金融機関ごとに届く返済予定表を表計算ソフトに転記し、金利の見直しや繰上返済のたびに計算式を組み直していないでしょうか。借入の本数が増えるほど、残高の集計と利息の計算にかかる手間は積み上がっていきます。
借入金・貸付金管理システムは、契約を1件ずつ登録して返済予定表を自動で作り、条件が変わったときの再計算や会計システムへの仕訳連携まで引き受けるものです。ただし、専用システムを別に持つべきか、いま使っている会計システムの機能で足りるのかは、判断が分かれるところです。
本記事では、借入金・貸付金管理システム9製品を4つのタイプに分けて比較します。会計システムやERPでどこまで対応できるのかも含めて、対応する調達手段・返済方式・会計連携・費用を横並びで整理しました。自社の借入の形に合う製品を絞り込む材料としてご覧ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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借入金・貸付金管理システムとは?
借入金・貸付金管理システムとは、企業が抱える借入契約と貸付契約を1件ずつ登録して管理するシステムです。登録した条件をもとに、返済・回収の予定表の作成、利息の計算、契約条件が変わったときの再計算、会計システムへ渡す仕訳データの作成までを担います。
会計システムが「借入金という勘定科目の残高を記録する」のに対し、こちらは「どの金融機関との、どの契約が、いつ、いくら返済されるのか」を契約単位で管理します。同じ借入金を扱っていても、記録する対象の粒度が異なります。
借入金管理と貸付金管理でそれぞれ何を扱うか
借入金管理は、自社が借りる側の業務です。契約日・借入金額・利率・返済方法・返済回数といった条件を登録し、返済日ごとの返済額と元金・利息の内訳を算出します。決算期には経過利息の計上や、1年以内に返済期限が到来する分の振替も対象に入ります。
貸付金管理は、自社が貸す側の業務にあたります。親会社が金融機関から調達した資金をグループ会社へ貸し付ける形が典型で、回収予定表の作成、受取利息の計算、貸付先ごとの残高管理を扱います。従業員向けの貸付制度を運用している企業では、その管理に使われることもあります。
製品によって守備範囲は異なり、借入金だけを扱うもの、借入金と貸付金の両方を扱うもの、貸付金に特化したものが併存しています。自社に貸付側の業務があるかどうかは、製品選びの最初の分岐点になります。
資金管理システム(TMS)・財務管理システムとの位置関係
借入金・貸付金の管理は、より広い「資金管理」の一部として提供されることもあります。資金管理システム(TMS:トレジャリー・マネジメント・システム)が扱うのは、借入・貸付だけではありません。入出金の管理、資金繰り表の作成と予測、有価証券や運用預金の管理、為替・金利のリスク管理までを1つの基盤に載せた製品群です。
財務管理システムという呼び方は、財務会計・管理会計・予実管理・資金管理を包含する広い意味で使われます。借入金・貸付金管理はそのうち資金管理の領域にあたり、専用パッケージとして単独で導入することも、資金管理システムの一機能として導入することもできます。
どの範囲まで1つの製品に載せるかで、価格帯も導入の重さも変わります。借入の管理だけを効率化したいのか、グループ全体の資金の動きまで見たいのかを先に決めておくと、比較の対象が絞り込めます。
借入の管理に絞るか、財務まわりを広く見直すかで迷う場合は、財務会計・管理会計・予実管理・資金管理までを守備範囲に含む製品を先に見渡しておくと、どこまでを1つの製品に任せるかの判断がつけやすくなります。以下の記事では、その広い意味での財務管理システム18製品を機能・料金・タイプ別に比較しています。
Excelでの借入金管理はどこまでできるのか
借入金の管理を表計算ソフトで行っている企業は少なくありません。ここでは、Excelという道具で何が成り立ち、どこから成り立たなくなるのかを整理します。
借入金返済予定表に必要な記載項目
返済予定表は、契約の条件を示す部分と、返済回ごとの明細を示す部分で構成されます。日本政策金融公庫が公開している事業資金用の返済シミュレーションが、その最小構成を示しています。
入力する条件は、借入れの条件・返済方法・1年間の返済回数・返済期間・返済期間のうち元金据置期間・金利の6項目です。出力されるのは、年数・返済額元利計・うち元金・うち利息の4項目になります。
出典・参考資料(1件)
この構成は、自社で返済予定表を作る場合に最低限必要な項目とほぼ重なります。契約条件を1か所に持ち、返済回ごとに元金と利息を分けて計算できていれば、残高と返済予定の把握はできます。
金融機関から届く返済予定表の様式は、法令で統一されているわけではありません。記載事項が法令で定められているのは貸金業者が交付する契約書面(貸金業法第17条第1項、同法施行規則第13条第1項第1号)で、銀行は同法第2条第1項第2号により貸金業者に当たらないためです。項目の並びや呼び方は金融機関ごとに異なる前提で、自社側の管理項目を決めることになります。
Excel運用が成り立たなくなる条件
表計算ソフトで困りはじめるのは、契約が増えたときではなく、契約の条件が動いたときです。金利の見直し、繰上返済、返済条件の変更が起きるたびに、その契約の予定表を作り直し、以降の元金と利息を計算し直す必要があります。
計算式を組み直す作業自体は難しくありません。問題は、作り直した予定表が他のファイル(資金繰り表、決算資料、金融機関別の残高集計)とつながっていない点にあります。1本の契約を直すたびに、参照している他のシートも直す必要が生じ、直し漏れが残高の食い違いとして表面化します。
もう1つは、契約ごとにファイルが分かれることで起きる集計の手間です。金融機関別の借入残高、グループ会社別の貸借残高、翌月の返済総額といった横断的な数字は、その都度ファイルを開いて拾い集めることになります。
そして、計算式が複雑になるほど、その表を触れるのは作った本人だけです。担当者の異動や退職で管理が止まるリスクは、借入の本数が多い企業ほど大きくなります。
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借入金・貸付金管理システムでできること
ここからは、契約を登録してから決算処理に至るまでの工程に沿って、システムが引き受ける作業を見ていきます。自社のどの作業が置き換わるのかを確かめながら読み進めてください。

契約情報の一元管理
最初の工程は契約の登録です。借入先・借入日・借入金額・利率・返済方法・返済回数・返済日といった条件を入力すると、以降の返済スケジュールがその条件から導かれます。契約書の写しや金融機関から届いた予定表を、契約データと結びつけて保管できる仕組みを持つ製品もあります。
登録の単位に何を持てるかは製品によって差があります。会社・拠点(部門)・借入先・資金使途・担保といった区分で契約を分類できる製品もあり、グループ会社を横断して借入を持つ企業では、この区分の設計がそのまま集計軸になります。
返済予定表・回収予定表の自動作成
契約条件を登録すると、最終回までの返済予定表が自動で作られます。回ごとの返済額と元金・利息の内訳が算出され、そのまま資金繰りの見通しにも使えます。貸付金を扱う製品では、同じ仕組みで回収予定表が作られます。
実務では、金融機関から届いた予定表と数円単位でずれることがあります。利息の端数処理や日数の数え方が金融機関ごとに異なるためで、返済明細ごとに金額を微調整できる仕組みを備えた製品もあります。
元利均等・元金均等・期日一括で計算がどう変わるか
返済予定表が何を計算しているのかは、返済方式で決まります。一般社団法人全国銀行協会は、住宅ローンの解説の中で2つの方式を次のように説明しています。
1.「元利均等返済」
出典:住宅ローンの仕組みと返済方法|一般社団法人 全国銀行協会
元金+利息の合計が均等、つまり毎回の支払額が一定額の返済方法です。
2.「元金均等返済」
元金の返済が均等、つまり毎回の返済額のうち元金に充当する部分が一定で、そこに利息を上乗せして返済する方法です。
元利均等返済は毎回の支払額が変わらないため、資金繰りの見通しが立てやすくなります。元金均等返済は元金の減りが早く、独立行政法人住宅金融支援機構は総支払利息と総支払額が少なくてすむ一方、当初の返済額は多くなると説明しています。いずれも住宅ローンの文脈で示された説明ですが、計算の考え方は事業融資でも変わりません。
