生産管理は生産管理システム、原価は表計算ソフト、会計と販売は別のパッケージ。製造業の基幹システムがこう分かれていると、同じ受注データを何度も入力し直し、実際にかかった製造原価が見えるのは締めから2〜3週間後、という状態になりがちです。
これを1本にまとめようとERPを探し始めると、今度は別の壁に当たります。「ERP」と名乗る製品の中には、会計と販売を中核にしていて生産管理は別システム連携という前提のものが少なくありません。製品名だけを並べても、自社の作り方に乗るかどうかは判断できないためです。
そこで本記事では、生産管理まで含めて基幹業務を統合できる製造業向けERP22製品を、個別受注生産・組立や量産・プロセス製造・生産形態を問わない統合型という4つのタイプに分けて比較します。機能の対応範囲、費用の目安、選び方まで整理しました。
また、自社の状況に合わせて候補を絞り込めるよう、30秒で終わる選定診断ツールを記事の中ほど(4タイプの解説の後)に用意しています。まずは診断で当たりを付け、その後の解説で条件を詰めていく読み方もできます。
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目次
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本記事で比較する製造業向けERPの対象範囲
本記事で比較するのは、次の2つを満たす22製品です。
- 生産計画・所要量計算・工程管理のいずれかを含む生産管理を、標準機能・上位プラン・同一シリーズのいずれかの形で扱えること
- 販売・購買・在庫・原価のうち複数の基幹業務を、同じパッケージまたは同じシリーズで統合的に扱えること
生産管理が標準機能なのか、オプションや上位プランでの追加なのか、同じシリーズの別製品が担うのかは、製品によって分かれます。ここは費用にも導入範囲にも効いてくるため、比較表では「生産管理の搭載範囲」を独立した項目として示しました。
会計や人事給与だけを扱う基幹システム、製造現場の実行管理に特化したMES(製造実行システム)、設計側のCADやPDM、倉庫のWMSは対象に含めていません。これらとERPの線引きは後半の役割分担で整理します。生産管理だけを担うパッケージも、販売・購買・原価まで一本化したい読者の目的とは範囲が異なるため、本記事の比較対象からは外しています。
生産管理を標準で持つという条件を外し、会計・販売を中核とする製品も含めてERPを見比べたい場合は、以下の記事で主要製品をタイプ別に整理しています。製造業以外の業務も含めて基幹システムの刷新範囲を検討している場合は、こちらから候補を広げてください。
製造業向けERPとは
製造業向けERPとは、生産管理を中核に、販売・購買・在庫・原価・会計といった基幹業務を1つのデータベースで一元管理するシステムです。受注から生産、出荷、原価計算までを同じデータでつなぐことで、部門ごとに分かれたシステム間の二重入力や、実績と原価の突合にかかる手間をなくすことを狙います。
会計中心のERPとの違い
汎用のERPとの最大の違いは、製造業に固有の管理対象を標準で扱えるかにあります。具体的には、製品がどの部品からできているかを表す部品構成(BOM)、必要な部材の数量と時期を計算する所要量計算、材料費・外注費・加工費を積み上げる製造原価の計算です。
会計中心のERPは、これらを持たないか、生産管理システムとの連携で補う設計になっています。会計・販売の刷新が目的であれば十分に機能しますが、生産計画や案件別の原価まで1本にまとめたい場合には、範囲が足りません。製品名だけを並べても両者は見分けがつかないため、まずこの線を引くことが候補整理の出発点になります。
生産管理を標準で持つ製品と、別システム連携の製品
同じ「製造業対応」という表現でも、実際の中身は3つに分かれます。

- 生産管理が標準機能: 生産計画・所要量計算・工程管理・製造原価を、追加ライセンスなしで同じパッケージ内で使える
- 生産管理がオプションまたは上位プラン: 販売・在庫管理が本体で、生産管理は別途契約する。同じ製品名でも契約プランによって使える範囲が変わる
- 生産管理は外部システムと連携: ERP側は会計・販売・購買を担い、生産管理は専用システムに任せる
この違いは製品ページのトップに書かれているとは限らず、機能一覧や料金プランのページまで見ないと判別できないことがあります。見積もりを取る前に確認しておくと、比較の土俵が揃います。本記事の比較表では、この点を独立した項目として並べています。
そもそも統合ERPが要るのか、生産管理パッケージで足りるのか
製品を見比べる前に、一度立ち止まる価値がある分かれ道です。判断の基準は、解決したい課題が生産部門の中で完結するかどうかにあります。工程の進捗が見えない、現場の実績が集まらないというように課題が生産部門で閉じているなら、生産管理パッケージのほうが投資も期間も小さく済みます。統合ERPは範囲が過剰になりやすく、拠点が1つで担当者が数名という規模では特にその傾向が出ます。
一方、受注から出荷・請求・原価・決算までが分断されていて同じ数字を何度も入力している、原価が締めのあとにしか見えないという状態なら、部門をまたぐ統合ERPの守備範囲です。この線引きは記事の後半でERPと生産管理システム・MESの役割分担としてさらに詳しく扱いますが、読む範囲を絞りたい場合はここで判断して構いません。
生産形態別に見る製造業向けERPの4タイプ
製造業向けERPは、対応する生産形態によって設計思想が分かれます。自社の作り方に近いタイプから見ていくと、候補を大きく絞り込めます。
製品ページでは、生産形態が英字の略称で書かれていることがあります。ETO は個別受注設計(受注してから設計する)、MTO は受注生産、ATO は受注組立(部品まで作り置きし、受注後に組み立てる)、MTS は見込生産(需要を見込んで作り置きする)を指します。本記事では日本語で表記し、比較表では公式の表記に合わせて略称も併記しています。
| 特徴 | 向いている企業 | 該当する主なサービス | 詳細(比較表) | 詳細(個別紹介) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 個別受注生産に強いタイプ | 受注案件ごとに固有の番号を付け、見積・設計・調達・製造・原価をひも付けて管理する。案件ごとに異なる部品構成を都度扱える | 装置メーカー、金属加工業、オーダーメイド製品メーカーなど、案件ごとに仕様が異なり案件別の原価を把握したい企業 | TECHS-S/TECHS-BK、rBOM、BIZXIM製番 | 比較表を見る | 各製品の紹介を見る |
| 組立・量産に強いタイプ | 確定した部品構成から所要量を計算し、調達と製造の指示を出す。同じ製品を繰り返し作る現場の在庫と原価を締める | 機械・電子部品・自動車部品など、同じ製品を繰り返し作り、部材の欠品と過剰在庫の両方を抑えたい企業 | mcframe、Factory-ONE 電脳工場、FutureStage、InfiniOne、SMILE V Air/生産革新シリーズ、UM SaaS Cloud、アラジンオフィス | 比較表を見る | 各製品の紹介を見る |
| プロセス製造に対応するタイプ | 配合表(レシピ)、ロット、賞味期限や有効期限、トレーサビリティなど、原材料を混ぜて作る現場に固有の管理を持つ | 食品・化学・医薬品など、配合比率で製品が決まり、ロットと期限の追跡が求められる企業 | スーパーカクテルCore FOODs、Ross ERP、STRAMMIC | 比較表を見る | 各製品の紹介を見る |
| 生産形態を問わない統合タイプ | 生産管理に加えて会計・販売・購買・人事までを同一基盤で持ち、複数拠点や多通貨、海外拠点も含めて扱える | 複数の作り方が混在する、または国内外に拠点があり、会計まで含めて基幹を1本化したい企業 | Odoo、SAP S/4HANA Cloud、GLOVIA、OBIC7、PROACTIVE、GRANDIT、Oracle NetSuite、Dynamics 365 Business Central、Infor SyteLine | 比較表を見る | 各製品の紹介を見る |
個別受注生産(一品一様のものづくり)に強いタイプ
案件ごとに仕様が変わるものづくりでは、あらかじめ部品構成を確定させておくことができません。設計しながら部材を手配し、途中で仕様変更も入ります。このタイプは、受注案件に固有の番号を割り当て、その番号に見積・設計・調達・製造・原価をひも付ける方式を軸に設計されています。この案件固有の番号を製番(製造番号)と呼び、以降の比較表や製品説明でもこの語を使います。
読者にとっての実利は、案件別の原価と進捗が進行中に見えることです。完成後に集計するのではなく、いま手配済みの部材と発生済みの外注費が案件単位で分かるため、見積との差が開いた段階で手を打てます。部品マスタを事前に登録しなくても案件単位で部品構成を組める製品もあり、都度設計の現場では登録作業そのものが減ります。
個別受注生産に対応する製品は、このタイプだけではありません。統合タイプにも案件別の管理方式を持つ製品があるため、会計・人事まで含めて1本化したい場合はそちらの比較表もあわせて見てください。
組立・量産(繰返生産・見込生産)に強いタイプ
同じ製品を繰り返し作る場合、管理の中心は所要量計算に移ります。確定した部品構成に生産計画を掛け合わせ、いつ何をいくつ手配すればよいかを自動で導き出す仕組みです。部材の欠品で組立が止まることと、過剰在庫が資金を寝かせることの両方を抑えるのが目的になります。
このタイプでは、業種別のテンプレートを用意している製品が多いのも特徴です。自動車部品、金属加工、一般機械といった業種ごとに、初期設定済みのマスタや帳票が付いてくるため、導入時の設計工数を抑えられます。生産形態ごとに製品自体を分けているシリーズもあり、その場合は自社の作り方に最も近い製品を選ぶことになります。
プロセス製造(配合・調合のものづくり)に対応するタイプ
食品や化学、医薬品のように原材料を混ぜて作る製造では、部品を組み合わせる前提の部品構成がそのままでは使えません。配合比率で製品が決まり、原材料の単位もキログラムやリットルと個数が混在します。このタイプは、配合表(レシピ)の管理を部品構成の代わりに据え、原材料の単位換算にも対応しています。
あわせて重要になるのが、ロット管理とトレーサビリティです。どの原材料ロットがどの製品ロットに入ったかを前後どちらの方向にも追えることは、品質問題が起きたときの回収範囲を絞り込むための前提になります。賞味期限や有効期限を考慮した引当・出荷、連産品や副産物の原価計算に対応する製品もあります。
プロセス製造に対応する製品も、このタイプに限りません。統合タイプにも配合型の生産に対応する製品があるため、候補が少ないと感じた場合はそちらの比較表の「対応する生産形態」も確かめてください。
生産形態を問わず基幹業務全体を統合するタイプ
このタイプを分けている軸は、生産形態への対応幅ではなく担う業務範囲の広さです。生産管理に加えて会計・人事・購買までを同一基盤で持ち、複数拠点や海外子会社を含めて1本化することを狙った製品群を指します。生産だけでなく決算や連結まで含めて刷新したい場合の候補です。
生産形態への対応は製品ごとに差があります。所要量計算方式と案件別の管理方式を品目ごとに使い分けられる製品がある一方で、公式には対応する生産形態の区分を示していない製品もあります。このタイプを検討する場合も、自社の作り方に乗るかどうかは統合タイプの比較表の「対応する生産形態」で個別に確かめてください。
海外拠点を持つ企業にとっては、多通貨・多言語や複数会社の連結を標準で扱えることも選定理由になります。一方で、生産管理に特化した製品と比べると現場の細かい運用に合わせ込むための設定量は増えやすく、導入期間と費用は大きくなる傾向があります。どこまでを1つのシステムで担わせるかを先に決めておくと、比較がぶれません。
とはいえ、自社がどのタイプに当てはまるのか、判断が難しいケースもあります。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
製造業向けERPの主な機能と対応範囲
ここからは、比較表で並べる項目の中身を整理します。製品ごとの差は、これらの機能を持っているかどうかよりも、どこまで深く扱えるかに出ます。前半の4つが製造業に固有の領域、後半の2つが統合される周辺領域です。
生産計画・所要量計算・工程管理
受注や需要予測をもとに、いつ何をどれだけ作るかを決めるのが生産計画です。そこから部品構成を展開し、必要な部材の数量と手配時期を割り出すのが所要量計算(MRP)にあたります。MRP は計算方式の呼び名であって、製品の分類ではありません。
計算方式には、対象範囲を毎回すべて再計算する方式(リジェネレーション方式)と、変更があった部分だけを差分で反映する方式(ネットチェンジ方式)があり、品目数が多い現場では後者の有無が処理時間に効きます。製品ページではこの2つの用語がそのまま出てくるため、覚えておくと読み比べが楽になります。
工程管理は、作業指示に対する実績を工程単位で記録し、進捗の遅れを見つける機能です。設備の能力を考慮して順序を組む生産スケジューリング(有限APSと呼ばれます)まで持つ製品もあり、この場合は特定の設備に負荷が集中する状況を計画段階で避けられます。
部品構成(BOM)と設計変更管理
部品構成は、製品がどの部品・材料からできているかを階層で表したデータです。設計部門が作る設計部品表と、製造・調達が使う製造部品表は、粒度も並び方も異なることが多く、この2つをどうつなぐかが製品ごとの設計思想の分かれ目になります。設計部品表から製造部品表への変換を機能として持つ製品もあれば、1つの部品表を全部門で共有する考え方を採る製品もあります。
設計変更管理は、変更の履歴と適用時期を管理し、どの製造ロットから新しい構成に切り替えるかを制御する機能です。変更が頻繁に発生する組立製造では、この履歴が残るかどうかが、手配ミスを追跡できるかに直結します。
製造原価の計算
製造原価の計算方式は、大きく個別原価計算と総合原価計算に分かれます。案件や製造指図ごとに費用を集計するのが前者、一定期間の総費用を生産量で割るのが後者です。個別受注生産では前者、繰返生産では後者が中心になりますが、両方に対応する製品もあります。
あわせて確認したいのが、間接費をどう配賦するかと、標準原価と実際原価の差異を分析できるかです。材料費だけでなく、外注費・労務費・設備の間接費まで含めて製品別の利益が見えるかどうかで、原価管理の実用性が変わります。製品ページで見かけるABC(活動基準原価計算)は、間接費を作業や工程といった活動ごとに割り当てて配賦する方式のことです。
品質管理・ロットトレーサビリティ
受入検査や工程内検査の基準と結果を記録し、合否判定を管理する機能です。ロットトレーサビリティは、原材料ロットから製品ロットまでのつながりを双方向に追える仕組みで、食品や医薬品では実質的な必須要件になります。組立製造でも、部品の不具合が判明したときに影響範囲を特定するために使われます。
購買・在庫管理
所要量計算の結果を発注につなぎ、入荷・検収・支払いまでを管理するのが購買機能です。在庫側では、倉庫別・ロット別の数量把握に加えて、有償支給や無償支給といった外注先への部材提供を扱えるかが、外注比率の高い現場では効いてきます。
販売・会計との統合
受注から出荷、売上計上までを同じデータでつなぐことで、二重入力がなくなります。会計との統合では、製造実績や購買実績から仕訳を自動生成できるかが判断材料です。同一シリーズ内で会計モジュールを持つ製品もあれば、外部の会計ソフトとの連携を前提にする製品もあり、既存の会計システムを残すかどうかで選択が変わります。
製造業でERP刷新が必要になる場面と、導入して変わること
ここからは、刷新の検討が始まるきっかけと、統合によって何が解消するのかを対にして整理します。

