取引先ごとに受発注の受け口がバラバラになっていませんか。大手の取引先とはEDIでつながっているのに、別の取引先からはWeb-EDIの画面にログインして手作業でダウンロードし、小口の取引先からはFAXやメールで注文が届く。結局どこかで人が転記していて、担当者しか手順を知らない状態が続いている企業は少なくありません。
取引先ごとの違いを吸収して受発注データを一本化するには、自社がどの通信手順とデータ形式に対応しなければならないかを把握したうえで、どの製品ならそれを受けきれるのかを見極める必要があります。では、対応範囲をどこまで求め、取引先ごとの差分をどこで吸収すればよいのでしょうか。
本記事では、EDIシステム21サービスをタイプ別に比較・解説します。比較表に並ぶ全銀TCP/IP手順、流通JCA-H、ebXML MSといった用語の意味と使われている業界を先に整理したうえで、取引先の棚卸しから変換をどこで担わせるかを決めるまでの手順と、INSネットの提供終了スケジュール、EDIデータの保存義務までを扱います。自社の要件に合うシステムを見極める材料としてご活用ください。
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目次
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EDIシステムとは
EDI(Electronic Data Interchange・電子データ交換)は、企業間でやり取りする注文書や納品書といった取引情報を、あらかじめ取り決めた通信手順(通信プロトコル)とデータ形式(データフォーマット)にもとづいて、システム同士で直接やり取りする仕組みです。EDIシステムは、その通信と変換を担うソフトウェアやサービスを指します。
紙やFAXでの受発注と決定的に違うのは、受け取ったデータがそのまま自社の基幹システムに取り込める形で届く点です。人が読んで入力し直す工程が不要になるため、転記に伴うミスと入力工数が減り、受注から出荷までのリードタイムが縮みます。
EDIの種類(個別EDI/標準EDI/業界VAN)と提供形態
EDIは、取り決めを誰と誰の間で作るかによって3つに分かれます。この違いが、後述する「取引先ごとの差分をどこで吸収するか」の出発点になります。
- 個別EDI:取引先ごとに通信手順とデータ項目を個別に取り決める方式です。相手の要求に合わせられる自由度がある一方、取引先が増えるほど設定と保守の対象も増えます。
- 標準EDI:業界団体などが定めた共通仕様に双方が合わせる方式です。流通BMSや中小企業共通EDIがこれにあたり、同じ標準に対応した取引先とはそのままつながります。
- 業界VAN:業界ごとのネットワーク事業者が中継役となり、参加企業間のデータ交換とフォーマット変換を引き受ける方式です。加盟すればVANとだけつながればよくなります。
提供形態は、クラウド(サービス提供側の環境を利用する)、オンプレミス(自社の設備にEDIサーバーを構築する)、運用代行つきのマネージドサービスの3つに大別できます。同じ製品でも提供形態によって費用のかかり方と運用の手離れが変わります。
Web-EDI・インターネットEDIと従来型EDIの違い
「Web-EDI」と「インターネットEDI」は近い文脈で使われますが、指しているものが違います。インターネットEDIは、専用線や電話回線ではなくインターネット回線を使うEDI全般を指す言葉です。Web-EDIはそのうち、発注側が用意したWeb画面に受注側がブラウザでログインして、注文データを閲覧・入力・ダウンロードする形式を指します。
受け渡しの方法で整理すると、次の3つになります。
- 画面型(Web-EDI):受注側は専用ソフトを導入せずブラウザだけで使えます。導入の敷居が低い反面、受注側の画面操作とダウンロードが手作業として残ります。
- ファイル転送型:サーバー同士が取り決めた手順でファイルを送受信します。人手が介在せず自動化できるため、取引量が多い相手に向きます。
- API連携型:システム間でリアルタイムにデータをやり取りします。在庫や納期の即時照会を伴う取引で使われます。
従来型EDIは、電話回線やISDN回線を使うファイル転送型を指します。このうちISDN回線を使うものはサービス自体が終了に向かい、電話回線を使うものも交換設備のIP化で通信の条件が変わります。これが、後述するINSネットの提供終了で問題になっている部分です。
EOS・API・BtoB EC・金融EDI(ZEDI)との違い
EDIの周辺には似た仕組みが並んでおり、探しているものが本当にEDIなのかを最初に確かめておくと、候補選びが早くなります。
- EOS(Electronic Ordering System・電子発注システム):受発注に用途を限った仕組みを指します。EDIは出荷や請求まで含む取引情報全般を扱うため、EOSはEDIの一部と位置づけられます。
- API連携:システム間の接続方式そのものを指す言葉です。EDIの実現手段の一つであり、EDIと排他の関係ではありません。
- BtoB EC:取引先が注文サイトで商品を選んで発注する仕組みです。買い手が画面で操作することが前提で、システム同士が定型データを自動でやり取りするEDIとは設計思想が異なります。
- 金融EDI(ZEDI):全国銀行資金決済ネットワークが運営する全銀EDIシステムで、振込電文に支払通知番号などの情報を添付し、入金消込を効率化する仕組みです。受発注データを交換する商流EDIとは目的が違います。取引先がZEDIに対応していなくても振込自体は従来どおり行われる点も、取引先の対応が前提となる商流EDIとの違いです。
出典・参考資料(1件)
取引先との受発注そのものより、振り込まれた入金と請求データの突き合わせに手間がかかっているなら、探すべき仕組みは商流のEDIではなく入金消込の側かもしれません。照合方式や例外処理の違いは以下の記事で比較しています。
通信プロトコルとデータフォーマットの読み方
EDIシステムの比較表には、全銀TCP/IP手順、流通JCA-H、ebXML MSといった用語が列として並びます。ここが読めないと、チェックが付いているかどうかは分かっても、それが自社に必要かどうかは判断できません。ここからは、比較表を自社の要件に翻訳できるよう、それぞれが何を指し、どの業界で使われているかを整理します。