事業資金でも両方式が使われることは、日本政策金融公庫の事業資金用の返済シミュレーションで確認できます。1年間の返済回数は毎月・年1回・年2回・年4回・年6回から選べ、元金据置期間も設定できる形で、毎月返済を前提としない契約が事業融資では珍しくないことが読み取れます。契約登録の際に、この2点を設定できるかも確認したい項目です。
3つ目の期日一括は、期間中は利息だけを支払い、元金を満期日にまとめて返済する方式です。独立行政法人中小企業基盤整備機構は、小規模企業共済の契約者貸付の返済方法として「借入期間が6か月または12か月の場合は、返済期日到来までに一括で返済(期限一括償還)していただきます」と案内しています。短期の運転資金でよく使われる形で、返済予定表は利息の支払回だけが並ぶ姿になります。
出典・参考資料(3件)
繰上返済・リスケジュール(返済条件変更)時の再計算
契約は登録して終わりではありません。変動金利の見直し、繰上返済、返済条件の変更が起きるたびに、以降の返済予定と利息を計算し直す必要が生じます。ここが手作業でもっとも負荷がかかる場面で、専用システムの機能差がはっきり出るところでもあります。
返済条件の変更は、金融庁が金融機関向けに示している監督指針の中で「貸付けの条件の変更等」として次のように定義されています。
(注1)「貸付けの条件の変更等」とは、貸付けの条件の変更、旧債の借換え、DES(デット・エクイティ・スワップ)その他の債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置をいう。
出典:中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針 II-4-1 基本的役割(注1)|金融庁
実際に何が変わるのかについては、日本政策金融公庫が「既存借入の返済条件の緩和(返済期限の延長、割賦金の減額などの条件変更)に柔軟に対応しています」と説明しています(2010年1月公表資料)。返済期限が延びれば残りの回数と各回の利息が変わり、割賦金が減額されれば元金の減り方が変わります。どちらも予定表を作り直す作業を伴います。
製品側の対応は分かれます。金利変更や繰上返済を異動として登録し、以降の返済・利払の予定に反映させるもの。契約を削除して変更後の条件で登録し直す形をとるもの。金利の改定や額面の調整を個別の処理として持つものもあります。
ただし、この点を公式情報で明らかにしている製品は多くありません。本記事で取り上げる9製品のうち、条件変更後の扱いを公表しているのは4製品で、残る5製品は公式情報に記載がありません(比較表の「条件変更時の再計算」の列を参照)。利息明細の再作成までを機能として公表している製品は、9製品の中には見当たりません。公表されていないこと自体も判断材料で、問い合わせで最初に確認すべき項目になります。
自社で条件変更がどれくらいの頻度で起きるかによって、この差の重みは変わります。変動金利の借入が多い企業や、複数の金融機関と同時に条件を見直す場面がある企業では、再計算の自動化がそのまま作業量の差になります。
出典・参考資料(1件)
会計システムへの仕訳連携
借入金にまつわる仕訳は、借入の実行、元金の返済、利息の支払と費用計上、決算時の未払利息の計上、長期と短期の振替と、1本の契約から繰り返し発生します。これを会計システムへ手入力すると、返済予定表と会計帳簿の二重入力になり、転記の誤りも起こります。
連携の形は製品によって異なります。連携できる会計システムを製品名で公開し、借入実行時・返済利払・未払利息と前払利息の計上・長短振替の各仕訳データを渡せるものがあります。一方で、仕訳用データを出力する機能までを標準とし、特定のERPとの接続はカスタマイズで実現する製品もあります。
連携先の会計システムに自社の製品が含まれているか、API連携なのかファイル出力を取り込む方式なのか、標準機能かカスタマイズかは、導入後の運用負荷に直結します。比較の段階で確認しておきたい項目です。
決算時の未払利息の計上と長短振替
決算期には、借入金について2つの処理が必要になります。1つは、決算日までに経過した利息の計上です。企業会計原則は費用の期間帰属について、すべての費用は発生した期間に正しく割り当てて処理し、未払費用は当期の損益計算に計上しなければならないと定めています。
企業会計原則注解〔注5〕は未払費用を「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないもの」と定義しています。借入金の経過利息はこの典型にあたり、利払日が決算日と一致しない契約では、経過した日数分を当期の費用として計上することになります。
もう1つが長短振替です。企業会計原則注解〔注16〕は、貸借対照表の区分について次のように述べています。
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が1年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。
出典:企業会計原則注解〔注16〕|企業会計審議会
この1年基準にもとづき、長期借入金のうち翌期に返済期限が到来する分は流動負債へ振り替えます。株式会社の計算書類についても同様です。会社計算規則第75条第2項が「その他の負債であって、一年内に支払われ、又は返済されると認められるもの」を流動負債に区分すると定めており、上場・非上場を問わず必要な処理になります。
分割返済の借入を複数抱えていると、この2つの処理は契約の数だけ発生します。返済予定表を持つシステムであれば、経過利息の算出と振替額の判定を予定表から導けるため、決算のたびに手作業で拾い直す必要がなくなります。月次更新・決算処理として経過利息の算出と長短の振替額の自動判定を行い、長短振替総括表などの決算資料まで出力する製品もあります。
ここも製品差が大きく、決算処理をどこまで自動化できるかを公式情報で確認できる製品は限られます。どの製品がどこまで公表しているかは比較表の「決算処理」の列にまとめています。決算の締めを早めることが導入の主目的であれば、最初に突き合わせたい列です。
グループ会社への貸付金の管理
親会社が金融機関から調達した資金をグループ会社へ貸し付けている場合、借入側と貸付側の両方を管理することになります。貸付側では、回収予定表の作成、受取利息の計算、貸付先ごとの残高と利率の管理が必要です。
貸付金の利息にも、借入金の未払利息と対称の期間按分があります。法人税基本通達2-1-24は、貸付金から生ずる利子の額について「その利子又は利息相当部分の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する」と定めています。
同通達はただし書きで、金融・保険業を主たる事業としない法人が、支払期日が1年以内の一定期間ごとに到来する利子を継続して支払期日基準で処理している場合も認めています。自社がどちらの処理をしているかで、決算時の扱いが変わります。
この期間按分を製品側でどう扱えるかは、公表している製品が限られます。グループ内の貸借を扱う製品では、ネッティングや貸借利息計算書といった機能が用意されていることがあり、受取利息の計算をどの基準で行えるかは、見積もり時に確認しておきたい点です。貸付の本数が多い企業ほど、借入側と同じ基盤で管理できるかが運用の分かれ目になります。
出典・参考資料(1件)
借入シミュレーションと資金繰り予測
既存の契約を登録し終えると、そのデータを使った試算ができるようになります。既存の借入契約に、将来予定している借入を加えたキャッシュフローの推移を予測できる製品もあります。
本番データをシミュレーション用にコピーして別環境を作る方式をとる製品もあり、本番の数字に影響を与えずに新規契約の登録や繰上償還を試せます。金融機関との交渉前に複数の条件を並べて比べたい場面で使える仕組みです。
導入するメリット(属人化の解消・締めの短縮・監査対応)
ここまでの機能を業務の側から見ると、社内で導入を説明するときの材料が見えてきます。1つ目は、担当者が異動・退職しても管理が止まらない状態になることです。契約条件と計算のルールがシステム側に置かれるため、引き継ぎの対象が「複雑な計算式の入った表」から「登録された契約データ」に変わります。
