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個人名の反社チェックを無料で行う方法|使えるサイトと検索のやり方・無料でできる範囲

個人名の反社チェックを無料で行う方法のサムネイル画像

取引を始める個人事業主や、入社が決まった人の名前を「一応調べておいて」と頼まれることがあります。ところが自社には反社チェックのツールがなく、契約して導入する話にもなっていません。手元にあるのはブラウザだけ、という状況で調べ方を探している方は少なくありません。

先に結論をお伝えします。個人が反社会的勢力かどうかを誰でも引ける公的なデータベースは、制度として存在しません。無料でできるのは、報道などの公開情報にその人の名前が出ていないかを自分で確認することまでです。

本記事では、個人名を無料で調べるために実際に使えるサイトを一覧で整理し、そのままコピーして打てる検索式、調査の手順、結果の判断と証跡の残し方までを解説します。あわせて、個人を調べるときに関わる法令の線引きと、無料では足りなくなる場面も整理します。

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【結論】個人の反社チェックは無料でどこまでできるのか

ここからは、無料でできる範囲の輪郭を先に確認します。期待していた調べ方と実際にできることがずれたまま作業を始めると、後から手戻りが生じるためです。

個人の反社チェックで無料ではできないこと(氏名で引ける公的データベース、警察・暴力追放運動推進センターへの氏名の照会)と、無料でできること(Google検索・反社チェックツールの無料枠・図書館の新聞記事データベース・適格請求書発行事業者公表サイトによる公知情報の確認)を対比した図解

誰でも引ける公的な反社データベースは公開されていない

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)は、公安委員会が暴力団を指定したときに官報で公示することを定めています。ただし公示の対象は「指定に係る暴力団の名称」など団体に関する事項で、構成員の氏名を名簿として公表する規定は置かれていません。

(指定の公示)
第七条 公安委員会は、指定をするときは、指定に係る暴力団の名称その他の国家公安委員会規則で定める事項を官報により公示しなければならない。

出典:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 第7条|e-Gov法令検索

では個人の情報はどう扱われているかというと、警察が保有する暴力団情報は警察の側で厳格に管理され、事業者への提供は要件を満たす場合に限られる運用になっています。都道府県警察の通達には、その考え方が次のように書かれています。

暴力団情報については、警察は厳格に管理する責任を負っていることから、情報提供によって達成される公益の程度によって、情報提供の要件並びに提供できる範囲及び内容が異なってくる。

出典:暴力団排除等のための部外への情報提供について(通達)|宮城県警察本部

同じ通達は、提供先が行政機関以外の場合の要件をこう定めています。「当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難と認められる場合に行うこと」。警察庁の通達を受けて、各都道府県警察がこの基準で運用しています。

法律が公示を義務づけているのは団体の指定であり、個人の情報は警察が個々の事案ごとに判断して提供する制度になっています。事業者が氏名を入力して可否を確認できるデータベースは、そもそも制度として用意されていません

出典・参考資料(3件)

警察や暴力追放運動推進センターに個人名を照会できるのか

照会そのものはできます。ただし「名前を伝えれば可否が返ってくる窓口」ではありません。警視庁は東京都暴力団排除条例のQ&Aで、提供の条件を次のように説明しています。

警察では、暴力団との関係遮断を図るなど暴力団排除活動に取り組まれている事業者の方に対し、契約相手が暴力団関係者かどうかなどの情報を、個々の事案に応じて可能な限り提供します。事業者の方で契約相手が暴力団関係者かもしれないとの疑いを持っているものの、本人に確認することが困難であるような場合などには、最寄りの警察署、暴力団対策課又は公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターにご相談ください。

出典:東京都暴力団排除条例Q&A|警視庁

読み取れるのは3つの条件です。暴力団排除に取り組んでいる事業者であること、個々の事案であること、そして「可能な限り」の提供であること。相談時には、契約相手の氏名・生年月日・住所が分かる資料や、疑いを持った理由の資料を用意するよう案内されています。

都道府県暴力追放運動推進センターも同じで、暴力団対策法に基づく指定法人としての条文上の業務は「暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること」です。全国暴力追放運動推進センターの案内でも、相談は無料である一方、対応するのは暴力追放相談委員で、返ってくるのは対応方針のアドバイスとされています。氏名を投げれば黒白の判定が返る照会サービスとは性質が異なります。

どちらの窓口も「疑いを持った理由」を携えて相談する場所であって、これから調べ始める段階の一次的な確認手段にはなりません。例外的に情報提供を受けられるのはどこまでか、窓口ごとに何を相談できるのかは、『反社チェックは警察に照会できる?企業が使える公的窓口と実務の調べ方』で条例・通達の原文まで確認できます。本記事はここから先、自分の手だけで進められる手段に絞ります。

出典・参考資料(3件)

無料でできるのは「公知情報に名前が出ていないかの確認」まで

ここまでを踏まえると、費用をかけずに自分でできることは報道記事や公的機関の公告など、すでに公開されている情報にその人の名前が出ていないかを確認することに絞られます。実務では「公知情報の調査」と呼ばれる範囲です。

これは「意味がない」ということではありません。政府指針は企業に対し、相手方が反社会的勢力かどうかについて「常に、通常必要と思われる注意を払う」ことを求めており、公知情報の確認はその注意を払った実績になります。このあと、その確認に実際に使えるサイトを一覧で示します。

出典・参考資料(1件)

【一覧表】無料で個人名を調べられる手段と、それぞれの限界

以下は、費用をかけずに個人名を調べるときに使える手段の比較表です。「無料」と言っても、完全に0円で誰でも開けるものから、条件がつくものまで幅があるため、そこも含めて整理しています。

← 横にスクロールできます →
手段Google検索反社チェックツールの無料枠新聞記事データベース
(国立国会図書館の館内端末)
国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト官報発行サイト裁判所 裁判例検索国税庁法人番号公表サイト都道府県暴力追放運動推進センターへの相談
何が0円か完全無料
登録不要
反社チェッカー=検索3回(カード登録不要)
RoboRoboコンプライアンスチェック=10件
パワーサーチ=30日間
館内での利用は無料
入館には利用者登録が必要
完全無料
登録不要
直近90日間は全て無料。90日経過後も大半の記事は無料
登録不要
完全無料
登録不要
完全無料
登録不要
相談は無料
個人名で引けるか(Webに残っている情報に限る)(対応を明記するサービスのみ)(館内端末での利用に限る)(登録番号からのみ引ける)(日付が分かっている場合だけ)×(当事者名は掲載省略)×(個人事業者は対象外)×(氏名の照会窓口ではない)
分かること報道記事・企業サイト・ブログ・SNSなど、Webで公開されている情報に氏名が出ているか各社が集めた新聞・Web記事の横断検索結果。検索語の組み立てと結果の一覧化をサービス側が行う新聞各紙の記事。日経テレコンでは日本経済新聞の1975年4月以降の記事などを閲覧できる受け取った請求書の登録番号(T+13桁)が取引時点で有効か、登録されている氏名が申告どおりか破産、公示送達(相手に書類を渡せないときに掲示で通知したとみなす手続き)、個人に対する懲戒処分などの公告掲載されている裁判例の判断内容法人の商号又は名称・本店所在地・法人番号(基本3情報)暴力追放相談委員による対応方針のアドバイス
限界出所の信頼性は自分で判断する必要がある。同姓同名が混ざる。掲載が終了した記事は出てこない調査範囲・遡及年数・証跡の出力可否はサービスごとに差がある。無料枠を使い切ると有料閲覧とプリントアウトは館内でのみ可能で、電子媒体へのダウンロードはできない。公共図書館では利用できる場合もある検索できるのは登録番号だけで、氏名や屋号からは引けない。屋号と所在地は本人が希望した場合にのみ公表される。反社かどうかは分からない氏名での横断検索ができず、日付が分かっている前提でPDF内を探すことになる。個人名が出る記事は90日で非公開になり、画像化されてテキスト検索も効かない当事者の表示は省略され、固有名詞も記号に置き換えられている。すべての判決が掲載されているわけでもない個人事業者に法人番号は指定されない。代表者名も公表項目に含まれていない疑いを持った理由を携えて相談する窓口であり、氏名を照会すると可否が返る仕組みではない

