サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい

サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい

,

電子契約とは?仕組み・書面契約との違いと法的効力を図解でわかりやすく解説

電子契約とは?仕組み・書面契約との違いと法的効力を図解でわかりやすく解説のサムネイル画像

「電子契約って結局なにが変わるの?」「本当に紙のハンコ契約と同じに扱っていいの?」と、社内で問われて言葉に詰まった経験はないでしょうか。押印・郵送・保管の負担を減らそうと導入を検討し始めると、まずこの2点を自分の言葉で説明できる状態にすることが最初のハードルになります。

電子契約は、紙とハンコで交わしていた契約を、電子ファイルへの電子署名で締結する仕組みへ置き換えるものです。電子署名法第3条により、本人による電子署名が行われた電磁的記録は、紙の押印契約と同じく「真正に成立したものと推定する」とされており、法的効力・裁判での証拠力の両面で書面と同等に扱えます。

本記事では、電子契約の定義・紙契約との違い・法的有効性の根拠・仕組み(電子署名とタイムスタンプ、当事者型と立会人型)・関連する法律と電子化できない契約・メリットと注意点・導入の進め方まで、条文や政府見解にリンクしながら解説します。電子契約システムの選定に進む前に押さえておきたい要点を整理しました。

電子契約システムの関連サービス資料
PR
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】電子契約システムの資料を
一括ダウンロードする
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

電子契約とは

電子契約とは、紙の契約書に印鑑を押して郵送していた契約締結プロセスを、電子ファイルへの電子署名でオンライン完結させる仕組みです。契約書のPDF(電磁的記録)に、契約当事者の電子署名と、そのファイルがいつ存在していたかを示すタイムスタンプを付与することで、契約書の「誰が作成したか」「いつ存在したか」「改ざんされていないか」を証明します。

紙の契約と対比すると、変わるのは締結の「形式」であって、契約そのものの効力ではありません。契約書は電子ファイル、押印は電子署名、郵送は電子メールやクラウド上のやり取り、原本の綴じ込み保管はサーバー・クラウドでの電子保存に置き換わりますが、当事者間の合意により契約が成立するという民法上の原則は変わりません。

電子署名法における電子契約の位置づけ

電子契約の中核となる「電子署名」については、電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)第2条第1項に法令上の定義があります。この2要件を満たす措置が「電子署名」であり、これが電子契約の法的な効力を支える基礎になります。

この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

  • 一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
  • 二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第2条第1項|e-Gov法令検索

要点は、電子署名が「本人性(誰が作成したか)」と「非改ざん性(改変されていないか)」の2つを同時に満たす技術的措置であることです。電子契約サービスでよく耳にする「電子サイン」という言葉は法令上の定義がなく、この2要件を満たすものは電子署名として、満たさないものはそれ以外の電磁的な合意記録として整理されます。

電子契約と紙の契約(書面契約)の違い

電子契約と紙の契約は、契約として成立する仕組みは同じですが、締結プロセスの各工程で置き換わる要素があります。以下の比較表で、形式・押印方法・本人性と非改ざん性の担保方法・送付・保管・収入印紙・証拠力の観点を一覧で整理します。

← 横にスクロールできます →
比較項目契約書の形式本人による意思表示本人性・非改ざん性の担保存在時点の証明相手方への送付保管収入印紙裁判での証拠力
紙の契約(書面契約)紙の契約書(原本)実印・認印での押印、または署名印鑑(実印なら印鑑証明書)と筆跡契約書に記載した日付(改ざんの余地あり)郵送・持参書類キャビネットで原本を綴じ込み保管課税文書の作成に印紙税が課される(印紙税法2条)本人の署名または押印があるときは真正に成立と推定(民訴228条4項)
電子契約電子ファイル(PDF等の電磁的記録)電子署名(電子証明書や事業者が発行する認証)電子署名法2条1項の2要件(本人性+非改ざん性)を電子署名で担保タイムスタンプ(総務大臣認定の時刻認証業務)電子メール・クラウド上での送受信サーバー・クラウド上に電子データとして保管(電子帳簿保存法の保存要件を満たす形)電子データの授受は「文書の作成」に当たらず印紙税は課されない(国税庁 文書回答事例)本人による電子署名が行われているときは真正に成立と推定(電子署名法3条)

※上表は電子契約と紙の契約における一般的な仕組みの対比です。個別サービスの機能や具体的な運用方法については各社情報をご確認ください。

比較して見えるように、電子契約は紙の契約における「実印+印鑑証明」の役割を「電子署名+電子証明書」に、「日付の記載」を「タイムスタンプ」に、「郵送」を「電子的な送受信」に置き換えた仕組みです。証拠力についても、後述のとおり紙の押印(民事訴訟法228条4項)と電子署名(電子署名法3条)はそれぞれ同じ「真正な成立の推定」という効果を法律で与えられており、裁判での扱いは書面と同等に整理されています。

出典・参考資料(4件)

結論として、電子契約は紙の押印契約と同等に法的な効力を持ちます。理由は2つの階層に分かれます。第一に、契約はそもそも当事者の意思の合致で成立し、書面や押印は必須の要件ではないこと。第二に、裁判で契約書が本物であることを主張するときの証明のしやすさ(真正な成立の推定)についても、電子署名法が紙の押印と同じ効果を電子署名に与えていることです。

