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デューデリジェンス(DD)とは?M&Aでの意味と調査の種類一覧|進め方・費用と補助金・依頼先までわかりやすく解説

デューデリジェンス(DD)とはのサムネイル画像

デューデリジェンス(Due Diligence/DD)とは、M&Aで買い手が、買う相手の会社の中身を最終契約の前に調べる手続きです。財務・法務・税務・ビジネスなど、公開情報や経営者へのヒアリングだけでは見えない実態を、外部の専門家を使って確かめ、その会社を買ってよいか、値段は妥当か、隠れた問題はないかを判断します。

会議やメールで「DD」という言葉が飛び交っていて、自分だけ意味を正確に掴めていない。「来月からあの案件のDD対応に入って」と言われた。見積書に「デューデリジェンス費用」という行があって、何の作業に払うお金なのか分からない。この記事は、そうした場面でまず必要になる知識を、定義から順に扱います。

デューデリジェンスの意味と略称、M&A以外の場面との違い、種類ごとに何を調べるかを、まず押さえます。そのうえで、基本合意から最終契約までの進め方、費用と負担者、実施しない場合に何が起きるか、似た言葉との違い、依頼先までを解説します。

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デューデリジェンス(DD)とは?M&Aで買い手が契約前に相手企業の中身を調べる手続き

デューデリジェンス(Due Diligence)は、英語で「相当の注意」を意味する言葉に由来し、実務では「DD」「デューデリ」と略されます。国の補助金の公募要領は、中小M&Aガイドライン(第3版)を引用して、デューデリジェンスを次のように定義しています。

デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に買い手が FA や士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い。)。

出典:事業承継・M&A補助金(15次公募)専門家活用枠 公募要領|事業承継・M&A補助金事務局

ここでいう「譲り渡し側」とは、売られる会社(売り手)のことです。デューデリジェンスは、買い手が、売り手の会社に隠れたリスクがないかを、会計士や弁護士などの専門家を使って調べる作業です。国の別の資料では「売手側の財務状況等について買手側が行う調査」とも表現されています。

出典・参考資料(3件)

誰が・いつ行うのか(買い手が、基本合意後から最終契約前に)

デューデリジェンスを行うのは、主に買い手(譲り受け側)です。時期は、買い手と売り手が大筋で合意して「基本合意」を結んだ後から、最終的な契約(最終契約)を結ぶ前までの期間に実施されます。中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、デューデリジェンスの位置づけを次のように説明しています。

デュー・ディリジェンス(DD)は、主に譲り受け側が、譲り渡し側の財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について、FA や士業等専門家を活用して調査する工程であり、譲渡対価の金額の精査や、判明した実態を踏まえて更に事業の改善を行うこと等の目的で行われる。

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

M&Aの取引は、おおまかに「意向表明 → 基本合意 → デューデリジェンス → 最終契約 → クロージング(取引の実行)」という順で進みます。デューデリジェンスは、買い手が「この会社を本当に買うか」を最終判断する直前の工程にあたります。取引全体のどこで行うかは、後の進め方の章で詳しく見ていきます。

「買収監査」とも呼ばれるが、会社法・金商法上の法定監査ではない

デューデリジェンスは、実務で「買収監査」と呼ばれることがあります。ただし、ここでいう「監査」は、会社法や金融商品取引法が上場企業などに義務づけている法定監査とは別物です。そもそも「デューデリジェンス」「買収監査」という言葉は、現行の法令に出てくる用語ではありません。

法令が定める監査は、たとえば会社法が監査役設置会社の計算書類について定めるもの(第436条)や、金融商品取引法が上場会社等に義務づける公認会計士・監査法人による監査証明(第193条の2)です。これらは、投資家や債権者を保護するために、過去の財務書類が正しいことを第三者に対して保証する手続きです。

一方、デューデリジェンスは、買い手が自分の意思決定のために、これから買う会社の実態を調べる作業で、法令上の実施義務はありません。

出典・参考資料(2件)

ただし「義務がないから省いてよい」という意味ではありません。デューデリジェンスを行わないことのリスクは後の「何のために行うのか」の章で、法定監査・企業価値評価(バリュエーション)・PMIとの違いは似た言葉との違いの章で扱います。

「デューデリジェンス」と呼ばれる場面は M&A だけではない|自分の案件がどれかを確かめる

「DD」という言葉は、M&A以外の場面でも使われます。自分が関わっている案件がどれにあたるかを最初に確かめておくと、この先の準備を取り違えずに進められます。

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比較項目M&A(一般に「DD」と言えばこれ)人権・サプライチェーン(人権DD)不動産(不動産DD)環境(環境DD)
何を調べるか買収する会社の財務・法務・税務・
事業などの実態とリスク
自社やグループ会社、取引先に
おける人権への負の影響
不動産の経済的・法的・
物理的な価値とリスク
土壌汚染など
環境問題に関するリスク
M&AのDDとの主な違い本記事が解説する対象。
取引の前に一度実施する調査工程
一時点で完了する調査ではなく、
継続的なプロセスとして行う
対象は個別の不動産。M&AのDDの一分野
として行われることも、単独のこともある
M&AのDDの一分野として行われることも、
単独で行われることもある

※各場面の位置づけは、この章で挙げた出典(人権DDは政府ガイドライン、不動産DDは不動産の鑑定評価に関する法律、環境DD・不動産DDの定義は中小企業庁のスキルマップ)に基づいて整理しています。

人権デューデリジェンス・不動産デューデリジェンスは M&A の DD と何が違うのか

人権デューデリジェンスは、企業が自社やサプライヤーにおける人権への負の影響を特定し、防止・軽減していくために行う取り組みです。日本政府のガイドラインは、その性質を次のように説明しています。

人権 DD は、その性質上、人権侵害が存在しないという結果を担保するものではなく、ステークホルダーとの対話を重ねながら、人権への負の影響を防止・軽減するための継続的なプロセスである。

出典:責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン|ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議

M&Aのデューデリジェンスが、取引の前に一度実施して「買うかどうか」を判断するための調査であるのに対し、人権DDは終わりのある調査ではなく、継続して取り組むプロセスである点が大きく異なります。

不動産デューデリジェンスは、個別の不動産について経済的・法的・物理的な側面から価値とリスクを調べるもので、不動産鑑定士による鑑定評価と結びつきます。土地や建物を多く持つ会社を買う場合には、M&Aのデューデリジェンスの一分野として実施されることもあります。

見分け方の目印は、その話がどこから来たかです。取引先から人権や労働環境に関する調査票が届いたのであれば人権DD、購入・売却する物件そのものの話であれば不動産DD、会社を買う・売る話であればM&AのDDです。以降の章では、M&Aのデューデリジェンスに絞って解説します。

出典・参考資料(2件)

デューデリジェンスの種類一覧|財務・法務・税務など9分野で何を調べ、誰が担当するのか

M&Aのデューデリジェンスは、調べる領域ごとに複数の種類に分かれます。「主なものは財務と法務」と2つだけ挙げられることもありますが、実務ではもっと多くの分野があります。中小企業庁の公募要領は、財務・法務のほかに、ビジネス(事業)・税務・人事労務・知財・環境・不動産・ITといった多様なDDが存在すると列挙しています。

