紙の契約書対応に頭を悩ませていませんか?契約書を印刷して製本し、押印・郵送・保管する作業は手間も時間もかかります。さらに毎回の収入印紙代も積み重なり、コスト負担になっているでしょう。
実は、こうした課題を一挙に解決できるのが「電子契約システム」です。電子契約なら契約締結がオンラインで完結し、契約書はデータで保管されます。遠隔地の取引先とも数分で契約を交わせ、印紙税も不要になるため、大幅なコスト削減が可能です。
本記事では、電子契約システムの基本から仕組み、メリット・デメリット、主要サービスの比較や選び方、法的な有効性、導入ステップまで網羅的に解説します。紙の契約業務を効率化したいと考える法務・総務担当者の方が、上司への提案材料として十分な知識を得られる内容です。

JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)「企業IT利活用動向調査2025」
最新の調査によれば、国内企業の約78.3%が電子契約を導入済みとのデータもあり、今や電子契約は企業競争力向上の鍵と言えます。ぜひ最後まで読み、電子契約システム導入の検討にお役立てください。
目次
電子契約システムとは?
まず、電子契約システムの基本的な仕組みと従来の紙契約との違いを確認します。
電子契約とは、紙ではなくデータ上で契約書を作成し、インターネットを介して契約を締結する方法です。紙の契約では契約書を印刷し双方が署名・押印しますが、電子契約ではパソコンやスマホ画面上で契約書を確認し、電子署名を付与することで法律上有効な契約成立となります。
契約書データにはタイムスタンプ(日時の記録)も付加され、改ざん防止と「誰がいつ同意したか」の証明が可能です。締結後の契約書原本はクラウド上のサーバーに保管され、紙のようにファイル棚を占有することもなく、必要な時にすぐ検索・閲覧できます。

電子契約を実現するのが電子契約システムです。電子契約システム上に契約書データをアップロードし、相手方に署名依頼を送信することで、オンライン上で契約のやり取りが完結します。
例えば自社が契約書ドラフトをシステムに登録すると、自社側の電子署名が付与されます。システムから取引先へメールで通知が届き、取引先も内容を確認して電子署名すれば契約成立です。
契約締結に必要な一連の手続きを代行・補助してくれるのが電子契約システムであり、これを使えば場所を問わずスピーディーに契約締結できます。
電子契約システムの基本機能
多くの電子契約システムには、契約締結から管理までを効率化するための様々な機能が搭載されています。主な基本機能は以下のとおりです。
- 電子署名・タイムスタンプ機能
- 契約書に当事者の電子署名(電子印鑑)を付与し、署名日時をタイムスタンプで記録します。これにより契約当事者本人の同意を証明し、締結後の契約書改ざんを防止します。
- 契約書に当事者の電子署名(電子印鑑)を付与し、署名日時をタイムスタンプで記録します。これにより契約当事者本人の同意を証明し、締結後の契約書改ざんを防止します。
- 契約書管理機能
- 締結済みの電子契約書データをクラウド上で安全に保管・管理する機能です。契約書検索、閲覧権限の設定、契約更新期限のアラート通知など、契約書のライフサイクル管理を効率化します。
- 締結済みの電子契約書データをクラウド上で安全に保管・管理する機能です。契約書検索、閲覧権限の設定、契約更新期限のアラート通知など、契約書のライフサイクル管理を効率化します。
- 業務効率化のための付加機能
- 契約テンプレートの保存機能やワークフロー機能(契約稟議の電子承認)、締結状況のステータス管理、他システムとのデータ連携など、契約業務をスムーズにする様々な機能があります。これらはサービスによって異なり、自社のニーズに合うものを選ぶことが重要です。
電子契約システムを導入するメリット
電子契約システムを導入すると、紙の契約では得られない多くのメリットがあります。ここでは代表的なメリットを見ていきましょう。
1. 印紙代や契約関連コストの削減
紙の契約書には印刷費用・郵送費に加え、契約金額に応じた収入印紙税がかかります。契約金額が大きいほど貼付すべき印紙代も高額となり、企業にとって無視できない負担です。