主な通信プロトコル
通信プロトコルは、データを「どうやって送り届けるか」の取り決めです。回線の種類と結びついているものが多く、使っている回線が変われば手順も変える必要があります。
流通業界で長く使われてきた手順は、所管団体が系譜を公開しています。
日本チェーンストア協会(JCA)は、加盟企業や当財団の協力で、BSC伝送制御手順準拠の標準制御手順(JCA手順)を開発し、これは1982年7月に、通商産業省(現 経済産業省)により流通業界全般の標準通信手順J手順として制定されました。
その後JCAは、OSIモデルの一つであるMHSを採用し、取引先データ交換標準手順(JCA-H手順)を開発し、当財団の協力で流通業界の標準通信手順として提案し、92年3月、通商産業省より国内標準H手順と命名され、普及促進を当財団が担当することとなりました。
出典:通信制御手順|一般財団法人流通システム開発センター
同センターの機能比較表によれば、J手順の適用回線は電話回線とDDX回線、H手順の適用回線はISDN回線と専用回線です。取引先の取引仕様書に「JCA手順」「流通J手順」とあれば電話回線、「JCA-H手順」「流通JCA-H」とあればISDN回線を使う手順を指すため、この2つに依存している企業はINSネットの提供終了の影響を直接受けます。
銀行との接続に使われる全銀協標準通信プロトコルは、名称が似た3種類があり、区別しないと現行の手順と終了した手順を取り違えます。
本プロトコルには、一般公衆電話網またはISDNを適用回線とする「ベーシック手順」および「TCP/IP手順」と、IPを利用する回線を適用回線とする「TCP/IP手順・広域IP網」の3種類があります。
なお、これらのうち、「ベーシック手順」および「TCP/IP手順」については、既にお知らせしておりますとおり、2023年12月末をもってサポート(改正および会員・一般の利用者からの照会対応等)を終了いたします
出典:全銀協標準通信プロトコル|一般社団法人全国銀行協会
取引仕様書や製品資料に「全銀手順」「全銀TCP/IP」とだけ書かれている場合、それが公衆電話網・ISDNを前提とした旧手順なのか、現行の広域IP網向けなのかは字面では判別できません。本記事の比較表では、公式に区別が示されている製品は「全銀TCP/IP(広域IP網)」のように併記しています。区別のない表記に出会ったら、どちらの手順かを個別に確認してください。
インターネットを使う手順は、流通BMSが採用している3種類が中心です。流通システム開発センターのガイドラインは、それぞれの向き先まで示しています。
AS2(正式名称はEDIINT AS2。取引仕様書では「EDIINT AS2」と書かれていることもあります)は「取引量が多く、取引先とのリアルタイムなデータ送受信を実現したい企業向け」で、取引先側もサーバー同士で接続する環境を持っている必要があります。
JX手順は「取引量が少なく、低コストでインターネットEDIを実現したい企業向け」とされ、受注側は一般的なPC環境で接続できます。ebXML MSは、SOAPをベースにセキュリティや高信頼配信の機能を拡張した仕様です。
規格としての位置づけには差がある点にも注意が必要です。AS2はIETFのStandards Trackとして RFC 4130 に定められています。
一方、欧州の自動車業界で使われるOFTP2の RFC 5024 には「This RFC is not a candidate for any level of Internet Standard.」と明記されており、インターネット標準ではありません。
SFTPはEDIのファイル受け渡しに用いられる方式ですが、ファイル転送部分の仕様はRFCとして発行されておらず、失効したインターネットドラフトのままです。比較表で横並びになっていても、「どれも同じ国際標準」というわけではありません。
この違いは、取引先と手順を決めるときに効いてきます。仕様が公開された標準であれば、双方が同じ文書を参照して設定を突き合わせられます。標準化されていない手順は実装による差が出やすいため、接続試験の期間を長めに見込むか、相手の実装に合わせられる製品を選ぶ必要があります。
出典・参考資料(4件)
主なデータフォーマット
データフォーマットは、送り届けたデータを「どう並べるか」の取り決めです。どの項目を何桁目に置くか、区切り文字は何かといった構造の話で、通信プロトコルとは別に決まります。
- 固定長:項目ごとに桁数を固定して並べる形式です。古くからのEDIで用いられてきた形式で、桁数の取り決めが取引先ごとに違うことが実務上の負担になります。
- CSV:カンマ区切りの形式です。表計算ソフトや基幹システムとの受け渡しがしやすく、中小規模の取引でよく使われます。
- XML:タグで項目の意味を示す形式です。流通BMSや中小企業共通EDIが採用しており、項目の追加や拡張に柔軟に対応できます。
- JSON:Web APIで一般的な形式です。API連携型のEDIや、SaaS同士の接続で使われます。
業界ごとの標準(流通BMS・製造CII・建設CI-NET・中小企業共通EDI)
取引先の業界によって、使われている標準は異なります。自社の取引先がどの業界に属するかで、対応すべき標準が決まります。
流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)は、消費財流通業界の標準です。流通BMS協議会は、その位置づけを次のように定義しています。
流通ビジネスメッセージ標準® (流通BMS®)は、消費財流通業界で唯一の標準となることを目標に策定している、メッセージ(電子取引文書)と通信プロトコル/セキュリティに関するEDI標準仕様です。(BMSはBusiness Message Standardsの略)
出典:流通ビジネスメッセージ標準®(流通BMS®)|流通システム標準普及推進協議会
流通BMSは通信プロトコルとメッセージの両方を定めている点が特徴です。同協議会の推計では、卸・メーカーの導入企業数は2025年6月1日時点で21,600社以上に達しています。
CII標準は、製造業を中心に使われてきたデータ記述の標準です。日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)がCIIシンタックスルールを所管し、Ver.3.00までの仕様書を公開しています。
CI-NETは建設業界の標準です。建設業振興基金は「建設産業全体の生産性向上を図るため、建設生産に関わる様々な企業間の情報をネットワークを利用して交換するための仕組みです」と説明しており、見積・注文・出来高請求といった建設特有の商習慣に対応しています。
中小企業共通EDIは、業界をまたいで使える標準として中小企業庁が策定したものです。同庁は導入の効果を次のように説明しています。
受発注業務が中小企業共通EDIにより標準化されることで、取引先ごとに用意していた専門端末や用紙が不要となり、山積みになっていた伝票をデータで一元的に管理できるなど、中小企業が抱える受発注業務のIT化に係る問題を解決するとともに、①業務効率アップでコスト削減②人的ミスを軽減③過去現在の取引データの検索の簡素化を実現できます。
出典:中小企業の受発注デジタル化|中小企業庁
仕様はITコーディネータ協会が公開しており、現行版はver.4.3_r0(2026年3月1日公開)です。同協会は、共通EDIプロバイダ・レベル2業務アプリ・レベル1業務アプリ・連携補完アプリの4種類を対象とした認証制度を運用しており、対応をうたう製品が実際に仕様を実装しているかを確認できます。
出典・参考資料(4件)
プロトコルとフォーマットは別物(片方だけ合っても繋がらない)
比較表を見るときに最も誤解が起きやすいのが、通信プロトコルとデータフォーマットの関係です。この2つは独立した取り決めで、片方が一致していても、もう片方が合わなければ受発注は成立しません。
たとえば、取引先とAS2で接続できたとしても、届いたファイルが自社の想定と異なる項目配置の固定長であれば、基幹システムはそれを読めません。逆に、フォーマットが同じ流通BMSであっても、相手がAS2で待っているところにJX手順で接続しようとすれば、通信そのものが成立しません。
製品を比較するときは、対応プロトコルの列と対応フォーマットの列を必ずセットで見て、自社が接続したい取引先ごとに両方が満たされるかを確かめてください。流通BMSのように通信手順とメッセージの両方を定めている標準は、この確認の手間が少なくて済みます。
INSネットのディジタル通信モード終了とEDIへの影響
前節で見たJCA手順(J手順)とJCA-H手順(H手順)、および全銀協標準通信プロトコルのベーシック手順・TCP/IP手順は、いずれも電話回線かISDN回線を前提にしています。ISDN回線を使うサービスが終了に向かっていること、電話回線側も交換設備がIP網に切り替わったことが、EDIの移行が急がれてきた理由です。ここでは、現時点でどこまで進んでいるのかを整理します。
ISDN回線を使う「INSネット ディジタル通信モード」は、2024年1月から地域ごとに段階的に終了し、すでに提供を終えています。局内設備のIP網への切替工事も完了しています。移行が間に合わない企業向けには「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」が提供されていますが、これも期限つきです。
INSネットの「通話モード」は引き続きご利用いただけますが、「ディジタル通信モード」は、2024年1月から地域ごとに段階的にサービスを終了しました。「ディジタル通信モード」のサービス終了に合わせて、「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」を提供させていただいております。「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」は2028年12月31日(日)にサービス提供を終了いたします。
出典:INSネットをご利用の事業者さまへ|NTT東日本
INSネット自体の提供終了も確定しています。NTT東日本・NTT西日本は2024年3月の報道発表で、2029年以降にサービス提供に必要な設備部材が枯渇する見込みであることを理由に、2028年12月31日をもってINSネットのサービス提供を終了すると公表しました。新規申込の受付は2024年8月31日で終了しています。
補完策もINSネットに含まれるため、同じ日に終了します。
移行の背景には、加入電話の契約数の減少と、電話の交換設備が2025年頃に維持限界を迎えるとされてきたことがあります。総務省の情報通信審議会でも、終了が予定されるサービスについて代替サービスへの移行促進などNTTが留意すべき点が整理されました。経済産業省の令和6年度の市場調査報告書も、INSネットのサービス終了に伴ってEDIのインターネットEDIへの移行が進んでいると記述しています。
出典・参考資料(3件)
補完策を使い続ける場合の影響については、NTT東日本が検証結果を公表しています。
クライアント~サーバ間でファイル送信(全銀BSC、全銀TCP/IP)を行う検証を実施したところ、通信可能なことは確認できたものの、IP変換による伝送遅延、及びパケットロスによるEDIプロトコル上の伝送障害が発生するケースが確認できました。
出典:固定電話のIP網への移行に伴う「切替後の加入電話・INSネット」に係る検証結果について|NTT東日本
遅延の程度は設定によって大きく変わります。電子情報技術産業協会(JEITA)などが実施した検証結果の原本には、ISDN回線利用時と比較した処理時間が条件別に記録されています。
- 全銀BSC・64Kbps・伝送ブロック長125Byte・テキスト件数1,000件:950%程度
- 全銀TCP/IP・伝送ブロック長32,768Byte:100%程度(ほとんど変わらない)
- 商用環境に近いネットワークを想定したシミュレーション:390%〜470%
伝送ブロック長が小さいほど確認応答の回数が増え、その都度IP化の処理が入るため処理時間が伸びる、というのが同資料の説明です。自社の設定がどの条件に近いかで、影響の大きさは変わります。
「補完策に移ると一律に処理時間が10倍近くなる」わけではなく、伝送ブロック長の設定や使っている手順によって影響の大きさが変わります。自社の設定でどの程度の遅延が生じるかは、実際の伝送条件をもとに確認する必要があります。
出典・参考資料(2件)
影響は商流のEDIだけにとどまりません。全国銀行協会は、ISDN回線からの切替を行わない場合、伝送の遅延によってエレクトロニックバンキングやファームバンキングの処理に時間を要し、最終的には決済に支障が生じる可能性があると案内しています。同協会は、代替サービスによっては回線工事に数か月を要し、そのうえで金融機関との手続きが必要になるため、余裕をもって対応するよう呼びかけています。
取引先ごとにバラバラなフォーマットをどこで吸収するか
ここからが、EDIシステムを選ぶうえで最も判断が要る部分です。取引先ごとに通信手順もデータ形式も違う状態を、どうやって自社の基幹システムが読める1つの形に揃えるかが論点になります。その差分を吸収する場所は複数あり、どこに置くかで必要な製品も費用のかかり方も変わります。
次の4ステップで、自社の状況を整理してから候補を絞ると判断を誤りにくくなります。