まずは分野ごとに「何を調べるか」「主な担い手」「見つかりやすい問題」を一覧で示します。

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比較項目財務DD税務DD法務DDビジネス(事業)DD人事・労務DDIT DD環境DD知財DD不動産DD
何を調べるか収益力、資産・負債の実態、
キャッシュフロー、簿外債務の有無
過去の税務申告の妥当性、追徴課税の
リスク(財務DDに含めることも)
株式・契約・許認可・訴訟・
労務などの法的リスク
ビジネスモデル、競争力、
収益の源泉、買収シナジー
雇用条件、就業規則、労務トラブルの
有無(法務DDに含めることも)
ITシステムの状況、
情報セキュリティ、統合の可否
土壌汚染など
環境問題に関するリスク
特許・商標などの知的財産
(法務DDの一部として行うことも)
保有・賃借する不動産の
経済的・法的・物理的な価値とリスク
主な担い手公認会計士・監査法人・FAS
(M&A関連の調査・助言を行う専門会社)
税理士・税理士法人弁護士・弁護士法人コンサルティング会社・FAS社会保険労務士・弁護士ITコンサルタント・専門家環境専門機関弁護士・弁理士不動産鑑定士
見つかりやすい問題の例粉飾、簿外債務、
回収不能な売掛金
申告漏れ、将来の追徴リスク係争、契約上のリスク、
許認可の不備
収益源の偏り、市場縮小、
想定より低い将来性
未払残業代、
就業規則・36協定の不備
老朽化したシステム、統合の困難土壌・地下水の汚染、
法規制への抵触
権利の帰属の不明確さ、係争時価と簿価の乖離、
賃貸借契約上の制約

※「何を調べるか」は中小企業庁のスキルマップ、担い手のうち資格に紐づくものは各士業の業法、それ以外は実務上の担当に基づいて整理しています。どの分野を実施するかは案件によって異なります。

出典・参考資料(5件)

財務デューデリジェンス(財務DD)

決算書に表れている数字が、対象会社の実態と合っているかを確かめます。本来の収益力(正常収益力)はどれくらいか、貸借対照表に載っていない簿外債務がないか、といった点が確認の対象です。中小企業庁のスキルマップは、主な調査項目として内部統制の調査・会計方針の把握・収益力分析・キャッシュフロー分析・貸借対照表の検証などを挙げています。

買収価格が妥当かどうかを判断する土台になるため、多くの案件で実施されます。担い手は、財務に関する調査を業務として行える公認会計士(公認会計士法第2条第2項)や、その所属する監査法人・FASが中心です。

税務デューデリジェンス(税務DD)

過去の税務申告や納税の状況を確認し、申告漏れや将来の追徴課税といった税務上のリスクがないかを見ます。財務DDの一部として一緒に行われることもあります。担い手は、税務の専門家である税理士(税理士法人)が中心です。

税務DDは税務代理や税務書類の作成そのものではないため、税理士だけが行える業務というわけではありません。会計事務所系のコンサルティング会社が財務DDと税務DDをまとめて引き受けられるのは、このためです。

法務デューデリジェンス(法務DD)

M&Aの実行や事業運営に関わる法的リスクを把握するのが、法務DDの役割です。中小企業庁のスキルマップは、その目的を「M&Aの実行や事業運営上の法務リスク(係争・紛争等)、契約上のリスク等を把握すること」と説明しています。

特に株式譲渡でそのまま会社を引き継ぐ場合には、株式・会社組織、重要な契約、資産・負債、人事・労務、訴訟・紛争、許認可・コンプライアンス・環境問題といった観点を幅広く調査します。同資料は、次のようにも述べています。

また、簿外債務、未払残業等については、問題・リスクが発覚しやすい論点であるため、調査事項に含め、確認することが望ましい。

出典:【中小M&A専門人材(個人)向け】使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ|中小企業庁

担い手は、法律事務を業務とする弁護士(弁護士法人)です。紛争解決への関与など法律事務にあたる部分は、弁護士でない者が報酬を得て行うことができません(弁護士法第72条)。

ビジネス(事業)デューデリジェンス

買収する会社の将来性と、買収によって生まれるシナジー効果を見極めます。中小企業庁のスキルマップは、ビジネスモデルを整理したうえで、競争力や競争優位性、収益の源泉を調査・検証するものと説明しています。財務DDや法務DDが過去と現在のリスクを見るのに対し、ビジネスDDはこれから伸びるかという将来の見立てに重心があります。

担い手は、事業戦略を扱うコンサルティング会社やFASが中心です。

人事・労務デューデリジェンス

買収後の組織や人事制度をどう扱うか、労務トラブルの火種がないかを確かめます。法務DDの一部として行われることもあります。雇用条件や就業規則、36協定の有無、労働時間の管理状況などを確認し、未払残業代のような潜在的な負担を洗い出します。担い手は、労務の専門家である社会保険労務士や、法的な論点については弁護士が担います。

IT デューデリジェンス

対象会社の情報システムに関するリスクを確認します。基幹システムやITインフラの状況、情報セキュリティの体制のほか、買収後に自社のシステムと統合できるかどうかも検討します。ITシステムそのものが事業の中核になっている会社では、重要度が高くなります。

環境デューデリジェンス

土壌汚染など環境問題に関するリスクを洗い出し、その観点から会社の価値を正しく判断します。製造業など、土地や設備を多く持つ会社で問題になりやすい分野です。海外との取引がある会社では、環境や人権に関する海外の規制も確認の対象になります。

知的財産デューデリジェンス

特許・商標・著作権といった知的財産の権利が、誰に帰属しているかを確認します。中小企業庁のスキルマップでは、知的財産は法務DDの「資産(知的財産権含む)・負債に関する調査」の一部として位置づけられており、法務DDの一環として行われることもあります。技術やブランドが競争力の源泉になっている会社では、権利が確実に会社に帰属しているか、係争がないかが重要になります。

不動産デューデリジェンス

対象会社が保有・賃借する不動産の価値とリスクを精査します。中小企業庁のスキルマップは、経済的側面・法的側面・物理的側面の3つの観点から調査を行うとしています。工場や店舗、本社ビルなど不動産の比重が大きい会社を買う場合には、簿価と時価の差や賃貸借契約上の制約が買収価格に直結します。担い手は、不動産の鑑定評価を業務とする不動産鑑定士です。

誰が実施するかによる区分|バイサイドDDとセルサイド(ベンダー)DD

ここまでは「何を調べるか」で分けた分野でしたが、デューデリジェンスは「誰が実施するか」でも区別されます。買い手が実施する通常のデューデリジェンス(バイサイドDD)に対し、売り手が自ら事前に自社を調査するものを、実務では「セルサイドDD」や「ベンダーDD」と呼びます。

国の補助金でも「売り手によるデュー・ディリジェンス実施に係る費用」が独立した経費として認められており、売り手が自らDDを行う実務が公的にも認識されています。売り手が先に自社の弱みを把握しておくと、買い手からの指摘に備えやすくなります。