※2026年8月時点の各サイト・各社の公式情報にもとづきます。

完全無料で使える手段と、そこで分かること

ここからは、表に挙げた手段のうち登録も費用も不要で今すぐ開けるものを、順に見ていきます。

Google検索は、公知情報の調査で中心になる手段です。氏名と報道でよく使われる語を組み合わせ、報道記事に名前が出ていないかを確かめるのが出発点になります。具体的な検索式はこのあと示します。

官報発行サイトは、破産や公示送達などの公告を確認できます。官報は2025年(令和7年)4月1日に電子化され、内閣府は公開範囲を次のように説明しています。

発行から原則90日間は、官報発行サイト上で官報全体を閲覧・ダウンロードすることができます。90日経過後は、プライバシーへの配慮が必要な一部の記事(ポイント4参照)は閲覧・ダウンロードできなくなりますが、それ以外の記事は引き続きご覧いただけます。

出典:官報の電子化について|内閣府

ここで注意が要ります。90日で非公開になる「一部の記事」に該当するのが、破産や公示送達、個人に対する懲戒処分など、まさに個人名が出る記事です。内閣府は、こうした記事について公開期間を90日に限定するほか、記事を画像化してテキスト抽出やテキスト検索を困難にする対策を講じるとしています。

さらに、官報発行サイト自体にキーワード検索の機能がありません。公式のよくあるご質問は次のように説明しています。

検索機能はついておりませんが、プライバシーへの配慮が必要な一部の記事を除き、文字情報が取得可能なPDFで提供していることから、日付がわかっている場合は調べたいPDFを表示していただき、PDFビュアーの検索機能を用いて検索することが可能です。

出典:よくあるご質問|官報発行サイト(内閣府)

この2つを合わせると、官報についての結論は一つです。氏名から横断的に探すという、個人の反社チェックで本来やりたい使い方は官報ではできません。官報が効くのは、日付の当たりがすでについていて、聞いた話の裏を取るケースだけです。たとえば「取引先から○年○月に破産手続開始決定を受けたと申告があり、その日付の官報で記載を確かめたい」という場面です。以降の手順でも、官報はこの用途に限って扱います。

裁判所の裁判例検索も誰でも無料で使えますが、個人名からたどる用途には向きません。同サイトの注意書きに、その理由が明記されています。

判決等の当事者の表示部分は、掲載を省略しています。また、文中の固有名詞などには、プライバシーなどへの配慮から、「A」「B」「C」等の記号に置き換えているものがあります。このため、判決等の原文と完全には一致しないことがあります。

出典:裁判例検索|裁判所

当事者名からたどれない以上、氏名を起点にした調査の手段にはなりません。判決の中身を確認したいときの参照先と考えておくのが実際的です。

国税庁法人番号公表サイトは、取引先が法人であれば商号・所在地・法人番号を確認できます。ただし公表されるのはこの基本3情報のみで代表者名は含まれず、よくある質問には「個人事業者に法人番号は指定されません。」と明記されています。取引先が個人事業主の場合、このサイトでは何も分かりません。

取引先が個人事業主のとき:インボイス登録番号で氏名を照合する

法人番号の代わりになる手段が、個人事業主にはひとつあります。国税庁インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイトです。相手から受け取った請求書に登録番号(T+13桁)が書かれていれば、その番号を入力して登録されている氏名を確かめられます。国税庁は公表事項を次のように定めています。

公表事項は、次の事項となります。
① 氏名又は名称
② 登録番号
③ 登録年月日、取消年月日、失効年月日
(中略)
⑥ 個人事業者の主たる屋号
⑦ 個人事業者及び人格のない社団等の本店又は主たる事務所等の所在地
(注)3 「⑥ 屋号」及び「⑦ 本店又は主たる事務所等の所在地」については、適格請求書発行登録事業者が希望する場合にのみ公表します。

出典:適格請求書発行事業者公表サイトの運営方針(令和5年1月改訂)|国税庁

押さえておきたい制約が2つあります。ひとつは、屋号と所在地は本人が希望した場合にしか公表されないこと。請求書の屋号と公表内容が一致しなくても、申出をしていないだけかもしれません。

もうひとつは検索の向きです。同じ運営方針は検索機能を「公表サイト上で『登録番号』を基に適格請求書発行事業者情報の検索を可能とする機能」と定めています。氏名や屋号から事業者を探すことはできず、番号を持っているときに氏名を突き合わせる方向にしか使えません

したがってこのサイトで分かるのは、相手が名乗っている氏名が税務署に登録された氏名と一致するか、その登録が取引時点で有効かまでです。反社会的勢力かどうかは分かりません。それでも、法人相手に法人番号公表サイトで商号と所在地を突き合わせるのと同じ役割を、個人事業主相手でも果たせます。

出典・参考資料(7件)

新聞記事データベースはどこまで無料で使えるか

Google検索では、掲載期間が終わった新聞記事までは拾えません。過去の報道までさかのぼりたい場合、新聞記事データベースが選択肢になります。個人で契約すると費用がかかりますが、図書館の館内端末なら無料で使える場合があります。

国立国会図書館では、館内限定で新聞記事データベースや判例データベースを利用できます。日経テレコンでは日本経済新聞の1975年4月以降の記事などを閲覧でき、報道の遡及という点では、無料で使える手段のなかでは対象年代が長い部類です。ただし古い年代ほど収録の粒度は粗く、本文テキストがそろうのは1981年10月以降、紙面の切り抜きイメージは1988年6月以降です。

ただし持ち出しには制約があります。同館の注意事項には「電子情報の閲覧およびプリントアウトは館内でのみ可能です。」「電子媒体(CD-R、USBメモリ等)へのダウンロードはできません。」と記載されています。画面で確認はできても、データとして保存して持ち帰ることはできません。証跡として残すならプリントアウト(有料の複写)になります。

お住まいの地域の図書館でも使えることがあります。国立国会図書館のリサーチ・ナビは「データベースは、お近くの公共図書館等で利用できる場合もあります。」と案内しています。契約状況は図書館ごとに異なるため、出向く前に確認しておくと確実です。

出典・参考資料(2件)

反社チェックツールの無料枠で個人名は引けるのか

反社チェックツールにも、費用をかけずに試せる枠を用意しているものがあります。個人名の検索に対応しているかはサービスによって異なり、公式に明記しているものと、法人名を前提に作られているものが混在します。

個人名の検索に対応していて、無料枠の条件まで公表されているのは次の3つです。反社チェッカー検索3回まで(カード登録不要)RoboRoboコンプライアンスチェック10件までパワーサーチ30日間。1件だけ確かめたい段階なら、この枠で足りることもあります。

調査範囲や証跡の出力可否はサービスごとに違います。詳しい比較はこちらをご覧ください。

無料プランと無料トライアルはどう違うのか

3つの条件を並べると分かるとおり、同じ「無料」でも中身は期間の定めがない無料プランと、導入検討のための期間限定の無料トライアルに分かれます。前者は回数の上限が、後者は期間や件数の上限が設けられているのが一般的です。

回数制限つきの無料プランを公表しているのは、反社チェッカーです。RoboRoboコンプライアンスチェックの10件も、パワーサーチの30日間も、いずれも導入検討のための無料トライアルです。単発で1件だけ調べて終わりにしたいのか、これから継続的に使う前提で試すのかで、選ぶ側が変わります。

申し込む前に確認しておきたいのは、回数や期間の上限、登録に必要な情報、そして終了後に自動で課金されるかの3点です。これらを公式サイトに明記していないサービスもあるため、書かれていない場合は問い合わせで確かめてから使うのが安全です。

個人名を調べる検索式と検索オプションの使い方

ここからは、実際に検索窓へ打ち込む内容を具体的に示します。「関連する言葉を組み合わせて検索する」という説明だけでは手が止まってしまうためです。

そのまま使える検索式

氏名は引用符で囲んでフレーズ検索にするのが基本です。Google検索ヘルプは「単語またはフレーズの完全一致を検索するには: 単語またはフレーズを引用符 “” で囲んで入力します。」と説明しています。引用符がないと姓と名が別々に扱われ、無関係な結果が大量に混ざります。

