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電子帳簿保存法とは?3区分の【任意】【義務】と2024年1月完全義務化の実務をわかりやすく解説

電子帳簿保存法とは?3区分の任意・義務と2024年完全義務化のサムネイル画像

取引先から「今後は請求書をPDFでお送りします」と連絡が来た、社内で「電子帳簿保存法の対応、進んでいますか?」と聞かれた——電子帳簿保存法の名前を繰り返し目にしているものの、中身が具体的にイメージできない方は多いのではないでしょうか。

電子帳簿保存法は、帳簿や領収書などの国税関係書類を電子データで保存する場合のルールを定めた法律です。3区分(電子帳簿等保存/スキャナ保存/電子取引データ保存)のうち、電子取引データ保存だけが2024年(令和6年)1月1日から全事業者に義務化されており、他の2区分は任意で選択できます。

本記事では、3区分の全体像を1枚の表で押さえたうえで、義務化された電子取引データ保存で自社が具体的に何をすればよいか、売上5,000万円以下の緩和や「相当の理由」による猶予が使えるか、違反したらどうなるかを、国税庁の一次資料と条文に紐づけて解説します。

この記事を読むとわかること
  • 電子帳簿保存法を1文で押さえる全体像と、2024年1月からの義務範囲
  • 3区分(電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存)の【任意】と【義務】の切り分け
  • 義務化された電子取引データ保存の対象書類・要件・ファイル名ルールなど実務の進め方
  • 売上5,000万円以下の検索要件緩和と「相当の理由」による猶予の適用条件
  • 違反時の罰則(青色申告承認の取消し・会社法の過料・重加算税10%加重)の金額と条文根拠
  • 手作業運用とシステム運用の分岐、業務プロセスに埋め込む選択肢
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電子帳簿保存法とは?1文で押さえる全体像

電子帳簿保存法は、帳簿や領収書などの国税関係書類を電子データで保存する場合のルールを定めた法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(平成10年法律第25号)で、電子データでの保存を認めるとともに、その要件を定めています。

この法律は3つの区分で構成されており、それぞれ扱う対象と、任意か義務かが異なります。区分1「電子帳簿等保存」(自社で作成する帳簿・書類の電子保存)と区分2「スキャナ保存」(紙で受け取った書類のスキャン保存)は任意の制度で、自社の判断で導入するかを選べます。

区分3「電子取引データ保存」(メール添付PDFやECサイト経由など電子でやり取りした取引情報の保存)だけは、2024年(令和6年)1月1日から法人・個人事業主を問わず全事業者に義務化されています。以前は宥恕期間として書面出力での保存も認められていましたが、その期間は令和5年12月31日で終了しました。

出典・参考資料(2件)
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電子帳簿保存法の3区分と【任意】【義務】を1枚で比較

電子帳簿保存法を理解するうえで最初に押さえたいのが、3区分の切り分けと、それぞれが任意か義務かという骨格です。以下の対比表で、名前・扱う対象・任意/義務・要件の重さ・対応の急ぎ度を1枚で押さえてから、義務区分(区分3)の実務に入っていきます。

← 横にスクロールできます →
区分区分1 電子帳簿等保存区分2 スキャナ保存区分3 電子取引データ保存
扱う対象自社で電子的に作成した帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)や決算関係書類、自社が発行した書類の控え紙で受け取った請求書・領収書・契約書などをスキャナやスマートフォンで電子化して保存メール添付PDF請求書・ECサイトの領収書・EDI・クラウド請求書サービス経由の書類など、電子でやり取りした取引情報
任意 or 義務任意任意義務(2024年1月1日〜)
要件の重さ軽い(見読可能装置・システム関係書類の備付など)中程度(解像度200dpi以上・256階調・タイムスタンプ/訂正削除履歴・入力期限)重い(真実性の確保・可視性の確保の2要件)
対応の急ぎ度急がない(実施する場合のみ要件対応)急がない(紙原本を廃棄したい場合のみ要件対応)すでに全事業者が対応必須

※上記は国税庁「電子帳簿保存法一問一答」および電子帳簿保存法本則に基づく2026年8月時点の整理です。区分ごとの詳細な要件は本記事の各区分セクションで解説します。