刷新の検討が始まる4つの場面
1つ目は、同じデータを複数のシステムに入力している状態です。受注情報を販売管理に入れ、同じ内容を生産管理にも入れ、月末に会計へ転記する。入力の手間そのものより、どこかで数字がずれたときに原因を追えないことが問題になります。
2つ目は、製造原価が締めのあとにしか見えないことです。実際にかかった材料費・外注費が分かるのが翌月中旬では、赤字案件に気づいたときには次の類似案件も走っています。案件別・製品別の原価を進行中に把握したいという要望は、生産管理と会計が分かれている限り解消しません。
3つ目は、設計変更が製造側に伝わらないことです。設計部門が持つ部品構成と、製造・調達側が使う部品構成が別管理になっていると、変更前の部材を手配してしまう、あるいは欠品で組立が止まるといった事態が起きます。
4つ目は、既存パッケージの保守期限です。サポート終了の告知を受けて検討が始まるケースは多く、この場合は「いつまでに稼働させるか」が実質的な最優先条件になります。導入期間の見通しが立たない製品は、機能が合っていても候補から外れます。
ここまでは自社の内側から見た場面ですが、相談を受けるERP提供側は、検討が動き出すきっかけをどう見ているのでしょうか。クラウドERPを提供する日本オラクルは、当社のインタビューで次のように話しています。
大きく三つのパターンがあります。一つ目は、古くなったオンプレミスのシステムを刷新したいというケース。二つ目は、事業が成長してきて、バラバラだったシステムや業務のやり方を標準化したいというケース。三つ目は、M&Aのあとにグループ全体のシステムを統合して、データを可視化したいというケースです。
決め手という意味では、やはり経営者の方が「今見たい数字が、今すぐ見られるかどうか」を重視されます。現場の担当者にとっての使いやすさももちろん大事なのですが、最終的な意思決定の場面では、リアルタイムに正確な数字が出てくることが何より効いてきます。
提供側から見た3つのパターンは、先に挙げた4つの場面と重なります。1つ目の「オンプレミスの刷新」は場面④の保守期限、2つ目の「標準化」は場面①の二重入力にあたります。3つ目のM&A後の統合は自社の内側からは見えにくい入口で、グループ会社が増えたときに検討が始まる形です。そして「今見たい数字が今すぐ見られるか」という決め手は、場面②の原価が締めのあとにしか見えないという状態の裏返しでもあります。
入力が1回で済み、数字の出どころが1つになる
受注データを起点に、製造指示・部材手配・出荷・売上が同じデータベース上でつながります。転記の手間が減るだけでなく、部門間で数字が食い違ったときの原因追跡そのものがなくなるため、月次の突合作業に充てていた時間を別の業務に回せます。
原価が進行中に見えるようになる
手配済みの部材と発生済みの外注費が案件別・製品別に積み上がるため、見積との差が開いた時点で気づけます。赤字案件を締めのあとに発見する状態から、進行中に手を打てる状態へ変わることが、原価管理を統合する最大の実利です。
設計変更が調達・製造まで届く
部品構成を全社で共有し、変更履歴と適用時期を管理することで、変更前の部材を手配してしまう事故を防げます。設計と製造で別々の部品表を保守する作業自体も不要になります。
保守期限に追われる周期から抜けられる
4つ目の場面に対応する効果です。クラウドで提供される製品を選べば、バージョンアップは提供側の運用に含まれるため、サポート終了の告知を受けて数年おきに刷新を迫られる周期から抜けられます。拠点や品目が増えたときも、システムを入れ替えるのではなく構成の変更で追随できます。
あわせて、手順がシステムに載ることで担当者の経験に依存していた判断が減ります。人員の入れ替わりが避けられない状況では、次の担当者へ引き継げる形が残ることも投資判断の材料になります。
製造業向けERPの費用の目安
費用は製品と導入範囲で大きく開きます。ここでは、公式サイトで価格を公表している製品から読み取れる価格帯を示します。
初期費用・月額の価格帯
比較した22製品のうち、初期費用または月額の実額を公式サイトで公開しているのは6製品です。まず、その実額をそのまま並べます。
| TECHS-S/TECHS-BK | SMILE V Air/生産革新シリーズ | UM SaaS Cloud | Odoo | Dynamics 365 Business Central | PROACTIVE | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 1,250,000円〜(TECHS-S NOA) 630,000円〜(TECHS-BK) | 158,000円〜(SMILE V Air) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(導入支援費用は非公開) | 要問い合わせ(導入費・カスタマイズ費は別途) | 2,000万円〜(公式の目安) |
| 月額費用 | 45,000円〜(TECHS-S NOA) 21,000円〜(TECHS-BK) | データベース費 20,620円〜 +モジュール 18,150円〜 +1ユーザー 1,810円〜 | UM基本パック 35,000円/月〜 業務モジュールは10IDあたり15,000円/月〜 | スタンダード US$31.10/ユーザー/月 カスタム US$61.00/ユーザー/月(年払い) | Essentials 11,994円/ユーザー/月 Premium 16,491円/ユーザー/月(年払い) | 要問い合わせ(基本料金+ユーザー数の従量課金) |
| 備考 | いずれも税別。ハードウェア費用は別途 | 税別。モジュールは給与・人事ベーシックが18,150円〜、販売・会計ベーシックは19,360円〜。実額公開はSMILE V Air側のみで、生産管理を担う生産革新シリーズは要問い合わせ | 税別 | 米ドル建てで、税の扱いは公式に記載なし。導入支援費用は別建て | 税別。製造機能はPremiumのみ | 年商100億円以上が主対象 |
ここから読み取れる傾向は3つあります。1つは、ユーザー単価が公開されている製品でも金額の幅が大きいことです。生産管理を含む上位プランで1ユーザーあたり月1万6,000円台という水準がある一方、ユーザーライセンス単体では月1,810円、10IDで1万5,000円という体系もあり、基本料金やモジュール料金と組み合わせて総額が決まります。
製造機能が上位プラン限定の製品もあるため、下位プランの金額だけを見て判断すると、生産管理が使えないという行き違いが起こります。
2つ目は、中小規模の製造業向けにクラウドで提供される製品なら、初期費用63万円から125万円程度、月額2万1,000円から4万5,000円程度から検討できることです。ただしこの下限は受発注・販売管理のみのエディションの金額で、原価管理と工程管理を含む構成は初期84万円から・月額3万2,000円からになります。
初期15万8,000円から始まる製品もありますが、この場合は生産管理を担うのが同じシリーズの別製品で、そちら側の金額は公表されていません。金額を並べるときは、生産管理を含んだ構成に揃えることが欠かせません。
3つ目は、年商100億円以上の中堅・大企業を対象とする統合ERPでは、初期費用の目安が2,000万円からになることです。同じ「製造業向けERP」でも、対象とする企業規模によって費用の桁がひとつもふたつも変わることは、候補を絞る前に押さえておきたい点です。
価格を公開していない製品も多く、その場合は要問い合わせとなります。本記事の比較表では、公式サイトに実額の記載がある製品はその金額を、記載がない製品は要問い合わせと明記しています。
※2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報にもとづきます。金額は、Odooの月額のみ米ドル建てで税の扱いが公式に記載されておらず、それ以外は税別表記です。
費用を左右する要素
まず効くのが提供形態です。クラウド型はサーバーの調達が不要で初期費用を抑えられ、月額に保守とバージョンアップが含まれることが多くなります。オンプレミス型はサーバーとライセンスの購入費が初期に集中し、そのあとは年間保守料が中心になります。年間保守料を初期費用の一定割合で設定する契約が一般的です。
そのうえで、見積もりを比べるときに差が出やすいのは次の要素です。
- 利用者数: ユーザー課金の製品では利用者数が直接効きます。工場の現場端末を含めるかどうかで人数の前提が変わるため、端末単位のライセンスがあるかも確認します
- 導入する業務範囲: 生産管理だけか、販売・購買・会計まで含めるかで金額は大きく動きます。段階的に導入できる製品なら、初年度の投資を抑えられます
- 拠点数と会社数: 複数工場や海外子会社を対象に含めると、ライセンスに加えて拠点ごとの初期設定・教育の費用が積み上がります。段階的に対象拠点を広げられるかも金額に効きます
- 作り込みと連携の量: 標準機能に業務を合わせるほど費用と期間は縮み、既存の帳票をそのまま再現しようとすると開発費が本体価格を上回ることもあります。品目マスタや部品構成の移行量、既存会計との接続も別建ての費用になります(詳しくは導入前に押さえる注意点で扱います)
製造業向けERPの選び方
生産形態で候補を絞ったあと、最後まで詰めるための観点を挙げます。
自社の生産形態に対応しているか
最も重い条件です。個別受注生産の現場に、部品構成の事前確定を前提とした製品を入れると、案件ごとにマスタ登録が発生して運用が回らなくなります。逆に、繰返生産の現場に案件別管理を軸とした製品を入れると、所要量計算による自動手配の恩恵を受けられません。
確認の仕方としては、製品ページに書かれた対応生産方式の表記を見るだけでなく、自社の代表的な受注パターンを2〜3件挙げて、その流れをそのまま扱えるかをデモで確かめるのが確実です。仕様変更が途中で入るケース、まとめ発注して個別に引き当てるケースなど、例外的に見えて実際は頻発する運用を含めるのがポイントになります。
個別受注と繰返生産が混在する場合
実際の現場では、標準品を量産しつつ特注品も受けるという混在型が珍しくありません。この場合、どちらか一方に特化した製品を選ぶと、もう一方の運用が手作業で埋め合わせられることになります。
取りうる道は3つあります。1つは、両方式に対応する製品を選ぶことです。2つ目は、売上構成比の大きいほうに合わせ、もう一方は運用でカバーする割り切りです。3つ目は、工場や事業部ごとにシステムを分け、会計側で連結する形です。
1つ目を取る場合、混在を公式に想定している製品は本記事の比較対象にもあります。中小・中堅規模から検討できるのは次の3製品です。
- Factory-ONE 電脳工場: MRP版・製番管理版・ハイブリッド版・販売管理ベースという4区分のラインアップを持ち、混在する現場向けの区分が用意されています。ただし各区分がどの生産形態に対応するかは公式の製品ページには明示がなく、問い合わせでの確認が前提になります
- FutureStage 製造業向け生産管理システム: 見込生産・受注生産・個別受注生産(製番管理)と、それらのハイブリッドに対応します
- 生産革新シリーズ: 繰返生産と個別受注のハイブリッドを対象とする Raijin が、シリーズ内の製品として用意されています
これらは記事のタイプ分けでは「組立・量産に強いタイプ」に置いていますが、混在型で探している場合はここから見ると近道です。より規模の大きい統合タイプにも、所要量計算方式と案件別管理方式を品目ごとに切り替えられる製品があります(統合タイプの比較表)。
判断の分かれ目は、少数派の生産形態が全体の何割を占めるかと、その部分で原価を厳密に見る必要があるかです。数量では少なくても利益への影響が大きい特注品を抱えている場合は、両対応の製品を選ぶ価値があります。
生産管理が標準機能か、別システム連携か
前半で触れた線引きは、そのまま選定の判断軸になります。生産管理がオプション扱いの場合、本体価格には含まれないため、見積もりの前提が製品ごとにずれます。比較する際は、生産管理を含んだ構成での金額に揃えてから並べます。
外部の生産管理システムとの連携を前提とする構成を選ぶ場合は、連携部分の開発費と、障害が起きたときの責任の所在を確認しておきます。2社にまたがると、原因の切り分けだけで時間を取られることがあります。
部品構成と製造原価をどこまで持てるか
部品構成では、階層の深さ、設計部品表と製造部品表の扱い、設計変更の履歴管理を見ます。多段階の構成を持つ製品を扱う場合、階層の展開に制限がないかは早い段階で確認したい点です。
製造原価では、自社が必要とする計算方式に対応しているかを確認します。案件別の利益を見たいのに総合原価計算しか持たない製品では、目的を果たせません。間接費の配賦基準を自社で設定できるか、標準原価との差異を分析できるかも、原価管理を刷新の主目的に据える場合には外せない条件です。
クラウドとオンプレミスのどちらを選ぶか
費用の構造は前節で触れたとおりですが、選択そのものは費用より運用条件で決まります。サーバーの運用を自社で抱えたくない、複数拠点や在宅から使いたい、バージョンアップを自動で受けたいという場合はクラウドが向きます。保守期限を理由とした再刷新からも解放されます。
一方、工場のネットワークが外部と分離されている、独自性の高い工程が多く標準機能では対応しきれない、といった条件がある場合はオンプレミスが現実的です。両方の提供形態を選べる製品も多いため、この条件だけで候補を狭めすぎる必要はありません。
もう一点、クラウドへ移す場合に確認しておきたいのが、セキュリティ対策の責任がどこまで自社に残るかです。この線引きについて、ERP提供側からは次のような指摘が出ています。
背景にあるのは、クラウド移行に伴う責任分界点の問題です。オンプレミスの仕組みをそのままクラウドへ載せ替えただけでは、ランサムウェアなど外部攻撃への対策責任は、基本的に利用企業側に残ります。たとえ基盤が大手クラウドであっても、設定・運用・監視・バックアップなどの責任はユーザー側にあるためです。
そのため、企業規模を問わず、「システムインテグレーター任せで本当に十分な対策ができるのか」という不安が高まっています。実際に近隣企業が多額の身代金を要求される被害に遭ったという話もあり、経営者のサイバーリスクに対する危機意識は一段と強まっています。
選定の場では、この責任範囲を契約書と提案書のどこで確認できるかまで詰めておきます。具体的には、バックアップの取得頻度と保管期間、稼働監視の対象、障害やインシデントが起きたときの一次対応をどちらが担うかの3点です。「クラウドだから安全」と括らず、自社に残る運用作業を洗い出してから見積もりを比べると、提供形態の違いが費用にどう表れているかも読み取れます。
自社の規模と投資できる桁で候補を切る
ここまでの観点で機能面の候補が残ったら、最後に規模で切ります。費用の目安で見たとおり、同じ「製造業向けERP」でも初期費用が数十万円台から2,000万円台まで開くため、機能が合っていても投資の桁が合わなければ検討の対象になりません。
比較表には対象規模の項目を設けています。公式が対象規模として年商を明示しているのは2製品で、GLOVIAが年商約30億〜1,000億円、PROACTIVEが年商100億円以上です。GRANDITは公式が対象年商を定めておらず、ソリューションページの掲載事例が年商30億〜300億円に集まっています。
位置づけだけを示している製品は「中小製造業」などの表現を、いずれも無い製品は「公式に記載なし」とそのまま書きました。年商30億円に満たない規模であれば、年商100億円以上を主対象とする製品は先に候補から外して構いません。
記事中ほどの選定診断でも、生産形態とあわせて事業規模を質問しています。規模の合わない製品が候補に出ないため、22製品を絞り込む出発点として使えます。
既存パッケージの保守期限から逆算する
保守終了が決まっている場合、稼働時期は交渉の余地がない条件になります。ここから逆算すると、候補の見え方が変わります。
生産管理を含むERPの導入期間は、標準機能に業務を合わせる進め方でも数か月、作り込みを伴えば1年以上かかることがあります。公式に「最短6ヶ月、平均は2年前後」と目安を示している製品もあり、規模が大きいほど期間は延びます。残り期間が短い場合は、業種別テンプレートを持つ製品や、段階的に導入できる製品を優先し、まず生産管理と原価だけを先に切り替えて会計は後追いにする、といった分割も選択肢になります。
導入後のサポート・運用体制を確認する
ERPは稼働してからが本番です。確認しておきたいのは、問い合わせ窓口の受付時間と手段、法改正や制度変更への対応が保守に含まれるか、そして自社の業種の導入経験を持つ担当者が付くかです。
製品によっては、開発元ではなく販売パートナーが導入と保守を担います。この場合、製品の良し悪しと同じくらい、担当するパートナーの体制が結果を左右します。提案の場に実際の導入担当者が同席するかを確認しておくと、稼働後の体制が見えやすくなります。
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【比較表】製造業向けERPのおすすめ比較22選
ここからは、主要な製造業向けERP22製品を、先ほどの4タイプに分けて比較します。生産管理が標準機能かどうか、部品構成と製造原価をどこまで持てるか、提供形態と料金、対象とする企業規模と導入期間という、選定で差が出る項目を横並びにしました。
22製品の早見表(タイプ横断)
まず、22製品をタイプをまたいで1枚に並べます。「クラウドで生産管理が標準機能」「価格が公開されている」といった条件で候補を粗く絞るための表です。機能や料金の詳細は、この下のタイプ別比較表で確認してください。
| サービス名 | TECHS-S/TECHS-BK | rBOM | BIZXIM製番 | mcframe | Factory-ONE 電脳工場 | FutureStage | InfiniOne | SMILE V Air/生産革新シリーズ | UM SaaS Cloud | アラジンオフィス | スーパーカクテルCore FOODs | Ross ERP | STRAMMIC | Odoo | SAP S/4HANA Cloud | GLOVIA | OBIC7 | PROACTIVE | GRANDIT | Oracle NetSuite | Dynamics 365 Business Central | Infor SyteLine |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 個別受注生産 | 個別受注生産 | 個別受注生産 | 組立・量産 | 組立・量産 | 組立・量産 | 組立・量産 | 組立・量産 | 組立・量産 | 組立・量産 | プロセス製造 | プロセス製造 | プロセス製造 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 | 統合型 |
| 生産管理の搭載範囲 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 別製品で提供 | 標準機能 | オプション | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | 標準機能 | オプション (構成次第。製造関連は追加ライセンス、高度な部品表はオプション機能と公式に記載) | 上位プラン限定 | 標準機能 |
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウドのみ | クラウド/オンプレミス | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウドのみ | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウド/オンプレミス |
| 価格公開の有無 | ●初期費用・月額とも公開 | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | △SMILE V Air のみ公開 | △月額のみ公開 | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | △Odoo本体の月額のみ公開 | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | △初期費用の目安のみ公開 | ×要問い合わせ | ×要問い合わせ | △月額のみ公開 | ×要問い合わせ |
| 対象規模 | 中小製造業 (年商・従業員数の記載なし) | 中小企業〜大企業 (年商・従業員数の記載なし) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 中堅・中小製造業 (年商・従業員数の記載なし) | 中堅・中小規模企業 (年商・従業員数の記載なし) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし (導入事例は従業員11〜100人が中心) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 中堅〜大手企業 (年商・従業員数の記載なし) | 公式に記載なし | 中堅〜大企業 (年商・従業員数の記載なし) | 年商約30億〜1,000億円 | 公式に記載なし | 年商100億円以上 | 年商30億〜300億円 (公式掲載事例の中心層) | 公式に記載なし | 小中規模企業 (年商・従業員数の記載なし) | 中小・中堅企業 (年商・従業員数の記載なし) |
個別受注生産に強いタイプの比較
| サービス名 | TECHS-S/TECHS-BK | rBOM | BIZXIM製番 |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社テクノア | DAIKO XTECH株式会社 | 株式会社NTTデータ関西 |
| 対象規模 | 中小製造業 (年商・従業員数の記載なし) | 中小企業〜大企業 (年商・従業員数の記載なし) | 公式に記載なし |
| 対応する生産形態 | 個別受注生産 多品種少量生産 | 個別受注生産 多品種少量生産 | 個別受注生産 多品種少量生産 |
| 生産管理の搭載範囲 | 標準機能 (TECHS-Sは見積・在庫がオプション) | 標準機能 | 標準機能 (財務管理はオプション) |
| 部品構成(BOM) | ジョブ単位BOM(TECHS-S) 親子展開の多段BOM(TECHS-BK) | リアルタイム統合部品表 CAD連携で設計変更を反映 | ストラクチャー型の製番別BOM 完成品・ユニット・部品・素材の階層で管理 |
| 製造原価 | 製番別の原価をリアルタイムに把握 | 仕掛品の原価をリアルタイムに把握 | 製番別に原価の予実を把握 構成品目の単位でも確認できる |
| 提供形態 | オンプレミス(TECHS-S) クラウド(TECHS-S NOA) オンプレミス・クラウド(TECHS-BK) | オンプレミス/クラウド | オンプレミス (Windows Server+Oracle DB) |
| 初期費用 | 1,250,000円〜(TECHS-S NOA) 630,000円〜(TECHS-BK) (いずれも税別) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 45,000円〜(TECHS-S NOA) 21,000円〜(TECHS-BK) (いずれも税別) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 導入期間の目安 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 向いている企業 | 個別受注型の機械・装置メーカー 多品種少量型の部品加工業 | 設計変更が多く 案件別の原価と進捗を追いたい製造業 | 引合からアフターサービスまで 案件単位で一元管理したい受注生産型の製造業 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
組立・量産に強いタイプの比較
| サービス名 | mcframe | Factory-ONE 電脳工場 | FutureStage | InfiniOne | SMILE V Air/生産革新シリーズ | UM SaaS Cloud | アラジンオフィス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ビジネスエンジニアリング | 株式会社エクス | 株式会社日立システムズ | FutureOne株式会社 | 株式会社大塚商会 | 株式会社シナプスイノベーション | 株式会社アイル |
| 対象規模 | 公式に記載なし | 中堅・中小製造業 (年商・従業員数の記載なし) | 中堅・中小規模企業 (年商・従業員数の記載なし) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし (導入事例は従業員11〜100人が中心) | 公式に記載なし |
| 対応する生産形態 | 見込生産・受注生産・半見込生産 (組み合わせて運用可) | 繰返(量産)・見込生産/個別受注生産/両者の混在 MRP版・製番管理版・ハイブリッド版・販売管理ベースの4区分(各区分が対応する生産形態は公式製品ページに明示なし) | 見込生産・受注生産・個別受注生産(製番管理) これらを組み合わせたハイブリッド生産 | 見込生産・受注生産・ファブレス型 外注委託中心の生産にも対応 | 生産革新シリーズが生産形態別に分かれる 繰返・量産=Ryu-jin/組立の見込・受注=Fu-jin/繰返と個別受注の混在=Raijin/配合型=Blendjin/多品種小ロット=Wun-jin | 個別受注生産・受注生産・見込み受注生産・見込生産 組立・加工・プロセス製造に対応 | 公式に記載なし |
| 生産管理の搭載範囲 | 標準機能 mcframe 7 SCM が生産・販売・在庫を担当 | 標準機能 販売管理(受注・売上・請求・入金)も標準で搭載 | 標準機能 販売管理・在庫管理・購買管理と一体で提供 | 標準機能 販売・購買・在庫・生産・原価・財務会計を一元管理 | 別製品で提供 SMILE V Air は販売・会計・人事給与のクラウド基幹。生産管理は生産革新シリーズが担い、Wun-jin のみ SMILE V Air 配下、他5製品は SMILE V 2nd Edition 配下 | 標準機能 中核モジュール「UM工程進捗」が生産計画から所要量計算・工程進捗までを担当(必要なモジュールを選んで契約する構成) | オプション 本体は販売・在庫・購買管理。生産管理は製造業向けオプションとして追加(生産計画・所要量計算・工程指示・製造指示・製造実績・工程進捗) |
| 部品構成(BOM) | 標準搭載 多拠点・ライン別の構成管理、製番生産とロット生産の混合手配に対応 | 標準搭載 階層型の品目構成マスター。1つの製番の配下に複数構成(ユニット)を保有可能 | 標準搭載 部品構成マスタを登録し、MRPが製番部品表を参照して部材手配を作成 | 部品表をもとに所要量計算(MRP)を実行 BOM管理単独の仕様は公式に記載なし | 生産革新 Bom-jin が設計部品構成(E-BOM)から製造部品構成(M-BOM)への連携を担当 Fu-jin・Raijin は Bom-jin と連携 | 標準搭載 1つの品目に対し複数の品目構成を登録可能 | 所要量計算が製品の構成表(BOM)を参照 BOM管理単独の仕様は公式に記載なし |
| 製造原価 | 標準搭載 総合原価計算と製造指図書別の個別原価計算、標準・実際・予算原価の差異分析 | 標準搭載 製番別の実際原価をリアルタイムに集計し、見積金額と対比 | 標準搭載 品番別・製番別・ロット別に把握 | 標準搭載 実際原価計算の金額と会計上の製造原価明細書を突き合わせ、原価要素ごとの差異を把握 | 生産革新シリーズ側で対応 Fu-jin は標準原価の積み上げ、Raijin は標準・実際原価と予算対比、Ryu-jin は標準・実際原価と間接費配賦(Blendjin・Wun-jin は公式に記載なし) | モジュール追加で対応 「UM原価」が品目・品目+ロット・品目+製番の各単位で算出。活動基準原価計算による間接費配賦に対応 | 生産管理オプション内の機能 製品ごとの原価・粗利・ロット管理 |
| 提供形態 | オンプレミス(mcframe 7) クラウド(mcframe X) | オンプレミス/クラウド | オンプレミス/クラウド(AWS上のプライベート環境) | オンプレミス/クラウド(Azure・AWS) | SMILE V Air=クラウド 生産革新シリーズ=オンプレミスまたはクラウド(Wun-jin はクラウドのみ) | クラウドのみ(Salesforce Platform上のSaaS) | オンプレミス/クラウド(アラジンクラウド) 生産管理オプションのクラウド対応可否は公式に記載なし |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 158,000円〜(税別、SMILE V Air) 生産革新シリーズは要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | データベース費 20,620円〜+モジュール 18,150円〜+1ユーザー 1,810円〜(税別、SMILE V Air) 生産革新シリーズは要問い合わせ | UM基本パック 35,000円/月〜 業務モジュールは10IDあたり15,000円/月〜 | 要問い合わせ |
| 導入期間の目安 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 最短3ヶ月 (現状分析から本稼働までの6フェーズ) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 向いている企業 | 複数の生産形態が混在し、原価の差異分析まで自社で行いたい中堅〜大企業 | 会計は勘定奉行・PCA会計などの既存システムを残したい中堅・中小の製造業 | 自動車部品・金属加工・一般機械など、業種別テンプレートを起点に導入したい中堅・中小の製造業 | 自社製造と外注委託が混在し、会計まで含めて基幹を1本化したい組立製造業 | 自社の生産形態に合う生産管理製品を選びつつ、販売・会計はクラウドでそろえたい中堅・中小の製造業 | 現場の実績入力まで含めてクラウドで完結させたい中小〜中堅の製造業 | 販売・在庫管理を主軸に、生産管理を必要な範囲だけ足したい中小・中堅企業 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
プロセス製造に対応するタイプの比較
| サービス名 | スーパーカクテルCore FOODs | Ross ERP | STRAMMIC |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社内田洋行 | Aptean Inc.(米国) 日本提供: アプティアン・ジャパン株式会社 | 株式会社ニッセイコム |
| 対象規模 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 中堅〜大手企業 (年商・従業員数の記載なし) |
| 対応する生産形態 | プロセス製造 (食品製造業・食品卸売業) | プロセス製造 (食品・化学) | プロセス製造 (食品・医薬品・化学品) 組立加工にも対応 |
| 生産管理の搭載範囲 | 標準機能 (販売・生産・原価の3モジュール構成、モジュール単位の導入も可能) | 標準機能 (生産・在庫・原価・販売購買・会計を標準搭載) | 標準機能 (生産管理STRA PMを中核に4モジュール構成、モジュール単位の導入も可能) |
| 部品構成(BOM) | 配合表(レシピ)管理 (生産モジュールの機能) | 配合表(フォーミュラ)管理 (原料ロットの純度・濃度などの規格値から投入数量を自動計算) | 品目構成(BOM)管理と配合管理 (STRA PMの標準機能、同一品目の複数バージョン管理に対応) |
| 製造原価 | ジャンル別・業態別・商品別の原価計算 原価変動・販売価格変更のシミュレーション | 工程別・品目別の原価計算 上流工程から下流工程への流し計算、粗利計算も同時に実施 | ABC(活動基準原価計算)による配賦 予算原価シミュレーション(STRA CA) |
| 提供形態 | クラウド ※オンプレミスの提供有無は公式に記載なし | オンプレミス/クラウド | オンプレミス/クラウド |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 導入期間の目安 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 最短6ヶ月 平均1年〜1年半 |
| 向いている企業 | 食品の製造・卸で、配合表とロット・期限の管理を前提に販売から原価まで揃えたい企業 | 化学・食品で、双方向のロット追跡や取引先別の品質規格、複数単位換算を標準機能で満たしたい企業 | 食品・医薬品・化学品で配合と組立加工が混在し、原価ドライバー別の配賦まで求める中堅〜大手企業 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
生産形態を問わない統合タイプの比較
| サービス名 | Odoo | SAP S/4HANA Cloud | GLOVIA | OBIC7 | PROACTIVE | GRANDIT | Oracle NetSuite | Dynamics 365 Business Central | Infor SyteLine |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ (開発元: Odoo S.A.) | SAPジャパン株式会社 | 富士通株式会社 | 株式会社オービック | SCSK株式会社 | インフォコム株式会社 | 日本オラクル株式会社 | 日本マイクロソフト株式会社 | インフォアジャパン株式会社 |
| 対象規模 | 公式に記載なし | 中堅〜大企業 (年商・従業員数の記載なし。中小企業向けは別製品のSAP Business One) | 年商約30億〜1,000億円 (公式発表) | 公式に記載なし | 年商100億円以上 (公式FAQ。実績最多は年商100億〜500億円) | 年商30億〜300億円 (公式掲載事例の中心層。組立50億〜300億円/プロセス30億〜200億円) | 公式に記載なし (製造業向けページは「あらゆる規模のメーカー」との表現のみ) | 小中規模企業 (年商・従業員数の記載なし) | 中小・中堅企業 (年商・従業員数の記載なし。公式ページ間で表記に幅あり) |
| 対応する生産形態 | 公式に区分の明示なし (MRP・受注生産の補充ルールに対応) | 個別受注生産・プロセス製造(マスターレシピ)・繰返製造/カンバン | 個別受注生産(ETO)・受注生産(MTO)・見込受注生産(BTO)・見込生産(MTS) | 個別受注生産・量産・組立生産(製番調達方式とMRP調達方式を組み合わせ) | 見込生産・受注生産・個別受注生産(単一システムで混在に対応) | 繰返生産・個別生産・ハイブリッド型生産(プロセス製造は業種テンプレートで対応) | 公式に区分の明示なし (作業指示・バッチ処理・組立製造に対応) | 公式に区分の明示なし (MPS・MRPによる計画と生産オーダー管理) | ETO(個別受注設計)・MTO(受注生産)・ATO(受注組立)・MTS(見込生産)を含む混流生産 |
| 生産管理の搭載範囲 | 標準機能 (Shopfloor・品質管理はEnterprise版限定) | 標準機能 (生産計画・MRP・製造実行) | 標準機能 (GLOVIA One 生産 PRONES) | 標準機能 (生産管理情報ソリューション) | 標準機能 (生産計画・製造管理・在庫・品質・製造原価) | 標準機能 (生産管理・原価のアドオンモジュールあり) | オプション (製造関連モジュールを追加ライセンス) | 上位プラン限定 (製造機能はPremiumエディションのみ) | 標準機能 (MRP・有限APS・品質管理) |
| 部品構成(BOM) | マルチレベルBOM・バリエーション別BOM | BOM・ルーティング管理、設計BOM(EBOM)から製造BOM(MBOM)への変換 | BOMを中心に据えた設計。製番管理方式・MRP方式・発注点管理を製品ごとに組み合わせ | E-BOM(設計)とM-BOM(製造)の連携、PDM連携、ユニット単位の部品手配 | 複数BOMパターンを使い分け、在庫管理方式を選択 | BOMに基づく手配処理・製番別手配。BOMバージョン管理で代替原料の配合違いにも対応 | マルチレベルBOM、設計変更指示(ECO)。エンジニアリング用と生産用を分ける高度な部品表はオプション | 生産BOM(確定して運用)と工程(ルーティング)、作業センター・機械センターの容量計画 | 公式に記載なし (MRPによる手配計画に対応) |
| 製造原価 | 製造オーダーごとに構成部品の原価を追跡(在庫評価はFIFO・移動平均・LIFO・標準原価) | 標準原価・フルコスト、BOMとルーティングから原価構成に展開する製品原価計画 | 製造原価管理・会計連携までを標準機能でカバー | 生産側で部門別の製造原価配賦と自動仕訳連携、会計側で個別/総合/標準原価計算 | 直接費の直課と配賦パターン設定による間接費配賦、標準原価による予算シミュレーション | 製番ごとの予算・予定・実績比較、品目工程別の実際原価、間接費配賦 | LIFO・FIFO・平均・標準原価などの評価方法、原価テンプレートで人件費・機械費を算出 | 生産オーダー完了時に資材・工数・外注費・間接費を集計(標準原価・FIFO・移動平均・LIFO) | 公式に記載なし |
| 提供形態 | クラウド/PaaS/オンプレミス | クラウド(Public/Private)/オンプレミス | クラウド(マルチテナントSaaS) | オンプレミス/プライベートクラウド | SaaS/オンプレミス/IaaS(ハイブリッド導入可) | クラウド(サブスクリプション)/オンプレミス(買い切り) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(マルチテナントSaaS)/オンプレミス |
| 初期費用 | 要問い合わせ (導入支援費用は非公開) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 2,000万円〜(公式の目安) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (導入費・カスタマイズ費は別途) | 要問い合わせ |
| 月額費用 | Odoo本体: スタンダード US$31.10/ユーザー/月、カスタム US$61.00/ユーザー/月(年払い) 米ドル建てで、税の扱いは公式に記載なし 導入支援費用は別建て・要問い合わせ | 要問い合わせ (ユーザー換算のライセンス制) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (基本料金+ユーザー数の従量課金) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (年間ライセンス制) | Essentials 11,994円/ユーザー/月、Premium 16,491円/ユーザー/月(年払い・税別) 製造機能はPremiumのみ | 要問い合わせ |
| 導入期間の目安 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 最短6ヶ月・平均2年前後 (生産管理モジュール) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 向いている企業 | 必要な業務から段階的に始めたい中小〜中堅の製造業 | 海外拠点を含むグループ全体を単一のデータ基盤で統合したい中堅〜大企業 | 年間売上高30億〜1,000億円規模で、会計・人事・販売・生産を国産クラウドERPに統合したい企業 | 個別受注と量産が混在し、導入から保守までを自社一貫体制のベンダーに任せたい中堅〜大企業 | 年商100億円以上で、複数の生産形態を1つのシステムに載せたい中堅〜大企業 | 年商30億〜300億円規模で、業種別のアドオンを組み合わせて自社仕様に寄せたい製造業 | 190以上の通貨・27以上の言語に対応する基盤で、海外拠点まで含めて基幹を一本化したい中堅〜大企業 | Microsoft 365と同じ基盤で使いたい、費用の目安を先に押さえたい中小〜中堅の製造業 | 中小・中堅の組立/プロセス製造業で、設備能力を考慮した生産スケジューリングまで求める企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・機能は2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報にもとづきます。税の扱いは各表の記載のとおりで、Odooの月額のみ米ドル建て・税の扱いは公式に記載がありません。実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
製造業向けERP22選の特徴
各製品について、対応する生産形態、生産管理の搭載範囲、部品構成と製造原価の扱い、提供形態と料金を整理します。あわせて、どういう企業には合わないか、どういう企業なら候補に入るかも記載しました。
導入実績の数字にも触れていますが、公表の単位は各社でばらばらです。社数で示す製品、出荷本数で示す製品、特定業種に限った数を示す製品があり、集計時点が明示されていないものもあります。製品間で大小を比べられる数字ではないため、その製品にどれだけの利用実態があるかの目安として読んでください。
個別受注生産に強いタイプ
案件ごとに仕様が変わり、案件別の原価と進捗を進行中に把握したい企業に向く製品群です。
1. TECHS-S/TECHS-BK(株式会社テクノア)

