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大企業向け経理アウトソーシング10選を比較|連結・内部統制に対応する選び方

大企業向け経理アウトソーシング 10選を比較のサムネイル画像

経理業務の量が増え続けるのに、経理人材の採用は追いつかない。月次・年次の決算に加え、連結決算や開示、監査対応の負荷が高く、担当者の異動や退職のたびに業務が止まりかねない。多拠点やグループ会社で処理品質がばらつく。数百名規模以上の企業で経理部門を預かる方には、こうした課題が重くのしかかります。

その解決策として、経理業務を外部の専門事業者へ委託する「経理アウトソーシング(経理BPO)」があります。ただし大企業の場合、記帳や請求業務を任せられれば済むわけではありません。

連結決算や内部統制、基幹システム(ERP)との連携、高度なセキュリティといった大企業特有の要件に耐えられる委託先でなければ、かえって統制が乱れるおそれがあります。では、どのような観点で委託先を見極めればよいのでしょうか。

本記事では、数百名規模以上・多拠点やグループ経営、上場または上場準備中の企業に向けて、大企業に対応できる経理アウトソーシング10サービスを比較・解説します。提供形態(常駐型・オンライン型)の違い・大企業特有要件の確認ポイント・費用体系を整理し、自社に合う委託先を判断するための材料としてご活用ください。

また、数ある委託先から自社の要件に合うサービスを絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツールも用意しました。いくつかの設問に答えるだけで、条件に近い候補を確認できます。

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本記事の対象範囲

本記事では、従業員数百名以上の規模で、多拠点やグループ会社を抱える企業、または上場・上場準備中の企業を対象に、経理アウトソーシング(経理BPO)の委託先を比較します。

こうした企業では、日常の記帳や請求処理の量が大きいだけでなく、連結決算・内部統制(J-SOX)対応・監査対応・基幹システム連携といった、規模と組織構造に由来する要件が加わります。これらの要件に対応できるサービスを、提供形態や確認すべき観点とあわせて整理します。

数十名規模までの中小企業やスタートアップで、記帳や月次決算を身軽に任せたい場合は、対象や料金体系の異なるサービスが選択肢になります。企業規模を問わず経理アウトソーシング全般を比較したい場合は、以下の記事で委託できる業務範囲・料金・タイプ別の選び方まで全体像を解説しています。

経理アウトソーシング(経理BPO)とは

経理アウトソーシングとは、記帳・仕訳入力、請求書の発行、支払処理、経費精算、売掛金・買掛金の管理、月次・年次決算の補助といった経理業務を、自社で人材を抱える代わりに外部の専門事業者へ委託する仕組みです。委託先には経理実務の専門チームや有資格者が在籍し、業務フローの設計から日常処理までを代行します。

大企業の文脈では「経理BPO」という呼び方もよく使われます。BPOはBusiness Process Outsourcing(業務プロセスの外部委託)の略で、個別業務の代行にとどまらず、業務プロセス全体を継続的に受託するニュアンスで用いられます。

人材派遣とは異なり、委託先が業務の遂行そのものに責任を負う点が特徴です。呼び方による厳密な定義の違いはないため、自社が任せたい業務範囲を軸に検討するのが実用的です。

大企業が経理アウトソーシングに任せられる業務範囲

経理アウトソーシングで任せられる業務は、日常の定型処理から月次・年次決算の補助まで幅広く及びます。大企業では処理量が大きく、連結の基礎となるグループ各社の記帳や、決算早期化に向けた月次処理の標準化まで委託の対象になります。まずは委託できる業務の全体像を押さえておくことが、選定の出発点になります。

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具体的な内容
記帳・仕訳入力証憑をもとに会計システムへ仕訳を入力し、総勘定元帳や試算表を作成します。グループ各社分をまとめて処理する体制も組めます
請求・売掛金管理請求書の発行・送付、入金消込、未収金の確認・督促までを代行します
支払・買掛金管理受領した請求書の確認、振込データの作成、支払スケジュールの管理を行います
経費精算従業員の立替経費を規程と突合し、精算処理を代行します。多拠点・多人数の申請にも対応します
月次・年次決算の補助月次試算表の作成、月次決算の早期化支援、年次決算や連結決算の基礎資料作成までを支援します
開示・監査対応の補助開示資料の基礎データ作成や、監査法人への提出資料の準備を補助します(範囲は委託先により異なります)

ただし、外部に任せられる範囲には法律上の線引きがあります。委託を検討するうえで、経理アウトソーシング会社に任せられる業務と、税理士でなければ行えない業務を分けて理解しておくことが重要です。

税理士の独占業務との線引き

税理士法(昭和26年法律第237号)第2条第1項は、税理士の業務として、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つを定めています。この3つは、同法第52条により税理士または税理士法人でない者が業として行うことを禁じられており、いわゆる税理士の独占業務にあたります。

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

出典:税理士法 第52条(税理士業務の制限)|e-Gov 法令検索

一方で、記帳の代行や財務書類の作成そのものは、税理士の独占業務ではありません。税理士法第2条第2項は、税理士が名称を用いて付随的に行える財務事務として、次のように定めています。

税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。

出典:税理士法 第2条第2項|e-Gov 法令検索

このように、記帳・請求・支払・経費精算・月次決算の補助といった経理業務は、経理アウトソーシング会社に委託できます。他方、税務申告書の作成、税務署への申告代理、税額計算の相談といった税務は税理士に依頼する必要があります。大企業では顧問税理士や監査法人と委託先が役割分担する形が一般的で、委託先が税務のどこまでを税理士と連携して担うかを確認しておくと、業務の隙間が生じにくくなります。

