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地域通貨×ブロックチェーンの導入事例と仕組み——自治体の実装・費用感・パートナー選びまで整理

地域通貨×ブロックチェーン導入事例|自治体の実装・費用感・パートナー選びのサムネイル画像

紙のプレミアム商品券をデジタル化したい、庁内で「ブロックチェーンで地域通貨ができるって本当か」と問われて調べ始めた——自治体・地方創生・地銀の企画担当が置かれる状況は、この数年で共通しています。

デジタル田園都市国家構想の追い風もあり実装済み事例が全国で増えていますが、庁内稟議を通すには「他自治体で現に稼働しているか」「予算の桁はいくらか」「どこに委託すればよいか」を実例と数値で示す必要があります。

本記事では、稼働している自治体のデジタル地域通貨×ブロックチェーンの実例を、自治体名・稼働開始年月・技術基盤・実績数値とあわせて整理します。

あわせて、既存の電子マネー・QR決済ではなくブロックチェーンを選ぶ技術的な必然性、地域通貨の仕組み、導入プロセスと座組み、費用感の桁、開発を委託できるパートナーの選び方、失敗パターンまでを一続きで扱います。読み終えたときに、庁内説明資料に事例と費用感を引き写せる状態を目指します。

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稼働している自治体のデジタル地域通貨×ブロックチェーンの実例

まず庁内説明の材料になる実例から並べます。以下は、地域通貨として実際に稼働している自治体・地銀・民間発のデジタル地域通貨で、ブロックチェーン基盤を用いたものを中心に、その先行モデルとなったQR決済型の事例も参照として並べます。行政サービス(住民票デジタル化・電子申請)はここでは除き、地域内の消費・決済に使えるものに絞りました。

サービス自治体・地域運営主体稼働開始技術基盤実績数値・特徴
Byacco/白虎福島県会津若松市(会津大学)会津大学/ソラミツ2020年7月本番運用Hyperledger Iroha日本初のデジタル地域通貨として本番運用。「転々流通」と複数地域通貨の「相互運用」を実現
さるぼぼコイン岐阜県高山市・飛騨市・白川村飛騨信用組合2017年12月〜QRコード決済型(ブロックチェーン基盤ではない)国内先駆けのデジタル地域通貨。後発の地銀・地域商社モデルの参照点
トチカ/トチツーカ石川県(連携: 珠洲市・能美市 ほか)北國銀行2023年10月アプリ、2024年4月ステーブルコイン銀行預金裏付けのステーブルコイン2024年9月時点で加盟店約2,000店・登録ユーザー約5,000人、加盟店手数料0.5%
とくとくデジタル商品券福島県磐梯町磐梯町2021・2022年度ブロックチェーン基盤の商品券アプリ人口約3,100人の小規模自治体で即日完売を記録
八重山トークン(YAE)沖縄県石垣市合同会社Arcoiris(民間発)2026年6月1日実証実験開始Solana参加10店舗(実証開始時点)、加盟店手数料0.5%

本表のうち、さるぼぼコインだけはブロックチェーン基盤ではなくQRコード決済型で、後発のブロックチェーン型モデルが参照した先行事例にあたります。ここからは、それぞれの事例について、庁内説明で参照される要点を追加で整理します。

Byacco/白虎(会津若松市)

福島県会津若松市の会津大学構内で、ソラミツが Hyperledger Iroha を基盤に構築したデジタル地域通貨として、2020年7月に本番運用を開始しました。内閣府スーパーシティ・オープンラボの公表資料では、Byacco/白虎の位置づけを次のように説明しています。

『Byacco/白虎』は『転々流通』を実現し、複数のデジタル地域通貨をつなぐ『相互運用』可能な決済・送金手段

出典:日本初のデジタル地域通貨「Byacco/白虎」を本番運用開始|内閣府スーパーシティ・オープンラボ

ポイントは、受け取った通貨を別の加盟店で使える「転々流通」と、別のデジタル地域通貨と接続できる「相互運用」を、政府が公式に位置づけている点です。ここが、単なるQR型プリペイド決済と技術的に一線を画す部分になります。