そのうえで、報道で使われる語を掛け合わせるのが基本です。まずは次の6つです。そのままコピーして使える形にしてあります(山田太郎の部分を対象者の氏名に置き換えてください)。

  • "山田太郎" 逮捕
  • "山田太郎" 起訴
  • "山田太郎" 詐欺
  • "山田太郎" 暴力団
  • "山田太郎" 行政処分
  • "山田太郎" 業務停止命令

1回の検索で語を詰め込むと、すべてを含む結果しか出ないため取りこぼします。語をひとつずつ変えて、複数回に分けて検索するのが基本です。屋号や社名で活動している個人事業主が相手なら、氏名だけでなく屋号でも同じ組み合わせを試すことになります。

この6つを打ち終えたところで手を止めても構いませんが、取引の金額が大きい、あるいは相手について気になる点があるという場合は、次の語も足すとよいでしょう。報道で使われる言い回しは事件の段階ごとに変わるため、「逮捕」に至らない段階の語を足すと拾える範囲が広がります

  • "山田太郎" 書類送検"山田太郎" 容疑(逮捕に至らない段階の報道)
  • "山田太郎" 摘発"山田太郎" 有罪(捜査・裁判の別の段階)
  • "山田太郎" 脱税"山田太郎" 行政指導(刑事事件以外の処分)
  • "山田太郎" 訴訟(民事の紛争)

相手が特定の業種で事業を営んでいる場合は、その業種の処分名を足すと精度が上がります。建設業なら営業停止、宅地建物取引業なら免許取消、貸金業なら無登録営業、古物商なら無許可営業といった具合です。すべてを打つ必要はありません。どこまで打ったかを記録に残しておけば、後から範囲を広げるときに重複せずに済みます。

出典・参考資料(1件)

Google の検索オプションの使い方

演算子を覚えなくても、同じことをGoogleの検索オプション画面の入力欄でできます。氏名は「語順も含め完全一致」の欄に入れれば引用符を付けたのと同じ扱いになり、除外したい語は「含めないキーワード」の欄に入れればマイナス記号を付けたのと同じになります。入力欄で指定した条件は、そのまま検索式に置き換えられる関係にあります。

「いずれかのキーワードを含む」の欄に逮捕 OR 詐欺 OR 暴力団のように入れると、複数回に分けた検索を1回にまとめることもできます。ただしこの記事では、語ごとに分けて検索するほうを勧めます。ORでまとめると結果が混ざり、どの語で何件出たのかが分からなくなるためです。

後述する証跡は「どの検索式で該当が無かったか」を検索式単位で残す形になるため、語ごとに検索したほうがそのまま記録に落とせます。ORは、一通り試したあとに取りこぼしがないかをざっと見るときに向いています。

ヒットが多すぎる・少なすぎるときの絞り込み方

ありふれた氏名だと、無関係な人物の情報が大量に出てきます。その場合は屋号・社名・所在地の市区町村名など、対象者を特定できる語を足すと絞り込めます(例: "山田太郎" "○○商店" 逮捕)。

特定の人物の情報が邪魔をするときは、除外の指定が有効です。Google検索ヘルプは「検索から特定の語句を除外するには: 除外する語句の前に「-」と入力します。」としています。同姓同名の著名人が結果を占めるようなケースで使えます。

期間で絞りたいときはbefore:after:が使えます。ヘルプには「特定の日付より前に最終更新されたドキュメントを検索するには: 年または特定の日付の前に「before:」と入力します。」と説明されています。同ヘルプは「演算子と検索キーワードの間にスペースを挿入しないでください。」とも注意しており、before: 2020のように空けると効きません。

逆にまったくヒットしない場合、それは「問題がない」の証明にはなりません。この点は判断の手順であらためて扱います。

無料で反社チェックを行う手順

ここからは、対象者の情報を集めるところから記録を残すところまでを、順を追って整理します。手順は「情報を集める」「検索する」「結果を判断する」「記録する」の4段階です。

無料で個人の反社チェックを行う手順の4段階を示したフロー図。情報を集める(氏名・屋号・所在地・生年月日または年代)、検索する(氏名のフレーズ検索に報道の語を掛け合わせ、屋号でも繰り返す)、判断する(同一人物か、出所は信頼できるか、取引の判断にどう効くか)、記録する(調査日・対象・使った手段と検索式・結果画面・判断と担当者)

事前に集めておく対象者の情報

検索を始める前に、対象者を特定できる情報が手元に揃っていることが前提になります。氏名だけで始めると、同姓同名の判別ができずに作業がやり直しになりがちです。

  • 氏名:漢字表記に加え、ふりがなや旧字体の可能性も控えておくと確実です
  • 屋号・社名:個人事業主であれば、氏名より屋号のほうが報道に出ることがあります
  • 所在地:市区町村までで、同姓同名の絞り込みに使えます
  • 生年月日または年代:報道は年齢を併記することが多く、別人の判別に効きます

これらは契約書や申込書、名刺、応募書類など、通常の手続きで受け取る書類から揃うことがほとんどです。警察に相談する段階まで進んだ場合も、氏名・生年月日・住所が分かる資料を求められるため、無駄にはなりません。

どの手段から順に検索するか

一覧表の上から順に当たるのが効率的です。ここまでの内容を作業の並びに直すと、次のようになります。

  1. Google検索で氏名フレーズ検索を一通り:基本の6つの検索式を、語をひとつずつ変えながら試す工程。ここで大半の公知情報が拾えます
  2. 屋号でも同じ6つを繰り返す:屋号や社名で活動している個人事業主なら、報道は屋号のほうで出ることがあります
  3. 相手の申告内容を公的サイトで突き合わせる:法人なら国税庁法人番号公表サイトで商号と所在地を、個人事業主で請求書に登録番号があれば適格請求書発行事業者公表サイトで氏名を照合する工程
  4. 必要なら追加の語と業種の処分名を足す:取引の金額が大きい、気になる点があるといった場合に、追加の語まで広げる工程
  5. 報道の遡及が要るなら図書館の新聞記事データベース:Googleで拾えない古い記事まで確認したい場合の選択肢です
  6. 日付の当たりがついている事実があれば官報:破産などの申告を受けていて、その日付の官報で裏を取りたい場合に限ります

1と2で終わる案件がほとんどです。3以降は、相手や取引の性質に応じて足していく位置づけになります。1と2は、Google以外の検索エンジンでも同じ検索式をそのまま試せます。索引が別に作られているBingで打ち直すと、Googleで出てこなかった記事が見つかることがあります。Yahoo! JAPANの検索はGoogleの検索技術を利用しているため、結果はほとんど変わりません。

検索結果をどう判断するか

検索の結果は、ヒットしたかどうかで次にやることが変わります。それぞれの場合の確かめ方を分けて整理します。

ヒットしたとき:同姓同名・古い記事で誤判定しないための確かめ方

名前が出てきても、すぐに取引を見送る判断につなげるのは早計です。確かめる順序は、まず同一人物かどうか、次に出所が信頼できるか、最後にその内容が取引の判断にどう効くかの3つです。

1つ目は、事前に集めた屋号・所在地・年代と、記事に書かれている情報との一致です。所在地が市区町村レベルで一致しない、年齢が10歳以上離れているといった場合は、別人である可能性が高くなります。

2つ目は出所で、新聞社や通信社の報道記事なのか、出所の分からない掲示板やまとめサイトなのかを見極める必要があります。出所の分からない情報だけを根拠に判断しないことが、誤った取引の見送りを避けるうえで重要になります。

