国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場は拡大が続いています。経済産業省の調査では、2024年のBtoC-EC市場規模は26.1兆円、商取引に占めるECの割合を示すEC化率は9.8%に達しました。出店するモールや競合が増えるほど、競合が何をいくらで売り、どれだけ売れているのかを数字で押さえる必要性は高まっています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査|経済産業省 商務情報政策局(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html)
競合調査が大切なのは分かっていても、競合の売上・売れ筋・価格を数字で押さえるには、どの方法やツールを使えばよいか迷う場面が少なくありません。とくに楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングといったモールでは、店舗別・商品別の売上が公表されていないため、どうやって推し量ればよいのか迷いがちです。
本記事では、今日から無料でできる調べ方をまず整理し、そのうえで競合の売上・売れ筋・価格を数字で出せる分析ツールを、サービス名・分かること・料金・対応モールまで具体的に紹介します。候補を2〜3本に絞り込み、資料請求やデモに進むための材料としてご活用ください。
目次
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ECの競合で何を調べるか
競合調査というと幅広く感じますが、EC事業で見るべき項目はある程度決まっています。まずは何をチェックするのかを押さえておきましょう。
- 価格・送料・配送条件:商品の販売価格、送料無料ライン、配送日数やポイント還元など、購入の決め手になる条件
- 品揃え・商品ラインナップ:取扱カテゴリ、型番やカラー展開、セット販売や限定品の有無
- レビュー・評価:星評価やレビュー件数、購入者が褒めている点・不満に感じている点
- 広告・プロモーション:モール内広告の出稿状況、クーポンやセール、ポイントアップ施策
- 売上・売れ筋・市場シェア:どの商品がどれくらい売れているか、カテゴリ内でのシェアや順位
前半の価格・品揃え・レビュー・広告は、競合サイトを見れば自分でも確認できます。一方で最後の売上・売れ筋・シェアは、モールが公表していないため目視では分かりません。この「見えない数字」をどう手に入れるかが、競合調査のいちばんの勘所になります。

調べる競合はどう選ぶか
やみくもに他店を眺めても調査は進みません。先に「どの競合を見るか」を決めておくと、比較の軸がぶれずに済みます。
同じカテゴリで戦う競合を、まず7〜10社ほどリストアップするのが目安です。数が多すぎると追い切れず、少なすぎると視野が偏るため、まずはこのくらいが扱いやすい範囲です。そのうえで、価格帯や客層が自社と重なり真正面から競合する「第一競合」と、一部の商品や層で競合する「第二競合」を分けておくと、施策を打つときの優先順位がつけやすくなります。
売上規模がかけ離れたトップ店舗ばかりを追うと、自社に当てはめにくい結論になりがちです。目標にしたい少し上の店舗と、真横で競う同規模の店舗を混ぜて選ぶと、現実的な打ち手が見えてきます。
無料でできる競合調査のやり方
ツールを入れる前に、無料で自分の手でできる調べ方から始めるのが基本です。代表的な3つの方法を、それぞれ何が分かり、どこに限界があるのかとあわせて見ていきます。
レビュー調査
競合商品のレビューを読み込むと、購入者が価値を感じている点と不満点が具体的に分かります。「梱包が丁寧」「サイズ表記が実物と違う」といった生の声は、自社商品の改善や商品ページの訴求づくりに直結します。星の分布や件数の伸び方からは、その商品への支持の厚みも読み取れます。
ただしレビューは購入者の一部しか書かないため、声が偏りやすい面があります。件数が少ない商品では傾向をつかみにくく、売上そのものを表す数字でもありません。あくまで「顧客が何を感じているか」を知る手段と割り切るのが妥当です。
購入調査
実際に競合商品を買ってみる方法です。注文から到着までのスピード、同梱物やフォローメール、梱包の質、返品対応まで、購入者しか見られない体験を一通り確認できます。自社の顧客体験と並べると、差がついている工程がはっきりします。
手間と実費がかかるため、何十店舗も横断するのには向きません。第一競合に絞って、要所だけを体験するのが現実的な使い方になります。
サイト全体の調査
