介護施設・事業所では、認知症介護基礎研修の完全義務化をはじめ、虐待防止や感染症対策、業務継続計画(BCP)など、職員に受けさせるべき研修が年々増えています。シフトの合間を縫った集合研修の日程調整や、受講記録の管理に負担を感じていないでしょうか。
こうした法定研修や介護技術の教育を、時間や場所に縛られずに進める手段として、介護職員向けのeラーニングを取り入れる施設が増えています。ただし、介護に特化した完成教材をそのまま配信するサービスから、自施設の手順を動画化して配信できる汎用的な学習管理システム(LMS:Learning Management System)まで、その中身は大きく異なります。
本記事では、介護職員向けeラーニング15サービスを比較します。料金や法定研修コンテンツの対応範囲に加え、受講管理・多言語対応・スマートフォン受講といった観点から、自施設に合うサービスを見つけるための材料を整理しました。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。記事の途中に設置していますので、ぜひこちらもご活用ください。
目次
本記事の対象範囲
本記事では、介護施設・事業所の法定研修や職員教育に使うことを想定した介護職員向けeラーニング15サービスを比較します。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・有料老人ホームなど、高齢者介護の現場で職員研修を仕組み化したい施設を想定した内容です。
介護に特化した完成教材を持つサービスを中心に、自施設の手順を教材化して配信できる汎用的なLMSも取り上げます。介護分野に限らず、全社的なビジネス研修や人材育成まで含めてeラーニングを広く比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
なぜ今、介護施設にeラーニングが必要か|認知症介護基礎研修の完全義務化
ここでは、介護施設でeラーニングの導入が広がっている背景を、制度面から確認します。
大きな契機となったのが、認知症介護基礎研修の完全義務化です。介護保険サービスの運営基準を定める省令では、医療・福祉の国家資格を持たない職員に、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させることが事業者に義務づけられています。訪問入浴介護を例にとると、次のように定められています。
その際、当該指定訪問入浴介護事業者は、全ての訪問入浴介護従業者(看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者その他これに類する者を除く。)に対し、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない。
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第53条の2第3項|e-Gov法令検索
この規定は、当初は経過措置により努力義務にとどまっていました。省令の附則で、施行の日から令和6年3月31日までは「講じなければならない」を「講じるよう努めなければならない」と読み替える措置が設けられていたためです。
第五条 この省令の施行の日から令和六年三月三十一日までの間、(各サービス種別の該当条項は中略)の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」とする。
出典:平成11年厚生省令第37号 附則(令和3年厚生労働省令第9号による改正)第5条|e-Gov法令検索
この経過措置が令和6年3月31日で終わり、翌日の2024年4月1日から本来の義務規定が全面的に適用されました。これが「2024年4月の完全義務化」と呼ばれるもので、無資格で介護に従事する職員を計画的に受講させる運用が、すべての対象事業所に求められています。
認知症介護基礎研修そのものは、認知症介護研究・研修センター(仙台・東京・大府)が運営する公式のeラーニングで受講できます。受講言語は日本語・やさしい日本語・英語・ベトナム語など9言語に対応し、字幕・音声ガイド付きで学べる仕組みです。外国人スタッフを雇用する施設でも、母語に近い言語で受講を進めやすくなっています。
義務化されているのは認知症介護基礎研修だけではありません。虐待の防止、感染症の予防及びまん延の防止、BCP(業務継続計画)に関する研修などは、運営基準で定期的な実施が求められています。研修項目が増える一方で、職員のシフトは不規則で、集合研修の日程を全員分そろえるのは容易ではありません。eラーニングは、受講のタイミングを職員ごとにずらせるため、この日程調整の負担を軽くする手段として広がっています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)
- 参考資料:認知症介護基礎研修eラーニング|認知症介護研究・研修仙台センター(https://kiso-elearning.jp/)
介護職員向けeラーニングとは|できること・主な機能
ここからは、介護職員向けeラーニングで何ができるのか、その基本像と主な機能を整理します。
介護職員向けeラーニングは、法定研修・介護技術・接遇やリーダー育成といった階層別研修などの学習コンテンツを、インターネット経由で職員に配信し、受講状況をまとめて管理する仕組みです。多くのサービスがパソコン・タブレット・スマートフォンに対応し、1本5分から15分程度の短い動画で構成されているため、業務の合間や移動時間にも受講しやすくなっています。
主な機能は、大きく「学習コンテンツの配信」と「受講管理」の2つに分かれます。前者は、介護に特化した完成教材をそのまま使えるものや、自施設で作った動画・スライドを配信できるものがあります。後者は、誰がどの研修をどこまで受講したかを職員単位・拠点単位で記録し、未受講者の把握や受講履歴の出力を可能にする機能です。
この受講管理は、単なる進捗の見える化にとどまりません。運営指導(旧・実地指導)では、研修が定期的に実施されているかが確認対象になり、準備すべき書類は原本が想定されています。受講履歴を記録・出力できるサービスであれば、研修を実施した記録を証跡として示しやすくなります。
介護eラーニング導入のメリットと注意点
導入を検討する前に、eラーニングで得られる効果と、運用で気をつけたい点の両面を押さえておきます。
導入のメリット
最大の利点は、研修を受けるタイミングを職員ごとに分散できることです。夜勤や早番・遅番が入り混じる介護現場では、全員を同じ時間に集めるのは負担が大きく、集合研修のために人員配置を調整する必要もありました。eラーニングなら、各自が空いた時間に受講できるため、シフトへの影響を抑えられます。
教育内容を標準化できる点も見逃せません。指導する職員によって教え方や伝わり方に差が出ていた研修も、同じ教材を全員が視聴することで、施設全体で一定の水準に揃えやすくなります。受講履歴が自動的に残るため、記録の作成や未受講者への声かけといった管理業務の手間も減らせます。
導入前に押さえたい注意点
一方で、動画を再生しただけで「受講済み」にできる運用では、内容が身につかないまま形式的に消化されてしまう懸念があります。理解度を確認する小テストや、視聴後の振り返りをどう組み込むかは、導入時に検討しておきたい点です。
また、既成の教材が自施設の実際の手順やマニュアルと食い違う場合、現場では使いにくいと感じられることがあります。複数拠点を運営する法人では、拠点ごとの受講状況をまとめて把握できるかどうかも、あらかじめ確認しておくと安心です。導入すること自体が目的化しないよう、何をどの職員に受けさせ、どう定着させるかまで見据えて選ぶことが大切です。
教材の作り方で選ぶ3タイプ
介護職員向けeラーニングは、学習教材をどう用意するかによって、大きく3つのタイプに分かれます。「完成した介護研修教材をそのまま使いたいのか」「自施設の手順まで教材化したいのか」で、適したタイプが変わります。