例えば1件あたり数百円~数千円の印紙代でも、契約件数が多ければ年間で相当な金額になります。電子契約であれば契約書は電子データのやり取りとなるため印紙税は一切不要です。郵送も不要になるため郵送料も削減できます。

出典元:JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)「企業IT利活用動向調査2025」
実際、電子契約の導入効果に関するアンケート調査では、「コスト削減(印刷代、郵送費、保管費用、印紙税など)」が主な効果として挙げられています。契約業務のコスト構造が大きく変わる点は、電子契約導入の最大のメリットと言えるでしょう。
2. セキュリティ強化とコンプライアンスの向上
紙の契約書は紛失・盗難や改ざんリスクがつきまといます。また押印だけでは「本当に本人が押印したのか」の証明が難しく、なりすましのリスクも否めません。電子契約システムでは、契約の締結プロセスで確実な本人認証を行い、署名や閲覧の操作ログも全て記録されます。改ざんや不正アクセスが試みられれば履歴が残るため、不正行為の抑止効果が高まります。
契約書原本はクラウド上に保管されバックアップも取られるため、紙のように紛失する恐れもありません。適切なセキュリティ対策が講じられた電子契約なら、紙契約より安全に契約書を管理でき、結果として社内のコンプライアンス(法令順守)体制強化につながります。
3. 契約締結業務の効率化とスピードアップ
従来の紙契約では、契約書を印刷→製本→捺印→郵送→相手の捺印→返送→自社で受領・保管、といった複数の工程を経る必要がありました。契約締結までに数日〜数週間かかるケースも珍しくありません。
電子契約システムを使えば、こうした紙特有の工程が全て不要になります。契約書はオンライン上で送信・署名を完結できるため、極端な場合はメール送付から数分で双方の締結が完了することも可能です。郵送の待ち時間が無くなるだけでもリードタイムは大幅に短縮されます。
また、契約書の内容修正や差し替えもシステム上で迅速に行えるため、契約交渉のやりとりも効率的です。こうしたスピードアップにより、ビジネスチャンスを逃さずタイムリーに契約を結べるようになります。
さらに契約書原本の保管・検索もシステムで一元管理できるため、必要な契約書を探す手間も削減されます。契約関連業務全体の生産性向上が期待できる点も電子契約導入の大きな魅力です。
電子契約システム導入のデメリット・注意点
メリットの多い電子契約システムですが、導入にあたって注意すべき点やデメリットも存在します。事前に理解しておきたいポイントを整理します。
1. 電子契約できない書面が一部存在する
現行の法律上、すべての契約書類を電子化できるわけではありません。例えば不動産分野の「定期借地契約・定期借家契約」「重要事項説明書」などは法律で書面交付が義務付けられています。
また、「任意後見契約書」(公証人の前での署名が必要)やクーリングオフ関係書面(訪問販売などで消費者保護のため紙交付が必須)など、一部契約類型は電子契約が認められていません。
こうした契約は現状紙で対応する必要があります。ただし、法改正の動きも進んでおり、将来的には電子契約解禁となる可能性もあります。現時点では「電子化できる契約・できない契約」を社内で整理し、電子契約と紙契約を使い分ける運用を検討しましょう。
なお、税務関連では契約書も含め電子データ保存が可能となっており(電子帳簿保存法対応)、紙原本の保存義務は条件を満たせば緩和されています。その意味でも、対応可能な契約から電子化を進める価値は大きいでしょう。
2. セキュリティ対策の徹底が必要
電子契約はセキュリティが万全であってこそメリットを発揮します。逆に言えば、不十分な対策のもとで電子契約を行うと改ざんや不正アクセスのリスクが高まる可能性があります。電子契約システムを選定する際は、提供会社のセキュリティ体制(データ暗号化、アクセス制御、サーバー冗長化など)が信頼できるかを必ず確認しましょう。
また、自社内のPCやスマートフォン側でも基本的なセキュリティ対策が必要です。例えば端末にウイルス対策ソフトを導入する、推測されにくい強固なパスワードを設定・定期変更する、社外ネットワークからのアクセスポリシーを定める等の措置は欠かせません。
