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リスク管理とは?種類・進め方の5ステップと対応方法をわかりやすく解説

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事業を取り巻くリスクは、自然災害やサイバー攻撃、取引先の経営悪化、コンプライアンス違反など多様化しています。こうしたリスクにその都度対応するのではなく、あらかじめ体系立てて備える取り組みが「リスク管理(リスクマネジメント)」です。

もっとも、リスク管理はリスクアセスメントやBCP、危機管理といった似た言葉と混同されやすい面があります。まずは言葉の意味と全体像を正しく押さえることが、適切な取り組みの第一歩になります。

本記事では、リスク管理の意味を結論から示したうえで、混同しやすい用語との違い、リスクの種類と企業が抱える具体例、目的、進め方の5ステップ、リスクへの対応方法までを整理します。解説は、国際規格 ISO 31000/国内規格 JIS Q 31000 の考え方に沿って進めます。自社でリスク管理を始めるための最初の一歩や、属人的な対応を仕組みに変えるための選択肢についても取り上げます。

リスク管理の全体像をつかみ、自社の状況に合った取り組みを進めるための土台としてご活用ください。

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リスク管理とは?意味を結論から解説

リスク管理とは、企業が直面するさまざまなリスクを洗い出し、その影響を分析・評価したうえで、損失の回避や軽減につなげる一連の取り組みを指します。自然災害や情報漏えい、取引先の倒産といった不確実な出来事に対し、行き当たりばったりではなく、あらかじめ備えを組み立てておく活動といえます。

そもそも「リスク」は、国際規格 ISO 31000/国内規格 JIS Q 31000〈リスクマネジメント―指針〉にもとづき、次のように定義されています。

リスク:目的に対する不確かさの影響。事象の結果とその起こりやすさ(発生確率)との組み合わせ。

出典:医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン(JIS Q 31000 を基に定義)|総務省・経済産業省

この定義は特定の業種に限らず、あらゆる組織に共通する考え方です。リスクは「悪いこと」だけを指すのではなく、目的の達成を左右する不確かさそのものを意味します。この不確かさに対して組織を指揮・統制する一連の活動が、リスク管理(リスクマネジメント)です。

「リスク管理」と「リスクマネジメント」は、実務ではほぼ同じ意味で使われます。よりどころとなる JIS Q 31000〈リスクマネジメント―指針〉は経済産業大臣が定める国内規格で、国際規格 ISO 31000:2018 に対応します(制定2010年、2019年改正)。以降では、この規格の考え方に沿って全体像を見ていきます。

出典・参考資料(2件)

リスク管理と混同しやすい用語との違い

リスク管理の周辺には、意味の近い言葉がいくつもあります。会議や資料で取り違えないよう、代表的な用語をリスク管理の中での位置づけとあわせて整理します。

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リスクマネジメントリスクアセスメントリスクヘッジクライシスマネジメント(危機管理)BCP(事業継続計画)
位置づけリスク管理とほぼ同義リスク管理の一工程リスク対応の一手段事後の緊急対応事後の復旧計画
意味・役割「リスク管理」の英語由来の呼称。実務上の違いはほとんどありませんリスクの特定・分析・評価を行うプロセス。リスク管理の中核となる工程です想定されるリスクに備えて、損失を回避・軽減する個別の行為を指します事故や災害が実際に起きた後の、緊急対応や被害の収束を指すのが一般的です不測の事態でも重要な事業を止めない、または早期に復旧するための計画です

大きく分けると、リスクアセスメントは事前のリスク管理の一部、クライシスマネジメントや BCP は事態が起きた後に関わる考え方です。リスクヘッジも事前の打ち手の一つで、特定のリスクに的を絞って損失を先回りで抑える個別の行為を指します(後述するリスク対応の「低減」や「移転」に相当します)。とくに BCP(事業継続計画)は、内閣府のガイドラインで次のように定義されています。

大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。

出典:事業継続ガイドライン(令和5年3月)|内閣府

リスク管理が「どんなリスクにどう備えるか」を全体として扱うのに対し、BCP は「重要事業を止めない・早く戻す」ことに焦点を絞った計画です。両者は対立するものではなく、リスク管理の中で事業継続への備えを具体化したものが BCP だと捉えると整理しやすくなります。

出典・参考資料(1件)