出典・参考資料(1件)

デューデリジェンスの進め方|流れと所要期間、買い手・売り手それぞれの作業

「DD対応に入って」と言われたとき、自分が具体的に何をするのかは、M&A全体のどこに位置する作業かと、自分が買い手・売り手のどちらの立場かで変わります。ここでは工程の全体像から順に見ていきます。

M&A全体のどこで実施するか(意向表明 → 基本合意 → DD → 最終契約 → クロージング → PMI)

中小M&Aガイドラインは、M&Aの進め方を「意思決定 → 仲介者・FA(ファイナンシャルアドバイザー)の選定 → バリュエーション → マッチング → 交渉 → 基本合意の締結 → デューデリジェンス → 最終契約の交渉・締結 → クロージング」という順で示しています。

デューデリジェンスは、買い手を1社に絞って基本合意を結んだ後、最終契約を交わす前に行われます。この工程で判明した実態が、最終契約の条件やクロージング後の統合作業(PMI)につながっていきます。

M&Aの工程の中でのデューデリジェンスの位置を示した図。意向表明、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、PMIの順に並び、デューデリジェンスは基本合意の後・最終契約の前に位置する
出典・参考資料(1件)

ここに出てくる意向表明・基本合意・クロージングといった前後の工程そのものに馴染みがない場合は、M&Aの目的や手法、全体の進め方から確認しておくと、デューデリジェンスがどの判断のための工程かを掴みやすくなります。以下の記事で、中小企業のM&Aの基本を一通り整理しています。

実務の5ステップ(資料開示 → 質問リスト・Q&A → 経営陣ヒアリング → 現地確認 → 報告書)

デューデリジェンスの実務は、大きく次の流れで進みます。中小企業庁のスキルマップが示す工程に沿うと、まず調査する専門家が必要な資料のリストを作って売り手に開示を依頼し、開示された資料を確認しながら疑問点を質問(QAシート)にまとめます。続いて売り手の経営陣へのヒアリング(マネジメントインタビュー)を行い、必要に応じて店舗や工場を実際に見る現地確認を実施します。

最後に、調査結果を報告書(DD報告書)にまとめます。

デューデリジェンスの実務の流れを示した図。資料開示、質問・QA、経営陣ヒアリング、現地確認、報告書の5ステップを矢印でつないでいる

もっとも、同資料は「本スキルマップに記載するDDプロセスの順序はあくまで一例を示したものであり、実務上は状況に応じて、順序を前後させて又は並行して実施する等、案件に応じた柔軟な対応が求められる」と述べており、順番は案件によって前後します。

出典・参考資料(1件)

同じ工程で買い手と売り手は何が違うか

同じデューデリジェンスでも、調べる側(買い手)と調べられる側(売り手)では作業がまったく違います。「DD対応に入る」と言われたら、まず自分がどちらの立場かを確認しておくと、準備の的が絞れます。

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比較項目準備資料開示・質問ヒアリング・現地確認結果の反映
買い手(調べる側)調査する分野と範囲を決め、
専門家を選ぶ
依頼資料リストを渡し、
疑問点を質問にまとめる
経営陣にヒアリングし、
必要なら現場を見る
報告書をもとに、買収の可否や
契約条件を判断する
売り手(調べられる側)開示する資料を整理し、
説明できる状態にする
求められた資料を出し、
質問に回答する
経営陣が対応し、
店舗・工場の視察を受け入れる
指摘を踏まえ、価格や表明保証
(売り手が「記載の事実に間違いない」と
契約で保証すること)の交渉に臨む

買い手側(調べる側)がやること

買い手は、どの分野のデューデリジェンスを、どこまでの範囲で行うかをまず決めます。そのうえで、財務は会計士、法務は弁護士というように分野ごとに専門家を手配し、調査を進めます。担当者として実際に回すのは、専門家と売り手の間に立って資料と質問をやり取りし、ヒアリングや現地確認の日程を調整する仕事になります。

調査の結果は分野ごとにDD報告書としてまとまり、検出された事項とその影響が整理されます。買い手はこれをもとに、買うかどうか、いくらで買うか、どんな条件をつけるかを判断します。報告書は買収後も使われ、中小PMIガイドラインは、統合作業(PMI)へ引き継ぐ資料の例としてDD調査報告書を挙げています。

売り手側(調べられる側)がやること

売り手は、買い手からの調査を受ける立場です。中小企業庁のスキルマップは、譲り渡し側・譲り受け側の負担が大きい工程として、DDに必要な資料の準備、マネジメントインタビューへの対応、現場視察(店舗・工場見学)を挙げています。このうち売り手側が担うのは、次の作業です。具体的には、決算書や税務申告書、契約書の一覧、就業規則、係争リストといった資料をそろえ、質問に答え、経営陣がヒアリングに対応します。

日々の業務と並行して大量の資料を用意することになるため、事前の整理が負担を左右します。

所要期間は何で決まるか

デューデリジェンスの標準的な所要期間は、国が公表している資料には示されていません。期間を決めているのは、日程・分野数・現地確認の3つです。自分の案件の見通しは、この3つを順に押さえれば割り出せます。

まず、基本合意書に書かれた最終契約の時期の目途を確認します。中小企業庁のスキルマップは、目途が記載されている場合はそれを考慮してスケジュールを策定する必要があるとしており、ここが調査に使える日数の上限を決めます。

次に、実施する分野の数を出します。財務だけで済むのか、法務・税務も並行するのかで、動く専門家の数と資料の量が変わります。最後に、現地確認の要否と、受け入れ側の人員・作業スペースの都合を押さえます。同資料は、現地調査がある場合は受け入れる人員や作業スペースの都合からスケジュールに制約が生まれやすいと指摘しています。

見通しを求められた場面では、この3つを示せば、日程の根拠を自分の言葉で説明できます。分野を増やすか、現地確認を入れるかは調査の設計次第なので、期間は依頼先と一緒に決める前提で考えてください。

デューデリジェンスの費用は何で決まり、誰が負担するのか

デューデリジェンスは外部の専門家に依頼して行うため、費用が発生します。ただし、国が公表している資料に「財務DDはいくら」といった相場の統計はありません。金額は調査の設計と対象会社によって変わるため、一律の目安が示されていないのです。

公的に金額が示されているのは補助金の枠だけで、買い手支援類型では補助率3分の2以内・上限600万円以内、デューデリジェンスを実施する場合は200万円がこれに上乗せされます。この章では、この確定した枠を出発点に、費用が何で決まるか、見積りを取るときに何を伝えれば金額が出るか、誰が負担するかを見ていきます。費用の必要性を説明する場面での材料になります。

費用は何で決まるのか(調査範囲・対象会社の規模・拠点数)

デューデリジェンスの費用は、どの分野をどこまで深く調べるかで大きく変わります。財務・税務だけに絞るのか、法務やビジネスまで含めるのか、対象会社の規模や拠点数はどれくらいか、現地確認が必要か、といった要素で調査の量が決まり、それが費用に反映されます。