幸い主要な電子契約サービスは高度なセキュリティ機能を実装しており、適切に利用すれば情報漏洩のリスクは極めて低く抑えられます。システム任せにせず人為的なセキュリティ対策も含めた運用ルールを整備することが大切です。
3. 取引先への説明・同意取得が必要
自社が電子契約を導入しても、契約の相手方が対応してくれなければ実現しません。特に下請取引に関して定めた下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、親事業者は原則として書面で契約書を交付する義務があり、電子契約で締結する場合は下請事業者の事前承諾を得る必要があります。
そのため、該当する取引では契約先に電子契約への同意を取る手続きを忘れないようにしましょう。下請法に限らず、取引先ごとに社内ルールやIT環境の状況は様々です。まだ電子契約を導入していない企業もありますから、電子契約での締結にあたっては事前に相手方へ丁寧に説明・相談することが重要です。
場合によっては、先方に電子契約サービスの使い方マニュアルを共有したり、社内稟議の説得材料を提供するなどのフォローも有効です。こうしたコミュニケーションを経ることで、スムーズに電子契約への移行が進められるでしょう。
電子契約システムの選び方
電子契約システムは現在国内だけでも数十種類のサービスが存在し、それぞれ機能や料金体系も様々です。自社に最適なサービスを選ぶために、以下のポイントで比較検討しましょう。
1. 自社の導入目的・ニーズに合った機能で選ぶ
まず「なぜ電子契約を導入するのか」という目的を明確にすることが出発点です。例えば「契約業務のコストを削減したい」が主目的なら低コストまたは定額制のサービスが候補になります。「法務コンプライアンスを強化したい」ならセキュリティ性能の高いサービス、「契約処理のスピードアップ」が目的なら検索機能や通知機能が充実したサービスが適しています。
また、スマホで契約を完結させたいならスマホアプリ対応、ITリテラシーが高くない社員が多いなら操作が簡単なUI、といった具合に自社の利用シーンやユーザーに合った仕様を備えたシステムを選ぶことも大切です。目的・ニーズの優先順位を整理したうえで、それを満たす機能を持つサービスをピックアップしましょう。
2. 電子契約の方式(当事者署名型 or 立会人署名型)を確認
電子契約システムには大きく分けて「当事者署名型」と「立会人署名型(クラウド型)」の2種類があります。
当事者署名型は各契約当事者がそれぞれ電子証明書(秘密鍵)を保有し、自らの電子署名を付与する方式です。この場合、契約書データは各自のローカルまたは用意したサーバーに保管し、ICカード等に秘密鍵を安全管理する手間がかかります。
一方、立会人署名型(クラウド型)は契約の第三者立会人としてサービス提供事業者が電子証明書を用意し、ユーザーはクラウド上で契約締結できます。利用者自身が秘密鍵を管理する必要がなく、契約書原本もクラウドに保管されるため利便性が高い方式です。
現在普及している電子契約サービスの多くは後者のクラウド型であり、特別な機器を用意せず導入しやすいメリットがあります。自社が求めるセキュリティレベルや運用負荷に応じて、どの方式のサービスかも選定時にチェックしましょう。
3. 導入コスト・料金プランで比較検討する
複数のサービスを比較する際は、料金プランも重要なポイントです。電子契約システムの費用は主に毎月固定の「基本料金」と、契約送信1件ごとにかかる「従量課金(従量料金)」の組み合わせになっていることが多いです。
サービスによっては無料プランを提供しているもの(例えば月○件まで無料など)や、使い放題の定額プラン、ユーザー数課金のプランなど様々です。現状の契約件数や将来的な利用規模を踏まえて、トータルコストが最も経済的なサービスを選びましょう。
例えば月間契約件数が少なければ基本料無料で従量課金制のサービス、大量に契約を締結するなら定額で使い放題のサービスが向いています。導入にかけられる予算とスケジュールも考慮し、「いつまでに導入したいか」「初年度はどのくらい費用を出せるか」を明確にすると選びやすくなります。