この2階層を順に押さえると、導入判断や社内での説明でぶれのない根拠を示せます。

契約が有効に成立するかどうかについては、民法第522条第2項が原則を明示しています。

契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

出典:民法 第522条第2項|e-Gov法令検索

「法令に特別の定めがある場合を除き」という条件付きですが、原則として契約は書面や押印がなくても、当事者の意思の合致さえあれば成立します。この点は政府3府省(内閣府・法務省・経済産業省)が公表した「押印についてのQ&A」でも、実務見解として同趣旨が明記されています。

私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

出典:押印についてのQ&A 問1(令和2年6月19日)|内閣府・法務省・経済産業省

電子契約はこの原則の上に成り立ちます。紙の契約書と押印がなくても契約が成立する以上、電子ファイルと電子署名による締結も、当然に有効な契約として認められます。「特別の定めがある場合」に該当する例外類型は後述しますが、多くのビジネス契約はこの原則の範囲内にあり、電子契約への切り替えが法律上の問題を生じることはありません。

契約が有効に成立することとは別に、裁判で「その契約書が確かに本人の意思で作成されたものだ」と主張するときの立証のしやすさが問題になります。この点で、電子契約が紙の押印契約と同等の位置に置かれるのが、電子署名法第3条の推定効です。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

ここでいう「真正に成立したものと推定する」とは、契約書が本人の意思で作成されたものと裁判所に扱われることを意味します。相手方がその真正性を争う場合には、争う側が反対の証拠を出して推定を覆さなければならなくなり、契約書を証拠として使いやすい状態になります。

電子署名法3条の推定効は、独立に生まれた新しい制度ではなく、紙の押印契約の民事訴訟法上の扱いに対応する形で、電子署名にも同じ効果を認めた条文です。裁判で契約書を証拠として使うときの立証構造は、紙・電子ともに「二段の推定」と呼ばれる仕組みで組み立てられています。

まず紙の契約書の場合、民事訴訟法第228条第1項は「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない」と原則を定め、その上で第4項が押印による推定を規定しています。

(第1項)文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

(第4項)私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

出典:民事訴訟法 第228条第1項・第4項|e-Gov法令検索

民事訴訟法228条4項が「押印があれば真正に成立と推定する」と定め、電子署名法3条が「本人による電子署名があれば真正に成立と推定する」と定めています。前者が紙の押印に、後者が電子署名にそれぞれ同じ効果を与え、両者は同じ立証構造として対応します。

「二段の推定」と呼ばれるのは、この立証の枠組みが以下の2段構えで組み立てられているためです。1段目は判例による事実上の推定、2段目は法律による法定の推定で、両者が連結して初めて契約書全体が真正に成立したと推定されます。

紙の契約書の場合: (1段目) 契約書の印影と本人の印章(実印など)が一致することから、その押印は本人の意思に基づいて行われたと事実上推定されます(最高裁昭和39年5月12日判決)。(2段目) 本人の意思による押印があるものとして扱われ、民事訴訟法228条4項により、契約書は真正に成立したものと法律上推定されます。

電子契約の場合: (1段目) 電子署名を行うために必要な秘密鍵などが本人によって適正に管理されていることから、その電子署名は本人によって行われたと事実上推定されます。(2段目) 本人による電子署名があるものとして扱われ、電子署名法3条により、電磁的記録は真正に成立したものと法律上推定されます。

1段目(事実上の推定)を支える手段が紙では「印影と印章の一致」、電子では「秘密鍵などの適正管理」に置き換わり、2段目(法定の推定)を根拠づける条文が紙では民事訴訟法228条4項、電子では電子署名法3条に置き換わるだけで、立証の全体構造は同じです。

この対応関係から、電子契約は「電子だから証拠として弱い」わけではなく、紙の押印契約と同じ法的な立証の枠組みの中で、押印を電子署名に置き換えた形で運用できることが分かります。電子契約の証拠力を説明するときは、対応関係を条番号(民事訴訟法228条4項と電子署名法3条)と合わせて示せば、法務担当者にも通用する根拠になります。

あわせて、政府3府省の「押印についてのQ&A」問6は、文書の成立の真正を証明する手段として「電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログインID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)」を挙げています。電子署名だけでなく、認証ログや2要素認証などの認証記録も、真正性を裏付ける実務上の手段として明示されています。

出典・参考資料(4件)

電子契約の仕組み(電子署名・タイムスタンプと署名方式)

電子契約が「誰が」「いつ」「改ざんされていない状態で」作成したかを証明できるのは、電子署名とタイムスタンプという2つの技術的な措置を組み合わせているためです。加えて、電子署名を「契約当事者自身が行うか」「電子契約サービスの提供事業者が当事者の指示に基づいて行うか」で、当事者型と立会人型(事業者署名型)の2つの署名方式に分かれます。

電子署名(公開鍵暗号方式による本人性・非改ざん性の担保)

