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予算管理とは?予実管理との違い・手順・効率化の方法をわかりやすく解説

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「来期の予算編成を任された」「予実の集計を引き継いだ」など、予算管理を新たに担うことになり、何をどう進めればよいか整理したいと感じていませんか。予算管理は、企業が目標を達成するための土台となる業務である一方、言葉の意味や進め方があいまいなままだと、社内の会話が噛み合わず、数字の管理そのものが目的になってしまいがちです。

「予算管理」は、予実管理・経営管理・予算統制といった似た言葉と混同されやすく、それぞれの守備範囲を押さえておくことが、実務を回す第一歩になります。

本記事では、予算管理とは何かという定義と目的を出発点に、予実管理などとの違い、扱う予算の種類、予算編成から差異分析までの手順、そして実務で失敗しないためのポイントを解説します。あわせて、Excel・予算管理システム・BI/ERPの使い分けと、効率化に役立つサービスも紹介します。

予算管理の全体像をつかみ、自社の状況に合った進め方を検討するための材料としてご活用ください。

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予算管理とは?定義と目的

予算管理とは、事業計画にもとづいて予算を立て(予算編成)、事業を実行し、予算と実績を比較して差異の原因を分析し、次の行動に活かす一連の管理活動を指します。「計画(予算編成)→実行→比較・分析→改善」というサイクルを回すことで、経営目標の達成に向けて事業の進み具合をコントロールする取り組みです。

予算管理で扱う「予算」は、単なる経費の上限枠ではありません。売上・原価・経費・利益といった事業活動の数値目標を金額で表したもので、会社が「どこに向かい、いくらの利益を目指すか」を具体的な数字に落とし込んだものです。

予算管理の目的(なぜ必要か)

予算管理の目的は、立てた数値目標と実際の結果のズレを早期に把握し、目標達成に向けて手を打てる状態をつくることにあります。具体的には、次のような役割を担います。

  • 経営資源を計画的に配分する:限られた人員・資金を、どの事業・部門にどれだけ充てるかを予算という形で決めます。
  • 目標を全社で共有する:部門ごとの予算に落とし込むことで、各部門が担うべき目標と全社目標のつながりが明確になります。
  • 経営の軌道修正を早める:予算と実績の差異を定期的に確認することで、計画とのズレに早く気づき、対策を打てます。

たとえば、上半期の売上実績が予算を1割下回っていることが月次の予実比較で早めにわかれば、下半期に向けて販促を強める、コストを抑えるといった手を、期末を待たずに打てます。逆に予算管理をしていないと、業績のズレに気づくのが決算の集計後になり、対策が後手に回りがちです。予算管理は、こうした「打ち手を早める」ための土台になります。

このうち、予算と実績を突き合わせて評価する活動は予実管理と呼ばれ、予算管理の一部にあたります。予実管理をはじめ、予算管理と混同されやすい関連用語との違いを押さえておくと、社内での役割分担が整理しやすくなります。

予算管理と予実管理・経営管理・予算統制の違い

予算管理と似た言葉に、予実管理・経営管理・予算統制があります。日常ではほぼ同じ意味で使われることもありますが、それぞれの守備範囲や管理のサイクルには違いがあります。以下の表で、意味・守備範囲・管理サイクルを整理します。

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意味・守備範囲予算管理との関係主な管理サイクル
予算管理予算の編成から実績との比較・改善まで、予算に関わる管理活動の全般年次・四半期など中期的なサイクル
予実管理予算と実績を比較し、差異を分析・評価する取り組み(予算管理の一部)予算管理のプロセスの一部(実績との突き合わせを担う)月次・週次など短いサイクル
経営管理予算管理を含む、経営目標の達成に向けた管理活動全般(人事・生産・販売なども対象)予算管理を包含する上位の概念対象領域により異なる(月次〜年次)
予算統制予算編成後の進捗管理と差異分析に重点を置いた活動予算管理のうち、編成後のコントロール部分を指す月次など、予算実行中のサイクル

※各用語の一般的な位置づけを整理したものです。企業によって用語の使い方に幅があります。

整理すると、もっとも広い概念が経営管理で、その中に予算管理があり、予算管理の中で実績との突き合わせを担うのが予実管理という関係になります。予算統制は、予算管理のうち編成後の進捗コントロールに焦点を当てた言葉です。実務では、予算を立てる場面を予算管理、月次で予算と実績を照らし合わせる場面を予実管理と呼び分けると、役割が整理しやすくなります。

経営管理・予算管理・予実管理・予算統制の関係を示した入れ子の図。もっとも広い概念が経営管理で、その中に予算管理があり、さらにその中で予算と実績を比較し差異を分析・評価する予実管理がある。予算統制は予算管理のうち編成後の進捗管理・差異分析に重点を置いた部分。