費用対効果を上げるためにも、必要十分な機能を備えたコスト効率の良いサービスを選定しましょう。
4. 他システムとの連携や操作性も考慮
電子契約システム単体の機能だけでなく、既存の業務システムとの連携性も選定ポイントです。例えば現在使っている顧客管理(CRM)や営業支援システムと電子契約システムが連携できれば、契約締結情報を自動連携して入力の手間を省くことが可能です。
クラウドストレージや社内の承認ワークフローシステムと連動できるサービスもあります。特に契約件数が多い企業では、他システムと統合することで業務効率が飛躍的に向上するケースもあるため、API連携の有無や機能を確認しましょう。
また、実際に現場の担当者が使いこなせるかという操作性も重要です。UIが直感的で分かりやすいか、日本語のサポートやマニュアルが充実しているか、といった点も比較しましょう。多機能でも使い勝手が悪ければ定着しません。可能であれば各サービスの無料トライアルを利用して操作感を試し、自社にフィットするか確認することをおすすめします。
主要な電子契約サービスの比較紹介
現在提供されている主な電子契約サービスの中から、代表的なものをいくつか紹介します。それぞれ特徴が異なるため、自社のニーズに合わせて検討しましょう。
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が提供する国内シェアトップクラスの電子契約サービスです。日本で電子契約が普及し始めた2015年頃からのパイオニアで、導入社数も非常に多く知名度があります。
契約書の作成から締結・保管までクラウド上で一元管理でき、UIがシンプルで使いやすいと定評です。法務目線の細かな機能充実も特徴で、契約ごとの閲覧権限設定や契約書のタグ管理、テンプレート機能などが備わっています。
基本的な電子契約機能はもちろん、弁護士監修のサービスという安心感から中堅・大企業からベンチャーまで幅広く利用されています。
電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン株式会社)

GMOグローバルサイン・HD社の提供するサービスで、導入企業数国内No.1との実績が謳われています。最大の特徴は無料プランが用意されている点で、月5件までなら無料で契約締結が可能なため小規模利用にも適しています。有料プランでも他社に比べリーズナブルな価格帯で、コスト重視の企業に人気です。
一方で大企業・行政機関向けの機能も充実しており、不動産業界向けテンプレートや電子公証、マイナンバー実印(公的個人認証)オプションなど多彩です。契約の事前レビュー機能や対面契約機能などユニークな拡張もあり、コストパフォーマンスと機能両面でバランスの良いサービスと言えます。
freeeサイン(freee株式会社)

会計ソフト大手のfreee株式会社が提供する電子契約サービスです。旧名称「NINJA SIGN」をfreeeが買収・リブランドしたもので、中小企業やスタートアップに使いやすい手頃なサービスとして人気です。
契約書の作成から締結・管理までワンストップで行えるのが特徴で、シンプルなUIで初心者にも扱いやすい点を重視しています。料金も業界最安水準で、無料プランでは月1通まで契約送信可能、ライトプランも低価格に設定されています。
freeeサインは電子契約だけでなく、AIによる契約書チェック機能なども提供しており、リーガルチェック負荷の軽減も図れます。また自社の会計ソフトfreeeとの連携により、契約に紐づく請求・支払い業務をシームレスに処理するような統合も進んでいます。低コストで手軽に導入したい企業に適したサービスです。
(上記の他にも、Adobe Acrobat Sign、Hanko Cloud、Contracts、LegalForce契約など多数のサービスがあります。それぞれ特徴が異なるため、複数社の資料を取り寄せて比較検討することをおすすめします。)
電子契約の法的効力と安全性
電子契約システムを導入する上で、「本当に紙と同じ効力があるのか」「法的に大丈夫か」という点は最も気になるところでしょう。ここでは電子契約の法的有効性と安全性について解説します。
電子契約は法的に有効?紙の契約と同等?