テクノアが1994年から展開する中小製造業向けの生産管理システムで、対象業種によって製品が分かれます。個別受注型の機械・装置業向けがTECHS-S、多品種少量型の部品加工業向けがTECHS-BKです。TECHSシリーズ全体の累計出荷本数は4,500社を超えています(2024年11月時点)。
TECHS-Sは部品マスタを事前に登録しなくても運用でき、CADやExcelの部品表データを案件ごとに取り込みます。一品一様の図面から始まる案件でも、製番別の原価グラフで仕掛原価と完成予想原価を追えます。ただし標準機能は購買・工程・原価管理までで、見積機能と在庫管理はオプションです。
提供形態は、オンプレミスのTECHS-Sと、ブラウザで完結するクラウド版のTECHS-S NOAに分かれます。TECHS-Sは公式サイトに価格の記載がなく要問い合わせ、TECHS-S NOAは初期費用1,250,000円〜・月額45,000円〜(税別、アカウント数とオプション内容で変動)で、引合から発注、売上・入金までを標準で網羅します。
一方のTECHS-BKは、アセンブリ品の親子部品展開と納期展開に対応した多段BOMを備え、製番ごとの原価を進行中に確認できます。
料金は受発注・販売管理のみのMiniが初期費用630,000円〜・月額21,000円〜、原価管理と工程管理が加わるBasicが840,000円〜・32,000円〜、在庫管理まで含むStandardが880,000円〜・35,000円〜(いずれも税別、ハードウェア費用は別途)です。
会計は機能一覧に含まれず、TECHS-S NOAは財務会計ソフトとの連動で対応する構成のため、会計まで1つのパッケージにまとめたい場合は範囲が足りません。また2製品は対象業種が明確に分かれているので、自社の作り方が機械・装置の組み立てと部品加工のどちらに近いかを先に整理しておくと、見積もりの前提がずれずに済みます。
会計ソフトは今のまま使い続け、まず生産管理と原価管理を立て直したい中小の製造業が候補になります。機械・装置の組み立てが中心ならTECHS-S、部品加工が中心ならTECHS-BKと、入り口の製品が分かれます。
2. rBOM(DAIKO XTECH株式会社)