中小M&Aガイドラインは、デューデリジェンスについて「想定し得るリスク全般について調査することもあれば、対象事項等を限定して簡易な形で行うこともあり、調査の密度は様々である」と述べています。同じ規模の会社でも、調査の設計次第で金額は変わります。

裏を返せば、次の項目を決めて伝えれば、専門家から具体的な見積りを出してもらえます。自社の案件の金額を知る最短の方法は、この5点を整理して見積りを取ることです。

  • 実施する分野(財務・税務・法務・ビジネスなど、どれをやるか)
  • 対象会社の規模(売上高・従業員数)と拠点数
  • 調査の深さ(想定されるリスク全般か、論点を絞った簡易な調査か)
  • 現地確認(工場・店舗の視察)の要否
  • 基本合意で定めた最終契約までの日程(いつまでに報告書が要るか)

費用は誰への支払いとして発生するか

デューデリジェンスの費用は、分野ごとに別々の専門家への支払いとして発生します。事業承継・M&A補助金の公募要領は、補助対象になる費用を「費用形態 × 支払相手」で整理しており、たとえばデューデリジェンス費用は各専門家へ、契約書の作成・レビュー費用は弁護士へ、不動産の鑑定評価費用は不動産鑑定士へ、といった対応が示されています。

財務DD・法務DD・税務DDのように複数の分野を実施すれば、その分だけ担い手が増え、費用も積み上がります。同じ公募要領も、分野ごとに費用が立つ前提で制度を設計しています。

有資格者が実施する財務 DD、税務 DD、法務 DD 等を複数行う場合において、DD 費用総額が補助額ベースで 200 万円を超える場合は、DD1 種につき補助額ベースで 200 万円までの費用を認める場合があります

出典:事業承継・M&A補助金(15次公募)専門家活用枠 公募要領(委託費)|事業承継・M&A補助金事務局
出典・参考資料(1件)

費用は誰が負担するのか(原則は買い手/セルサイドDDは売り手)

デューデリジェンスの費用は、調査を実施する買い手が負担するのが原則です。中小M&Aガイドラインも、買い手が専門的な支援を受ける場合の支払いは、仲介者への手数料と同様にM&Aのコストになると説明しています。一方、売り手が自ら事前に自社を調査するセルサイドDDの費用は、売り手が負担します。

デューデリジェンスの費用と、仲介者・FAに支払う手数料は別物です。公募要領も「デュー・ディリジェンス費用と FA 業務又は仲介業務に係る費用は、明確にわかるように区別する必要があります」と述べています。見積りを受け取ったときは、どちらの費用なのかを確かめてください。

公的支援で費用を抑えられるケース(事業承継・M&A補助金 専門家活用枠)

事業承継やM&Aに伴う専門家費用は、国の補助金の対象になる場合があります。「事業承継・M&A補助金」の専門家活用枠では、M&A仲介手数料やFA費用に加え、デューデリジェンス費用も補助対象経費に含まれます。公的に金額が定まっているのはこの制度の枠だけで、制度上どこまで補助されるかの目安になります。

直近の15次公募(2025年度/令和7年度補正予算)の公募要領では、買い手支援類型の補助率は補助対象経費の3分の2以内、補助下限額は50万円、補助上限額は600万円以内で、デューデリジェンスを実施する場合は200万円以内が上限額に上乗せされる、と定められていました。売り手側についても、小規模売り手支援類型として補助率3分の2以内・補助上限額450万円以内の枠が用意されています。

さらに買い手支援類型では、デューデリジェンスの実施そのものが補助の要件になっています。公募要領は「補助対象経費の計上有無を問わず、デュー・ディリジェンス(DD)を実施すること」と定めており、DD費用を補助対象に計上するかどうかに関わらず、実施した証憑の提出を求めています。「なぜこの費用が必要か」を説明する場面では、国の補助制度がDDの実施を前提にしている点が根拠のひとつになります。

買い手支援類型(Ⅰ型):補助率 補助対象経費の 2/3 以内/補助下限額 50 万円/補助上限額 600 万円以内/上乗せ額(デュー・ディリジェンスに係る費用)+200 万円以内/併用申請(廃業費)+300 万円以内

出典:事業承継・M&A補助金(15次公募)専門家活用枠 公募要領(補助上限額、補助率等)|事業承継・M&A補助金事務局

補助の枠や上限額、募集の時期は公募回次ごとに変わります。上の金額はそのまま次回に当てはまるとは限らないため、覚えておくとよいのは「専門家費用とDD費用が補助の対象になり、DDの実施が要件になっている」という枠組みのほうです。制度の名称も、以前は「事業承継・引継ぎ補助金」でしたが、現在は「事業承継・M&A補助金」に変わっています。

15次公募の申請受付はすでに終了しています。実際に利用を検討する際は、次の公式サイトで最新の公募回次と要件を確認してください。

出典・参考資料(3件)

デューデリジェンスは何のために行うのか|実施しなかった場合に何が起きるか

費用も手間もかかるデューデリジェンスを、なぜわざわざ行うのか。「なぜこの費用が必要か」を説明できるように、目的と、実施しなかった場合に起きることを順に見ます。

デューデリジェンスを実施する4つの目的

中小企業庁のスキルマップは、デューデリジェンスの目的を1文で次のように整理しています。

主に譲り受け側が譲り渡し側の実態を調査することで、M&Aの実行可否や譲渡額、その他最終契約の内容を検討するとともに、M&A成立後のPMIに向けた課題の整理を行うため。

出典:【中小M&A専門人材(個人)向け】使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ|中小企業庁

この1文には、4つの目的が含まれています。1つ目は、そもそもM&Aを実行してよいかを判断すること(隠れたリスクの洗い出し)。2つ目は、譲渡額(買収価格)が妥当かを検証すること。3つ目は、判明した実態を最終契約の内容(表明保証や補償など)に反映すること。4つ目は、買収後の統合作業であるPMIに向けて課題を整理することです。

デューデリジェンスは、価格交渉のためだけでなく、買収そのものの判断材料であり、買収後の準備でもあります。

実施しなかった場合に起きること

デューデリジェンスを行わずにM&Aを進めると、買収後に想定外の問題が表面化するおそれがあります。中小M&Aガイドラインは、特に株式譲渡でそのまま会社を引き継ぐ場合について、次のように説明しています。

手続は比較的シンプルだが、譲り渡し側の法人格に変動はないため、(未払残業代等、貸借対照表上の数字には表れない)簿外債務・(紛争に関する損害賠償債務等、現時点では未発生だが将来的に発生し得る)偶発債務リスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデュー・ディリジェンス(DD)が実施される傾向にある。

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

ここに出てくる簿外債務の代表例が、未払残業代です。時間外労働に対する割増賃金の支払は法律上の義務であり(労働基準法第37条)、未払分の請求権は、当分の間、行使できるときから3年で時効にかかります(同法第115条・附則第143条第3項)。過去3年分の未払残業代をまとめて請求される可能性があり、これが貸借対照表に表れない負担として買い手に降りかかることがあります。