結論から言えば、適切に電子署名が施された電子契約書は紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。
日本では2001年施行の「電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」によって、電子契約の有効性が明確に定められました。同法第3条では、「電子契約書など電磁的記録に契約当事者本人による電子署名が行われている場合、その契約書は本人が記したものと推定する」と規定されています。
簡単に言えば、「本人だけが行える電子署名」が付与されたデータは、紙に本人が署名・押印した契約書と同様に扱われるという法律上の根拠があるのです。このため、クラウド型電子契約サービスであっても、サービス提供事業者が適法な電子署名・タイムスタンプを付与していれば、押印のある紙の契約書と同等の効力が政府見解でも認められています。
実際、電子契約で締結された契約は裁判でも有効な証拠として扱われた例があります。要は法律の要件を満たした電子契約であれば安心して利用できるということです。
電子署名法が支える電子契約の有効性
前述の電子署名法では、「電子署名」を次のように定義しています。
「電子的方式で作成された情報(電磁的記録)において、当該情報に他人が行った改変を発見できるもの(改ざん防止措置が施されたもの)であって、本人の意思に基づき行われたことを示すための情報」(同法2条)
という少し難しい表現ですが、要するに本人だけが使える電子的な署名であり、あとから内容改変ができない技術的な担保があれば、それをもって本人の署名とみなすということです。
電子契約サービス各社はこの法律の要件を満たす仕組みを提供しており、例えばクラウドサインやGMOサインでは契約ごとに固有のハッシュ値(改ざん検知用のコード)を発行し、本人認証済みの電子署名とタイムスタンプを付与しています。これによって契約書が本人の合意に基づいて作成され、変更されていないことを証明するわけです。
電子契約システムを利用することで、専門知識がなくても法律に沿った形式で契約を締結できるのは大きなメリットと言えます。
電子契約システムのセキュリティは大丈夫?
電子契約の安全性に関しては、多くの方が「サイバー攻撃で契約データが漏洩しないか」「改ざんされないか」を心配します。
主要な電子契約サービスでは、契約データの通信はすべてSSL/TLS暗号化され、サーバーも耐障害性の高いクラウドインフラ上に構築されています。また、契約書データそのものも暗号化して保管され、アクセス権限のない者は閲覧できません。
仮にサービス提供会社のデータセンターが物理的被害を受けても、バックアップや分散配置によりデータ消失のリスクを極小化しています。さらに各操作ログが保存されるため、不審なアクセスがあれば検知・追跡が可能です。
こうした多層防御のセキュリティ対策により、クラウド上であっても契約情報の機密性は高く維持されています。もちろん前述のようにユーザー企業側でも基本的な情報セキュリティ対策は必要ですが、少なくとも信頼できる電子契約サービスを使う限り、紙の契約書を社内で管理するのと同等以上に安全と言えるでしょう。
不安な場合は各サービスのセキュリティに関するホワイトペーパーや認証取得状況(ISO/IEC 27001等)を確認し、自社のセキュリティ基準に照らして検討してください。
電子契約システム導入のステップ
電子契約システムを成功裏に導入するには、事前準備と社内外の調整が欠かせません。一朝一夕に移行できるものではないため、段階的に計画を進めましょう。一般的な導入プロセスの例をステップ別に紹介します。
ステップ1:課題の洗い出しと導入目的の明確化
まずは、契約業務における現状の課題やニーズを社内で洗い出します。営業担当、契約書管理をする事務担当、決裁を行う管理職など契約に関わるメンバーから幅広くヒアリングし、「印紙代コストを削減したい」「契約書の保管場所が不足している」「締結まで時間がかかりすぎている」など具体的な悩みをリストアップしましょう。
それにより電子契約導入の目的(コスト削減、効率化、コンプライアンス強化等)を明確にできます。目的が定まれば、後のステップで関係者の合意形成もしやすくなります。
契約書管理が「できない」と感じるよくある課題については『契約書の管理ができない…よくある課題とシステム導入までの流れを徹底解説』をご覧ください。
ステップ2:電子契約システムの情報収集と比較検討
次に市場にどんな電子契約サービスがあるか情報収集します。現在電子契約サービスは国内外に多数ありますが、自社規模や業種で導入実績の多いもの、有名な大手サービスを中心に候補を絞るとよいでしょう。
