取引先とのFAX・電話・メールでの受発注をExcelに転記する運用に、入力ミスや二重手間を感じていませんか。まずはコストをかけずにシステム化を試したい場合、無料で使い始められる受発注システムが選択肢になります。ただし「無料」と書かれていても、実際にどこまで0円で使えるかはサービスごとに大きく異なります。
とくにBtoBの受発注では、発注側は無料でも受注側は月あたりの件数に上限がある、といった「発注側と受注側で条件が違う」ケースが少なくありません。この非対称な無料条件を理解しないまま選ぶと、運用を始めてから想定外の課金や制限に直面します。
本記事では、無料で使える・無料で試せる受発注システム10サービスを、提供形態別に比較・解説します。各サービスの無料枠の上限(受注件数・ユーザー数・取引先数)や、発注側・受注側で異なる無料条件、無料プランと無料トライアル・フリーソフトの違いまで整理しました。無料で始めたい中小企業の受注・発注担当者が、自社に合うサービスを判断するための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
先に結論だけお伝えすると、ずっと0円で使い続けられる恒常無料プランを持つのはCO-NECT・COREC・MARUGOAT・TANOMU・PlaceOrders・Pittalyの6サービス、無料トライアルや低額で試せるのが@pocket・kintone・TS-BASE 受発注です。それぞれの無料条件の違いは比較表でまとめて確認できます。
目次
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本記事の対象範囲
「無料の受発注システム」と呼ばれるものには、大きく2つの性質があります。1つは取引先とのBtoB受発注(発注・受注のオンライン化)を中核とし、恒常的な無料プランがある、または明示された無料トライアルで試せるもので、予算を抑えて小さく始めたい中小企業・個人事業主が着手しやすいタイプです。本記事で詳しく紹介するのはこのタイプです。
混同しやすいものに、会計・販売管理ソフトがあります。freee販売や楽楽販売にも無料トライアルはありますが、これらは販売管理・会計が主眼で、取引先が発注するBtoB受発注のチャネルを持たないのが一般的です。同じ「無料」でも、取引先とオンラインで受発注できるかどうかは事前に確認しておくと安心です。
無料にこだわらず、有料プランも含めた受発注システム全体から比較検討したい場合は、以下の記事で主要サービスを費用・機能・取引先の使いやすさから解説しています。
無料で使える受発注システムはある?無料でできることと仕組み
ここからは、無料の受発注システムで実際に何ができるのか、その仕組みを確認します。結論として、0円で使い始められる受発注システムは複数あります。多くはクラウド型で、アカウントを登録すればブラウザやスマートフォンからすぐに利用でき、サーバーの用意やソフトのインストールは要りません。
無料で使える範囲
無料プランで中心となる機能は、受発注そのもののオンライン化です。具体的には、取引先からの注文をWeb上のフォームやアプリで受け付ける、発注データをそのまま履歴として残す、注文内容を一覧で管理する、といった業務が0円の範囲で行えます。
これにより、FAXの再送や電話での聞き取り、Excelへの手入力といった作業を減らせます。受注側と発注側が同じ画面で注文内容を確認できるため、「言った・言わない」の行き違いや転記ミスも起きにくくなります。ただし、在庫管理・請求書発行・基幹システムとの連携など発展的な機能は、有料プランでのみ使えることが一般的です。
なぜExcel・FAX管理では限界に近づくのか
Excelとファクスによる受発注は、取引件数が少ないうちは回りますが、件数や取引先が増えると管理が追いつかなくなります。注文書のフォーマットが取引先ごとにバラバラで、転記のたびに読み替えが発生するためです。
手入力が増えれば、品番や数量の打ち間違いも比例して増えます。ファクスの見落としや二重発注が起きると、その確認と修正にさらに時間がかかります。受発注システムを使えば、注文データがそのまま記録されるため、こうした転記や確認の手間を根本から減らせます。無料プランでも、この「脱・手入力」の効果は十分に得られます。
無料で始めるメリット
無料で始める最大の利点は、予算の稟議を待たずに小さく試せることです。導入コストがかからないため、まず一部の取引先だけで運用し、効果を確かめてから社内展開を判断できます。
