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公益通報者保護法とは?保護される通報者・企業の義務・令和7年改正をわかりやすく解説

公益通報者保護法とは?のサムネイル画像

社内の不正を知った従業員からの通報は、企業が問題を早期に把握し、被害の拡大を防ぐきっかけになります。その通報者を解雇や不利益な取扱いから守る仕組みを定めているのが公益通報者保護法です。自社の内部通報体制をどう整えるべきか、「この法律は結局どういう法律で、自社は何をしなければならないのか」を根っこから確認したい場面は少なくありません。

難しいのは、「誰が・何を・どこに通報すれば保護されるのか」という要件が通報先ごとに違い、条文の言葉のまま読むと頭に入りにくいことです。さらに2025年(令和7年)に法改正が成立し、施行日や罰則の強化まで含めて情報が入り交じっています。

本記事では、公益通報者保護法の骨格である「誰の・何を・どのように守るのか」から、通報先ごとの保護要件、事業者に課される体制整備義務、罰則、そして令和7年改正で何が変わり、いつから施行されるのかまでを整理します。

そのうえで、義務の対象になった場合に自社が進める体制整備の手順と、内部通報窓口を外部に委託するという選択肢まで具体的に確認できます。

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公益通報者保護法とは

公益通報者保護法とは、勤務先の法令違反を通報した労働者などが、通報を理由に解雇や不利益な取扱いを受けないよう保護し、あわせて事業者・行政機関がとるべき措置を定めた法律です。2004年(平成16年)に制定され、2020年(令和2年)の改正で事業者への体制整備義務などが加わりました。

法律の目的は、第1条に次のように定められています。

この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。

出典:公益通報者保護法 第1条|e-Gov 法令検索

整理すると、この法律の柱は2つです。1つは通報者の保護(解雇の無効・不利益取扱いの禁止など)、もう1つは事業者・行政機関がとるべき措置(内部通報に対応する体制の整備など)です。以降では、まず「何が公益通報にあたるのか」から順に見ていきます。

「公益通報」とは — 対象になる通報・ならない通報

ここからは、そもそも何が「公益通報」にあたるのかを確認します。保護の対象になるかどうかは、この線引きが出発点になります。

公益通報とは、労働者などが不正の利益を得る目的などではなく、勤務先で一定の法令違反の事実(通報対象事実)が生じている、または生じようとしていることを、勤務先内部・行政機関・報道機関などに通報することをいいます。通報の内容が何でもよいわけではなく、対象は法律で限定されています。

この「通報対象事実」は、国民の生命・身体・財産などの保護に関わる法律(別表に掲げる法律)に違反する犯罪行為や過料の対象となる事実を指します。対象となる法律は消費者庁の資料で約500本とされ、刑法や食品衛生法、金融商品取引法、個人情報保護法など幅広い分野が含まれます。私的なトラブルや単なる社内の不満は、公益通報にはあたりません。

具体的にイメージすると、会社の資金の横領・背任、食品の産地偽装、有価証券報告書の虚偽記載やインサイダー取引、個人情報の不正な持ち出しによる大量漏えいなどが、これらの法律に違反する通報対象事実の例にあたります。

出典・参考資料(2件)

保護される通報者の範囲(労働者・退職者・派遣労働者・役員)

保護される「公益通報者」は、正社員に限りません。法第2条は、通報者の範囲を次のように定めています。

  • 労働者(正社員・パート・アルバイトなど)、および労働者であった者(退職者)
  • 派遣労働者、および派遣労働者であった者
  • 請負契約などに基づいて事業に従事する労働者・派遣労働者
  • 役員(取締役・監査役など)

退職者は、退職前に知り得た事実を退職後に通報した場合が保護の対象です。役員については、通報を理由に解任された場合の損害賠償請求などが定められています(第6条)。

一方、フリーランス(特定受託業務従事者等)は現行法では保護対象に含まれていません。後述する令和7年改正で新たに追加され、2026年12月1日から対象となります。

公益通報と内部告発の違い

「内部告発」は法律上の用語ではなく、組織の不正を外部に明るみに出す行為を広く指す一般的な言葉です。これに対し「公益通報」は、公益通報者保護法が定める要件(通報者の範囲・通報対象事実・不正の目的でないことなど)を満たした通報を指します。