既成の介護研修コンテンツをそのまま使いたいタイプ
介護に特化した完成教材があらかじめ収録されており、契約後すぐに研修を始められるタイプです。法定研修や介護技術、認知症ケアなどの動画が体系的にそろっているため、教材を自前で用意する手間がかかりません。研修の企画・制作にかけられる時間や人手が限られている施設に向いています。
既成+自社制作を組み合わせたいタイプ(ハイブリッド)
介護向けの既成教材に加えて、自施設で用意した手順書やマニュアルを教材として配信できるタイプです。法定研修は完成教材でまかない、現場固有のケア手順や独自ルールは自作の動画で補う、といった使い分けができます。標準的な研修と現場ごとの教育を1つの仕組みにまとめたい施設に適しています。
自社制作コンテンツ中心タイプ(汎用LMS+教材制作)
介護に特化した既成教材は持たず、自施設で作成した動画やスライドの配信と受講管理を主軸にする汎用的なLMSです。介護の法定研修教材は自前で用意する前提になりますが、現場の手順をスマートフォンで撮影して動画マニュアル化できるものや、幅広いビジネス研修コンテンツを備えたものもあります。教育内容を自施設で作り込みたい法人や、介護以外の研修もまとめて運用したい施設が候補にできます。
失敗しない選び方|5つの評価軸
ここからは、介護職員向けeラーニングを選ぶときに確認したい5つの評価軸を解説します。自施設の状況に当てはめながら読み進めてください。
料金は施設規模に見合っているか
料金体系は、1事業所あたりの月額固定型と、1人あたり(1ID単位)の月額型に大きく分かれます。職員数が多い施設では1人あたり型だと総額がふくらみやすく、逆に少人数の事業所では事業所固定型のほうが割高になることもあります。初期費用の有無とあわせて、自施設の職員数で試算し、年間の総コストで比較することが重要です。
法定研修コンテンツはどこまで対応しているか
認知症介護基礎研修や虐待防止、感染症対策、BCPなど、義務づけられた研修の教材がそろっているかは重要な確認点です。既成コンテンツ型のサービスでも、対応する法定研修の範囲や動画の本数はまちまちです。自施設で必ず実施しなければならない研修が、そのサービスの教材でカバーできるかを、契約前に一覧で照らし合わせておきましょう。
受講管理・受講履歴を証跡として出せるか
運営指導では、研修の実施状況が確認対象になります。職員単位・拠点単位で受講履歴を記録し、CSVなどで出力できるサービスであれば、研修を実施した記録を証跡として提出しやすくなります。誰が未受講かをひと目で把握できるか、出力形式や保存期間が自施設の運用に合うかまで見ておくと、導入後の管理がスムーズです。
外国人スタッフ向けの多言語に対応しているか
外国人介護職員が在籍する施設では、多言語対応の有無が受講のしやすさを左右します。母語での字幕や音声ガイドがあれば、言葉の壁を下げて研修を進められます。対応言語の数はサービスごとに異なるため、自施設で雇用しているスタッフの母語がカバーされているかを確認しましょう。動画中心の教材は、言葉だけに頼らず視覚的に理解しやすい利点もあります。
介護記録ソフトなど既存システムと連携できるか
すでに介護記録ソフトや勤怠管理システムを使っている場合、受講データや職員情報を連携できると、二重入力の手間を省けます。教育と記録を別々に管理していると、受講状況の集計や実績報告に余分な作業が発生しがちです。連携の可否や範囲はサービスによって差があるため、必要な場合は対応状況を個別に確認してください。
これらの軸のうち、どれをどこまで重視すべきかは施設の規模や体制によって変わります。判断に迷う場合は、以下の診断ツールで条件を選ぶだけで、自施設に合いやすいサービスを絞り込めます。
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【比較表】介護職員向けeラーニング一覧
ここからは、介護職員向けeラーニング15サービスを、先ほどの教材の作り方で分けた3タイプ別に比較します。料金・法定研修コンテンツの対応・受講管理・多言語対応・スマートフォン受講・教材の本数・無料お試しの有無を横断で確認できます。ただし、汎用LMSのタイプは介護の法定研修教材を標準では持たないため、自施設で教材を用意する前提での比較になる点にご注意ください。
既成の介護研修コンテンツをそのまま使いたいタイプ
| サービス名 | 学研介護サポート | サクラボ(SAKURABO) | Dスタ(DM-study) | care hint(ケアヒント) | Waculba(ワカルバ) | 動画でOJT〔介護〕 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社学研メディカルサポート | 株式会社日本教育クリエイト | ドクターメイト株式会社 | 株式会社ベネッセスタイルケア | 株式会社日本経営 | エヌ・エイ・アイ株式会社 |
| 料金(初期・月額) | 初期費用 要問い合わせ 月額 9,000円〜(3ID)/19,800円(100ID)・税別 | 初期費用 要確認 受講者 500円/ID・月〜(税別) | 初期費用 要問い合わせ 月額 要問い合わせ | 初期費用 要確認 1事業所 月額2,800円〜(税別) | 初期費用 11,000円〜 月額 37,400円〜(法定研修パック。ライトプラン22,000円〜/3ID共有・税込) | 初期費用 要確認 1ID 月額825円〜 |
| 法定研修コンテンツ | ●(公式に対応と明記) | ●(認知症・虐待防止・身体拘束禁止等) | ●(集団受講で10分野に対応) | ●(公表制度の14種をカバー) | ●(法定研修パック・全14教科) | ●(法定研修14〜15項目・201本) |
| 受講管理・履歴出力 | △(詳細仕様は要確認) | ●(確認テスト・進捗管理) | ●(管理者ページで受講状況を確認) | ●(個別ID・受講記録を自動保存) | △(個別ID管理はフルプラン) | ●(視聴履歴・テストをCSV出力) |
| 多言語対応 | △(介護外国語版コースを新設) | 英語・ベトナム語・ インドネシア語 | 要確認 | △(英・尼・越を順次追加) | 要確認 | 7言語 (字幕・音声ガイド) |
| スマホ・短尺動画 | ● | ● | ●(1本5分程度) | △(短尺3〜5分。スマホ対応は要確認) | 要確認 | ●(スマホ対応) |
| 教材本数 | 講義268+動画55テーマ | 800種類超(介護版) | 要問い合わせ | 約500本 | 法定研修 全14教科ほか | 全539本 |
| 無料お試し・資料 | デモ講義・資料請求あり | 最大1ヶ月お試し無料 | 動画体験・資料請求あり | 要確認 | ライトプランミニ(短期) | 7日間無料視聴 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
既成+自社制作を組み合わせたいタイプ(ハイブリッド)
| サービス名 | ジョブメドレーアカデミー | CareBase(ケアベース) | E care labo(イーケアラボ) |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社メドレー | 株式会社WILL GROUP | 株式会社ツクイスタッフ |
| 料金(初期・月額) | 初期費用 要問い合わせ 基本料金 年108,000円〜(税別) | 初期費用 要問い合わせ 1施設 月額30,000円〜(セット45,000円) | 初期費用 要確認 月換算 4,150円〜(年契約・税抜。公式は要確認) |
| 法定研修コンテンツ | ●(感染症・身体拘束・BCP等) | ●(研修実施記録を自動保存) | ●(加算要件・BCP・虐待防止) |
| 受講管理・履歴出力 | ●(受講状況・CSV出力) | ●(進捗率・修了バッジ) | △(進捗管理はeラーニングプラン) |
| 多言語対応 | 10言語の動画オプション | ●(コンテンツをAI翻訳) | 要確認 |
| スマホ・短尺動画 | ●(1本約5分・専用アプリ) | ●(スマホ・タブレット対応) | ●(1本約5分) |
| 教材本数 | 5,900本以上(介護向け) | 要問い合わせ | 2,000本以上 |
| 無料お試し・資料 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料トライアルあり |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
自社制作コンテンツ中心タイプ(汎用LMS+教材制作)
| サービス名 | AirCourse | Smart Boarding | learningBOX | Schooビジネスプラン | ABILI Clip | tebiki現場教育 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | KIYOラーニング株式会社 | 株式会社FCE | learningBOX株式会社 | 株式会社Schoo | ClipLine株式会社 | Tebiki株式会社 |
| 料金(初期・月額) | 初期費用 0円 月額 300円/ID〜(税抜・年契約) | 初期費用 要問い合わせ 月額 32,400円〜(30ID・年契約) | 初期費用 0円 無料プランあり/有料 月額5,500円〜(税込) | 初期費用 110,000円(税抜) 月額 1,650円/ID〜(20ID〜) | 初期費用 要問い合わせ 月額 要問い合わせ | 初期費用 要問い合わせ 月額 要問い合わせ |
| 法定研修コンテンツ | ×(介護法定研修は自作前提) | ×(介護法定研修は自作前提) | ×(介護法定研修は自作前提) | ×(介護法定研修は自作前提) | △(基本教材あり・法定研修は要確認) | ×(既成教材なし・自作前提) |
| 受講管理・履歴出力 | ●(進捗レポート・組織階層管理) | ●(修了証・CSV入出力) | ●(成績・進捗管理) | ●(部署・チーム単位・CSV抽出) | ●(試験・実行報告・レポート) | ●(スキルマップ・教育履歴) |
| 多言語対応 | 要確認 | 要確認 | △(管理画面UIは多言語。教材の自動翻訳は不可) | 要確認 | 要確認 | ●(100カ国語以上に自動翻訳) |
| スマホ・短尺動画 | ● | ● | 要問い合わせ | ●(アプリ対応) | ●(スマホ撮影で教材化) | ●(スマホ撮影で教材化) |
| 教材本数 | 1,300コース・8,000本超 (汎用コンテンツ) | 400種類以上 (汎用コンテンツ) | 自作教材が中心 | 9,000本以上 (汎用コンテンツ) | 自作動画が中心 | 自作動画が中心 |
| 無料お試し・資料 | フリープランあり(期限なし) | 14日間無料トライアル | 無料プランあり(10アカウント) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料トライアルあり |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
法定研修の主要項目とeラーニングでの対応
介護施設で実施が求められる研修は多岐にわたりますが、運営基準(省令)が「研修(及び訓練)の定期的な実施」を明文で義務づけている項目と、別の性格の義務・推奨として位置づけられる項目が混在します。ここでは主要な研修テーマについて、義務の性質とeラーニングでの受講可否を整理しました。