ほかにも、株主の異動によって取引先との契約が解除されるチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項、事業に必要な許認可が自動では引き継がれない問題、係争の引き継ぎなどが、デューデリジェンスをしないまま買収した後に発覚しうるリスクです。

許認可については、たとえば建設業の許可は、あらかじめ認可を受けたときに承継されるなど、業法ごとに手続きが定められており(建設業法第17条の2)、自動的には引き継がれません。

出典・参考資料(2件)

さらに、デューデリジェンスを行わずにM&Aを実施して損害が生じた場合には、法的な責任が問われる可能性もあります。中小企業庁のスキルマップは、この点を次のように指摘しています。

DDを行わずにM&Aの実施を決定し、これに起因して譲り受け側に損害が発生した場合には、DDを行わずにM&Aを実施した取締役の善管注意義務違反が問題となりうる点に留意する。

出典:【中小M&A専門人材(個人)向け】使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ|中小企業庁

デューデリジェンスに法令上の実施義務はありませんが、これを省いて損害が出れば、会社に対して負う注意義務(善管注意義務)の違反が問われうる、ということです。「義務がないから省いてよい手続き」ではない点は、押さえておく必要があります。

小規模なM&Aでも省略できないのはなぜか

規模の小さいM&Aでも、デューデリジェンスの考え方は変わりません。中小M&Aガイドラインは、経営者へのヒアリングだけでリスクを評価するには限界があるとしたうえで、次のように述べています。

デュー・ディリジェンス(DD)は、譲り渡し側・譲り受け側双方にとって重要なプロセスであり、予算等の制約がある場合であっても、検討対象を絞るなどの工夫をして、実施する調査の内容を検討することが望ましい。

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

すべての分野を深く調べるのではなく、リスクの高い分野に絞って簡易に行うという選択肢もあります。予算に制約があっても、まったく行わないのではなく、範囲を工夫して実施することが望ましいとされています。

デューデリジェンスで問題が見つかったらどうなるか|減額交渉・表明保証・取引中止

デューデリジェンスで問題が見つかると、必ず破談になるわけではありません。見つかった問題は、最終契約で取り決める内容に反映され、処理されます。中小M&Aガイドラインは、最終契約で取り決める主要な内容として、譲渡対価(代金)、表明保証条項、補償条項、クロージングの前提条件、契約の解除事由などを挙げています。問題は、これらの項目の上で調整されます。

デューデリジェンスで問題が見つかった場合の3つの行き先を示した図。金額に換算できる場合は減額交渉、換算できないが起きるかどうかが不確かな場合は表明保証・補償条項、換算も条件化もできない場合は取引の見送りになる

買収価格の減額交渉につながるケース

最も多いのが、見つかった問題を踏まえて買収価格を見直すケースです。たとえば、想定より収益力が低いことや、簿外債務があることが判明すれば、その分を織り込んで譲渡対価を引き下げる交渉が行われます。デューデリジェンスは、こうした価格調整の客観的な根拠になります。

表明保証・補償条項に反映されるケース

金額として見積もりにくいリスクは、価格ではなく契約条件に反映されます。ここで使われるのが「表明保証条項」です。中小M&Aガイドラインは、表明保証条項を次のように定義しています。

表明保証条項とは、契約の一方当事者が、他方当事者に対し一定の時点(一般的には最終契約締結時・クロージング時の両時点)において、当該契約に関する事項について、当該事項が真実かつ正確であることを表明し、かつその内容を保証する条項をいう(同条項違反に基づく損害賠償・契約の解除といった補償等についての規定も設けられることが通常である。)。

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

たとえば、労働紛争が存在しないことを売り手が表明保証していたのに、実際には紛争があって和解金の支払いが生じた場合、その和解金相当額を売り手が負担する、といった形でリスクを分担します。デューデリジェンスで見えたリスクを、こうした条項の設計に反映することで、買収後のトラブルに備えます。

表明保証違反に備える手段として、DD報告書などを保険会社に提出して加入する「表明保証保険」が使われることもあります。

取引そのものが中止になるケース

価格調整や契約条件でも対応しきれない重大な問題が見つかった場合には、取引そのものを見送るという判断もあります。デューデリジェンスは、そもそもこのM&Aを実行すべきかを最終判断する材料でもあり、重大なリスクを事前に把握できるからこそ、買収後の大きな損失を避けられます。

減額・表明保証・中止のどれになるかを分けるのは、見つかった問題を金額に換算できるかどうかです。換算できるなら価格に、換算できないが起きるかどうかが不確かなら契約条件に、換算も条件化もできないなら取引の見送りに向かいます。

デューデリジェンスを進めるうえでの注意点|買い手側・売り手側で違うこと

デューデリジェンスをどう進めるかは、立場によって気をつけるべき点が異なります。ここでは、初めて対応する人がつまずきやすい落とし穴を、買い手・売り手・共通に分けて挙げます。

買い手側|調査の範囲と優先順位を先に決める

買い手が陥りやすいのが、調査範囲の設定の誤りです。すべてを深く調べようとすると費用と期間が膨らみ、逆に絞りすぎると重大なリスクを見逃します。中小企業庁のスキルマップも、この両側の失敗に触れ、「不十分又は過剰なDDとならないように適切に助言を行うことが求められる」「DD実施機関の独断で調査範囲を狭めた結果、重大なリスクを見逃し損害賠償請求を受ける場合もある」と述べています。

国も政策として「過剰とならないデューデリジェンス」の周知を掲げており、調査の目的と範囲を先に決め、リスクの高い分野に優先順位をつけることが重要です。

出典・参考資料(3件)

売り手側|不利な情報ほど先に出す

売り手が注意したいのは、自社に不利な情報を伏せないことです。伏せた事実が後から出てくると、減額交渉や表明保証違反、最悪の場合は破談につながります。中小M&Aガイドラインは、調査が十分になされない場合には、売り手が最終契約で負う義務(表明保証の範囲や補償額・補償期間など)の負担がかえって増えうると指摘しています。

きちんと開示して調べてもらうことは、売り手自身の負担を軽くすることにもつながります。開示する資料を整理し、質問に説明できる状態にしておくことが、結果的に自分を守ります。

買い手・売り手共通|情報管理(秘密保持契約・VDR)

デューデリジェンスでは、売り手の機密情報が大量にやり取りされます。M&Aを検討していること自体が従業員や取引先に漏れると事業に影響するため、情報管理は双方に共通する重要事項です。資料のやり取りには、秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、アクセス権限を管理できるバーチャルデータルーム(VDR)が使われることがあります。

中小企業庁のスキルマップは、VDRを使う場合はセキュリティが確保された環境を利用し、資料のやり取りもメールではなくその環境の中で行うことが望ましいとしています。

デューデリジェンスと「監査」「バリュエーション」「PMI」は何が違うのか

M&Aの現場では、デューデリジェンスと似た言葉が並んで飛び交います。「監査」「バリュエーション」「PMI」との違いを整理しておくと、会議での話についていきやすくなります。