経理アウトソーシングに任せられる経理業務(記帳・仕訳入力、請求・売掛金管理、支払・買掛金管理、経費精算、月次・年次決算の補助、開示・監査対応の補助)と、税理士でなければ行えない独占業務(税務代理、税務書類の作成、税務相談)を左右に分けて示した図解。独占業務は税理士法により税理士・税理士法人のみが担える。

大企業が経理アウトソーシングを活用する理由とメリット

大企業が経理業務の外部委託に踏み切る背景には、人材と業務量の構造的な課題があります。ここでは、利用が広がる理由と、委託によって得られる価値を整理します。

経理アウトソーシングの利用が広がる理由

経理人材の採用難と定着の難しさが、まず挙げられます。専任担当の採用・育成には時間とコストがかかり、業務が特定の担当者に集中すると、異動や退職のたびに処理が止まるリスクが生じます。

加えて、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応で経理事務の負荷が増し、限られた人員では制度対応と日常処理の両立が難しくなっています。多拠点・グループ経営では、拠点ごとに処理のやり方が異なり、品質のばらつきや連結の手戻りが起きやすい点も、業務の集約・標準化を外部委託で進める動機になっています。

大企業が得られる主なメリット

第一に、業務の属人化を解消し、事業継続性(BCP)を高められます。専門チームが体制で対応するため、担当者の異動や欠員があっても業務が止まりにくくなります。第二に、経理人材を採用・育成する負担を抑えつつ、繁忙期や決算期の負荷を平準化できます。

第三に、定型処理を委託することで、社内の経理部門を資金計画や経営分析といった付加価値の高い業務に振り向けられます。多拠点の処理を1つの体制に集約すれば、拠点ごとのばらつきを抑え、決算早期化にもつながります。

導入前に押さえる注意点(デメリットと対策)

外部委託には利点がある一方で、設計を誤ると統制や品質に影響が及びます。大企業では特に、社内に残す機能と委託する機能の線引きが重要になります。

まず、業務のブラックボックス化に注意が必要です。処理を丸ごと委託すると、進捗や処理内容が社内から見えにくくなります。対策として、定例の報告体制や、処理状況を可視化する仕組みを契約に組み込み、承認・チェックといった統制上の要所は社内に残すのが基本です。次に、業務移行の期間とコストがかかります。

既存フローの棚卸しやマニュアル化に一定の工数が必要で、移行期は社内と委託先が並走する体制を見込んでおきます。さらに、社内に経理ノウハウが蓄積しにくくなる面もあります。委託先と一緒に業務フローを文書化しておくと、担当交代や委託先変更が生じても引き継ぎがスムーズになり、社内にも知見が残ります。

こうしたつまずきは、実際に委託がうまくいかなかったケースを知っておくことで避けやすくなります。よくある失敗の原因と対策、業者選びのポイントを具体的に確認したい方は、以下の記事で整理しています。

提供形態の違い(常駐・ハイブリッド型とオンライン完結型)

大企業の委託先選定で最初の分かれ道になるのが、業務をどこで・どのように処理するかという提供形態です。大きく、委託先の担当者が自社の拠点に入る、または委託先のセンターで処理する「常駐・ハイブリッド型」と、クラウド上で完結する「オンライン完結型」に分けられます。以降も、この提供形態を軸に整理します。

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常駐・ハイブリッド型オンライン完結型
特徴委託先の担当者が自社に常駐・訪問する、または委託先のセンターで処理する形態。既存の基幹システムや業務フローに沿って運用でき、大量・複雑な業務や内部統制対応に向くクラウド会計や委託先独自のツールを用いてリモートで処理する形態。立ち上げが速く、業務量の増減に応じて費用を変動費化しやすい
向いている企業処理量が大きく、既存のERPや業務ルールを変えずに任せたい企業。連結・監査対応など統制を重視する企業立ち上げのスピードや柔軟な体制を重視する企業。新規部門の立ち上げや、特定業務から段階的に委託を広げたい企業

実際には、両者を組み合わせて、常駐で立ち上げてから一部をセンターへ移す、といった運用もあります。自社の業務量・統制要件・立ち上げスピードのどれを優先するかで、適した形態が変わります。

大企業向け経理アウトソーシングの選び方

ここからは、大企業が委託先を選ぶ際の観点を整理します。基本の選定軸を押さえたうえで、大企業ならではの要件を委託先選定でどう確認するかを掘り下げます。

基本の選定軸

まず確認したいのは、任せたい業務範囲に委託先が対応できるかです。記帳中心で足りるのか、月次決算・連結補助・開示資料の基礎作成まで求めるのかによって、候補は変わります。次に、専門性と実績です。自社と近い規模・業種の受託実績があれば、業務設計の勘所を押さえた提案が期待できます。

セキュリティも要点で、後述の認証取得状況とあわせて、機密情報の取り扱い体制を確認しておきたい点です。費用は金額の大小だけでなく、固定か従量か、業務量の変動に応じて変動費化できるかという体系で見ると、複数社を同じ土俵で比較できます。最後に、繁忙期や決算期の増員・スポット対応、担当者不在時のバックアップといったサポート体制も、大量業務を止めないために欠かせない観点です。

大企業特有の要件を委託先選定でどう確認するか

大企業では、基本の選定軸に加えて、規模と組織構造に由来する要件を満たせるかが委託先選定の分かれ目になります。ここでは、連結決算・内部統制・多拠点集約・ERP連携・BCPとセキュリティ認証・制度対応の6点について、何をどう確認すればよいかを整理します。