3区分のうち最優先で対応すべきは区分3(電子取引データ保存)で、法人・個人事業主を問わず、電子で書類をやり取りする事業者は例外なく対応が必要です。区分1と区分2は任意なので、青色申告特別控除65万円や紙原本の廃棄といったメリットを狙う場合に選択します。

出典・参考資料(1件)

自社は電子帳簿保存法の対象か(法人・個人事業主・売上規模)

電子帳簿保存法の区分3(電子取引データ保存)は、法人・個人事業主を問わず、所得税および法人税の保存義務者に該当する事業者が対象です。これは電子帳簿保存法第7条に定められており、業種・売上規模による除外はありません。

「電子取引」とは、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などの取引情報を電磁的方式で授受する取引を指します。具体的には、メールに添付されたPDF請求書、ECサイトからダウンロードした領収書、EDIによる取引データ、クラウド請求書サービス経由の書類などが該当します。

逆に、取引先とのやり取りをすべて紙で行っている事業者は、電子取引が発生しないため区分3の義務も生じません。ただし現在の商習慣ではPDF送付やクラウドサービスの利用が一般化しており、意識せずに電子取引を行っている場合が多いので、まずは自社の授受方法を棚卸しすることが最初の一歩です。

個人事業主・フリーランスも同じく対象です。給与所得者の副業についても、事業所得として帳簿を備え付ける場合は電子取引データ保存の対象になります(国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」に基づく整理。詳細は末尾のFAQで補足します)。

出典・参考資料(2件)
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【義務】電子取引データ保存で何をすればよいか

ここからは、義務化された電子取引データ保存で自社が具体的に何をすべきかを、対象書類・真実性の確保・可視性の確保の順で見ていきます。抽象用語だけで終わらせず、メール添付PDFの保存やファイル名のルールなど、明日から社内に落とし込める粒度で示します。

対象となる書類(メール添付PDF・EC領収書・EDI)

電子取引データ保存の対象は、取引先との間で電子的にやり取りされる国税関係書類のうち、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書に相当するものです。授受の方向は問わず、受け取った書類だけでなく、自社から送った書類の控えも保存が必要です。

具体的な授受経路として、次のようなものが代表例です。自社の業務のどこで発生しているかを棚卸ししてみると、対象データの範囲が見えます。

  • メールに添付されたPDFの請求書・領収書・見積書
  • ECサイトのマイページからダウンロードした領収書
  • EDI(電子データ交換)による取引データ
  • クラウド請求書サービス・クラウド契約書サービス経由の書類
  • インターネットバンキングを利用した振込明細(振込内容の正本が別途郵送されない場合)

受領した書類をわざわざ紙に印刷してファイリングしても、電子で受け取った時点で電子取引に該当するため、電子データそのものの保存が別途必要になります。「印刷して綴じる」運用のままでは要件を満たさないので、電子ファイルの保管フローを別途整える必要があります。

「真実性の確保」の実務

「真実性の確保」は、保存された電子データが改ざんされていないことを担保するための要件で、次の4つの選択肢のうち、いずれか1つを満たせば要件充足となります。自社の運用体制に合わせて選べる仕組みです。

  1. 送信側でタイムスタンプが付与された電子データを受領する
  2. 受領後、速やか(またはその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やか)にタイムスタンプを付与する
  3. データの訂正・削除の履歴が残るシステム、または訂正・削除ができないシステムで受領・保存を行う
  4. 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて備え付け、これに沿って運用する

中小・中堅企業や個人事業主に採用されやすいのは4つ目の「事務処理規程」による対応で、システム導入なしで運用できる代わりに、規程の整備・保存・遵守の運用体制が必要になります。国税庁が「参考資料(各種規程等のサンプル)」として法人向け・個人事業者向けの規程サンプルWordファイルを公開しているので、自社の状況に合わせて修正するのが実務では最短です。

出典・参考資料(2件)

「可視性の確保」の実務(検索機能・ファイル名ルール)

「可視性の確保」は、税務調査などで電子データを速やかに確認できる状態を担保する要件で、次の2点を満たす必要があります。真実性の確保と違い、こちらはどちらも必須です。

  • ディスプレイ・プリンタ・操作説明書などの見読可能装置を備え付け、電子データを整然とした形式で速やかに出力できる状態にしておく
  • 検索機能((1)日付・金額・取引先の3項目で検索できる、(2)日付または金額の範囲指定検索、(3)2つ以上の項目を組み合わせた検索)を確保する