競合の店舗トップやカテゴリページ、商品ページを回って、価格設定・送料ライン・品揃え・特集の打ち出し方・ランキング上位商品を観察するのが基本です。モールの売れ筋ランキングをたどれば、どの商品に力が入っているかもある程度は見えてきます。
あわせて、競合が打ち出すセールやクーポン、ポイントアップを定点で観察しておくと、広告・プロモーションの動きも継続して押さえられます。
とはいえ、目視で分かるのは「今この瞬間の見え方」までです。過去半年でどれだけ売れたのか、価格をいつ動かしたのか、カテゴリ内でどれくらいのシェアを占めるのかといった、時間軸や市場全体の数字は追い切れません。ここから先を数字で埋めるために、専用の分析ツールが必要になります。
競合の売上・売れ筋・価格を数字で出す分析ツール一覧
ここからは、目視では届かない売上・売れ筋・価格を数字にしてくれる分析ツールを見ていきます。本一覧には、売上・売れ筋・価格のいずれか、あるいは流入まで含めて競合を数字で捉えるツールを並べています。まず、各ツールで何が分かるか、料金、対応モールを一覧で比較できるように整理しました。
| サービス名 | Nint ECommerce | Oxcim | SellerSprite | Keepa | ERESA | Jungle Scout | Helium 10 | AMZScout | Similarweb |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主に分かること | 3モール横断の市場規模・シェア・競合の売上/販売個数(推計) | 3モール横断の市場規模・競合ランキング・競合施策と売上の相関(推計) | Amazon競合の月間販売数・売上・BSR推移・キーワード(推計) | Amazon商品単位の価格・売れ筋ランキングの履歴 | Amazon商品の価格・ランキング・出品者数の推移、カテゴリランキング | Amazonの売上推計・キーワード・カテゴリの市場シェア(推計) | Amazonの販売数・売上・競合キーワード・市場シェア(推計) | Amazonの月間販売数・売上・FBA利益(推計) | Webサイト・アプリの流入・トラフィック、EC小売の購買行動(推計) |
| 無料プラン | ●(Free版は直近7日分) | ●(無料お試しプラン) | ● | ● | ● | ×(無料ツールのみ) | ●(機能限定) | ●(無料ツール中心) | ●(簡易チェッカー) |
| 有料プランの開始額 | 要問い合わせ(目安 月額6万円〜) | 要問い合わせ | 13,998円〜/月(税込) | 19〜29ユーロ/月程度(公式で最新額を確認) | 5,980円〜/月(税込) | 49ドル〜/月(米ドル建て) | 129ドル〜/月(米ドル建て) | 59.99ドル〜/月(米ドル建て・公式で最新額を確認) | 要問い合わせ |
| 対応モール | 楽天・Amazon・Yahoo! | 楽天・Amazon・Yahoo! | Amazonのみ | Amazonのみ | Amazon中心(楽天・Yahoo!は在庫の参考表示) | Amazonのみ | Amazon・Walmart・TikTok Shop | Amazonのみ | Webサイト・アプリ全般(モール横断の売上推計は非対応) |
料金は各社公式の最新情報をご確認ください。外貨建てのツールは為替により円換算額が変動します。
目的で選ぶツールの使い分け
分析ツールと一口に言っても、得意な領域はまるで違います。目的を取り違えると「流入は分かるのに売上が出ない」といったズレが起きるため、大きく4系統に分けて押さえておきます。

- モール横断で競合の実売上・シェアを推計したい:楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングを横断して売上や販売個数、市場シェアを推計するタイプ。Nint ECommerceやOxcimが該当します
- Amazonの市場・競合を深掘りしたい:Amazonに特化して商品の販売数やキーワードを分析するタイプ。SellerSprite・Jungle Scout・Helium 10・AMZScoutなどが該当します
- 特定商品の価格・ランキング推移を追いたい:ASIN(Amazon商品識別番号)単位で価格や売れ筋ランキングの履歴を可視化するタイプ。Keepa・ERESAが該当します
- 自社サイトや他社サイトの流入を見たい:ECモールではなくWebサイト・アプリのトラフィックや流入経路を推計するタイプ。Similarwebが該当します
なお、モール横断型のNint ECommerceやOxcimが要問い合わせなのは、対象モール数や取得できるデータの範囲、必要な機能によって費用が変わり、個別見積もりが基本になるためです。