大企業が経理アウトソーシングの委託先で確認すべき6つの要件を示した図解。連結決算(グループ各社の記帳・試算表を統一ルールで処理し連結の基礎データを横断集約できるか)、内部統制J-SOX(自社の統制ルールに沿って運用でき受託業務の内部統制の報告書を提供できるか)、多拠点・グループ集約(複数拠点の業務を1体制に集約し処理ルールを標準化できるか)、基幹システムERP連携(SAP・Oracle・勘定奉行などを入れ替えず委託しRPA・AI-OCRで効率化できるか)、BCP・セキュリティ認証(ISO/IEC27001・プライバシーマークの取得状況と業務を止めないBCP体制があるか)、電子帳簿保存法・インボイス制度(電子取引データを要件に沿って保存・検索し登録番号を確認して区分記帳できるか)の6点。

連結決算に対応できるか

上場企業やそのグループでは、単体の決算に加えて連結決算が求められます。会社法上も、大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社)であって有価証券報告書を提出する会社は、連結計算書類の作成が義務づけられています。

事業年度の末日において大会社であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない。

出典:会社法 第444条第3項(連結計算書類)|e-Gov 法令検索

委託先を選ぶ際は、グループ各社の記帳や試算表作成を統一のルールで処理でき、連結の基礎となるデータをグループ横断で集約・整備できるかが確認ポイントになります。連結の作成そのものは自社や監査法人が担うとしても、その基礎資料の品質と提出スピードは委託先の対応範囲に左右されます。

内部統制(J-SOX)を担保できるか

上場企業は、金融商品取引法第24条の4の4により、事業年度ごとに内部統制報告書を提出しなければなりません。同条は、企業集団および当該会社に係る財務報告の適正性を確保する体制を評価すると定めており、連結ベースで内部統制を評価する枠組みになっています。

ここで重要なのは、経理業務を外部に委託しても、内部統制の責任は委託した側(自社)に残るという点です。金融庁・企業会計審議会の実施基準は、委託業務の評価について次のように示しています。

委託業務に関しては、委託者が責任を有しており、委託業務に係る内部統制についても評価の範囲に含まれる。委託業務が、企業の重要な業務プロセスの一部を構成している場合には、経営者は、当該業務を提供している外部の受託会社の業務に関し、その内部統制の有効性を評価しなければならない。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年4月7日改訂)|金融庁・企業会計審議会

同基準は、受託会社の内部統制の評価結果を記載した報告書を入手し、自らの評価の代替手段とすることも示しています。したがって委託先選定では、委託先が自社の統制ルールに沿って業務を運用できるか、そして受託業務の内部統制の有効性を示す報告書(受託会社の内部統制に関する報告書など)を提供できるかを確認しておくと、監査対応の際に評価の裏づけを得やすくなります。

多拠点・グループ会社の業務を集約できるか

拠点やグループ会社ごとに経理処理のやり方が異なると、品質のばらつきや連結時の手戻りが生じます。委託先が複数拠点の業務を1つの体制に集約し、処理ルールを標準化できるかが確認ポイントです。全国にセンターを持つ委託先であれば、地理的に分散した拠点の業務をまとめて受託できる場合があります。標準化の実績(何拠点・何社を集約したか)を具体的に確認できると、自社への適用イメージが持てます。

基幹システム(ERP)と連携できるか

大企業ではSAPやOracle、勘定奉行といった基幹システム(ERP)を使って会計処理を行っているケースが多く、これを入れ替えずに委託できるかが要点になります。委託先が自社の使用システムに対応できるか、RPA(定型作業の自動化)やAI-OCR(帳票の読み取り自動化)を組み合わせて入力・照合を効率化できるかも確認しておきたい点です。

既存システムに合わせて運用できる委託先であれば、システム移行の負担なく委託を始められます。

BCP・セキュリティ認証を満たしているか

機密性の高い財務情報を扱うため、情報セキュリティの体制は必須の確認事項です。情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001(ISMS)や、個人情報を適切に扱う体制を示すプライバシーマークの取得状況は、委託先選定で確認しておきたい点です。

あわせて、担当者の欠員や災害時にも業務を継続できる体制(BCP)があるかも、大量業務を止めないために重要です。チーム制で複数名が業務を担う委託先であれば、担当者不在時のバックアップが働きやすくなります。

電子帳簿保存法・インボイス制度に対応できるか

近年の制度改正への対応も、委託先選定で確認しておきたい点です。電子帳簿保存法では、電子取引(メール添付やWeb上で受け取った請求書など)で受け取った取引情報を、一定の要件のもとで電子データのまま保存することが義務づけられています。

国税庁は、令和6年(2024年)1月以降の電子取引データの保存方法について、真実性の確保と可視性の確保の要件を満たす必要があるとしています(相当の理由がある場合の猶予措置もあります)。委託先が、電子取引データを要件に沿って保存・検索できる体制を持っているかが確認ポイントになります。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は令和5年(2023年)10月に始まりました。買手が消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、原則として売手から交付された適格請求書等の保存が必要です。

委託先が、受領した請求書の記載事項や登録番号を確認し、区分して記帳できるかが確認点になります。電子帳簿保存法とインボイス制度は実務上つながっているため、両方に一貫して対応できるかを見ておくと安心です。

これらの制度対応は、委託先に任せきりにするのではなく、自社の経理責任者が最終的な統制責任を負う前提で、委託先の対応範囲を契約前に確認しておくことが大切です。

出典・参考資料(4件)