操作感や取引先の反応を実際に確かめられるのも見逃せません。受発注システムは自社だけでなく取引先にも使ってもらう必要があるため、無料で試せると「相手に受け入れてもらえるか」を導入前に検証できます。効果が数字で見えれば、有料プランへ進む際の社内説明もしやすくなります。
発注側・受注側で異なる「無料」の条件
ここからは、BtoB受発注システムを選ぶうえで最も見落とされやすい「発注側と受注側で無料条件が違う」点を解説します。受発注システムには、注文を出す発注側と、注文を受ける受注側の2つの立場があり、どちらが無料でどちらが課金対象かはサービスによって分かれます。
多いのは、発注側(取引先)が無料で使え、受注側(システムを導入する企業)が主に費用を負担するパターンです。CO-NECTは発注側が無料で、受注側も機能を制限した無料プランから始められ、取引量が増えると有料プランに移ります。TANOMUは飲食店・小売店などの発注側が無料で、卸売業者である受注側が費用を負担します。
PlaceOrdersも発注する飲食店側が無料枠を持ち、受注する食品卸は既存のファクス運用のまま受け取れます。この形は、取引先に「無料だから使ってほしい」と依頼しやすく、取引先を巻き込みやすいのが特徴です。
一方で、発注側・受注側の双方に無料枠や低額プランを用意するサービスもあります。MARUGOATは双方が0円のフリープラン(明細200件/月まで)から始められ、COREC は発注側・受注側それぞれに低額プランと無料枠を持ちます。自社が発注側なのか受注側なのか、そして取引先にどちらの負担が発生するのかを最初に確認しておくと、後の比較を正しく読めます。

次章以降の比較表では、この「発注側の料金」「受注側の料金」を分けて示しています。自社の立場に当てはめながら読み進めてください。
無料版を選ぶときのポイント
ここからは、無料の受発注システムを選ぶ際に確認したい判断軸を整理します。「無料だから」だけで選ぶと、運用を始めてから制限に突き当たることがあります。次の4点を押さえておくと失敗を避けやすくなります。
無料枠の上限を確認する(受注件数・商品登録数・ユーザー数・保存期間)
無料プランには、多くの場合で上限が設けられています。確認したいのは、月あたりの受注・発注件数、登録できる商品数、同時に使えるユーザー数、そして招待できる取引先数です。
たとえば「発注は無制限だが受注は月10件まで」「明細は月200件まで」といった形で、自社の取引量を超えると有料プランが必要になります。自社の月間の受発注件数と取引先数を先に把握し、無料枠の範囲に収まるか、どのくらいで超えるかを見積もっておくと、移行のタイミングを事前に読めます。
無料でもサポートを受けられるか
無料プランでは、サポートの範囲が限られることがあります。有料プランなら電話やチャットで問い合わせできても、無料ではFAQやメールのみ、というケースです。
導入初期は設定や取引先への案内でつまずきやすいため、無料でもどこまで問い合わせできるかを確認しておくと安心です。ITに詳しい担当者が社内にいない場合はとくに、サポート窓口の有無が使い続けられるかどうかを左右します。
取引先にも無理なく使ってもらえるか
受発注システムは、自社だけでなく取引先にも使ってもらって初めて効果が出ます。取引先のITへの慣れには差があるため、相手が無理なく使える仕組みかどうかは重要な判断軸です。
専用アプリのインストールが必要か、それともブラウザやLINEだけで発注できるか、アカウント登録の手間はどの程度かが判断材料になります。たとえばTANOMUは取引先が使い慣れたLINEから発注でき、MARUGOATはゲストユーザー機能で相手が会員登録しなくても招待リンクで受発注できます。取引先が「これなら使える」と感じる導線であれば、導入後の定着が進みやすくなります。
スマートフォンのアプリから発注・受注できるサービスに絞って選びたい場合は、アプリ対応の製品を目的別に比較した以下の記事も参考になります。
無料の落とし穴・隠れコスト
無料プランには、始めてから気づく制約もあります。よくあるのが、データの保存期間や過去履歴の閲覧が制限される、CSVエクスポートや外部連携が有料機能に含まれる、といったパターンです。
また、無料で運用を広げたあとに件数上限へ達し、業務を止められないために急いで有料プランへ移る、というケースもあります。無料で始めること自体は有効ですが、「どこまでが無料で、何が課金の境目になるか」を導入前に把握しておくことが、隠れコストを避ける近道です。判断に迷う場合は、有料へ移行したときの月額も併せて見積もっておくとよいでしょう。
無料で使える受発注システムのタイプ(提供形態別)
無料で使える受発注システムは、2つの軸で整理すると自社に合うものを見分けやすくなります。1つ目の軸は「誰が無料になるか」、2つ目の軸は「無料がどう続くか(提供形態)」です。