電子署名は、公開鍵暗号方式という仕組みを使って、契約書の作成者と改ざんの有無を証明します。仕組みの概略は次のとおりです。作成者はまず、契約書の内容から「ハッシュ値」と呼ばれる短い要約データを作り、自分だけが持つ「秘密鍵」でこのハッシュ値を暗号化します。この暗号化されたハッシュ値が電子署名として契約書に付与されます。

受け取った側は、作成者の「公開鍵」(電子証明書として認証局から誰でも入手できる)で電子署名を復号し、契約書から改めて計算したハッシュ値と一致するかを確かめます。一致すれば、その電子署名は秘密鍵を持つ本人が行ったものであり、かつ契約書は署名後に改変されていないと確認できます。

秘密鍵と公開鍵の対応関係は、認証局(電子証明書を発行する第三者機関)が本人確認をした上で発行する電子証明書によって保証されます。

この仕組みが電子署名法2条1項の2要件(本人性・非改ざん性)を技術的に満たすことで、電子署名は法的な効果を持つ「電子署名」として扱われます。実務上、電子契約サービスの利用者が公開鍵暗号方式の詳細な計算処理を意識する必要はなく、サービスがブラウザ上のクリック操作に落とし込んでいます。

タイムスタンプ(電子データがいつ存在したかの証明)

電子署名は「誰が作成し、その後改ざんされていないか」を示す一方で、「いつその電子データが存在していたか」までは証明できません。この時点の証明を担うのがタイムスタンプで、時刻認証業務を行う認定事業者が発行します。契約書のハッシュ値に信頼できる時刻情報を組み合わせて発行され、その時点で電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを客観的に示せます。

タイムスタンプは、2021年(令和3年)4月に総務省が「時刻認証業務の認定に関する規程」(令和3年総務省告示第146号)を制定して以降、総務大臣が認定した時刻認証業務事業者が発行する認定タイムスタンプが公的な位置づけを持つようになりました。

それ以前は民間の一般財団法人(日本データ通信協会)による認定制度でしたが、国による認定制度に移行しています。多くの電子契約サービスは、この認定事業者のタイムスタンプを標準で付与しています。

出典・参考資料(1件)

当事者型(実印タイプ)

当事者型は、契約当事者本人が認証局から発行された電子証明書と秘密鍵を使って、自ら電子署名を付与する方式です。紙の契約書における実印と印鑑証明書に相当する運用で、本人性の担保が強いのが特徴です。認証局は本人確認を経て電子証明書を発行するため、電子署名法3条の推定効が及ぶ「本人による電子署名」の要件を、直接的な形で満たしやすい方式といえます。

一方で、契約当事者双方が電子証明書を取得する必要があり、認証局からの発行手続きや証明書の管理コストが発生します。国際的な取引や金融機関との重要契約、社内規程で実印相当の締結が求められる契約類型など、証拠力の強度を最大化したい場面で選ばれる方式です。

立会人型(事業者署名型)と証拠力の論点

立会人型(事業者署名型)は、契約当事者がメール認証などで意思表示をし、その指示を受けた電子契約サービス提供事業者が、事業者名義の電子証明書を用いて電子署名を付与する方式です。紙の契約書における認印相当の運用と説明されることが多く、契約相手方はメールアドレスとブラウザだけで締結できるため、取引先の負担が小さく国内では主流の方式です。

立会人型でよく議論になるのが、「電子契約サービス事業者が署名しているのだから、本人による電子署名ではなく、電子署名法3条の推定効は及ばないのではないか」という論点です。

この点について総務省・法務省・経済産業省は令和2年9月に「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」を公表し、要件を満たせば立会人型でも3条の推定効が及び得ることを明らかにしました。

その前提として、暗号化等の措置を行うための符号について、他人が容易に同一のものを作成することができないと認められることが必要であり(以下では、この要件のことを「固有性の要件」などという。)

上記サービスが十分な水準の固有性を満たしていると認められるためには、①利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス及び②①における利用者の行為を受けてサービス提供事業者内部で行われるプロセスのいずれにおいても十分な水準の固有性が満たされている必要があり(中略)①のプロセスについては、例えば以下の方法により2要素認証を行っている場合は電子文書が利用者の作成に係るものであることを示すのに十分な水準の固有性を満たすと評価され得ると考えられる。なお、十分な水準の固有性を満たすために2要素認証が必須ということではなく、他の方法によることを妨げるものではない。

出典:利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)(令和2年9月4日)|総務省・法務省・経済産業省

ポイントは「固有性の要件」で、利用者とサービス事業者の間のプロセス(メールアドレス認証に加えたSMS認証など2要素認証相当の本人確認)と、事業者内部のプロセスの両方で、他人が容易に同じ電子署名を作れないと認められる水準にあれば、立会人型でも「本人による電子署名」として3条の推定効が及ぶと整理されています。逆に、単純なメール確認だけで完結する運用は、この固有性の水準に達しない可能性があります。

実務上は、立会人型を採用しつつ2要素認証や電子証明書付きの当事者型オプションを併用できるサービスを選び、契約の重要度に応じて署名方式を使い分けるのが現実的です。取引先の合意コストと、証拠力・本人確認の強度のバランスをとる判断になります。

出典・参考資料(1件)
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】電子契約システムの資料を
一括ダウンロードする