さるぼぼコイン(岐阜県高山・飛騨・白川村)

さるぼぼコインは、飛騨信用組合が2017年12月から運用している国内先駆けのデジタル地域通貨です。基盤はブロックチェーンではなくQRコード決済型ですが、地域金融機関が発行・運営し、加盟店での決済やコンビニチャージに対応する点が特徴で、後発の地銀・地域商社によるブロックチェーン型モデルの参照点になっています。

トチカ/トチツーカ(北國銀行)

北國銀行が2023年10月に地域通貨アプリ「トチツーカ」を、2024年4月に銀行預金を裏付けとするステーブルコイン「トチカ」を発行しました。アステリア in.LIVE の対談記事では、2024年9月時点で加盟店約2,000店・登録ユーザー約5,000人、加盟店手数料0.5%、連携自治体として珠洲市・能美市が挙がっています。

庁内説明の観点で重要なのは、既存のカード決済・QR決済の加盟店手数料(一般に3〜4%水準)と比べて、0.5%という桁が明確に一段小さいことです。この手数料差が、地域内の店舗の売上(原資)が域外の決済事業者に流出しない、という政策効果と直結します。

とくとくデジタル商品券(磐梯町)

福島県磐梯町は人口約3,100人の小規模自治体ですが、2021・2022年度にブロックチェーンを用いたデジタル商品券「とくとくデジタル商品券」を発行し、即日完売を記録しました。「うちの規模でやれている自治体はあるのか」を庁内で問われたときに引き当てられる、小規模自治体の代表事例です。

八重山トークン(YAE、石垣市)

沖縄県石垣市では、合同会社Arcoiris の発表により、2026年6月1日から八重山トークン(YAE)の実証実験が始まりました。パブリックチェーンの Solana を基盤とし、参加10店舗(実証開始時点)、加盟店手数料0.5%で開始されています。民間発の実証で自治体主導ではありませんが、観光地における民間主導モデルの直近事例として位置づけられます。

出典・参考資料(5件)

なぜブロックチェーンなのか——地域通貨で技術的必然性が生まれる理由

ここからは、既存の電子マネー・QR決済ではなくブロックチェーンを選ぶ技術的な必然性を、庁内説明できる粒度で整理します。ポイントは4つ——改ざん耐性・手数料の桁・転々流通と相互運用・利用データの活用です。

改ざん耐性で不正利用を防げる

ブロックチェーンは、同じ台帳を複数の主体で分散して保持する構造から、事後的な改ざんが困難な設計になっています。地域通貨に置き換えると、発行残高・利用履歴・加盟店への清算記録が「後から書き換えられた」という疑義が原理的に起こりにくくなります。自治体予算を原資に発行する地域通貨では、この改ざん耐性が住民・議会に対する説明責任を支える要素になります。

決済手数料を域外に流出させない(3〜4%と0.5%の桁の対比)

既存のカード決済・QR決済の加盟店手数料は、一般に3〜4%の水準が知られています。この手数料は、決済事業者・カードブランドを経由して地域外へ流出する構造になっており、地域経済循環の観点では抑えたい支出です。

これに対し、北國銀行のトチカは加盟店手数料0.5%(2024年9月時点、アステリア in.LIVE 対談記事)、八重山トークンも加盟店手数料0.5%(2026年6月実証開始時点、合同会社Arcoiris プレスリリース)と、桁が明確に一段小さくなっています。地域内で使われる金額が、地域内の店舗の売上として残る割合が大きくなる、という政策効果を数値で説明できるのがブロックチェーン基盤の強みです。

転々流通と相互運用で地域内の経済循環をつくれる

紙のプレミアム商品券や既存のプリペイド型電子マネーの多くは、一度加盟店で受け取ったらそこで換金され、地域内でさらに転々と使われる設計にはなっていません。ブロックチェーン基盤の地域通貨では、加盟店が受け取った通貨を別の加盟店の仕入れや従業員への支払いに再利用する「転々流通」を実装しやすく、地域内の経済循環を厚くできます。