リスクの種類と企業が抱えるリスクの具体例

ここからは、リスクをどう分類し、企業が実際にどんなリスクを抱えているのかを見ていきます。まず基本となるのが、純粋リスクと投機的リスクという2つの分け方です。

純粋リスクと投機的リスク

リスクは、損失だけをもたらすものか、利益の可能性も含むものかで2つに分けられます。日本アクチュアリー会の教科書では、次のように説明されています。

将来の複数の起こりうる結果のうち、経済的損失の可能性のみがある(利得の可能性がない)リスクを「純粋リスク」という。一般に保険制度が対象としているのは、この純粋リスクである。一方「投機的リスク」は、不確実性の中に損失だけでなく利得の可能性も含まれるリスクである。

出典:「損保」教科書 第1章|公益社団法人 日本アクチュアリー会

火災や地震、情報漏えいのように損失しか生まない出来事が純粋リスク、新規事業への投資や為替の変動のように損失にも利益にもなり得る出来事が投機的リスクです。純粋リスクは保険や対策で備え、投機的リスクは損失側を管理しつつ利益を狙う、という違いを押さえておくと対応方針を立てやすくなります。

出典・参考資料(1件)

企業が抱える主なリスクの具体例

企業が直面するリスクは、事業活動のあらゆる場面に潜んでいます。代表的なものを種類別に整理すると、自社に当てはまるリスクを見つけやすくなります。

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経営戦略リスク財務リスク情報セキュリティリスクコンプライアンスリスク災害・事故リスクレピュテーションリスク人事・労務リスク
具体例事業計画の失敗、投資判断の誤り、市場・競合環境の急変など取引先の倒産による貸し倒れ、資金繰りの悪化、為替・金利の変動などサイバー攻撃による情報漏えい、システム障害、委託先からの情報流出など法令違反、不正会計、ハラスメント、下請法・個人情報保護法などへの抵触地震・水害などの自然災害、火災、設備事故、感染症のまん延などSNS炎上、不祥事の発覚などによるブランド・信用の毀損人材の流出、長時間労働、労使トラブル、後継者不足など

これらのリスクは互いに関係し合うことも少なくありません。たとえば情報漏えい(情報セキュリティリスク)が発覚すれば、信用の低下(レピュテーションリスク)や損害賠償(財務リスク)にも波及します。自社にどのリスクがあるかを洗い出すときは、部門をまたいで横断的に見ることが大切です。

先に触れた純粋リスク・投機的リスクの分け方と重ねると、整理がしやすくなります。災害・事故や情報セキュリティ、コンプライアンスのように損失しか生まない事象は純粋リスクです。一方、経営戦略や財務のうち為替・金利・投資判断のように、損失にも利益にもなり得る事象は投機的リスクにあたります。

純粋リスクは保険や予防策で損失をいかに抑えるか、投機的リスクは損失を管理しながら利益をどう取りにいくか。同じ洗い出しでも、対応の力点が変わる点を押さえておくと、次に述べる対応方法を選びやすくなります。

リスク管理の目的

リスク管理に取り組む目的は、大きく3つに整理できます。いずれも、事業を継続的に成長させるための土台づくりにつながります。

  • 損失の回避・軽減:リスクが顕在化する前に対策を講じ、被害そのものを防ぐ、または小さく抑えます。
  • 事業継続性の確保:災害やシステム障害などが起きても、重要な事業を止めない、または早期に復旧できる体制を整えます。
  • 企業価値の維持・向上:適切なリスク管理は取引先や投資家からの信頼につながり、企業の価値を守り、高めます。

とくに事業継続性の確保は、不測の事態でも重要事業を止めないという BCP の考え方と重なります。リスク管理は「守り」の取り組みに見えますが、リスクを見極めて備えることで、新しい挑戦にも踏み出しやすくなるという「攻め」の側面も持っています。

リスク管理を取り巻く近年の環境変化

リスク管理が企業経営で問われる場面は、この数年の事業環境の変化によって広がっています。サイバー攻撃の高度化や大規模自然災害の増加に加え、サプライチェーンの複雑化により、自社だけでなく委託先・取引先を起点としたリスクも無視できなくなりました。

委託先や取引先のリスクにどう向き合うかは、この数年で企業の受け止め方が変わってきています。取引先のセキュリティ評価に携わる立場からは、次のような変化が語られています。

藤本大氏
SecurityScorecard株式会社 代表取締役社長 兼 日本カントリーマネージャー
藤本大氏
独自インタビューより

少し前までは、資本関係もない取引先を勝手に評価して「あなたはここに問題があってC評価です」と伝えるなんてけしからん、というお叱りを受けることもありました。それが今では、サプライチェーンリスク管理という考え方がだいぶ市民権を得てきたと感じています。背景としては、各省庁が警鐘を鳴らしていることもありますし、IPAが発表している情報セキュリティ10大脅威の中でも、サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃が長年にわたって上位にランクインしています。