3つ目については、社内に基準がない状態でヒットに出くわすと、判断が担当者ごとにぶれます。目安として、次の3段階に分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 暴力団など反社会的勢力との関わりが書かれている:政府指針が「反社会的勢力とは、一切の関係をもたない」と求めている以上、記事の信頼性を確かめたうえで、取引を進めない前提で社内に上げる段階です
  2. 詐欺・横領・脱税など、取引の信用に直結する事案:反社会的勢力の話ではないため指針の射程からは外れますが、与信や契約条件の判断材料になります。事案の内容と時期を添えて社内で判断を仰ぐ段階です
  3. 取引の内容と関係のない事案(交通違反など):これだけを理由に取引を見送ると、かえって説明のつかない判断になります。記録には残しつつ、判断材料からは外す段階です

あわせて、何年前までの記事を判断材料にするかを社内で決めておくと、担当者による判断のばらつきを抑えられます。

1段階目に当たってしまった場合、そこから先は「調べる」から「対応する」に切り替わります。ヒットの危険度の見極めから、誤ヒットと判断してよい確認の水準、本当に該当した場合の契約対応までの流れは、以下の記事で解説しています。

ヒットしなかったとき:「ヒットしない=白」ではない理由

何も出てこなかった場合、それは「公開されている情報の範囲では見つからなかった」という意味であって、問題がないことの証明ではありません。無料の手段には、構造的に見えない範囲があるためです。

たとえば裁判所の裁判例検索は、注意書きに「本裁判例情報には、すべての判決等が掲載されているわけではありません。」と明記されており、そもそも当事者名も省略されています。官報も、個人名が出る記事は90日で非公開になります。

ヒットしなかった場合に記録すべきなのは「白だった」ではなく、「いつ・どの手段で・どの検索式を使って調べ、該当が見つからなかった」という事実です。この書き方であれば、後から範囲を広げて調べ直すときにも前提が崩れません。

出典・参考資料(3件)

検索結果の証跡をどう残すか

調べた結果を記録に残すところまでが、この作業の一部になります。理由は社内の説明のためだけではありません。政府指針は企業に対し、次のように求めています。

反社会的勢力とは、一切の関係をもたない。そのため、相手方が反社会的勢力であるかどうかについて、常に、通常必要と思われる注意を払うとともに、反社会的勢力とは知らずに何らかの関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消する。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省

「通常必要と思われる注意を払った」ことは、記録がなければ後から示せません。有料ツールでは証跡が自動保存されますが、無料で調べる場合は自分で残す必要があります。残しておく項目は次のとおりです。

  • 調査日:いつ時点の情報かを示す項目
  • 調査対象:氏名、屋号、所在地など、誰を調べたかを特定できる情報
  • 使った手段と検索式:どのサイトで何と打ったかを、実際の文字列のまま控えた記録
  • 検索結果の画面:スクリーンショットやPDFで保存したもの
  • 判断と担当者:結果をどう判断し、誰が確認したかの記録

表計算ソフトに落とすなら、1件の調査につき1行ではなく、打った検索式ごとに1行にしておくと後から追いやすくなります。「該当なし」も1行として残るためです。実際に埋めるとこうなります。

← 横にスクロールできます →
使った手段と検索式Google検索
"山田太郎" 逮捕
Google検索
"山田太郎" 暴力団
適格請求書発行事業者公表サイト
登録番号 T1234…
調査日2026/8/252026/8/252026/8/25
調査対象山田太郎(○○商店・東京都△△区・50代)同上同上
結果該当なし同姓同名の別人の記事1件(所在地・年代が不一致)
スクリーンショット保存済み
登録氏名が請求書の記載と一致・登録は有効
判断と担当者別人と判断/総務部 佐藤問題なしと判断/総務部 佐藤

※記録シートの記入例。氏名・番号は架空のものです。

スクリーンショットは、この表と同じ調査日・対象の名前でファイル名を付けておけば紐づけられます。保管先は、契約書類と一緒に後から取り出せる場所が適しています。図書館の新聞記事データベースを使った場合は、データでの持ち出しができないためプリントアウトが証跡になります。

ここで一点、検索結果を画面で見るだけの段階と、スクリーンショットとして保存する段階では、個人情報保護法上の扱いが変わります。この点はこのあと説明します。

ここからは、自分で調べる過程で踏みやすい法令面の注意点を整理します。個人を対象にする以上、避けて通れない論点です。

本人の同意なしに調べてよいのか(個人情報保護法)

結論から言うと、取引の相手方について公開情報を検索すること自体は、多くの場面で本人の同意を要しません。ただし、どの段階で何が問題になるのかを順に押さえておく必要があります。

取引の相手方の公開情報を調べるとき、画面を見るだけの段階は要配慮個人情報の取得に当たらず、スクリーンショットなどで記録に残した時点から取得になること、記録した情報が新聞社・通信社の報道記事なら同意は不要で、個人のブログ・掲示板・SNSはこの例外に当てはまらないことを示した図解

出発点は「そもそも取得に当たるか」です。個人情報保護委員会のガイドラインQ&Aは、次のように説明しています。

また、②要配慮個人情報を含む情報がインターネット等により公にされている場合であって、単にこれを閲覧するにすぎず、転記等を行わない場合は、要配慮個人情報を取得しているとは解釈されません。

出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A A4-8|個人情報保護委員会

検索して画面を見るだけなら「取得」にすら当たりません。同意の要否が問題になるのは、前章で勧めたスクリーンショットの保存のように、転記して記録に残した時点からです。

次に、記録した内容が要配慮個人情報(本人への不当な差別や偏見が生じないよう、取扱いに特に配慮を要する個人情報)に当たるかを見ます。個人情報保護法第2条第3項は「犯罪の経歴」を要配慮個人情報に挙げており、個人情報保護委員会の通則編ガイドラインは「犯罪の経歴とは、前科、すなわち有罪の判決を受けこれが確定した事実が該当する。」としています。逮捕報道はこれとは別で、施行令第2条第4号が定めています。

四 本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと。

出典:個人情報の保護に関する法律施行令 第2条第4号|e-Gov法令検索

本記事で示した検索式の多くは逮捕報道を探すものなので、実務ではこちらが当たり所になります。では記録すると同意が必要になるのかというと、個人情報保護委員会は取引の場面を想定した質問に対し、例外に当たる場合を挙げています。

一方で、当該情報が確定情報である場合は、要配慮個人情報に該当するため、原則として、取得に際してあらかじめ本人の同意を得る必要があります。ただし、個別の事例ごとに判断することとなりますが、例えば、(中略)本人や報道機関等により公開されている場合(法第20条第2項第7号)は、取得に際してあらかじめ本人の同意を得る必要はありません。

出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A A4-10|個人情報保護委員会

ここで引かれている第20条第2項第7号は、第57条第1項各号に掲げる者により公開されている場合を例外としており、その第1号が「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。)」です。新聞社や通信社の報道記事であれば、この例外で説明できます

裏を返すと、個人のブログや掲示板、SNSの書き込みは報道機関による公開ではないため、この例外には乗りません。出所の分からない情報を記録に残す扱いは、報道記事とは分けて考える必要があります。個人情報保護委員会は「個別の事例ごとに判断する」とも述べており、一律の免罪符として読むべきものではありません。

出典・参考資料(4件)

採用候補者・従業員は扱いが変わる

調べる相手が採用候補者の場合、取引先と同じ感覚で検索するわけにはいきません。求人を出す側には、個人情報保護法とは別に職業安定法の規律がかかります

職業安定法第5条の5第1項は、求人者を含む名宛人に対し、求職者等の個人情報を「その業務の目的の達成に必要な範囲内で」「当該目的を明らかにして」収集することを求めています。さらに、収集の手段そのものを限定する指針が出ています。

(三) 職業紹介事業者、求人者、(中略)労働者供給を受けようとする者は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外の者から収集し、又は本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならないこと。

出典:職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)第五・一・(三)|厚生労働省

挙げられている手段は「本人から直接」「本人の同意の下で本人以外の者から」「本人により公開されている個人情報」です。報道機関など第三者が公開した情報を本人の同意なく集めることは、この列挙にそのまま当てはまるわけではありません。