ステップ1 取引先と現行の受け口を棚卸しする
最初に、受発注のやり取りがある取引先を全件書き出し、それぞれ現在どの経路で注文を受けているかを対応づけることから始めます。EDI接続、Web-EDIの画面、FAX、メール、電話といった経路の別と、月間の取引件数を並べると、どこに工数がかかっているかが見えてきます。
このとき、取引先の識別方法も併せて確認しておくと後の設定が楽になります。EDIでは業界横断のコードとして標準企業コードが使われており、日本情報経済社会推進協会によれば2026年2月末現在で約37,000件の法人・個人事業主が利用しています。
取引先の中に電話・FAXでの受発注が残っている企業がどの程度あるかも、この段階で把握しておきます。中小企業庁は「令和3年度取引条件改善状況調査」(2021年)をもとに、2021年時点で受注側の48.5%が電子受発注に対応していると示しています。裏を返せば、半数程度は電子化されていない状態だったということです。
棚卸しの結果、電話・FAX・メールでの受発注が多く残っていた場合は、EDIの標準に乗せるより注文の受け口自体をWeb化する方が現実的なこともあります。EDIに限らない受発注の電子化の選択肢は、以下の記事で選び方とサービスを解説しています。
ステップ2 現行の通信手順とデータフォーマットを洗い出す
次に、EDIで接続している取引先について、使っている通信手順とデータフォーマットを1件ずつ確認する必要があります。ここで前節の知識が効きます。手順名だけでなく、それが電話回線・ISDN回線を前提としたものかどうかまで見てください。
使っている回線が分からない場合、NTT東日本はINSネットの請求書の料金内訳に「INS通信料」が発生しているかで確認する方法を案内しています。発生していれば、ディジタル通信モードまたは補完策を使っていることになります。
フォーマットについては、取引先から受領しているレイアウト定義書を集めておく必要があります。同じ「固定長」でも項目の並びや桁数は取引先ごとに異なるため、定義書がそろっていないと後工程の変換設計ができません。
社内に資料が残っていない場合、次の3つの窓口に当たると必要な情報がそろいます。
- 現在のEDIを導入したベンダー・保守会社:稼働している通信手順の設定、接続先ごとの定義、契約中の回線を把握しています。保守契約が続いていれば設定一覧の提供を依頼できます。
- 取引先のEDI担当窓口:相手側が指定している手順とフォーマットの正解を持っています。大手小売や大手メーカーは取引先向けの取引仕様書・接続手順書を用意していることが多く、入手すれば自社の推測に頼らずに済みます。
- 自社の受注担当者:どの取引先の注文をどの画面から取っているか、どこで手作業が発生しているかを最も正確に知っています。属人化している手順を書き出す機会にもなります。
この棚卸しの結果を一覧にしておくと、担当者しか知らなかった手順が資料として残り、後任への引き継ぎや障害時の対応にも使えます。移行そのものとは別に、この副産物の価値は小さくありません。
ステップ3 標準に寄せられるもの/寄せられないものを切り分ける
洗い出した取引先を、業界標準に寄せられるものとそうでないものに分ける必要があります。取引先が流通BMSや中小企業共通EDIに対応していれば、同じ標準に合わせることで個別の取り決めが不要になります。前節で触れたとおり、流通BMSは通信手順とメッセージの両方を定めているため、標準に寄せられた分だけ確認の手間が減ります。
一方で、寄せられない相手も必ず残ります。取引先が標準に対応していない場合、こちらから仕様変更を求めるのは現実的でないことが多く、その差分は自社側で引き受けることになります。ここで「全部を標準に統一する」ことを目標に置くと、対応できない取引先が宙に浮きます。標準に寄せる相手と、個別対応を続ける相手を分けて数え、それぞれ何社あるかを確定させてください。
回線終了の期限がある手順を使っている取引先は、この切り分けで優先して扱います。前節のとおり補完策も2028年12月31日で終了するため、期限から逆算して移行の順序を決める必要があります。
期限から逆算するときは、自社の作業だけでなく相手の都合も工程に入ります。全国銀行協会は回線の切替について、代替サービスによっては回線工事に数か月を要し、そのうえで金融機関との手続きが必要になると案内しており、終了間際は相談が集中して通常より時間がかかるとも注意を促しています。
EDIの接続先ごとにも、取引先との調整、接続試験、並行稼働の期間が必要です。切り分けの結果を「期限があるので先に移す」「標準に寄せる」「個別対応を続ける」の3つに束ねた一覧にしておくと、そのまま移行計画の骨格になります。
ステップ4 変換をどこで吸収するか決める
個別対応が残る取引先については、フォーマットの変換をどこで行うかを決める段階になります。選択肢は大きく3つあり、それぞれ費用のかかり方と自社の手離れが変わります。
- EDIサービス側の変換機能で吸収する:取引先ごとの変換定義をサービス提供側に持たせる方式です。自社に変換の知識を持たなくて済む一方、取引先の追加や仕様変更のたびに設定作業を依頼することになり、その費用が発生するかを確認しておく必要があります。
- 中間ファイルを定義して吸収する:自社で標準となるレイアウトを1つ決め、取引先ごとの形式をそこへ寄せてから基幹システムに渡す方式です。基幹システム側の改修を最小限にでき、取引先が増えても基幹側は変えずに済みます。中間レイアウトの設計と維持は自社の仕事になります。
- 基幹システム側で吸収する:受け取ったデータを基幹システムの取込処理で解釈する方式です。既存の仕組みを活かせますが、取引先が増えるたびに基幹システムの改修が必要になり、保守が特定の担当者に依存しやすくなります。
どれを選ぶかは、次の4点で決まります。
- 社内にEDIの設定を触れる人がいるか:いなければサービス側に持たせます。中間ファイル方式は自社で定義を維持できることが前提です。
- 基幹システムの改修に稟議と外注費が要るか:要るなら基幹側での吸収は現実的でなくなります。
- 取引先の入れ替わりがどれくらいあるか:年に何度も追加が発生するなら、変換定義を自社で編集できる方式が費用面でも運用面でも有利です。
- 個別対応が残る取引先が何社あるか:ステップ3で数えた社数が少なければ基幹側で吸収しても保守は膨らみませんが、数十社になるならサービス側か中間ファイルに寄せます。
ここで出した答えは、そのまま候補にすべき製品の型に対応します。サービス側で吸収するなら「取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ」、中間ファイルを自社で定義するなら「変換ルールを自社に持って作り込むタイプ」、基幹システム側で吸収するならEDI製品に求める機能は通信と受け渡しに絞られます。
それぞれの型がどんな企業に向くかは、後述のタイプ分類で整理します。型が決まれば、後述の比較表はその型の表だけを見れば足ります。
変換の設計には、税務上の制約もあります。詳しくは後述しますが、受け取ったデータを変換して保存する場合、変換が自動で行われることと、変換テーブルを併せて保存しておくことが求められます。手作業での転記は認められないため、この点は変換方式を決める段階で押さえておいてください。
EDIシステムの主な機能とデータの流れ
ここまでで決めた吸収の仕方を、実際に担うのがEDIシステムの各機能です。受注データが届いてから基幹システムに渡るまでの流れに沿うと、次のように整理できます。
- 通信手順の実行:取引先ごとに定めた手順で接続し、データを送受信します。取引先ごとに異なる手順を1つのシステムで扱えるかが、対応プロトコルの範囲にあたります。
- 取引先マスタの管理:どの取引先にどの手順・フォーマット・接続先を割り当てるかを保持します。取引先の追加時に触るのがここです。
- データ変換:受信したデータを自社の形式に、送信するデータを取引先の形式に変換します。ステップ4で「サービス側で吸収する」を選んだ場合、この機能が中心になります。
- スケジューリングとエラー監視:決められた時刻に送受信を実行し、失敗した場合に検知して再送します。EDIは締め時刻のある業務なので、障害に気づく仕組みの有無が運用の負担を左右します。
- 基幹システム連携:変換後のデータを基幹システムに引き渡します。ファイル連携、API、専用アダプタなど方式が分かれます。
- データの保存:授受した取引データを保存します。後述する電子帳簿保存法の要件に関わる部分です。
取引先(受注側)の負担と協力をどう見込むか
EDIは自社だけで完結しません。発注側がどれだけ良いシステムを選んでも、受注側が接続できなければ運用は始まりません。ここは発注側の目線だけで検討していると抜け落ちやすく、導入の成否を分ける部分です。自社が受注側として大手の取引先に合わせている場合は、この節をそのまま自分の立場の話として読んでください。
受注側にかかる費用と専用ソフトの要否
受注側の負担は、選ぶ方式によって大きく変わります。サーバー同士で接続する方式では、受注側にも対応するサーバーや通信ソフトが必要になります。流通システム開発センターのガイドラインは、AS2について「取引先がS-S型のBtoBサーバを導入している必要がある」と明記しています。
一方、JX手順は「クライアント側は、安価でインターネットに接続できるPC環境で実現可能」とされ、受注側の設備投資を抑えられます。ブラウザだけで完結するWeb-EDIであれば、受注側は専用ソフトを導入せずに使えます。
取引先の規模が小さく、システム投資の余力が限られている場合は、受注側の費用がかからないプランがあるかどうかが実務上の分かれ目になります。製品によっては受注側の利用を無料にしているものや、利用者数が増えても費用が変わらないライセンス方式を採っているものがあります。この観点は後述の比較表で製品ごとに確認できます。
取引先ごとに画面が増える問題(多画面)とその避け方
受注側の立場に立つと、発注側がそれぞれ別のWeb-EDIを用意した結果、取引先の数だけ画面にログインして注文を確認する状態が生まれます。画面ごとにIDとパスワードが違い、ダウンロードしたファイルの形式も違うため、結局は人が集約する作業が残ります。
この状態は国の資料でも課題として認識されており、中小企業庁は中小企業共通EDIの効果として「取引先ごとに用意していた専門端末や用紙が不要となり」と説明しています。標準に寄せることは、発注側の効率化だけでなく、受注側の負担を減らす取り組みでもあります。
自社が受注側として多画面の状態に置かれている場合、発注元にシステムを変えてもらうことは現実的ではありません。取れる手立ては自社側にあります。
- 複数の発注元からの受信を1つのシステムに集約する:取引先ごとに異なる手順を1台で受けられる製品を自社側に置けば、画面ごとのログインとダウンロードをやめられます。前半で見た「取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ」と「変換ルールを自社に持って作り込むタイプ」が、この用途にあたります。
- Web-EDI画面からの取得を自動化する:発注元がWeb-EDIしか用意していない場合でも、画面からのダウンロードを自動で行い、受信データをまとめて基幹システムに渡す機能を持つ製品があります。
- 受注側向けの無料プランを使う:発注元が導入している製品に受注側の無料プランがあれば、自社の費用負担なく接続できます。発注元から接続を打診されたときは、受注側の費用がかかるかを最初に確認してください。
比較表の「取引先(受注側)の負担」列は発注側から見た読み方をしていますが、自社が受注側なら同じ列を「自分にかかる負担」として読み替えられます。専用ソフトが要るのか、ブラウザだけで済むのか、費用が発生するのかを、打診された製品について確認する手がかりになります。
取引先の協力をどう取り付けるか
受注側の負担が把握できたら、次は取引先に接続してもらうための段取りです。相手にも社内の稟議と作業が発生するため、依頼の順序と材料で進み方が変わります。
- 受注側の費用を先に確認してから打診する:受注側が無料で使えるプランがあるか、専用ソフトが要るかを製品選定の段階で確認しておくと、打診のときにそのまま相手の判断材料として渡せます。
- 負担の軽い接続方法も用意して選ばせる:サーバ同士の接続が難しい取引先には、ブラウザで使える方法やPC環境で動く手順を並行して提示すると、相手の事情に合わせて選んでもらえます。
- 回線終了の期限を共有する:期限が決まっている手順を使っている取引先には、その事実を早めに伝えることで先方の稟議も動きます。切替の相談は終了間際に集中するため、余裕をもって着手する理由として説明できます。
- 接続試験と並行稼働の期間を見込む:依頼から本番切替までには、相手側の設定と接続試験、既存の受け口との並行稼働が必要です。取引先ごとにこの期間を工程表に入れておきます。
応じてもらえない取引先が残ることも前提に置いてください。その分はステップ3で「個別対応を続ける」に分類し、従来の受け口を残す判断になります。
EDIシステムを導入するメリットと注意点
ここからは、導入の是非を判断する材料として、得られる効果と事前に押さえておきたい点を整理します。
EDIシステムを導入するメリット
受注データが基幹システムにそのまま取り込まれることによる効果は冒頭で触れたとおりですが、標準に寄せた場合はもう一段の効果があります。
- 取引先追加時の負担が軽くなる:標準に対応した相手であれば、個別の仕様打ち合わせをせずに接続できます。流通BMS協議会は導入効果として「小売/卸売双方で取引先追加時のシステム仕様打合せ等の負担が軽減」と説明しています。
- 取引データを検索・再利用しやすくなる:紙や個別ファイルで散在していた取引情報が一元的に管理され、過去の取引の照会が容易になります。後述する保存要件を満たすうえでも土台になります。
出典・参考資料(1件)
導入前に押さえたい注意点・デメリット
- 費用対効果は取引件数で決まる:EDIの効果は削減できる転記工数に比例します。取引件数の少ない取引先まで一律に接続すると、設定と維持の費用が効果を上回ることがあります。件数の多い取引先から順に接続する判断が要ります。
- 運用体制と障害時の対応を決めておく必要がある:EDIは締め時刻のある業務なので、送受信が失敗したときに誰が気づき、誰が再送するのかを決めておかないと、業務が止まります。運用監視を自社で持つか、サービス側に任せるかは選定の重要な分岐点です。
- 既存の業務プロセスの変更が伴う:受注データが自動で入ることで、これまで人が目視で行っていた確認や補正の工程が変わります。誰がどのタイミングで内容を確認するかを、導入と合わせて設計し直す必要があります。
公表資料から見る導入効果の目安
効果の水準を示す公的な資料もあります。中小企業共通EDIの策定にあたって行われた実証事業では、受発注企業ともに約50%程度の業務時間削減効果が確認されたと報告されています。
平成28年度経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)にて、12地域・業界を選定し、国連CEFACTに準拠した共通辞書を用いて、それぞれの業種・地域毎のEDIの仕組み・システムの連携、さらには各グループのEDIを連携できるよう、業種の垣根を越えた企業間ビジネスデータ連携基盤について実証事業を行い、受発注企業ともに約50%程度の業務時間削減効果が見られることが確認されました。
出典:中小企業共通EDI標準について|特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
この数値は中小企業共通EDIの実証事業で確認されたもので、EDI全般の効果を示すものではありません。自社の効果は、現在の転記工数と接続する取引先の取引件数から見積もってください。
流通BMSについては、導入によって「旧来のJCA手順に比べてデータの送信時間が大幅に削減されることで、卸売側の出荷業務の開始時間が早くなり、物流コストの削減や発注から納品までのリードタイム短縮が期待されています」と流通BMS協議会が説明しています。
EDIシステムの選び方・比較ポイント
ここまでの整理を踏まえて、候補を絞る観点を5つにまとめます。それぞれ後述の比較表の列と対応しているので、表を見るときの手がかりとして使ってください。
対応プロトコル・対応フォーマットの範囲は足りるか
ステップ2で洗い出した取引先の手順とフォーマットを、その製品が1つで受けきれるかを確認しておく必要があります。取引先が10社なら10社分すべてが対応表に収まる必要があり、1社でも欠ければ別の手立てが要ります。
ここで注意したいのが、対応をうたっていても製品資料に手順名が列挙されていないケースがあることです。公式に対応手順を一覧で公開している製品は、自社の要件との突き合わせがその場でできます。記載がない製品は、必要な手順を個別に問い合わせて確認してください。
取引先ごとの差分を吸収する変換機能はどこまで柔軟か
ステップ4で「サービス側の変換機能で吸収する」を選んだ場合、製品ごとの違いが効いてきます。見るべきは3点です。変換定義を誰が作るのか(自社かベンダーか)、取引先の仕様変更が起きたときに自社で編集できるのか、そのたびに追加費用が発生するのか。
取引先の入れ替わりが多い業種では、変換定義の追加が年に何度も発生します。1件あたりの設定費用が積み上がると、月額料金の安さは相殺されます。定義の作成主体と費用の考え方は、見積もり段階で必ず確認してください。
基幹システムへの渡し方は自社の環境に合うか
変換したデータを基幹システムにどう渡すかは、ファイル連携、API、専用アダプタのいずれかになります。既存の基幹システムがバッチ処理でファイルを取り込む設計であればファイル連携で足り、リアルタイムに在庫を引き当てるならAPIが要ります。
使っているERPパッケージに対する専用アダプタを持つ製品であれば、接続部分の開発を省けます。自社の基幹システム名を挙げて、連携実績があるかを確認するのが確実です。
セキュリティと通信の信頼性は要件を満たすか
取引データは受発注の金額と数量を含むため、通信経路の暗号化と相手の認証が必要です。AS2やebXML MSは電子署名と暗号化を仕様に含んでおり、送達確認の仕組みも備えています。
加えて、締め時刻に間に合わせるための可用性も要件になります。運用監視が24時間365日で提供されるか、障害時の連絡経路がどうなっているかを確認してください。閉域網での接続を選べる製品もあり、インターネット経由を避けたい場合の選択肢になります。
レガシーEDIからの移行支援・運用代行はあるか
INSネットの提供終了に向けて移行を進める場合、現行の設定を読み解いて新しい手順に置き換える作業が発生します。この作業を自社で担えるか、ベンダーに任せられるかで、必要な体制が変わります。
移行支援のメニューを持つ製品や、日々の運用監視まで引き受けるサービスであれば、社内にEDIの専任者を置けない企業でも運用を継続できます。逆に、自社で変換定義まで管理したい企業には、設定の自由度が高い製品が向きます。どちらを選ぶかは、次に整理するタイプ分類とも重なります。
EDIシステムの4つのタイプ
選び方の観点を、取引先の状況と自社が取れる進め方でまとめ直すと、EDIシステムは4つのタイプに分けられます。自社がどの型で進めるかを先に決めると、候補はおおきく絞り込めます。
| タイプ | 取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ | 変換ルールを自社に持って作り込むタイプ | 特定業界の標準に絞って導入するタイプ | 取引先にWeb画面を使ってもらうタイプ |
|---|---|---|---|---|
| どんな企業に向くか | 取引先が多く、相手のシステムが古いものから新しいものまで混在している企業 | 要件が固有で外部に運用を預けにくい企業、既存の基幹システムと密に結合させたい企業 | 対応すべき手順が業界標準に限られている企業 | 自社が発注側として取引先を巻き込める立場にある企業 |
| 特徴 | 多数の通信手順とデータフォーマットに対応し、取引先ごとの差分の変換も日々の運用監視もサービス提供側に任せられる。閉域網での接続を選べる製品もある | 自社の設備・ライセンスとしてEDIサーバーを持ち、取引先ごとのマッピング定義を自社で管理する | 流通BMS・中小企業共通EDIなど、自社の業界で使われている標準に的を絞る。短期間・低コストで始められる | 受注側に専用ソフトの導入を求めず、ブラウザでの入力・ダウンロードで受発注を回す |
※上記は各タイプにおける一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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EDIシステムの費用相場と課金単位
EDIシステムの費用は、金額そのものよりも「何に対して課金されるか」を揃えて比べないと判断できません。同じ月額でも、接続する取引先が増えたときに増えるものと増えないものがあるためです。
課金の単位は主に次の5つに分かれます。
- 初期費用:導入時の環境構築や設定にかかる費用です。オンプレミス型ではライセンス購入費がこれにあたります。
- 月額基本料:サービスの利用に対して毎月かかる費用です。プランによって使える機能や規模の上限が変わります。
- 接続先数課金:接続する取引先の数に応じて増える課金です。取引先を広げる計画があるなら、増えたときの金額を確認しておく必要があります。
- 伝送回数・トランザクション課金:送受信の回数や件数に応じた課金です。取引件数の変動が大きい場合、月ごとの金額が読みにくくなります。
- 設定作業費:取引先の追加やフォーマット変更のたびに発生する作業費です。表に出にくい費用ですが、取引先の入れ替わりが多い企業では総額に効いてきます。
公式に金額を公開している製品を並べると、価格帯は規模と提供形態でおおよそ3つに分かれます。いずれも2026年8月時点で各社が公開している金額を集計したものです。
- 月額数千円台〜(業界標準に絞って導入するタイプ):発注側の月額が取引社数に応じた段階制になっており、取引先が数社なら月額3,000円台から始められます。初期費用を無料に置き、導入支援や機能追加をオプションで課金する形が多く見られます。
- 初期十数万円+月額3万〜十数万円(取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ):初期費用を12万円前後に置き、月額を取扱件数や伝送回数で段階制にする形が中心です。月100件規模なら月額3万円台、月5,000件規模なら12万円台が公開されている水準です(通信機能とデータ変換機能で別建てにしている製品もあり、その場合は同額がもう1本かかります)。接続先数に依存しない定額制を採る製品もあります。
- 初期数十万〜数百万円(変換ルールを自社に持って作り込むタイプ/大規模なセンター型):オンプレミスの買い切りは90万〜130万円台のライセンス費に、対応させる通信手順の分だけオプションが加算されます。多数の手順を束ねて運用ごと引き受ける大規模なセンター型では、初期費用500万円・月額20万円が公式に示されている水準です。