| 研修項目 | 認知症介護基礎研修 | 虐待の防止 | 感染症・食中毒の予防及びまん延の防止 | 業務継続計画(BCP) | 身体的拘束等の適正化 | 事故発生の防止 | 緊急時対応・非常災害時対応 | 衛生管理・健康管理 | ハラスメントの防止 | 接遇・倫理・法令遵守 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 研修義務の性質 | 全サービスで受講が義務(無資格職員が対象) | 全サービスで定期研修が義務 | 全サービスで定期研修・訓練が義務 | 全サービスで定期研修・訓練が義務 | 身体拘束が想定されるサービス種別で研修が義務 | 施設系は研修が義務/訪問系は対応・記録が義務 | 対応体制・避難訓練等が求められる(定期研修の明文義務ではない) | 管理義務(感染症研修を除き定期研修の明文義務ではない) | 方針の明確化等の措置義務(定期研修の明文義務ではない) | 推奨・任意の教育テーマ(省令上の研修義務ではない) |
| eラーニングでの対応 | 公式eラーニングで受講可(9言語対応) | 多くの介護特化サービスが教材を収録 | 多くの介護特化サービスが教材を収録 | 介護特化サービスで教材化が進む | 施設・特定施設向け教材として収録 | リスクマネジメント教材として収録 | 座学部分を教材で補完可 | 関連教材で補完可 | 啓発・研修教材として収録するサービスあり | 階層別・接遇教材として広く収録 |
※研修義務の性質は運営基準(省令)にもとづく一般的な区分です。義務の適用はサービス種別により異なるため、自施設に適用される基準をご確認ください。
認知症介護基礎研修・虐待の防止・感染症の予防及びまん延の防止・BCPは、原則すべての介護保険サービスで定期的な研修(BCPと感染症は訓練を含む)が義務づけられています。一方で、身体的拘束等の適正化や事故発生の防止は、対象となるサービス種別が限られます。
緊急時対応・衛生管理・ハラスメント防止・接遇などは、研修そのものが省令で一律に義務化されているわけではありません。自施設に適用される基準を確認したうえで、教育テーマとして取り入れるかを判断するとよいでしょう。
各サービスが実際にどの研修に対応しているかは、上の比較表の「法定研修コンテンツ」列と、各サービスの個別紹介で確認できます。BCPや感染症の予防のように訓練の実施まで求められる項目は、動画の受講だけでは完結しない点にも留意してください。
出典・参考資料(3件)
- 出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)
- 出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039)
- 参考資料:介護保険施設等運営指導マニュアル|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)
サービス個別紹介
ここからは、比較した15サービスを教材の作り方のタイプ別に個別紹介します。各サービスの特徴・料金・法定研修への対応を確認し、気になるサービスは公式資料で詳細をチェックしてください。
既成の介護研修コンテンツをそのまま使いたいタイプ
介護に特化した完成教材を備え、導入後すぐに法定研修や介護技術の学習を始められるサービスです。
1. 学研介護サポート(株式会社学研メディカルサポート)