また、価格・ランキングの時系列追跡はAmazonのASIN単位が中心で、楽天市場やYahoo!ショッピングの価格推移に特化したツールは限られます。これらはサイト調査の定点観測や、モール横断の売上推計(Nint ECommerceなど)で補うことになります。
モールの競合売上を知りたいのに流入解析ツールを選んでしまう、というのはよくあるつまずきです。自社の目的がこの4つのどれに当たるかを先に決めてから、ツールを見比べると迷いにくくなります。
推計値の見方と情報鮮度の注意点
モールは店舗別・商品別の実売上を公表していません。分析ツールが示す売上や販売個数は、売れ筋ランキングなどの公開データから各社が独自のアルゴリズムで割り出した推計値です。実測値ではない前提で読むことが、判断を誤らないための第一歩になります。
推計の算出ロジックは各社独自で、精度にも幅があります。たとえばJungle Scoutは自社の検証で全体の誤差率を15.9%と公表しています。ただしこうした数値は各社が自社基準で示す目安であり、誤差率なのかカバー率なのかといった定義も異なるため、そのまま横並びで「どれが何%正確」と比べることはできません。
出典・参考資料(2件)
- 出典:Amazon Data(推計方法の説明ページ)|Jungle Scout(https://www.junglescout.com/amazon-data/)
- 出典:Amazon Sales Estimates: A Case Study|Jungle Scout(https://www.junglescout.com/blog/amazon-sales-estimates-update/)
ツールを選ぶときは、推計値である旨と出所に加えて、どこまで過去にさかのぼれるか(遡及期間)、どのモール・どの国に対応しているか、市場のどれくらいをカバーしているかを確認します。この3点が自社の目的に合っていれば、推計であっても意思決定の土台として十分に使えます。
あわせて注意したいのが情報の鮮度です。ツールは提供が終了することもあり、かつてWebサイトの順位分析に広く使われたAlexaは2022年5月にサービスを終了しました。古い紹介記事のまま終了済みツールに時間を割かないよう、導入前に現在も更新・提供されているかを確かめておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:Amazon is shutting down web ranking site Alexa.com|BleepingComputer(https://www.bleepingcomputer.com/news/technology/amazon-is-shutting-down-web-ranking-site-alexacom/)
自分で調べる場合と調査代行(外注)の違い・費用感
自社で継続的にウォッチするなら後述の分析ツール、単発の深掘りなら調査代行、と目的に応じて選び分けられます。
競合調査は、ツールを契約して自前で回すか、調査代行に外注するかの2通りに分かれます。どちらが向くかは、社内に割ける工数と、調査をどれくらいの頻度で続けたいかで決まります。
自前ツールは、月額料金の範囲で何度でも調べられるのが強みです。市場や競合の動きを継続してウォッチしたい、価格やランキングを日々追いたいという場合は、社内にデータが蓄積されていく分だけ費用対効果が高まります。反面、ツールの使い方を覚え、数字を読み解く担当者を置く必要があります。
調査代行は、競合のアクセス動向や流入キーワード、差別化の切り口までをレポートにまとめて受け取れる進め方です。新規参入時の市場規模の見立てや、経営会議に出す一度きりの分析など、社内に分析リソースがない場面で頼りになります。ただし調査ごとに費用が発生し、継続的なモニタリングには向きません。
費用に定価はなく、依頼範囲や対象モール数、レポートの形式によって変わるため、見積もりが基本です。発注前に、レポートの中身と更新頻度を具体的に確認しておきましょう。
実務では、まず無料の調べ方とツールの無料プランで着手し、足りない部分だけを有料ツールや調査代行で補う進め方が無理がありません。
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競合調査に役立つEC分析ツール
ここからは、競合の売上・売れ筋・価格を数字で出せる主要なツールを1つずつ紹介します。対応モールや得意な分析が異なるため、先ほどの4系統のどこに当たるかを意識しながら読み進めてください。
1. Nint ECommerce(株式会社Nint)

楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3大モールを横断し、市場規模やシェア、競合店舗・競合商品の売上までを推計データで見られるクラウドサービスが、株式会社Nintの「Nint ECommerce」です。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングをまたいで、競合の推計売上を数字で確認できます。
使い方のイメージとしては、調べたい競合の店舗やブランド、商品、期間を指定すると、推計の売上・販売個数やカテゴリ内でのシェア、売れ筋商品などが表示されます。目視では届かない競合の実売上を、数字として掴めます。
独自の推計技術で商品単位の販売個数や売上まで可視化でき、日本のEC市場データを2014年から蓄積しているため最大10年分をさかのぼれます。機能は業種(ジャンル)分析・ショップ分析・商品分析・成長機会分析に分かれ、仕入れや商品企画、価格戦略の裏付けとして使われています。導入実績は国内2,100社以上(2025年時点、同社公式サイト)です。
料金は、事業内容や必要な機能に応じた個別見積もりで、金額は要お問い合わせです。同社への取材では、スモールに始める構成で月額6万円から、メーカー向けの手厚いプランで月額10万円からという目安が示されています。まず試したい場合は、直近7日分のデータを無料で見られる「Nint ECommerce Free」や、7日間の無料トライアルから始められます。
推計値を自社の意思決定にどう使えるか見極める勘所について、同社への取材では次のように語られています。
無料トライアルでは、ご希望ジャンルのデータを実際に見ていただき、店舗をお持ちの方なら手元の実データとも照らし合わせながら、「推計値が意思決定に使える精度か」を確認してもらいます。目安として推計精度が7〜8割程度であれば“使えるね”という判断になることが多い印象です。
2. Oxcim(株式会社オプト)

広告事業で知られる株式会社オプトが手がける「Oxcim(オキシム)」は、分析ツールとECコンサルタントによる実行支援を組み合わせて提供する点に特色があります。Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの3モールを1つの管理画面で横断分析できます。
商品カテゴリ単位の市場規模や競合ランキングを見るマーケットビュー、自社KPIを可視化するKPIビューに加え、2024年9月には競合戦術分析機能を追加しました。これは楽天市場内で競合が実施する価格変動・商品タイトル変更・クーポン設定などの施策と、売上ランキングの相関を分析するものです。分析にとどまらず、広告運用や商品ページ制作といった施策の実行までオプションで任せられます。
無料のお試しプランから始められ、有料プランの料金は要お問い合わせです。導入時の初期費用が無料になるキャンペーンが期間限定で繰り返し実施されています。想定ユーザーは3モールに出品するメーカー企業で、自社のポジション把握や新商品投入の判断に活用されています。
3. SellerSprite(成都云雅信息技术有限公司)

Amazonに特化したビッグデータ・AI分析ツールが「SellerSprite(セラースプライト)」です。中国・成都の成都云雅信息技术有限公司が開発し、日本語版サイトを通じて国内のAmazon出品者にも提供されています。
商品リサーチで競合の月間販売数を把握できるほか、カテゴリ分析では16以上の指標で市場規模や参入難易度を評価できます。競合商品の売上・BSR(Best Seller Rank/売れ筋ランキング)の3年分の推移をたどれるベンチマーク機能や、キーワードリサーチも備えます。米国・日本など10市場で全機能に対応し、ブラウザ拡張機能とWebアプリの両方で使えます。
無料プランのほか、有料はスタンダードが月額13,998円(税込、年払いで割引)から用意され、上位のアドバンス・VIPは年払いのみです。無料トライアルは日本語サイトで7日間と案内されています。対応はAmazonのみで、楽天市場・Yahoo!ショッピングの分析には対応しない点に留意してください。
4. Keepa(Keepa GmbH)

ドイツのKeepa GmbHが提供する「Keepa(キーパ)」は、Amazon商品ページに価格推移と売れ筋ランキングの推移グラフを埋め込んで表示するブラウザ拡張機能を中核としたツールです。特定商品の価格・ランキングを継続して追跡する用途で使われています。
扱うのはASIN単位の価格・ランキング履歴で、Amazonが商品ページ上では見せないランキングの変動まで時系列で確認できます。日本のAmazon.co.jpを含む11のロケールに対応し、Web版・モバイルアプリ・APIからも同じデータにアクセスできます。市場全体のシェアを推計するタイプではなく、あくまで商品単位のモニタリングに向くツールという位置づけです。