取引先が数社〜十数社で業界標準に収まるなら月額数千円〜数万円台、取引先が数十社規模で複数の手順を束ねるなら初期十数万円+月額十万円前後、全社の基幹に組み込んで数百社と接続するなら初期数百万円規模、という当たりの付け方になります。製品ごとの実額は後述の比較表で確認できます。
EDIシステムは料金を公開していない製品が多く、見積もりを取らないと総額が確定しないのが実情です。公開されている実額と課金単位から自社の条件に当てはめ、候補を絞ってから見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
また、受注側の費用を無料にしているサービスもあります。取引先に導入してもらう必要がある場合、この点は交渉のしやすさに直結します。
課金単位が分かると、公開されている金額を自社の取引件数と接続先数に当てはめて比べられます。各社の資料には、公式サイトに出ていない料金表や導入時の作業範囲が載っていることもあります。
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EDIデータの保存と電子帳簿保存法
EDIで授受した注文データは、電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当します。ここを見落とすと、システムを入れ替えたあとに保存要件を満たしていない状態が生まれます。ステップ4で決めた変換方式にも制約がかかるため、選定と並行して確認しておく必要があります。
電子帳簿保存法は、電子取引を次のように定義しています。
五 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第2条第5号|e-Gov法令検索
定義に「注文書」が明記されており、受発注のEDIが正面から当たります。
国税庁の一問一答も「具体的には、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用した取引、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。」として、EDI取引を電子取引の例に挙げています。
そのうえで、保存義務が定められています。
第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条|e-Gov法令検索
満たすべき保存要件
国税庁が示す要件の概要は次のとおりです。
- 見読可能装置の備付け等:ディスプレイやプリンタを備え、データを整然とした形式で速やかに出力できる状態にします。
- 検索機能の確保:取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索条件に設定でき、日付や金額は範囲指定ができ、2つ以上の項目を組み合わせられることが求められます。
- 真実性の確保:タイムスタンプの付与、訂正削除の記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムの利用、事務処理規程の策定・運用のいずれかの措置を行います。
- システム概要書類の備付け:自社開発のプログラムを使用する場合に必要になります。
真実性の確保のうち、訂正削除の履歴が残る仕組みはEDIサービス側の機能で満たしやすく、事務処理規程は自社で整備することになります。どちらで満たすかを決めておくと、製品に求める要件が明確になります。
検索機能については、前々事業年度の売上高が5,000万円以下の場合などに不要となる措置がありますが、その場合も税務職員からのダウンロードの求めに応じられる必要があります。売上規模が基準を超える企業では、検索要件は原則として満たすことになります。
出典・参考資料(3件)
変換して保存する場合の線引き
EDIの実務で判断に迷うのが、取引先から受け取ったデータをそのまま保存するのか、自社形式に変換したあとのデータを保存してよいのか、という点です。国税庁はこの問いに直接答えています。
EDI取引で授受した電子取引の取引情報として保存すべきデータは、EDI取引で実際に授受したデータそのものに限定されておらず、当該EDI取引で授受したデータについて、その取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集されたデータにより保存することも可能です。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)問40|国税庁
ただし条件があります。同じ一問一答の解説は「授受したデータを手動により転記して別形式のデータを作成する場合は、取引内容の変更可能性があることから、当該別形式のデータは合理的に編集したものに当たらないものと考えられます。」としています。コード変換についても、変換テーブルを使って自動的に変換されることと、その変換テーブルを併せて保存しておくことが必要とされています。
このように、ステップ4で決めた変換の仕組みは自動処理である必要があり、変換に使ったコード対応表も保存対象になります。人が画面を見て入力し直す運用が残っていると、その部分は保存要件を満たしません。変換方式を決める段階で、この線引きを設計に織り込んでおいてください。
ただし、保存要件を満たせないことに相当の理由があると所轄税務署長が認める場合の猶予措置もありますが、これはデータ保存自体を免除するものではありません。電子データを出力した書面での保存に代えることは認められていない点に注意が必要です。
要件を満たさなかった場合の扱いとして条文上明確なのは、隠蔽・仮装があった場合の重加算税の加重です。電子帳簿保存法第8条第5項は、電子取引の記録に関する隠蔽・仮装について、重加算税の額に10%を乗じた金額を加算すると定めています。
EDIで授受したデータの保存は、メールやWebで受け取った請求書など社内の他の電子取引データと同じ枠組みの話です。事務処理規程の整備や対応の進め方まで含めて電子帳簿保存法への対応を確認したい場合は、以下の記事をご覧ください。
【比較表】EDIシステムをタイプ別に比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要なEDIシステム21製品を4つのタイプ別に分類してご紹介します。「対応通信プロトコル」の列は、取引先の取引仕様書に書かれている手順名とそのまま突き合わせてご覧ください。
タイプ別の表に入る前に、回線終了の対象になっている手順に公式で対応している製品を並べます。ステップ2で洗い出した手順が下の行に当てはまるなら、まずここに挙がった製品が候補になります。
| 通信手順 | JCA手順(流通J手順・電話回線) | 全銀協標準通信プロトコル ベーシック手順・TCP/IP手順(公衆電話網・ISDN) | 全銀協標準通信プロトコル TCP/IP手順・広域IP網(現行) | JX手順(流通BMS・クライアント型) | EDIINT AS2(流通BMS・サーバ型) | ebXML MS(流通BMS・サーバ型) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 使われている場面 | 流通業の旧来のEDI。電話回線を使うため回線終了の影響を直接受ける | 銀行との接続および企業間のファイル交換。2023年12月末でサポート終了 | 上記2手順の移行先。IP網を適用回線とする現行の手順 | 取引量が少なくPC環境で接続したい場合。受注側の負担が軽い | 取引量が多くリアルタイムに送受信したい場合。取引先側にもサーバが要る | 複数拠点へ送信する構成。セキュリティと高信頼配信を仕様に含む |
| 公式に対応を明記している製品 | クラウドEDI-Platform/EOS名人.NET/ACMS Apex/ROS3/EDIPACK Solution | クラウドEDI-Platform/ACMS Apex/ROS3/EDIPACK Solution | スマクラ/JSOL EDIサービス/JFT/SaaS/EDI-Master Cloud/ACMS Cloud/トラコ/クラウドEDI-Platform/EOS名人.NET/ACMS Apex/Biware EDI Station 2/ROS3/EDIPACK Solution ※JFT/SaaS・トラコは公式表記が「全銀TCP/IP」「全銀TCP/IP(TLS)」で、広域IP網向けかどうかの明記はありません | スマクラ/JSOL EDIサービス/JFT/SaaS/EDI-Master Cloud/ACMS Cloud/トラコ/EOS名人.NET/ACMS Apex/Biware EDI Station 2/ROS3/EDIPACK Solution | スマクラ/JSOL EDIサービス/JFT/SaaS/EDI-Master Cloud/ACMS Cloud/トラコ/クラウドEDI-Platform/OpenText B2B Integration/ACMS Apex/Biware EDI Station 2/ROS3/EDIPACK Solution | スマクラ/JSOL EDIサービス/JFT/SaaS/ACMS Cloud/トラコ/ACMS Apex/Biware EDI Station 2/ROS3/EDIPACK Solution |
※各社の公式サイトに対応の記載があるものを集計しています。記載がないことは非対応を意味しないため、必要な手順は各社にご確認ください。
取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプの比較
| サービス名 | スマクラ | EDIプラットフォームサービス | REDISuite | JSOL EDIサービス | JFT/SaaS | EDI-Master Cloud | ACMS Cloud | トラコ | OpenText B2B Integration |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応通信プロトコル | ebXML MS2.0/MS3.0 EDIINT-AS2 JX手順 全銀TCP/IP広域IP網(SSL/TLS) SFTP/FTP | 公式サイトに記載なし (「マルチプロトコル対応」とのみ記載) | 公式サイトでは図版内に記載 (テキストの一覧なし) | 流通BMS(AS2・JXなど) ebMS手順 HULFT手順 AS2手順 全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網) | 全銀TCP/IP手順 全銀TLS手順 AS2手順 JX手順 ebXML2.0/3.0手順 FTP/FTPS/SFTP WebEDI手順 | 全銀TCP/IP(広域IP網) JX手順 AS2 | 全銀TCP/IP(広域IP網) JX手順 ebXML MS 2.0 AS2 SFTP Web API | 全銀TCP/IP(TLS) AS2 ebMS JX SFTP/FTP HTTP HULFT WebEDI | AS2 AS4 OFTP2 SFTP/FTP/FTPS HTTPS 全銀TCP-IP・JCA手順は公式サイトに記載なし |
| 対応フォーマット・業界標準 | 固定長・可変長 CII標準 EDIFACT 流通BMS(XML) ZEDI 日食協標準フォーマット | 公式サイトに記載なし (フォーマット変換機能の実装は明記) | 固定長・CSV等の個別メッセージと流通BMSメッセージ・JCAメッセージ・標準CSVメッセージの相互変換 | EIAJ-EDI(Web-EDI、JEITA Web-EDIガイドライン適合) 個別のフォーマット名は公式サイトに記載なし | 固定長・可変長 CSV XML 流通BMSは公式サイトの対応一覧に記載なし | 流通BMS 企業独自フォーマット(項目の並び替え・追加・削除) CII標準・EDIFACTはクラウド版の記載なし | 固定長 CSV XML JSON Excel CIIシンタックス UN/EDIFACT ANSI X12 | 取引先固有レイアウト CSV CII EDIFACT XML 流通BMSは公式サイトに記載なし | ANSI X12 EDIFACT Tradacoms XML |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 取引先(受注側)の負担 | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし |
| 基幹システム連携 | CSV・XML・固定長でのファイル連携 SAP・PROACTIVE等と接続実績 | mcframe連携オプション APIオプション(EDI-API) | SAP等の基幹システムと連携 (方式は公式サイトに記載なし) | Web API連携(J’s APIコネクト) 取引先ごとの電文レイアウト・文字コードを変換 | コマンドAPI連携 (対応ERP名は公式サイトに記載なし) | SFTPによるファイル連携 | Web API連携 SFTPによるファイル連携 | REST API連携 他システム・クラウドストレージ連携 | SAP・NetSuite・Dynamics 365・IBM i等と連携(ERP非依存) |
| 料金 | 初期費用500万円〜 月額20万円〜 | 非公開 | 非公開 | 非公開 (データ量に応じたSaaS方式) | 初期費用120,000円〜(20接続先まで) 通信機能60,000円/1手順 月額30,000円〜(月100件まで、件数別4プラン) ※月額は通信機能とデータ変換機能がそれぞれ同額の別建て | 初期費用10万円 月額は非公開(データ転送量別のS/M/L定額制) | 月額150,000円〜(伝送2,000回/月) 300,000円〜(5,000回/月) 450,000円〜(10,000回/月) 初期費用は非公開 | 非公開 (従量課金ではない方式、ボリュームディスカウントあり) | 非公開 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・対応状況は2026年8月時点で各社が公開している情報にもとづきます。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
変換ルールを自社に持って作り込むタイプの比較
| サービス名 | ACMS Apex | Biware EDI Station 2 | ROS3 | EDIPACK Solution |
|---|---|---|---|---|
| 対応通信プロトコル | 全銀手順 全銀TCP/IP(広域IP網) JCA手順 EDIINT AS2 ebXML MS JX手順 OFTP2 FTP/SFTP | JX手順 全銀TCP/IP手順(LAN・広域IP網) EDIINT AS2 ebXML MS 2.0/3.0 SFTP FTP FAX | 全銀BSC手順 全銀TCP/IP(広域IP網) JCA手順 SFTP HTTP/HTTPS HULFT連携 ZEDI 流通BMS(JX・AS2・ebXML MS、いずれもオプション) | JCA手順 全銀BSC 全銀TCP/IP TCP/IP手順広域IP網 ebXML(MS) JX(SOAP-RPC) EDIINT AS2 ZEDI手順 |
| 対応フォーマット・業界標準 | 固定長 CSV XML 流通BMS | 流通BMS UN/EDIFACT CII標準 固定長・可変長 CSV・TSV DBMS(SQL Server/Oracle) | 公式サイトに記載なし (資料請求で確認) | 固定長メッセージ 業界標準フォーマット XML CSV 流通BMS |
| 提供形態 | オンプレミス(仮想化・クラウド環境でも稼働可) | オンプレミス | オンプレミス(アプライアンス対応) | オンプレミス・クラウド(ASP型は運用監視を代行) |
| 取引先(受注側)の負担 | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし |
| 基幹システム連携 | SAP S/4HANAと直接連携 Web API(OData・REST・SOAP) | Web API フォルダー監視・コマンド呼出によるファイル連携 ASTERIA WARP・HULFT連携(オプション) | ユーザーアプリ起動コマンドによる連携 API連携 | 後続処理起動による連携 (方式は公式サイトに記載なし) |
| 料金 | 月額28,800円〜(スタンダード) 76,800円〜(エンタープライズ) 144,000円〜(アドバンスト) | Standard版900,000円 Professional版1,300,000円 (税抜・1年保守付き。通信手順追加は各200,000円/400,000円) | 非公開 | 非公開 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・対応状況は2026年8月時点で各社が公開している情報にもとづきます。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
特定業界の標準に絞って導入するタイプの比較
| サービス名 | クラウドEDI-Platform | EOS名人.NET | EXtelligence EDIFAS | EcoChange | CBP注文決済サービス |
|---|---|---|---|---|---|
| 対応通信プロトコル | 流通BMS 全銀TCP/IP・広域IP網(TLS) AS2 FTP HULFT BACREX Web-EDI メールEDI JCA手順・全銀協手順 | 流通BMS(JX手順、Ver1.1/1.3/2.0/2.1) 全銀TCP/IP(広域IP網) JCA手順 Web-EDI メールEDI ※JCA手順・全銀手順のダイヤルアップ通信ソフトは2023年1月販売終了・2024年1月保守終了 | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし (中小企業共通EDI標準Ver.4.2に準拠、ZEDI対応) | 公式サイトに記載なし (メール・FAX・各種EDI・Web-EDI・業界VANに対応と記載) |
| 対応フォーマット・業界標準 | 流通BMS(複数バージョン) 取引先ごとのフォーマットをセンターで変換代行 個別のフォーマット名は公式サイトに記載なし | 流通BMS(基本9メッセージ+オプション14メッセージ) 固定長・CSV等の個別名は公式サイトに記載なし | 中小企業共通EDI標準フォーマット(国連CEFACT共通辞書に準拠) | 共通EDI標準メッセージ CSV | 中小企業共通EDI標準(レベル2業務アプリ認証) 個別のフォーマット名は公式サイトに記載なし |
| 提供形態 | クラウド | オンプレミス(電子帳簿保存法対応はクラウドオプション) | クラウド | クラウド | クラウド |
| 取引先(受注側)の負担 | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 受注側は無料プラン「EDIFAS FREE」を利用可能 月100件を超える送信分は超過社数×3,000円が発注側に加算 | クライアント端末にWindows用の専用ソフトの導入が必要(自動インストール・自動アップデート) Flatは取引先企業の基本パックが年額36,000円 | 公式サイトに記載なし (アカウント数による課金は発生しない) |
| 基幹システム連携 | 既存フォーマットのままファイル連携 (方式は公式サイトに記載なし) | マッピング機能によるファイル連携 (対応ERP名は公式サイトに記載なし) | CSV連携 API連携(月額1,000円のオプション) Agent連携(月額10,000円のオプション) | API連携(Flex月額1,000円/Flat年額12,000円) CSV連携 | SAP・mcframeと標準連携 API連携・ファイル連携 |
| 料金 | 非公開 | 非公開 | 初期費用0円〜 月額3,000円(1〜5社)〜33,000円(31〜100社)、101社以上は要相談 (税別・1IDあたり) | ホスト初期登録費用150,000円 Flex:基本パック月額700円〜(月500件まで) Flat:ホスト企業年額300,000円・取引先企業年額36,000円 | 非公開 (年額基本料金+取引量に応じた従量課金) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・対応状況は2026年8月時点で各社が公開している情報にもとづきます。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
取引先にWeb画面を使ってもらうタイプの比較
| サービス名 | EdiGate/POST | MONQX EDI | Hi-PerBT ウェブ購買 |
|---|---|---|---|
| 対応通信プロトコル | ブラウザ利用が前提のため取引先ごとの通信手順の指定なし(公式に手順の記載なし) | ブラウザ利用が前提のため取引先ごとの通信手順の指定なし(公式に手順の記載なし) | ブラウザ利用が前提のため取引先ごとの通信手順の指定なし(公式に手順の記載なし) |
| 対応フォーマット・業界標準 | PDF CSV Excel 図面データ 業界標準フォーマットは公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | 公式サイトに記載なし |
| 取引先(受注側)の負担 | 専用ソフトのインストール不要(インターネット環境があれば利用可) インターネット環境がない取引先はFAX自動送信オプションで対応 | 公式サイトに記載なし (受注側は納期回答入力・受注残照会・出荷入力をWeb画面で利用) | 公式サイトに記載なし |
| 基幹システム連携 | 送受信データの自動アップロード・ダウンロードによるファイル連携 (方式は公式サイトに記載なし) | mcframe 7と連携するベース機能を提供 | ERPパッケージ・他システムとの連携に対応 (方式は公式サイトに記載なし) |
| 料金 | 非公開 (FAX自動送信オプションのみ初期50,000円・月額基本料0円・送信25円/枚) | 非公開 | 非公開 (利用者数によらないサーバーライセンス方式) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・対応状況は2026年8月時点で各社が公開している情報にもとづきます。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
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EDIシステムのサービス個別紹介
ここからは、比較表に掲載した21サービスをタイプ別に紹介します。
取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ
取引先ごとの通信手順とデータフォーマットの差分を、サービス提供側の変換で吸収してもらう9サービスです。日々の伝送監視やエラー対応まで任せられるかは製品によって差があるため、運用範囲もあわせて確認してください。
1. スマクラ(SCSK株式会社)