軸1:誰が無料になるか。前章のとおり、発注側(取引先)だけが無料のサービスと、発注側・受注側の双方に無料枠があるサービスがあります。自社が発注側か受注側か、取引先にどちらの負担が生じるかで、選ぶべきものが変わります。
軸2:無料がどう続くか。ここには3つの形態があります。恒常無料プランは、機能や件数に上限を設けたうえで期限なく0円で使い続けられる形態です。無料トライアルは、一定期間だけ全機能を無料で試せ、期間後は月額数百円から数千円の有料プランに移ります。
もう1つがフリーソフト・オープンソース(OSS)(Dolibarr ERP CRM や Hydra OMS など)で、ソフト自体は無料ですが、サーバーの構築や保守を自前で行う必要があり、社内にエンジニアがいない中小企業には負担が大きくなりがちです。すぐに使い始めたい場合は、クラウド型の恒常無料プランや無料トライアルの方が現実的な選択になります。

無料で使える受発注システムを30秒で診断
いくつかの質問に答えるだけで、自社の立場や業種に合った無料の受発注システムの候補を絞り込めます。まずはこちらで当たりをつけてから、比較表で詳細を確認してください。
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【比較表】無料で使える受発注システムを比較
ここからは、無料で使える・無料で試せる受発注システム10サービスを一覧で比較します。発注側の料金と受注側の料金を分けて示し、無料枠の上限や取引先の費用負担も併記しました。自社の立場と取引量に当てはめてご確認ください。
| サービス名 | CO-NECT(コネクト) | COREC(コレック) | MARUGOAT(マルゴート) | TANOMU(タノム) | PlaceOrders(プレイスオーダーズ) | Pittaly(ピッタリー) | @pocket(アットポケット) | kintone(キントーン) | TS-BASE 受発注 | DX BtoB Web受発注システム |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | 恒常無料プラン (発注側が無料) | 恒常無料プラン (発注側・受注側とも) | 恒常無料プラン (発注側・受注側とも) | 恒常無料プラン (発注側が無料) | 恒常無料プラン (発注側が無料) | 恒常無料プラン (発注側が無料) | 無料トライアル (恒常無料プランなし) | 無料トライアル (恒常無料プランなし) | 無料トライアル (恒常無料プランなし) | 本格運用向け (無料プランなし) |
| 発注側の料金 | 無料 | 無料プランあり | 無料プランあり | 無料 | 無料プランあり | 無料 | 300円/ユーザー/月〜 | 1,000円/ユーザー/月〜 | 無料(注文者アカウント) | 要問い合わせ |
| 受注側の料金 | 無料プランあり (上位は要問い合わせ) | 無料プランあり | 無料プランあり | 要問い合わせ | 負担なし(FAX・メールで受取) | 要問い合わせ | 300円/ユーザー/月〜 | 1,000円/ユーザー/月〜 | 導入企業が負担(初期29万円〜) | 要問い合わせ(個別見積もり) |
| 無料枠の上限(件数・人数) | 発注側は無料/受注側フリープランは受注100回/月・商品登録100点・利用者1名 (取引先の登録数は無制限) | 発注側は発注無制限・発注先1社(無料FAX5回/月) 受注側は受注無制限・注文フォーム4件・出荷伝票/請求書20件/月 | 明細200件/月まで (データ保持3ヶ月) | 発注側は無料 | 発注先3社/月・データ発注は無制限 (FAX送信は回数制限あり) | 発注側(店舗)は無料 (アプリ利用料も0円) | 30日間の無料トライアル (クレカ登録不要) | 30日間の無料トライアル | 注文サイトを最大2ヶ月試用 (注文者は無料) | 無料枠なし(デモ・見積で対応) |
| 取引先の費用負担 | 無料(発注側は0円) | 不要(FAX・メール受取も可) | 不要(ゲスト招待で会員登録なし) | 無料(LINEで発注、登録不要) | 不要(卸はFAX運用のまま) | 無料(店舗側は0円) | 要ライセンス(1ユーザー分) | 要ライセンス(Webフォーム経由なら不要) | 無料(注文者アカウント) | 得意先ごとにID発行(契約に含む) |