無料プランがあり、価格チャートの閲覧やトラッキングはここから始められます。売れ筋ランキングデータや高度な商品検索機能は、ユーロ建ての有料プランで解放されます。標準の表示言語は英語で、日本語表示は手動での設定が必要です。
5. ERESA(株式会社イーリサ)

株式会社イーリサの「ERESA(イーリサ)」は、基本機能を無料で使えるAmazonリサーチ・分析ツールです。会員登録だけで一定の競合分析ができるため、まず手を動かして試したいときに入りやすい選択肢になります。
無料版でも、価格・ランキング・出品者数の推移グラフ、カテゴリー別ランキングTOP1000の閲覧、JANコード(商品識別番号)やASINでの商品検索、損益分岐点の計算などが使えます。有料のPROではAmazon.comのデータや20項目以上の絞り込み検索、セラーリサーチが加わります。2026年1月には商品画像の生成などを統合した「ERESA AI」も公開されました。
料金は、無料版に加えて有料のProが月額5,980円(税込)、上位のPro+が月額9,800円(税込)で、有料プランには7日間の無料トライアルが付きます。中核はAmazonで、楽天市場・Yahoo!ショッピングは在庫の有無を参考表示する補助的な対応です。累計登録ユーザー数は6万人超(2025年4月時点、公式サイト記載)とされています。
6. Jungle Scout(JS Operating Company, LP)

米国発の「Jungle Scout(ジャングルスカウト)」は、独自アルゴリズムでAmazonの売れ筋ランキングを月間販売数に変換して推計する売上推計機能(Sales Estimator)を備えます。2015年の提供開始以来、Amazonの商品データを大規模に蓄積してきたプラットフォームです。
6億点以上の商品データベースやキーワードリサーチに加え、カテゴリ単位の市場シェア分析や非正規セラーの検出といった競合インテリジェンス機能を備えます。個人〜中小セラー向けの「Catalyst」と、年商規模の大きい事業者向けでカスタム見積もりとなる「Cobalt」に製品が分かれています。
料金は米ドル建てで、Starterが月払い49ドル(年払いなら実質月29ドル)からです。無料トライアルはなく、代わりに全プランへ7日間の返金保証が付きます。公式サイトに日本語版が見当たらず、楽天市場・Yahoo!ショッピングなど国内モールには対応しないため、Amazon輸出や海外Amazonの調査が中心の事業者に向きます。
7. Helium 10(Pacvueエコシステム)

「Helium 10(ヘリウムテン)」は、商品リサーチからキーワード、市場・競合分析、リスティング最適化、広告までを1つにまとめたAmazonセラー向けのオールインワン型ツールです。単機能ツールをいくつも組み合わせる手間を、1本に統合できる構成です。
商品リサーチでは、4億5,000万件以上のAmazon商品を対象にする「Black Box」や、検索結果・商品ページ上に推計販売数・売上を重ねて表示する拡張機能Xrayを備えます。
競合ASINが上位表示されている全キーワードを取得するCerebro、市場シェアや競争環境を監視する「Market Tracker」もあり、Amazonに加えWalmartやTikTok Shopにも対応します。
料金は米ドル建てで、機能を限定した無料プランのほか、有料はPlatinumが月払い129ドル(年払いなら月99ドル)からです。日本語版サイトがあり日本のAmazonにも対応しますが、楽天市場・Yahoo!ショッピングなど国内モールの分析には対応しません。
8. AMZScout(米国・フィラデルフィア拠点)

「AMZScout(アマゾスカウト)」は、Amazonの検索結果や商品ページを見ながら、月間販売数の推計やFBA(フルフィルメント by Amazon)利益を確認できるブラウザ拡張機能を中心とした商品リサーチツールです。米国拠点で、日本語のセラー向けコンテンツも提供されています。
複数のフィルタで有望商品を探せる商品データベース、キーワードリサーチ、商品トラッカーに加え、AIによるリスティング生成やレビュー分析といった機能を備えます。日本のAmazon.co.jpを含む14マーケットプレイスに対応し、FBA手数料計算機や販売数推計などの無料ツールから試せます。表示される販売数・売上はいずれも推計値です。
料金はプラン構成やキャンペーン価格の変動が大きく、公式サイトで都度確認するのが確実です。公式の月額プランでは1ヶ月59.99ドルからの表示が確認できます。対応はAmazonのみで、国内モールの横断分析には向きません。