法の要件を満たす内部告発が「公益通報」として保護される、という関係です。要件を満たさない通報は、この法律による保護(解雇の無効など)を受けられるとは限りません。どこに通報すると保護されるのかは、次章の要件で決まります。

通報先ごとの保護要件(1号内部・2号行政機関・3号報道等)

ここからは、この法律のなかでも実務上とくに重要な、通報先ごとの保護要件を確認します。同じ通報でも、どこに通報するかによって保護されるためのハードルが変わります。

法第3条は、通報先を大きく3つ(1号・2号・3号)に分け、それぞれ保護されるための要件を定めています。勤務先などの内部(1号)がもっとも要件がゆるく、行政機関(2号)、報道機関などの外部(3号)へと進むほど要件が厳しくなります。

公益通報者保護法 第3条にもとづく、通報先ごとの保護要件のハードルを段階的に示した図。1号通報(勤務先などの内部)は不正が生じていると思料する場合で足り、ハードルは低い。2号通報(行政機関)は信ずるに足りる相当の理由、または思料と書面の提出が必要で、ハードルは中程度。3号通報(報道機関など外部)は相当の理由に加え、内部・行政では対応が期待できない等の正当化事由が必要で、ハードルは高い。内部から外部へ進むほど要件が厳しくなることを表す。
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通報先と保護される要件1号通報:勤務先などの内部(役務提供先等)2号通報:監督官庁などの行政機関3号通報:報道機関など外部(被害拡大の防止に必要な者)
保護される要件(条文の文言)通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合…信ずるに足りる相当の理由がある場合/又は思料し、かつ氏名・住所や通報内容などを記載した書面を提出する場合…信ずるに足りる相当の理由があり、かつ正当化事由(内部・行政では対応が期待できない事情など、イ〜ヘのいずれか)に該当する場合
ハードル低い(不正があると考えていれば足りる)中程度(客観的な根拠、または思料+書面)高い(相当の理由+正当化事由)

※要件は公益通報者保護法(現行法)第3条にもとづく要旨です。正確な適用は条文・専門家の確認をご参照ください。

ポイントは、1号(内部通報)が「思料する場合」=不正があると考えていれば足りるのに対し、2号・3号では「信ずるに足りる相当の理由」という客観的な根拠が求められる点です。3号(報道機関など)はさらに、内部や行政では適切な対応が期待できないといった正当化事由も必要になります。

この構造は、まず社内で対応できるよう内部通報を使いやすくし、外部への通報ほど慎重な要件を課す、という考え方にもとづいています。企業にとっては、社内の窓口を使いやすく整えることが、外部通報による突然の表面化を防ぐことにもつながります。

役員(取締役・監査役など)が行政機関(2号)や外部(3号)へ通報する場合は、労働者よりも一段重い要件が加わります。原則として、自ら調査是正のために必要な措置をとることに努めたことが保護の前提とされ、社内での是正に取り組んだうえでの外部通報が求められます(第6条各号)。

出典・参考資料(1件)

公益通報者はどう保護されるか(解雇無効・不利益取扱いの禁止・損害賠償請求の制限)

ここでは、要件を満たした公益通報者が具体的にどう守られるのかを確認します。保護の中身は、大きく分けて3つあります。

1つ目は解雇の無効です。公益通報をしたことを理由とする解雇は、法第3条によって無効となります。派遣労働者について、通報を理由とする労働者派遣契約の解除も無効です(第4条)。

2つ目は不利益な取扱いの禁止です。法第5条は、降格・減給・退職金の不支給その他の不利益な取扱いを禁止しています。3つ目は損害賠償請求の制限で、事業者は公益通報によって損害を受けたことを理由に、通報者へ賠償を請求することができません(第7条)。

