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サプライチェーンリスクとは?種類・被害事例・対策を解説|セキュリティと供給途絶の両面

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取引先や委託先で起きた事故が、自社の事業を止めてしまう。近年、そうした「サプライチェーン(供給網)」を起点としたトラブルが相次いでいます。委託先経由のサイバー攻撃による情報漏洩から、自然災害や取引先のシステム障害による部品・商品の供給停止まで、原因はさまざまです。

こうした状況を受けて、経営層や取引先から「サプライチェーンリスクへの備えは大丈夫か」と問われる場面も増えています。ただし、いざ調べようとすると、この言葉がサイバー攻撃・情報漏洩を指すのか、災害や調達停止まで含む供給途絶全般を指すのか、文脈によって範囲が異なり、全体像をつかみにくいのも事実です。

本記事では、サプライチェーンリスクの定義と範囲の切り分けから、リスクの種類、実際の被害事例、なぜ今問題視されるのかの背景、そして自社で何から始めるべきかの対策までを整理します。対策を継続的に回すための委託先リスク管理・GRCツールの選択肢もあわせて紹介しますので、自社のリスクマネジメントを見直す出発点としてご活用ください。

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サプライチェーンリスクとは?狭義(セキュリティ)と広義(供給途絶)の範囲

サプライチェーンリスクとは、原材料の調達から生産、物流、販売まで、製品やサービスが顧客に届くまでの一連の流れ(サプライチェーン)のどこかで発生し、その流れを止めたり、自社に損害を与えたりするリスクの総称です。

この言葉は、大きく2つの意味で使われます。狭義では、委託先やソフトウェアを経由したサイバー攻撃・情報漏洩など「セキュリティ上のリスク」を指します。広義では、それに加えて自然災害・地政学的な混乱・取引先の倒産やシステム障害による「供給途絶全般」まで含みます。どちらの意味で語られているかで対策の範囲が変わるため、まず両者の関係を整理しておきます。

サプライチェーンリスクの範囲を示す図。広義(供給途絶を含む全般)が狭義(セキュリティ上のリスク)を内側に含む構造で、広義は狭義に加えて自然災害・地政学・取引先の倒産やシステム障害による供給途絶全般を含むことを示す。狭義は委託先・ソフトウェアを経由したサイバー攻撃・情報漏洩を指す。
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サプライチェーンリスクの範囲狭義(セキュリティ上のリスク)広義(供給途絶を含む全般)
主に指すもの委託先・ソフトウェアを経由したサイバー攻撃や情報漏洩狭義に加え、自然災害・地政学・取引先の倒産など供給網が止まるリスク全般
主な関心部門情報システム・情報セキュリティ部門調達・購買、リスク管理、経営企画など

※狭義・広義はいずれも「サプライチェーンリスク」として語られます。自社でどの範囲を対象にするかを最初に決めると対策の抜け漏れを防げます。

セキュリティ分野でも、対象は自社だけにとどまりません。経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が公表する「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」は、経営者が認識すべき3原則の一つとして、委託先を含むサプライチェーン全体への目配りを挙げています。

サイバーセキュリティ確保に関する責務を全うするには、自社のみならず、国内外の拠点、ビジネスパートナーや委託先等、サプライチェーン全体にわたるサイバーセキュリティ対策への目配りが必要

出典:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0|経済産業省・IPA

国際的な標準文書でも同様の考え方が体系化されています。米国国立標準技術研究所(NIST)の「NIST SP 800-161」は、サイバーサプライチェーンリスク管理(C-SCRM)を、サプライチェーン全体にわたるサイバーセキュリティリスクへのさらされ具合を管理し、適切な対応戦略や方針・プロセス・手順を整備するための体系的なプロセスと定義しています(仮訳)。

狭義のセキュリティであっても、その本質は自社の外側まで含めた管理にあるといえます。

出典・参考資料(1件)

サプライチェーンリスクの種類

ここからは、サプライチェーンリスクにどのような種類があるかを整理します。サイバー面だけ、あるいは災害面だけに偏ると全体像を見誤るため、供給網に関わる主要なリスクを横断的に一覧にしました。