費用相場と料金体系

大企業向けの経理アウトソーシングは、業務範囲・処理量・体制の作り方によって費用が大きく変わるため、定型の料金プランを公開せず個別見積もりとする委託先が中心です。金額そのものより、どのような料金体系で費用が決まるかを理解しておくと、複数社の見積もりを同じ土俵で比較できます。

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特徴
固定料金型月ごとの委託範囲を定めて定額で契約する形態。予算が読みやすい一方、業務量が大きく変動する場合は割高・割安が生じやすい
従量・工数型処理件数や稼働時間(人月)に応じて費用が決まる形態。業務量の増減に合わせて費用を変動費化しやすい
個別見積もり型業務調査とプロセス設計を経て体制を組み、範囲と体制に応じて見積もる形態。大企業の複雑・大量な業務で採られることが多い

比較の際は、目先の委託費だけでなく、社内の管理工数や移行にかかるコストも含めた総額で見ることが大切です。安価でも社内の確認負荷が高ければ、実質的なコストは下がりません。

業務量が季節で変動する場合は、繁忙期に体制を増やせるか、閑散期に費用を抑えられるかといった柔軟性も、料金体系とあわせて確認しておきたい点です。

金額の目安として料金を公開している委託先は限られます。オンライン完結型では月20〜70万円程度の料金目安を公式に示す委託先もありますが、従業員規模が大きくなると要問い合わせが中心で、多くの大手向け委託先は業務範囲・体制に応じた個別見積もりです。

委託範囲や体制の作り方によって幅は大きく、記帳中心の限定的な委託から、常駐体制で大量業務を担う委託まで、月額数十万円規模から数百万円規模になることもあります。各社の具体的な費用は業務内容によって変わるため、候補を絞ったうえで見積もりを取り、体制・対応範囲とセットで比較するのが確実です。

しかし、自社がどのタイプに適しているか、どの委託先が要件に合うかの判断が難しいケースもあります。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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大企業向け経理アウトソーシング10サービスの比較

ここからは、大企業の要件に対応できる経理アウトソーシング10サービスを、提供形態・対応業務範囲・料金体系・実績・セキュリティ認証といった観点で比較します。各社の詳細は、比較表の下のサービス個別紹介で解説します。

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サービス名パソナ 経理・会計アウトソーシングNOC経理アウトソーシングBBS 経理・財務BPOCSアカウンティングNTTビジネスアソシエ東日本 経理アウトソーシングトランスコスモス 経理バックオフィスサービスパーソルビジネスプロセスデザイン 経理BPOLIXIL住生活ソリューション 経理事務センターCASTER BIZ accountingメリービズ バーチャル経理アシスタント
提供形態常駐・ハイブリッド型
オンサイト常駐/オフサイト(全国BPOセンター)+業務委託・ユニット派遣・派遣を組み合わせ
常駐・ハイブリッド型
ハイセキュアなBPOセンター運用(常駐・テレワーク化支援の実績あり)
常駐・ハイブリッド型
会計士参画の高付加価値BPO(常駐/リモートの形態区分は公式に明示なし)
常駐・ハイブリッド型
会計事務所母体・有資格者(会計士/税理士/社労士)チームによるワンストップBPO
常駐・ハイブリッド型
既存業務フローを踏襲し、パーツごとに委託できる『オーダーメイド型』(訪問対応が基本)
常駐・ハイブリッド型
BPOセンター長崎への業務集約+アジア18拠点のオフショア体制(BPO事業全体)
常駐・ハイブリッド型
オンサイト常駐/オフサイト専用センター・ジョブシェアセンターを組み合わせ
常駐・ハイブリッド型
訪問型(オンサイト・準委任契約/日額6.5時間単位)/オンライン型(在宅リモート)
オンライン完結型
完全リモート・専門チーム型(オンライン経理代行)
オンライン完結型
オンライン経理代行(プロ経理チーム制)
対応業務範囲伝票入力・経費精算・売掛/買掛管理・支払処理・決算データ作成・証憑スキャニング記帳・仕訳・売掛/買掛管理・経費精算・月次決算・BS/PL作成・請求書発行発送日常会計〜月次・年次決算・連結決算・IFRS決算・税務支援・財務分析・債権債務管理会計・経理・税務+人事・労務をワンストップ(記帳・月次/年次・連結決算・支払・税務申告書ドラフト)記帳代行・FBデータ作成・入金消込・支払処理・計算書類(財務諸表)作成・証憑編綴/電子化/保管伝票入力・仕訳・売掛/買掛管理・決算報告書作成支援・請求書支払(Concur連携含む)・経費精算請求書処理・支払/請求書発行・入金管理/月次会計・記帳/経費精算/証憑・帳票管理/固定資産管理仕訳入力・経費精算・支払処理・売掛/買掛金管理・入金消込・固定資産管理・購買管理・月次決算補助経費精算・請求・支払・記帳・債権債務管理・月次/年次(年次決算補助)・税理士対応経費精算・仕訳入力・請求書発行・売掛/買掛管理・月次決算・クラウド会計導入支援
連結・IFRS対応要確認要確認連結・IFRS決算対応を公式明示(会計士参画)連結決算・上場会社向けに対応要確認要確認要確認要確認要確認要確認
対応システム(ERP)要確認(RPA・AI-OCR導入支援。特定ERP連携の明示なし)要確認(システム導入支援あり。特定ERP名の明示なし)要確認(特定ERP名の明示なし)要確認(クラウド会計・人事システム導入支援あり。特定ERP名の明示なし)要確認(特定ERP名の明示なし)SAP Concur(アウトソーシングパートナー)
他ERPとの連携範囲は公式に記載なし
multibook(海外拠点向けクラウド会計・ERP)/SAP対応実績(DTFSA事例)勘定奉行・OBIC7・SAP・Oracle・楽楽精算等(会計システム不問)freee・マネーフォワード(クラウド会計)会計ソフト40種類以上(freee・マネーフォワード・勘定奉行・弥生・OBIC7等)
導入実績・規模BPO全体で1,000案件以上・全国23拠点
経理・財務単独の受託社数は非公開
30年1,000社の実績(公式訴求、集計時点・内訳は非公開)上場・非上場・ホールディングス・外資系日本法人に対応
事例: ENEOS Xplora・東急・ミサワホーム(累計社数は非公開)
導入2,800社以上(2026年6月時点、公式)
中小〜上場企業・グループ会社に対応
従業員30人〜10,000人超規模の受託実績(公式FAQ)
経理業務で約80社
東証プライム上場(9715)
味の素株式会社で一般会計業務の実務工数8割解放(公式事例)
会社全体で500社以上(経理単独は非公開)
中村屋: 会計部門14→6名/DTFSA: 業務プロセス約30%削減。海外35の国・地域に対応
550社以上・設立33年(公式、集計時点は非公開)
従業員500〜600名規模の導入事例あり
CASTER BIZシリーズ累計5,700社以上(シリーズ全体の延べ数、2025年9月)
従業員20名〜200名超まで対応
導入社数の公式明示なし(累計取扱会計金額1,500億円超・2018年12月時点)
東証プライム上場〜スタートアップまで対応
セキュリティ認証公式に記載なし(未確認)公式に記載なし(未確認)公式に記載なし(未確認)ISO/IEC 27001(2006年取得)・ISO/IEC 27017(2019年取得)プライバシーマーク取得(認定番号21000245)
ISMS/ISO27001は公式サイトで未確認
ISO/IEC 27001(本体、国内約60拠点以上)・ISO/IEC 27017・プライバシーマークISMS(ISO/IEC 27001)取得(2009年〜、登録番号I228)プライバシーマーク取得(2006年6月)
ISMS/ISO27001は公式サイトで未確認
プライバシーマーク取得(本体)
ISMS/ISO27001は未確認
公式に記載なし(未確認)
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイトサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※上記は各社の公式情報等に基づく傾向です。実際の対応範囲・料金・提供形態は個別の契約条件により異なるため、各社の最新情報をご確認ください。