各社の公式サイトや資料請求で機能・料金を確認し、ステップ1で洗い出した自社課題を解決できそうか、セキュリティは充分か、操作は簡単そうか、といった観点で複数サービスを比較検討します。可能であれば無料トライアルを利用して実際の使用感も確かめましょう。
この比較検討フェーズで、自社に最も合致するサービスがおおよそ見えてくるはずです。
ステップ3:予算と導入スケジュールの決定、社内承認
導入候補が決まったら、具体的な導入コストを試算します。各サービスの料金プランを踏まえ、例えば年間○件の契約を電子化すると年間費用はいくらになるか算出しましょう。紙契約にかかっていた印紙代・郵送費・人件費の削減額も試算し、費用対効果を数値化できるとベストです。その上で、経営層や関係部署に予算承認を得ます。
併せて導入プロジェクトのスケジュールも立てましょう。「いつから運用開始したいか」「トライアル期間はいつまでか」「契約書テンプレート整備にどのくらい時間を要するか」など逆算し、余裕を持った計画を作成します。特に取引先との調整や社内規程の変更が必要な場合、思った以上に時間がかかるので早め早めの行動が肝心です。
承認プロセスと計画策定が完了したら、本格導入に向けて動き出します。
ステップ4:運用フローの整備と社内周知・研修
電子契約システムを導入すると、これまでの紙契約前提の業務フローに見直しが必要な箇所が出てきます。
例えば社内の稟議・決裁プロセスで紙の契約書に押印・回覧していた場合、電子化後の承認フローをどうするかを決め、必要なら社内規程を改定します。また紙の原本保管ルールも、電子データのフォルダ管理やアクセス権限設定に置き換える必要があります。
こうした新しい業務フローを確立したら、現場の担当者への周知徹底と研修を行いましょう。いきなり「来月から電子契約です」と通達しても現場が戸惑うだけなので、説明会でシステムの使い方をデモしたり、マニュアルを配布して操作手順を共有することが重要です。現場から出る質問や不安にも答え、社内で円滑に電子契約が受け入れられるようフォローします。
この準備に手間はかかりますが、導入効果を最大化するための大切なプロセスです。
ステップ5:取引先への説明・合意取得と運用開始
最後に、電子契約でやりとりする取引先に対しても導入の旨を連絡します。主要な取引先には事前に「今後、弊社との契約手続きを電子契約システムで行いたい」と説明し、了承を得ましょう。必要に応じて、先方社内向けの説明資料やマニュアルを提供すると親切です。
取引先によっては電子契約自体が初めての場合もあるため、丁寧なサポートが信頼関係維持にもつながります。下請取引など法律上承諾が必要なケースでは、書面(メール等)で構わないので電子契約への同意を明確に記録しておくと安心です。
そのうえで試験的に1件契約してみて問題なく締結できれば、本格的に電子契約運用へ移行します。一部の契約先とは従来通り紙で行う場合も残るかもしれませんが、無理のない範囲で電子契約の範囲を広げていきましょう。
運用開始後も定期的に効果検証し、契約件数あたりのコスト削減額や締結所要日数の短縮効果などを測定して、社内で成果を共有すると良いでしょう。
電子契約に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 電子契約は本当に法的に有効ですか?紙の契約書と同じ効力がありますか?
A.はい、適切に電子署名が施された電子契約書は紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。
2001年施行の電子署名法により、本人が電子署名した電子文書は本人が署名押印した書面と同様に有効と推定されると定められています。ただし、法律上紙での締結が義務づけられている一部契約(前述の不動産契約など)は電子では無効となる場合があるため注意しましょう。それ以外の一般的な商取引契約であれば電子契約で問題なく法的効力が認められます。
Q2. 電子契約でも収入印紙は必要でしょうか?
A.必要ありません。
収入印紙税は紙の契約書に課される税金であり、電子データで契約を締結した場合は課税文書に該当しないため印紙を貼る必要がありません。したがって、電子契約に移行すれば印紙代のコストはゼロになります。
ただし、契約書をプリントアウトして紙で交わした場合は従来通り印紙税が必要なので、「完全に電子上で契約を完結させる」ことが条件です。電子契約ならではの大きな経済的メリットと言えるでしょう。
Q3. 電子契約をするには、相手方も同じ電子契約システムを使っていないといけませんか?