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サプライチェーンリスクの種類サイバーリスク自然災害リスク地政学リスク経済・調達リスク取引先の経営リスク
主な内容委託先・ソフトウェアを経由した攻撃や情報漏洩地震・水害などによる生産・物流の停止国際情勢の変化による調達・輸出入の混乱原材料価格や需給の変動によるリスク取引先自体の倒産や事業継続の問題
具体例委託先経由のランサムウェア感染
ソフトウェアへの不正コード混入
再委託先からの情報漏洩
地震・台風・水害による工場停止
物流網の寸断
設備の損壊
紛争・輸出規制による調達難
特定国への依存の顕在化
為替の急変
原材料・エネルギー価格の高騰
需要の急変
特定サプライヤーへの集中
取引先・委託先の倒産
品質・コンプライアンス違反
取引先のシステム障害
起こりやすい影響個人情報・機密情報の流出、システム停止、復旧コスト部品・商品の供給停止、納期遅延原材料の調達コスト増、調達先の切り替え負担コスト増、利益率の低下、供給の不安定化供給停止、代替先確保の負担、信用の低下

※上記は代表的な分類です。実際のリスクは複数の種類が連鎖して発生することもあります。

これらは独立して起きるとは限りません。たとえば取引先へのサイバー攻撃(サイバーリスク)が、その取引先の事業停止(取引先の経営リスク)を招き、結果として自社への供給が止まる、というように連鎖することがあります。だからこそ、種類を分けて理解したうえで、供給網全体を見渡す視点が求められます。

サプライチェーンリスクの被害事例

サプライチェーンリスクが現実になると、どの程度の影響が出るのでしょうか。ここでは、企業が公式に発表した事例を取り上げます。自社の事業に置き換えて、影響の大きさをイメージする材料にしてください。

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サプライチェーンリスクの被害事例2014年(公表)2016年4月2022年3月2024年4月
発生元・概要ベネッセの業務委託先の元社員が、顧客情報を不正に取得し名簿業者へ売却熊本地震でアイシン(旧アイシン精機)の子会社アイシン九州(熊本市)が被災し、自動車部品「ドアチェック」の供給が約4か月途絶トヨタ自動車の国内仕入先(小島プレス工業)でシステム障害(公式発表は「システム障害」、報道ではランサムウェア被害)江崎グリコが基幹システムの切り替え時にシステム障害が発生
影響の種類情報漏洩(委託先経由)供給途絶(自然災害)供給途絶供給途絶(システム移行トラブル)
主な影響顧客の個人情報 約2,895万件が外部に流出(実態の推計件数)同社製ドアチェックはトヨタ国内生産車の約9割に使われていたとされ(アナリスト推計)、部品のボトルネック化でトヨタが国内の車両組立工場の大半で稼働を停止。熊本の二次・三次下請けを含む供給網全体にも混乱が及んだトヨタが国内全14工場28ラインを3月1日に停止。仕入先1社の障害が全国稼働に波及全国の物流センターで出荷が遅滞。チルド食品などで出荷停止・遅配欠配が発生

これらの事例は、影響の種類が異なる点に注目してください。ベネッセの事例は委託先の元社員による情報漏洩で、狭義(セキュリティ上のリスク)の典型です。熊本地震・トヨタ・江崎グリコの事例は工場停止や出荷遅延という供給途絶で、広義のリスクにあたります。

とくに熊本地震の事例は、自然災害が一次仕入先の一工場を直撃しただけで、そこに集中していた部品がボトルネックとなり、完成車メーカー全体の生産が止まりうることを示しています(一点集中のリスク)。

トヨタの事例では、仕入先1社のトラブルが完成車メーカーの全国の工場停止に直結しました。公式発表は原因を「システム障害」とし、報道では小島プレス工業がランサムウェア被害を受けたと伝えられています。原因や影響の種類は異なっても、供給網のどこか1カ所の問題が事業全体に波及する点は共通しています。