2つ目は、月次と決算の締めにかかる日数です。決算のたびに手作業でしていた、契約ごとの経過利息の日割算出、1年以内に返済期限が到来する元金の拾い出し、残高証明書との突合、仕訳の起票が、登録済みの契約データから導かれる形に変わります。どの作業が実際に消えるかは製品によって異なるため、削減できる工数を見積もるなら、いま何人日かかっている作業が対象になるのかを見積もり時に確かめておきたいところです。
3つ目は、監査で求められる証跡です。誰がいつ契約条件を変更したのかという履歴、承認の記録、契約書の添付といった仕組みを持つ製品であれば、監査法人や内部監査からの照会に対して記録で答えられます。表計算ソフトでは、この履歴自体が残りません。
会計システム・ERPで借入金管理はどこまでできるのか
ここまで専用システムの機能を見てきたところで、はじめの問いに戻ります。すでに会計システムやERPを導入しているのに、借入金の管理のために別のシステムを持つ必要があるのか、という点です。
会計システム・ERPが持つ機能と持たない機能
会計システムは、借入金を勘定科目として扱います。借入の実行、元金の返済、利息の支払を仕訳として記録し、総勘定元帳と貸借対照表に反映することは当然できます。一方で、契約を1件ずつ登録して返済予定表を自動で作り、条件が変わったときに以降の元金と利息を計算し直す機能は、会計システムの標準機能とは別のものです。
この線引きは、製品の構成そのものに表れています。中堅・大企業向けの会計パッケージの中には、製品ラインアップに借入金・貸付金を契約単位で管理するモジュールを持たないものがあります。そうした製品は、借入金管理を外部ベンダーの専用システムとの連携で提供すると公式に案内しています。
混同しやすいのが、支払管理・債権管理・資金繰り表との違いです。支払管理は仕入先ごとの買掛金、債権管理は得意先ごとの売掛金を扱う機能で、いずれも金融機関からの借入とは別の債権債務です。資金繰り表の作成機能も、日々の入出金の予定と実績を集計するもので、借入契約ごとの元利の内訳を計算するものではありません。
国内で使われている主な会計システム・ERPについて、借入金を契約単位で管理する機能を公式情報で確認できるかを整理すると、次のようになります。
| freee会計 | SAP S/4HANA Cloud | SuperStream-NX | OBIC7 会計情報ソリューション | GLOVIA | |
|---|---|---|---|---|---|
| 借入契約を契約単位で管理する機能 | あり(無料アドオン「借入金管理アプリ」) | あり(Treasury and Risk Management の Debt and Investment Management) | 本体にはなし(外部の専用システムとの連携で提供) | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず |
| 公式情報で確認できる内容 | 契約情報の登録と返済予定表の自動作成、金融機関別の残高・返済予定の表示、会計本体への返済取引の登録。対応する返済計算方式・借入種別も公式ヘルプに明記 | 借入・投資契約の登録から満期時の会計処理まで。償還スケジュールの設定、実効金利の計算、金利改定への対応を公式ドキュメントに記載 | 製品ラインアップに借入金・貸付金を契約単位で管理するモジュールはなく、借入金管理はアライアンス製品との連携として案内されている。本体が持つのは資金繰り表(実績・予定)の作成機能 | システム機能概要に借入金・返済予定表・利息計算に関する記載がない。債務・支払管理は買掛金など仕入債務の支払管理 | 「資金管理」「債務管理」という機能名までは確認できるが、それが借入契約の登録・返済予定表の自動生成を指すかを判別できる記載がない |
| 備考 | 対応するのは証書貸付・手形貸付まで。条件変更は契約の削除・再登録で対応 | 社債は別のプロセスとして用意。利用条件・費用は個別見積もり | 支払管理は買掛金、債権管理は売掛金の機能で、借入金の元利管理とは別 | 融資・割賦・保証を事業として行う企業向けのソリューションは別系統で、自社の借入管理とは用途が異なる | 2026年4月にGLOVIA Oneへの統合が発表され、製品ページの構成が変わっている |
※各社の公式サイト・公式ドキュメントで2026年8月時点に確認できた内容です。「公式情報で確認できず」は機能の不在を意味するものではありません。導入済みの製品については、営業担当や販売代理店にモジュールの有無を直接確認してください。
ここから読み取れるのは、会計システム・ERPの側に借入金管理があるかどうかは製品ごとに分かれ、公式サイトの機能一覧だけでは判別できない場合があるということです。機能一覧に「借入金管理」がモジュールやアプリとして独立して掲載されているかをまず見て、記載がなければ営業担当に確認するのが確実です。
会計ソフトの借入金管理機能で対応できる返済方式・借入種別
会計ソフトの側に借入金管理の機能が用意されている例もあります。無料のアドオンとして提供され、対応範囲が公式ヘルプに明記されているものがあり、その記載は会計ソフトの機能でどこまで足りるのかを判断する材料になります。以下は、そうした公開情報の一例です(該当する製品は上の表と比較表で確認できます)。
返済計算方式については「元金均等返済/元利均等返済/期日一括返済方式に対応しております。不規則返済/内入方式等には対応しておりません」と案内されています。借入の種別は「証書貸付/手形貸付に対応しております。当座貸越/シンジケートローン/金利スワップ等には対応しておりません」という記載です。
繰上返済の扱いにも違いが出ます。この例では、一部繰上返済で条件が変わった場合、該当契約をいったん削除して変更後の条件で登録し直す手順が案内されています。変更の頻度が低ければ負担になりませんが、見直しが頻繁に入る借入では作業が積み上がります。
出典・参考資料(2件)
大規模なERPでは、財務・トレジャリー領域のモジュールが該当します。借入・投資契約の登録から満期時の会計処理までを扱い、償還スケジュールの設定、実効金利の計算、金利改定への対応が公式ドキュメントに記載されている製品もあります。社債の管理を別のプロセスとして分ける構成をとる製品もあります。
専用システムを検討する目安(借入本数・グループ会社数・調達手段の複雑さ)
表計算ソフトと会計システムの両方を見たうえで、専用システムに移るかどうかの目安を整理します。判断の軸は4つです。

1つ目は借入契約の本数と条件変更の頻度です。契約が数本で、固定金利の証書貸付だけであれば、会計ソフトの借入金管理機能や表計算ソフトでも運用は回ります。本数が二桁に乗り、変動金利や繰上返済で条件が動く契約が混ざってくると、再計算の作業が定常的に発生します。
2つ目はグループ会社への貸付があるかです。親会社が調達した資金をグループ会社へ回している場合、借入側と貸付側の両方で予定表と利息計算が必要になります。会計ソフトの借入金管理機能は貸付側を対象にしていないことが多く、専用システムか資金管理システムの範囲に入ります。
3つ目は資金調達手段の広がりです。当座貸越、シンジケートローン、コミットメントライン、社債、コマーシャル・ペーパー、外貨建ての借入、金利スワップといった手段が加わると、対応できる製品は絞られます。前掲のように対応・非対応が公式に示されていれば、自社の契約と突き合わせて確認できます。
4つ目はいま使っている会計システムとの関係です。会計システム側が借入金管理を持たない場合、専用システムを別に立てて仕訳連携でつなぐ形になります。連携先に自社の会計システムが含まれているかどうかが、そのまま候補の絞り込みになります。
借入金・貸付金管理システムのタイプと特徴
借入金・貸付金管理システムは、管理する対象業務の範囲で4つのタイプに分かれます。自社が扱う業務がどこまで広がるかで、検討する製品群が変わります。

会計システム・ERPの機能で借入金を管理するタイプ
会計ソフトやERPが備える借入金管理の機能を使い、専用システムを別に持たずに契約と返済予定を管理する形です。会計本体と同じ基盤で完結するため、仕訳連携のための設定と運用が要りません。ただしこの型は幅が広く、無料のアドオンとして提供され対応する返済方式・借入種別に制約があるものから、社債やデリバティブまで扱うERPの財務モジュールまで含まれます。費用と対応範囲は製品ごとに確認が必要です。
該当する主なサービス:freee会計 借入金管理アプリ、SAP S/4HANA Cloud(Treasury and Risk Management)
借入金の管理に絞って効率化するタイプ