A.同じシステムのアカウントを持っていなくても契約可能です。
多くの電子契約サービスでは、自社が契約書を送信すると相手方にはメールで通知が届き、メール内のリンクをクリックすればウェブ上で契約書を確認・署名できる仕組みになっています。相手方はそのリンク先で電子署名をするだけで契約締結が完了し、署名完了後の契約書PDFが双方に提供されます。
相手にとって特別な登録作業や費用負担なしに契約できるため、電子契約未導入の取引先とも問題なく締結可能です。ただし、サービスによっては相手にもアカウント作成を促すものもあるため、事前に取引先へ電子契約の方法を説明しておくとスムーズでしょう。
Q4. 電子契約システムの導入費用や月額料金はどのくらいかかりますか?
A: サービスやプランによって幅がありますが、中小企業向けの主要サービスであれば月額数千円〜数万円程度が一般的です。
たとえばクラウドサインやGMOサインのスタンダードプランで月2〜3万円前後、freeeサインの安価なプランなら月数千円程度から利用できます。契約件数やユーザー数に応じてプラン料金が変動する場合もあります。また、GMOサインのように月数件まで無料で使えるプランを提供しているサービスもあります。
導入初期費用は不要なクラウドサービスがほとんどですが、オンプレミス型(自社サーバー設置型)だと数百万円規模の初期投資が必要なケースもあります。
自社の契約件数に合った料金プランを選べば、紙の契約にかかっていた印紙代・郵送代より安くなることも多いです。各サービスの料金プランを比較し、総契約コスト削減額とのバランスで判断しましょう。
Q5. 紙の契約書はどう扱えばいいですか?これまでの契約書を電子化する方法はありますか?
A: 過去の紙契約書を電子データ化(スキャン)して管理すること自体は可能です。
多くの電子契約システムでは、紙で締結済みの契約書PDFをアップロードして台帳管理する機能を提供しています。例えば契約管理専用のシステムや一部電子契約サービスでは、紙契約をスキャンしてタグ付け・検索できるようにする機能があります。
ただし、スキャンしただけでは法律的には電子署名が付与されていない単なる画像データなので、そのデータ自体に契約の法的効力が新たに発生するわけではありません。あくまで原本は紙にあり、電子データは管理・閲覧しやすくするためのコピーという位置づけです。
今後締結する契約はできるだけ電子契約に切り替えつつ、既存の紙契約書はPDF化してシステムに登録し、一元管理するとよいでしょう。
紙原本については契約期間中は法的に保存義務がありますが、満了後は廃棄して電子データに集約する運用も検討できます。なお、2022年の法改正で電子データによる契約書保存の要件緩和が進み、紙原本の即時スキャン&破棄もしやすくなっています。
詳細は電子帳簿保存法の規定を確認し、自社のコンプライアンス部門とも相談してください。
まとめ:電子契約システム導入でペーパーレスと業務効率化を実現しよう
ここまで電子契約システムについて幅広く解説してきました。紙の契約書から電子契約へ移行することで、コスト削減・コンプライアンス強化・業務効率化など多くのメリットが得られることがお分かりいただけたでしょう。
もちろん自社に合ったシステムを選ばないと十分な効果は得られませんが、事前に目的を明確にして比較検討すれば、きっと最適なサービスが見つかるはずです。
今後ますますビジネスのデジタル化・ペーパーレス化は加速していくと考えられます。この機会にぜひ電子契約システムの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。初めて導入する際は不明点も多いと思いますが、各サービスとも導入支援のサポートがありますし、分からない点は専門ベンダーに相談することもできます。
電子契約システムは種類が多いため、自社にピッタリのサービスを見極めるには複数製品の情報収集が欠かせません。気になるサービスがあればまず資料を取り寄せ、機能や価格の詳細を比較してみましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修者は記事の内容について監修しています。