ここで取り上げた4件のほかにも、供給途絶を招くリスクはあります。種類の表で示した地政学リスク(紛争・輸出規制による調達難)や経済・調達リスク(原材料価格の高騰、特定サプライヤーへの集中)も、同じように事業へ影響します。自社の供給網に当てはめて、どの種類のリスクが大きいかを考える手がかりにしてください。

出典・参考資料(4件)

サプライチェーンリスクがなぜ今問題視されるのか

サプライチェーンリスクへの関心が高まっている背景には、いくつかの構造的な変化があります。ここでは、その主な要因を整理します。

第一に、委託先を経由した攻撃の増加です。IPAが公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が第2位に挙げられています。セキュリティ対策が手厚い大企業を直接狙うより、対策が手薄になりがちな委託先や取引先を踏み台にする攻撃が広がっているためです。

出典・参考資料(1件)

第二に、供給網そのものの複雑化・グローバル化です。調達先や委託先が国内外に広がり、再委託・再々委託と多段階になるほど、自社から見えにくい部分が増えます。第三に、自然災害や国際情勢の変化が供給網を直撃する場面が続いていることも、リスクを実感させる要因になっています。

サプライチェーンリスクに関わる法規制・ガイドライン

こうした変化を受けて、国もサプライチェーンの安定を安全保障や経済の課題として位置づけるようになりました。2022年(令和4年)に公布された経済安全保障推進法(正式名称:経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律)は、その代表例です。同法は、特定重要物資の安定的な供給の確保などを国の制度として定めています。

この法律は、(中略)特定重要物資の安定的な供給の確保及び特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度(中略)を創設することにより、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

出典:経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律 第一条|e-Gov法令検索

この法律は、国が特定重要物資の安定供給を図るための制度であり、個々の企業に委託先管理を直接義務づけるものではありません。ただし、供給網の脆弱性が国レベルの課題として認識されていることは、企業が自社の供給網を見直す背景として理解しておく価値があります。企業向けの実務指針としては、前述の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」が委託先を含む対策を求めており、こちらが自社の取り組みの参照点になります。

出典・参考資料(1件)

サプライチェーンリスクへの対策(何から始めるか)

ここからは、サプライチェーンリスクに自社で何から取り組むべきかを整理します。範囲が広いため、まずは「自社にとって影響の大きい供給網はどこか」を把握し、優先順位を付けるところから始めるのが現実的です。

大枠としては、次のような流れで進めるのが一般的です。第一歩は、重要な取引先・委託先と、その依存度の洗い出しです。次に、洗い出した相手先のリスクを評価します(後述のTPRM)。そのうえで契約の中でセキュリティ要件や責任範囲を明確にしておくと、いざというときの責任の所在がはっきりします。

さらに、災害やシステム障害で供給が止まる事態に備え、事業継続計画(BCP)や、供給網の状態を継続的に把握する可視化の仕組みも用意しておくと安心です。契約や可視化は一度きりではなく、評価結果に応じて見直し続けることが重要です。

サプライチェーンリスク対策の進め方を示すステップ図。STEP1は重要な取引先・委託先と依存度の洗い出しと優先順位付け、STEP2は洗い出した相手先のリスク評価(TPRM)、STEP3は契約でのセキュリティ要件・責任範囲の明確化、STEP4はBCPと供給網の可視化の整備。これらを評価結果に応じて見直しを繰り返すSCRMの枠組みで継続的に回すことを示す。

委託先・取引先を評価する(TPRM=委託先リスク管理)

サプライチェーンリスク対策の中心にあるのが、自社の「外側」にあたる委託先・取引先の評価です。こうした取り組みはTPRM(Third-Party Risk Management=委託先リスク管理)と呼ばれます。具体的には、委託先にセキュリティ体制に関するチェックシート(調査票)を送り、回答を回収・採点して、リスクの高い相手を把握します。

「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」も、経営の重要項目の一つに「指示9 ビジネスパートナーや委託先等を含めたサプライチェーン全体の状況把握及び対策」を挙げており、委託先まで含めた把握を求めています。委託先が多い企業ほど、この評価を手作業(Excelやメールでのやりとり)で回すのは負担が大きく、後述するツールの活用が検討されます。