借入契約の登録、返済予定表の自動作成、利息計算、条件変更時の再計算、会計システムへの仕訳連携を、借入金の業務に絞って提供する専用システムです。対応する資金調達手段が広く、デリバティブや外貨建ての取引まで扱う製品もあります。会計システムとは仕訳連携でつなぐ構成が前提になります。
該当する主なサービス:借入金管理システム(さくら情報システム)、WiMS/SaaS借入金管理システム
貸付金の管理にも対応するタイプ
自社が貸す側の業務まで対象に含む製品群です。グループ会社への貸付や従業員向けの貸付制度を運用している企業が対象になります。借入と貸付を同じ基盤で扱う製品と、貸付側に特化した製品があり、後者は返済方法や利息計算の設定の細かさに強みを持ちます。
該当する主なサービス:COURAGEUX、リベルテ
資金管理全体まで対応するタイプ
冒頭で触れた資金管理システムがこのタイプです。借入・貸付は扱える範囲の一部で、グループ間の資金の集中と配分、為替や金利のリスク管理まで同じ基盤に載せます。海外子会社を含むグループ全体の資金を見たい企業や、複数通貨の取引を抱える企業が対象で、導入の規模は他のタイプより大きくなります。
該当する主なサービス:Kyriba、Ci*X Treasury、HUE Treasury
自社がどのタイプに当てはまるかの判断が難しい場合もあります。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
借入金・貸付金管理システムの選び方
自社に合うタイプが見えたら、次は製品どうしの見分け方です。比較表のどの列を自社の条件で見ればよいかという観点で、6つの確認点を挙げます。
自社の資金調達手段に対応しているか
最初に確認したいのが、いま抱えている契約の形をその製品が扱えるかどうかです。証書貸付と手形貸付だけであれば選択肢は広く、前述の複雑な調達手段が加わるほど対応する製品は限られます。
対応範囲は製品ページに具体名で書かれていることが多く、そこが突き合わせの起点になります。銀行借入・社債・コマーシャル・ペーパー・当座借越・シンジケートローンと外貨建ての借入まで挙げる製品があります。邦貨建て・外貨建てに加えて、金利スワップ・通貨スワップ・キャップ・フロアーまで対象にする製品もあります。自社の契約一覧を手元に置いて確かめるのが確実です。
条件変更時の再計算がどこまで自動か
変動金利の見直し、繰上返済、返済条件の変更が起きたときに、以降の返済予定と利息をどこまで自動で作り直せるかが確認の対象になります。変更を異動として登録して以降の予定に反映するもの、契約を登録し直すもの、金利の改定や額面の調整を個別の処理として持つものがあり、条件変更が定常的に起きる企業では、この差がそのまま作業量の差になります。
前述のとおり、この点を公式情報で明らかにしている製品は9製品中4製品にとどまります。公表していない製品を候補に残す場合は、自社で実際に起きた条件変更(金利の改定、期限の延長、割賦金の減額など)を具体的に挙げて、その処理をどう行うのかを問い合わせで確かめるのが確実です。あわせて、変更前に試算できるシミュレーション機能があるかも見ておくと、金融機関との交渉に使えます。
会計システムとの連携方式(API連携・CSV出力)
仕訳を会計システムへ渡す方法には、APIで直接つなぐ形と、仕訳データをファイルとして出力して取り込む形があります。前者は運用が自動化される一方、対応している会計システムが限られます。後者は連携先を選ばない代わりに、出力と取り込みの手順が毎月発生します。
連携が標準機能なのか、カスタマイズで実現するのかも確認しておきたい点です。標準対応であれば導入時の追加費用はかかりませんが、カスタマイズ前提の場合は初期費用と開発期間が発生します。連携できる仕訳の種類(借入実行時、返済・利払、未払利息の計上、長短振替)まで確認できると、決算処理でどこまで手作業が残るかが見えます。
帳票の種類と出力範囲
借入金管理の成果物は帳票として出てきます。月次で使う借入金実績表・返済予定表・利息支払予定表、決算で使う長短振替総括表・勘定明細、金融機関別やグループ会社別の残高表など、必要な帳票が標準で用意されているかが確認の対象になります。
帳票の数だけで判断すると実態を見誤ります。自社がいま手作業で作っている資料が、その製品の標準帳票でまかなえるかという観点で見るほうが実用的です。Excelへの出力に対応しているか、既存の様式に合わせたカスタマイズができるかも、運用開始後の手戻りを避けるうえで効いてきます。
内部統制・監査対応(承認履歴と証跡)
契約条件の登録・変更を誰が行い、誰が承認したのかという記録が残るかどうかは、監査対応の負担に直結します。申請と承認のワークフロー、アクセスログ、変更履歴、契約書ファイルの添付といった機能を持つ製品であれば、照会に対して記録で答えられます。
金融商品取引法にもとづく内部統制報告制度の対象となる会社では、評価範囲に入る場合に借入金の残高と利息費用が対象となることがあります。評価範囲そのものは重要な事業拠点・勘定科目の選定で決まるため、自社の借入金まわりが対象に入るかは範囲の決まり方から確認することになります。証跡の仕組みが製品側にあるかどうかは、機能一覧の中で確かめておきたい点です。
提供形態(クラウド・オンプレミス・パッケージ)の違い
この領域には、クラウドで提供される製品と、自社サーバーに導入するパッケージ製品の両方が併存しています。クラウド型はサーバーの用意やバージョンアップの作業が不要で、社外からの利用にも対応します。パッケージ型は自社の要件に合わせたカスタマイズの余地が大きく、社内ネットワークに閉じた運用ができます。
パッケージ型では、稼働環境の要件も確認が必要です。サーバーとクライアントのOS要件に加えて、データベースソフトや表計算ソフトが別途必要になる製品もあります。自社サーバーを立てずにスタンドアロンで運用できる構成を用意している製品もあります。費用面の違いは次の章で扱います。
費用と導入形態の目安
この領域は、料金を公開していない製品が大半を占めます。ここでは、公開されている数少ない価格と、非公開の製品で見積もりを取るときの考え方を整理します。
公開されている料金と、非公開の製品の見積もりの取り方
本記事で取り上げる9製品のうち、金額が公開されているのは2つです。1つは会計ソフトに付属する借入金管理のアドオンで、公式ヘルプに「利用料無料のサービス」と明記されています。法人・個人とも会計ソフト側の全プランが対象で、追加の課金は発生しません。
もう1つは専用システムの1製品です。連携先の会計システムのマーケットプレイスに、サービス年間利用料が120,000円~(月額10,000円~、ユーザー数等により変動、初回設定作業費用は別途)と掲載されています。提供元の公式サイトに掲載された料金表ではなく、マーケットプレイス上の参考価格である点には注意が必要です(2026年8月時点)。どちらの製品の値かは、比較表の「料金」の列で確認できます。
残る製品は料金を公開しておらず、いずれも問い合わせによる個別見積もりです。見積もりを依頼する際は、契約本数、対象となる会社数(グループ会社を含むか)、必要なモジュールやオプション、利用ユーザー数、連携先の会計システムを揃えて伝えると、比較可能な条件で回答を得られます。
導入形態別の初期費用と運用コストの考え方
クラウド型で金額を公開している製品では、年間利用料に初回設定作業費用が別途加わり、利用料はユーザー数などによって変動するという構成が示されています。サーバーの調達が不要な分、初期に用意する費用は抑えられます。
パッケージ型・オンプレミス型では、ライセンス費用に加えて、サーバーやデータベースソフトなど稼働環境の費用が利用者側の負担になります。ERPとの連携をカスタマイズで実現する製品では、その開発費と保守費も加わります。調達手段の一部をオプション区分に置く製品もあるため、自社が扱う借入の形が追加設定の対象になるかも、見積もりで確かめておきたい点です。
費用を比べるときは、月額や年額だけでなく、初期設定費用・カスタマイズ費用・保守料まで含めた総額で見るのが実態に近くなります。あわせて、本番導入の前に試せる仕組みがあるかも確認しておきたい点です。1〜2か月の試行導入を案内している製品もあり、その場合も稼働環境の端末やソフトウェアは利用者側で用意することになります。該当する製品は各サービスの紹介で触れています。
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【比較表】借入金・貸付金管理システム比較9選