Byacco/白虎はこの転々流通と、別のデジタル地域通貨との相互運用を、政府公表資料で明示的に位置づけている国内の代表例です。

利用データの取得と施策のPDCAができる

紙商品券では、誰がどの店で何を買ったかの利用データが自治体側にほとんど残りません。デジタル化してブロックチェーン基盤で流通させれば、匿名化した集計として消費の分布・時間帯・年代別の傾向を把握でき、次期の施策設計にフィードバックできます。健康ポイント連動・アンケート付与・防災時利用など、通貨に用途属性を紐づける仕組み(スマートコントラクト)も同じ基盤で実装できます。

出典・参考資料(4件)

デジタル地域通貨の仕組み——発行・チャージ・決済・換金

ここからは、デジタル地域通貨のアーキテクチャを、実装文脈で最短で押さえます。細かなブロックチェーンの入門解説には立ち入らず、地域通貨として動かすときに実務で決めるべき要素に絞ります。

発行主体は自治体・地域商社・地銀のどこか

発行主体は、①自治体が直接発行(磐梯町型)、②地域商社・地域金融機関が発行(さるぼぼコイン=飛騨信用組合、トチカ=北國銀行)、③民間事業者が発行し自治体と連携(八重山トークン=合同会社Arcoiris×石垣市の観光文脈)、の3類型があります。自治体の企画・地方創生担当が最初に考えるべきは、自らが発行主体になるのか、地銀・地域商社に発行を委ねるのかの選択です。

住民・加盟店の登録から利用までの流れ

実装の流れは、①住民がアプリをダウンロードして本人確認と登録を行い、②銀行預金・コンビニチャージ・ふるさと納税連携でチャージ、③加盟店の店頭でQRコードを読み取って決済、④加盟店の売上は域内換金または地銀口座への振込で清算——という共通の骨格になります。

トチカのように「銀行預金を裏付けにトークン化して発行する」設計(ステーブルコイン型)を採るか、プリペイド残高を管理する設計を採るかで、法令適合の枠組み(資金決済法の前払式支払手段など)が変わります。

スマートコントラクトで利用範囲・有効期限を柔軟設計できる

ブロックチェーン基盤の特徴として、通貨に「利用範囲」「有効期限」「用途属性」を後から柔軟に設定できるスマートコントラクトが挙げられます。たとえば「特定業種でのみ使える健康ポイント」「災害時のみ有効な緊急給付」「観光客向けに期限付きで発行するトークン」といった設計を、既存の電子マネーよりも実装コストを抑えて実現できます。

八重山トークンの Solana 基盤活用も、この柔軟設計を可能にする選択の一つです。

導入プロセスと座組み——実証実験から本番運用までの流れ

ここからは、庁内稟議で最も問われる「実際に始めるとどう進むか」を、実例のプレスリリース年月から抽出した典型的な流れとして示します。実証実験の開始から本番運用まで、事例では概ね1〜2年の期間で進んでいます。

①課題整理と目的定義(何のためのデジタル地域通貨か)

最初に決めるのは、地域通貨の目的です。域内消費循環(プレミアム商品券の後継として)、健康ポイント(歩数・イベント参加への付与)、防災(災害時給付の即時配布)、観光(域内滞在の消費喚起)——目的によってチャージ方式・利用範囲・清算頻度が変わります。庁内で「地域通貨で何を解決したいのか」を1本の目的に絞ってから、後工程の設計に移るのが失敗を避ける前提です。

②座組み(自治体・地銀・ベンダー・地域商社・加盟店会の役割分担)

座組みは、自治体(企画・広報・予算執行)、地域金融機関(発行主体・清算口座の提供)、システムベンダー(ブロックチェーン基盤・アプリ開発)、地域商社(加盟店開拓・運用事務局)、加盟店会(商店街・観光協会)の5者が典型です。

すべてを自治体単独で担うのは難しいため、地銀・地域商社と早期に協議し、役割と責任範囲を明確にします。座組みが決まらないまま実証を始めると、住民登録・加盟店広報の担い手が浮いて頓挫します。