9. Similarweb(Similarweb Ltd.)

「Similarweb(シミラーウェブ)」は、自社だけでなく他社サイトやアプリのトラフィック・流入経路を推計データで可視化する、デジタル市場インテリジェンスのプラットフォームです。NYSE上場企業で、日本法人も置かれています。
製品はWeb・Sales・App・Retail・AI Searchの5モジュールで構成され、EC領域ではAmazonなど650以上の小売業者、660万以上のSKU(在庫管理単位)を対象にしたRetail Intelligenceを提供します。競合サイトのトラフィック規模や流入経路を第三者視点で把握できるのが強みです。
データの核はWebサイト・アプリのトラフィック推計であり、国内モールを横断した商品別の売上推計は専業ではありません。楽天市場・Yahoo!ショッピングなどの売上を数字で追うツールとは性質が異なります。競合の流入や集客チャネルを押さえたい場合に力を発揮します。有料プランは要お問い合わせで、URLを入力するとトラフィック概要を無料で確認できるツールも公開されています。
ここまで紹介したツールを、機能・料金・対応モールの観点でさらに詳しく見比べて自社に合う1本を絞り込みたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。EC分析ツールの選び方を掘り下げ、条件から候補を絞り込める診断も用意しています。
調査結果を仕入・商品企画・価格戦略に活かす
競合調査は、数字を集めて終わりではありません。集めたデータをどの意思決定に結びつけるかで、成果が変わってきます。
仕入れや発注では、競合の売れ筋や販売個数の推計をもとに需要を見積もると、欠品や過剰在庫を抑えやすくなります。感覚に頼っていた発注量に、数字の根拠を持たせられます。
商品企画では、伸びているカテゴリやレビューで繰り返し挙がる不満を手がかりに、次に投入する商品や改良点を絞り込めます。価格戦略では、競合の価格帯やポイント施策と自社を並べ、値付けや送料ラインを見直す判断材料になります。いずれも、競合と自社の差を数字で説明できるようになる点が、社内の合意形成にも効いてきます。
まとめ
ECの競合調査は、まず無料でできるレビュー調査・購入調査・サイト調査で価格や品揃え、顧客の声を押さえ、目視では届かない売上・売れ筋・シェアを分析ツールで数字にする、という順序で進めると無理がありません。
ツールは、モール横断の実売上推計、Amazon市場の深掘り、価格・ランキング追跡、サイト流入解析と、得意領域が分かれています。自社の目的がどれに当たるかを先に決め、分かること・料金・対応モールと、推計値の前提や情報鮮度を確かめたうえで、候補を2〜3本に絞り込んでいきましょう。気になるツールは、資料や無料トライアルで実際のデータの粒度を確認してみてください。
下のボタンから、候補にしたツールの資料をまとめて取り寄せられます。料金や機能を横並びで比べる出発点にしてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. EC競合調査とは何ですか?
A. EC競合調査とは、自社と同じ市場で戦う他店・他ブランドの価格・品揃え・レビューに加え、売上・売れ筋・市場シェアまでを調べ、自社の仕入れや商品企画・価格戦略に活かす取り組みです。価格・品揃え・レビューは競合サイトを見れば自分でも確認できますが、モールが公表していない売上・売れ筋・シェアは目視では分からず、分析ツールで推計する必要があります。
この「見えない数字」をどう手に入れるかが調査の勘所になります。
Q. ECの競合調査は無料でどこまでできますか?
A. ECの競合調査は、レビュー調査・購入調査・サイト調査の3つなら、ツールを使わず無料で始められます。競合商品のレビューから顧客の評価や不満を読み取り、実際に買って顧客体験を確かめ、店舗ページで価格・送料・品揃え・ランキング上位商品を観察できます。ただし無料で分かるのは「今この瞬間の見え方」までで、過去半年の売上推移やカテゴリ内シェアといった時間軸・市場全体の数字までは追えません。