学研介護サポートは、学研ホールディングスグループの株式会社学研メディカルサポートが提供する、介護施設・事業所向けの職員研修eラーニングです。新人職員から管理者までを対象に、講義型268テーマと動画型55テーマを収録し、介護基礎・介護実践・管理者・施設全体研修・介護技術動画ライブラリなどのコース区分で体系化しています。
公式サービスページでは、法定研修や介護報酬改定に対応したテーマを備えると説明されています。教材は東京福祉専門学校副学校長の白井孝子氏、日本介護福祉士会会長の及川ゆりこ氏が監修し、パソコン・スマートフォン・タブレットで受講できます。
料金は100IDで月額19,800円、300IDで月額59,800円(いずれも税別)、3IDの集合研修プランは月額9,000円からです。看護職員向けの姉妹サービス「学研ナーシングサポート」のID保有者は、月額10,000円で併用できるため、看護・介護を併設する施設では追加費用を抑えて導入しやすい料金設計になっています。
2. サクラボ(SAKURABO)(株式会社日本教育クリエイト)

サクラボ(SAKURABO)は、介護福祉専門校の三幸福祉カレッジを運営する株式会社日本教育クリエイトが手がける動画学習サービスです。介護版では800種類を超える研修動画を用意し、法定研修・介護技術研修・階層別ヒューマンスキル研修の3領域をカバーします。
動画は同校の講師陣が監修し、認知症ケアや虐待防止、身体拘束禁止などの法定研修から、移動・移乗といった介護技術まで扱います。確認テストによる習熟度チェックや受講状況の管理機能に加え、自社で作成した動画・資料をサクラボ内に配置して一元管理することもできます。外国人材向けに英語・ベトナム語・インドネシア語のコンテンツも用意されています。
料金は受講者IDが月額500円、管理者IDが月額5,000円(いずれも税別)で、10名の利用なら月額5,000円から始められる従量課金型です。最低契約期間は6ヶ月で、最大1ヶ月間はお試し用の動画を無料で視聴できます。
3. Dスタ(DM-study)(ドクターメイト株式会社)

Dスタ(DM-study)は、介護施設向けに医師・看護師による医療相談やオンコール代行を手がけるドクターメイト株式会社の教育サービスです。相談対応で蓄積した約30,000件の実例データをもとに、現場で必要とされる介護・医療テーマの動画教材を制作している点に特徴があります。
動画は医師・看護師・元介護職員が監修し、1本5分程度で視聴できます。管理者専用ページから全職員の受講状況を確認でき、キャリア段階に応じたレベル別パッケージは人事考課への応用も想定されています。QRコードやURLで受講者を集めて実施する集団受講機能は、虐待防止・感染症予防・認知症ケア・災害対応など10分野に対応します。
パソコン・タブレット・スマートフォンで利用でき、導入は最短2週間程度とされています。料金は公式サイトで公開されておらず、初期費用・月額とも問い合わせが必要です。Dスタ単体では約600施設への導入支援実績があります。
4. care hint(ケアヒント)(株式会社ベネッセスタイルケア)