ここからは、自社の課題や要件に合わせた比較・選定ができるよう、借入金・貸付金管理システム9製品を4つのタイプ別に分類してご紹介します。対応する対象業務、資金調達手段、返済方式、条件変更時の再計算、会計システム連携、決算処理、提供形態、料金、導入実績を並べています。
公式情報に記載のない項目は、推測で埋めず「公式情報に記載なし」と表記しています。この領域は仕様や価格を公開していない製品が多く、とくに「返済方式」「条件変更時の再計算」「決算処理」は公表している製品が限られます。空欄が多い製品は、問い合わせの際にその項目から確認していくことになります。
会計システム・ERPの機能で借入金を管理するタイプの比較
| サービス名 | freee会計 借入金管理アプリ | SAP S/4HANA Cloud Treasury and Risk Management |
|---|---|---|
| 対応する対象業務 | 借入金の管理 (貸付金は公式情報に記載なし) | 借入金・投資の管理(Debt and Investment Management) (グループ間貸借の詳細は公式情報に記載なし) |
| 対応する調達手段・借入種別 | 証書貸付、手形貸付 (当座貸越・シンジケートローン・金利スワップは非対応) | 借入、融資枠、コマーシャルペーパー、発行社債(Bond Managementという別プロセス)、金利・為替デリバティブ |
| 返済方式 | 元金均等返済、元利均等返済、期日一括返済 (不規則返済・内入方式は非対応) | 方式名は公式情報に記載なし (返済予定表・実効金利計算の機能は公式に記載) |
| 条件変更時の再計算 | 専用の再計算機能はなし (契約を削除し、変更後の条件で再登録) | 金利改定・額面調整のステップあり (リスケジュールという名称での明示はなし) |
| 会計システム連携 | freee会計に返済予定取引を登録(同一サービス内で完結) | ERP本体の財務会計と同一基盤で会計計上(外部システムとの連携は不要) |
| 決算処理(未払利息の計上・長短振替) | 公式情報に記載なし (返済取引の登録と資金繰りレポートへの反映は公式に記載) | 公式情報に記載なし (実効金利計算・満期時の会計処理は公式ドキュメントに記載) |
| 提供形態 | クラウド(freee会計の追加アプリ) | クラウド(Public Edition/Private Edition) (オンプレミス版はSAP S/4HANAとして提供) |
| 料金 | 利用料無料 (freee会計の利用料は別途) | 非公開(要問い合わせ) |
| 導入実績 | 借入金管理アプリ単体の実績は公式情報に記載なし | Treasury and Risk Management単体の実績は公式情報に記載なし |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
借入金の管理に絞って効率化するタイプの比較
| サービス名 | 借入金管理システム (さくら情報システム) | WiMS/SaaS 借入金管理システム |
|---|---|---|
| 対応する対象業務 | 借入金・デリバティブの管理 (貸付金は公式情報に記載なし) | 借入金の管理 (貸付金は公式情報に記載なし) |
| 対応する調達手段・借入種別 | 邦貨建て8種(長期・短期借入金、当座借越、コマーシャル・ペーパー、普通社債、転換社債、ワラント債、借入有価証券) 外貨建て5種(長期・短期インパクトローン、普通社債、転換社債、ワラント債) スワップ等5種(金利スワップ、通貨スワップ、スワップション、キャップ、フロアー) | 銀行借入(基本機能) 社債、コマーシャルペーパー、当座借越、外貨借入金管理、シンジケートローン(オプション区分) |
| 返済方式 | 公式情報に記載なし (「不均等」を選ぶ場合は元利金のキャッシュフローを自社で登録) | 公式情報に記載なし (「様々な返済条件・利払条件に対応」との記載のみ) |
| 条件変更時の再計算 | 「異動登録」で金利変更・繰上返済を登録し、以降の元本返済・利息支払の予定に反映 | 変動金利の金利変更・繰上返済・借換えの管理に対応 (再計算の方式は公式情報に記載なし) |
| 会計システム連携 | 会計システム向けの仕訳用データを作成。SAP ERP・Oracle E-Business Suite等との連携はカスタマイズによる(標準機能ではない) | 借入実行から返済・各種決算仕訳までの仕訳連携に対応(連携先の製品名は公式情報に記載なし) |
| 決算処理(未払利息の計上・長短振替) | 対応 (月次更新・決算処理で経過利息を算出し、長期・短期の振替額を自動認識。長短振替総括表・勘定明細を出力) | 各種決算仕訳の会計システム連携に対応 (対象となる仕訳の内訳は公式情報に記載なし) |
| 提供形態 | 公式情報に記載なし (公式サイトは「パッケージ」と表記。FAQのスペック要件から自社環境への設置型と読み取れる) | クラウド |
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) |
| 導入実績 | 90社以上(時点の明記なし) | 公式情報に記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
貸付金の管理にも対応するタイプの比較
| サービス名 | COURAGEUX(クラージュ) | リベルテ (貸付金管理システム) |
|---|---|---|
| 対応する対象業務 | 借入金・貸付金の管理 (グループ会社間の貸付を含む) | 貸付金の管理のみ (借入金の管理機能は非搭載。グループ会社向け融資・社内貸付制度が主な用途) |
| 対応する調達手段・借入種別 | 長期・短期の銀行借入、シンジケートローン、コミットメントライン/コミットメントフィー、金利スワップ、社債、外貨建て取引 | 借入金の管理に非対応 |
| 返済方式 | 公式情報に記載なし | 期日一括、利息一括/利息分割、元利均等、元金均等、ボーナス併用払い (月利・日利の選択、変動金利に対応) |
| 条件変更時の再計算 | 公式情報に記載なし (「返済予定、利率変更等を自動計算」との記載のみ) | 公式情報に記載なし (貸付・イレギュラー返済のシミュレーション機能を搭載) |
| 会計システム連携 | 勘定奉行クラウド(奉行APIコネクト)、SuperStream-NX(CSV出力、統合会計)、Proactive、OPEN21、ACT-NetPro、Galileopt DX、GRANDIT、ビズインテグラル | 仕訳データの出力に対応(連携先の製品名は公式情報に記載なし)。口座振替データ・給与控除データ・CIC報告用データも出力 |
| 決算処理(未払利息の計上・長短振替) | 対応 (未払利息・前払利息の計上、長短振替の仕訳データを会計システムへ連携) | 公式情報に記載なし |
| 提供形態 | クラウド(サブスクリプション) | オンプレミス(パッケージ) |
| 料金 | 年間120,000円〜(月額10,000円〜、初回設定作業費用は別途) OBC奉行APIコネクト掲載の参考価格、2026年8月時点。公式サイトの料金表は非公開 | 非公開(要問い合わせ) |
| 導入実績 | 500社超(2026年8月時点) | 導入社数は公式情報に記載なし (UCS、はとバスなどの導入企業名を掲載) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
資金管理全体まで対応するタイプの比較
| サービス名 | Kyriba | Ci*X Treasury | HUE Treasury |
|---|---|---|---|
| 対応する対象業務 | 借入金・投資・デリバティブ・為替の管理に加え、資金繰り予測・キャッシュプーリング・支払まで | 帳簿貸借管理・インターカンパニーローン・ネッティングに加え、資金繰り予測、有価証券・金融商品管理まで | 借入金・貸付金・有価証券・デリバティブの一元管理に加え、資金繰り管理、キャッシュプーリング・ペイメントファクトリーまで |
| 対応する調達手段・借入種別 | 短期・長期の借入(割引、利付、固定金利、変動金利、償却型、リース契約の契約形態別に登録)、クレジットファシリティ(融資枠) | 銀行借入、社債発行 (公式に明記があるのはこの2種) | 公式情報に記載なし |