大企業向け経理アウトソーシングの個別紹介

比較表で取り上げたサービスを、提供形態のタイプごとに個別に紹介します。それぞれの対応業務範囲・強み・実績を確認し、自社の要件と照らし合わせてください。

常駐・ハイブリッド型

自社の拠点への常駐・訪問、または委託先のセンターで処理する形態のサービスです。既存の基幹システムや業務フローに沿って運用でき、大量・複雑な業務や内部統制対応を重視する大企業に向いています。

1. パソナ 経理・会計アウトソーシング(株式会社パソナ)

パソナ 経理・会計アウトソーシングのウェブサイト

人材派遣を祖業とする株式会社パソナが、経理・財務業務を業務委託で受託するサービスです。伝票入力・経費精算・売掛金や買掛金の管理・支払処理から、決算データ作成や証憑スキャニングまでを対象範囲とし、人事・労務や総務などバックオフィス全般とあわせて委託先を一本化することもできます。

提供形態の幅が広い点が特徴です。顧客のオフィス内に人員を置くオンサイト型と、全国のBPOセンターで処理するオフサイト型を、業務委託・ユニット派遣・人材派遣といった契約形態と組み合わせて設計します。常駐で任せたい業務とセンターへ集約したい大量処理業務を切り分けて体制を組めるため、業務量の変動や拠点分散に合わせやすい構成です。

RPAやAI-OCRを使った定型業務の自動化も支援メニューに含み、入金消込などの効率化を人手の委託とあわせて提案します。料金は業務範囲や体制に応じた個別見積もりで、公式サイトに定型プランの記載はありません。

2. NOC経理アウトソーシング(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社)

NOC経理アウトソーシングのウェブサイト

芙蓉総合リースグループで管理部門のアウトソーシングを専業とする芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社が提供する経理BPOサービスです。1,000人を超える管理系スタッフが在籍し、経理だけでなく総務・人事・営業事務まで含めて委託できます。

日次の記帳・仕訳から、売掛金・買掛金管理、経費精算、さらに決算調整仕訳・月次決算・BS/PL作成まで、決算の前工程を含めて一気通貫で任せられる点を打ち出しています。会計システムが未導入の場合に、選定から導入までを支援するケースもあります。

請求書の発行・発送では毎月20万件以上の処理規模に対応し、大量処理はセキュリティを確保したBPOセンターで運用します。料金プランは公開されておらず、業務範囲・業務量に応じた見積もりとなります。

3. ビジネスブレイン太田昭和(BBS)経理・財務BPOサービス(株式会社ビジネスブレイン太田昭和)

ビジネスブレイン太田昭和(BBS)経理・財務BPOサービスのウェブサイト

監査法人グループを源流とする株式会社ビジネスブレイン太田昭和が、経理・財務業務を受託するサービスです。同社はこれを「会計士参画経理BPOモデル」と位置づけ、公認会計士・税理士と上場会社の経理経験者でチームを構成し、会計士がプロジェクトに直接加わる体制をとっています。