電子契約に関連する法律

電子契約を実務で運用するうえで、電子署名法・民事訴訟法以外に押さえておきたい関連法があります。電子契約データの保存を規律する電子帳簿保存法、印紙税が課されない理由を支える印紙税法と国税庁の解釈、そして書面での保存が義務づけられていた文書を電子で保存する根拠となるe-文書法です。

電子帳簿保存法(電子契約データの保存要件)

電子契約で締結した契約書は、税法上の取引情報(電子取引データ)として、電子帳簿保存法の保存要件を満たして保存する必要があります。所得税・法人税の保存義務者に対し、電子取引を行った場合の電磁的記録の保存を義務づけているのが、電子帳簿保存法第7条です。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条|e-Gov法令検索

具体的な保存要件は同法施行規則第4条に定められており、大きく分けて2本柱で構成されます。1つ目は「真実性の確保」で、タイムスタンプの付与や訂正削除防止の事務処理規程の整備などが求められます。2つ目は「可視性の確保」で、パソコン画面での見読可能性と、日付・取引先などによる検索機能を確保することが必要です。

認定タイムスタンプを標準付与する電子契約サービスと、自社の電子契約データ管理ルールを組み合わせて、これらの要件を満たす運用を組み立てます。

あわせて、「真実性の確保」はタイムスタンプの付与が唯一の選択肢ではなく、訂正削除履歴を残せるシステムを利用したうえで事務処理規程を整備することでも要件を満たせます。どの条件でタイムスタンプが不要になるのか、施行規則の条文レベルでの要件は以下の記事で整理しています。

電子取引データの電子保存は令和4年(2022年)1月から義務化され、2年間の宥恕措置を経て、令和6年(2024年)1月以降は原則として電子データのまま保存要件を満たして保存することが求められます。契約書だけでなく、電子メールで受け取った請求書・発注書なども電子取引データに該当するため、電子契約導入と合わせて自社の電子取引データ全体の保存フローを見直すのが現実的です。

印紙税が不要になる理由(印紙税法と基本通達)

電子契約のコストメリットとしてよく挙げられるのが、印紙税が課されないという点です。ただし、「電子契約だから非課税」と明文で規定されているわけではなく、印紙税法の条文と国税庁の解釈を組み合わせて説明できる仕組みです。ここを正確に押さえておくと、社内での説明に活用できる根拠になります。

まず印紙税法第2条は、課税対象を「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」と定めており、第3条第1項は課税文書の「作成者」に印紙税を納める義務を課しています。つまり、印紙税は「文書」の「作成」に対して課される仕組みです。電子契約データが印紙税の対象となる「文書の作成」に該当するかは、国税庁の文書回答事例で示されています。

印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、印紙税法基本通達第44条により「単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ(中略)注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁(福岡国税局)

要点は、印紙税法基本通達第44条が「作成」を「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使すること」と定義していることです。電子データの授受は「用紙等」への記載を伴わないため、印紙税法上の「文書の作成」には該当せず、結果として印紙税の課税原因が生じない、という論理です。

ただし、この解釈には注意点があります。国税庁の文書回答事例では、電子メールで送信した後に「本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える」ともされています。

電子契約に切り替えたつもりでも、後日改めて紙原本を作成・交付すれば、その紙原本が課税文書となり印紙税が発生します。電子契約導入時は、社内フローとして「紙原本を後から作らない」ルールを併せて徹底することが、印紙税削減の効果を維持するうえで重要です。

出典・参考資料(4件)

e-文書法(書面保存の電子化根拠)

電子帳簿保存法と e-文書法は「どの書面を電子で保存できるか」の根拠を分担しています。国税関係の帳簿書類(法人税・所得税・消費税に関わる契約書・請求書・領収書など)は電子帳簿保存法、それ以外の法令で書面保存が求められている文書(会社法上の書類・業法上の書類など)は e-文書法が電子保存の根拠になります

電子契約で締結した契約書がどちらの適用対象になるかは、その契約書に紐づく保存義務の根拠法によって決まります。

e-文書法の第3条本文は、書面での保存が義務づけられている文書について、主務省令で定めるところにより電磁的記録での保存に代えられる旨を規定しています。

民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)については、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができる。

出典:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

電子契約で締結した契約書のうち、税務以外の理由(会社法・業法など)で保存が求められる文書についても、e-文書法と各業法の省令に定める要件を満たす形で電子保存できます。電子契約サービスによる保管が、この要件を実務上どこまでカバーしているかは各サービスの仕様を確認する必要があります。

電子化できない契約(書面での締結が必要な契約)

自社が扱う契約類型のなかで、どれが電子契約で締結でき、どれが書面での締結を求められるかを整理するために、契約類型を3グループに分けて全体像を押さえます。多くの業務契約は①のグループに入り、②は条件を満たせば電子化でき、電子化できないのは③の限定された類型に留まります。