③実証実験から本番運用までの目安期間

実証実験は数か月〜半年、その結果を踏まえて本番運用に移行するまでに概ね1〜2年、というのが実例からの目安です。磐梯町が2021・2022年度に商品券発行を積み重ねた事例、トチカが2024年度以降にサービス開始・拡大した事例、八重山トークンが2026年6月の実証開始から地域内拡大を計画している事例のいずれも、実証を単発で終わらせず翌年度以降に継続する構えで進めています。

④住民登録・加盟店募集・広報の順序

本番運用の直前で詰まりやすいのが、住民登録・加盟店募集・広報の順序です。加盟店が少ないと住民が使わず、住民登録が少ないと加盟店が離脱する、という逆循環に陥りやすいためです。実例では、①先に加盟店会と協議して先行加盟店を数十店確保、②広報と同時に住民登録を開始、③初回チャージにインセンティブ(プレミアム率上乗せ・還元)を付ける、という順序が定着しています。

出典・参考資料(2件)

デジタル地域通貨の費用感——手数料と初期構築費の目安

庁内稟議で確実に問われるのが費用の桁です。ここでは、手数料水準と初期構築費・運用費の目安を、公表情報の範囲で整理します。断片的な数値しか公表されていない項目については、開発ベンダー個別相談で確認するのが実務的です。

加盟店手数料の水準(既存QR 3〜4%と地域通貨 0.5%の桁の対比)

加盟店手数料は、庁内説明の材料として最も分かりやすい数値です。既存のカード決済・QR決済の加盟店手数料は3〜4%水準が知られており、経済産業省のキャッシュレス関連の公表資料などで確認できます。これに対し、公表事例のあるブロックチェーン基盤の地域通貨では、以下のように桁が一段小さくなっています。

決済手段加盟店手数料の水準時点・出所
既存カード・QRコード決済(一般)3〜4%(幅)経済産業省・キャッシュレス推進協議会の公表資料
トチカ(北國銀行)0.5%2024年9月時点、アステリア in.LIVE 対談記事
八重山トークン(YAE)0.5%2026年6月実証開始時点、合同会社Arcoiris プレスリリース

ここで大切なのは、単なる価格差の主張ではなく、地域通貨として使われた金額のうち、加盟店の手元に残る割合が既存決済より大きくなるという政策効果を、数値で庁内・議会に説明できる点です。

初期構築費・運用費の桁——公表情報が限られる領域

初期構築費・運用費は、自治体入札の落札公表や事業者プレスリリースで断片的に触れられることはあるものの、事例間で横並びで比較できる公表値は限られます。

桁の当たりを付けたい段階では、開発ベンダー・地銀と個別に相談し、①ブロックチェーン基盤の使用形態(自治体独自チェーン/既存基盤の利用/SaaS 型)、②アプリ開発の範囲(既存アプリの活用/新規開発)、③運用事務局の座組み、の3点で見積もりを取るのが実務的です。

「安く済む」で終わらせるのではなく、桁の当たりを開発パートナーとの対話で早期に固めることが、庁内稟議での説得力につながります。

地域通貨×ブロックチェーンの開発パートナー選び

ここからは、地域通貨×ブロックチェーンの実装を委託できる開発パートナーの選び方を整理します。国内のブロックチェーン開発事業者は、大きく次の3類型に分かれます。自治体・地銀・地域商社の側で「どの類型が自分たちの案件に合うか」を把握しておくと、資料請求・個別相談の相手を効率よく絞れます。

ブロックチェーン開発ツール・支援のカテゴリ全体の比較・選び方の詳細は、以下のピラー記事で扱っています。基盤・BaaS・受託開発・総合コンサルまで、地域通貨以外の用途も含めた網羅比較を確認したい場合は、あわせてご覧ください。

パートナーの3類型(基盤・BaaS/ノーコードSaaS/総合コンサル・代行)

①ブロックチェーン基盤・BaaS を提供する事業者は、既存のパブリックチェーン(Ethereum・Polygon・Solana など)や独自チェーンの上で、地域通貨アプリを構築する土台を提供します。

ソラミツ(Hyperledger Iroha、Byacco 基盤)、bitFlyer Blockchain(独自チェーン miyabi)、G.U.テクノロジーズ(EVM互換の国産チェーン Japan Open Chain)などが該当します。