SCSK株式会社が約40年にわたり提供してきたクラウド型のEDIサービスです。インターネットEDI・Web-EDI・流通BMS・FAX自動配信・従来型EDIを1つのサービスでカバーする構成を取り、本部契約300社以上、接続端末3万社以上の実績を公表しています。オンプレミス型の提供はありません。
対応する通信手順として、公式サイトはebXML MS2.0/MS3.0、EDIINT-AS2、JX手順、全銀TCP/IP広域IP網(SSL/TLS)、SFTP/FTPなどを挙げています。
データフォーマットは固定長・可変長のほか、CII標準、EDIFACT、流通BMS(XML)、ZEDI(XML)、日食協標準フォーマットなど業界別の標準に対応し、取引先ごとの差分はサービス側のトランスレート機能で変換します。
料金は公式FAQで初期費用500万円から、月額20万円からと示されており、接続先企業数・機能・連携方式によって変動します。運用はEDI専門要員による24時間365日のインフラ監視で、電子帳簿保存法への対応はオプションの「スマクラ データアーカイブ」が担います(電子帳簿保存法の要件適合をチェックする第三者認証であるJIIMA認証を令和三年度基準で取得、認証番号606500-00)。
2. EDIプラットフォームサービス(TISI株式会社)

2026年7月1日にTIS株式会社と株式会社インテックが合併し、商号をTISI株式会社に変更した同社が、旧インテックから引き継いで提供しているEDIサービスです。受発注・出荷・返品・請求・支払いのデータ交換について、設備の保有から導入後の保守・運用までをまとめて外部に預けられるクラウド型の構成を取っています。
公式サイトは「マルチプロトコル対応」「多くの通信プロトコルへの対応」と説明していますが、対応する手順の名前を一覧で公開していません。移行途中で従来手順とインターネット経由の手順が混在する期間を1つの契約で扱えるかは、自社の取引先が使っている手順を挙げて個別に確認する必要があります。
同社はEDI事業として、サービス提供年数40年以上、契約社数400社以上、接続数9万ID以上を公表しています。データフォーマットについても対応する形式の一覧は公開されていません。基幹システムとの連携はmcframe連携やAPIオプション、電子帳簿保存法への対応は電子帳票システム「快速サーチャーGX」と連携するEDIデータ保存オプションが用意されています。料金は公式サイトでは公開されていません。
3. REDISuite(株式会社日立システムズ)