また、ESG(環境・社会・ガバナンス)への関心の高まりや情報開示への要請を受け、リスクにどう向き合っているかを社外へ説明する場面も増えています。こうした変化により、リスク管理は一部の担当者の業務から、全社で取り組むべきテーマへと位置づけが変わってきています。

リスク管理の進め方5ステップ

ここからは、リスク管理を実際に進める手順を見ていきます。国際規格 ISO 31000/国内規格 JIS Q 31000 の標準的なプロセスにもとづくと、次の5ステップに整理できます。

  1. リスクの特定:自社の事業に潜むリスクを洗い出します。部門ごとの業務や取引先、システムなどを棚卸しし、どんな事象が起こり得るかを幅広く挙げます。
  2. リスクの分析:特定した各リスクについて、発生する可能性(頻度)と、起きた場合の影響の大きさを見積もります。
  3. リスクの評価:分析結果をもとに、どのリスクから優先的に対応すべきかを判断します。発生可能性と影響度を掛け合わせたリスクマップ(マトリクス)を使うと、優先順位を整理しやすくなります。
  4. リスクへの対応:評価の結果、優先度の高いリスクから具体的な対策を実施します。対応の考え方は次章の4分類で解説します。
  5. モニタリングと見直し:対策の効果を継続的に確認し、状況の変化に応じて内容を更新します。リスク管理は一度きりで終わらせず、繰り返し回していくことが肝心です。

この一連のプロセスは、ISO 31000/JIS Q 31000 の標準的なリスクマネジメントの流れに沿ったものです。規格の枠組みでは、この5つのステップの前段に「適用範囲・状況・基準の確定」(対象範囲や評価のものさしを定める工程)が置かれます。そのうえで、関係者との「コミュニケーション及び協議」を各段階で継続することが示されています。

本記事の5ステップは、その中核となる実務の流れを取り出して整理したものです。とくに最後のモニタリングと見直しは見落とされがちですが、事業環境が変わればリスクも変わるため、定期的に回し続ける仕組みにしておくことが実効性を左右します。

ステップ3「リスクの評価」で使うリスクマップは、発生可能性と影響の大きさの2軸でリスクを配置し、どこから対応するかを整理する図です。両方が大きい領域のリスクから優先的に対策します。

リスクマップの図解。縦軸に影響の大きさ、横軸に発生可能性をとり、リスクを4つの領域に配置する。発生可能性と影響がともに大きいリスクは最優先で対応し、ともに小さいリスクは優先度を低めにするなど、どのリスクから対応するかの優先順位を整理する。
出典・参考資料(1件)

リスクへの対応方法4分類(回避・低減・移転・容認)

リスクへの対応は、標準的なリスクマネジメントの枠組みでは4つの選択肢に整理されます。すべてのリスクをゼロにはできないため、リスクの大きさと対策コストのバランスを見て、どの方法をとるかを選ぶことになります。

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リスク回避リスク低減リスク移転(共有)リスク保有(容認)
内容リスクを生じさせる活動そのものを取りやめる、または別の方法に変える対策を講じて、リスクの発生確率や影響度を下げる保険への加入や外部委託によって、リスクを他者と分担する残るリスクを受け入れ、顕在化した場合の損失を自社で負担する
使いどころ影響が大きく、低減も難しいリスク。撤退・方式変更で根本から避ける多くのリスクで基本となる対応。セキュリティ強化・手順整備など自社だけで抱えきれない金銭的損失や専門領域に備える場合影響が小さく、対策コストが見合わないリスク

実務では、これらを組み合わせて使います。たとえば情報漏えいリスクなら、アクセス制限で発生確率を下げる(低減)一方で、万一に備えてサイバー保険に加入する(移転)、といった具合です。どのリスクにどの対応をとるかを整理しておくと、対策の抜け漏れを防げます。

出典・参考資料(1件)

つまずきやすいポイントと自社で始める最初の一歩

リスク管理を自社で始めようとすると、多くの企業が同じような壁に突き当たります。まずはよくあるつまずきを知り、自社に当てはまるものがないかを点検することが、実効性のある取り組みへの近道です。

  • 責任者・役割が明確でない:誰がどのリスクを見るのかが決まっておらず、対応が場当たり的になっていないか。
  • 体制・ルールが整っていない:リスクを洗い出す仕組みや判断の基準がなく、担当者の経験や勘に頼っていないか。
  • リスクに気づけていない:委託先や新しい業務など、見落としがちな領域のリスクを把握できているか。