②ノーコード・トークン発行 SaaS を提供する事業者は、テンプレート化されたスマートコントラクトを用いて、トークン発行・配布・管理をノーコードで運用できる SaaS を提供します。自治体側にブロックチェーン人材が不在でも、企画担当がそのまま操作できる点が強みで、パイロットの立ち上げ速度に向いています。

③Web3総合コンサル・代行は、企画・要件定義から発行・運用までを代行する形態で、自治体・地銀・地域商社が実装体制を持たない場合に有効です。請求書払いに対応している事業者を選ぶと、自治体の予算執行に馴染ませやすくなります。

選定の観点としては、①ブロックチェーン基盤の実装実績、②公共セクター・自治体との連携実績、③保守運用体制(インシデント対応・脆弱性対応の窓口)、④料金体系(初期・月額・従量の透明性)、⑤請求書払い・予算執行への対応、の5点を確認するのが実務的です。以下では、開発パートナー3社を類型別に紹介します。

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サービス名HAZAMA BASEMARUNAGE24karatマーケティングプラットフォーム
提供会社株式会社IndieSquare株式会社IndieSquare24karat株式会社
類型ノーコード・トークン発行 SaaSWeb3総合コンサル+NFT/トークン発行代行Web3ロイヤリティ・ファンエンゲージメント基盤
得意領域NFT・独自通貨・DAO発行、公共セクター・電子投票企画〜発行〜運用の一気通貫代行、請求書払い対応住民アクティベーション、ロイヤリティ設計、施策PDCA
料金体系無料〜/Enterprise 15,680円/月要お問い合わせ要お問い合わせ
対応チェーンHAZAMA・イーサリアム・ポリゴン案件別(HAZAMA・EVM系ほか)案件別(マルチチェーン対応)
公共セクター実績自民党青年局・内閣官房・国会議員IndieSquareグループとして公共・大手商社実績あり上新電機・ロッテ・伊藤忠商事等の大手企業実績
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る

※ 各社公式サイトおよび公開情報をもとに作成(2026年8月時点)。料金・機能は変更される場合があります。

HAZAMA BASE(株式会社IndieSquare)

HAZAMA BASE 公式サービスサイトのスクリーンショット。ノーコードでNFT・独自通貨・DAOを発行できるプラットフォーム。

株式会社IndieSquare が提供する、ノーコードでNFT・独自通貨(TOKEN)・DAO を発行・配布・管理できる Web3 プラットフォームです。同社が特許取得した独自ブロックチェーン基盤「HAZAMA」の上で、テンプレート化されたスマートコントラクトを利用してトークン発行の開発工数とガス代を抑える設計になっています。

ブロックチェーンとして HAZAMA・イーサリアム・ポリゴンの3種類から選んで発行でき、自治体側にブロックチェーン人材が不在でも、企画担当が管理画面から操作して立ち上げに進めます。

公共セクターの実装実績として、自由民主党青年局の電子投票と参加証NFT発行(2023年5月、国政政党初の電子投票採用)、青年局の「岸田トークン」(2022年5月発行)、内閣官房のNFT活用(令和4年度「夏のDigi田甲子園」受賞証明NFT、内閣官房初のNFT活用)、平将明衆議院議員の「タイラくんSBT」NFT会員証(国会議員初)などが公式に公表されています。

地域通貨のパイロットで住民ポイント・電子投票・イベントSBT配布を組み合わせたい自治体にとって、参照しやすい実績を持つ選択肢です。料金は無料プランに加え、Enterprise 15,680円/月(2026年8月時点)とカスタム(要問い合わせ)が用意されています。

MARUNAGE(株式会社IndieSquare)

MARUNAGE 公式サービスサイトのスクリーンショット。Web3総合コンサルティング+NFT/トークン発行・販売代行のサービス。

同じく株式会社IndieSquare が提供する、Web3総合コンサルティング+NFT/トークン発行・販売代行のサービスです。企画・要件定義・トークン設計・発行・配布・販売・運用までを代行する形態で、自治体・地銀・地域商社が自ら実装体制を持たない場合に、地域通貨のパイロットを最短で立ち上げるための選択肢になります。