令和7年改正では、この保護がさらに強化されます。従来は明文の対象が解雇と派遣契約の解除に限られていましたが、改正で懲戒(解雇等特定不利益取扱い)の無効が明文化されます。あわせて、通報から1年以内の解雇・懲戒は公益通報を理由としたものと推定する規定が新設され、事業者側が「通報が理由ではない」ことを立証しなければならなくなります。改正の全体像は後述します。

出典・参考資料(1件)

事業者の義務(従業員301人以上は義務/300人以下は努力義務)

ここからは、自社が何をしなければならないのかを確認します。まず押さえたいのは、体制整備が義務なのか努力義務なのかが、従業員規模で分かれる点です。

自社は体制整備義務の対象か(従業員規模による分岐)

法第11条は、事業者に対し、公益通報に対応する従事者の指定と、通報を受け付け・調査・是正する体制の整備を求めています。この義務の重さは、常時使用する労働者の数によって変わります。

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従業員規模と体制整備義務300人超(301人以上)300人以下
従事者の指定・体制整備義務努力義務
根拠法第11条第1項・第2項法第11条第3項

※「常時使用する労働者の数が三百人以下」の事業者を努力義務とする法第11条第3項、および消費者庁「300人超に義務付け」の記載にもとづく。

法第11条第3項は、規模による分岐を次のように定めています。

常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。

出典:公益通報者保護法 第11条第3項|e-Gov 法令検索

条文では「三百人以下」を努力義務とし、消費者庁は義務の対象を「300人超」と説明しています。両者は同じ内容で、従業員301人以上なら義務、300人以下なら努力義務と読み替えられます。パート・アルバイトを含めて常時使用する労働者で数える点に注意が必要です。

体制整備で求められること(従事者の指定・規程・守秘義務・周知)

義務の対象になった場合、法第11条と消費者庁の法定指針にもとづき、次のような体制を整えます。

  • 公益通報対応業務従事者の指定:通報を受け付け、調査・是正を担当する従事者を定める
  • 受付・調査・是正の体制整備:内部通報窓口の設置から、受付・調査・是正措置・通報者へのフォローまでの仕組みを整える
  • 規程の整備:通報対応の手順・利益相反の排除・不利益取扱いの防止などを社内規程に定める
  • 従業員への周知:窓口の連絡先や対応体制の具体的事項を労働者に周知する

とくに重要なのが守秘義務です。従事者は、通報対応で知り得た事項のうち通報者を特定させるものを、正当な理由なく漏らしてはなりません(第12条)。誰が通報したかが漏れれば通報者への報復につながり、制度そのものが機能しなくなるためで、違反には罰則も定められています(次章)。

これらの体制は自社だけで整えることもできますが、公正性・守秘の確保の観点から、内部通報窓口を弁護士や外部の専門事業者に委託する企業も少なくありません。具体的な進め方と外部委託の選択肢は、記事後半で扱います。

出典・参考資料(2件)

違反した場合の罰則・行政措置

ここでは、法に違反した場合の罰則・行政措置を確認します。以下は現行法(2026年11月30日まで)の条番号にもとづく整理で、令和7年改正による強化は次章で扱います。

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違反の類型と罰則・行政措置(現行法)従事者の守秘義務違反(第12条)報告をしない・虚偽の報告(第15条の報告徴収に対し)体制整備義務違反(第11条第1項・第2項)
措置30万円以下の罰金(第21条)20万円以下の過料(第22条)助言・指導・勧告、勧告に従わない場合は企業名の公表(第15条・第16条)

※現行法の条番号にもとづく。令和7年改正の施行(2026年12月1日)後は罰則の条建てが変わります。

守秘義務違反は「罰金」(刑事罰)である一方、報告義務違反は「過料」(行政上の秩序罰)で、性質が異なります。体制整備義務そのものに違反しても直ちに罰則が科されるわけではなく、消費者庁の助言・指導・勧告を経て、勧告に従わない場合に企業名が公表される仕組みです。

出典・参考資料(1件)

令和7年改正で何が変わるか(施行日:2026年12月1日)

ここからは、2025年(令和7年)に成立した改正で何が変わるかを確認します。この改正は2026年12月1日(令和8年12月1日)から施行されます。「近く施行」ではなく施行日が確定しているため、対象企業は期限から逆算した準備が必要です。

