではありません。同法第20条第2項は、原則として本人の同意を得ずに取得してはならないとしつつ、法令に基づく場合や、本人・報道機関などによりすでに公開されている場合などを例外としています。

反社チェックで新聞記事や公知情報を検索して得る情報の多くは、この「公開されている場合」に含まれ得ます。ただし、取得の範囲や方法には配慮が必要であり、目的を超えた情報収集は避けます。

一方、採用選考の場面での調査には、別の制約があります。職業安定法に基づく指針は、募集・採用にあたって、人種・思想および信条・労働組合への加入状況などを、原則として収集してはならないとしています。採用時の反社チェックやバックグラウンド調査を行う場合は、この点にも注意が必要です(取引先を対象とする通常の反社チェックとは適用範囲が異なります)。

採用選考で応募者をどこまで調べてよいか、個人情報保護法との境界や内定取消の可否まで含めた進め方は、次の記事で詳しく解説しています。

マニュアル運用を効率化する反社チェックツールの活用

マニュアルとチェックシートで手順を固めても、実際に運用を始めると、毎回の検索やシートへの記入といった手作業が担当者に重くのしかかります。取引先が増えるほど工数は膨らみ、担当者ごとの調べ方の差も残りがちです。こうした手作業と属人化を減らす選択肢が、反社チェックツールです。

反社チェックツールは、公知情報・新聞記事・独自データベースなどを一括で照合し、調査の証跡を自動で記録・保存できるサービスです。マニュアルで定めた調査手段・記録・継続チェックを、ツール上でまとめて回せるようになります。ここでは、マニュアル運用を支える主要なサービスを比較します。

ここで取り上げるのは代表的な3サービスです。料金体系・データソース・検索精度まで含めて主要16サービスを横断比較し、自社の運用に合うツールの選び方まで知りたい場合は、次の記事もご参照ください。

← 横にスクロールできます →
サービス名RiskAnalyze(リスクアナライズ)RISK EYES(リスクアイズ)RoboRoboコンプライアンスチェック
初期費用無料無料無料
月額・最低利用料月額27,500円〜
(年間600検索のライトプラン)
月間最低15,000円〜
(税別)
従量プラン0円〜/
ミニマム月額5,000円〜
1件あたりの費用約116〜175円
(プロフェッショナルプラン)
300円〜/検索
(1媒体ごと)
250円〜/件(ネット検索)
350円〜/件(+新聞検索)
主な調査対象(データソース)国内約1,000媒体
(新聞・行政処分・訴訟等)
海外240超の国・地域
(PEPs・制裁リスト)
WEB記事・新聞記事・
ブログ/掲示板・制裁リスト・
独自反社DBの5系統
ネット検索(Google API)・
新聞記事DB・官報DB・
海外DB(約190ヵ国)
CSV一括検索1,000件を約1分Excelで一括登録
継続モニタリング・差分検索差分検索・
リスクアラートに対応
API連携Salesforce・kintone連携2万円〜(オプション)
無料トライアル期間・件数は要相談一括検索は10ワードまで取引先10件まで
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見る

※上記は一般的な傾向です。実際の機能搭載の有無については各社情報をご確認ください。

RiskAnalyze(KYCコンサルティング株式会社)

RiskAnalyze(リスクアナライズ)のウェブサイト

KYCコンサルティング株式会社が提供する、AIを活用したWEBサービス型のコンプライアンス・反社チェックツールです。個人名・企業名を入力すると、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴・風評などを調査し、判定済みのレポートとして表示します。累計導入企業数は1,300社(2025年6月時点、公式プレスリリース)に達しています。

CSVによる一括検索に対応し、調査の証跡はクラウド上に自動保存されるため、チェックシートへの記録を効率化できます。CRMや基幹システムと連携するAPI、Salesforce・kintoneとの連携も用意されています。

料金は初期費用が無料です。月額プランはライトプランが月額27,500円(年間600検索)、スタンダードプランが月額50,000円(年間1,200検索)で、それ以上はプロフェッショナルプランとして年間検索数に応じた個別見積もりです(2026年6月時点、公式料金ページ)。比較表の1件あたり費用は、このプロフェッショナルプランの参考単価です。

RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

RISK EYES(リスクアイズ)のウェブサイト

東京証券取引所グロース市場に上場するソーシャルワイヤー株式会社が運営する、公知情報を用いた反社チェック専用ツールです。「法人名」「人名」と「逮捕」などのネガティブワードを組み合わせて検索し、反社会的勢力との関係の疑い・犯罪関与・不祥事の有無をチェックします。検索対象はWEB記事・新聞記事・ブログ/掲示板・制裁リスト・独自の反社データベースの5系統に及びます。

前回検索以降の新規記事だけを調べる差分検索や、登録先に関するリスク情報が報道された際に通知するリスクアラート機能を備え、定期・継続的なチェックの運用に向いています。料金は初期費用が無料で、月間の最低利用料金が15,000円(税別)、検索は1媒体あたり300円からの従量制です(2026年6月時点、公式料金ページ)。新聞記事検索やモニタリングは別料金となるため、総額は利用の仕方によって変わります。

RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

RoboRoboコンプライアンスチェックのウェブサイト

取引先や採用候補者に法令違反や社会規範に反する活動がないかを自動でチェックできるサービスで、2020年のリリース当初からAIを活用し、現在は生成AIによる記事の要約・解析にも対応しています。Google検索のAPIと連携して広範なネット情報をカバーしつつ、新聞記事や官報データベース、外部の反社データベースとの連携も進めている点が特徴です。