レガシーEDI・Web-EDI・FAX・電子メールと分かれている受け口を1つにまとめ、取引先ごとに異なるフォーマットの変換を株式会社日立システムズ側で引き受けるSaaS型のサービスです。自社固有のメッセージ(固定長・CSVなど)と、流通BMSメッセージ・JCAメッセージ・標準CSVメッセージとの変換に対応します。
紙とFAXが残る運用に対しては、AI-OCRで受注内容をデータ化して基幹システムへ渡す機能と、Web-EDIのダウンロード作業をRPAで自動化する機能を用意しています。授受したEDIデータは専用のサーバーで7年間保存され、Web画面から検索・ダウンロードできます。
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの導入事例では、月間約30,000時間の事務作業工数削減と、取引先側の伝票入力作業の約70%削減が公式事例ページに記載されています。取引先からの問い合わせは24時間365日対応のヘルプデスクが受けます。料金は公式サイトでは公開されていません。
4. JSOL EDIサービス(株式会社JSOL)

アプリケーションの提供と業務運用の代行を組み合わせたEDIのアウトソーシングサービスで、株式会社JSOLが1983年開始のVANサービスを起点に40年以上提供しています。基幹システムとの自動連携を軸とする「ファイル交換型」と、ブラウザ上で受発注をやり取りする「Web-EDI」の2系統があります。
ファイル交換型の対応通信手順として、公式サイトは流通BMS(AS2・JXなど)、ebMS手順、HULFT手順、AS2手順、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)を挙げています。
取引先ごとに異なる電文レイアウトを自社レイアウトへ変換し、文字コードも取引先に合わせて変換する設計です。Web-EDI側は業界標準のEIAJ-EDIに対応し、JEITA Web-EDIガイドラインに適合しています。
料金はデータ量に応じて使った分を支払うSaaS方式であることのみが公開され、金額は非公開です。24時間365日の稼働体制を取り、夜間や土日祝日に通信エラーが発生した場合のリカバリ対応も含みます。Web-EDIの契約継続率は96%と公式に示されています。
5. JFT/SaaS(株式会社TOKAIコミュニケーションズ)

電話回線を使った通信からインターネット経由の通信までを月額制で利用できる、株式会社TOKAIコミュニケーションズのクラウド型EDIサービスです。公式サイトは全銀TCP/IP手順・全銀TLS手順・AS2手順・JX手順・ebXML2.0/3.0手順など8つの手順を列挙し、これ以外の手順もカスタマイズで対応するとしています。
料金は初期費用が基本設定120,000円から(20接続先まで)、通信機能が1手順あたり60,000円、月額は月100件までのEntryプランで30,000円と公開されています。この月額は通信機能の金額で、データ変換機能を使う場合は同額がもう1本かかる建て付けです。初期費用の通信機能も1手順あたりの金額なので、扱う手順が増えるほど積み上がります。
月額は取扱件数に応じてEntry・Small・Medium・Largeの4段階で、月5,000件まで扱うLargeプランは通信機能・データ変換機能それぞれ120,000円です。データの並びを変えるフォーマット変換と、EBCDIC(汎用機で使われてきた文字コード)を含む文字コード変換に対応します。
一方で、流通BMSやJCA手順は公式ページの対応手順一覧に含まれておらず、これらが必要な場合は個別の確認が要ります。サポートは通常時が営業日9:30〜17:30、障害発生時は24時間365日の対応です。
6. EDI-Master Cloud(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社が2022年11月に提供を開始した、AWS基盤のクラウド型EDIサービスです。通信・変換・基幹連携・ジョブフロー・運用管理の5つのサービスで構成され、サーバーを持たずに送受信から基幹システムへの受け渡しまでを自動実行できます。
通信サービスが対応するのは全銀TCP/IP(広域IP網)、JX手順、AS2の3つで、JCA手順など旧来の回線を前提とした手順への対応は公式サイトに記載がありません。変換サービスは項目の並び替え・追加・削除によるフォーマット変換と流通BMSに対応し、基幹システムとはSFTPでファイルを受け渡します。
料金は接続先数や設定ファイル数に依存しない月額定額制で、月間データ転送量に応じたS/M/Lの3プランがあります。金額は問い合わせが必要ですが、提供形態の比較ページには初期費用10万円と記載されています。従量課金の外部サービスから移行したSBS東芝ロジスティクスの事例では、運用コストが従来の5分の1になり、5カ月でサービスインしたと公表されています。
7. ACMS Cloud(株式会社データ・アプリケーション)

1992年から続くEDIパッケージ「ACMS」シリーズの技術基盤を受け継ぐクラウドサービスとして、株式会社データ・アプリケーションが2025年11月に提供を開始しました。同社が「EDI × iPaaS」(iPaaSはクラウド上でシステム同士をつなぐ連携基盤)と位置づけるとおり、取引先とのEDI通信と、社内システム・クラウドサービス間のデータ連携を1つのプラットフォームで扱います。
対応する通信手順は全銀TCP/IP(広域IP網)、JX手順、ebXML MS 2.0、AS2、SFTP、Web APIです。データは固定長・CSV・XML・JSON・Excelに加え、CIIシンタックスやUN/EDIFACT、ANSI X12にも変換でき、処理の流れはブラウザ上のドラッグ&ドロップで設定します。JCA手順や流通JCA-Hは公式サイトの対応一覧に含まれていません。
月額料金は伝送回数に応じた3段階で、月2,000回のLiteプランが150,000円から、月5,000回のStandardが300,000円から、月10,000回のEnterpriseが450,000円からと公開されています。2026年6月提供の「ACMS Cloud 2.0」では、生成AIがWeb APIの設定案を作る機能などが既存プランの範囲で追加されました。
8. トラコ(デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社)

EDIに必要な環境をひとまとめにしてSaaS形式で提供する、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社のサービスです。取引先ごとに分かれる通信手順を1か所に集約する構成で、全銀TCP/IP(TLS)、AS2、ebMS、JX、SFTP/FTP、HULFT、WebEDIなどに対応します。
データ面では、取引先固有のレイアウトとCSV・CII・EDIFACT・XMLとの相互変換に加え、EBCDICとシフトJISのような文字コード変換やコードの読み替えに対応します。通信が失敗したときの自動リトライ、ジョブの実行監視とメール通知も備えており、締め時刻のある送受信で失敗に気づける作りです。
料金は非公開ですが、公式サイトは「従量課金ではないため、データ量の心配もなく運用することができます」とし、ボリュームディスカウントもあると明示しています。ISDN回線の終了を機に移行した水澤化学工業の事例も公開されています。ただし、流通BMS・JCA手順・流通JCA-Hへの対応については公式サイトに記載がありません。
9. OpenText B2B Integration(オープンテキスト株式会社)