| 有料時の月額 | 要問い合わせ | 発注1,480円/受注2,980円 | 5,980円/月〜(ビジネス) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 300円/ユーザー/月〜(最少5名) | 1,000円/ユーザー/月〜(最少5名) | 10万円〜/月(税抜) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る |
※料金・無料枠は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各サービスの公式サイトでご確認ください。
無料で使える受発注システムの個別紹介
ここからは、比較表で取り上げたサービスを提供形態別に紹介します。無料枠の具体的な内容や、どんな企業・業種に向くかを確認してください。
無料プランで使い続けられる受発注システム
まずは、恒常的な無料プランを持ち、0円のまま使い続けられるサービスです。発注側が無料のもの、双方に無料枠があるものが含まれます。
1. CO-NECT(コネクト)(CO-NECT株式会社)

CO-NECT株式会社が運営する、発注側が無料で使えるクラウド型の受発注システムです。卸・小売・飲食・製造など業種を問わず、FAX・電話・メールでの受発注をスマートフォンやPCからデジタル化できます。
発注側は無料で利用でき、受注側はプラン契約で運用します。受注側の導入は39,000社、利用継続率は99%以上と公式サイトに記載されています。
iOS・Android向けの専用アプリを配布しており、商品検索や履歴からの再発注、バーコードスキャンでの発注に対応します。受注側は全機能を2週間試せる無料トライアルに加えて、初期費用・月額とも0円のまま継続して使えるフリープランがあります。
フリープランは月100回までの受注・商品登録100点まで・利用者1名までで、取引先の登録数に上限はありません。取引量や必要な人数が増えたら有料プランに移ります。有料プランの料金は取引先数・受注件数により変動するため、公式サイトで確認してください。
2. COREC(コレック)(株式会社ラクーンコマース)

注文書・発注書・見積書・納品書の作成から送信までをブラウザで行える受発注システムです。運営は株式会社ラクーンコマース(ラクーンホールディングスグループ)で、累計88,000社以上が利用しています。
発注側・受注側それぞれに無料プランがあります。発注側は発注回数が無制限で、発注先の登録は1社まで・無料FAXは月5回までです。受注側は受注回数が無制限で、注文フォーム4件・出荷伝票/請求書の作成は月20件までを無料で使えます。
上限を超える場合の有料プランは、発注側が月額1,480円、受注側が月額2,980円です(いずれも税抜・初期費用は無料)。受注側を有料にすると出荷伝票/請求書の作成が無制限になり、注文フォームは200件まで作成できます。適格請求書の発行にも対応します。
相手先がシステムを導入していなくても、スマートフォンからFAX・メールで発注書を送信できるため、アナログ運用の取引先を含めて移行しやすい設計です。商品マスタや取引データはCSVで入出力できます。
3. MARUGOAT(マルゴート)(leafworks, Inc.)

MARUGOATは、発注側・受注側の双方の立場から使えるよう設計されたクラウド型の受発注システムです。提供元はleafworks, Inc. で、FAX・郵送・電話・メールでの受発注をオンラインに切り替えられます。
明細200件/月までを0円で使えるフリープランがあり、初期費用もかかりません。取引量が増えた場合は、明細1,000件/月までのビジネスプラン(月額5,980円〜、以降は従量課金)に移行でき、データ保持期間はフリーが3ヶ月、ビジネスが14ヶ月です。
相手先がMARUGOATの会員でなくても招待リンクから受発注できる、ゲストユーザー機能を備えます。取引先とのやりとりをまとめるチャット機能や、発注済み商品の入荷未完了分を追う注残・分納の管理にも対応します。
4. TANOMU(タノム)(株式会社インフォマート)

卸売業者と、その取引先である飲食店・小売店との受発注を結ぶSaaSです。提供元は株式会社インフォマートで、肉・水産・青果・備品資材・酒類・製麺という6つの卸領域を対象にしています。
発注する飲食店・小売店側は無料で、使い慣れたLINEから発注できるため、専用アプリのインストールが要りません。受注する卸売業者側は費用を負担し、料金は資料請求・問い合わせで確認できます。
電話・FAX・LINE・メールでの発注を1画面に集約でき、新商品や特売の案内をLINEメッセージで配信することもできます。提携する小売店舗は10万拠点以上と公式サイトに記載されています。