では結局、採用候補者の名前を検索してよいのでしょうか。条文と告示から引ける線は次のとおりです。

  • 募集要項や個人情報の取扱いの案内で、選考にあたって調査を行う旨と目的を明示している場合:職業安定法第5条の5第1項が求める「当該目的を明らかにして」を満たした状態になります。この場合、公開情報の検索と、目的の達成に必要な範囲での記録は説明がつきます。
  • 明示していない場合:告示の列挙する手段のうち確実に当てはまるのは「本人の同意の下で」です。本人から同意を取ってから調べるのが安全で、選考プロセスに同意の取得を組み込むのが実務的な対応になります
  • 明示も同意もないまま、報道記事を検索して記録に残す:告示が示す収集手段のいずれにも当てはめにくく、リスクが残ります。まず募集要項側を直すか、同意を取るところから始めるのが順序です

これは取引先を調べる場合との一番の違いです。取引先であれば報道機関の公開という例外で説明できましたが、採用候補者では、その前段に「目的を明らかにしたか」という関門が加わります。個人情報保護法第21条第1項も、取得した個人情報の利用目的を本人に通知または公表することを求めており、目的の明示はどちらの法律から見ても出発点になります。

また同指針は、人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項や、思想及び信条、労働組合への加入状況について、原則として収集してはならないとしています。検索の過程でこうした情報が目に入っても、記録に残さない運用にしておくのが安全です。

出典・参考資料(3件)

調べる相手が採用候補者の場合、論点はここで挙げた収集手段の制約だけにとどまりません。募集要項や誓約書に同意の文言をどう入れるか、応募者・内定者・既存従業員で扱いがどう変わるか、内定後に判明したときに取消ができるかまで続きます。この一連の整理は、以下の記事で条文と実務の両面から解説しています。

調べた内容の取り扱いで名誉毀損・信用毀損にならないために

調査そのものより注意が要るのは、結果の扱い方です。刑法第230条第1項は名誉毀損について、次のように定めています。

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

出典:刑法 第230条|e-Gov法令検索

注目すべきは「その事実の有無にかかわらず」という部分です。調べた内容が事実であっても、公然と摘示すれば(不特定多数が知り得る形で示せば)成立し得ます。第230条の2は公共の利害に関する場合の特例を定めていますが、社内の必要範囲を超えた共有がこれに当たると考えるのは危険です。

また第233条は、虚偽の風説を流布して人の信用を毀損した場合を処罰の対象としています。確定していない情報を断定的に伝えないことが、この点でも重要になります。

実務では、調査結果の共有範囲を判断と決裁に関わる部門に限り、取引を見送る場合も理由の伝え方に注意を払うことが求められます。相手方に「反社会的勢力だと判断した」と伝える必要はなく、社内の基準に照らして見送る旨にとどめる運用が一般的です。

弁護士の阿部由羅氏は、取引先に反社会的勢力の疑いが生じたときの進め方について次のように述べています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

取引先が反社会的勢力に該当することが疑われるときは、その情報を迅速に社内で共有して対応を協議しましょう。所管部門と経営陣・法務部門・コンプライアンス部門などが緊密に連携し、顧問弁護士にも相談しながら追加調査やリスク分析を行うことが求められます。

出典・参考資料(1件)

個人にも反社チェックが必要とされる根拠

ここまでで手順は一通り整理できました。残るのは、「なぜ個人までこの手間をかけるのか」と問われたときに示せる根拠です。ここで挙げる条文と指針は、そのまま引用できる形にしてあります。

反社会的勢力の定義には「個人」が含まれている

政府指針は、反社会的勢力のとらえ方を次のように示しています。

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)|法務省

定義に「集団又は個人」と書かれている点が、個人を対象にする根拠になります。組織に属していなくても、暴力や詐欺的手法で経済的利益を追求していれば反社会的勢力に当たり得ます。

あわせて、属性だけでなく行為にも着目するよう求められています。名簿的なリストでの照合ができない以上、報道された行為から判断する場面が出てくるのは、この考え方に沿ったものです。

調べる相手が組織に属しているかどうかで線を引けない例として、阿部氏は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」を挙げ、次のように指摘しています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

匿名・流動型犯罪グループは、首謀者を中心とする幹部が素性を隠しており、外部者から見ると誰が首謀しているのか分かりにくいのが大きな特徴です。末端の実行犯は暴力団などに所属していないのが通常で、その人だけを調べても背後の反社会的勢力の存在は分かりません。

政府指針・暴力団排除条例が企業に求めていること

政府指針は、企業が守るべき基本原則として次の5つを挙げています。

  • 組織としての対応
  • 外部専門機関との連携
  • 取引を含めた一切の関係遮断
  • 有事における民事と刑事の法的対応
  • 裏取引や資金提供の禁止

条例のレベルでは、自治体ごとに定めが異なります。東京都暴力団排除条例は第18条第1項で、事業者の契約時における措置を定めています。

(事業者の契約時における措置)
第18条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。

出典:東京都暴力団排除条例 第18条|警視庁

条文は「確認するよう努めるものとする」であり、義務ではなく努力義務です。適用範囲についても、警視庁のQ&Aが線引きを示しています。

この規定については、努力義務規定であり、例えば、スーパーやコンビニで日用品を売買するなど、通常、一般的に取引の相手方について身分を確認しないような場合についてまで、あえて相手方の確認をするよう求めるものではありません。

出典:東京都暴力団排除条例Q&A|警視庁

ここで重要なのは、同じ条文がすべての都道府県にあるわけではないという点です。大阪府暴力団排除条例には、東京都第18条のような一般の契約における相手方確認の努力義務条項は置かれていません。

同条例は、第5条第2項が事業者の責務として「暴力団との一切の関係を持たないよう努める」と定め、第14条第1項が利益の供与を禁じる構成です。相手方の確認について定めているのは第19条第2項で、対象は不動産取引に限られます。

自社と取引先の所在地がまたがる場合は、双方の条例を確認しておくと判断がぶれません。「暴排条例で確認が義務づけられている」という一般化した説明は、実際の条文とは異なる点に注意が必要です。

出典・参考資料(4件)

多くの場面では、ここまでの方法で足ります。一方で、無料の手段には超えられない線があり、そこに当たったときが有料の手段を検討するタイミングになります。

有料への切り替えを考える目安

判断の目安になるのは、次の3つの場面です。いずれも「何件から」という件数の問題ではなく、無料の手段では届かない範囲に手が伸びたかどうかで決まります。

1つ目は、使っているツールの無料枠の上限に当たったときです。期間の定めがない無料プランでも検索回数に上限があり、無料トライアルには期間や件数の制限があります。継続的に新規取引が発生するなら、上限に当たった時点が切り替えの検討時期になります。

2つ目は、官報を氏名で横断的に検索する必要が出たときです。前述のとおり官報発行サイトには検索機能がなく、過去の官報をキーワードで探すには国立印刷局の官報情報検索サービスを使うことになります。

官報情報検索サービスは、昭和22年5月3日(日本国憲法施行日)分から直近までの官報の内容を、日付やキーワードを指定して検索・閲覧できる、会員制有料サービスです。

出典:サービス内容|官報情報検索サービス(独立行政法人 国立印刷局)

利用料金は月額2,200円(税込)で、初回申込みに限り申込当月分は無料です。ただし申込当月に解約した場合は当月分が発生します。申込みには利用申込書の提出が必要で、その場ですぐ使い始められるものではありません。

3つ目は、上場会社や金融機関との取引で、確認の体制について説明を求められたときです。東京証券取引所の有価証券上場規程第14条は「上場会社は,上場会社が反社会的勢力の関与を受けているものとして本所が定める関係を有しないものとする。」と定め、第22条は体制整備に努めることを求めています。

また金融機関には、金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」Ⅲ-3-1-4において、反社会的勢力に関する情報等を活用した適切な事前審査の実施が求められています。

これらはいずれも上場会社・金融機関それ自体にかかる規律で、その取引相手である自社に直接何かを求めるものではありません。ただ、取引相手の側にこの水準が課されている以上、その事前審査の一環として自社の確認方法を尋ねられる場面が出てきます。どこまで確認したかを説明できる形にしておくか、証跡が自動で残る仕組みに移すかの分かれ目になります。

出典・参考資料(3件)