カナダのOpenText Corporationが運営するグローバルなB2Bネットワーク「Trading Grid」を基盤に、企業規模別の3製品で提供されるEDIサービスです。
最上位の OpenText B2B Integration Enterprise のほか、Foundation と Essentials の計3エディションが用意されています。日本ではオープンテキスト株式会社が窓口となっており、EDI事業を手がけていた旧GXS株式会社を2018年に統合した経緯があります。
公式製品ページには、接続済みの取引先が100万社以上、年間の取引件数が310億件以上と記載されています。
対応手順はAS2・AS4・OFTP2・SFTP・HTTPSなど、フォーマットはANSI X12・EDIFACT・Tradacomsといった海外標準が中心です。国内向けには、NTTデータの金融EDIサービス「AnserDATAPORT」と接続し、金融機関が指定する形式へ自動変換するサービスを2021年から提供しています。
一方で、全銀TCP-IP・JCA手順・流通BMSといった国内標準の手順への対応は、日本語・英語いずれの公式製品ページにも記載がありません。国内の取引先と従来手順で接続する必要がある場合は、対応可否を個別に確認してください。料金も公開されておらず、いずれの製品も問い合わせによる見積もりとなります。
変換ルールを自社に持って作り込むタイプ
EDIサーバーを自社の設備・ライセンスとして持ち、取引先ごとのマッピング定義を自社で管理する4サービスです。導入時に対応手順のライセンス構成と、変換定義を誰が保守するかを決めておく必要があります。
10. ACMS Apex(株式会社データ・アプリケーション)

EDIパッケージ「ACMSシリーズ」の最上位モデルにあたる、オンプレミス型のデータ連携基盤です。開発元は株式会社データ・アプリケーションで、EDI通信・データ変換・システム間連携を1本のソフトウェアで扱います。シリーズにはB2Bサーバーの「ACMS B2B」、中小規模向けクライアントの「ACMS Lite Neo」、全銀TCP/IP手順と拡張Z手順に対応する「ACMS/WS」もあります。
公式の特長ページには、対応する通信手順として全銀手順、全銀TCP/IP、JCA手順、EDIINT AS2、ebXML MS、FTP、OFTP2、JX手順が挙げられています。
データ変換は固定長・CSV・XML・流通BMSのフォーマット変換と文字コード変換を連携フローの中で実行する構成で、SAP S/4HANAとの直接連携やWeb API(OData、REST、SOAP)による外部システム連携にも対応します。
料金はエディション比較ページに月額の目安が示されており、スタンダードが月額28,800円から、エンタープライズが76,800円から、アドバンストが144,000円からです。機能と価格の詳細は営業窓口への問い合わせと案内されています。Web-EDIの構築はACMS Web/deTrade II、ノーコードのデータ変換はAnyTranがオプション・関連製品として用意されています。
11. Biware EDI Station 2(株式会社インターコム)

株式会社インターコムが提供する、取引先との通信・データ変換・基幹システム連携をひとつにまとめたオンプレミス型のEDI統合管理システムです。公式サイトが掲げる累計66,000社以上という数字はBiwareシリーズ全体の実績で、本製品単体の導入社数は公表されていません。
現行の公式機能ページに掲載されている通信手順は、JX手順、全銀TCP/IP手順(LAN・広域IP網)、EDIINT AS2、ebXML MS 2.0/3.0、SFTP、FTP、FAXです。
データ形式は流通BMS、UN/EDIFACT、CII標準、固定長、CSV・TSVに対応し、マッピング定義はドラッグ&ドロップのレイアウト変換機能で作成します。稼働環境はWindows Server 2016〜2025です。
価格は公式サイトに公開されており、基本パックはStandard版が900,000円、Professional版が1,300,000円(いずれも税抜・1年保守付き)です。通信手順の追加オプションはStandard版が各200,000円、Professional版が各400,000円、2年目以降の保守サポート更新料は年150,000円と180,000円です。
12. ROS3(セイコーソリューションズ株式会社)

全銀BSC手順・JCA手順といったレガシー手順から、SFTP、流通BMSのJX手順・AS2手順・ebXML MS手順までを1台に集約する統合EDIサーバー構築パッケージです。提供元はセイコーソリューションズ株式会社で、提供形態はオンプレミス型(アプライアンス対応)。流通BMSの3方式はオプション扱いです。
全銀TCP/IP(広域IP網)やZEDI、HTTP/HTTPS、HULFT連携にも対応します。取引先ごとの処理はGUI画面で22種類のコマンドを組み合わせた「JOB」として登録でき、プログラミングなしにファイル集配信やデータ変換を自動化できます。流通BMSでは自社識別コードを複数登録できるため、流通BMSの取引先とVAN会社経由の取引先を同じシステムで並行して運用できます。
動作環境はWindows Server、RedHat Enterprise Linux、Oracle Linux、Amazon Linuxで、全オプション導入時の推奨メモリは16GB以上です。料金は公式サイトに公開されておらず、問い合わせでの見積もりになります。対応データフォーマットの一覧も公式サイトには載っておらず、資料請求で確認する構成です。
13. EDIPACK Solution(NTTインテグレーション株式会社)

花王グループでのEDIシステム構築・運営のノウハウをもとに開発され、1996年に市場投入されたEDIソリューションです。提供元のNTTインテグレーション株式会社は、2025年12月18日に日本情報通信株式会社から商号変更した会社で、愛称の「NI+C」は変更後も使われています。
対応する通信手順として、JCA手順・全銀BSC・全銀TCP/IPといった業界標準、TCP/IP手順広域IP網、ebXML(MS)、JX(SOAP-RPC)、EDIINT AS2、ZEDI手順が挙げられています。
データ形式は固定長メッセージ、業界標準フォーマット、XMLフォーマット、CSV、流通BMSに対応し、取引先ごとの変換は構成要素の「EDIPACK/Translator」がGUIツールで担います。
提供形態は、自社設備に導入するオンプレミス型と、運用監視を同社のオペレーションセンターが24時間365日体制で代行するASP(SaaS)型の2通りです。料金は公式サイトに料金ページがなく、個別見積もりでの案内になります。導入社数も公表されていません。
特定業界の標準に絞って導入するタイプ
流通BMSや中小企業共通EDIなど、特定の業界標準に的を絞った5サービスです。自社の取引先がその標準に対応していれば短期間で始められる一方、標準の外にある取引先が残る場合は別の手立てが要ります。
14. クラウドEDI-Platform(株式会社サイバーリンクス)

流通業の卸売企業に向けて、株式会社サイバーリンクスがクラウドで提供するEDIサービスです。小売業から送られる発注・入荷・受領・返品・請求・支払の取引情報を同社のセンターで一括して受信し、指定のフォーマットに変換して受け渡します。
対応する通信手順は流通BMS、全銀TCP/IP・広域IP網(TLS)、AS2、FTP、Web-EDI、メールEDIなどで、JCA手順・全銀協手順といった従来の手順も併せて扱えます。加盟企業と取引先はいずれも同社のセンターとだけ通信する構成になります。
センターは国内3拠点で分散処理し、運用・監視は24時間365日体制です。公式サイトには国分株式会社・株式会社日本アクセス・三菱食品株式会社などの導入企業名が掲載されていますが、初期費用・月額費用とも金額は公開されていないため、条件を伝えて見積もりを取る必要があります。
15. EOS名人.NET(ユーザックシステム株式会社)

小売企業と取引するメーカー・卸の受発注業務を対象にしたパッケージソフトです。流通BMSはJX手順でVer1.1・1.3・2.0・2.1に対応し、基本9メッセージとオプション14メッセージを備えます。基幹システムとのデータ受け渡しは、変換定義や項目ごとの計算式をパラメータで設定するマッピング機能で行います。
JCA手順やWeb-EDI、メールEDIも同じソフトウェアで扱えるため、取引先ごとに異なる受注形式を1本にまとめられます。公式サイトには、イオンやイトーヨーカ堂、コストコなど対応する小売企業名が90社を超えて掲載されています。
全銀協標準の広域IP網(TCP/IP手順)へは2022年5月公表のVer7.1.0で対応した一方、JCA手順・全銀手順のダイヤルアップ通信ソフト(ISDN・公衆回線用)は2023年1月31日に販売終了、2024年1月31日に保守終了となっています。料金は公式サイトで公開されていません。
16. EXtelligence EDIFAS(株式会社エクス)

中小企業共通EDI標準仕様に準拠したクラウド型のEDIサービスで、ITコーディネータ協会の認証を登録番号2001P_003で受けています。見積・受発注・出荷・仕入検収・支払通知に加え、生産計画や部品供給といった製造業特有の取引も扱えます。
既存の基幹システムや生産管理システムとは、CSV連携と月額1,000円のAPI連携オプションでつなぎます。対応する通信プロトコルの具体的な仕様は、公式サイトでは公開されていません。
料金は発注側が取引社数に応じた段階制で、1〜5社が月額3,000円、11〜30社が13,000円、101社以上は要相談です(いずれも税別・1IDあたり、初期費用は0円から)。受注側は無料プランのEDIFAS FREEを使えますが、その利用者への送信が月100件を超えると、超過した社数×3,000円が翌月に発注側へ加算されます。
17. EcoChange(株式会社グローバルワイズ)

FAX・電話・メールで行っている受発注をインターネット経由に置き換えるクラウド型のEDIサービスです。中小企業共通EDI標準Ver.4.2に準拠し、ITコーディネータ協会の共通EDIプロバイダ認証を取得しています。見積・注文・出荷・仕入明細・請求・支払通知を含む11の取引プロセスをカバーします。
基幹システムとはAPI連携・CSV連携でつなぎ、商奉行クラウドやPCA商魂DX、Factory-ONE 電脳工場など国内の販売管理・生産管理パッケージとの連携実績を製品名付きで公開しています。共通EDI標準に準拠した他社のEDIプロバイダとのAPI連携や、全銀EDIシステム(ZEDI)にも対応しますが、通信プロトコルの個別名は公式サイトに記載がありません。
料金は従量課金のFlexと固定額のFlatから選べ、両者に機能の差はありません。Flexはホスト初期登録費用150,000円に月間500件までの基本パックが月額700円からで、課金はデータを送信した側にのみ発生します。Flatはホスト企業の基本パックが年額300,000円、取引先企業が年額36,000円です。
18. CBP注文決済サービス(株式会社テクノスジャパン)

株式会社テクノスジャパンが企業間協調プラットフォームCBPの上で提供するSaaS型のサービスです。見積・注文から注文回答、請求・照合までを1つのプラットフォームで管理し、中小企業共通EDI認証制度では2022年4月にレベル2業務アプリの認証を取得しています。
プラットフォームにEDIエンジンと、システム間でデータを抽出・変換・書き出しするETLツールを含み、メール・FAX・各種EDI・Web-EDI・業界VANなど、取引先ごとに異なる経路の取引を1か所に集約する設計です。対応する通信手順やデータフォーマットの具体名は、公式サイトでは公開されていません。
基幹システムとはSAP・mcframeとの標準連携のほかAPI連携・ファイル連携に対応し、既存のERPに手を加えずに接続できるとしています。導入期間は最短2か月、基幹システムと連携する場合は3か月以上が目安です。料金は年額の基本料金と取引量に応じた従量課金で構成され、アカウント数による課金は発生しません。金額は公開されていません。
取引先にWeb画面を使ってもらうタイプ
受注側に専用ソフトの導入を求めず、ブラウザでの入力・ダウンロードで受発注を回す3サービスです。取引先に画面を使ってもらう前提のため、受注側の費用負担と操作習熟をどう見込むかが導入の分かれ目になります。
19. EdiGate/POST(DAIKO XTECH株式会社)