SCRM・BCPで対策を継続的に回す仕組み

個別の対策を一度実施して終わりにせず、継続的に回す枠組みがSCRM(Supply Chain Risk Management=サプライチェーンリスクマネジメント)です。リスクの洗い出し・評価・対策・見直しを繰り返すことで、供給網の変化に追随します。あわせて、災害やシステム障害で供給が止まったときに事業を継続・早期復旧するための計画(BCP)を用意しておくと、有事の影響を抑えられます。

とくに広義(供給途絶)のリスクに対しては、TPRMのような評価だけでなく、供給が止まっても事業を続けられる備え(レジリエンス)を高める対策が中心になります。具体的には、重要部材の調達先を1社に集中させず複数に分ける調達の複線化、需給変動や災害に備えた重要品目の適正在庫の確保、代替となる調達先や生産拠点の事前確保などが挙げられます。

実際に前述の熊本地震のあと、被災したアイシングループは一点集中していた部品の生産拠点を分散し、在庫を少し多めに持つ運用へ切り替えました。もっとも、こうした対策をとってもなお、同じ拠点が再び被災すれば供給は止まりえます(アイシン九州は2026年の熊本の地震でも再び被災し、生産停止に至ったと報じられています)。

複線化や在庫の水準は一度決めて終わりにせず、供給が止まると事業全体に波及する要所を見極めながら、供給網の変化に応じて継続的に見直すことが欠かせません。

取り組みを標準に沿って進めたい場合は、国際規格やフレームワークが参照点になります。代表的なものに、サプライチェーンのセキュリティ管理にも用いられるISO 28000や、情報セキュリティ管理の枠組みであるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム、JIS Q 27001)があります。これらは認証取得を目指さなくても、対策の抜け漏れを確認するチェックリストとして活用できます。

出典・参考資料(3件)
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対策を支えるツール・サービスの選択肢

ここからは、サプライチェーンリスク対策を実際に回すためのツール・サービスを紹介します。委託先が増えるほど、評価や継続的な点検を手作業でこなすのは難しくなり、仕組みでの効率化が現実的な選択肢になります。

対策を支えるツールは、目的によっていくつかの種類に分かれます。代表的なものは、委託先のリスクを評価・管理する委託先リスク管理(TPRM)ツールと、ガバナンス・リスク・コンプライアンスを統合管理するGRCツールです。ほかにも、取引先の倒産リスクに備える与信管理サービスや、供給網の状態を把握する可視化ツールがあります。

自然災害や取引先の倒産といった広義のリスクには、BCPの整備に加えて与信管理サービスや供給網の可視化ツールなど、目的の異なる手段を組み合わせます。本記事では、狭義・広義のどちらの対策でも起点になる委託先リスク管理のサービスを中心に取り上げます。

まずは、今回紹介するサービスの特徴を一覧で比較します。

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委託先リスク管理(TPRM)ツールの比較VendorTrustLinkConoris BPSupplier Risk MTAuditnQ
提供会社株式会社アトミテック株式会社Conoris Technologies株式会社GRCSRenderingConsulting株式会社
評価情報の入手方法チェックシート審査業務を
クラウド化(委託先の自己申告)
Webフォーム調査票+
AIレビューアシスト分析
点検フォーム(Web回答)+
立入検査結果の登録
既存Excel調査票を取り込み
自動抽出・DB化
再委託先(Nth Party)対応契約情報として簡易登録ツリー状の階層管理ツリー表示で階層管理Nth Party管理機能
外部評価サービス連携××SecurityScorecardNetskope CCI™
料金要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る
VendorTrustLinkのウェブサイト

VendorTrustLinkは、委託先・取引先へのチェックシート審査業務をクラウド上に一元化する委託先リスク管理(TPRM)ツールです。株式会社アトミテックが2025年4月に正式リリースしました。国際的なリスクマネジメントガイドラインであるISO 31000に沿った設計を掲げています。