| 返済方式 | 公式情報に記載なし | 公式情報に記載なし | 公式情報に記載なし |
| 条件変更時の再計算 | 公式情報に記載なし | 公式情報に記載なし (金利更改・限度額管理・決算整理の機能はあり) | 公式情報に記載なし |
| 会計システム連携 | SAP(ECC 6.0/S/4HANA)、Oracle Cloud、NetSuite、Microsoft Dynamics 365、Workday | 自動仕訳システムCi*X Journalizerとノンプログラミングで連携(外部ERPとの連携仕様は公式情報に記載なし) | HUE AC(財務会計・管理会計)ほかERP・会計システムへの仕訳連携(連携先の具体名は公式情報に記載なし) |
| 決算処理(未払利息の計上・長短振替) | 公式情報に記載なし (ヘッジ会計はASC・IFRSの双方に対応と公式に記載) | 「決算整理」を機能名として公式に記載 (処理の内訳は公式情報に記載なし) | 公式情報に記載なし |
| 提供形態 | クラウド | 公式情報に記載なし (環境構築・運用まで一体で提供する「Ci*X PAS」を選択可能) | クラウド(HUEシリーズのモジュール) |
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) |
| 導入実績 | 国内約100社(2025年6月時点) | 公式情報に記載なし (2025年6月提供開始。Ci*X Treasury単体の事例は公式サイトに非掲載) | HUE Treasury単体の実績は公式情報に記載なし (HUEシリーズ全体の導入企業として極洋、南海電気鉄道などを公表) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※各社の公式情報をもとに2026年8月時点の内容をまとめています。公式に記載のない項目は「公式情報に記載なし」と表記しました。実際の対応範囲や提供形態(標準・オプション等)、最新の料金は各社の公式情報をご確認ください。
表を突き合わせると、借入と貸付の両方があり、かつ条件変更が定常的に起きるという条件をすべて公式情報で満たす製品は見当たりません。条件変更後の扱いを公表しているのは借入金の管理に絞ったタイプと会計システム・ERPのタイプで、貸付まで扱う製品はこの点を公表していないためです。
この条件に当てはまる場合は、貸付にも対応するタイプと資金管理全体まで対応するタイプを候補に残し、条件変更時の処理を問い合わせで確認していく進め方になります。借入と貸付を別のシステムで分けて管理する構成も選択肢に入るため、その場合の会計連携の形もあわせて確認しておくと、比較が進みます。
借入金・貸付金管理システム9選の特徴を比較
比較表で候補を絞ったら、各製品が何をどこまで扱えるのかを個別に見ていきます。ここからはタイプ別に、対応する調達手段・返済方式・連携方式を公式情報の具体名で紹介します。
会計システム・ERPの機能で借入金を管理するタイプ
1. freee会計 借入金管理アプリ(フリー株式会社)

借入金管理アプリは、クラウド会計ソフトのfreee会計に利用料無料で追加できる公式アプリです。複数の金融機関からの借入契約を登録して残高と返済予定を一元管理し、完済までの返済予定取引をfreee会計に登録できます。借入推移のグラフ表示や、資金繰りレポートの財務収支への長期借入金の返済予定の反映にも対応します。
対応する返済方式は元金均等返済・元利均等返済・期日一括返済で、不規則返済や内入方式には対応していません。借入の種別は証書貸付と手形貸付が対象で、当座貸越・シンジケートローン・金利スワップは対象外です。返済日が土日祝にあたる場合の前営業日・翌営業日指定、毎月・隔月・一括の返済サイクルは設定できます。
利息計算では、付利単位・端数処理・利息の前払いと後払い・休日補正・初回利息の両端入れと片端入れ・計算日数(360日か365日か)を契約ごとに設定します。一部繰上返済で返済条件が変わったときは、専用の再計算ではなく該当契約を削除し、変更後の条件で登録し直す手順が案内されています。対象は法人・個人ともfreee会計の全プランです。
2. SAP S/4HANA Cloud Treasury and Risk Management(SAPジャパン株式会社)

借入金の管理を担うのは、SAP S/4HANA Cloud の会計機能そのものではなく、Treasury and Risk Management(財務/リスク管理)という領域です。そのうち Debt and Investment Management(負債・投資管理)が、短期・中期・長期の借入と投資を、財務状況の分析から金融取引が満期を迎えたときの会計計上まで扱います。
業務のステップとして、借入・投資契約の登録、元本支払、利払い、金利改定、額面調整、勘定分類変更、期末決算処理などが用意されています。返済予定表にあたる Redemption Schedule Set も、公式ドキュメントに個別の機能として記載があります。名目金利に手数料やプレミアム・ディスカウント、返済消込方法を加味して算出する実効金利計算も同様です。
返済条件の変更については、金利改定と額面調整という調整ステップまでが公開情報で確認でき、リスケジュールという名称での説明は見当たりません。対象となる金融商品は借入・融資枠に加え、発行社債、コマーシャルペーパー、為替・金利のデリバティブに及びます(社債は Bond Management という別プロセス)。
費用は公式の定価表がなく、Treasury and Risk Management の利用条件を含めて個別の見積もりが前提です。
借入金の管理に絞って効率化するタイプ
3. 借入金管理システム(さくら情報システム株式会社)

1つの製品で扱える取引の幅が広い製品です。邦貨建てでは長期・短期の借入金、当座借越、コマーシャル・ペーパー、普通社債など8種類、外貨建てでは長期・短期のインパクトローンや転換社債など5種類に対応します。さらに金利スワップ・通貨スワップ・スワップション・キャップ・フロアーの5種類も同じ製品で管理します。
さくら情報システム株式会社がパッケージ製品として提供しているもので、公式ページに貸付金の記載はなく、借入金の管理に絞った構成です。
契約登録で借入期間・金額・返済条件・利払条件を登録すると、元本返済と利息支払のスケジュールが自動で計算されます。金利変更や繰上返済が発生したときは「異動登録」でその内容を登録すると、以降の元本返済・利息支払の予定に反映されます。実際の請求金額と差が生じた支払利息は「利息修正」で個別に直せるほか、本番データを複製したシミュレーション環境で繰上償還などを試算できます。
会計システム向けの仕訳用データを作成する機能があり、外貨建てやスワップの管理では為替予約・決済や決算時の評価替えに伴う為替差額の仕訳データにも対応します。
ERPとの接続については、公式サイトに注記があります。「カスタマイズにより、SAP ERP、Oracle E-Business SuiteといったERPパッケージをはじめ、多くの会計システムとの連携実績があります」との記載です。標準機能ではなく、カスタマイズを前提とした連携です。
提供形態はクラウド・オンプレミスのいずれとも明示されていません。ただし公式FAQがサーバーとクライアントのOS要件とあわせてSQL ServerやAccessの導入を求めており、自社の環境に置いて使う形と読み取れます。公式サイトには四半世紀以上にわたり90社以上へ提供してきたとの記載があり(時点の明記はありません)、料金は問い合わせによる個別見積もりです。
本格導入の前には1〜2か月の試行導入が可能で、その際の稼働環境のパソコンとAccessは利用者側で用意することが公式FAQに示されています。
4. WiMS/SaaS借入金管理システム(株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー)

「グループ会社の借入金管理情報を共有・一元管理」を掲げるクラウド型の借入金管理システムです。株式会社ソリューション・アンド・テクノロジーが人事・会計領域で展開するWiMS/SaaSシリーズの会計モジュールの1つで、公式サイトでは対象を大企業〜成長企業向けとしています。会社・部門・借入先・担保・セグメントといったマスタを備え、複数会社の借入契約を横断して分類管理します。