ブロックチェーン基盤の選定、NFT/トークン規格の設計、住民配布の座組み設計、事後の運用サポートまでをまとめて任せられる点が特徴です。

請求書払いに対応しており、自治体の予算執行に馴染ませやすいのも実務上の利点です。運営元の IndieSquare は、別プロダクトとして RWA(現実資産のトークン化)基盤「hazBase」を展開しており(2025年11月、Bitcoin L2「Liquid Network」上での R&D 開始)、地域通貨の枠を越えた将来展開を視野に入れやすい体制も持っています。

24karatマーケティングプラットフォーム(24karat株式会社)

24karatマーケティングプラットフォーム 公式サイトのスクリーンショット。ブランド・クリエイター向けのWeb3ロイヤリティ基盤。

24karat株式会社が提供する、ブランド・クリエイター向けの Web3 ロイヤリティ・ファンエンゲージメント基盤です。ブランド向け管理コンソール(Brand Management Console)、ファン向けウォレットアプリ「24k ZAP」、API 群を組み合わせたエンタープライズ向けの提供形態を採ります。

上新電機・ロッテ・伊藤忠商事・エイベックス・テレビ朝日・大和リース・シヤチハタなど大手企業への導入実績を積み上げており、累計調達額は約1.8億円(2023年3月時点、XTech Ventures 等からのプレシリーズA)です。

地域通貨の文脈で見た場合、住民アクティベーションと施策 PDCA が強みになります。ウォレットアプリを住民向けに配布し、健康ポイント・観光アクティビティ参加・アンケート回答へのトークン付与、加盟店広報のロイヤリティ設計、集計データによる施策の効果測定を、既存の大手ブランド向けと同じ基盤で組み立てられます。

地域通貨の発行そのものだけでなく、住民に使ってもらうためのマーケティング設計まで一緒に進めたい自治体・地銀に適合します。

デジタル地域通貨の注意点と失敗パターン

ここからは、庁内稟議・議会質疑で必ず問われる注意点と失敗パターンを整理します。かつての紙ベースの地域通貨が続かなかった理由を踏まえ、デジタル化で解決できる部分と、デジタル化しても残る課題を分けて押さえます。

住民のスマホ普及率とデジタル格差

デジタル地域通貨はスマートフォンでの利用が前提になるため、高齢層のスマホ非保有・操作習熟の不足が最初の壁になります。実務では、①紙商品券との併用期間を設ける、②公民館・地域包括支援センターでの操作サポート窓口を用意する、③住民向けの動画マニュアル・電話問い合わせ窓口を用意する、といった対応で緩和します。デジタル格差の解消策を予算に含めておかないと、実利用率が伸びず稟議の評価が下がります。

加盟店の広がり不足と手数料負担

加盟店が少ないと住民が使わない、住民が使わないと加盟店が離脱する、という逆循環はデジタル化しても起こります。手数料水準を既存決済より低く設定しても、加盟店側の初期の登録手続き・端末対応(QRコード読み取り)・清算サイクルへの慣れが必要で、加盟店会・商店街・観光協会と協働で入店促進を進めるのが定石です。

事業者撤退リスクと持続可能性

デジタル地域通貨のインフラを1社に依存すると、その事業者が撤退したときに、住民の残高・加盟店の売掛が宙に浮くリスクがあります。ブロックチェーン基盤の選定時に、①データポータビリティ(別基盤への移行可能性)、②基盤事業者の代替可能性、③自治体側での運用継続の可否、を確認しておくと、稟議で「事業者依存リスク」の質問に答えやすくなります。

過去にキャリタスファイナンス「ブロックチェーンで地域通貨は復活するか」は、紙時代の地域通貨のブームが去った経緯を整理しており、持続可能性の観点で参照する価値があります。

出典・参考資料(1件)

まとめ

デジタル地域通貨×ブロックチェーンは、Byacco/白虎・トチカ・磐梯町・八重山トークンなど、規模と類型の異なる実例が国内で稼働している段階に入っています(QR決済型の先行例としてさるぼぼコインもあります)。