設計図面ではなく部品表(BOM)を情報管理の中心に据える、という考え方をそのまま製品名にしたのがrBOMです。DAIKO XTECH(旧社名: 大興電子通信)が、個別受注生産・多品種少量生産を行う製造業向けに提供しています。
引合・見積・受注・債権管理を担う販売管理と、発注・在庫・原価・予算管理を担う生産管理を、1つのパッケージで提供する製販一体の構成です。「リアルタイム統合部品表」を軸に、営業・設計・資材・製造・経理の各部門が同じデータを参照します。対応業種として公式が挙げるのは、半導体製造装置、真空装置、工作機械、化学機械、配電盤製造、医療用装置などです。
部品表を軸に置くことで、仕掛品の原価を進行中に把握でき、部品の手配状況はステータス表示とガントチャートで追えます。CADの設計変更が設計部品表にも反映されるようになったという導入事例もあり、設計変更が頻発する案件で図面と部品表のずれを抑えたい企業が主な対象です。在庫評価は月次総平均法と最終仕入単価法に対応し、提供形態はオンプレミスとクラウドから選べます。
ただし初期費用・月額費用はいずれも公開されておらず、要望のヒアリングを経た個別見積もりになります。無料トライアルの案内もないため、費用の目安を早い段階で固めたい場合は問い合わせが前提です。サポート窓口の受付時間や保守メニューも公式サイトでは確認できないので、導入後の運用体制は商談の場で確認しておきたいところです。
設計と製造で部品表が二重管理になっている個別受注型の製造業、とくに装置や工作機械のように案件の途中で仕様変更が入る現場に向きます。費用は個別見積もりのため、要件を固めてから金額を確かめる進め方になります。
3. BIZXIM製番(株式会社NTTデータ関西)