管理できる資金調達手段は、基本機能の銀行借入に加えて、社債、コマーシャルペーパー、当座借越、外貨借入金管理、シンジケートローンです。後者5つは公式の機能一覧でオプション区分に置かれているため、自社が扱う調達手段が追加設定や別費用の対象になるかは見積もり時に確認が必要です(課金の有無は公式に記載がありません)。
返済条件・利払条件については「借入契約の様々な返済条件・利払条件に対応」との記載にとどまり、方式ごとの名称は公表されていません。一方で変動金利の金利変更、繰上返済、借換えの管理に対応することは明記されています。現在契約中の借入金に加えて将来借入を予定している契約も含め、キャッシュフローの推移を予測できる点も特長に挙げられています。
帳票は資金繰表、契約一覧・残高明細表、期間利息明細表、長期・短期の借入金内訳明細表、借入金台帳などをPDF・Excelで出力できます。借入実行から返済、各種決算仕訳までの会計システムへの仕訳連携に対応しますが、連携先の製品名は公開されていません。料金と導入実績はいずれも非公開で、貸付金の管理については公式に言及がありません。
貸付金の管理にも対応するタイプ
5. COURAGEUX(クラージュ)(株式会社アイディーエス)

借入金管理システム「COURAGE」を、サブスクリプション型のクラウドサービスとして作り直した製品です。提供元は株式会社アイディーエス(岩手県奥州市)で、本社とグループ会社の借入金・貸付金を1つのデータベースに集約します。公式サイトには500社を超える導入実績と記載されています(2026年8月時点)。
登録できる調達手段は、長期・短期の銀行借入のほか、参加行ごとに利息を計算するシンジケートローン、コミットメントラインとコミットメントフィー、金利スワップ、社債、外貨建て取引に及びます。グループ会社への貸付は契約ごとの自動仕訳パターンで処理され、外貨換算と1年内・1年超の長短区分は自動で判定されます。
会計システムとの連携先は2つです。勘定奉行クラウドへは奉行APIコネクト経由で、借入実行時・返済利払・未払前払利息・長短振替などの仕訳データを渡します。SuperStream-NXへはCSVファイルの出力で連携します(対応モジュールは統合会計)。
料金は公式サイトでは非公開です。株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の奉行APIコネクト掲載ページに、サービス年間利用料が120,000円〜と記載されています(月額10,000円〜、ユーザー数等により変動、初回設定作業費用は別途、2026年8月時点)。同ページのサービス連携年間利用料は0円です。
6. リベルテ(貸付金管理システム)(株式会社アイディーエス)

同じ株式会社アイディーエスの製品ですが、COURAGEUXとは対象業務も提供形態も異なります。貸付金の管理に用途を絞ったオンプレミス型のパッケージで、公式サイトが挙げる機能は貸付金の管理に限られ、借入金の管理についての記載はありません。グループ会社向けの融資や、従業員向けの社内貸付制度の管理が主な用途です。
返済方法は期日一括、利息一括と利息分割、元利均等、元金均等、ボーナス併用払いに対応します。元金均等と元利均等では利息計算を月利と日利から選べ、変動金利も扱えます。返済周期に選べるのは1か月・2か月・3か月・4か月・6か月・12か月です。貸付の実行前に完済までの予定を試算するシミュレーション機能も標準で備えます。
出力できるデータは口座振替データ、給与控除データ、仕訳データ、指定信用情報機関(CIC)への報告用データで、契約ごとの返済予定表や請求先別の残高集計表はPDFとExcelで出力します。カスタマイズを行わない場合の導入期間は1か月以内(データ移行を除く)とされ、費用は問い合わせでの確認になります。
資金管理全体まで対応するタイプ
7. Kyriba(キリバ・ジャパン株式会社)

米国サンディエゴに本社を置く Kyriba Corporation が開発するクラウド型の資金管理システムです。日本では2012年6月設立のキリバ・ジャパン株式会社が販売とサポートを担っています。同社は2025年6月17日の発表で、日本での事業展開が13年以上に及ぶこと、過去10年間で日本における顧客数を3倍以上に増やしたことを公表しています。
借入金の管理は Financial Transactions という括りの Debt モジュールが担います。短期・長期の借入を、割引・利付・固定金利・変動金利・償却型・リース契約という契約形態別に登録できます。クレジットファシリティ(融資枠)の追跡にも対応する一方、返済条件を変更したときの利息の再計算の扱いは公開情報からは確認できません。
投資ポートフォリオや金利・通貨スワップなどのデリバティブ、為替取引も同じ基盤で扱います。銀行接続は1つのAPIで10,000行以上に対応し、SWIFT法人BICの28%を同社が管理すると公式サイトに記載があるほか、SAPやOracle CloudなどのERPとも連携します。料金は非公開で、利用者数・地域・必要モジュールに応じた個別見積もりです。
8. Ci*X Treasury(株式会社電通総研)

2025年6月17日に提供が始まった、株式会社電通総研の資金管理システムです。経費精算のCi*X Expense、グループ統合会計のCi*X Financialsなどが並ぶCi*Xシリーズに、財務・資金管理を担う5番目の製品として加わりました。シリーズ最新の製品にあたり、Treasury単体の導入事例は公式サイトには掲載されていません。
グループ内の貸借まわりでは、帳簿貸借管理、貸借利息計算書、インターカンパニーローン、ネッティングが機能として並びます。金利更改・限度額管理・決算整理・支払期日管理も備え、親会社がグループ会社へ貸し付ける形の管理を想定した構成です。
公式サイトが資金調達手段として挙げているのは銀行借入と社債発行で、繰上返済や返済条件の変更にともなう利息の再計算については記載がありません。ライセンスは資金管理・有価証券管理・金融商品管理といったモジュール単位で選べ、スモールスタートにも対応します。料金は初期費用・月額とも非公開で、個別見積もりです。
9. HUE Treasury(株式会社ワークスアプリケーションズ)

大企業向けクラウドERP「HUE」シリーズのうち、財務部門の業務を担うのがHUE Treasuryです。提供元は株式会社ワークスアプリケーションズで、公式サイトでは日本の大手企業向けの資金・財務管理システムと位置づけられています。
管理の対象は借入金・貸付金にとどまらず、有価証券やデリバティブを含む各種金融商品を一元管理すると公式サイトに明記されています。資金繰りの側では通帳照会・資金繰り予実照会・残高や利回りの推移照会が機能例として示され、会計システムへの仕訳連携までつながる構成です。
グループ資金については、キャッシュプーリングとペイメントファクトリーに標準機能で対応し、インハウスバンキングの業務を同じ基盤で扱えます。一方、返済方法の設定方式、繰上返済や条件変更時の利息再計算、対応する資金調達手段の具体名は公式サイトに記述がなく、確認が必要です。料金は非公開で、問い合わせまたは資料請求を経ての見積もりとなります。
まとめ
本記事では、借入金・貸付金管理システムが担う業務の範囲から、表計算ソフトと会計システムで対応できる範囲、タイプ別の違いと選び方、費用の見通しの立て方までを整理しました。返済予定表の作成と条件変更時の再計算という作業そのものは、会計システムの標準機能では置き換わりません。この点が、専用システムを別に持つかどうかの分かれ目になります。
製品を絞り込む出発点は、自社が扱う業務の範囲です。借入だけを効率化したいのか、グループ会社への貸付まで含めるのか、資金繰りや為替まで1つの基盤で見たいのかによって、検討する製品群が変わります。そのうえで、自社の資金調達手段への対応、会計システムとの連携方式、帳票の範囲、承認履歴の仕組みを突き合わせていくと、候補が定まります。
料金は非公開の製品が大半のため、契約本数・対象会社数・必要なモジュール・連携先の会計システムを揃えて複数社に見積もりを依頼するのが確実です。MCB FinTechカタログでは、クラウド財務管理システムの詳細な資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、自社の借入の形に合うシステムの比較検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 借入金・貸付金管理システムとは何ですか?