これらに共通するのは、リスク管理が特定の担当者の頭の中だけで回っている「属人的な状態」です。最初の一歩としては、前述の5ステップに沿って自社のリスクを一度洗い出し、優先順位をつけて一覧にすることから始めるのが現実的です。

そのうえで、洗い出したリスクを継続的に管理し続けるには、担当者個人の努力だけに頼らず、仕組みとして支える発想が欠かせません。次章では、その選択肢となるサービスを紹介します。

属人的な管理から「仕組み」でのリスク管理へ

リスクの洗い出しや委託先の評価、規程の管理を表計算ソフトや個人の記憶で回していると、担当者が変わった途端に運用が止まりがちです。こうした属人化を防ぎ、リスクを横断的に管理する仕組みが、GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)を支えるツール群です。

GRC ツールは、前述した7種類すべてのリスクを直接肩代わりするものではなく、リスクの洗い出し・評価、社内規程や統制の文書管理、委託先の評価といった「管理の土台」を横断的に支える仕組みです。属人化の解消と監査対応の効率化を目的に導入され、財務や災害といった個別領域のリスクも、この土台の上で一元的に扱いやすくなります。

本記事では、委託先管理・情報セキュリティ・社内規程という3つの領域から、代表的なサービスを1つずつ紹介します。

ここで取り上げるのは代表的な3サービスですが、GRC ツールをより幅広く比較して選びたい場合は、以下の記事が参考になります。26製品を4つのタイプに分類し、自社に合ったツールの選び方のポイントとあわせて解説しています。

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リスク管理を支える代表的なサービスの比較

以下は、本記事で紹介するサービスの比較表です。それぞれ得意とする領域が異なるため、自社が優先したいリスク領域と照らし合わせてご覧ください。

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サービス名VendorTrustLinkSecureNaviKiteRa Biz
得意領域委託先・取引先のリスク管理(TPRM)情報セキュリティ
(ISMS/Pマークの取得・運用)
社内規程の作成・改定・管理
主な対象リスク委託先起因の情報漏えい・
コンプライアンス違反
情報セキュリティリスクコンプライアンスリスク
(規程の不備・更新漏れ)
主な機能チェックシートの自動送付・回収・採点、
委託先管理、ダッシュボード
規程・情報資産台帳・リスクアセスメント・
内部監査の一元管理、認証取得ガイド
設問式の規程作成、AI法改正レビュー、
新旧対照表の自動作成、電子申請
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
初期費用要問い合わせ要問い合わせ0円〜(Freeプラン)
100人以下 5万円/101〜500人 30万円
月額費用要問い合わせ要問い合わせ0円〜(Freeプラン)
100人以下 5万円/101〜500人 20万円
無料トライアル・無料プラン無料トライアルあり
(期間非公開)
要問い合わせ無料プランあり(Free)
対象企業規模中小〜大企業中小〜大企業中小〜大企業
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る
VendorTrustLinkのウェブサイト

VendorTrustLink は、委託先・取引先へのセキュリティチェックシートの送付から回収・採点・履歴管理までをクラウド上で自動化する、委託先リスク管理(TPRM)のサービスです。国際的なリスクマネジメントガイドライン ISO 31000 に沿った設計を掲げ、情報漏えいやコンプライアンス違反といった委託先起因のリスクを可視化・一元管理できます。

チェックシートは選択式・自由記述などでカスタマイズでき、複数の委託先への一括配信や未回答者への自動リマインドにも対応します。採点結果はレーダーチャートや一覧で経年比較でき、Excel での送付・集計に頼っていた委託先管理を、そのまま仕組みに置き換えられる点が特徴です。大手企業から小規模企業まで、委託先の数が多い企業に適しています。

2. SecureNavi(SecureNavi株式会社)

SecureNaviのウェブサイト

情報セキュリティ面のリスク管理を体系化したい企業に向くのが、ISMS(ISO/IEC 27001)や Pマークの取得・運用をクラウドで支援する SecureNavi です。規程類・情報資産台帳・リスクアセスメント・内部監査の記録を1つのプラットフォームに集約し、Excel や Word で分散しがちだった管理を一元化できます。

認証取得に必要な工程がステップ化されており、専任のセキュリティ担当者を置きにくい企業でも進めやすい設計です。取得フェーズだけでなく、更新審査や規格改訂への対応といった運用フェーズもカバーします。情報セキュリティのリスク管理を、認証取得とあわせて体系的に進めたい企業に適しています。