検索機能の実装として、専用のシステムを持たない中小事業者に広く採用されているのが、電子データのファイル名を「yymmdd_取引先名_取引金額」のような検索可能な規則で付ける方法です。例えば「20260827_ABC商事_121000.pdf」のように統一しておくと、フォルダ内の一覧やOSの検索機能で日付・取引先・金額での絞り込みが可能になります。

この方法は、Excelで索引を作って対応する運用でも認められます。1件ごとに手作業でファイル名を付けるのが負担なら、システムで自動採番する道もあります。JIIMA認証を受けた会計ソフトや請求書受領サービス・証憑管理サービスを使うと、検索要件を含む可視性の確保はシステム側で自動的に満たされるため、担当者の判断や操作を減らせます。

出典・参考資料(2件)
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電子取引データ保存の要件緩和と「相当の理由」による猶予

電子取引データ保存の要件はすべての事業者に一律で課されるわけではなく、小規模事業者向けの緩和措置と、令和5年度税制改正で新設された猶予措置があります。自社が該当するかを1つずつチェックしてみてください。

売上5,000万円以下の検索要件緩和

基準期間(法人は前々事業年度、個人事業主は前々年)の売上高が5,000万円以下(税抜)の事業者は、検索機能の確保が不要になります。ただし、税務調査で税務職員から電子データのダウンロードの求めがあった際に応じられる状態にしておくことが条件です。

自社が該当するかは、次の2点で確認できます。両方に「はい」と答えられれば、検索機能なしでの保存が認められます。

  • 基準期間(前々事業年度/前々年)の売上高が5,000万円以下(税抜)である
  • 税務調査等で電子データのダウンロードの求めに応じられる状態を保っている

ここでいう「検索機能が不要」なのは、日付・金額・取引先での検索を実装しなくてよいという意味で、真実性の確保(タイムスタンプ/訂正削除の履歴/事務処理規程のいずれか)と可視性の確保のうち見読可能装置の備付は引き続き必要です。緩和されるのは検索機能の部分だけである点に注意してください。

「相当の理由」による新猶予措置

令和5年度税制改正で新設された猶予措置により、システム対応や社内体制の整備が間に合わない事業者にも、一定条件下で電子データのままの保存を続ける道が開かれています。この措置は令和6年1月1日以後に行う電子取引について適用されます。

猶予措置の適用条件は、次の4点をすべて満たすことです。事前申請は不要で、税務署長の判断で「相当の理由がある」と認められれば適用されます。

  • 所轄税務署長が、電子取引データの保存要件に従って保存できなかったことについて「相当の理由」があると認めること
  • 事前申請は不要(税務調査等の際に事後的に判断される)
  • 税務調査等の際、電子取引データのダウンロードの求めに応じられる状態を保っていること
  • 税務調査等の際、電子取引データを印刷した書面の提示または提出の求めに応じられる状態を保っていること

この猶予措置に該当する場合、真実性の確保・可視性の確保のうち検索機能を含む可視性要件が不要となり、電子データを単に保存しておくだけでも認められます。ただし「相当の理由」の判断は税務署長に委ねられているため、自社の対応状況を放置してよいという趣旨ではありません。

相当の理由があるかは事後的に判断されるため、システム整備や事務処理規程の準備を計画的に進めながら、間に合わない期間の暫定対応として位置付けるのが実務的な使い方です。

出典・参考資料(2件)

【任意】電子帳簿等保存とスキャナ保存に取り組むメリット

ここまで扱ってきた区分3(電子取引データ保存)は義務ですが、区分1(電子帳簿等保存)と区分2(スキャナ保存)は任意です。任意区分に取り組むかどうかは、税額メリットや保管スペース削減の見当をつけたうえで判断できます。

優良な電子帳簿と青色申告特別控除65万円

区分1のうち、一定のシステム要件を満たした「優良な電子帳簿」を採用し、電子申告(e-Tax)を行う青色申告者は、青色申告特別控除65万円の適用を受けられます。この控除は租税特別措置法第25条の2に定められています。