改正法(令和7年法律第62号)は2025年6月4日に成立し、同月11日に公布されました。主な変更点を、改正前と改正後で対照すると次のとおりです。

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令和7年改正の主な変更点(改正前→改正後)保護される通報者の範囲解雇・懲戒の無効通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰通報後の解雇・懲戒の立証行政措置通報を妨げる行為
改正前労働者・退職者・派遣労働者・役員解雇の無効・労働者派遣契約の解除の無効を明文化(不利益取扱いは禁止規定)刑事罰なし(解雇は民事上無効、不利益取扱いは禁止規定のみ)通報者が「通報が理由」と立証する必要報告徴収・助言・指導・勧告・公表明文の禁止なし
改正後(2026年12月1日施行)上記に加え、フリーランス(特定受託業務従事者等。業務委託の終了後1年以内を含む)を追加懲戒(解雇等特定不利益取扱い)の無効も明文化直罰を新設。個人は6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人は3,000万円以下の罰金(両罰)通報後1年以内の解雇・懲戒は公益通報を理由としたものと推定(立証責任の転換)従事者指定義務に違反する事業者(300人超)へ命令権・立入検査権を新設。命令違反・検査拒否・虚偽報告に刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)公益通報を妨げる合意等を禁止(違反する合意は無効)。通報者を特定しようとする探索行為も禁止

※消費者庁「改正概要(公益通報者保護法、法定指針)」および改正法本文にもとづく。改正後の罰則は第21条・第23条等の新たな条建てによる。

企業にとって影響が大きいのは、通報を理由とする解雇・懲戒への直罰の新設立証責任の転換です。従来は通報者側が「通報が理由で解雇された」ことを立証する必要がありましたが、改正後は通報から1年以内の解雇・懲戒について、事業者側が「通報が理由ではない」と立証しなければなりません。

直罰の逐語は、消費者庁の改正概要で次のように示されています。

公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)を新設する。法人に対する法定刑を3,000万円以下の罰金とする。

出典:改正概要(公益通報者保護法、法定指針)|消費者庁

これらの変更は、体制整備や規程の見直し、通報者の範囲(フリーランス追加)に応じた運用の更新を、施行日までに済ませておく必要があることを意味します。準備の具体的な手順は次章で示します。

出典・参考資料(2件)

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自社の対応の進め方とサービス活用

制度の骨格を押さえたら、次は自社の対応です。ここからは、体制整備の進め方と、内部通報窓口を外部に委託するという選択肢を確認します。

対応ステップ(窓口設置 → 従事者指定 → 規程整備 → 周知)と改正対応

体制整備義務の対象となる企業が進める基本的な手順は、次の流れです。

  1. 内部通報窓口の設置:社内窓口・外部窓口(弁護士・専門事業者)のいずれか、または併用で受付経路を用意する
  2. 従事者の指定:通報の受付・調査・是正を担う公益通報対応業務従事者を書面などで指定する
  3. 規程の整備:受付から調査・是正・フォローまでの手順、守秘義務、不利益取扱いの防止を内部規程に定める
  4. 従業員への周知:窓口の連絡先や対応体制を全従業員に周知し、利用できる状態にする

これに加え、令和7年改正への対応も必要です。2026年12月1日の施行までに、フリーランスを通報者の範囲に加えた運用への更新、通報妨害・通報者探索の禁止を踏まえた規程の見直し、周知事項の点検を済ませておくと、施行後の抜けを防げます。

窓口の運用には、通報者の匿名性の確保、従事者の守秘、記録の管理といった専門的な配慮が求められます。社内の人員だけで公正性・守秘を担保するのが難しい場合、弁護士や外部の専門事業者に内部通報窓口を委託する方法があります。消費者庁の指針も、外部窓口の活用を体制整備の選択肢として位置づけています。

内部通報窓口の外部委託には、弁護士(法律事務所)に受付を委託する型や、通報の受付からケース管理までを担うGRCプラットフォーム型など、いくつかの選択肢があります。ここからは、その代表例として2サービスを取り上げ、特徴を比較します。