← 横にスクロールできます →
類型①原則自由に電子化できる契約(多数派)②相手方の承諾など一定の条件を満たせば電子化できる契約③公正証書での作成が法律で義務づけられている契約(電子化できない)
根拠民法522条2項(契約方式自由の原則)2022年5月18日施行のデジタル社会形成整備法などによる各業法の改正任意後見契約に関する法律3条/借地借家法23条3項
代表例業務委託契約書/NDA/売買契約書(不動産以外の一般売買)/雇用契約書/代理店契約/金銭消費貸借契約 等の一般的なビジネス契約定期借地権・定期借家/宅地建物取引業法の重要事項説明書・契約締結時書面/労働条件明示書/特定商取引法上の交付書面任意後見契約/事業用定期借地権の設定契約

※上記は契約類型の全体地図としての整理です。個別の契約書ごとの適否判断は、契約の性質や適用法令を確認のうえ行ってください。

以下では、②と③の各類型について条番号と併せて詳しく確認します。①の一般的なビジネス契約は、書面や押印がなくても当事者の合意で成立するため、電子契約サービスでの締結に法律上の障害はありません。

公正証書での作成が法律で義務づけられている契約

現行法上、書面(公正証書)での作成が明示的に義務づけられている契約類型は、電子契約では代替できません。代表例は任意後見契約と事業用定期借地権の設定契約です。任意後見契約に関する法律第3条は次のように定めています。

任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

出典:任意後見契約に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

事業用定期借地権の設定契約についても、借地借家法第23条第3項が公正証書での作成を要求しています。

前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

出典:借地借家法 第23条第3項|e-Gov法令検索

公正証書は公証人が作成する書面を前提とした制度で、電子契約サービス上で当事者間だけで完結させることはできません。これらの類型に該当する契約は、電子契約への切り替え対象から外し、公証役場での手続きを組み込む形で運用します。

かつて書面必須だが2022年改正で電子化が可能になった契約

実務でしばしば「電子化できない契約」として挙げられていた類型のなかには、2022年5月18日施行のデジタル社会形成整備法などにより、書面から電子への切り替えが認められた類型があります。従来の解説を鵜呑みにすると誤情報を社内に伝えることになるため、以下の類型は現在では「電子化が可能」な側に位置づけて扱います。

  • 定期借地権(借地借家法22条2項)・定期借家(借地借家法38条2項):特約や契約が「電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなす」旨の規定が追加され、電子契約での締結が可能になりました。
  • 宅地建物取引業法の重要事項説明書(35条書面)・契約締結時書面(37条書面):相手方の承諾を得れば「電磁的方法により提供」でき、書面交付とみなされます。2022年5月18日から施行されています。
  • 労働条件明示書(労働基準法15条):労働者が希望した場合には、FAX・電子メール・SNSメッセージなどの電磁的方法で明示することが認められています(労働基準法施行規則5条)。
  • 特定商取引法上の交付書面:2021年の法改正により、消費者の承諾を条件に交付書面の電子化が可能になりました。

いずれも「相手方の承諾」や「労働者の希望」など、電子化するための条件が付いている点に注意が必要です。無条件に電子化できるわけではなく、社内フローに承諾取得のプロセスを組み込む必要があります。また会社法上の書類(取締役会議事録など)についても、電磁的記録で作成でき、電子署名などの署名押印に代わる措置をとることが認められています(会社法369条3項・4項)。

出典・参考資料(4件)

電子契約のメリットと注意点

電子契約への切り替えは、法的な有効性が確保されていることを前提に、業務効率とコスト、社内統制の3方向で効果を持ちます。同時に、導入時には取引先や社内フローとの調整が必須で、思わぬ落とし穴もあります。導入検討時のメリットと注意点を整理します。

導入するメリット

  • 印紙税・郵送費・保管コストの削減:電子契約データの授受は印紙税法上の「文書の作成」に該当しないため印紙税が発生しません。加えて、契約書の印刷・郵送・書類キャビネットでの保管にかかる直接費用と、それらの業務工数も削減できます。
  • 締結業務の効率化・スピードアップ:印刷から製本、押印、郵送、返送を待つ流れがなくなり、契約書のアップロードから相手方の署名までブラウザ上で完結します。海外や遠隔地との契約でも即日締結が可能になります。
  • 内部統制・コンプライアンスの強化:契約書の作成者・締結日時・改変の有無が電子署名とタイムスタンプで技術的に固定され、監査ログとして残ります。契約書の紛失リスクが下がり、電子帳簿保存法や各種業法の保存要件に応える体制を組みやすくなります。

導入・運用の注意点

  • 取引先の合意が必要になる:電子契約は当事者双方の合意のうえで成立します。取引先が電子契約に対応していない場合や、社内規程で紙契約を求めている場合は、無理に押し切らず紙で締結する判断が必要です。導入初期は電子契約と紙契約を併用する運用が現実的です。
  • 社内フローの見直しが必要になる:押印規程・稟議フロー・契約書管理台帳など、紙前提の社内ルールを電子契約に合わせて更新する必要があります。特に取締役印・実印の管理と、電子署名の権限管理の対応関係は、早い段階で法務・総務と設計しておくのが安全です。
  • 契約締結日をバックデートできない:タイムスタンプは電子契約サービスが自動で付与するため、日付を過去に遡って設定することはできません。紙契約であれば日付を書き込むだけで対応できていた「先付け・後付け」の慣習が使えなくなる点は、営業・購買現場との事前調整が必要です。
  • 電子契約サービスの継続利用が前提になる:契約書の保管をサービスに預ける形になるため、事業者を変更する際のデータ移行や、電子署名の検証環境の維持が長期的な運用課題になります。契約書のPDFエクスポート機能や、電子署名の第三者検証機能があるかは、サービス選定時の確認ポイントです。