ケアヒント(care hint)は、介護事業を30年運営してきた株式会社ベネッセスタイルケアが2025年3月にリリースした、介護事業者向けの動画eラーニングです。自社の介護運営で培った知見・事例をもとに、約500本の動画コンテンツを制作しています。
動画は3〜5分の短尺が中心で、スキマ時間での学習を想定しています。介護技術の動画は6台のカメラで多角的に撮影されており、「介護サービス情報の公表」で開示される14種類の法定研修をカバーするとされています。職員ごとに個別IDを発行し、学習進捗や法定研修の受講記録を自動で保存できます。
料金はリリース時点で1事業所あたり月額2,800円(12ヶ月一括払い・税別)から3,000円(毎月払い・税別)で、職員数にかかわらず事業所単位の定額で利用できる設計です。多言語コンテンツや提供エリアはリリース以降に変わる可能性があるため、最新の内容は公式サイトで確認してください。
5. Waculba(ワカルバ)(株式会社日本経営)

Waculba(ワカルバ)は、医療・介護福祉業界専門のコンサルティング会社である株式会社日本経営が運営するeラーニングシステムです。自社のコンサルティングノウハウを教材化し、病院・クリニックから介護福祉施設まで、新入職員から管理職・経営幹部までの階層別研修を提供します。
介護施設向けには「Waculbaスマイル介護福祉」というラインナップがあり、認知症ケアや高齢者虐待防止、感染症・食中毒予防などをまとめた法定研修パックを用意しています。フルプランでは職員ごとのIDで受講状況を個別に管理でき、月次開催のオンライン双方向研修「Waculbaゼミ」と組み合わせた学習設計を採っています。導入実績は約100法人・約400施設とされています。
料金プランは複数あり、介護事業向け法定研修パックは初期費用11,000円・月額37,400円(税込)、機能を絞ったライトプランは初期費用11,000円・月額22,000円から、全機能のフルプランは初期費用110,000円・月額55,000円からです。ライトプランと法定研修パックは事業所内3IDでの共有視聴となる点は、職員数が多い施設では確認しておきたいポイントです。
6. 動画でOJT〔介護〕(エヌ・エイ・アイ株式会社)

動画でOJT〔介護〕は、エヌ・エイ・アイ株式会社のバイリンガルサポート事業部が制作・販売する動画教材型eラーニングです。実技動画・法定研修動画・アニメ座学動画の3種類で構成され、日本語を含む7言語(英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・クメール語・中国語)の字幕・音声ガイドに対応する点が特徴です。
法定研修編は、認知症ケアや感染症予防、身体拘束の排除、BCP(事業継続計画)など14〜15項目・201本の動画を収録しています。受講管理では、職員ごとの視聴履歴や理解度テストの合格状況をCSV形式で出力でき、漢字へのルビ振りや倍速視聴にも対応します。施設独自の研修動画を追加制作するオプションもあります。
公式サイトの現行表示では、1IDから月額825円で全539本の動画が見放題となり、施設単位の契約はボリュームディスカウントの相談が可能です。7日間の無料視聴も用意されています。料金は出典によって表記に幅があるため、契約前に公式サイトで最新のプランを確認してください。
既成+自社制作を組み合わせたいタイプ(ハイブリッド)
既成の介護教材に加えて、自施設で用意した手順やマニュアルも教材化できるサービスです。
7. ジョブメドレーアカデミー(株式会社メドレー)

求人サイト「ジョブメドレー」を運営する株式会社メドレーが提供する、介護・障がい福祉・看護などの分野に向けたオンライン動画研修サービスです。受講者数は330,000名以上(2026年1月時点、公式サイト表記)に上り、介護向けには5,900本以上の講義動画がそろっています。1本あたり約5分の短尺で、勤務の合間にも受講しやすい構成です。
既成の講義動画に加えて、事業所独自のオリジナル動画を追加配信できる有料オプションがあり、法定研修は完成教材で、現場固有の手順は自作動画で補う運用ができます。ベトナム語・英語など10言語の多言語動画オプションも用意され、外国人スタッフの受講にも対応します。
研修管理の契約者は、2026年1月に加わった勤怠・シフト管理機能を追加費用なしで利用できます。料金は職員数や契約プランによって変わるため、詳細は公式サイトで確認してください。
8. CareBase(ケアベース)(株式会社WILL GROUP)

介護記録とマニュアル(教育コンテンツ)を同じ基盤で扱う「記録・マニュアル一体型クラウドシステム」です。運営は東証プライム上場の株式会社WILL GROUP。日々の記録を入力するタイミングで、関連するケア手順やマニュアルを自動で提示する連携機能を備えます。
法定研修は研修実施記録が自動で保存され、虐待防止や感染症・食中毒の予防、身体拘束の適正化、事故発生の防止などに対応します。施設独自のマニュアルを動画・画像・テキストで作成できるため、義務研修を既成教材で押さえつつ、現場固有の手順を自作で補う使い方ができます。
コンテンツのAI翻訳による多言語対応で、外国人スタッフの教育にも使えます。料金はマニュアルまたは記録システム単体で1施設あたり月額30,000円、両方のセットで45,000円(2026年8月時点の導入応援キャンペーン価格)で、初期費用や無料お試しの有無は公式サイトで確認してください。
9. E care labo(イーケアラボ)(株式会社ツクイスタッフ)