多品種少量の受注生産・個別受注生産を行う製造業に照準を合わせた基幹業務パッケージです。提供元は、NTTデータの完全子会社である株式会社NTTデータ関西です。
中核にあるのは製番管理です。受注した案件ごとに固有の番号を付け、見積・設計・調達・製造・原価をその番号にひもづけます。部品表はストラクチャー型の製番別BOMで、実績だけでなく計画情報も可能な範囲で取り込むため、完成品・ユニット・部品・素材のどの階層でも進捗と原価の予実を確認できます。
業務範囲は、販売管理(見積・受注・出荷・売上・入金)と生産管理(生産計画・購買・工程・在庫・原価)に加え、生産スケジューラ、サービス予定・履歴やクレーム情報を扱う顧客サービス管理、承認ワークフローとログ管理を担う内部統制管理まで及びます。財務管理はオプション扱いです。納品後の定期点検や保守パーツの対応まで同じ案件番号で追いたい企業に向く範囲設定といえます。
料金は初期費用・月額とも非公開で、要問い合わせです。動作環境はWindows ServerとOracle Databaseが公式に明記されている一方、クラウド専用プランの有無は公式サイトでは確認できませんでした。サーバーを自社やデータセンターに用意せず、SaaSとして契約したい企業は、この点を最初に確認しておきたいところです。
Windows ServerとOracle Databaseの環境を自社やデータセンターに用意できることが前提です。そのうえで、引合から納品後の保守までを1つの案件番号で追いたい多品種少量の受注生産型であれば、検討対象に入ります。
組立・量産に強いタイプ
同じ製品を繰り返し作り、所要量計算による部材手配で欠品と過剰在庫の両方を抑えたい企業に向く製品群です。
4. mcframe(株式会社ビジネスエンジニアリング)

mcframeは単一の製品名ではなく、株式会社ビジネスエンジニアリングが1996年から展開する製造業向け基幹業務パッケージの総称です。国内向けにはオンプレミスのmcframe 7とクラウドのmcframe Xがあり、生産・販売・在庫を担うSCM、原価管理のPCMといったモジュールで構成されます。
対応する生産形態は見込生産・受注生産・半見込生産で、これらを組み合わせて運用できます。部品構成は多拠点・ライン別に持てるほか、同一品目でも内製と外注、工場別、季節別で異なる構成表を登録できるため、製番生産とロット生産が混ざる手配にも対応します。
原価管理では、連続生産に用いる総合原価計算と、製造指図書別の個別原価計算の両方を備え、標準原価・実際原価・予算原価を比較した差異分析まで行えます。料金は全系統とも公開されておらず、導入方法やモジュール構成によって変わるため、見積もりが前提になります。
一方で、系統ごとに主眼が異なる点は確認が必要です。海外現地法人向けのmcframe GAは会計が中心で、生産管理を主眼とする国内向けの系統とは性格が異なります。また国内向けの対応機能として公式が挙げているのは生産・販売・購買・原価とCO2排出量管理で、会計まで1本にまとめたい場合は範囲を確かめてから比較することになります。
見込生産と受注生産が同じ工場に混在し、拠点やライン別に部品構成を持ち分けたい企業と範囲が合います。会計は既存システムを残し、生産・販売・購買・原価をこちらに寄せる構成が基本形です。
5. Factory-ONE 電脳工場(株式会社エクス)

中堅・中小の製造業を対象に、生産計画から手配・発注・受入・在庫・進捗・原価までを扱う生産管理パッケージです。株式会社エクスが1995年に販売を開始し、公式サイトには販売開始から約30年で2,000本を超える導入実績と記載されています(社数ではなく本数での公表)。
手配はMRP手配と製番手配の双方に対応します。階層型の品目構成マスターから正味必要量を算出し、まとめ・まるめ処理とリードタイムオフセットを加味した発注予定を作成する流れです。原価は製番別の実際原価をリアルタイムに集計し、材料費・加工費・経費・間接費を見積金額と対比できます。
販売管理(受注・売上・請求・入金)も標準機能に含まれます。会計は勘定奉行・PCA会計・大蔵大臣などとの連携が公式に明記されているため、既存の会計システムを残したまま生産管理と販売管理を入れ替える構成が組めます。提供形態はオンプレミスとクラウドから選べ、開発・販売・導入支援を範囲に含むISMS認証を同社が取得しています。
注意したいのは、生産形態に応じて複数の区分でラインアップされている点です。どの区分が自社の作り方に対応するかは製品ページの記述だけでは読み取りにくく、問い合わせやカタログでの確認が前提になります。初期費用・月額とも公開されていない点も、予算の当たりを先に付けたい場合には手間になります。
会計システムは現状のまま使い続け、生産管理と販売管理だけを入れ替えたい中堅・中小の製造業に合う構成です。MRPで手配する品目と製番で手配する品目が社内に混在していても、1つの製品で扱えます。
6. FutureStage 製造業向け生産管理システム(株式会社日立システムズ)

導入の起点に業種別テンプレートを置いているのが特徴です。自動車部品業向けは見込データ・EDI取引・仮単価、金属加工業向けは工具管理・単位換算・材料仕様、一般機械製造業向けは個別受注原価計算と特急発注への対応を含む内容が用意されています。
株式会社日立システムズが販売管理・生産管理・在庫管理・購買管理を一体で提供しており、見込生産・受注生産・個別受注生産(製番管理)と、これらを組み合わせたハイブリッド生産に対応します。原価は品番別・製番別・ロット別に把握できます。
所要量計算は製番部品表を参照し、部材の入出庫予定・最小ロット数・リードタイムを加味して手配を作成します。試算段階の手配指示数は日別カレンダーで在庫推移を見ながら調整でき、子部品を含めた調整にも対応します。提供形態はオンプレミスとAWS上のプライベート環境で、導入期間は最短3ヶ月とされています。
初期費用・月額とも公開されておらず、金額は見積もりで確認することになります。また配合表やロット・期限の管理が中心となるプロセス製造には、同社はRoss ERPを別途取り扱っており、本製品は組立・加工が主対象です。同名のFutureStageを別会社が商社・卸向けに提供しているため、問い合わせ先の確認も必要です。
自社が自動車部品・金属加工・一般機械のいずれかに当てはまるなら、要件をゼロから積み上げずテンプレートを土台に始められます。保守期限などで稼働時期が先に決まっている中堅・中小の製造業にとっては、最短3ヶ月という導入期間の目安も判断材料になります。
7. InfiniOne 組立製造業向けERPソリューション(FutureOne株式会社)

見込生産型・受注生産型・ファブレス型という3つの区分で対応方式を分けているのが、FutureOne株式会社の組立製造業向けソリューションです。基幹パッケージInfiniOne ERPを組立製造業向けに構成したもので、販売・購買・在庫・生産・原価・財務会計を1つのシステムで扱います。
見込生産型は製品計画と部品表をもとにMRPを実行し、シミュレーションで製造指示と発注手配を組み立てます。受注生産型は案件単位の収益管理と原価計算に対応し、ファブレス型では外注先の在庫状況の把握や、外注先による納期回答・出荷実績入力まで扱えます。自社製造と外注委託が混在する体制でも、方式を使い分けて運用できる設計です。
原価面では、実際原価計算の金額と会計上の製造原価明細書を突き合わせ、原価要素ごとの差異を確認できます。海外向けの発注や輸出入を含む貿易管理も機能に含まれます。提供形態はMicrosoft AzureとAWSに対応したクラウドとオンプレミスで、料金は要問い合わせです。
一方で、部品構成(BOM)管理や設計変更管理そのものを独立した機能として説明した記載は、公式ページでは確認できません。部品表は所要量計算の前提として登場する扱いのため、設計変更の履歴管理まで求める場合は個別に確認が必要です。組立製造業向けのページにはプロセス製造業向けの機能も併記されており、どちらの区分の説明かを見分けて読む必要もあります。
自社の工場と外注先の両方で作っている組立製造業で、財務会計まで同じシステムに載せたい場合の候補です。一方、設計変更の履歴管理を要件の中心に置くなら、その対応可否を確かめてから比較対象に加える形になります。
8. SMILE V Air/生産革新シリーズ(株式会社大塚商会)

どちらも株式会社大塚商会の製品ですが、SMILE V Airと生産革新シリーズは別の基盤で提供されています。前者は販売・会計・人事給与をクラウドで扱う基幹業務システム、後者は生産形態ごとに製品が分かれた生産管理システム群です。
生産革新シリーズは、繰返生産・量産加工がRyu-jin、製品構成が決まった標準品の見込生産・受注生産がFu-jin、繰返生産と個別受注生産が混在するハイブリッド型がRaijin、配合表に基づく製造がBlendjin、多品種小ロットの加工業がWun-jinという区分になっています。
設計部門の部品構成を扱うBom-jinは、設計部品構成(E-BOM)から製造部品構成(M-BOM)への連携を担い、Fu-jinやRaijinと組み合わせて使います。原価はFu-jinが標準原価の積み上げ、Raijinが標準原価・実際原価と予算対比、Ryu-jinが標準原価・実際原価と間接費配賦に対応します。
基盤の違いは契約にも関わります。生産革新シリーズのうちWun-jinのみがSMILE V Air配下のクラウド専用で、他の5製品はオンプレミス系のSMILE V 2nd Edition配下です。
公開されている料金はSMILE V Air側だけで、初期費用158,000円から、月額はデータベース費20,620円+モジュール18,150円+1ユーザー1,810円から(いずれも税別)となっており、30日間の無料体験版も用意されています。
生産革新シリーズ側は全製品が要問い合わせのため、生産管理と基幹業務の両方を入れるなら、2つの見積もりを足して比較することになります。またWun-jinは所要量計算を意図的に搭載しておらず、部材の自動手配を目的とする場合は対象から外れます。
繰返生産や配合型など、自社の作り方に対応する製品を選び分けられることが前提になります。生産管理はオンプレミス系、販売・会計・人事給与はクラウドという2契約の組み合わせを受け入れられる企業であれば、現場と管理部門の両方を同じベンダーで揃えられます。
9. UM SaaS Cloud(株式会社シナプスイノベーション)

Salesforce Platform上に構築されたクラウド専用の製品で、見積・受発注・生産管理・原価管理を6つのモジュールの組み合わせで扱います。提供元の株式会社シナプスイノベーションは、2026年3月にシャープ株式会社が全株式を取得して子会社となりました。
中核となるUM工程進捗が、生産計画から所要量計算、製造指示、工程進捗までを担当します。1つの品目に対して複数の品目構成を登録でき、ロットトレースにも対応します。実績入力はスマートフォンやタブレットのほか、ハンディターミナル、バーコード、RFID、計量器など複数の方式から選べます。
原価はUM原価を追加すると、品目単位・品目+ロット単位・品目+製番単位で算出でき、活動基準原価計算による間接費配賦にも対応します。料金は基本パックが月額35,000円、業務モジュールが10IDあたり月額15,000円からと公開されており、基本パックとUM工程進捗を組み合わせた月額50,000円という利用例も示されています。契約は1年単位です。
対応する生産方式は個別受注生産から見込生産まで幅広い一方、提供はクラウドのみで、オンプレミスの選択肢はありません。またUMガント・UM生産計画AI・UM原価・UM EDIの料金は公開されておらず、導入費用も個別見積もりのため、公開されている金額だけで総額を見積もることはできません。
サーバーを持たずクラウドだけで生産管理まで完結させたい企業向けで、公開されている導入事例は従業員11〜100人規模が中心です。ハンディターミナルや計量器など、現場の実績入力の手段を自社の運用に合わせて選びたい場合にも合います。
10. アラジンオフィス(株式会社アイル)