電子契約の導入の進め方

電子契約サービスを選定する前に、社内で押さえるべき手順があります。以下の5ステップに整理して解説します。各ステップは導入判断や社内での合意形成の材料としてそのまま使える形にしています。

1つ目は現状把握です。自社が年間で締結している契約の件数、契約類型(業務委託・売買・NDA・雇用など)、金額規模、取引先数を洗い出します。同時に、押印・郵送・保管にかかっている時間とコストを算出し、電子契約導入で削減できる規模感を試算します。この段階で、公正証書での作成が必要な契約類型(任意後見契約・事業用定期借地権の設定契約など)が含まれていないかも確認しておきます。

2つ目は対象範囲の決定です。すべての契約を一度に電子化するのは現実的ではないため、優先的に電子化する契約類型を絞り込みます。締結頻度が高く、取引先の合意も取りやすい業務委託契約やNDA、社内で完結する雇用契約から始めるのが典型です。書面義務があると法令で規定されている類型や、電子化に取引先の承諾が要る類型は、初期対象から外して段階導入する判断も選択肢になります。

3つ目は社内ルールの見直しです。押印規程・稟議フロー・契約書管理台帳・電子署名の権限付与ルールを更新します。特に、代表取締役印や役員印の物理押印と、電子署名での代替をどう位置づけるか、緊急時のバックアップ運用をどうするか、といった論点は、法務・総務・情報システム部門と合意形成が必要です。

あわせて、電子契約データの電子帳簿保存法対応(真実性・可視性の確保)に必要な事務処理規程も、この段階で整備します。

4つ目は取引先への案内です。電子契約への切り替えは双方の合意が前提となるため、主要な取引先に対して事前に案内し、対応の可否を確認します。取引先の社内フローによっては紙契約を継続する必要があるケースもあり、その場合は電子契約と紙契約の並行運用を前提に、社内側で両方に対応できるフローを設計します。

切り替えを一律強制せず、取引先の負担が小さい立会人型の電子契約サービスを選ぶなど、相手方の合意コストを下げる工夫が重要です。

5つ目はサービスの選定と運用開始です。ここでようやく個別の電子契約サービスの比較検討に入ります。当事者型・立会人型の対応状況、電子帳簿保存法対応の要件充足、料金体系(送信件数従量課金・月額固定・ユーザー数課金)、既存の基幹システムやワークフローとの連携、取引先の使いやすさ、といった観点を整理して選定します。

運用開始後は、想定した削減効果と実績の乖離を定期的にレビューし、対象契約類型を段階的に広げていきます。

電子契約システムで契約業務を効率化する

電子契約の全体像を押さえたうえで、実際の締結業務は電子契約システム(電子契約サービス)が担います。ここでは、国内で導入実績が多く、当事者型・立会人型の両方式や電子帳簿保存法対応を備える2サービスとして、クラウドサインと電子印鑑GMOサインを紹介します。詳細な選定観点や他社サービスとの比較は、末尾に配置した親ピラー記事をご参照ください。

以下は本記事で紹介する電子契約システムの比較表です。

← 横にスクロールできます →
サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサイン
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
署名方式立会人型(標準)/当事者型(マイナンバーカード対応)立会人型(契約印タイプ)/当事者型(実印タイプ)/両方式のハイブリッド署名
タイムスタンプ認定タイムスタンプ標準付与認定タイムスタンプ標準付与
電子帳簿保存法対応
料金体系無料プランあり/有料プランは月額固定+送信件数従量無料プランあり/有料プランは月額固定+送信件数従量
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※上記は各サービスの一般的な機能・料金体系の傾向です。個別プランの機能搭載の有無や提供形態については各社情報をご確認ください。

本記事で取り上げた2サービスは、当事者型・立会人型の両対応と電子帳簿保存法対応を備える代表例です。国内で提供されている電子契約サービスはこの他にも多数あり、料金体系(送信件数従量/月額固定/ユーザー数課金)や本人確認の強度、既存システム連携の有無で選び分けることになります。

以下の記事では、電子契約システム全体をタイプ別の選び方と料金の観点で比較しているので、導入するサービスを絞り込む段階でご覧ください。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインの公式サイトのスクリーンショット

弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。標準は立会人型(事業者署名型)で、契約相手方はメールアドレスとブラウザだけで締結でき、取引先の合意コストを抑えやすいのが特徴です。さらに、マイナンバーカードを利用した当事者型署名にも対応しており、重要契約や本人確認を強化したい場面での使い分けも可能です。

認定タイムスタンプを全ての契約書に標準で付与し、電子帳簿保存法の保存要件を満たすための機能(検索機能・タイムスタンプ・訂正削除防止)を備えています。取引先の負担が小さいメール認証型の運用と、必要に応じて当事者型を選べる柔軟性を両立でき、初回導入から広範な契約類型への展開まで対応できる構成です。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインの公式サイトのスクリーンショット