注文書・見積依頼・納品書・検収確認書といった帳票データをPDFに変換して仕入先へ配信し、納期回答や配付状況の確認をWeb画面上で行うクラウドサービスです。提供元のDAIKO XTECH株式会社は、2025年4月1日に大興電子通信株式会社から商号を変更しています。
取引先側の準備について、公式のよくあるご質問では「インターネットがご利用いただければ大丈夫」「ソフトウェア(アプリケーション)のインストールは不要」と記載されています。インターネット環境が整っていない仕入先にはオプションのFAX自動送信で対応でき、費用は初期5万円・月額基本料0円・送信1枚あたり25円です。
導入実績は、サービス紹介ページでは「190社以上」、導入事例ページでは発注企業230社・受注企業4万社と、掲載ページによって示している数値が異なります。電子帳簿保存法への対応は本体ではなく、連携する電子保管サービス「EdiGate DX-Pless」(JIIMA認証取得)が担う構成です。料金表と対応通信手順の一覧は公式サイトに掲載がなく、資料請求または問い合わせでの確認が必要です。
20. MONQX EDI(株式会社YE DIGITAL Kyushu)

取引先(受注側)が使う機能として、納期回答の入力、受注残の照会、出荷入力・照会が用意されています。株式会社YE DIGITAL Kyushuが製造業のサプライチェーン取引向けに提供するクラウド型のWeb-EDIで、FAX・電話・メールで行っていた購買・調達の受発注を電子データのやり取りに置き換えます。
基幹システムとの接続では、ビジネスエンジニアリング株式会社の生産・販売・原価管理システム「mcframe 7」と連携するベース機能が用意されています。購買業務向けは発注・納期回答・検収、販売業務向けは受注・納期回答・出荷・検収が対象で、Web画面や帳票レイアウト、扱う取引データの種類はカスタマイズできます。
対象業種は製造業を中心に卸売・小売業や運輸・通信業にも及びます。導入実績の件数は公式サイトに掲載がありません。対応する通信手順の一覧は公式サイトに掲載がなく、料金も公開されていないため、接続できる取引先の範囲と費用は個別に確認することになります。
21. Hi-PerBT ウェブ購買(株式会社日立ソリューションズ西日本)

株式会社日立ソリューションズ西日本のHi-PerBTシリーズのうち、サプライヤーとのやり取りを担うのが本製品です。見積・発注・納期回答・検収・請求といったサプライヤーとの購買取引をWeb-EDIで電子化します。
取引先側が専用ソフトなしで使えるかどうかは公式サイトに明示がないため、導入前に確認が必要です。全社の購買・調達業務を一元管理する「Hi-PerBT 購買管理」は別製品で、両者は連携して使う構成です。
費用は、利用者数ではなくサーバー単位で課金するサーバーライセンス方式を採っており、取引先のアカウントが増えてもライセンスの費用は変わりません。ただし公式サイトに料金表の掲載はなく、金額そのものは個別の見積もりになります。
必要な機能だけを選んで使う構成で、ERPパッケージや他システムとの連携にも対応します。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応した版は2022年12月から提供されています。対応する通信手順の一覧は公式サイトに掲載がないため、既存の接続先をそのまま引き継げるかは事前の確認が要ります。
まとめ
本記事では、EDIシステムについて、比較表に並ぶ通信プロトコルとデータフォーマットの意味、INSネットの提供終了スケジュール、取引先ごとの差分をどこで吸収するかの判断手順、EDIデータの保存要件を解説し、主要な21サービスをタイプ別に紹介しました。
選定で先に決めるべきなのは、製品ではなく自社の要件です。取引先を棚卸しして現行の通信手順とデータフォーマットを洗い出し、業界標準に寄せられる相手と個別対応が残る相手を分けます。そのうえで、残った差分の変換をサービス側・中間ファイル・基幹システムのどこで引き受けるかを決めれば、候補は絞り込めます。
運用まで任せたいなら取引先ごとの違いをまとめて引き受けてもらうタイプ、変換定義を自社で管理したいなら変換ルールを自社に持って作り込むタイプ、対応先が業界標準で足りるなら特定業界の標準に絞って導入するタイプ、取引先にブラウザで使ってもらうならWeb画面を使ってもらうタイプが軸になります。
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EDIシステムに関するよくある質問
Q. EDIシステムとは何ですか?
A. EDIシステムとは、企業間でやり取りする注文書や納品書などの取引データを、あらかじめ取り決めた通信手順とデータ形式にもとづいてシステム同士で直接やり取りするための、通信と変換を担うソフトウェアやサービスです。
受け取ったデータがそのまま基幹システムに取り込める形で届くため、紙やFAXの受発注で発生していた転記の工程がなくなります。対応できる通信プロトコルとデータフォーマットの範囲は製品ごとに異なるため、比較では「自社の取引先が使っている手順と形式を、その1製品で受けきれるか」が判断の軸になります。
Q. EDIの通信プロトコルとデータフォーマットは何が違うのですか?
A. EDIの通信プロトコルはデータを「どうやって送り届けるか」の取り決め、データフォーマットはそのデータを「どう並べるか」の取り決めで、この2つは独立して決まります。
独立しているため、片方が一致していても、もう片方が合わなければ受発注は成立しません。たとえばAS2で接続できても、届いたファイルの項目配置が自社の想定と違えば基幹システムは読めません。製品を見るときは対応プロトコルの列と対応フォーマットの列を必ずセットで確認してください。
取引先から「流通BMSで」とだけ指定された場合は、その中のどの通信手順(AS2・ebXML MS・JX手順)を使うのかまで確認してください。フォーマットが同じでも手順が違えば接続できません。
Q. 取引先が自社と違う通信プロトコルを使っている場合、EDIシステムはどう選べばよいですか?
A. 取引先ごとに通信プロトコルが違う場合は、複数の手順を同時に扱えるEDIシステムを選び、差分を自社側で吸収する形が現実的です。取引先に手順の変更を求めると相手にシステム改修の負担が発生するため、交渉が通らないことが多いためです。
進め方としては、まず取引先ごとの手順を洗い出し、その全件が候補製品の対応表に収まるかを確認することになります。収まらない相手が残った場合は、その相手だけWeb画面での受け渡しなど別の経路に寄せるか、対応範囲の広いサービスに変換と運用ごと引き受けてもらうかの判断になります。
Q. 既存のレガシーEDIを残したまま、新しいEDIシステムを併存させられますか?
A. EDIシステムは取引先ごとに通信手順とフォーマットを割り当てる構造になっているため、既存のレガシーEDIを残したまま新しいEDIを並行して動かし、取引先単位で段階的に移行することができます。取引先側の準備が揃う時期はそれぞれ違うので、実務上は一斉切替よりこの進め方が取られます。
ただし併存期間は、2つの経路の監視と保守が二重に発生します。回線側に期限や条件変更がある手順(ISDN回線を使うJCA-H手順、全銀協標準通信プロトコルのベーシック手順・TCP/IP手順、および電話回線を使うJCA手順)を使っている取引先から先に移すと、二重運用の期間を短くできます。
Q. EDIシステムを導入すると、取引先(受注側)にも費用や専用ソフトの負担が発生しますか?
A. EDIシステムの導入で取引先に負担が生じるかは、選ぶ接続方式によって決まります。サーバー同士を接続するAS2では、流通システム開発センターのガイドラインが「取引先がS-S型のBtoBサーバを導入している必要がある」としており、取引先側にも設備が必要です。
サーバ同士で接続する方式では受注側にも対応するサーバが要りますが、PC環境で接続できる手順やブラウザだけで使えるWeb-EDIであれば、受注側の設備投資は抑えられます。
発注側の製品によっては受注側の利用料を無料にしているものもあるため、接続を打診する側・される側のどちらであっても、費用の負担がどちらに生じるかを最初に確認してください。
Q. INSネットを使い続けると、EDIはいつまでに移行が必要ですか?
A. INSネットで通信しているEDIは、2028年12月31日までに別の通信手段へ移行する必要があります。ISDN回線を使う「ディジタル通信モード」は2024年1月から地域ごとに段階的に終了しており、現在つながっているのは「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」による通信です。
NTT東日本・NTT西日本は2024年3月7日の報道発表で、2029年以降にサービス提供に必要な設備部材が枯渇する見込みであることから、2028年12月31日をもってINSネットのサービス提供を終了すると公表しました。補完策もINSネットに含まれるため、同じ日に終了します。新規申込の受付は2024年8月31日で終了しています。
補完策は従来のディジタル通信モードとは品質が異なり伝送遅延が生じるため、期限まで待たず早めに移行を進めるのが安全です。
Q. EDIで受け取ったデータを自社形式に変換して保存してもよいのですか?
A. EDIで受け取ったデータは、取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法で編集したものであれば、変換後の形式で保存できます。国税庁の一問一答(問40)は、保存すべきデータは「EDI取引で実際に授受したデータそのものに限定されておらず」、合理的な方法で編集されたデータによる保存も可能だと示しています。
ただし条件があります。同じ問40の解説は、授受したデータを手動で転記して別形式にしたものは合理的な編集に当たらないとしています。また問41は、コードの表記のみを変える変換について、変換テーブルを使って自動的に行われることと、その変換テーブルを併せて保存しておくことが必要としています。自動変換であること、変換テーブルも保存対象であることの2点が線引きです。
出典・参考資料(1件)
Q. EDIシステムはクラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶべきですか?
A. EDIシステムの提供形態は、取引先ごとの差分の変換や日々の運用監視まで任せたいならクラウド型、変換ルールと運用を自社で持ちたいならオンプレミス型が向きます。社内にEDIの専任者を置けるかどうかが、実質的な分かれ目です。
クラウド型は自社に設備を持たず短期間で始められる一方、取引先の追加や仕様変更のたびに設定を依頼することになるため、その作業費が発生するかを見積もり段階で確認してください。オンプレミス型はライセンス購入費が初期費用としてかかり、マッピング定義の管理と障害時の対応を自社で担う体制が必要になります。
Q. 中小企業でもEDIシステムを導入する価値はありますか?
A. 中小企業でも、受発注の件数が一定量あり、取引先が電子受発注に対応していれば導入する価値があります。EDIの効果は削減できる転記工数に比例するため、件数の多い取引先から順に接続するかどうかで投資対効果が変わります。
規模の小さい企業向けには、業界をまたいで使える中小企業共通EDIという標準があり、その実証事業(平成28年度の中小企業庁委託事業)では受発注企業ともに約50%程度の業務時間削減効果が確認されています。ITコーディネータ協会が仕様への適合を認証する制度を運用しているため、対応をうたう製品が実際に仕様を実装しているかも確認できます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