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比較項目デューデリジェンス(DD)法定監査バリュエーション
(企業価値評価)
PMI
目的買う会社の実態とリスクを調べる財務書類の正しさを
第三者に保証する
会社・事業の価値を金額で評価する買収後の経営統合を進める
主な実施主体買い手が依頼する
会計士・弁護士・税理士など
監査役・会計監査人
(公認会計士・監査法人)
FA・仲介・各専門家買い手
(支援機関が関与することも)
時期基本合意後〜最終契約前各事業年度(法令に基づく)基本合意の前後
(譲渡額の目安として)
クロージング後
(準備は成立前から)

監査(法定監査)との違い|目的と保証水準が違う

デューデリジェンスと法定監査の違いは、誰のために何を保証するかにあります。公認会計士の使命は「財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図」ることとされており(公認会計士法第1条)、法定監査は、この目的のために会社法・金融商品取引法が実施を義務づけている業務です。

一方、デューデリジェンスは、買い手が自分の意思決定のために行う調査であり、第三者に対して何かを保証するものではありません。公認会計士法でも、監査・証明(第2条第1項)と、財務に関する調査(第2条第2項)は別の業務として区別されています。財務DDは、このうち後者にあたります。

出典・参考資料(1件)

企業価値評価(バリュエーション)との違い|調べる作業と値段をつける作業

バリュエーション(企業価値評価)は、会社や事業の価値を金額で評価する作業です。中小M&Aガイドラインは、バリュエーションを「企業又は事業の価値を定量的に評価すること」と定義し、その評価額は譲渡額を決める際の目安の一つとして扱われるとしています。デューデリジェンスが「相手の実態を調べる作業」であるのに対し、バリュエーションは「値段をつける作業」です。

両者は連動しており、デューデリジェンスで判明した事実が、価値評価の前提を見直すきっかけになることもあります。企業価値評価については、日本公認会計士協会が「企業価値評価ガイドライン」(経営研究調査会研究報告第32号)を公表しています。

出典・参考資料(1件)

PMI との前後関係|DDで得た情報が統合計画の材料になる

PMI(Post-Merger Integration)は、M&A成立後に行う経営統合の作業です。デューデリジェンスとPMIは、前後でつながっています。中小PMIガイドラインは、M&A成立後にPMIへ円滑に移行するために、デューデリジェンスの調査結果などを引き継げるよう保管・管理しておくことが望ましいとし、引き継ぎ資料の例として「DD調査報告書」を名指しで挙げています。

同ガイドラインによれば、M&Aで期待どおり以上の成果を得ている企業の約6割が、PMIの検討を「基本合意締結前」または「DD実施期間中」に開始しているとされています。デューデリジェンスは買収の判断だけでなく、買収後の統合計画の出発点にもなります。

出典・参考資料(1件)

デューデリジェンスは誰に依頼するのか|監査法人・FAS/弁護士/税理士/M&A仲介・FA の役割分担

デューデリジェンスは分野ごとに専門家が異なり、M&A全体の進行を支える相手もいます。「結局、誰に頼めばいいのか」を、役割分担から見ていきます。

どの分野のDDを誰に頼むのか

どの分野をどの専門家に頼むかは、前掲の種類一覧の「主な担い手」列のとおりです。財務DDは公認会計士・監査法人やFAS、税務DDは税理士、法務DDは弁護士、というのが基本の対応になります。

事業承継・M&A補助金の公募要領も、費用を「デュー・ディリジェンス費用は各専門家へ」「契約書の作成・レビューは弁護士へ」「不動産の鑑定評価は不動産鑑定士へ」というように、支払相手ごとに整理しています。

問題は、その専門家をどう見つけるかです。実務では分野ごとに個別に探すのではなく、M&A全体を任せる相手(仲介者・FA)を先に決め、必要な専門家を紹介してもらう形が一般的です。財務・税務・法務を自社内でまとめて担える会計事務所系のコンサルティング会社や、調査まで自社で引き受けるFASを選べば、探す手間そのものを減らせます。

顧問の税理士・会計士に頼めるかどうかも、よくある論点です。対象会社側の顧問が買い手のための調査を担うと利益が相反しますが、買い手側の顧問が買い手のために調べる分には問題ありません。ただしM&Aの調査は通常の顧問業務とは扱う論点が違うため、経験の有無を確認しておくのが安全です。

M&A仲介とFAはどう違うのか

M&A全体の進行を支える相手には、仲介者とFAがあります。中小M&Aガイドラインによれば、仲介者は売り手・買い手の双方と契約してマッチング支援などを行う立場で、両者に対して中立・公平であることが求められます。一方、FAは売り手か買い手のどちらか一方と契約し、その依頼者の利益のために支援します。仲介は両者の間に立ち、FAは一方につくという違いです。

ここで注意したいのは、仲介者・FAは、デューデリジェンスそのものを実施する主体ではないという点です。中小M&Aガイドラインは、利益相反を防ぐ観点から、仲介者はデューデリジェンスを自ら実施すべきでないとしています。

特にデュー・ディリジェンス(DD)については、仲介者の場合は、自ら実施すべきでないとしている(ただし、デュー・ディリジェンス(DD)の実施者(譲り受け側が依頼する別の支援機関又は譲り受け側自身)の下で、譲り渡し側における開示資料の整理・作成のサポートや DD の実施スケジュールの調整・管理といった直接的に DD の調査内容の検討や調査を踏まえた評価・判断に影響しない範囲での支援することは可能。)

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

仲介者やFAはM&Aプロセス全体を取りまとめ、デューデリジェンスの実施は会計士・弁護士・税理士などの専門家が担う、という役割分担になります。

仲介者・FAを探すときは、次の3点で絞り込めます。

  • 登録制度のデータベースで探す: 中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された仲介者・FAは、支援機関の種類(専門業者か金融機関か)、M&A支援業務の開始時期、専従者、所在地、手数料の算定基準から検索できます
  • ガイドライン遵守の宣言を確認する: 登録には中小M&Aガイドラインの遵守宣言が求められます。宣言の有無と内容は、その会社がどこまでの業務を引き受けるかの目安になります
  • 手数料の算定基準が公開されているかを見る: 着手金・月額報酬・中間金・成功報酬のどれが発生し、成功報酬をどの金額(株価か資産総額か)を基準に計算するかは会社ごとに違います。公開されていれば、事前に総額の見当をつけられます
出典・参考資料(1件)

自社で対応できる範囲と、外部に出したほうがよい範囲

デューデリジェンスのうち、事業の見立て(ビジネスDD)のように自社の知見が生きる部分は、社内で対応することも考えられます。一方、財務・税務・法務のように専門性が高く、資格に紐づく判断を伴う部分は、外部の専門家に任せるのが基本です。

中小企業庁のスキルマップは、FAが自らデューデリジェンスを行う場合でも、弁護士資格が必要となる報告や、調査結果を最終契約に反映する意思決定は行わないよう留意すべきだとしています。何を自社で見て、何を誰に出すかを整理したうえで、M&A全体を任せられる相手を選ぶことが、円滑な進行につながります。