委託業務の重要度や個人情報の取扱区分で委託先を分類し、選択式・自由記述・画像提出などをカスタマイズできるチェックシートを一括配信、未回答者への自動リマインドまで行えます。回収した回答は自動採点され、経年比較やレーダーチャートで可視化できるため、Excelやメールでの往復から評価業務を切り替えたい企業に向いています。

Excelやメールに頼った委託先評価をクラウドに移したい企業、とくに委託先管理の専任担当を置きにくい中小規模の企業から関心を集めているツールです。

2. Conoris BP(株式会社Conoris Technologies)

Conoris BPのウェブサイト

委託先だけでなく再委託先まで階層構造で管理できるのが、Conoris BPの特徴です。株式会社Conoris Technologiesが提供する委託先リスク管理(VRM。委託先リスク管理を指すTPRMとほぼ同義です)ツールで、プロジェクトや会社別にツリー状で委託先を整理できます。

調査票はカスタマイズ可能なWebフォーム形式で作成・送付でき、回収した回答はAIレビューアシスト機能が自動で分析します。リスクのある項目を抽出し、社内規程やISO/IEC 27001などのフレームワークと照合したうえで一覧化するため、審査担当者の妥当性判断を助けます。

法人APIによる国内企業データベース連携や、年次定期点検の一括依頼・回収にも対応しており、再委託先まで含めた継続的な点検を仕組み化したい企業に適しています。

3. Supplier Risk MT(株式会社GRCS)

Supplier Risk MT (SRMT)のウェブサイト

Supplier Risk MT(SRMT)は、GRC・セキュリティ分野で実績を持つ株式会社GRCSが提供する外部委託先リスクマネジメント支援ツールです。委託業務・契約・再委託先などの情報をWeb上で一元管理し、委託先ごとのセキュリティリスクをスコアやグラフで可視化します。

委託元が作成した点検フォームに委託先がWebで回答する方式に加え、2025年4月にはSecurityScorecardとの機能連携をリリースし、外部評価によるセキュリティスコアをSRMT上でリアルタイムに取得できるようになりました。

委託先の自己申告と外部評価を組み合わせて分析できる点が強みで、委託・再委託の関係をツリー表示やリスクヒートマップで俯瞰できます。金融機関の監督指針にも言及するなど、金融分野を含む厳格なリスク管理が求められる企業に向いた設計です。

4. AuditnQ(RenderingConsulting株式会社)

AuditnQのウェブサイト

既存のExcelチェックシートをそのまま生かせる点が、AuditnQの導入のしやすさにつながっています。RenderingConsulting株式会社が提供する委託先・再委託先(Nth Party)管理のTPRMシステムで、使い慣れた調査票の資産を維持したまま、回答をシステム上で自動抽出・データベース化できます。

初回選定から定期監査までの管理を統合し、委託先だけでなく再委託先まで含めたサプライチェーン全体を対象にできます。2026年2月にはNetskope CCI™との連携を追加し、8万件を超えるクラウドサービスの評価データを取得して、委託先の自己申告と外部の客観的な評価スコアを組み合わせられるようになりました。

グループ会社を含む複数会社の管理にも対応しており、既存の運用を大きく変えずに委託先管理を仕組み化したい企業に適しています。

ここで取り上げた委託先リスク管理ツールに加え、社内のリスク・コンプライアンス情報を一元管理するGRCツールも、サプライチェーンリスク対策を継続的に回す土台になります。以下の記事ではGRCツールの選び方や主な製品を詳しく比較しているので、対策の仕組みづくりを本格的に検討する際にあわせてご覧ください。

まとめ

サプライチェーンリスクは、委託先経由のサイバー攻撃を指す狭義から、災害や調達停止まで含む広義まで、幅広い意味を持ちます。まず自社がどの範囲を対象にするかを決め、リスクの種類を抜け漏れなく把握することが出発点です。実際の被害事例が示すとおり、供給網のどこか1カ所の停止が事業全体に波及するため、自社の外側にあたる委託先・取引先の評価(TPRM)が対策の中心になります。