3. KiteRa Biz(株式会社KiteRa)

KiteRa Bizのウェブサイト

コンプライアンスリスクの土台となる社内規程の管理に強みを持つのが、KiteRa Biz です。就業規則をはじめとする社内規程や労使協定の作成・改定・周知・行政への電子申請までをクラウドで一元管理でき、規程がガバナンスの起点になるという考え方にもとづいて設計されています。

設問に答える形式での規程作成や、約200種類の雛形、法改正が条文に反映されているかを確認する AI レビュー、改定時の新旧対照表の自動作成などを備えます。料金は従業員100人以下で初期費用・月額とも5万円から、無料で試せる Free プランも用意されています。規程が属人的に管理され、更新漏れが起きやすい企業に向いています。

まとめ

リスク管理とは、企業が直面するリスクを洗い出し、分析・評価したうえで損失の回避や軽減につなげる一連の取り組みです。リスクマネジメントとほぼ同義で、リスクアセスメントはその一工程、BCP や危機管理は主に事態が起きた後に関わる考え方という違いを押さえておくと、言葉に振り回されずに全体像をつかめます。

進め方は、リスクの特定・分析・評価・対応・モニタリングという5ステップが基本で、対応は回避・低減・移転・容認の4分類から選びます。これらを一度きりで終わらせず継続的に回すことが実効性の鍵ですが、担当者個人に依存した属人的な運用では長続きしません。委託先管理・情報セキュリティ・社内規程といった領域を仕組みで支えるサービスも活用し、無理なく続けられるリスク管理の体制づくりを進めましょう。

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リスク管理に関するよくある質問(FAQ)

Q. リスク管理とリスクマネジメントの違いは何ですか?

A. リスク管理とリスクマネジメントは、実務ではほぼ同じ意味で使われる同義語です。「リスクマネジメント」は英語の risk management に由来する呼び方で、これを日本語にしたものが「リスク管理」にあたります。

よりどころとなる国内規格も JIS Q 31000〈リスクマネジメント―指針〉と表記され、両者を厳密に区別していません。文脈によって使い分けられることはあっても、意味の違いを気にする必要はほとんどありません。

Q. リスク管理とBCP・危機管理はどう違いますか?

A. リスク管理がさまざまなリスクへ事前に備える取り組み全体を指すのに対し、BCP(事業継続計画)と危機管理は、主に事態が起きた後の対応に焦点を当てた考え方です。BCP は災害などの非常時でも重要な事業を止めない・早期に復旧するための計画を指します。

危機管理(クライシスマネジメント)は、事故や災害が実際に発生した際の緊急対応を指します。いずれもリスク管理という大きな枠組みの中に位置づけられ、互いに対立するものではありません。

Q. リスク管理は何から始めればよいですか?

A. リスク管理は、まず自社に潜むリスクを洗い出して一覧化することから始めるのが現実的です。いきなり大がかりな体制を整えようとせず、部門ごとの業務・取引先・システムなどを棚卸ししてリスクを書き出し、発生可能性と影響の大きさから優先順位をつけます。優先度の高いリスクへの対応を決めて実行し、定期的に見直す——この小さなサイクルを回すことが、実効性のある取り組みへの近道です。

Q. 中小企業にもリスク管理は必要ですか?

A. リスク管理は企業規模にかかわらず必要で、経営資源が限られる中小企業ほど、一つのリスクの顕在化が事業の存続に直結しやすいため重要です。専任のリスク管理部門を置けなくても、優先度の高いリスクから小さく着手できます。情報漏えいや取引先の倒産、自然災害など、自社への影響が大きいリスクを見極めて備えることが、限られた人員でも効果を出すポイントです。

Q. リスクマップ(リスクマトリクス)とは何ですか?

A. リスクマップとは、洗い出したリスクを「発生可能性」と「影響の大きさ」の2軸で配置し、対応の優先順位を一目で把握できるようにした図表です。リスクマトリクスとも呼ばれます。両方が高い領域にあるリスクから優先的に対策する、といった判断に使い、リスク管理の評価ステップで役立ちます。限られた予算や人員をどのリスクに振り向けるかを、関係者で共有しやすくなる点もメリットです。

Q. リスク管理に専用のツールやシステムは必要ですか?

A. 小規模なうちは表計算ソフトでも始められますが、リスクの洗い出しや委託先評価、社内規程の管理を継続的・横断的に回すには、GRC などの専用ツールが有効です。担当者の記憶や個別の Excel に頼った管理は、担当者が変わると運用が止まりがちです。

専用ツールを使えばリスク情報や統制状況を一元管理でき、属人化の防止と監査対応の効率化につながります。自社が優先したいリスク領域に合わせて選ぶとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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