求められる水準は、上場に関わる場面ではより具体的になります。反社チェックツールを提供するオープン株式会社の関根氏は、上場準備中の企業が主幹事証券会社から求められる調査について次のように話しています。

関根氏
オープン株式会社 RoboRobo事業部 マーケティング部 部長
関根氏
独自インタビューより

主幹事証券会社からグレーゾーンの調査まで求められるケースが増えており、既存ツールでは対応できない水準のチェックが必要になることがあります。

無料の自力検索と有料ツールでは何が変わるのか

有料ツールを使うと変わるのは、主に調査範囲・更新頻度・証跡の3点です。

調査範囲では、Google検索で拾える範囲を超えて、新聞記事データベースや独自の反社情報データベース、制裁リスト、行政処分情報を同時に照合できます。掲載が終了した記事や、検索エンジンの上位に出てこない情報まで対象に入ります。

更新頻度では、一度調べて終わりではなく、登録した取引先を継続的に監視する機能を持つサービスがあります。取引開始後に問題が表面化した場合の検知は、手作業では現実的ではありません。

証跡では、検索日時・対象・結果が自動で保存され、PDFやCSVで出力できるサービスが多くあります。手作業でスクリーンショットを撮って保管する運用と比べると、1件あたり数分の作業が件数分そのまま積み上がるかどうかの差になります。

この3点のうち、件数が増えたときに効いてくるのが証跡と所要時間です。手作業のチェックは1件あたりの時間がそのまま件数に比例して積み上がります。関根氏は、ツール導入前の現場で発生していた件数と所要時間を挙げています。

関根氏
オープン株式会社 RoboRobo事業部 マーケティング部 部長
関根氏
独自インタビューより

たとえばシステム会社では、毎日数十件から多い時には100件のチェック業務が発生しますが、人手で行うと1件あたり1分として100分以上かかります。

もっとも、無料の手段でできることが無駄になるわけではありません。件数が少ないうちは自力の公知情報チェックで足り、増えてきたら仕組みに移すという順序が、費用の面でも実際的です。

では、仕組みに移すといくらかかるのか。反社チェックツールの料金は、月額固定のものと1件ごとの従量課金のものが混在し、金額を公開している会社と問い合わせ前提の会社にも分かれるため、横並びでは把握しにくい部分です。初期費用・月額・1件あたりの単価を主要サービスでまとめて確認したい場合は、以下の記事で一覧にしています。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】反社チェックツールの資料を
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【一覧表】無料枠・費用・調査範囲を横並びで比べる

個人名を調べられる反社チェックサービスを、無料で試せる範囲・費用・調査範囲で横並びにしました。公式サイトに書かれていない項目は「公式に記載なし」と記しています。

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サービス名反社チェッカーRiskAnalyzeRISK EYESRoboRoboコンプライアンスチェックパワーサーチDQ反社チェックGチェッカー反社チェック個人検索
個人名検索人物名・社名
(対象範囲の内訳は公式に記載なし)
会社名・代表者名・個人事業主・採用候補者法人名・人名
(ネガティブワードとの複合条件で検索)
会社名・代表者名
(公式ブログは「法人・個人問わず」と記載)
会社名・代表者名・役員名
(取引先と無関係な個人単体の可否は公式に記載なし)
企業・個人問わず1件から企業名・人物名
(同じ検索枠・同じ料金で検索)
従業員・株主・個人事業主など
(採用候補者への言及は公式になし)
無料で試せる範囲フリープランで検索3回
期間の定めなし(公式表記は「3回」のみ)
登録フォームにカード情報の入力欄なし
無料トライアルあり
期間・件数は公式に記載なし(要問い合わせ)
期間の定めがない無料プランはなし
無料トライアルあり(申込制)
一括検索は10ワードまで
日数は公式に記載なし(要問い合わせ)
申込フォームに会社名の入力が必要
10件まで無料
日数は公式に記載なし(要問い合わせ)
勤務先メールアドレスが必須(フリーメール不可)
登録ページにカード情報の入力欄なし
無料トライアル30日間
要登録
終了後の自動課金はないとされる
トライアル中の利用件数は公式に記載なし
ツール型「riskey」のみ無料トライアルあり
利用開始日から1か月・最大30社・法人のみ
(LPの表記は「2週間」で利用規約と不一致)
調査代行の従量プランは対象外
無料トライアルあり
期間・件数は公式に記載なし(要問い合わせ)
無料お試しの対象外
(公式の「無料お試しについて」に本サービスの記載なし)
費用初期費用0円
フリープラン 月額0円
スタンダードプラン 月額10,000円(税別)で検索無制限
初期費用0円
ライトプラン 月額27,500円(年600検索)
スタンダードプラン 月額50,000円(年1,200検索)
プロフェッショナルプランは別途見積もり
(税区分は公式に記載なし)
初期費用0円
月額最低利用料金15,000円(税別)
1検索300円(1媒体ごと)
新聞記事は見出し・本文の閲覧料が別途
初期費用0円
月額・1件単価は公式の料金表で要確認
(公式は料金表を画像で掲載)
初期費用0円
ライトプラン 月額3,000円〜(ポイント制)
反社チェックは1件500円〜(調査範囲で4段階)
初期費用0円
ツール型「riskey」月額10,000円(税別)〜
調査代行は月額なしの従量制で1件500円(税別)〜
初期費用0円(登録料無料)
月額660円(税込・クレジットカード会員)/法人会員は年額9,900円(税込)
1検索165円(税込)で最大50件
別途、情報出力料が従量で発生
1件300円(税別)
入会費・月額の要否は公式に記載なし(要問い合わせ)
調査範囲新聞・テレビ・Webニュースの報道情報
(収録開始年・遡及年数は公式に記載なし)
国内約1,000媒体を1時間ごとに収集
海外240以上の国・地域(PEPs〔重要な公的地位を有する者〕・制裁リスト)
官報情報データベース(2026年5月追加)
新聞・WEBニュース・ブログ掲示板・独自反社DB・制裁リスト・行政処分情報
1日5,000以上のメディアを巡回
インターネット記事・新聞記事DB・海外情報DB(約190か国/約540万件)
SPネットワーク・World-Check・クローバー・ネットワーク・コムの多層チェック
専門調査会社情報・新聞記事・WEB情報(4プランで組み合わせを選択)
(遡及年数は公式に記載なし)
WEB・新聞記事・判例・官報(破産情報は2000年以降)
プランにより専門調査員の目視チェックあり
新聞・雑誌 約120紙誌
過去40年分
新聞 約50紙・過去10年分
120ワードの記事検索
詳細情報サービス詳細を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト

※2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。

個人名の調査に対応する反社チェックサービス

ここからは、各サービスについて1社ずつ補足します。並び順は「期間の定めがない無料プランがある」→「無料トライアルがある」→「無料枠がない」の順で、試しやすい順に並べています。

読む前にひとつ、表の「個人名検索」列の見方を補足します。同じ「個人名に対応」でも、取引先の代表者・役員として名前を調べる想定のものと、取引関係のない個人単体を調べられるものがあります。採用候補者のように取引先と紐づかない人物を調べたい場合は、この列に「代表者名」「役員名」とだけ書かれているサービスは、事前に可否を確認してから使うことになります。

1. 反社チェッカー(PRBASE PTE. LTD.)