5. PlaceOrders(プレイスオーダーズ)(株式会社シンクロ・フード)

飲食店の食材発注に特化したアプリです。運営するのは、飲食店ドットコムを手がける株式会社シンクロ・フードで、FAX・電話で行っていた発注をスマートフォン1台にまとめられます。
発注する飲食店側は、発注会社数3社/月・データ発注無制限までを無料で使えます(FAX送信は月内の回数に上限あり)。有料プランでは発注実績の分析機能や複数店舗の管理が使え、iOS向けの公式アプリのほかAndroid・PCブラウザからも利用できます。
アプリで送信した発注は、システム側でFAX・メールの発注書へ自動変換されて発注先に届きます。そのため発注先の食品卸がシステムを導入していなくても、従来のFAX運用のまま受注できます。累計の発注回数は60万回を超えたと公式に発表されています。
飲食店の食材・ドリンクの発注に絞って選びたい場合は、飲食店向けに特化した受発注システムを比較した以下の記事もご覧ください。
6. Pittaly(ピッタリー)(ユーザックシステム株式会社)

スマートフォンのカメラで商品バーコードを読み取って発注・棚卸を行うサービスで、ユーザックシステム株式会社が提供します。発注に特化した「Pittaly Order」と棚卸専用の「Pittaly 棚卸」の2ラインを公式に展開しています。
Pittaly Orderは、得意先である店舗側がスマートフォンで発注し、メーカー・卸などの受注側がクラウドで受け取る仕組みです。発注する店舗側は無料で、受注側の料金は利用台数などに応じて要問い合わせとなります。
バーコードのスキャンから数量入力、送信までの3ステップで発注でき、オフライン環境でも登録できます。読み取ったデータはkintoneやAPI連携を通じて、受注側の業務システムへ取り込めます。
無料トライアル・低コストで始められる受発注システム
続いて、恒常的な無料プランはないものの、無料トライアルで試せて、本番運用も月額数百円から数千円の低コストで始められるサービスです。まず試してから判断したい場合に向きます。
7. @pocket(アットポケット)(株式会社アイアットOEC)

プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで受発注アプリを自作できるノーコード型の業務アプリ構築サービスです。提供元は株式会社アイアットOECで、受発注テンプレートを起点に、在庫・納品・請求まで自社の業務フローに合わせて画面を作り込めます。
料金は月額300円/ユーザー(最少5ユーザー)のLiteプランから始められ、初期費用は全プランで無料です。30日間の無料トライアルはクレジットカードの登録なしで試せるため、導入前に操作感を確かめてから契約を判断できます。
発注実績や在庫推移をグラフで可視化でき、会計・販売管理・基幹システムとはAPI・CSVで連携できます。製造・小売・コンサル・公共施設など1,300社以上での利用実績があり、PC・スマホ・タブレットの3端末から同じ環境を利用できます。
8. kintone(キントーン)(サイボウズ株式会社)

サイボウズ株式会社が提供するノーコードの業務アプリ構築プラットフォームです。受発注専用サービスではありませんが、公式が受注・出荷管理や購買支援、店舗客注管理など6種類のサンプルアプリを用意しており、これを土台に自社の受発注フローへ作り替えて使えます。
料金は月額1,000円/ユーザーのライトコースからで、最低契約は5ユーザーです。外部連携やAPIを使う場合は月額1,800円/ユーザーのスタンダードコースになります。初期費用はかからず、全機能を30日間試せる無料トライアルが用意されています。
iOS・Androidの公式アプリを配布しており、スマートフォンやタブレットからPC版と同じ機能を使えます。取引先の発注はWebフォーム連携で受け付けられ、会計・請求書・在庫などのプラグインや、基幹システムとのAPI・CSV連携にも対応します。
9. TS-BASE 受発注(竹田印刷株式会社)

竹田印刷株式会社が、自社の通販・物流事業で培った運用ノウハウをもとに提供するクラウド型の受発注・在庫管理システムです。利用者向けの注文サイト、物流拠点向けの倉庫システム、管理者向けの管理システムの3つで構成され、受注から在庫管理・出荷までを一元管理できます。
注文サイトの機能は最大2ヶ月間を無料で試用でき、発注する側(注文者)のアカウントは無料で利用できます。導入する企業側は、初期費用29万円〜・月額10万円〜(いずれも税抜、プランにより異なる)が必要で、最低契約期間は1年間です。