既存決済との差分は、①改ざん耐性、②加盟店手数料の桁(既存3〜4%に対して0.5%水準)、③転々流通と相互運用、④利用データの取得と施策PDCA、の4点で庁内説明できます。

導入は、目的定義→座組み→実証→本番運用の順で概ね1〜2年、費用感は手数料の桁は公表事例で追える一方、初期構築費は開発ベンダー個別相談で桁を固めるのが実務的です。

次の一歩として、自治体・地銀の実装体制と目的に合う開発パートナーを類型別に絞り込み、資料請求・個別相談で費用と工数を詰めていくのが、庁内稟議の材料を揃える最短ルートです。

よくある質問(FAQ)

Q. デジタル地域通貨×ブロックチェーンの費用感はどの程度ですか?

A. 加盟店手数料は既存のカード・QR決済が3〜4%水準であるのに対し、公表事例のあるブロックチェーン基盤の地域通貨は0.5%水準です。北國銀行トチカ(2024年9月時点)と八重山トークン(2026年6月実証開始時点)がいずれも加盟店手数料0.5%と公表しています。初期構築費・運用費は事例間で横並びで比較できる公表値が限られるため、開発ベンダー個別相談で桁を固めるのが実務的です。

Q. 小規模自治体でもデジタル地域通貨×ブロックチェーンは実現できますか?

A. 実現例があります。福島県磐梯町(人口約3,100人)は2021・2022年度に「とくとくデジタル商品券」を発行し、即日完売を記録しています。小規模自治体では、①自治体単独ではなく地域金融機関・地域商社と組む、②ノーコードSaaSや代行型パートナーを活用して実装体制を外部化する、③実証実験→本番運用の順に段階を踏む、といった進め方が実務的です。

Q. 実証実験から本番運用までの目安期間はどのくらいですか?

A. 実例からの目安は概ね1〜2年です。実証実験は数か月〜半年、その結果を踏まえた本番運用への移行までを合わせて1〜2年で進む事例が多く見られます。磐梯町は2021・2022年度に商品券発行を積み重ね、トチカ(北國銀行)も2023年のアプリ提供から2024年のステーブルコイン化へと段階的に展開しています。庁内では、単発の実証で終わらせず翌年度以降の継続予算を含めて稟議を組むのが定石です。

Q. 既存のQRコード決済とブロックチェーンの地域通貨は何が違いますか?

A. 主な違いは、①手数料の桁(既存3〜4%対0.5%水準)、②改ざん耐性、③転々流通と相互運用性、④利用データの取得可能性、の4点です。既存のQR決済は決済事業者が地域外の主体で、手数料が域外に流出します。

ブロックチェーン基盤の地域通貨は、加盟店で受け取った通貨をそのまま別の加盟店で再利用する「転々流通」を実装しやすく、地域内の経済循環を厚くできます。Byacco/白虎はこの転々流通と相互運用性を内閣府公表資料で公式に位置づけています。

Q. 住民のデジタル格差(スマホ非保有・操作不慣れ)にはどう対応しますか?

A. 実務では、①紙商品券との併用期間の設定、②公民館・地域包括支援センターでの操作サポート、③動画マニュアル・電話問い合わせ窓口の用意、といった対応で緩和します。デジタル格差の解消策を予算に含めておかないと、実利用率が伸びず庁内稟議の評価が下がるため、当初計画から並行して組み込むのが定石です。

Q. 自治体・地銀・ベンダーの役割分担はどう決めればよいですか?

A. 典型的な座組みは、自治体(企画・広報・予算執行)、地域金融機関(発行主体・清算口座)、システムベンダー(基盤・アプリ開発)、地域商社(加盟店開拓・運用事務局)、加盟店会の5者です。自治体単独ですべてを担うのは難しく、地銀・地域商社と早期に協議して役割と責任範囲を明確にします。座組みが決まらないまま実証を始めると、住民登録・加盟店広報の担い手が浮いて頓挫する典型パターンに陥ります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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