ここから先を数字で埋めるには分析ツールが必要になります。
Q. 楽天やAmazonの競合店舗の売上やシェアは数字で調べられますか?
A. 楽天やAmazonの競合の売上・シェアは、モールが実売上を公表していなくても、専用の分析ツールを使えば推計値として数字で把握できます。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングを横断して市場規模や競合の売上・販売個数、シェアを推計するNint ECommerceやOxcimのようなツールがあり、売れ筋ランキングなどの公開データから各社独自のアルゴリズムで割り出しています。
実測値ではなく推計値である前提で読むことが、判断を誤らないための第一歩です。
Q. EC競合調査ツールが示す売上や販売個数はどこまで正確ですか?
A. EC競合調査ツールが示す売上・販売個数は、モールの公開データから各社が独自に割り出した推計値で、精度には幅があります。たとえばJungle Scoutは自社の検証で全体の誤差率を15.9%と公表していますが、こうした数値は各社が自社基準で示す目安で、誤差率かカバー率かといった定義も異なるため、そのまま横並びで比べることはできません。
推計である旨と出所に加え、遡及期間・対応モール・市場カバー率が自社の目的に合っていれば、推計であっても意思決定の土台として十分に使えます。
Q. 楽天市場やYahoo!ショッピングの競合分析に対応したツールはありますか?
A. 楽天市場やYahoo!ショッピングの競合分析は、3モールを横断できるNint ECommerceやOxcimが対応し、Amazon専用のツールは対象外です。
EC競合調査ツールはAmazonに特化したものが多く、SellerSprite・Jungle Scout・Helium 10・AMZScout・Keepaは楽天市場・Yahoo!ショッピングの分析に対応しません(ERESAは在庫の有無を参考表示する補助的な対応にとどまります)。楽天やYahoo!の競合を数字で見たい場合は、モール横断型のツールを選ぶ必要があります。
Q. EC競合調査ツールの料金相場はどれくらいですか?
A. EC競合調査ツールの料金は、無料プランを持つものから、有料で月額5,000〜6,000円台のもの、モール横断の本格的な推計で月額6万円以上のものまで幅があります。Amazon特化ツールではERESAのProが月額5,980円(税込)、SellerSpriteのスタンダードが月額13,998円(税込)などから始まります。
モール横断で競合売上を推計するタイプは個別見積もりが基本で、たとえばNint ECommerceへの取材ではスモールに始める構成で月額6万円からの目安が示されています。多くのツールが無料プランや無料トライアルを備えるため、まず無料で試してから有料を検討できます。
Q. 競合の過去の売上や価格推移はどこまでさかのぼって調べられますか?
A. 競合の過去データをさかのぼれる期間はツールによって異なり、モール横断型なら最大10年分をさかのぼれるものもあります。Nint ECommerceは日本のEC市場データを2014年から蓄積しています。KeepaやERESAはASIN単位で価格・ランキングの履歴を、SellerSpriteは競合商品の売上・BSR(売れ筋ランキング)の3年分の推移をたどれます。
どこまで過去に遡れるか(遡及期間)は自社の目的に合うかを見極める確認ポイントになります。
Q. EC競合調査は自分でやるのと調査代行に外注するのとどちらがよいですか?
A. EC競合調査を自前ツールで回すか調査代行に外注するかは、社内に割ける工数と、調査をどれくらいの頻度で続けたいかで決まります。月額料金の範囲で市場や競合を継続してウォッチしたい場合は自前ツールが向き、データが社内に蓄積されるほど費用対効果が高まります。一方、新規参入時の市場規模の見立てや経営会議向けの一度きりの分析など、社内に分析リソースがない場面では調査代行が頼りになります。
まず無料の調べ方とツールの無料プランで着手し、足りない部分だけを有料ツールや代行で補うと無理がありません。
Q. データ分析が未経験でもEC競合調査ツールは使えますか?
A. データ分析が未経験でも、多くのEC競合調査ツールは目的に合った機能から少しずつ使い始められる設計になっています。無料プランや無料トライアルを備えるツールが多く、まず手を動かして画面やデータの粒度を確かめられます。ERESAのように会員登録だけで基本的な競合分析ができる無料ツールもあります。
ただし表示されるのは推計値なので、推計である点・遡及期間・対応モールといった前提を押さえたうえで数字を読み解くようにしましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。