基本機能とオプションを合わせて50種類以上から、承認フローや在庫管理方式、外部連携の要否を選んで組み合わせられます。発注点を下回った際の自動アラートや、使用期限別・製造ロット別の在庫管理にも対応し、導入時はキックオフから本稼働まで専任チームが伴走します。
本格運用を見据えるなら(無料で足りなくなったとき)
最後に、無料プランでは対応しきれない本格的なBtoB受発注に向くサービスです。得意先ごとの価格・掛率・与信などを反映した運用が必要になったときの選択肢として紹介します。
10. DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

得意先ごとに価格・掛率・与信・締日が異なる卸・製造業の受発注を、取引先専用の発注サイトとしてWeb化するシステムです。提供元は株式会社マルウェブで、Adobe Commerce(旧Magento)を基盤に、FAX・電話・メールで受けていた注文をオンラインの発注フローへ移します。
得意先ごとに見せる価格・掛率を出し分け、与信や締日の条件を反映したクローズドな発注サイトを構築できます。CSVでの一括発注や過去注文からの再注文、複数配送先の指定、見積依頼から受注確定までの承認ワークフローに対応し、英語・中国語の多言語表示も設定できます。
恒常的な無料プランや無料トライアルはなく、導入前の確認はデモと見積もり相談で対応します。初期費用と年間のクラウド利用料は、データ移行やカスタマイズの規模に応じた個別見積もりです。無料のツールでは対応しきれない、得意先別の価格・与信・締日を作り込んだ運用に進む段階の選択肢といえます。
無料と有料の違い|どこから課金になるか
個別のサービスを見たうえで、あらためて無料と有料を分ける境目を押さえておきましょう。ここを理解しておくと、無料で始めた後にどこで費用が発生するかを事前に読めます。
境目になるのは、主に処理量と機能の範囲です。受注・発注の件数、登録できる商品数やユーザー数、招待できる取引先数が無料枠を超えると、有料プランが必要になります。無料トライアルだけのサービスは、期間が終われば有料に移る点も、恒常無料プランとの違いとして押さえておきましょう。
機能面では、在庫管理・請求書発行・基幹システムとのAPI連携・データの長期保存・専任サポートなどが有料プランの領域になることが一般的です。逆に言えば、受発注のオンライン化だけが目的で取引量も多くないうちは、無料プランで十分に運用できます。自社に必要な機能が無料の範囲に含まれるかを、導入前に確認しておきましょう。
無料で足りなくなったら?有料・本格システムへ移行する見極め
ここからは、無料プランで足りなくなったときに、有料プランや本格的な受発注システムへ移行する判断軸を整理します。無料で始めることと、いつまでも無料に留まることは別の話です。
移行を検討する目安になるのは、次のような変化です。受発注の件数が無料枠の上限に近づいた、取引先の数が増えて招待枠を超えた、過去データの長期保存や検索が必要になった、複数の担当者で同時に使いたくなった、といった段階です。こうしたときは、同じサービスの有料プランへ上げるのが最もスムーズです。
さらに、得意先ごとに異なる価格や掛率、与信・締日の管理、基幹システムとの本格的な連携が必要になると、無料・低額のサービスでは対応しきれません。この段階では、こうした複雑な要件に対応する本格的なBtoB受発注システムが選択肢になります。
前章で紹介したDX BtoB Web受発注システムのような、得意先別のクローズドな発注サイトを構築できるサービスが該当します。自社の受発注がどの段階にあるかを見極め、無料で始めて必要に応じて本格運用へ進む道筋を描いておくと、投資判断がぶれません。
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まとめ
無料で使える受発注システムは複数あり、FAX・電話・Excelに頼った受発注のデジタル化を、コストをかけずに始められます。選ぶ際は、発注側・受注側で無料条件が異なる点をまず押さえ、無料枠の上限・サポート範囲・取引先の使いやすさ・隠れコストを確認することが失敗を避ける鍵になります。
恒常的な無料プランで使い続けるのか、無料トライアルで試してから低額プランに進むのか、目的に応じて形態を選び分けましょう。取引量が増えて無料で足りなくなったら、有料プランや本格システムへ段階的に移行する道筋を描いておくと、無理なくデジタル化を進められます。まずは気になるサービスの資料を取り寄せ、自社の受発注に当てはめて検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 受発注システムとは何ですか?