その年分の事業所得又は不動産所得に係る取引を正規の簿記の原則(同法第百四十八条第一項に規定する正規の簿記の原則をいう。)に従い記録している者であつて、これらの所得の金額に係るその年分の貸借対照表及び損益計算書その他の財務省令で定める書類(次項において「貸借対照表等」という。)を、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律…(略)…第八条第四項に規定する財務省令で定めるところにより電磁的記録による備付け及び保存を行い、かつ、その年分の所得税の確定申告書に当該財務省令で定めるところにより電磁的記録による備付け及び保存を行つている旨の記載がある場合の当該青色申告特別控除の額は、六十五万円とする。

出典:租税特別措置法 第25条の2第4項|e-Gov 法令検索

優良な電子帳簿として認められるためのシステム要件は、訂正・削除・追加の履歴が残ること、帳簿間の相互関連性が確保されていること、見読可能装置の備付、そして日付・金額・取引先などでの検索機能が用意されていることです。市販の会計ソフトの多くはJIIMA認証の対象製品として要件を満たしているため、自社導入の会計ソフトが対応しているかを確認するのが第一歩です。

要件を満たさない青色申告者の控除額は55万円(電子申告あり)または10万円になるため、控除額の差は最大で55万円です。この差が自社の税額に効くかを試算してみるのが、任意区分1に取り組むかの判断材料になります。

出典・参考資料(2件)

スキャナ保存で紙原本を廃棄するための要件

区分2のスキャナ保存を採用すると、紙で受け取った請求書・領収書・契約書などをスキャナやスマートフォンで電子化して保存できます。要件を満たせば紙原本は廃棄できるため、書類保管スペースの削減や、テレワーク・複数拠点での参照性の向上につながります。

スキャナ保存の主な要件は次のとおりです。数値は電子帳簿保存法施行規則第2条に定められています。

  • 解像度:200dpi相当以上
  • 階調:赤・緑・青それぞれ256階調以上(24ビットカラー)
  • 入力期間:受領後速やか(おおむね7営業日以内、または業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに=最長2ヶ月+7営業日以内)
  • タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存
  • 検索機能(日付・金額・取引先での検索)の確保

スマートフォンのカメラでの撮影も、要件を満たせば認められます。事前申請は令和4年1月以降の運用で廃止されており、税務署への手続きなしで自社の判断で開始できるのは、実務上の負担軽減として大きなポイントです。

出典・参考資料(1件)

電子帳簿保存法に違反したときの罰則(金額と条文)

電子帳簿保存法に違反した場合の帰結は、「厳しい罰則があります」といった抽象的な形容ではなく、条文と金額で押さえておくと社内説明にも使えます。区分3の対応漏れによる主な帰結は、青色申告承認の取消し、会社法上の過料、重加算税の10%加重の3つです。

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違反時の帰結青色申告承認の取消し(法人)青色申告承認の取消し(個人事業主)会社法上の過料重加算税の10%加重優良な電子帳簿の要件充足失効
内容税務署長により青色申告の承認が取り消され、青色申告特別控除・欠損金の繰越控除・特別償却などの税務上の特典が失効税務署長により青色申告の承認が取り消され、青色申告特別控除(10万円/55万円/65万円)が適用できなくなる会計帳簿・貸借対照表・損益計算書などの記録・保存を怠った場合、100万円以下の過料に処せられることがある(法人が対象)電子データの改ざん・仮装が確認された場合、通常の重加算税(35%または40%)にさらに10%が加重される優良な電子帳簿の要件を欠くと、青色申告特別控除は65万円から55万円または10万円に減額
条文根拠法人税法 第127条所得税法 第150条会社法 第976条電子帳簿保存法 第8条第5項租税特別措置法 第25条の2

特に注意したいのは、重加算税の10%加重で、これは電子帳簿保存法独自の罰則規定です。以下は電帳法第8条第5項の逐語です。

電磁的記録(保存義務者において当該電磁的記録に記録された事項の当該電磁的記録の備付け及び保存に代える書面又は電子計算機出力マイクロフィルムをもつてする備付け及び保存が行われている場合の当該電磁的記録を除く。)に記録された事項に関し生じた申告漏れ等につき、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき国税通則法第六十八条第一項若しくは第二項の規定の適用がある場合には、これらの規定により計算した重加算税の額に、当該申告漏れ等に係る本税の額の百分の十に相当する金額を加算した金額とする。