対応範囲は日常会計から月次・年次決算に及び、連結決算やIFRS(国際会計基準)決算、税務支援、財務分析まで受託する設計です。単純な定型業務の代行にとどまらず、従来は社内でしか担えないとされてきた業務まで切り分けて任せられる点を訴求しています。

対象は上場・非上場企業や外資系企業の日本法人で、経理・人事・総務をまとめて委託できる複合BPOも別に用意されています。導入前には有料の業務調査で対象業務の抽出と概算費用の算出を行い、無料相談会も設けられています。

4. CSアカウンティング(CSアカウンティング株式会社)

CSアカウンティングのウェブサイト

CSアカウンティング株式会社は、本郷公認会計士事務所(現・辻・本郷税理士法人)を母体に1990年に設立された経理・人事BPO事業者です。約150名のスタッフは公認会計士・税理士・社会保険労務士を中心に構成されています。

記帳・月次/年次決算・連結決算・支払業務・税務申告書ドラフト作成といった会計・経理・税務に加え、給与計算や社会保険手続きまで一社でワンストップに受託できる点が特徴です。上場会社向けアウトソーシングや流動化・証券化対応など、上場企業とそのグループ会社に向けたメニューもそろえています。

情報セキュリティでは本体でISO/IEC 27001(2006年取得)とISO/IEC 27017(2019年取得)を保有します。導入実績は公式サイトで2,800社以上(2026年6月時点)とされ、費用は業務量に応じた変動費型で、具体的な料金は問い合わせ対応です。

5. NTTビジネスアソシエ東日本(経理・会計BPO)(株式会社NTTビジネスアソシエ東日本)

NTTビジネスアソシエ東日本(経理・会計BPO)のウェブサイト

NTT東日本グループのシェアードサービス会社である株式会社NTTビジネスアソシエ東日本が提供する経理BPOです。NTT東日本グループの経理・総務部門を母体とした人材集団が、そのノウハウを外部企業へ展開しています。

記帳代行や入金消込、支払処理から、計算書類(財務諸表)の作成、証憑の電子化・保管までを対象とし、一連の工程からパーツごとに発注できる「オーダーメイド型」の委託を打ち出しています。移管の際は既存の業務フローを踏襲する方針です。

公式FAQでは従業員30人から1万人超規模までの受託実績を明示しており、大企業の処理量にも実績ベースで対応できます。情報保護ではプライバシーマーク(認定番号21000245)を取得しています。料金は公開されておらず、業務範囲・企業規模に応じた個別見積もりです。

6. トランスコスモス(経理・財務BPO)(トランスコスモス株式会社)

トランスコスモス(経理・財務BPO)のウェブサイト

東証プライム上場のトランスコスモス株式会社が、経理・人事・調達購買を束ねる「コーポレートバックオフィスサービス」の一部として提供する経理BPOです。伝票入力・仕訳から売掛金・買掛金管理、決算報告書の作成支援、請求書の支払業務、経費精算までを受託します。

経費精算クラウド「SAP Concur」のアウトソーシングパートナーであり、Concur導入企業向けにシステムの定着化支援から仕訳・消費税確認、ヘルプデスクまでを一括で委託できる点が特徴です。AI-OCRによる証憑読み取りとRPAを組み合わせた自動化も提案します。

会計・経費処理の運用はBPOセンター長崎への集約を進めており、味の素株式会社の事例では一般会計業務の実務工数を8割解放したと公表しています。本体でISO/IEC 27001とISO/IEC 27017を取得しています。料金は業務範囲に応じた個別見積もりです。

7. パーソルビジネスプロセスデザイン(経理・財務BPO)(パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社)

パーソルビジネスプロセスデザイン(経理・財務BPO)のウェブサイト

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社は、パーソルグループでBPOを担う中核会社です。経費精算・請求書処理などの一部業務から経理部門全体まで必要な範囲に応じて委託でき、請求書処理や入金管理、月次会計、経費精算など6つの領域を対応範囲としています。

提供形態は、顧客企業に常駐するオンサイト型と、専用センターで処理するオフサイト型を組み合わせられます。複数企業の業務を1拠点へ集約する「ジョブシェアセンター」も選べる点が、単なる派遣や部分委託との違いです。

海外現地法人向けには、クラウド会計・ERP「multibook」と連携した経理アウトソーシング(対応国一覧は35の国・地域)を別メニューで用意し、海外拠点を持つ企業にも対応します。導入事例では、会計部門の人員を14名から6名へ削減した例や、業務プロセスを約30%削減した例が公表されています。料金は個別見積もりです。

8. LIXIL住生活ソリューション(経理事務センター)(株式会社LIXIL住生活ソリューション)

LIXIL住生活ソリューション(経理事務センター)のウェブサイト

株式会社LIXIL住生活ソリューションは、LIXILの完全子会社として人材サービスと経理BPOを手がける会社で、経理アウトソーシングを「経理事務センター」というブランドで提供しています。仕訳入力・立替経費精算チェック・支払処理から、売掛金・買掛金管理や固定資産管理、月次決算補助まで幅広く受託します。

提供形態は、スタッフが客先オフィスへ訪問して処理する訪問型と、在宅スタッフがリモートで処理するオンライン型の2種類です。訪問型は書類を社外へ持ち出さない運用で、簿記資格を持つ経理経験者が担当します。