対策は一度きりではなく、SCRMやBCPの枠組みで継続的に回すことが重要です。委託先が増えるほど手作業での運用は難しくなるため、委託先リスク管理ツールやGRCツールを活用して、評価・点検・可視化を効率化する方法もあわせて検討してください。

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よくある質問(FAQ)

Q. サプライチェーンリスクとは何ですか?

A. サプライチェーンリスクとは、原材料の調達から生産・物流・販売まで、製品やサービスが顧客に届くまでの一連の流れ(供給網)のどこかで発生し、その流れを止めたり自社に損害を与えたりするリスクの総称です。委託先を経由したサイバー攻撃・情報漏洩といったセキュリティ上のリスクから、自然災害や取引先の倒産による供給途絶まで、幅広い事象を含みます。

Q. サプライチェーンリスクの「狭義」と「広義」は何が違いますか?

A. サプライチェーンリスクの狭義と広義の違いは、狭義が委託先やソフトウェアを経由したサイバー攻撃・情報漏洩などのセキュリティ上のリスクを指すのに対し、広義はそれに加えて自然災害・地政学リスク・取引先の倒産による供給途絶全般まで含む点です。

どちらも同じ「サプライチェーンリスク」という言葉で語られるため、社内で対策を検討するときは、まず自社がどちらの範囲を対象にするかを決めておくと、対策の抜け漏れを防げます。

Q. サプライチェーンリスクとサプライチェーン攻撃はどう違いますか?

A. サプライチェーン攻撃は、セキュリティ対策が手薄になりがちな委託先・取引先やソフトウェアを踏み台にして本来の標的企業に侵入するサイバー攻撃の手口であり、サプライチェーンリスクという広い概念の一部です。サプライチェーンリスクは災害や取引先の倒産による供給途絶なども含む総称であり、サプライチェーン攻撃はそのうちサイバー面の代表的な脅威にあたります。

Q. 中小企業でもサプライチェーンリスク対策は必要ですか?

A. 中小企業でもサプライチェーンリスク対策は必要で、大企業の取引先・委託先として攻撃の踏み台にされたり、取引先から対策状況を問われたりする場面がむしろ増えています。攻撃者は対策が手薄な企業を狙うため、規模の大小にかかわらず、取引先から預かる情報の管理や、有事に事業を継続するための備えを見直す意義があります。

取引先の求めに応じてセキュリティ体制を説明できるようにしておくことも、取引を維持するうえで重要になっています。

Q. サプライチェーンリスク対策は何から始めればよいですか?

A. サプライチェーンリスク対策は、まず自社にとって影響の大きい重要な取引先・委託先とその依存度を洗い出し、優先順位を付けるところから始めるのが現実的です。範囲が広いため一度にすべてを完璧にする必要はありません。その後は、洗い出した相手先のリスク評価(TPRM)、契約でのセキュリティ要件や責任範囲の明確化、BCPや供給網の可視化の整備、という順で段階的に進め、評価結果に応じて見直しを繰り返します。

Q. TPRM(委託先リスク管理)とSCRMはどう違いますか?

A. TPRMとSCRMの違いは、TPRMが委託先・取引先という自社の「外側」の相手を評価・管理する取り組みを指すのに対し、SCRMは供給網全体のリスクを洗い出し・評価・対策・見直しと継続的に回す、より広い枠組みを指す点です。TPRMはSCRMを構成する中心的な活動の一つと位置づけられ、災害やシステム障害に備えるBCP(事業継続計画)と組み合わせて運用することで、供給網全体のリスクに備えられます。

Q. サプライチェーンリスク対策にツールは必要ですか?

A. サプライチェーンリスク対策にツールが必須というわけではありませんが、委託先が増えるほどExcelやメールでのチェックシート運用は負担が大きくなり、評価・点検・可視化を継続的に回すにはツールの活用が現実的な選択肢になります。

委託先リスク管理(TPRM)ツールやGRCツールを使うと、調査票の一括配信・自動採点・再委託先までの管理・経年比較などを効率化でき、担当者の負担を抑えながら対策を仕組みとして定着させやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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