出典:電子帳簿保存法 第8条第5項|e-Gov 法令検索

この加重は「隠蔽・仮装があった場合」に限定されており、単に要件を満たしていないだけで自動的に発動するわけではありません。ただし、青色申告承認の取消しは要件の重大な違反があれば適用され得るため、対応漏れの放置は避けたいところです。

出典・参考資料(4件)

今すぐ動くための社内チェックリスト

電子帳簿保存法の全体像を掴んだところで、明日から社内で当てられるチェック項目を挙げます。すべてを一度に対応する必要はなく、上から順に進めれば要件充足に近づく順序に並べています。

  1. 電子取引の棚卸し:メール受信箱・ECサイト・EDI・クラウドサービスなど、電子で書類を授受している経路を洗い出す。「印刷して紙で綴じる」運用になっていないかを確認する
  2. 売上規模の確認:基準期間(前々事業年度/前々年)の売上高が5,000万円以下(税抜)なら、検索要件が不要になる緩和措置が使える
  3. 「相当の理由」の該当有無:システム対応・体制整備が間に合わない場合、電子データのダウンロード対応と印刷書面の提示・提出に応じられる状態を保てば、当面の猶予措置が使える可能性がある
  4. 真実性の確保の方法選択:タイムスタンプ/訂正削除履歴のあるシステム/事務処理規程のいずれかを選ぶ。手作業ベースなら国税庁の「参考資料(各種規程等のサンプル)」から事務処理規程のサンプルを入手して整備する
  5. 可視性の確保(検索機能)の実装:ファイル名を「yymmdd_取引先名_取引金額」で統一する運用ルールを社内に周知する。またはJIIMA認証を受けたシステム(会計ソフト・請求書受領サービス・証憑管理サービス)を導入する
  6. 会計ソフトのJIIMA認証確認:現在利用中の会計ソフト・請求書受領サービス・証憑管理サービスが、電子取引ソフト法的要件認証・電子帳簿ソフト法的要件認証などを受けているかをJIIMAの認証製品リストで確認する
  7. 任意区分の検討:青色申告特別控除65万円を狙うなら優良な電子帳簿(区分1)の要件、紙原本を廃棄したいならスキャナ保存(区分2)の要件に自社の会計ソフト・スキャン運用が対応しているかを確認する
出典・参考資料(2件)

電子帳簿保存法対応を業務プロセスに埋め込む選択肢

電子帳簿保存法への対応は、事務処理規程とファイル名ルールで手作業運用する路線と、システムに任せて業務プロセスの中に埋め込む路線の、大きく2つの選択肢があります。自社の取引件数・経理体制・成長フェーズに応じて、無理なく続けられる方を選ぶことが重要です。

手作業運用(事務処理規程)とシステム運用(JIIMA認証)の分岐

手作業運用は、初期コストがかからず開始できる一方で、ファイル名の付け方・保存フォルダの整理・事務処理規程の遵守を担当者が意識し続ける必要があります。担当者の異動・退職があると運用が乱れやすく、電子取引が月間数十件を超えるあたりから、手作業では追いつかなくなるケースが増えます。

システム運用は、JIIMA認証を受けた会計ソフト・請求書受領サービス・証憑管理サービスを導入し、真実性の確保・可視性の確保をシステム側で自動的に満たす路線です。担当者は書類をアップロードする程度の操作で済み、判断や保存操作を意識せずに要件充足が続きます。

特に月次決算・請求・支払・経費精算・証憑管理を一体で回すクラウド財務管理システムを使うと、電帳法対応が業務プロセスの中に埋め込まれ、対応そのものを意識する場面が減っていきます。

また、以下の記事では、クラウド財務管理システムの主要サービスの機能・料金・特徴について詳しく解説しています。電帳法対応をシステムに任せる路線を検討する方は、あわせてご覧ください。

Tenbook(テンブック)|クラウド型会計サービス

Tenbook(テンブック)の公式サイトトップページのスクリーンショット

シンアカウンティングサービス株式会社が提供する、クラウド会計ソフト「10book(テンブック)」を活用した月次処理から決算・法人税申告までのワンストップ経理代行サービスです。公認会計士・税理士である代表の上田昌宏氏が率いる会計事務所が、記帳・月次レポート・決算書作成・税務申告までを一気通貫で対応します。