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内部通報窓口サービスの比較CLOUD LEGALNAVEX One
提供形態弁護士による外部窓口
(法務BPaaSの一機能)
GRCプラットフォームの一部
(内部通報・インシデント管理)
内部通報に関する主な機能弁護士が外部窓口として
法令違反・ハラスメントの通報を受付
Web・電話・モバイルで24時間365日受付
匿名・実名を選択可/170言語以上に対応
日本語対応対応(国内提供)対応(2026年1月に日本法人設立、
2026年8月に通報管理画面を日本語化)
料金内部通報窓口を含む上位プラン(ゴールド)は
月額110,000円〜(税込)。法務BPaaSの入口は月額11,000円〜
要お問い合わせ(個別見積り)
向いている企業法務業務全体をまとめて
外部に委託したい企業
海外拠点があり多言語での
通報受付を求める企業
詳細情報資料を見るサービス詳細を見る
CLOUD LEGALの公式サイト

CLOUD LEGALは、MOLTON株式会社が提供する、弁護士・専門士業の体制を活かした法務BPaaS(法務業務のアウトソーシング)です。電子契約や契約書レビューといった法務業務を包括的に支援するサービスで、そのメニューの一つとして弁護士による内部通報窓口を備えています。

内部通報窓口は、法令違反やハラスメントに関する通報を弁護士が外部窓口として受け付ける位置づけです。社内に十分な法務・コンプライアンス人員を置きにくい企業が、公正性と守秘を確保しながら窓口機能を外部に委託したい場合の選択肢になります。法務業務全体をまとめて支援する体制のため、契約・規程まわりの整備とあわせて相談したい企業に向いています。

内部通報窓口は上位プラン(ゴールド、月額110,000円〜/税込)に含まれる位置づけで、法務BPaaSの入口となるプランは月額11,000円〜(税込)です。窓口の具体的な運用フローは公式資料や問い合わせで確認するとよいでしょう。

NAVEX Oneの公式サイト

NAVEX Oneは、内部通報・インシデント管理を中核とするグローバルなGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)プラットフォームです。通報ホットライン「EthicsPoint」は早い時期から提供されてきた仕組みで、Web・電話・モバイルによる24時間365日の受付、匿名・実名の選択、電話オペレーターによる170言語以上への対応を備えます。

受け付けた通報は、ケース管理の機能で調査の進捗や対応履歴を一元管理できます。2026年1月には日本法人NAVEX Japanが設立され、導入から運用までを日本語で直接受けられる体制が整い、同年8月には通報管理画面の日本語対応も進みました。海外拠点を持つ企業や、多言語での通報受付・ケース管理を求める企業に適しています。

単体の通報ホットラインではなくGRCプラットフォームの一部として提供されるため、料金は要問い合わせ・個別見積りです。導入規模や必要な機能によって構成が変わるため、詳細はカタログの製品ページで確認してください。

内部通報窓口とあわせて、体制整備の柱になるのが従業員へのコンプライアンス教育・周知です。以下の記事では、社内研修に使えるコンプライアンス研修eラーニングを、料金・教材テーマ・選び方の観点から比較しています。通報体制の整備と並行して、法令遵守の周知・教育の手段まで含めて検討したい方はあわせてご覧ください。

まとめ

公益通報者保護法は、勤務先の法令違反を通報した労働者などを解雇・不利益取扱いから守り、あわせて事業者に通報対応の体制整備を求める法律です。保護されるための要件は通報先(内部・行政機関・報道機関等)ごとに異なり、内部通報がもっとも要件がゆるく設計されています。

体制整備は、常時使用する労働者が300人超(301人以上)なら義務、300人以下なら努力義務です。義務の対象となる企業は、従事者の指定・規程整備・守秘義務・周知を含む体制を整える必要があります。

そして2026年12月1日施行の令和7年改正で、フリーランスの追加、通報を理由とする解雇・懲戒への直罰、立証責任の転換などが加わります。施行日から逆算し、窓口・規程・運用の見直しを進めておくことが重要です。自前での運用が難しい場合は、弁護士や専門事業者への内部通報窓口の外部委託も選択肢になります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 公益通報者保護法とは何ですか?