反社チェック単体にとどまらず、営業から法務・管理部門へと申請が流れる一連のワークフローをシステム化し、複数部署をまたぐ工数削減につなげられます。上場準備の場面でも活用されており、2023年から2026年5月までの約3年間で200社超がRoboRoboを利用して上場を果たしたとしています。料金は従量課金やボリュームディスカウントなど、利用状況に応じたプランが用意されています。

手作業をどこまで減らせるかは、実際の運用現場を見ないとイメージしにくい部分です。提供元のオープン株式会社は、自動化による工数削減の実例について次のように述べています。

関根氏
オープン株式会社 RoboRobo事業部 マーケティング部 部長
関根氏
独自インタビューより

特に効果が大きいのは、業務の自動化に取り組んでいただいた事例です。たとえばシステム会社では、毎日数十件から多い時には100件のチェック業務が発生しますが、人手で行うと1件あたり1分として100分以上かかります。自動化によって怪しい情報が出た時だけ担当者が確認するという運用に切り替えることで、大幅な工数削減を実現しています。

まとめ

反社チェックを担当者ごとの自己流から社内の仕組みへと変えるには、マニュアルで手順と判断基準を明文化し、チェックシートで実施記録を残し、規程と契約書の暴力団排除条項までをセットで整えることが土台になります。本記事で示した章立て・文面サンプル・シートの欄を、自社の取引実態に合わせて調整してください。

各項目の根拠は、政府の指針や暴力団排除条例、個人情報保護法などにさかのぼって確認できます。稟議や監査で根拠を問われても答えられる状態にしておくことが、運用の定着につながります。そのうえで、毎回の手作業や属人化が気になり始めたら、調査と記録を効率化する反社チェックツールの導入を検討してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 反社チェックとは何ですか?

A. 反社チェックとは、取引や契約の相手方が暴力団などの反社会的勢力に該当しないかを確認する手続きです。政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」は、企業に社内規則等へ明文の根拠を設け、対応マニュアルを整備して情報を一元的に管理するよう求めています。担当者ごとの自己流ではなく、マニュアルとチェックシートで手順と判断基準を定めた仕組みとして実施することが基本となります。

Q. 反社チェックマニュアルはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

A. 反社チェックマニュアルは、法改正や社内体制の変更があったタイミングで見直すほか、変更がなくても定期的に点検して改訂するのが基本です。マニュアルは作成した時点で完成ではなく、運用の中で判定基準やエスカレーション経路が実態に合っているかを確認し、改訂の履歴を残すことで初めて機能します。決まった周期は法令で定められていないため、社内の取引量や体制に応じて自社でルール化してください。

Q. 反社チェックの記録はどのくらいの期間保存すればよいですか?

A. 反社チェックの記録の保存期間は、法令で一律に定められた期間はなく、契約期間や取引の実態を踏まえて自社で定めます。実務上は数年単位で保管する例が多く見られます。政府指針は反社会的勢力に関する情報を一元的に管理・蓄積することを求めているため、担当部署ごとに散逸させず、いつでも遡って確認できる形で保管しておくことが重要です。

Q. 反社チェックシートにはどこまでの項目を記入すればよいですか?

A. 反社チェックシートには、調査日時・対象(取引先名や代表者・役員名)・調査手段・検索キーワード・結果・判定・実施者と確認者・次回チェック予定までを記入するのが基本です。判断の目安は「誰が・いつ・どの手段で調べ、どう判断したか」を後から追える粒度にすることです。

同姓同名で対象を特定したといった経緯や、検索結果のスクリーンショットなどの添付も残しておくと、監査や取引先からの確認に耐える記録になります。

Q. 反社チェックは取引先だけでなく、個人や採用候補者も対象にすべきですか?

A. 反社チェックは、取引先本体だけでなく、代表者・役員や主要な株主まで対象に含めるのが基本で、上場を目指す企業ではその範囲が明確に問われます。証券取引所の新規上場審査でも、確認対象として企業グループ・役員(または役員に準ずる者)・主な株主・主な取引先が挙げられています。

一方、採用候補者へのバックグラウンド調査は、職業安定法に基づく指針が人種・思想信条・労働組合への加入状況などの収集を原則禁止しており、取引先を対象とする通常の反社チェックとは適用範囲が異なる点に注意が必要です。

Q. 取引先が反社会的勢力に該当・疑わしいと判明した場合、契約はどう解除すればよいですか?

A. 取引先が反社会的勢力と判明した場合は、あらかじめ契約書に入れておいた暴力団排除条項に基づいて、催告することなく契約を解除し、取引から排除します。そのため契約書には、相手方が反社会的勢力である場合に取引を拒絶する旨と、取引開始後に判明した場合などに解除できる旨を条項として盛り込んでおくことが有効です。

実際の対応では、担当者が単独で判断・回答せず管理部門や法務へ報告し、判断の経緯は相手方に伝えず、必要に応じて弁護士・警察・暴力追放運動推進センター(暴追センター)に相談します。

Q. 反社チェックは自社で行うべきですか、それともツールや調査会社に任せるべきですか?

A. 反社チェックは、大半の取引は公知情報検索・新聞記事データベース・反社チェックツールによる自社スクリーニングで確認し、懸念が残る取引に絞って調査会社や警察・暴追センターへ広げるのが現実的です。すべての取引に最上位の手段を使うのは費用と時間の面で非現実的なため、取引金額や継続性などのリスクに応じて段階的に使い分けます。

取引先が増えて毎回の検索や記録の手作業が重くなってきた場合は、照合と証跡の記録を効率化できる反社チェックツールの導入が、属人化の解消にもつながります。

反社チェックツールの料金・機能を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、反社チェックツールの最新の資料をまとめて取り寄せ、料金や機能を比較できます。マニュアルとチェックシートの土台を整えたうえで、運用を効率化するツールの導入を検討する際にご活用ください。

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

関連記事

新着記事