対応する会計システムは勘定奉行・弥生会計・OBIC7・SAP・Oracleなど幅広く、「会計システム不問」と案内されています。従業員500〜600名規模の企業での導入事例も公表されています。プライバシーマークを取得済みで、料金は業務調査を経た個別見積もりです。

オンライン完結型

クラウド会計や委託先独自のツールを用いてリモートで処理する形態のサービスです。立ち上げが速く、業務量の増減に応じて柔軟に体制を組みたい大企業に向いています。大企業では、新設・分社した部門の経理立ち上げ、特定業務だけを切り出しての委託、上場準備フェーズでの体制強化など、全社一括ではなく範囲を絞って任せたい場面で選択肢になります。

9. CASTER BIZ accounting(株式会社キャスター)

CASTER BIZ accountingのウェブサイト

CASTER BIZ accountingは、完全リモートの経理専門チームが月次処理から税理士対応までを代行するオンライン経理アウトソーシングです。運営元の株式会社キャスターは東証グロース市場に上場(証券コード9331)し、オンラインアシスタント「CASTER BIZ」シリーズの経理特化サービスとして提供しています。

対応業務は経費精算・売上請求・買掛支払・帳簿記帳・債権債務管理・月次/年次処理・税理士対応に及び、freeeやマネーフォワード クラウドと連携します。実務経験者がチームを組んで対応し、公式サイトは最短3営業日でチームを立ち上げると案内しています。業務量の増減に合わせて委託範囲を調整でき、経理体制を短期間で立ち上げたい企業が検討しやすい形態です。

料金は従業員規模と依頼業務の内容に応じた月額制で、公式の料金目安は月22.5万円〜68万円(税抜)です。従業員200名以上の規模については要問い合わせとなり、個別に見積もる形をとっています。

10. メリービズ バーチャル経理アシスタント(メリービズ株式会社)

メリービズ バーチャル経理アシスタントのウェブサイト

メリービズ株式会社が運営するバーチャル経理アシスタントは、全国に登録するプロ経理人材がオンラインの専属チームとなって経理業務を代行するサービスです。委託したい業務だけを切り出して依頼でき、各社の規模や業務内容に合わせてチーム編成と業務範囲をカスタマイズします。

対応業務は経費精算・帳票/仕訳入力・請求書発行・売掛買掛管理・月次決算・クラウド会計導入支援に及び、freee・マネーフォワード・勘定奉行・弥生・OBIC7など40種類以上の会計ソフトに対応します。既存の会計基盤を変えずに委託できるため、複数のシステムを併用する企業でも移行の負担を抑えられます。

対象は東証プライム上場企業から中堅・中小、スタートアップまでとされ、IPO・上場準備フェーズの企業の導入事例も公式サイトに掲載されています。簿記2級以上・実務経験を持つスタッフ複数名とディレクターでチームを組成し、担当者の退職や長期休暇時もサービスを継続できる体制を敷いています。料金は委託業務の内容と量に応じた個別見積もりで、定額プランは公開していません。

大企業が経理アウトソーシングを導入する流れ

大企業の経理アウトソーシングは、業務量が大きく統制要件も絡むため、段階を踏んで移行するのが一般的です。おおまかな流れは次のとおりです。

大企業が経理アウトソーシングを導入する流れを5ステップで示した図解。STEP1棚卸し・範囲定義(現状業務を棚卸しし委託範囲と社内に残す統制機能を定義)、STEP2委託先の選定(対応範囲・提供形態・費用体系・セキュリティを見比べて絞り込む)、STEP3契約(業務範囲・報告体制・責任分界を契約で明確にする)、STEP4業務移行(既存フローを文書化・マニュアル化し社内と委託先が並走して段階的に移行)、STEP5運用・改善(定例報告で処理状況と品質を確認し範囲・体制を継続的に見直す)。

まず、現状の経理業務を棚卸しし、委託する範囲と社内に残す機能(承認・チェックなど統制上の要所)を定義します。次に、この要件をもとに委託先を選定し、対応範囲・提供形態・費用体系・セキュリティを見比べて絞り込みます。委託先が決まったら、業務範囲・報告体制・責任分界を契約で明確にします。

続いて、既存フローの文書化とマニュアル化を行い、社内と委託先が並走しながら段階的に業務を移していきます。最後に、定例報告で処理状況と品質を確認しながら、業務範囲や体制を継続的に見直します。移行期は一時的に社内負荷が高まるため、繁忙期を避けて計画すると円滑に進みます。

まとめ

大企業の経理アウトソーシングでは、記帳や請求処理を任せられるかだけでなく、連結決算・内部統制(J-SOX)・多拠点集約・ERP連携・セキュリティといった要件に耐えられる委託先かを見極めることが重要です。

外部に委託しても内部統制の責任は自社に残るため、委託先が統制ルールに沿って運用でき、その裏づけとなる報告を提供できるかを確認しておくと、監査対応の際にも安心です。まずは自社の委託範囲と要件を整理し、提供形態(常駐型かオンライン型か)で候補を絞ったうえで、複数社の資料を取り寄せて比較検討を進めましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. 大企業向けの経理アウトソーシング(経理BPO)とは何ですか?