認証局事業を長く手がけてきたGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子契約サービスです。契約印タイプ(立会人型)と実印タイプ(当事者型)の両方式に対応し、さらに1つの契約書にこの2方式を組み合わせて署名を付与できるハイブリッド署名の運用も選択できる点が特徴です。証拠力の強度を契約類型ごとに使い分けたい企業や、既に当事者型の運用が定着している業界での導入に向いています。

認定タイムスタンプを標準で付与し、電子帳簿保存法対応の保存要件を満たす機能を備えています。デジタル庁・法務省・財務省の3省庁からの適法性確認や、電子帳簿保存法対応の「電子取引ソフト法的要件認証」(JIIMA認証)などの認証取得実績もあり、法務・監査対応時の説明材料として活用できます。

まとめ

電子契約は、紙とハンコで交わしていた契約を、電子ファイルへの電子署名で締結する仕組みへ置き換えたものです。契約の有効性については民法522条2項の方式自由の原則が働き、書面や押印がなくても当事者の意思の合致で成立します。

裁判での証拠力についても、民事訴訟法228条4項が紙の押印による真正成立を推定するのと同じ構造で、電子署名法3条が電子署名による真正成立を推定します。二段の推定の枠組みは電子契約でもそのまま働き、紙の押印契約と同等の法的な位置づけを持ちます。

仕組みとしては、電子署名(本人性と非改ざん性を担保)とタイムスタンプ(存在時点を証明)を組み合わせ、契約当事者本人が署名する当事者型と、電子契約サービス事業者が当事者の指示に基づき署名する立会人型を使い分けます。立会人型でも、政府3府省のQ&Aが示す固有性の要件(2要素認証相当の本人確認など)を満たせば、電子署名法3条の推定効が及び得ることが整理されています。

関連法としては電子帳簿保存法(保存要件)と印紙税法・国税庁の解釈(電子データは「文書の作成」に当たらず印紙税が発生しない)、e-文書法(書面保存の電子化根拠)が実務上の柱です。

電子化できない契約は「公正証書での作成が法律で義務づけられている類型」(任意後見契約・事業用定期借地権の設定契約など)に限られ、かつて書面必須と言われていた定期借地・定期借家・宅建業法の重要事項説明書・労働条件明示書・特定商取引法上の交付書面は、2022年5月18日施行のデジタル社会形成整備法などにより電子化が可能になっています。

導入時は、現状把握・対象範囲・社内ルール・取引先案内・サービス選定の順で進め、社内の押印規程や電子帳簿保存法対応まで含めて設計するのが実務的なアプローチです。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】電子契約システムの資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 電子契約とは何ですか?

A. 電子契約とは、紙の契約書に印鑑を押して郵送していた契約締結プロセスを、電子ファイルへの電子署名でオンライン完結させる仕組みです。契約書はPDF等の電磁的記録に、押印は電子署名に、郵送は電子メールやクラウド上のやり取りに、原本の綴じ込み保管はサーバー・クラウドでの電子保存に置き換わります。契約自体は当事者の合意で成立するという民法上の原則は変わらず、変わるのは締結の「形式」だけです。

Q. 電子契約は紙の契約と同じ法的効力を持ちますか?

A. 電子契約は、紙の押印契約と同等の法的効力を持ちます。契約は民法522条2項により原則として書面や押印がなくても当事者の意思の合致で成立し、裁判での証拠力についても電子署名法3条が「本人による電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したものと推定する」と定めています。

紙の押印について同じ効果を定める民事訴訟法228条4項と対応する形で、電子契約は紙契約と同じ立証の枠組みで扱えます。

Q. 立会人型(事業者署名型)でも電子署名法3条の推定効は及びますか?

A. 立会人型でも、政府3府省が示す「固有性の要件」を満たせば、電子署名法3条の推定効が及び得ると整理されています。総務省・法務省・経済産業省が令和2年9月に公表した「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」で示されています。

要件は、利用者とサービス事業者の間のプロセス(メールアドレス認証に加えたSMS認証など2要素認証相当の本人確認)と事業者内部のプロセスの両方で、他人が容易に同じ電子署名を作れないと認められる水準にあることです。この水準を満たせば、立会人型でも「本人による電子署名」として3条の推定効が及び得るとされています。

逆に、単純なメール確認だけで完結する運用は固有性の水準に達しない可能性があるため、サービス選定時に本人確認の強度を確認するのが安全です。

出典・参考資料(1件)

Q. 電子契約と「電子サイン」は何が違うのですか?

A. 「電子署名」は電子署名法2条1項に法令上の定義がある技術的措置で、「電子サイン」は法令上の定義がない一般的な呼び方です。電子署名法2条1項は「本人性(誰が作成したか)」と「非改ざん性(改変されていないか)」の2要件を同時に満たす措置を電子署名と定義しており、この2要件を満たすものが電子署名法3条の推定効(真正成立の推定)の対象になります。

電子契約サービスによっては、この2要件を満たさない単純な合意ログを「電子サイン」と呼んでいることもあります。法的な位置づけを確認するには、そのサービスの電子署名が2条1項の2要件(および立会人型の場合は3条Q&Aの固有性要件)を満たしているかを見るのが確実です。