販売・在庫・購買管理を本体とし、そこに必要な機能をオプションで足していく構成を採っています。株式会社アイルが提供し、導入実績は5,000社以上と公式サイトに記載されています(集計時点の明示はありません)。
生産管理は本体の標準機能ではなく、製造業向けオプションとして追加します。内容は生産計画入力、所要量計算、工程指示・製造指示の入力、製造実績入力、工程進捗の照会で、所要量計算は製品の構成表(BOM)を参照して必要な原材料や部品の数量を自動算出します。
工程進捗はガントチャートや一覧形式で確認でき、機械別・商品別の把握にも対応します。製造原価は、製品ごとの原価・粗利の把握とロット管理に対応します。本体側にはファッション・食品・鉄鋼・ねじ・工具などの業種特化パッケージがあり、業界固有の商習慣に合わせた機能を選べます。
料金は初期費用・月額とも公開されておらず、見積もりを取るときはオプションを含めた構成で金額をそろえる必要があります。BOM管理そのものの仕様(多段階構成の扱いなど)は公式に公開されておらず、クラウド版のアラジンクラウドで生産管理オプションを使えるかも公式ページには明記がありません。生産管理を主目的に据えるなら、この2点は先に確認しておきたいところです。
販売・在庫管理の刷新が主目的で、生産管理は所要量計算と工程指示があれば足りるという企業に向く構成です。生産管理を検討の中心に据えるなら、オプションの範囲で自社の要件が収まるかを先に確かめることになります。
プロセス製造に対応するタイプ
配合表による製造と、ロット・期限の追跡が求められる食品・化学・医薬品などの企業に向く製品群です。
11. スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行)

内田洋行が1997年から展開する統合基幹業務パッケージ「スーパーカクテルCore」シリーズのうち、食品製造業・食品卸売業に対象を絞った系統がCore FOODsです。販売・生産・原価の3モジュールで構成され、統合導入と単体導入のどちらも選べます。販売・生産モジュールについては、食品業(食品卸業・食品製造業)で80以上の細業種に利用されていると公表されています(社数ではなく細業種数での公表です)。
生産モジュールは配合表(レシピ)管理を備え、需要計画から製造指図、原材料の手配、工程・進捗管理までを扱います。ロット管理では原材料から製品、製品から原材料の双方向で追跡でき、販売モジュール側では賞味期限・消費期限・有効期限を踏まえたロット出荷を支援します。
原価モジュールは工数入力と労務費・経費の按分で製造原価を求め、ジャンル別・業態別・商品別の原価計算や、原価の変動と販売価格の変更が経営に及ぼす影響のシミュレーションに対応します。2024年12月には、直営店やEC店舗を持つ食品製造小売業向けに、店舗と本部の業務を一元管理するCore FOODs STOREが加わりました。
料金は初期費用・ライセンス費用とも公開されておらず、見積もりの取得が前提になります。提供形態はクラウド(IaaS)が明記されている一方、オンプレミスでの提供可否は公式ページからは読み取れません。軽減税率・インボイス制度・電子帳簿保存法への対応は明記されていますが、HACCPの工程管理や食品表示法への対応可否は製品ページに記載がないため、要件に含む場合は個別の確認が必要です。
賞味期限や消費期限の管理が日々の出荷業務に直結する食品メーカー・食品卸が該当します。直営店やEC店舗も持つ食品製造小売業であれば、店舗と本部を一元管理する系統も選択肢に入ります。
12. Ross ERP(米 Aptean 社/日本提供: アプティアン・ジャパン株式会社)

化学・食品を中心としたプロセス製造向けに、生産・在庫・原価・販売購買・会計を標準機能でまとめたERPです。開発元は米国のAptean Inc.で、日本では同社の日本法人であるアプティアン・ジャパン株式会社が製品情報を発信し、日立システムズなど3社の国内パートナーが取り扱っています。
配合管理では、投入する原料ロットに設定された純度や濃度、幅や長さといった規格値から、必要な投入数量を自動計算します。在庫は荷姿別の単位変換、規格値による換算、ロット別の二元管理に対応し、ロットの追跡は在庫・販売・購買・生産の情報から双方向で検索できます。賞味期限・有効期限・再試験の製品管理、取引先別の品質規格による在庫引当と出荷指示も標準搭載です。
原価計算は上流工程から下流工程への流し計算で工程別・品目別に行い、販売管理の実績データを自動収集して粗利まで同時に算出します。提供形態はオンプレミスとクラウドの両方に対応。導入実績は国内販売パートナーである日立システムズが全世界2,500社以上、日本100社以上と公表しており、同社は問い合わせ窓口としてフリーダイヤル(受付は平日9時〜17時)を設けています。
料金は開発元・国内パートナーのいずれの公式ページにも掲載がなく、要問い合わせです。連産品や副産物の原価配分については、国内の公式ページに具体的な仕様の記載がないため、複数の製品へ原価を割り振る要件がある場合は事前の確認が要ります。クラウド版の基盤も、国内パートナーの資料とAptean本社の資料で記載が分かれています。
原料の純度や濃度によって投入量が変わる製造をしていて、ロット追跡から会計までを標準機能でまかないたい化学・食品メーカーなら候補に入ります。国内では販売パートナー経由の導入となるため、窓口となる会社ごとの支援体制もあわせて見ることになります。
13. STRAMMIC(株式会社ニッセイコム)

生産管理を中核に、販売物流管理・調達管理・原価管理の4領域を統合する製造業向けの基幹業務システムです。提供元は1974年設立のニッセイコムで、食品・医薬品・化学品といったバッチ・プロセス系の製造と、組立加工などのディスクリート系の双方を対象としています。
生産管理モジュールのSTRA PMは品目構成(BOM)管理を標準で持ち、同一品目の複数バージョン管理と配合管理に対応します。所要量計算はリジェネレーション方式とネットチェンジ方式の両方が使えるほか、電子天秤から計量値を自動で取得し、投入ミスを防ぐ秤量システム連携も備えます。
原価管理のSTRA CAは活動基準原価計算(ABC)を採用し、原価ドライバーを複数設定して配賦できます。予算BOMや予算単価を登録すれば、原料単価・固定費・稼働率・品目構成を変数にした予算原価のシミュレーションも行えます。4つのモジュールは一括導入せず、必要な機能から順に導入できると公式FAQに案内されており、提供形態はオンプレミスとクラウド(IaaS)から選べます。
公式に示されている利用企業は中堅から大手で、導入期間の目安は最短で6ヶ月、平均は1年〜1年半とされています。短期間での立ち上げを優先する場合や小規模での利用には向きません。料金は初期費用・ライセンス費用とも非公開で、モジュール単位で導入する際の組み合わせの制約や最小単位、追加費用も公式には示されていません。
バッチ製造と組立加工が社内に併存し、必要なモジュールから順に広げていきたい中堅〜大手の製造業を対象としています。平均1年〜1年半という導入期間を計画に織り込めることが、検討に入る前提です。
生産形態を問わない統合タイプ
複数の作り方が混在する、あるいは会計・人事や海外拠点まで含めて基幹を1本化したい企業に向く製品群です。
14. Odoo(株式会社マルウェブ)

Odooは、ベルギーのOdoo S.A.が開発するオープンソースERPです。会計・CRM・販売・在庫・製造・購買・人事など30以上の業務領域をアプリ単位で持ち、必要な範囲から段階的に導入できます。
日本での導入を担う株式会社マルウェブはOdoo Learning Partnerで、要件定義とフィット&ギャップ分析から、独自の業務ロジックを実装するアドオン開発、日本向け帳票の構築、既存システムからのデータ移行、会計ソフトやECモールとの連携開発までを一貫して支援します。
生産管理では、マルチレベルのBOMに基づく生産オーダー管理、各ワークセンターのOEE(設備総合効率)とキャパシティをもとに作業を組むMRPスケジューラ、製造オーダー単位での構成部品コストの追跡に対応します。在庫評価はFIFO・移動平均・LIFO・標準原価から選べます。
費用は2本立てです。Odoo本体は全アプリを使えるスタンダードが1ユーザーあたり月額US$31.10、ノーコード拡張やマルチカンパニーを含むカスタムがUS$61.00と公開されています(いずれも年払い、2026年8月時点。日本円建ての表記はありません)。マルウェブの導入支援費用は非公開のため、総額は見積もりで確認することになります。
注意したいのは、無償のCommunity版には品質管理アプリやPLM、現場向けのShopfloorが含まれない点です。これらは有償のEnterprise版の機能で、公式のクラウドホスティングとサポートも有償版に付きます。品質記録やバーコード運用まで求めるなら、有償版を前提に検討することになります。
必要な業務のアプリだけを先に入れて、生産管理や会計へ順に広げていきたい企業から検討できます。ユーザー単価が公開されているため本体の費用感は早い段階で試算でき、そのうえで導入支援の費用を別途見積もる形になります。
15. SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン株式会社)

ドイツのSAP SEが開発する統合基幹業務システムのクラウド版で、日本での提供はSAPジャパン株式会社が担います。財務・調達・在庫・生産・販売・人事を、インメモリデータベース上の単一のデータ基盤で扱う構成です。
SAPは2025年にクラウド版の呼称を「SAP Cloud ERP」へ整理しており、旧称の「SAP S/4HANA Cloud」の表記も併存しています。表記が違っても、同じ製品を指します。
生産領域には、需要・在庫・容量制約を踏まえた生産計画とMRP、生産指図の作成から現場実績の反映までを行う製造実行、検査計画と結果記録の品質管理があります。対応する作り方は、個別受注生産、マスターレシピによるプロセス製造、繰返製造・カンバンにおよびます。
部品構成は製品マスタ・BOM・作業手順・作業区として管理し、設計部品表を製造部品表へ変換する機能も用意されています。原価は、棚卸資産評価に使う標準原価と、販管費の配分を加えたフルコストを分けて扱い、BOMと作業手順のデータから原価の内訳へ展開できます。
提供形態は、標準機能に業務を合わせるPublic Edition、独自開発によるカスタマイズができるPrivate Edition、オンプレミスの3つです。料金は公式の定価表がなく個別見積もりで、FUEと呼ぶユーザー換算方式で課金されます。30日間の無償トライアルが用意されています。
導入はパートナーによるシステム構築を前提とした進め方になるため、申し込んですぐ使い始める製品とは検討の手順が変わります。Public EditionとPrivate Editionではカスタマイズの可否とバージョンアップの扱いが異なるので、見積もりがどちらを前提にしたものかは最初に確かめておきたい点です。
海外子会社を含むグループの数字を同じ基盤で見たい中堅〜大企業に向きます。パートナーと構築を進める体制と期間を確保できることが前提で、標準機能に業務を合わせるか独自開発を許容するかによって、見積もりの前提も変わります。
16. GLOVIA(富士通株式会社)

富士通株式会社は2026年4月22日から順次、企業規模別に分かれていたGLOVIA SUMMIT・GLOVIA iZ・GLOVIA きららの3系統をGLOVIA Oneに統合しました。会計・人事給与・販売・生産の4領域を、Microsoft Azure上のマルチテナントSaaSとして提供します。
このうち製造業向けにあたるのがGLOVIA One 生産 PRONESです。個別受注生産(ETO)から受注生産(MTO)、見込受注生産(BTO)、見込生産(MTS)までに対応し、製番管理方式・MRP方式・発注点管理を製品ごとに組み合わせて運用できます。
部品構成(BOM)を中心に据えた設計で、受注管理・生産計画・購買・製造・出荷に加え、製造原価管理と会計連携までを標準機能でカバーします。多通貨やInvoice取引といった海外取引の機能も標準パッケージに含まれます。対象は年間売上高30億〜1,000億円規模の日本企業と公式に示されています。
初期費用・月額費用はいずれも公開されておらず、要問い合わせとなります。統合から日が浅いため、旧3系統の名前で集めた情報が現行の仕様と一致しないことがあります。
また、食品・化学・自動車部品などの業種テンプレートを持っていたGLOVIA smartとGLOVIA Oneの関係は、公式には示されていません。業種テンプレートを前提に検討する場合は、現在の提供状況の確認から入ることになります。
公式が対象として示すのは年間売上高30億〜1,000億円の規模です。製番管理とMRPを製品ごとに使い分けたい企業や、会計・人事給与まで含めて国産ベンダーのSaaSに寄せたい企業が該当します。
17. OBIC7(株式会社オービック)