1本あたり約5分のマイクロラーニング形式を軸にした、介護職員向けの動画研修eラーニングです。提供元は介護大手ツクイグループで人材・教育研修を担う株式会社ツクイスタッフで、グループ内の研修運用で培ったコンテンツをベースにしています。
法定研修に加え、処遇改善加算や特定事業所加算などの加算取得の要件となる研修、BCPや虐待防止といったテーマをカバーし、研修計画の立案から報告書の作成までを一元管理できます。自社で用意したオリジナル動画をアップロードして配信できるため、既成教材と現場独自の教材を組み合わせて運用できます。
プランは、進捗管理や報告書の出力に対応する「eラーニングプラン」と、動画視聴に特化した「みるだけプラン」の2種類です。進捗管理や証跡の出力が必要かどうかでプランが分かれるため、自施設の運用に合わせて選べます。料金や無料トライアルの詳細は公式サイトで確認してください。
自社制作コンテンツ中心タイプ(汎用LMS+教材制作)
自施設で作成した教材の配信・受講管理を主軸にする汎用的なLMSです。介護の法定研修教材は自前で用意する前提になります。
10. AirCourse(KIYOラーニング株式会社)

KIYOラーニング株式会社が運営するクラウド型のLMSで、動画・スライド・テスト・アンケートを組み合わせた自社オリジナルコースを作成できます。同社は東京証券取引所グロース市場に上場しています(証券コード7353)。
公式サイトでは「1,300コース、8,000本以上」の標準コンテンツライブラリを掲げ、コンプライアンス・ITスキル・ビジネススキルなどを収録しています。介護の法定研修に特化した既成教材は持たないため、介護研修は自施設の手順を動画やスライドで教材化して配信する使い方が中心です。組織階層・グループ単位での受講管理や進捗レポートに対応します。
初期費用は0円、ベーシックプランは年間契約一括払い時で1ライセンス月額300円(税抜)からで、契約ライセンス数に応じた段階割引があります。標準コンテンツを含むコンテンツプラスは同500円からです。利用期間に期限のないフリープラン(一部コース・機能に制限あり)で試せます。
11. Smart Boarding(株式会社FCE)

動画教材によるインプットと、ライブ型オンライントレーニングによるアウトプットを組み合わせた、統合型の人財育成プラットフォームです。運営は東京証券取引所スタンダード市場に上場する株式会社FCE(証券コード9564)です。
階層別研修・ビジネススキル・コンプライアンスなど400種類以上の動画コンテンツを備えます。介護の法定研修に特化した既成教材は含まないため、介護研修では自社で撮影・作成した動画をアップロードし、オリジナルコースとして配信する運用になります。受講管理はコース単位の修了証発行、受講者アカウントのCSV一括入出力、進捗・テスト結果の確認に対応します。
契約は30IDからの年間契約で、公式には30ID契約時の月額支払い総額の例として32,400円が示されています(税区分は公式に明示がなく、要問い合わせ)。導入前には、全機能を14日間試せる無料トライアルが用意されています。
12. learningBOX(learningBOX株式会社)

教材作成・問題/テスト作成・採点・成績管理を備えたクラウド型のLMSで、learningBOX株式会社が提供しています。10アカウントまで無期限で無料利用できるフリープランがあり、小規模から導入しやすい料金体系です。
付加サービス「learningBOX ON」を通じて、コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティ・ビジネスマナーなどの既成研修コンテンツを追加できます(コンプライアンス・ハラスメント教材は弁護士監修で無料提供)。介護の法定研修に特化した既成教材は持たないため、介護研修はフリープラン枠や自作教材で組み立てる形になります。QuizGenerator由来の出題機能で確認テストも作成できます。
料金は、フリープランが0円(10アカウント・容量1GB)。11アカウント以上は100アカウント単位の従量課金で、スタータープランが年額33,000円(月額5,500円、いずれも税込)から利用でき、上位プランほど容量やアップロード上限が広がります。
13. Schooビジネスプラン(株式会社Schoo)

自社制作の動画9,000本以上を月額定額で視聴できる、法人向けのオンライン動画学習サービスです。運営は東京証券取引所グロース市場に上場する株式会社Schoo(証券コード264A)です。
DX・マネジメント・コンプライアンスなど20カテゴリの動画に加え、「ナレッジポケット」機能で自社制作の研修動画やPDF資料をアップロードして配信できます。介護に特化したサービスではなく、介護の法定研修を専門にカバーするものではないため、介護固有の研修は自社教材として用意する前提になります。受講状況は全社・部署・チーム単位で可視化でき、CSV抽出やタグによる受講者管理に対応します。
料金は初期費用110,000円(税抜)、月額は1IDあたり1,650円から(20ID以上、契約ID数に応じて最安1,500円まで下がる。いずれも税抜)です。自社教材をアップロードする「ナレッジポケット」は、1GBまで標準機能として無料で使えます。
14. ABILI Clip(ClipLine株式会社)

小売・飲食・介護など多拠点で展開するサービス業向けの、動画を軸にした実行支援システムです。運営はClipLine株式会社です。スマートフォンで撮影した短尺動画をそのまま教材化できます。
マニュアル配信・研修に加えて、本部からの業務指示の伝達や現場の実行報告・双方向フィードバックまでを一つの仕組みで扱えます。介護の基本技術やコミュニケーションに関する基本コンテンツも用意されていますが、法定研修への対応範囲は公式に明示されておらず、詳細は要問い合わせです。
介護大手のSOMPOケアが全事業所(約1,000拠点・従業員約20,000人)に導入し、動画コンテンツ4,000本以上を格納していることを公表しています。
料金は非公開で、店舗数・アカウント数・必要機能に応じた個別見積もり(要問い合わせ)です。専属の映像制作チームによる動画教材の制作代行にも対応しています。
15. tebiki現場教育(Tebiki株式会社)