受発注システムとは、取引先とのあいだで発生する注文(発注・受注)を、Web上でやり取りして一元管理するシステムです。FAX・電話・メール・Excelで行っていた注文の受け渡しをオンラインに置き換えることで、転記や二重入力のミスを減らし、注文内容を受注側・発注側の双方が同じ画面で確認できるようになります。多くはクラウド型で、アカウントを登録すればブラウザやアプリからすぐに使い始められます。
Q. 受発注システムは本当に無料で使えますか?
受発注システムは、恒常的な無料プランを持つサービスを選べば、0円のまま使い続けられます。CO-NECTやMARUGOAT、CORECのように、期限のない無料プランを用意したサービスが複数あります。
ただし、無料で使えるのは受発注のオンライン化を中心とした基本機能に限られ、件数や機能に上限がある点には注意が必要です。全機能を試せる期間限定の「無料トライアル」しか持たないサービスもあるため、恒常的に0円で使いたいのか、試してから有料で使いたいのかを最初に決めておくとよいでしょう。
Q. 無料の受発注システムにはどんな制限がありますか?
無料の受発注システムには、月あたりの受注・発注件数、登録できる商品数、同時に使えるユーザー数、招待できる取引先数、データの保存期間などに上限が設けられるのが一般的です。たとえば「発注は無制限だが受注は月10件まで」「明細は月200件まで」「無料枠ではデータ保持が3ヶ月まで」といった形です。
在庫管理・請求書発行・基幹システムとの連携などの発展的な機能や、電話・チャットによる手厚いサポートは有料プランに含まれることが多いため、自社の取引量と必要な機能が無料枠に収まるかを、導入前に見積もっておくと安心です。
Q. 受発注システムは発注側と受注側のどちらが無料ですか?
受発注システムの無料条件は、発注側は無料でも受注側は有料、というように立場によって異なるのが大きな特徴です。CO-NECT・TANOMU・PlaceOrders・Pittalyなどは、システムを導入する受注側が費用を負担し、その取引先である発注側は0円で使えます。
一方で、MARUGOATやCORECのように発注側・受注側の双方に無料枠を用意するサービスもあります。自社が発注側なのか受注側なのか、そして取引先にどちらの負担が発生するのかを最初に確認しておくと、比較を正しく読み解けます。
Q. 取引先(発注側)に費用や登録の負担はかかりますか?
多くの受発注システムでは、取引先である発注側は無料で使え、費用負担なく発注できます。操作面でも、TANOMUのように使い慣れたLINEから発注できるもの、MARUGOATのようにゲスト招待で相手の会員登録が不要なもの、PlaceOrdersやCORECのように発注先がシステム未導入でもFAX・メールで受け取れるものがあり、取引先のIT習熟度に合わせて選べます。
取引先に「無料だから使ってほしい」と依頼しやすいかどうかは、導入後の定着を左右する重要な判断軸です。
Q. これまでExcelで管理していたデータは移行できますか?
多くの受発注システムは、CSVでの商品マスタや取引データの取り込みに対応しており、Excelで管理してきたデータをCSV形式に変換して移行できます。CORECや@pocketなどはCSVでの入出力に対応しているため、既存の商品リストをまとめて登録できます。
ただし、無料プランではCSVエクスポートや外部連携が有料機能に含まれる場合もあるため、データの移行や書き出しが必要な場合は、その機能が無料の範囲に入っているかを事前に確認しておきましょう。
Q. 無料プランと無料トライアルは何が違いますか?
両者の違いは期限と使える機能の範囲にあり、無料プランは機能や件数に制限を設けたうえで期限なく0円で使い続けられる形態、無料トライアルは一定期間だけ有料版の全機能を無料で試せる形態です。
無料トライアルは期間が終わると有料契約に移るため、「ずっと無料で使える」と誤解しないよう注意が必要です。じっくり0円で使い続けたいなら無料プラン、機能をフルに確かめてから導入を決めたいなら無料トライアル、と目的で使い分けるとよいでしょう。