Q. 電子契約で印紙税がかからないのはなぜですか?

A. 印紙税は「文書」の「作成」に課される仕組みで、電子データの授受は印紙税法上の「文書の作成」に該当しないため課税されません。印紙税法第2条・第3条が課税文書の「作成者」に印紙税の納税義務を課しています。

一方、印紙税法基本通達第44条が「作成」を「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使すること」と定義しており、電子データは「用紙等」への記載を伴わないため作成に当たらない、というのが国税庁の解釈です。

ただし、電子メール等で電子契約を締結した後、後日改めて紙原本を作成・交付するとその紙原本が課税文書となり印紙税が発生します(国税庁 福岡国税局の文書回答事例で明示)。電子契約の印紙税削減効果を維持するには、社内フローで「紙原本を後から作らない」ルールを併せて徹底することが重要です。

出典・参考資料(2件)

Q. 電子契約で締結した契約書を紙で印刷して保管する必要はありますか?

A. 電子契約で締結した契約書は、原則として紙で印刷せず電子データのまま保存します。所得税法・法人税法上の電子取引データについては電子帳簿保存法第7条が電磁的記録での保存を義務づけており、令和6年(2024年)1月以降は原則として紙に印刷して保存する運用(紙代替)は認められなくなりました。

電子保存にあたっては、真実性の確保(タイムスタンプの付与や訂正削除防止の事務処理規程の整備など)と可視性の確保(パソコン画面での見読可能性と、日付・取引先などによる検索機能)の2本柱を満たす必要があります。認定タイムスタンプを標準付与する電子契約サービスと、自社の管理ルールを組み合わせて要件を満たす運用を組み立てるのが実務的なアプローチです。

Q. 電子契約で締結できない契約類型はありますか?

A. 現行法上、公正証書での作成が法律で明示的に義務づけられている契約は電子契約で代替できません。代表例は任意後見契約(任意後見契約に関する法律3条)と事業用定期借地権の設定契約(借地借家法23条3項)で、公証人が作成する書面を前提とした制度のため、電子契約サービス上で当事者間だけで完結させることはできません。

かつて書面必須と説明されがちだった類型のなかには、法改正で電子化が認められた類型が複数あります。定期借地権・定期借家(借地借家法22条2項・38条2項、2022年5月18日施行のデジタル社会形成整備法)、宅地建物取引業法の重要事項説明書・契約締結時書面(35条・37条書面、2022年5月18日施行)が代表例です。

加えて、労働条件明示書(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条の2019年4月改正)、特定商取引法上の交付書面(2021年6月成立・2023年6月1日施行の法改正)も電子化が可能です。いずれも相手方の承諾や労働者の希望などを条件としています。

従来の解説を鵜呑みにすると誤情報になるため、最新の法令に基づいて仕分けすることが重要です。

Q. 取締役会議事録や商業登記の添付書面にも電子契約(電子署名)は使えますか?

A. 取締役会議事録は会社法369条4項により電磁的記録での作成が認められ、法務省令で定める署名・記名押印に代わる措置(電子署名)を執ることができます。また商業登記の添付書面としても、当事者型・立会人型のいずれの電子署名を用いた電磁的記録が利用可能である旨が法務省の見解として示されています。

ただし代表取締役の就任・変更に係る議事録の登記添付など、個別の類型・場面には制約が残るケースもあるため、具体的な登記手続きは管轄の法務局に事前確認するのが安全です。

出典・参考資料(1件)

Q. 電子契約では契約締結日をバックデート(過去日付での締結)できますか?

A. 電子契約では、締結の事実発生日を過去に遡って刻印するバックデートはできません。締結時にはタイムスタンプが電子契約サービスにより自動で付与され、総務大臣認定の時刻認証業務事業者による客観的な時刻情報がファイルに固定されるためです。

紙契約では日付欄に手書きするだけで対応できていた「先付け・後付け」の運用は使えなくなります。契約書の効力発生日を遡らせたい場合は、締結日そのものを遡らせるのではなく、契約書の条項として効力発生日を明記する形で対応するのが実務的です。営業・購買現場と事前に運用ルールを整理しておく必要があります。

Q. 取引先が電子契約に応じてくれない場合、どうすればよいですか?

A. 電子契約は当事者双方の合意のうえで成立するため、取引先が対応していない・拒否している場合は無理に押し切らず、従来どおり紙の契約書で締結します。取引先の社内規程で紙契約が求められているケースや、電子契約サービスの利用に慣れていないケースもあるため、導入初期は電子契約と紙契約の並行運用を前提にした社内フロー設計が現実的です。

切り替えを進める際は、取引先の負担が小さい立会人型(メールアドレスとブラウザだけで締結できる方式)のサービスを選んで案内すると、相手方の合意コストが下がり切り替えへの理解を得やすくなります。

電子契約システムの料金・手数料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、電子契約システムの最新資料を一括ダウンロードいただけます。各サービスの機能・料金・導入実績を効率よく比較したい場合は、以下のボタンよりお申し込みください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】電子契約システムの資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
電子契約システムの関連サービス資料

PR

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます

【無料】電子契約システムの資料を
一括ダウンロードする

本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

関連記事

新着記事

電子契約システム
おすすめの診断サービス