A. 借入金・貸付金管理システムとは、借入契約と貸付契約を1件ずつ登録して管理するシステムです。返済・回収の予定表の作成、利息の計算、契約条件が変わったときの再計算、会計システムへ渡す仕訳データの作成までを担います。
同じ役割の製品が「借入金管理システム」「貸付金管理システム」「資金管理システム」「トレジャリー・マネジメント・システム(TMS)」と複数の呼び名で提供されており、探すときの言葉で候補が変わります。
この領域には、借入だけを扱う製品、借入と貸付の両方を扱う製品、貸付に特化した製品、資金繰りや為替まで含む資金管理システム、会計システム・ERPの一機能として提供されるものが併存しています。製品名の呼称ではなく、対象業務の範囲で見分けるのが確実です。
Q. 借入金の返済予定は、金融機関の無料シミュレーションやExcelでは管理できませんか?
A. 1件ごとの返済予定を試算するだけなら無料のシミュレーションで足ります。システムが要るのは、契約をまたいだ集計と、条件が変わったあとの作り直しが繰り返し発生する場面です。日本政策金融公庫が公開している事業資金用の返済シミュレーションでは、借入額・返済方法・返済回数・返済期間・元金据置期間・金利を入力すると、回ごとの返済額と元金・利息の内訳が得られます。
ただし、そこで得られるのは1契約分の試算です。金融機関別の借入残高、翌月の返済総額、決算日までに経過した利息といった横断的な数字は、契約ごとの結果を自分で集計することになります。契約が増え、金利の見直しや繰上返済で条件が動くようになると、この集計と作り直しが条件変更のたびに発生します。
Q. いま使っている会計システムやERPに借入金管理の機能があるかは、どう確認すればよいですか?
A. 会計システム側の機能一覧に「借入金管理」がモジュールやアプリとして独立して掲載されているかを見るのが、最も早い確認方法です。独立した記載がない場合、その領域を外部の専用システムとの連携で補う構成になっていることがあります。中堅・大企業向けの会計パッケージの中には、連携先の専用システムを製品名で公式に案内しているものもあります。
機能が用意されている場合も、対応する返済方式と借入種別まで公式に明記されているかが確認の対象になります。対応する方式(元金均等返済・元利均等返済・期日一括返済)と対象外の方式(不規則返済・内入方式)を、公式ヘルプに具体名で示している例もあります。
Q. 借入金・貸付金管理システムは、元利均等返済と元金均等返済のどちらにも対応していますか?
A. 返済方式ごとの対応可否を公式に明記している製品は限られており、自社の契約の返済方式を扱えるかは製品ごとに確認が必要です。2つの方式の違いは、一般社団法人 全国銀行協会の住宅ローン解説にあります。毎回の支払額が一定になるのが元利均等返済、毎回の返済額のうち元金に充当する部分が一定になるのが元金均等返済で、返済予定表の計算そのものが変わります。
本記事で取り上げた9製品のうち、対応する返済方式を公式に列挙しているのは2製品で、残りは「様々な返済条件に対応」といった記載にとどまります。どの製品が方式を公表しているかは比較表の「返済方式」の列で確認できます。元金据置期間がある契約や、年1回・年2回といった毎月以外の返済サイクルの契約がある場合は、自社の条件を挙げて問い合わせるのが確実です。
Q. 借入金・貸付金管理システムは、リスケジュール(返済条件変更)のあとの返済予定表を自動で作り直せますか?
A. 条件変更後の扱いは製品によって分かれます。変更内容を異動として登録して以降の予定に反映するもの、契約を登録し直すもの、金利の改定や額面の調整を個別の処理として持つものがあります。どれに当たるかは比較表の「条件変更時の再計算」の列で確認できます。ただし9製品中5製品はこの点を公表しておらず、問い合わせで最初に確認すべき項目でもあります。
条件変更が数年に一度であれば、契約を登録し直す運用でも負担は限られます。問い合わせるときは、自社で実際に起きた変更(金利の改定、返済期限の延長、割賦金の減額など)を挙げて処理の手順を確認すると、回答が具体的になります。あわせて、変更前に試算できるシミュレーション機能があるかも見ておくと、金融機関との交渉時に使えます。
Q. システムが計算した返済額が、金融機関から届いた返済予定表と合わないことはありますか?
A. 数円単位の差が生じることはあります。利息の端数処理や計算日数の数え方が金融機関ごとに異なるためです。付利単位・端数処理・利息の前払いと後払い・休日補正・初回利息の両端入れと片端入れ・計算日数(360日か365日か)を契約ごとに設定できる製品もあり、この組み合わせで計算結果が変わります。
設定を合わせてもなお差が出た場合に備え、金額を個別に直せる仕組みがあるかも確かめておきたい点です。返済明細ごとに金額を微調整できる製品や、実際の請求額と差が生じた支払利息を修正する機能を持つ製品があります。金融機関から届く予定表との照合作業そのものは残る前提で、修正の手段を持つ製品を選ぶという見方になります。
Q. 非上場の会社でも、1年内に返済期限が到来する長期借入金を流動負債へ振り替える必要はありますか?
A. 必要です。会社計算規則第75条第2項が、「その他の負債であって、一年内に支払われ、又は返済されると認められるもの」を流動負債に区分すると定めており、株式会社であれば上場・非上場を問わず対象になります。企業会計原則注解〔注16〕も、貸付金・借入金などの債権及び債務のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金または支払の期限が到来するものは流動資産または流動負債に属するものとしています。
ただし、金融商品取引法にもとづく財務諸表を提出する会社向けのガイドラインには例外があります。分割返済の定めがある債務について、1年内の返済予定額が負債及び純資産の合計額の100分の5以下である場合には、全額を固定負債として記載できるとされています。
どちらの扱いをとる場合でも、1年内の返済予定額を契約単位で正確に算定できることが前提になるため、返済予定表がどこまで正確に維持されているかが決算処理に直結します。
出典・参考資料(3件)
Q. 借入金・貸付金管理システムの費用はどのくらいかかりますか?
A. 料金を公開している製品は少なく、本記事で取り上げた9製品のうち公開値があるのは2つだけです。1つは会計ソフトに付属するアドオンで、公式ヘルプに利用料無料と明記されています。もう1つは専用システム1製品の年間120,000円〜(月額10,000円〜、初回設定作業費用は別途)で、こちらは連携先の会計システムのマーケットプレイスに掲載された参考価格です(2026年8月時点)。
残る製品は個別見積もりになります。どの製品の値かは比較表の「料金」の列で確認できます。
見積もりを比べるときは、月額・年額の外側に置かれる費用を見落とさないようにします。パッケージ型ではサーバーやデータベースソフトの稼働環境が別途必要になり、ERPとの連携をカスタマイズで実現する場合は開発費と保守費も加わります。調達手段の一部をオプション区分に置く製品もあるため、自社が扱う借入の形が追加設定の対象になるかも確かめておきます。
Q. 借入金・貸付金管理システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 導入期間を公表している製品は少なく、確認できたのは「カスタマイズを行わない場合は1か月以内(データ移行を除く)」という案内が1製品だけです。本格導入の前に1〜2か月の試行導入を用意している製品もあり、その場合も稼働環境の端末やソフトウェアは利用者側で用意することが前提になります。
期間を左右するのは、既存契約の登録、会計システムとの連携の作り込み、帳票を自社の様式に合わせるカスタマイズの3つです。稼働時期は、決算期をまたいで新旧の管理が並走しないよう、期首や下期の初めから逆算して設定すると残高の突合が一度で済みます。
Q. Excelで管理してきた借入契約のデータは、そのまま移行できますか?
A. 一括取り込みの可否や手順を公式に公開している製品は確認できず、契約条件をシステムの登録項目に合わせて入れ直す前提で考えておくのが安全です。導入期間の案内に「データ移行を除く」と但し書きを置く製品もあり、移行は導入作業とは別の工数として扱われています。
移行の準備として揃えておきたいのは、契約ごとの借入先・借入日・借入金額・利率・返済方法・返済回数・返済日といった契約条件と、現時点の残高、過去に行った条件変更の履歴です。表計算ソフト上で計算式だけが持っていた条件(利息の端数処理や計算日数の取り方)は、契約書や金融機関の返済予定表に戻って確かめることになります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