Q. 受発注システムは電子帳簿保存法に対応していますか?
電子帳簿保存法への対応はサービスごとに異なるため、対応が必要な場合は個別に確認することが欠かせません。注文書や発注書を電子データでやり取り・保存する場合、電子帳簿保存法の電子取引の要件(改ざん防止などの真実性、検索できる状態にする可視性)を満たす必要があります。
出典・参考資料(1件)
対応をうたうサービスもありますが、無料プランではデータの保存期間が短く要件を満たしにくいこともあるため、電子保存を前提にするなら、無料枠での保存期間と対応範囲まで確認しておくと安心です。
Q. 無料の受発注システムでもサポートは受けられますか?
無料の受発注システムでは、サポートがFAQやメールに限られ、電話・チャットでの問い合わせは有料プラン向け、というケースが多いです。導入初期は設定や取引先への案内でつまずきやすいため、無料プランでもどこまで問い合わせできるかを事前に確認しておくと安心です。とくに社内にITに詳しい担当者がいない場合は、サポート窓口の有無が使い続けられるかどうかを左右します。
Q. スマートフォンやタブレットからも使えますか?
多くのクラウド型受発注システムは、スマートフォンやタブレットの専用アプリ、またはブラウザに対応しています。CO-NECTやkintoneはiOS・Android向けの公式アプリを配布しており、TANOMUはLINE、Pittalyはスマホのバーコード読み取りで発注できます。
アプリのインストールが不要でブラウザだけで完結するサービスも多く、外出先や店舗からの発注にも向きます。取引先にも使ってもらう場合は、相手がインストールなしで発注できるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
Q. 受発注システムの導入に初期費用はかかりますか?
クラウド型の受発注システムは、初期費用が無料のサービスが多く、無料プランならその後の月額も0円で始められます。CORECやMARUGOAT、@pocketなどは初期費用がかからず、有料プランへ進んでも月額数百円から数千円で運用できます。
一方で、TS-BASE 受発注やDX BtoB Web受発注システムのような本格運用向けのシステムは、初期費用や個別見積もりが必要になります。まず無料・低額のサービスで小さく試し、必要に応じて本格的なシステムを検討するのが失敗の少ない進め方です。
Q. ITに詳しくなくても、プログラミングの知識なしで導入できますか?
本記事で紹介したクラウド型の受発注システムは、プログラミングの知識がなくても導入・運用できるサービスがほとんどです。アカウントを登録すればすぐに使え、@pocketやkintoneのようにドラッグ&ドロップで画面を組み立てられるノーコード型もあります。
例外はフリーソフト・OSSで、こちらはサーバー構築や保守に専門知識が必要になります。IT担当者がいない中小企業ほど、設定不要ですぐ使えるクラウド型の無料プランが向いています。
Q. 個人事業主や小規模事業者でも無料で使えますか?
個人事業主や小規模事業者こそ、取引量が無料枠に収まりやすいため、無料の受発注システムと相性がよいです。受注・発注の件数や取引先数がまだ少ないうちは、恒常的な無料プランのまま追加費用なく運用でき、まずは一部の取引先とのやりとりだけをデジタル化することもできます。
事業の拡大にともなって件数が増えたら、同じサービスの有料プランへ段階的に上げていけるので、初期投資を抑えて小さく始めたい事業者に適しています。
Q. フリーソフトやOSSの受発注システムは選ばない方がよいですか?
フリーソフト・OSSの受発注システムは、社内にエンジニアがいない中小企業にはおすすめしにくい選択肢です。ソフト自体のライセンス費用はかからないものの、サーバーの構築・設定・セキュリティ対策・バージョン更新をすべて自前で行う必要があり、トラブル時の公式サポートも基本的にありません。
すぐに使い始めたい場合や運用に手間をかけられない場合は、設定不要でサポートも受けられるクラウド型の無料プラン・無料トライアルの方が現実的です。
Q. 無料から有料・本格システムへ乗り換える目安はいつですか?
移行を検討する目安は、受発注の件数や取引先数が無料枠の上限に近づいたとき、または得意先ごとの価格・掛率・与信・締日の管理が必要になったときです。件数超過や過去データの長期保存、複数担当者での同時利用が必要になった段階では、同じサービスの有料プランへ上げるのが最もスムーズです。
さらに、得意先別のクローズドな発注サイトや基幹システムとの本格連携が求められる段階では、DX BtoB Web受発注システムのような本格運用向けのシステムが選択肢になります。無料で始めて必要に応じて段階的に移行する道筋を描いておくと、投資判断がぶれません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