反社チェッカーのウェブサイト

2021年6月に提供が始まったクラウド型の反社チェックツールで、新聞記事・テレビ番組情報・Webニュース記事を独自にデータベース化しています。公式トップページには「テレビで報じられた内容、新聞に載った人物名・社名も検索が可能です。」と記載があり、個人名での検索に対応しています。

期間の定めがない無料プランを公表している数少ないサービスです。会員登録に必要なのはメールアドレス・パスワード・個人/法人の別・プランの選択のみで、登録フォームにクレジットカード情報の入力欄はありません。ただし公式の料金比較表の表記は「3回」だけで、月あたりなのか累計なのかは公式サイト・利用規約のいずれにも書かれていません。

証跡の扱いには、確かめておきたい点があります。利用規約第18条は提供形態を画面表示と印刷としており、PDF出力機能の明記がありません。無料枠で調べた結果も、手作業と同じく自分でスクリーンショットを保存しておく前提になります。

2. RiskAnalyze(KYCコンサルティング株式会社)

RiskAnalyzeのウェブサイト

公式FAQに、本記事が想定する場面がそのまま挙げられています。「会社名だけでなく、個人名でもチェックできますか。」という質問への回答が「可能です。取引先の会社名や代表者名、個人事業主、採用候補者などを検索できます。」となっており、取引先の代表者にとどまらず、個人事業主・採用候補者まで名指しで挙げています。

同姓同名の判別には、年齢や地域の情報を使った絞り込みの仕組みがあります。調査結果はクラウドに7年間保存され、CSV・PDFで出力できます。一方で無料トライアルは公式FAQが「期間や件数はご相談ください。」としており、試せる範囲は問い合わせるまで分かりません

3. RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

RISK EYESのウェブサイト

RISK EYESは、「氏名+ネガティブワード」という検索の組み立てを、そのまま製品にしたツールです。公式の機能一覧には「法人名・人名とネガティブワードの複合条件で網羅的にチェック」と記載されており、手で打つ検索式が、そのまま検索条件の指定になります。

手で調べるときにいちばん悩ましい同姓同名についても、生年による判定で人物を識別する仕組みがあります。無料トライアルは申込制で、申込フォームには会社名の入力欄があり、一括検索は10ワードまでとされていますが、トライアルの日数は公式に記載がありません

4. RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

RoboRoboコンプライアンスチェックのウェブサイト

オープン株式会社が運営する公式ブログは、取引先10件まで無料でチェックできると案内しています。件数が数字で示されているぶん、申し込む前に自分の用が足りるかを判断できます。

申し込む前に知っておきたいのが、登録の条件です。必要なのは氏名・会社名・勤務先メールアドレス・電話番号・パスワードで、フリーメールアドレスでは登録できません(カード情報の入力欄はありません)。

個人名検索については公式ブログに「法人・個人問わず、どなたでも利用できます」とある一方、ランディングページ本体の訴求は取引先企業が中心です。取引と紐づかない個人単体で使いたい場合は、事前に確認するのが確実です。

5. パワーサーチ(アラームボックス株式会社)

パワーサーチのウェブサイト

アラームボックス株式会社のパワーサーチは、与信管理と反社チェックを同じ画面で扱えるサービスです。個人名については会社名だけでなく代表者名・役員名を入力した反社チェックに対応しており、公式で確認できるのはここまでで、取引先と無関係な個人単体での利用可否は明示されていません。

この記事の手順でいちばん時間を取られる同姓同名の判別に、独自のAIが算出する「本人確率」を当てているのが特徴です。無料トライアルは30日間で、終了後に自動で課金されることはないとされています。試すだけ試して放置してしまうことを警戒している場合は、この点が効きます。

6. DQ反社チェック(株式会社ディークエストホールディングス)

DQ反社チェックのウェブサイト

DQ反社チェックは、調査代行とセルフチェックツールの2本立てで提供されています。公式サイトの各ページでは「企業、または個人」「企業/個人問わず」という表現が一貫して使われており、法人名に限定されていません。

無料で試せるのはセルフチェックツール「riskey」のほうです。条件は利用規約に条文として書かれており、利用料金は無料、期間は利用開始日から1か月、調査対象者数は最大30社まで、利用は法人のみと定められています。

ただし申し込む前にひとつ確かめておきたい点があります。ランディングページには「2週間無料トライアル」と表示されている一方、リンク先の利用規約は1か月と定めており、公式サイト内で期間の表記が食い違っています。どちらが実際の条件かは、申し込み時に確認しておくのが確実です。

7. Gチェッカー(株式会社ジー・サーチ)

Gチェッカーのウェブサイト

登録料0円、月額660円(税込)、1検索165円(税込)——富士通グループの株式会社ジー・サーチが提供するGチェッカーは、費用の実額をここまで公開しています。公式サービス紹介ページには「調査対象となる企業名や人物名のリストをご用意ください。」とあり、企業名と人物名を同じ検索枠・同じ料金で扱えます。

ただしこの金額だけで完結するわけではありません。検索料金とは別に、情報出力料が従量で発生します。調査範囲は新聞・雑誌 約120紙誌の過去40年分で、無料の手段では届かない年代までさかのぼれるぶん、実際にかかる額は出力した件数しだいで変わります。

8. 反社チェック個人検索(リスクモンスター株式会社)

反社チェック個人検索のウェブサイト

リスクモンスター株式会社が2025年4月20日に提供を始めた、個人名の検索に特化したサービスです。公式サービスページは対象者を「従業員、株主、個人事業主など、個人名の反社チェック・コンプライアンスチェックを行いたい場合に有効活用いただけます」と説明しています。

姓と名を入力するだけで検索が完了し、本記事で紹介したようなネガティブワードの掛け合わせは不要です。結果は「反社警戒」「事件事故」の2区分で表示されます。

無料で試す入口が用意されていない点は、あらかじめ押さえておく必要があります。同社の「無料お試しについて」で案内されている対象はe-与信ナビと反社チェックヒートマップの2つで、本サービスは含まれていません。料金は1件あたり300円(税別)ですが、入会費・月額の要否も公式には記載がないため、単独で契約できるかを含めて問い合わせが必要です。

単発の確認ではなく、継続して使うツールを選ぶ段階になると、データソースの幅や同姓同名の判定精度、海外制裁リストへの対応、証跡の残り方など、比べる観点が増えます。以下の記事では、反社チェックツールをタイプ別に比較し、こうした観点ごとの選び方を解説しています。

まとめ

本記事では、個人名の反社チェックを無料で行う方法について、使えるサイトの一覧、そのまま打てる検索式、調査の手順と証跡の残し方、法令上の注意点を解説しました。

押さえておきたいのは次の3点です。

  • 誰でも引ける公的なデータベースは存在しない:法律が官報で公示するよう定めているのは団体の指定で、個人の情報は警察が個々の事案ごとに判断して提供します
  • 無料でできるのは公知情報の確認まで:Google検索を軸に、反社チェックツールの無料枠、図書館の新聞記事データベース、相手が個人事業主なら適格請求書発行事業者公表サイトを組み合わせる形になります。それぞれ分かることと限界が異なります
  • 記録の残し方で価値が変わる:調査日・対象・検索式・結果画面・判断を残しておくことで、「通常必要と思われる注意を払った」ことを後から示せます

無料枠の上限に当たったとき、官報を氏名でさかのぼる必要が出たとき、取引先から確認体制の説明を求められたときが、有料の手段を検討するタイミングです。MCB FinTechカタログでは、反社チェックツールの詳細な資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、自社に最適なサービスの比較検討を進めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 個人の反社チェックとは何ですか?

A. 個人の反社チェックとは、取引先の個人事業主や採用候補者などの個人について、反社会的勢力に当たらないかを公開情報をもとに確認する作業です。

政府指針は反社会的勢力を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」ととらえるとしており、定義に個人が含まれています。目的は法人を対象にした確認と同じですが、個人には法人番号のような公的な確認手段がないため、報道などの公知情報を自分で確認する方法が中心になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 個人の反社チェックは無料でどこまでできますか?