現場のOJT(実地研修)をスマートフォンやタブレットで撮影し、動画マニュアルとして作成・共有・管理できるクラウド型の動画教育プラットフォームです。運営はTebiki株式会社です。
音声を自動で文字起こしして字幕を生成し、100カ国語以上への自動翻訳にも対応するため、外国人スタッフの多い現場でも活用しやすい設計です。既成の介護法定研修コンテンツは搭載せず、自施設の手順を撮影・編集して教材化する自社制作型のツールで、法定研修用の動画も自前で用意する運用になります。スキルマップ機能では、誰がどの技術を習得済みかを部署・部門単位で可視化できます。
料金は利用規模に応じた個別設定で非公開(要問い合わせ)、プランはエントリー・ビジネス・エンタープライズの3種類です。社会福祉法人若竹大寿会では、各拠点に分散していた紙のマニュアルを動画に集約し、拠点間で統一した基準を共有する用途で使われています。
費用相場|施設規模別・料金モデル別の目安
ここでは、介護職員向けeラーニングの費用感を、料金モデルと施設規模の観点から整理します。
料金モデルは、1事業所あたりの月額固定型と、1人あたり(1ID単位)の月額型の2つが主流です。事業所固定型は、職員数が多いほど1人あたりの負担が下がるため、数十名規模の施設に向いています。1人あたり型は、少人数の事業所なら総額を抑えやすい一方、大規模な法人では人数分が積み上がるため、職員数によって有利なモデルが変わります。
介護特化の既成コンテンツ型では、1事業所あたり月額数千円程度から利用できるサービスもあり、初期費用がかからないものも見られます。汎用LMSでは、1IDあたり月額数百円から千数百円程度に加え、初期費用が必要になるケースがあります。
職員50名の施設で試算すると、1人あたり月額500〜1,500円のサービスなら月額25,000円〜75,000円が目安です。事業所定額型なら規模に大きく左右されず、月額数千円〜数万円に収まることが多くなります。100名を超える規模では、人数分が積み上がる1人あたり型よりも、定額型のほうが1人あたりの単価を抑えやすくなります。
実際の金額は職員数・契約プラン・オプションによって変わるため、複数サービスから見積もりを取り、年間の総額で比較することをおすすめします。無料トライアルや資料請求を用意しているサービスも多いので、操作性やコンテンツを試してから判断すると失敗が少なくなります。
無料・公式教材と有料LMSの使い分け
「まずは無料で始められないか」と考える施設も多いため、無料や公式の教材で足りる範囲と、有料サービスが必要になる範囲を整理します。
認知症介護基礎研修は、認知症介護研究・研修センターの公式eラーニングで受講できる仕組みが整っており、これ自体は所定の手続きで利用できます。また、介護事業所向けに必須研修の動画や資料を無料で配布している事業者もあり、最低限の教材を無料でそろえること自体は可能です。
ただし、無料の教材は、受講状況の一元管理や履歴の出力、複数拠点をまたいだ運用までは想定していないことがほとんどです。誰がどこまで受講したかを職員単位で記録し、運営指導に備えて証跡として残す、複数の施設を本部でまとめて管理する、といった運用が必要になると、受講管理機能を備えた有料のサービスが選択肢になります。
まず公式・無料の教材で受講そのものを始めつつ、管理の負担が増えてきた段階で有料サービスの導入を検討する、という進め方も現実的です。
法定研修をeラーニングで運用する手順とつまずき回避
最後に、eラーニングで法定研修を回すための基本的な流れと、つまずきやすいポイントを確認します。
運用は、おおむね次の流れで進みます。まず、認知症介護基礎研修の対象となる無資格職員をはじめ、どの研修を誰に受けさせるかの対象者を洗い出します。次に、年間の受講計画を立て、職員ごとに受講する研修と期限を割り当てます。受講が始まったら、管理画面で受講率を確認しながら未受講者に声をかけ、最後に受講履歴を出力して、運営指導に備えた記録として保管します。
つまずきやすいのは、受講の「流し見」と、複数拠点での進捗のばらつきです。動画を再生しただけで終わらせないために、理解度を確認する小テストを組み合わせたり、視聴後に現場で振り返る時間を設けたりする工夫が有効です。
複数拠点を運営する法人では、拠点ごとの受講状況を本部でまとめて把握できる管理機能があると、進捗の遅れに早く気づけます。導入前に、こうした運用まで見据えて受講管理機能を確認しておくことが、定着への近道です。
まとめ
介護職員向けeラーニングは、認知症介護基礎研修の完全義務化をはじめとする法定研修を、シフトに縛られず仕組み化する有力な手段です。選ぶ際は、まず教材の作り方(既成・ハイブリッド・自社制作中心)で自施設に合うタイプを見極めます。そのうえで、料金・法定研修コンテンツの対応・受講管理と履歴の出力・多言語対応・既存システムとの連携という5つの軸で比較すると、判断の軸がぶれません。
完成教材をすぐ使いたいのか、自施設の手順まで教材化したいのかによって、適したサービスは変わります。本記事の比較表と診断ツールを手がかりに、まずは気になるサービスの資料請求や無料トライアルから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 介護職員向けeラーニングとは何ですか?
A. 介護職員向けeラーニングとは、法定研修や介護技術・階層別研修などの学習コンテンツをインターネット経由で職員に配信し、受講状況をまとめて管理できる仕組みです。介護に特化した完成教材をそのまま使えるものから、自施設で作った動画やスライドを配信できる汎用的なLMS(学習管理システム)まで幅があり、多くはパソコン・タブレット・スマートフォンで受講できます。
Q. 介護職員向けeラーニングで認知症介護基礎研修に対応できますか?
A. 認知症介護基礎研修は、認知症介護研究・研修センターが運営する公式のeラーニングで受講でき、9言語に対応しています。2024年4月に経過措置が終わって完全義務化され、医療・福祉の国家資格を持たずに介護に従事する職員が対象になります。
市販の介護向けeラーニングにも認知症ケアの教材はありますが、義務としての認知症介護基礎研修そのものは公式eラーニングで受講する仕組みのため、まず対象者を洗い出し、計画的に受講させる運用が必要です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)