会計・人事給与・就業・販売・生産を必要な部門から組み合わせるコンポーネント型のERPで、株式会社オービックが自社で開発し直接販売しています。製造業で中心になるのは、このうち生産管理情報ソリューションです。
個別受注生産・量産・組立生産に対応し、製番調達方式とMRP調達方式、組立型と配合型の生産管理方式を組み合わせて1つのシステムで運用できます。業種テンプレートも、一般機械や自動車部品などの個別受注型と、配合食品・医薬品・塗料などの配合型の2系統が用意されています。
部品構成は、設計部門のE-BOMと製造部門のM-BOMを連携させ、PDMと構成情報・単価情報を共有できます。原価は、生産管理側で部門別の製造原価配賦と会計への自動仕訳連携を行い、会計側の製造原価計算システムで個別原価計算・総合原価計算・標準原価計算を扱う組み合わせです。
提供形態はオンプレミスと、顧客ごとに専用環境を構築するプライベートクラウドです。コンサルティングから設計・開発・稼働・運用サポートまでを自社の技術者が一貫して担当し、電話サポートは平日9:00〜17:30に対応します。料金は公開されておらず、個別の見積もりになります。
一方で、生産管理を単体で導入できるかどうかは公式サイトに明示がなく、販売管理や会計と組み合わせて統合する前提の説明になっています。生産管理だけを切り出して既存の会計システムを残したい場合は、導入範囲の相談から始める必要があります。
個別受注と量産、あるいは組立型と配合型が社内に混在していて、会計・販売も含めてまとめて刷新するタイミングであれば合います。窓口を1社に集約したい企業にとっては、開発から運用サポートまでを同社の技術者が担う体制も選定理由になります。
18. PROACTIVE(SCSK株式会社)

1993年のERPパッケージ販売開始から続く国産の統合型ERPで、2021年にクラウド版へ移行し、2024年11月に生成AI支援機能を加えた現行の形へ刷新されました。提供元はSCSK株式会社で、会計・人事給与・販売購買・生産管理を1系統でカバーします。
生産領域では、生産計画・製造管理・在庫管理・品質管理・製造原価計算を標準機能として提供します。見込生産・受注生産・個別受注生産を単一のシステムで混在させて運用できる設計だと公式に説明されています。
複数のBOMパターンを使い分けて在庫管理方式を選べるほか、工程単位の投入・出来高の実績記録と、製造指図単位での実績管理を品目ごとに使い分けられます。原価は直接費の直課と配賦パターン設定による間接費配賦で積み上げ、標準原価を使った予算シミュレーションにも対応します。
提供形態はSaaS・オンプレミス・IaaSで、法改正対応の多い会計・人事給与はSaaS、業界固有の要件が強い販売・生産管理はオンプレミスという組み合わせを公式が推奨しています。初期費用の目安は2,000万円からと公式のFAQに示されており、月額は基本料金にユーザー数の従量課金を足す形です。
対象は年商100億円以上の中堅〜大企業とFAQに明記されており、生産管理の導入期間も最短6ヶ月・平均2年前後とされています。投資規模と期間の両面で、小さく始めたい企業には向きません。PLMやEDIも他のソリューションとの連携が前提で、標準機能の外側に置かれています。
初期費用2,000万円からという水準と、生産管理で平均2年前後という期間を投資計画に織り込めることが前提になります。公式が対象に挙げる年商100億円以上の規模であれば、複数の作り方を1系統に集約する選択肢として検討できます。
19. GRANDIT(インフォコム株式会社)

複数のIT企業が次世代ERPコンソーシアムとして技術を持ち寄って開発した、国産のWeb-ERPです。ブランドの運営と製品の著作権はインフォコム株式会社が保有し、販売・導入・保守はプライムパートナー11社を含む国内70社以上のパートナー企業が担います。
会計・債権債務・販売・調達在庫・製造・人事給与を標準モジュールとして統合し、ワークフロー・EC・BIも標準で備えます。組立製造業向けのソリューションページでは、BOMに基づく手配処理と製番別手配、繰返生産・個別生産・ハイブリッド型生産への対応、製番別の個別原価管理と予実対比が説明されています。
プロセス製造には、連産品・副産物・中間品の管理と、配合表に基づく消費量計算を扱うテンプレートが用意されています。BOMのバージョン管理により、代替原料を使ったときの配合違いを同じBOMコードで管理でき、原材料から製品へ、製品から原材料へと双方向のロット追跡にも対応します。
ライセンスは、保守とメジャーバージョンアップを含むサブスクリプション型と、自社資産として持つオンプレミスの買い切り型から選べます。金額はいずれも要問い合わせです。公式ソリューションページの掲載事例は、組立製造業で年商50億〜300億円、プロセス製造業で年商30億〜200億円の企業が中心です。
気をつけたいのは、生産管理や原価計算の機能にパートナー各社が個別に開発したアドオンモジュールが含まれ、同じ名前でも提供元によって中身が異なる場合があることです。どこまでが標準モジュールで、どのパートナーのアドオンを前提にした提案なのかは、見積もりの段階で確かめておく必要があります。
公式の掲載事例は組立製造業で年商50億〜300億円、プロセス製造業で年商30億〜200億円が中心です。標準モジュールにパートナーのアドオンを組み合わせて自社の運用に寄せていく進め方を取れる企業であれば、候補に入ります。
20. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

会計・財務管理・受発注・在庫・倉庫・調達・サプライチェーン・グローバル経営管理を、単一のスイートに収めたクラウドERPです。日本での提供は日本オラクル株式会社が担い、公式サイトでは190以上の通貨・27以上の言語・200か国以上への対応を掲げています。
製造では、作業指示の作成・配布・監視、材料の自動引き落とし、仕掛品の追跡に対応します。需要とBOMから必要な原材料・部品と時期を決めるMRPに加え、出荷元の変更や時期調整を試すシナリオ検証、供給の不足と過剰を見るダッシュボードも用意されています。
部品構成はマルチレベルのBOMをリビジョン管理付きで持ち、設計変更指示(ECO)の承認ワークフローと連動します。原価はLIFO・FIFO・平均・標準原価などの評価方法に対応し、工程の定義と統合した製造原価テンプレートで人件費・機械費を算出します。
2024年7月には、日本の請求・税務規則への準拠を含む製造業向けの事前構成も発表されています。料金は定価が公開されておらず、年間ライセンスがコアプラットフォーム・オプションモジュール・ユーザー数の3要素で決まる仕組みだと公式が説明しています。
そのため、製造関連の機能がどこまで基本の契約に含まれ、どこからオプションになるかは構成次第で変わります。設計用と生産用を分ける高度な部品表もオプション機能とされているため、必要な機能を挙げたうえで構成と金額を確認するのが確実です。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応範囲も、あわせて確認しておきたい点です。
海外に販売や生産の拠点があり、会計から在庫・製造までを同じ基盤に置きたい企業であれば候補になります。製造機能の範囲が契約構成で変わるため、必要な機能を先に洗い出したうえで見積もりに進むと、比較が具体的になります。
21. Microsoft Dynamics 365 Business Central(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft 365やPower BIと同じベンダーの製品としてつながるクラウドERPで、財務会計・販売・購買・在庫・プロジェクト管理を1つに束ねています。公式サイトは小中規模企業向けと位置づけており、日本ではMicrosoft認定パートナー経由でライセンスを購入し、導入もパートナーが担当します。
ここで最初に押さえたいのが、製造機能を使えるのはPremiumエディションだけで、下位のEssentialsには含まれないことです。Essentialsのライセンスを持つ利用者はPremiumに設定した会社にサインインできないため、生産管理を使うなら組織全体をPremiumに揃える形になります。
Premiumでは、確定して運用する生産BOMと工程(ルーティング)、作業センター・機械センターの稼働カレンダーに基づく容量計画、MPSとMRPによる供給計画の自動生成を扱えます。生産オーダーの完了時には、消費した資材・工数・外注費・間接費を実際原価として集計し、標準原価・FIFO・移動平均・LIFOのいずれの方式にも対応します。
料金は日本円で公開されています。年払いなら1ユーザーあたり月額相当でEssentialsが11,994円、Premiumが16,491円、読み取りと承認に限ったTeam Membersが1,199円です(いずれも税別、2026年8月時点)。30日間の無料トライアルもあり、初期費用や導入・カスタマイズの費用は別途で金額の公開はありません。
製造機能に関する公式ドキュメントは日本語版が整備されておらず、日本語で開いても英語のページに切り替わります(2026年8月時点)。オンプレミスでの提供可否も公式ページからは読み取れないため、自社の環境で運用したい場合はパートナーへの確認が必要です。
すでにMicrosoft 365やPower BIを使っていて、同じベンダーの基盤で基幹業務まで揃えたい小中規模の製造業に向く選択肢です。生産管理を使う人数分をPremiumで計算すれば、ライセンス費用の目安は検討の初期に把握できます。
22. Infor CloudSuite Industrial(Infor SyteLine)(インフォアジャパン株式会社)

組立製造業とプロセス製造業を対象とした、製造業特化型のクラウドERPです。米国のInforが提供し、SyteLineという製品を前身として30年以上の実績があると公式が説明しています。日本ではインフォアジャパン株式会社と、日立システムズ・OKIなどの販売パートナーが導入を担います。
標準搭載する機能は、MRPと、設備の能力を考慮して計画を組む有限APS、品質管理、プロジェクト・サービス管理、在庫調達と複数倉庫の管理、財務管理です。対応する生産形態としては、個別受注設計(ETO)や見込生産(MTS)、受注組立、これらを混ぜた混合モード生産が公式ページに挙げられています。
提供形態はマルチテナントのクラウドが主軸で、オンプレミスを選べる旨の記載もあります。対象規模は公式ページの間で表現に幅があり、中小企業に適するとする記載と、規模に触れず複雑な製造オペレーションを挙げる記載が併存します。料金は初期費用・月額とも公開されておらず、要問い合わせです。
注意点は2つあります。1つは、部品構成(BOM)の詳細や製造原価の計算方法について、公式ページで確認できる記述が乏しいことです。部品構成の階層や原価計算の要件が重い企業は、この部分を個別に確認してから比較したいところです。
もう1つは、名称の近いInfor CloudSuite Industrial Enterpriseが、Infor BaanやInfor LNの利用者向けに案内される別製品である点です。
設備の空き状況を見ながら計画を組むところまでERP側に担わせたい、中小・中堅の組立製造業やプロセス製造業が検討対象です。個別受注設計と見込生産が混ざる作り方を1つのシステムに載せたい場合にも当てはまります。
ERPと生産管理システム・MESの役割分担
候補が見えてきた段階で整理しておきたいのが、どこまでをERPで担い、どこから別のシステムに任せるかという線引きです。ここを曖昧にしたまま要件を膨らませると、ERPに現場の実行管理まで求めて作り込みが膨らむ、という進み方になりがちです。