A. 個人の反社チェックを無料で行う場合、できるのは報道記事や公的機関の公告など、すでに公開されている情報にその人の名前が出ていないかを確認するところまでです。

氏名を入力すれば反社会的勢力かどうかが分かる公的なデータベースは公開されていません。暴力団対策法第7条が官報での公示を義務づけているのは指定に係る暴力団の名称など団体に関する事項で、構成員個人の名簿を公表する規定は置かれていないためです。

実際の作業は、Google検索と反社チェックツールの無料枠を軸に、必要に応じて図書館の新聞記事データベースを足す形になります。官報発行サイトと裁判例検索は、氏名からの横断検索には使えません。

出典・参考資料(1件)

Q. 個人の反社チェックは法律で義務づけられていますか?

A. 個人の反社チェックについて、すべての企業に実施を義務づける法律はなく、暴力団排除条例の定めも自治体によって異なります

東京都暴力団排除条例第18条第1項は、暴力団の活動を助長する疑いがある契約について、相手方が暴力団関係者でないことを「確認するよう努めるものとする」と定めた努力義務規定です。大阪府の条例には、一般の契約について相手方確認を求める同種の条項がありません(確認の努力義務は第19条第2項の不動産取引に限られます)。

一方で政府指針は「常に、通常必要と思われる注意を払う」ことを企業に求めています。義務の有無ではなく、この注意を払ったといえる確認と記録ができているかが実務上の物差しになります。

出典・参考資料(4件)

Q. 取引先が個人事業主でも反社チェックは必要ですか?

A. 政府指針は反社会的勢力を「集団又は個人」ととらえており、法人でない取引相手も確認の対象になり得ます

組織に属していなくても、暴力や詐欺的手法で経済的利益を追求していれば反社会的勢力に当たり得るという考え方です。実務上の違いは、確認に使える公的な手段です。法人であれば国税庁法人番号公表サイトで商号と所在地を突き合わせられますが、個人事業者に法人番号は指定されません。代わりに、相手の請求書に登録番号(T+13桁)があれば、適格請求書発行事業者公表サイトで登録された氏名と照合できます。

出典・参考資料(3件)

Q. 個人の反社チェックで、同姓同名かどうかの見極めがつかないときはどうすればよいですか?

A. 屋号・所在地・年齢を突き合わせても同一人物か別人か判断がつかない場合は、「判断がつかなかった」という状態のまま記録に残し、社内の判断に上げるのが基本です。無理に白黒をつけると、根拠のない見送りにも、見落としにもつながります。

次の一手には、いくつかの選択肢があります。相手が取引先であれば、契約前の確認として同名の報道について本人に尋ねる方法があります。相手の同意を得たうえで追加の資料を求める、疑いの理由を整理して警察や暴力追放運動推進センターに相談する、といった進め方も考えられます。

有料ツールには生年や地域の情報を使って同姓同名を判別する仕組みを備えたものもあり、判断がつかないケースが続くようなら切り替えを検討する材料になります。

Q. 個人の反社チェックで何もヒットしなければ、問題なしと判断してよいですか?

A. 個人の反社チェックで何もヒットしないことは、「公開されている情報の範囲では見つからなかった」という意味であって、問題がないことの証明にはなりません

無料の手段には、裁判例検索での当事者名の省略や官報での90日の非公開化など、構造的に見えない範囲があるためです。記録には「白だった」ではなく、いつ・どの手段と検索式で調べ該当が無かったかを残してください。

Q. 個人の反社チェックは、どこまで過去にさかのぼって調べればよいですか?

A. 個人の反社チェックでさかのぼる年数を定めた公的な基準はないため、何年前の情報までを判断材料にするかは自社で決めておく必要があります

基準を決めておくと、担当者による判断のばらつきを抑えられます。さかのぼれる範囲は手段によって異なり、Google検索では掲載が終了した記事は出てきません。国立国会図書館の館内端末で使える日経テレコンは日本経済新聞の1975年4月以降を収録しています。有料ツールには新聞・雑誌の過去40年分を対象にするものもあります。

Q. 個人の反社チェックを行うことについて、本人の同意は必要ですか?

A. 個人の反社チェックのうち、公開されている情報を検索して画面を見るだけの段階は個人情報の「取得」に当たらず、同意の要否を論じる場面に入りません。個人情報保護委員会のガイドラインQ&Aは、要配慮個人情報を含む情報がインターネット等により公にされている場合についてこう述べています。「単にこれを閲覧するにすぎず、転記等を行わない場合は、要配慮個人情報を取得しているとは解釈されません。」

同意が問題になるのは、スクリーンショットなどで記録に残した時点からです。逮捕などの刑事手続が行われた事実は要配慮個人情報に当たりますが、同委員会は、本人や報道機関等により公開されている場合(法第20条第2項第7号)などは本人の同意を得る必要はないとしています。

第57条第1項第1号の報道機関には新聞社・通信社が含まれる一方、個人のブログや掲示板の書き込みはこの例外に乗りません。同委員会は「個別の事例ごとに判断することとなります」とも述べており、一律の免罪符として読むべきものではありません。

出典・参考資料(3件)

Q. 採用候補者や内定者の反社チェックは、取引先と同じように調べてよいですか?

A. 採用候補者や内定者の反社チェックは、職業安定法の規律が別にかかるため、取引先と同じ感覚で検索してよいとは言えません

職業安定法第5条の5第1項は、求人者を含む名宛人に対し、求職者等の個人情報を「その業務の目的の達成に必要な範囲内で」「当該目的を明らかにして」収集することを求めています。告示第141号はさらに、収集の手段を「本人から直接」「本人の同意の下で本人以外の者から」「本人により公開されている個人情報」等に限っています。

そのため線引きは、目的を明示していれば検索と記録は説明がつき、明示していなければ本人の同意を先に取る、という線になります。明示も同意もないまま報道記事を検索して記録に残すのは、告示の列挙する手段のいずれにも当てはめにくく、リスクが残ります。

出典・参考資料(2件)

Q. 個人の反社チェックで見つけた情報は、社内でどこまで共有してよいですか?

A. 個人の反社チェックの結果は、判断に必要な担当者の範囲にとどめて共有することが求められます。調べた内容が事実であっても、公然と摘示すれば名誉毀損が成立し得るためです。

刑法第230条第1項は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず」処罰すると定めています。第233条は虚偽の風説を流布して人の信用を毀損した場合を処罰の対象としているため、確定していない情報を断定的に伝えないことも重要です。取引を見送る場合も、相手方に「反社会的勢力だと判断した」と伝える必要はなく、社内の基準に照らして見送る旨にとどめる運用が一般的です。

出典・参考資料(1件)

Q. 無料で行った個人の反社チェックは、どのように記録を残せばよいですか?

A. 無料で行った個人の反社チェックは、次の5点を契約書類と紐づけて保管しておくことが重要です。調査日・調査対象・使った手段と検索式・検索結果の画面・判断と担当者です。

表計算ソフトに落とすなら、1件の調査につき1行ではなく打った検索式ごとに1行にしておくと、「該当なし」も証跡として残せます。無料の手段は証跡が自動で残らず、反社チェッカーは利用規約が画面表示と印刷を提供形態としており、図書館の館内端末では電子媒体へのダウンロードができません。スクリーンショットは調査日と対象の名前でファイル名を付けておくと、記録シートと紐づけられます。

Q. 反社チェックツールの無料トライアルは、終了後に自動で有料プランへ切り替わりますか?

A. 反社チェックツールの無料トライアルが終了後に自動で課金されるかは各社の記載次第で、公式サイトに明記していないサービスもあります

アラームボックス株式会社のパワーサーチは、30日間の無料トライアル終了後に自動課金されることはないとしています。無料枠で制限されるのは主に回数・期間・件数で、RoboRoboコンプライアンスチェックは取引先10件まで、DQ反社チェックのriskeyは利用規約で1か月・最大30社・法人のみです。上限・登録情報・終了後の課金は申込前に確かめてください。

Q. 個人名の反社チェックを有料ツールで行うと、1件あたりいくらかかりますか?

A. 本記事で扱ったサービスの公表価格は1検索165円〜500円+月額の基本料金という構成です。

内訳は次のとおりです。Gチェッカーは月額660円(税込)に1検索165円(税込)で、これとは別に情報出力料が従量で発生します。RISK EYESは月額の最低利用料金15,000円(税別)に1検索300円(1媒体ごと)。パワーサーチは月額3,000円からに1件500円からのポイント消費、反社チェック個人検索は1件300円(税別)です。

多くは1検索の単価とは別に月額の基本料金がかかる構成で、単価だけで総額は決まりません。反社チェック個人検索については入会費・月額の要否が公式に記載されておらず、RiskAnalyzeやDQ反社チェックのように月額プランに検索回数が含まれる形のサービスもあります。1件あたりの実額を出すには、想定件数を月額に当てはめて計算する必要があります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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