A. 大企業向けの経理アウトソーシング(経理BPO)とは、記帳や決算補助などの経理業務を外部の専門事業者へ継続的に委託し、連結決算・内部統制・多拠点集約といった大企業特有の要件にも対応させる仕組みです。

単に記帳や請求業務を代行するだけでなく、グループ各社の処理標準化や決算早期化、基幹システム(ERP)との連携まで含めて任せられる点が、中小企業向けのサービスとの違いです。呼び方による厳密な定義の差はないため、自社が任せたい業務範囲を軸に検討するのが実用的です。

Q. 連結決算や内部統制(J-SOX)対応を経理アウトソーシングに委託しても大丈夫ですか?

A. 大企業向けの経理アウトソーシングでは、連結の基礎資料作成やJ-SOX対応の実務を委託できますが、内部統制の最終的な責任は委託した自社に残ります。金融庁・企業会計審議会の実施基準は、委託業務に関しては委託者が責任を有し、委託業務に係る内部統制も評価の範囲に含まれると示しています。

したがって外部委託そのものは問題ありませんが、委託先が自社の統制ルールに沿って業務を運用でき、承認・チェックなど統制上の要所を社内に残せる設計にしておくことが前提になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 経理アウトソーシングの監査対応では、委託先の何を確認すべきですか?

A. 監査対応の観点では、委託先が受託業務の内部統制の有効性を示す報告書(受託会社の内部統制に関する報告書など)を提供できるかを確認すべきです。前述の実施基準は、受託会社の内部統制の評価結果を記載した報告書を入手し、自らの評価の代替手段とすることも認めています。

あわせて、監査法人へ提出する資料の基礎データを委託先が期日どおりに整えられるか、処理内容を後から追える記録が残る運用になっているかも確認しておくと、監査時に評価の裏づけを得やすくなります。

Q. 常駐型とオンライン型は、大企業ではどちらを選べばよいですか?

A. 大企業の委託先選びでは、大量・複雑な業務や内部統制対応を重視するなら常駐・ハイブリッド型、立ち上げの速さと業務量に応じた変動費化を重視するならオンライン完結型が向いています。常駐・ハイブリッド型は既存の基幹システムや業務フローに沿って運用でき、統制を重視する企業に適します。

オンライン完結型はクラウドで完結し体制を柔軟に組めるため、新規部門の立ち上げや段階的な委託拡大に向きます。実際には常駐で立ち上げてから一部をセンターへ移すなど、両者を組み合わせる運用もあります。

Q. 既存の基幹システム(SAP・Oracle・勘定奉行など)を使ったまま委託できますか?

A. 対応する委託先を選べば、SAP・Oracle・勘定奉行などの既存の基幹システム(ERP)を入れ替えずに委託できます。大企業ではこれらのERPで会計処理を行うケースが多く、システムを移行せずに任せられるかが要点になります。

委託先が自社の使用システムに対応できるか、RPAやAI-OCRを組み合わせて入力・照合を効率化できるかを確認しましょう。対応可能なシステムの範囲は委託先によって異なるため、候補を絞る段階で自社のERP名を挙げて確認しておくと確実です。

Q. 経理アウトソーシングのセキュリティ認証は何を確認すべきですか?

A. 機密性の高い財務情報を扱うため、情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)と、個人情報を適切に扱う体制を示すプライバシーマークの取得状況を確認します。あわせて、担当者の欠員や災害時にも業務を継続できる体制(BCP)があるかも、大量業務を止めないために重要です。チーム制で複数名が業務を担う委託先であれば、担当者不在時のバックアップが働きやすくなります。

Q. 経理アウトソーシングの導入・業務移行にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 大企業では、業務の棚卸しからマニュアル化・社内と委託先の並走を段階的に踏むため、一定の準備期間を見込む必要があります。処理量や委託範囲、統制要件の複雑さによって必要な期間は変わり、移行期は一時的に社内負荷が高まります。

繁忙期や決算期を避けて計画すると円滑に進みます。オンライン完結型のようにチームの立ち上げが速い形態もあり(最短3営業日で立ち上げると案内するサービスもあります)、立ち上げスピードを重視する場合は提供形態も含めて検討するとよいでしょう。

Q. 経理業務を委託する際、社内に残すべき機能は何ですか?

A. 承認やチェックといった内部統制上の要所は、委託せず社内に残すのが基本です。処理を丸ごと委託すると進捗や処理内容が社内から見えにくくなる(ブラックボックス化)ため、定例の報告体制や処理状況を可視化する仕組みを契約に組み込みます。あわせて、委託先と業務フローを文書化しておくと、担当交代や委託先変更が生じても引き継ぎがスムーズになり、社内にも知見が残ります。

Q. 経理アウトソーシングと税理士(税務)の役割分担はどうなりますか?

A. 記帳・請求・支払・経費精算・月次決算の補助などは経理アウトソーシング会社に委託でき、税務申告書の作成や税務署への申告代理・税務相談は税理士に依頼する必要があります

税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法により税理士または税理士法人の独占業務と定められているためです。大企業では顧問税理士や監査法人と委託先が役割分担する形が一般的なので、委託先が税務のどこまでを税理士と連携して担うかを確認しておくと、業務の隙間が生じにくくなります。

出典・参考資料(1件)

Q. 大企業向け経理アウトソーシングの料金はどのように決まりますか?

A. 大企業向けの料金は、業務範囲・処理量・体制の作り方に応じた個別見積もりが中心で、体系としては固定料金型・従量(工数)型・個別見積もり型に大きく分かれます。複雑・大量な業務では、業務調査とプロセス設計を経て体制を組む個別見積もり型が採られることが多く、定型の料金プランを公開しない委託先が中心です。

比較の際は、目先の委託費だけでなく社内の管理工数や移行コストを含めた総額で見て、繁忙期に体制を増やせるかといった変動への柔軟性も料金体系とあわせて確認するのが確実です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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