A. 公益通報者保護法とは、勤務先の法令違反を通報した労働者などを、通報を理由とする解雇や不利益な取扱いから守るための法律です。あわせて、事業者や行政機関が通報に適切に対応するための体制整備などの措置を定めています。2004年に制定され、2020年(令和2年)改正で事業者の体制整備義務が加わり、2025年(令和7年)改正では保護される通報者の範囲や罰則がさらに拡充されました。

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Q. 公益通報者保護法で対象となる法令違反(通報対象事実)にはどのようなものが含まれますか?

A. 対象となるのは、国民の生命・身体・財産などの保護に関わる法律(別表に掲げる法律)に違反する犯罪行為や過料の対象となる事実で、消費者庁の資料では対象となる法律が約500本とされています。刑法・食品衛生法・金融商品取引法・個人情報保護法など、幅広い分野の法令が含まれます。

パワハラについては、それ自体を規制する労働施策総合推進法上のパワハラ防止措置義務には罰則規定がないため、通報対象事実に直ちに該当するとは限りません。ただし、暴行・傷害など犯罪に当たる行為を伴う場合は対象になり得ます。私的なトラブルや単なる社内の不満は、公益通報の対象になりません。

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Q. 公益通報は匿名でもできますか?

A. 匿名での通報も可能です。 公益通報者保護法は匿名の通報を禁じておらず、消費者庁の法定指針も、匿名の通報を受け付け、匿名を維持したまま通報者と受付担当者がやり取りできる仕組みを整えることを求めています。ただし、匿名の場合は事実確認や調査に必要な情報を追加で聴き取りにくくなることがあるため、実務では匿名性を守りながら調査を進められる運用(外部窓口の活用など)が重要になります。

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Q. 内部通報窓口を設置していない場合、企業はどうなりますか?

A. 従業員301人以上(常時使用する労働者が300人超)の企業が体制整備義務を怠った場合、消費者庁による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わないときは企業名が公表されることがあります。体制整備義務違反そのものに直ちに罰金が科されるわけではありません。

令和7年改正の施行(2026年12月1日)後は、従事者の指定義務に違反する企業への命令権・立入検査権が新設され、命令違反や検査拒否などには罰則が科されます。従業員300人以下の企業は努力義務のため直ちに行政措置の対象にはなりませんが、整備しておくことが望まれます。

出典・参考資料(1件)

Q. 従業員300人以下の企業でも内部通報体制を整備すべきですか?

A. 300人以下の企業にとって体制整備は努力義務ですが、整備しておくことが望まれます。 内部通報窓口が機能していれば、不正を社内で早期に把握でき、行政機関や報道機関への外部通報による突然の表面化を防ぎやすくなるためです。上場準備企業では、審査の観点からも体制整備が求められます。将来的に従業員が301人以上へ増えれば義務の対象になるため、早めに整備しておくと移行が円滑です。

出典・参考資料(1件)

Q. 内部通報窓口は外部に委託できますか?

A. 内部通報窓口は、弁護士や外部の専門事業者に委託できます。 消費者庁の法定指針も、外部窓口の活用を体制整備の選択肢として位置づけています。

外部委託の主なメリットは、通報者の匿名性や守秘・中立性を確保しやすいこと、社内に十分な法務・コンプライアンス人員がいなくても専門的な受付・調査体制を確保できることです。社内窓口と外部窓口を併用する運用も可能で、受付経路を複線化することで通報者が使いやすい環境を整えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 令和7年改正への対応はいつまでに済ませる必要がありますか?

A. 令和7年改正は2026年12月1日に施行されるため、対象となる企業はこの施行日までに対応を済ませておく必要があります。

具体的には、新たに保護対象へ加わるフリーランス(特定受託業務従事者等)を踏まえた運用の更新、通報を妨げる行為・通報者を特定しようとする探索行為の禁止に対応した社内規程の見直し、従業員への周知事項の点検などが求められます。施行日が確定しているため、期限から逆算して準備を進めることが重要です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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