- 参考資料:認知症介護基礎研修eラーニング|認知症介護研究・研修仙台センター(https://kiso-elearning.jp/)
Q. 介護職員向けeラーニングの受講履歴は、運営指導(実地指導)の証跡として使えますか?
A. 受講管理機能を備えたサービスであれば、職員単位・拠点単位で受講履歴を記録・出力でき、研修を実施した記録として運営指導に備えられます。運営指導(旧・実地指導)では研修が定期的に実施されているかが確認対象となり、準備する書類は原本(一次資料)が想定されています。CSVなどで出力できるか、出力形式や保存期間が自施設の運用に合うかまで確認しておくと、導入後の管理がスムーズです。
Q. 介護職員向けeラーニングはスマートフォンで受講できますか?
A. 多くのサービスがパソコン・タブレット・スマートフォンに対応しており、1本5分前後の短い動画でシフトの合間にも受講できます。夜勤や早番・遅番が入り混じる介護現場でも、各自が空いた時間に受講できるため、全員を同じ時間に集める集合研修に比べて日程調整の負担を抑えられます。
Q. 介護職員向けeラーニングは外国人スタッフでも受講できますか?
A. 多言語対応のサービスであれば、母語や字幕・音声ガイド付きで受講できます。対応言語の数はサービスごとに異なるため、雇用しているスタッフの母語がカバーされているかを確認してください。動画中心の教材は、言葉だけに頼らず視覚的に理解しやすい利点もあります。義務化されている認知症介護基礎研修の公式eラーニングは、9言語に対応しています。
Q. 無料で使える介護職員向けeラーニングはありますか?
A. 認知症介護基礎研修は公式eラーニングを所定の手続きで利用でき、必須研修の動画や資料を無料で配布する事業者もありますが、受講状況の一元管理や履歴の出力、複数拠点をまたいだ運用までは想定していないことがほとんどです。
誰がどこまで受講したかを職員単位で記録し証跡として残す、複数施設を本部でまとめて管理するといった運用が必要になると、受講管理機能を備えた有料サービスが選択肢になります。多くの有料サービスも無料トライアルや資料請求を用意しているため、まず試して操作性やコンテンツを確かめるのが現実的です。
Q. 介護職員向けeラーニングの料金相場はどのくらいですか?
A. 料金は、1事業所あたりの月額固定型と、1人あたり(1ID単位)の月額型に大きく分かれます。介護特化の既成コンテンツ型は1事業所あたり月額数千円程度から利用でき初期費用がかからないものも見られ、汎用LMSは1IDあたり月額数百円から千数百円程度に初期費用が加わる場合があります。職員数によって有利なモデルが変わるため、自施設の人数で試算し、年間の総額で複数サービスを比較しましょう。
Q. 介護職員向けeラーニングだけで、義務づけられた法定研修をすべて対応できますか?
A. 座学で学べる研修の多くはeラーニングで対応できますが、「法定研修」と総称される項目のすべてが省令上の研修義務というわけではありません。運営基準(省令)が研修(及び訓練)の定期的な実施を明文で義務づけているのは、認知症介護基礎研修・虐待の防止・感染症の予防及びまん延の防止・BCP(業務継続計画)・身体的拘束等の適正化のおおむね5項目です。
このうち身体的拘束等の適正化は身体拘束が想定されるサービス種別、事故発生の防止は施設系サービスに対象が限られます。緊急時対応・衛生管理・ハラスメント防止・接遇などは省令上一律の研修義務とはされていません。
BCPや感染症のように訓練が求められるものは動画だけで完結しないため、自施設に適用される基準を確認したうえで、教材の対応範囲を照らし合わせてください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)
- 出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039)
Q. 介護職員向けeラーニングは導入からどのくらいで使い始められますか?
A. 既成の介護研修コンテンツをそのまま使えるタイプなら、最短2週間程度で利用を開始できるサービスもあります。一方、自施設で教材を作成する汎用LMSでは、動画の撮影・編集や受講者の登録に一定の準備期間が必要です。導入スケジュールはサービスや運用体制によって変わるため、義務化対応で受講を急ぐ場合は、契約前に開始までの目安を確認しておきましょう。
Q. 介護職員向けeラーニングは契約前に無料で試せますか?
A. 多くのサービスが無料トライアルやお試し用の動画視聴、資料請求を用意しています。動画の分かりやすさや管理画面の使い勝手、法定研修コンテンツの網羅範囲は資料だけでは把握しにくいため、実際に試してから契約すると導入後のミスマッチを防げます。無料お試しの期間や範囲はサービスごとに異なるので、比較したい候補は同じ観点で試すと判断しやすくなります。
Q. パソコン操作に不慣れな職員でも介護職員向けeラーニングを使えますか?
A. ログインから受講までをシンプルにした画面設計や、導入時の操作サポートを用意するサービスが多く、ITに不慣れな職員でも受講を進めやすくなっています。日頃使い慣れたスマートフォンから受講できるものが多い点も、負担を下げる要素です。管理者側の初期設定や運用に不安がある場合は、導入から運用までのサポート体制の手厚さもあわせて確認しておくと安心です。
Q. 介護職員向けeラーニングは、既成教材と自施設で作った教材を両方使えますか?
A. 既成の介護教材に自施設の手順やマニュアルを組み合わせられるのは、ハイブリッドタイプや自社制作中心の汎用LMSです。法定研修は完成教材でまかない、現場固有のケア手順や独自ルールは自作の動画で補う、といった使い分けができます。
既成コンテンツ専用のサービスでは自作教材を追加できないこともあるため、標準的な研修と現場ごとの教育を1つの仕組みにまとめたい場合は、自社教材の追加配信に対応しているかを確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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