外部に出す範囲が決まったら、次は依頼先そのものの検討になります。M&Aや事業再生、財務戦略を扱う金融コンサル会社は、得意な専門領域や対応できる企業規模、費用の考え方が会社ごとに異なります。以下の記事では、専門領域別に各社を整理し、費用相場と選び方の観点をまとめています。

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デューデリジェンスの相談先になるM&A支援サービス

ここまで見てきたとおり、デューデリジェンスは分野ごとの専門家が実施し、M&A全体は仲介者・FAが取りまとめます。ここで紹介するのは、依頼者の側に立ってM&Aを進める会社です。

デューデリジェンスを自社で引き受けるかどうかは会社ごとに違い、公式に調査の実施を掲げている会社もあれば、掲げていない会社もあります。その違いは比較表の「デューデリジェンスの関わり方」列で見分けられます。

以下は、紹介するサービスの比較表です。料金体系に出てくるレーマン方式は、譲渡対価の金額帯ごとに料率が下がる成功報酬の計算方式です。

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サービス名M&A LeadConsensus Base(Web3特化)山田コンサルティンググループAGSコンサルティングフロンティア・マネジメント
提供会社M&A Lead株式会社コンセンサス・ベイス株式会社山田コンサルティンググループ株式会社株式会社AGSコンサルティングフロンティア・マネジメント株式会社
支援の立場FA(売主専任・片手取引)M&Aアドバイザリー(Web3特化)FAS・コンサル(独立系ワンストップ)FAS・コンサル(会計事務所系ワンストップ)FAS(独立系)
デューデリジェンスの関わり方公式に明示なしビジネスDD・技術DDを公式に明記
(Web3・ブロックチェーン領域に特化)
買収監査(デューデリジェンス)の実施支援を公式に記載
(譲受側では買収監査の実施、譲渡側では資料提出への対応を支援)
「買収監査の実行・対応支援」を公式に明記「各種デュー・ディリジェンス」「事業・財務デュー・ディリジェンス」を公式に明記
主な対象企業事業承継・子会社譲渡を考える売主(オーナー経営者)Web3・ブロックチェーン領域の企業(買収参入・売却/資本提携)中堅・中小のオーナー企業中堅・中小(オーナー系)〜上場企業中堅企業〜大企業・上場企業
料金体系着手金・中間金0円
完全成功報酬(レーマン方式・譲渡対価の1〜5%)
要お問い合わせ要お問い合わせ着手金・中間金+レーマン方式成功報酬
(自社メディアで考え方を公開、実額は要問い合わせ)
要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載に基づきます。「デューデリジェンスの関わり方」の列は公式に記載のある内容のみを載せ、記載がないものは「公式に明示なし」としています。料金の実額は個別の見積りとなります。

最新の内容は各社にご確認ください。

1. M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Lead(売主専門M&Aアドバイザリー)のウェブサイト

M&A Leadは、M&A Lead株式会社が運営する、売り手(売主)専門のM&Aアドバイザリーです。売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仲介と異なり、売り手だけの利益のために支援するFA(片手取引)である点が特徴です。事業承継や子会社の譲渡を考えるオーナー経営者が、売り手の立場で相談から成約まで伴走してもらえる相手として位置づけられます。

料金体系は、着手金・中間金が0円の完全成功報酬制で、成功報酬はレーマン方式(料率1〜5%)を採用しています。

公式サイトには、デューデリジェンスの実施や売り手の開示資料の準備支援を自社サービスとして掲げる記載はありません。ただし、買い手から調べられる側で進める場合、資料開示やヒアリングへの対応も含めて自分の側に立って伴走する相手を選べるという意味があります。

2. Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)のウェブサイト

コンセンサス・ベイス株式会社が提供するM&Aアドバイザリーは、Web3・ブロックチェーン領域に特化している点が特徴です。公式サイトには、ブロックチェーン領域に特化したビジネスデューデリジェンスに加え、技術DDやスマートコントラクト監査の観点でのアセスメント、取引スキームの設計、トークンの取り扱いに関する法務的整理を支援対象として掲げています。

自社の案件がWeb3・ブロックチェーン領域にあたる場合、一般のFAでは対応が難しい技術面の評価まで含めて相談できる相手といえます。料金体系は公開されておらず、詳細は問い合わせが必要です。

3. 山田コンサルティンググループ(山田コンサルティンググループ株式会社)

山田コンサルティンググループ株式会社のウェブサイト

事業承継・M&A・事業再生・会計税務を同じグループ内で担う、独立系のワンストップ型のコンサルティング会社です。公認会計士・税理士・司法書士・社会保険労務士などの有資格者を擁しています。

M&A・事業承継アドバイザリーの公式サービス説明では、譲受側の支援内容として買収監査の実施を、譲渡側の支援内容として買収監査(デューデリジェンス)で求められる資料提出への対応を挙げています。買い手として調べる側にも、売り手として調べられる側にも回れるのが、中堅・中小のオーナー企業にとっての相談のしやすさにつながります。

4. AGSコンサルティング(株式会社AGSコンサルティング)

AGSコンサルティング(AGSグループ)のウェブサイト

会計事務所を母体とするワンストップ型のコンサルティング会社です。M&Aアドバイザリーの公式サービス説明は、支援範囲として「ターゲット企業の選定・打診、交渉への参加・支援、買収監査の実行・対応支援、法律事務所などとの連携支援、売却・買収の実務支援」を挙げています。買収監査そのものを支援範囲に含めて示している点が、他社との違いです。

会計・税務に強みを持つワンストップ型として、財務・税務の観点からM&Aを検討したい中堅・中小企業の相談先になります。M&A報酬の考え方(着手金・中間金・レーマン方式)も自社メディアで公開しています。

5. フロンティア・マネジメント(フロンティア・マネジメント株式会社)

フロンティア・マネジメント株式会社のウェブサイト

東証プライムに上場する独立系のFASです。M&Aアドバイザリーの公式説明は「各種デュー・ディリジェンス」を業務全般に関する助言・補佐業務のひとつに挙げ、その実行に関する支援も掲げています。事業再生の説明では「事業・財務デュー・ディリジェンス」を自社のサービスとして示しています。

中堅企業から大企業までの案件に対応する独立系FASとして、財務・事業の調査まで含めて相談できる選択肢になります。

まとめ

デューデリジェンス(DD)は、M&Aで買い手が、買う相手の会社の実態を最終契約の前に調べる手続きです。財務・法務・税務・ビジネスなど分野ごとに専門家が調査し、その結果が買収の可否・価格・契約条件、そして買収後の統合(PMI)につながります。要点を振り返ります。

  • 意味と位置づけ: 買い手が、基本合意後から最終契約前に行う調査です。「買収監査」とも呼ばれますが、法令上の実施義務がある法定監査とは別物です
  • 種類: 財務・税務・法務・ビジネス・人事労務・IT・環境・知財・不動産の9分野があります。案件のリスクに応じて分野を選び、優先順位をつけて実施します
  • 費用と依頼先: 原則は買い手が負担し、分野ごとに会計士・弁護士・税理士などへ依頼します。仲介者・FAは全体を取りまとめる立場で、DDそのものは実施しません。公的な補助金の対象になる場合もあります
  • やらないリスク: 簿外債務や未払残業代などが買収後に発覚することがあります。法令上の義務はありませんが、省いて損害が出れば取締役の善管注意義務違反が問われることがあります

自社の案件がどの段階にあり、どの分野の調査が必要かを整理したうえで、M&A全体を任せられる相談先を選んでください。MCB FinTechカタログでは、M&Aアドバイザリー・FAの資料を無料で請求できます。各社の支援範囲と料金体系を並べて見比べ、相談先の検討を進めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. デューデリジェンスは、買い手が自社(社内)だけで実施してもよいですか?