生産管理システムとの違いとどちらを選ぶか
生産管理単独のパッケージは、生産計画・所要量計算・工程管理・製造原価に機能を絞った製品です。導入範囲が狭いぶん費用と期間を抑えやすく、生産管理の作り込みも深い傾向があります。会計や販売は既存システムを残し、連携でつなぐ構成になります。
選択の基準は、解決したい課題が生産部門の中で完結するかどうかです。工程の進捗と部材手配だけが課題で、会計・販売は現状で困っていないなら、生産管理単独パッケージのほうが投資対効果は高くなります。試作や研究開発が中心で同じものを繰り返し作ることがほとんどない場合、拠点が1つで担当者が数名という規模の場合も、統合ERPは範囲が過剰になりやすい領域です。
一方、二重入力の解消や、生産実績を会計まで一気通貫でつなぐことが目的なら、統合されたERPを選ぶ意味があります。本記事で比較しているのは後者にあたる製品です。
同じ考え方は購買側にも当てはまります。発注申請と承認の流れ、仕入先ごとの単価管理といった調達業務だけが課題で、生産計画や製造原価は現行のままで困っていないのであれば、購買管理に範囲を絞った製品のほうが費用も導入期間も抑えられます。その場合の候補と選び方は以下の記事で扱っています。
ERPとMES(製造実行システム)の違い
ERPは経営資源の計画と管理を担い、いつ何をどれだけ作り、いくらかかったかを扱います。対してMESは製造現場の実行管理に特化し、作業指示の配信、設備の稼働状況、工程ごとの進捗をリアルタイムに把握します。時間の粒度が、ERPは日次や指図単位、MESは分単位や作業単位という違いだと捉えると分かりやすくなります。
両者は競合ではなく補完関係にあります。ERPが生産計画と部材手配を出し、MESが現場で実行して実績を返し、ERPが原価に反映するという流れです。ERPの生産管理機能だけで現場の細かい実績収集まで賄おうとすると、入力の負担が現場に集中して定着しないことがあります。設備からの自動収集が必要な水準であれば、MESの併用を前提に範囲を切り分けたほうが結果的に早く動きます。
SCM・PLMとの関係
SCM(サプライチェーン管理)は、調達から生産、物流、販売までの供給網全体を対象に、需要予測と供給計画を最適化する領域です。ERPが自社内の資源管理を担うのに対し、SCMは取引先を含む網全体を見ます。複数拠点・複数社にまたがる計画を扱う場合に必要になります。
PLM(製品ライフサイクル管理)は、企画・設計から生産、保守、廃棄までの製品情報を管理する領域です。設計部品表や図面、設計変更の履歴はここで管理され、製造部品表としてERPに引き渡されます。設計変更の反映漏れが課題になっている場合、ERP側の部品構成管理だけで解決するのか、PLMとの連携が必要なのかを見極めておくと、要件がぶれません。
導入前に押さえる注意点とありがちな失敗
最後に、稼働後につまずきやすい点を挙げます。
作り込みを増やしすぎない
既存の運用をそのまま再現しようとすると開発費が本体価格を上回り、バージョンアップのたびに改修が必要になります。標準機能に業務を合わせられる部分は合わせ、譲れない工程だけを作り込む線引きを、要件定義の前に決めておくのが現実的です。線引きの基準は「その手順を変えると売上や品質に影響が出るか」で、影響がないものは標準に寄せます。
現場の実績入力が続く設計にする
統合ERPの効果は、製造実績が入力されて初めて出ます。端末の設置場所、入力の手間、バーコードや設備連携による自動化の可否を、導入前に現場と詰めておく必要があります。ここを詰めずに稼働すると、原価管理だけが表計算ソフトに戻る事態になりかねません。
在庫削減が目的なら、運用の見直し余地を先に確かめる
在庫を圧縮すること自体が刷新の目的になっている場合、システムを入れれば在庫が減るとは限りません。発注ロットや安全在庫の持ち方に見直せる余地が残っていると、その分は運用で解決できてしまうためです。先に現行の在庫方針を点検しておくと、システムに求める要件も具体的になります。
既存システムとの連携範囲を先に決める
会計システムを残す、取引先とのデータ交換を継続する、設計側のシステムから部品構成を受け取る。いずれも接続の開発が必要で、見積もりに含まれているかは製品ごとに異なります。連携の対象と方式を一覧にしてから見積もりを依頼すると、比較可能な形になります。
費用の内訳を見積もり前に揃える
本体ライセンス、導入支援、データ移行、連携開発、教育、年間保守。この内訳のどこまでが提示額に含まれるかは製品ごとに異なり、総額だけを並べても比較になりません。依頼時に内訳の項目を指定し、同じ粒度で出してもらうことで、稼働後まで含めた費用の差が見えるようになります。
まとめ
製造業向けERPを選ぶうえで最初に効くのは、自社の作り方に製品が乗るかどうかです。個別受注生産、組立や量産、プロセス製造では、必要になる管理の中心が案件別の原価、所要量計算、配合表とロット追跡というように分かれます。生産形態でタイプを絞ってから、機能の深さと費用を比べる順序にすると、候補が整理しやすくなります。
あわせて確認したいのが、生産管理が標準機能か、オプションか、外部連携かという線引きです。ここが製品ごとに異なるため、同じ構成に揃えないと見積もりの比較になりません。複数の作り方が混在する場合は、両方式に対応する製品を選ぶか、売上構成比の大きいほうに寄せるかを、少数派の生産形態が利益に与える影響から判断します。
費用は公開している製品と要問い合わせの製品が混在し、対象とする企業規模によって桁も変わります。まずは自社の生産形態に合うタイプの製品から資料を集め、生産管理を含む構成での見積もりを取って比べてください。
どのタイプから見ればよいか迷う場合は選定診断に戻ると、生産形態と事業規模から候補が絞られます。会計・販売を中核とする製品まで含めて基幹システム全体を見比べたい場合は、以下の記事から候補を広げてください。
補助金・BOMのデータ移行・投資対効果の示し方など、導入を決める段で出てくる論点は、この後のよくある質問で扱っています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 製造業向けERPと「基幹システム」「生産管理システム」は、同じものを指しているのですか?
A. 3つは同義ではありません。「基幹システム」は業務を支えるシステムの総称で、特定の製品分類を指す言葉ではなく、製造業向けERPと生産管理システムはどちらもその中に含まれます。両者の違いは、会計・販売まで含めて1つの基盤に載せるか、生産管理に範囲を絞るかにあります。
この呼び分けは実務では曖昧に使われており、ベンダーの資料でも同じ製品が「基幹システム」「ERP」「生産管理システム」と呼び分けられていることがあります。社内で使っている「基幹システムの刷新」という言い方のまま問い合わせると、会計中心の提案と生産管理中心の提案が混ざって返ってきて、比較の土俵が揃いません。
問い合わせや情報収集の際は、「生産管理を含むERP」「生産管理システム」のように、どの業務までを1本にまとめたいのかを言葉にして伝えると、候補がずれにくくなります。なお「MRP」は所要量計算という計算方式の名前で、製品の分類ではありません。製品ページで見かけたときは、その方式を軸に設計されているという意味だと読み替えてください。
Q. 中小規模の製造業でも製造業向けERPは必要ですか?
A. 製造業向けERPが必要かどうかは、企業規模ではなく「部門ごとに情報が分かれ、同じ数字を入力し直しているか」で判断するのが実態に合います。従業員数が少なくても、受注情報を販売管理と生産管理の両方に入力し、原価を表計算ソフトで再集計している状態であれば、統合による効果は出ます。
近年はクラウドで提供され初期費用を抑えた製品が増えており、中小規模の製造業を対象とする製品では初期費用63万円程度・月額2万1,000円程度からという水準も公表されています。一方、拠点が1つで担当者も数名、課題が生産部門の中で完結するという場合は、統合ERPよりも生産管理単独のパッケージのほうが投資対効果は高くなります。
Q. 製造業向けERPのベンダーに問い合わせるとき、自社の情報は何を揃えて伝えればよいですか?
A. 製造業向けERPの見積もりは前提の置き方で金額が大きく動くため、問い合わせの時点で自社の前提を数字で揃えて渡すと、各社の提案を同じ条件で並べられます。揃えておきたいのは次の項目です。
- 生産形態と主な製品: 個別受注生産・繰返や量産・プロセス製造のどれか、混在ならおおよその比率
- 利用者数と拠点数: 事務所の利用者だけか、工場の現場端末を使う人数まで含めるか
- 品目数と部品構成の規模: 登録している品目の件数、部品構成の階層の深さ、移行したいマスタの範囲
- ERPに載せる業務範囲: 生産管理までか、販売・購買・会計まで含めるか。残す既存システムと、連携が必要なデータ
- 稼働希望時期と予算: 保守期限など動かせない期日があればその日付、初期費用と月額のどちらを抑えたいか
これらを伝えずに概算だけを求めると、各社が異なる前提で見積もりを作るため、金額の差が製品の差なのか前提の差なのか判別できなくなります。逆に前提を揃えておけば、資料請求の段階でも自社に当てはまる構成と価格帯を読み取れます。あわせて、社内で誰が回答できるのか(生産管理の運用は誰、既存システムの構成は誰)を先に押さえておくと、やり取りの往復が減ります。
Q. 製造業向けERPは生産管理から段階的に導入できますか?
A. モジュール単位・業務単位での段階導入に対応する製品は多く、生産管理と原価を先に切り替えて会計や人事は後追いにする進め方も選べます。複数の工場がある場合に、1拠点を先行させて横展開する進め方も同様です。
段階導入は初年度の投資と現場の負担を抑えられる一方、移行期間中は旧システムとの二重運用や暫定的なデータ連携が発生します。どの順序で、いつまでに全体を切り替えるかを最初に決めておかないと、暫定運用がそのまま定着してしまいます。
Q. 製造業向けERPを導入すると、既存の会計ソフトは使えなくなりますか?
A. 既存の会計ソフトを残したまま導入することは可能です。生産管理・販売・購買までをERPで担い、仕訳データを既存の会計ソフトへ渡す構成をとる製品は多く、会計の刷新を前提としない製品もあります。
ただし、連携部分には接続の開発費と保守費が別途かかり、不具合が起きたときの原因の切り分けが2社にまたがります。当面は既存の会計ソフトを残す場合でも、将来ERP側の会計機能へ寄せられるかを確認しておくと、次の刷新時に選択肢が残ります。
Q. 既存システムの品目マスタや部品構成(BOM)は、製造業向けERPに移行できますか?
A. 品目・取引先・在庫といったマスタはCSVなどでの取り込みに対応する製品が多く移行できますが、部品構成(BOM)は階層構造を持つため、移行前のデータ整備にもっとも手間がかかります。
設計と製造で別々に管理してきた部品表は、同じ部品に複数の品番が振られている、廃番品が残っているといった不整合を抱えていることが多く、そのまま取り込むと所要量計算の結果が信用できなくなります。過去案件の実績をどこまで遡って持ち込むかも作業量に直結します。
データ移行は本体価格とは別建ての見積もり項目になるため、移行する範囲と、データの整理を自社とベンダーのどちらが担うかを、見積もり依頼の時点で明示しておいてください。
Q. 製造業向けERPの導入で使える補助金はありますか?
A. 製造業向けERPの導入では、中小企業を対象とした「デジタル化・AI導入補助金」(旧・IT導入補助金)や「ものづくり補助金」を活用できる場合があります。デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録された支援事業者と登録ツールの組み合わせが対象で、ものづくり補助金は生産性向上のための設備投資とあわせてシステムを導入する場面が想定されています。
いずれも交付決定の前に契約・発注したものは補助の対象外になるのが原則で、公募の時期と要件は年度ごとに変わります。保守期限などで稼働時期が決まっている場合は、公募スケジュールと導入計画が噛み合うかを早い段階で確認してください。最新の要件は、デジタル化・AI導入補助金の公式サイトとものづくり補助金総合サイトの公募要領で確認してください。
Q. 無料・オープンソースの製造業向けERPは実務で使えますか?
A. 生産管理まで含むオープンソースのERPは実在しますが、ライセンス費用がかからない代わりに、日本の商習慣や原価計算・帳票への適合と、構築・保守を担う技術者を自社で確保できるかが実務利用の条件になります。
自社の要件に合わせて作り込むほど、改修とバージョンアップの負担は自社側に残ります。社内に開発体制がない場合は支援ベンダーへの委託費が積み上がり、商用のクラウド型より総額が高くなることもあります。ライセンス費だけで比べず、稼働後5年程度の総額で判断してください。
Q. 製造業向けERPの導入は、社内のどの部門が中心になって進めるべきですか?
A. 製造業向けERPの導入は、情報システム部門だけでは完結せず、生産管理・製造現場・購買・経理を横断した体制と、部門をまたいで決められる責任者が必要になります。扱う範囲が受注から部材手配、製造、出荷、原価計算までまたがるためです。
特に決まらないと工程が止まるのが、部門ごとに異なる品番の付け方や、原価を集計する単位といった全社共通のルールです。これらは各部門の合意が要るため、要件定義に入る前に決める場を設けておきます。あわせて、現場の実績入力の方法(端末をどこに置くか、バーコードや設備連携でどこまで自動化するか)は稼働後の定着を左右するので、製造現場の担当者を選定の段階から加えてください。
Q. 製造業向けERPの投資対効果は、どのように試算すればよいですか?
A. 製造業向けERPの投資対効果は、人員削減額ではなく、いま実際に発生している損失と作業時間を金額に置き換えて示すと、稟議での説明がしやすくなります。
材料になるのは、二重入力と月次の突合に費やしている工数、原価が締めのあとにしか見えないために赤字案件へ手を打てていない件数、部材の欠品による製造の停止と特急手配の費用、過剰在庫として寝ている資金です。いずれも現状の実績から自社で集計でき、統合後に何がどう変わるかを対にして書けます。
費用側は、本体ライセンスだけでなく導入支援・データ移行・連携開発・教育・年間保守まで含めた5年程度の総額で置くと、稼働後に想定外の追加費用が出にくくなります。
出典・参考資料(23件)
- 出典:デジタル化・AI導入補助金 公募要領・スケジュール|独立行政法人中小企業基盤整備機構
- 出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト 公募要領|全国中小企業団体中央会
- 出典:TECHS-S/TECHS-BK 製品ページ|株式会社テクノア
- 出典:rBOM 製品ページ|DAIKO XTECH株式会社
- 出典:BIZXIM製番 製品ページ|株式会社NTTデータ関西
- 出典:mcframe 製品サイト|株式会社ビジネスエンジニアリング
- 出典:Factory-ONE 電脳工場 製品ページ|株式会社エクス
- 出典:FutureStage 製造業向け生産管理システム 製品ページ|株式会社日立システムズ
- 出典:InfiniOne 製造業向けページ|FutureOne株式会社
- 出典:SMILE V Air 料金・製品ページ|株式会社大塚商会
- 出典:UM SaaS Cloud 製品サイト|株式会社シナプスイノベーション
- 出典:アラジンオフィス 製品サイト|株式会社アイル
- 出典:スーパーカクテルCore FOODs 製品ページ|株式会社内田洋行
- 出典:Ross ERP 製品ページ(製品概要)|アプティアン・ジャパン株式会社
- 出典:STRAMMIC 製品ページ|株式会社ニッセイコム
- 出典:Dynamics 365 Business Central 製品ページ|日本マイクロソフト株式会社
- 出典:Oracle NetSuite 製品サイト|日本オラクル株式会社
- 出典:Infor CloudSuite Industrial 製品ページ|インフォアジャパン株式会社
- 出典:GRANDIT 製品サイト|インフォコム株式会社
- 出典:PROACTIVE よくあるご質問(費用・導入期間・対象規模)|SCSK株式会社
- 出典:Odoo 料金ページ|Odoo S.A.
- 出典:GLOVIA One 提供開始に関するプレスリリース|富士通株式会社
- 出典:Ross ERP 製品ページ(導入実績・サポート窓口)|株式会社日立システムズ
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松嶋真倫
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