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料金は初期費用0円、月額は免税事業者29,500円・課税事業者43,500円(決算料込みの月額定額)で、原則3名チーム体制での対応により担当者依存を抑えています。対応の目安は売上高15億円以下の中小・スタートアップ企業で、経理リソースが不足している企業、経理担当者の退職リスクを抱える企業、電帳法対応を業務プロセスに埋め込みたい企業に向いた選択肢です。

よくある質問(FAQ)

Q. これまで通り、電子で受け取った請求書を印刷して紙で保存すれば大丈夫ですか?

A. 2024年(令和6年)1月1日以後は、電子で受け取った書類を紙に印刷しての保存では要件を満たしません。令和5年12月31日までは宥恕期間として書面出力での保存も認められていましたが、その期間は終了しています。電子で受け取った書類は電子データのまま保存する必要があり、「相当の理由」による猶予措置に該当しない限り、印刷保存だけでは違反となります。

Q. 過去にやり取りした書類も、すべて電子データ化して保存し直す必要がありますか?

A. 2024年1月1日より前に授受した書類については、原則として従来の紙保存で問題ありません。電子取引データ保存の義務は令和6年1月1日以後の電子取引について適用されるため、過去分の紙書類を遡って電子データ化する義務はありません。過去分の紙書類をあえて電子化したい場合は、任意区分のスキャナ保存の要件に沿って進めることになります。

Q. スキャナ保存は、スマートフォンのカメラで撮影しても構いませんか?

A. 解像度200dpi相当以上・24ビットカラー(256階調以上)などの要件を満たせば、スマートフォンのカメラでの撮影も認められます。領収書や請求書などをスマートフォンで撮影して保存する運用は、税務当局の一問一答でも実務上の選択肢として想定されています。ただし、入力期間(受領後速やか、または最長2ヶ月+7営業日以内)とタイムスタンプの付与または訂正削除履歴のあるシステムでの保存が別途必要です。

Q. 電子帳簿保存法の対応を始めるのに、税務署への事前申請は必要ですか?

A. 2022年(令和4年)1月以降、税務署への事前申請・承認手続きは不要になりました。従来は電子帳簿等保存・スキャナ保存の開始に事前承認が必要でしたが、要件を満たせば自社の判断で開始できます。「相当の理由」による新猶予措置についても、事前申請は不要で、税務調査等の際に事後的に判断されます。

Q. 電子取引データはどこに保存すればよいですか?特定の保存先が決まっていますか?

A. 保存先は指定されておらず、要件を満たせば社内サーバー・クラウドストレージ・会計ソフトの内蔵ストレージなど、どこでも構いません。ただし、真実性の確保・可視性の確保の2要件を満たすこと、税務調査等でダウンロードの求めに応じられる状態を保つことが必要です。担当者が異動・退職した際にアクセス権を失わないよう、保存先の管理体制も合わせて整えておくと安心です。

Q. インターネットバンキングを利用した振込は電子取引に該当しますか?

A. 取引内容の正本が後日別途郵送されるなどの事情がない限り、電子取引に該当します。インターネットバンキングの振込明細をダウンロードして保存する運用が該当します。銀行のシステム上に一定期間しか明細が保管されない場合もあるため、電子取引に該当する明細については、期限が来る前に自社で電子データとして保存しておく必要があります。

Q. 電子取引データはいつまで保存する必要がありますか?

A. 電子取引データの保存期間は、原則として国税関係書類と同じ7年間です。法人税法では帳簿・書類の保存期間を7年間と定めており、電子データもこれに準じます。欠損金が生じた事業年度については10年間の保存が必要になる場合があるため、自社が該当する場合は保存期間の管理を長めに設計しておくのが安全です。

Q. JIIMA認証と電子帳簿保存法はどう関係しますか?

A. JIIMA認証は、電子帳簿保存法の要件に適合したシステム・ソフトウェアを公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する民間の制度です。電子帳簿ソフト・スキャナ保存ソフト・電子取引ソフト・電子書類ソフトの4区分の法的要件認証があります。

認証製品を利用すれば要件充足の確認負担を軽減できます。国税庁のハブページからもリンクされる公認的な認証で、システム選定時の1つの目安になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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