A. デューデリジェンスを自社だけで実施することも可能ですが、財務・法務・税務のように資格に紐づく判断を伴う分野は、外部の専門家に依頼するのが基本です。中小企業庁のスキルマップは、売り手の経営者へのヒアリングだけでリスクを把握・評価するには限界があるとしており、専門的な分野を社内だけで判断すると重大なリスクを見落とすおそれがあります。

事業の見立て(ビジネスDD)のように自社の知見が生きる部分は社内で対応し、財務・法務・税務は専門家に任せる、という切り分けが現実的です。同資料は、FAが自らデューデリジェンスを行う場合でも、弁護士資格が必要な報告や、調査結果を最終契約に反映する意思決定までは行わないよう留意すべきだとしています。

出典・参考資料(1件)

Q. デューデリジェンスの報告書は誰のもので、売り手にも共有されるのですか?

A. 報告書(DD報告書)は、費用を負担して調査を依頼した買い手が受け取るもので、売り手に当然に共有されるものではありません。ただし、検出された事項は価格や契約条件の交渉材料になるため、交渉の過程で売り手にも論点として伝えられます。

報告書はその後も使われます。中小PMIガイドラインは、買収後の統合作業(PMI)へ引き継ぐ資料の例として「DD調査報告書」を挙げています。また、表明保証違反に備える表明保証保険に加入する場合は、一般に報告書を保険会社に提出して引受審査を受けます。

仲介者が関与している場合でも、中小企業庁のスキルマップは「DD報告書の内容に係る結論を決定すべきでなく、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える必要がある」としています。報告書の中身をどう評価するかは、依頼者と専門家の側にあります。

出典・参考資料(2件)

Q. 複数の分野のデューデリジェンスは、同時に進めるのですか。それとも順番にやるのですか?

A. 案件に応じてどちらもあり、順序は固定されていません。中小企業庁のスキルマップは、DDの工程について「本スキルマップに記載するDDプロセスの順序はあくまで一例を示したものであり、実務上は状況に応じて、順序を前後させて又は並行して実施する等、案件に応じた柔軟な対応が求められる」と述べています。

実務では、開示された同じ資料を財務・法務・税務の担当者がそれぞれの観点から並行して見ていくことが多く、売り手側は複数の分野からの質問に同時期に対応することになります。分野をまたいだ質問の重複を避けるためにも、買い手側で窓口を1つにまとめておくと進行が楽になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 事業譲渡と株式譲渡では、デューデリジェンスの範囲は変わりますか?

A. M&Aの手法によって調査の重さは変わり、会社をそのまま引き継ぐ株式譲渡では、より詳細なデューデリジェンスが実施される傾向があります。中小M&Aガイドラインは、株式譲渡は会社の法人格に変動がないため、未払残業代などの簿外債務や、将来発生しうる偶発債務のリスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデューデリジェンスが行われる傾向にあると説明しています。

一方、事業譲渡は承継する財産を選べて法人格から切り離せるため、簿外債務・偶発債務のリスクを比較的遮断しやすいとされています。ただし、いずれの手法でも調査そのものが不要になるわけではなく、リスクの高い分野に絞って実施することが望ましいとされています。

出典・参考資料(1件)

Q. デューデリジェンスを行うと、対象会社の従業員に M&A の検討が知られてしまいますか?

A. 知られないように運用するのが前提で、そのための情報管理が調査の設計に組み込まれます。中小企業庁のスキルマップは、物理的なデータルームを使う場合について「情報管理の不備(窓や扉の開閉による会話内容の流出、人の出入りの事実の流出、データ流出等)により、譲り渡し側の従業員にM&A検討の事実が発覚しないように運用ルールを策定の上、徹底することが求められる」としています。

一方で、工場や店舗の現地確認は現場に人が入る作業なので、受け入れ方の設計が要ります。同資料は、現地調査がある場合は受け入れる人員や作業スペースの都合からスケジュールに制約が生まれやすいと指摘しており、日程の調整を早めに始めることが求められます。

出典・参考資料(1件)

Q. デューデリジェンスは、基本合意の前に行うこともできますか?

A. デューデリジェンスは、買い手を1社に絞って基本合意を結んだ後に行うのが一般的です。買い手はデューデリジェンスの実施にコストを負担するため、通常は基本合意で独占的に交渉できる権利(独占交渉権)を得てから調査に入ります。中小M&Aガイドラインが示すM&Aの工程でも、デューデリジェンスは「基本合意の締結」の後、「最終契約の交渉・締結」の前に位置づけられています。

基本合意より前の段階では、売り手は自社の概要をまとめた資料など限られた情報しか開示しないのが通常で、大量の資料を開示する本格的な調査は基本合意の後になります。

出典・参考資料(1件)

Q. M&A仲介会社に依頼すれば、デューデリジェンスもやってもらえますか?

A. 仲介会社は、デューデリジェンスそのものは実施しません。中小M&Aガイドラインは、利益相反を防ぐ観点から、仲介者について「デュー・ディリジェンス(DD)については、仲介者の場合は、自ら実施すべきでない」としています。仲介者は売り手・買い手の双方から依頼を受ける立場なので、一方の判断材料になる調査を自ら行うことが避けられているためです。

ただし、まったく関与しないわけではありません。同ガイドラインは、DDの実施者の下で「譲り渡し側における開示資料の整理・作成のサポートや DD の実施スケジュールの調整・管理」といった、調査内容の検討や評価・判断に影響しない範囲での支援は可能としています。調査そのものは会計士・弁護士・税理士などに依頼し、仲介者には進行の取りまとめを期待する、という切り分けになります。

出典・参考資料(1件)

Q. デューデリジェンスの費用は、M&Aが成立しなかった場合でも支払う必要がありますか?

A. デューデリジェンスの費用は、専門家が実際に行った調査に対して発生する費用のため、M&Aが成立しなかった場合でも支払いが必要になるのが一般的です。案件が成立したときにだけ発生する仲介者・FAの成功報酬とは、この点が異なります。事業承継・M&A補助金の公募要領も、デューデリジェンスの費用と仲介・FAへの手数料は別物であり、明確に区別する必要があると述べています。

取引が途中で中止になっても調査の対価は発生しうるため、どの分野をどこまで調べるか(調査範囲)を先に絞り込んでおくことが、想定外の費用を防ぐことにつながります。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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