予算管理で扱う予算の4種類(売上・原価・経費・利益)

予算管理で扱う予算は、一般的に売上予算・原価予算・経費予算・利益予算の4種類に分けられます。それぞれが何を表すかを整理すると、次のとおりです。

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売上予算原価予算経費予算利益予算
内容事業で見込む売上高の目標。予算全体の起点になる売上を上げるためにかかる原価(仕入・製造コストなど)の見込み販売費や一般管理費など、事業運営にかかる経費(人件費・家賃・広告費など)の見込み売上予算から原価予算・経費予算を差し引いた、事業活動から生まれる利益の目標

この4つは、それぞれ独立しているわけではなく、連動しています。売上予算から原価予算を差し引くと売上総利益(粗利)が求められ、そこからさらに経費予算を差し引いたものが利益予算にあたります。売上予算を高く設定すれば、それに応じて原価予算や経費予算も見直す必要があり、どれか一つだけを動かしても計画は成り立ちません。4種類の予算を関連づけて組み立てることが、実現可能な予算づくりのポイントになります。

売上予算・原価予算・経費予算・利益予算の4種類の予算が連動していることを示した図。売上予算から原価予算を差し引くと売上総利益(粗利)となり、そこからさらに経費予算を差し引いたものが利益予算にあたる。売上予算が起点で、どれか一つだけを動かしても計画は成り立たない。

また、予算を損益予算・資金予算・資本予算という切り口で分類する考え方もあります。これは「利益」に注目するか「お金の動きや投資」に注目するかという分類軸の違いで、売上・原価・経費・利益の4分類と対立するものではありません。まずは損益に直結する4種類を押さえておくと、実務で扱う場面が多くなります。

予算管理の手順(PDCA:編成→実行→差異分析→改善)

予算管理は、予算を立てて終わりではなく、実行と振り返りを繰り返すサイクルとして進めます。ここでは、計画(Plan)・実行(Do)・確認(Check)・改善(Action)というPDCAサイクルに沿って、各ステップで実際に何をするかを解説します。

予算管理の手順をPDCAサイクルで示した4ステップの図。①予算編成(Plan)で全社目標を各部門の予算に配分し、②実行(Do)で予算にもとづき事業を進め実績を記録、③差異分析(Check)で予算と実績を比較し差異の原因を分解、④改善(Action)で分析結果を次の行動と次期の予算編成に活かす。④の気づきを次期①に反映しサイクルを繰り返す。

①予算編成(Plan):目標を各部門の予算に落とし込む

最初のステップは、全社の目標を部門ごとの予算に配分する予算編成です。編成の進め方には、経営陣が全体の枠を決めて各部門に配分するトップダウン型と、各部門が現場の見込みを積み上げて全社予算をつくるボトムアップ型があります。

トップダウン型は経営方針を反映しやすい一方で現場の納得感を得にくく、ボトムアップ型は現場の実態を反映しやすい一方で全社目標との整合が課題になります。実務では、経営陣が示した全体目標をもとに各部門が予算案を作成し、擦り合わせて確定する、両者を組み合わせた進め方が一般的です。

作成の順序としては、まず売上予算を起点に置き、それに対応する原価予算・経費予算を見積もって利益予算へ落とし込むと整理しやすくなります。年間予算を立てたら、季節性や事業の動きに合わせて月別に割り付けておくと、後の月次での予実比較がしやすくなります。予算編成は決算期の数か月前から着手し、部門との擦り合わせの期間を見込んでおくと余裕を持って進められます。

②実行(Do):予算にもとづいて事業を進める

編成した予算にもとづいて、日々の事業活動を進めます。この段階では、実績となる売上や費用のデータを、後で予算と比較できる形で正確に記録しておくことが大切です。記録の粒度や集計の単位が予算とそろっていないと、次の差異分析で予算と実績を突き合わせられなくなります。

③差異分析(Check):差異の見方と計算例

一定期間ごとに、予算と実績を比較して差異を把握します。これが予算差異分析で、予算管理の中でも特に重要なステップです。差異は次の式で表されます。

  • 差異 = 実績 − 予算

差異の符号の意味は、予算の種類によって変わる点に注意が必要です。売上予算や利益予算では実績が予算を上回る(プラス)と好ましい状態(有利差異)ですが、原価予算や経費予算では実績が予算を上回るとコストの超過(不利差異)を意味します。数字のプラス・マイナスだけでなく、それが有利な差異か不利な差異かをあわせて見ることが大切です。

たとえば、ある月の売上予算が1,000万円で実績が900万円だった場合、差異は「900万円 − 1,000万円 = −100万円」となり、予算を100万円下回ったことがわかります。

重要なのは、差異の金額を確認して終わらせず、その原因を切り分けることです。売上の差異であれば、販売数量が計画より少なかったのか(数量差異)、単価が想定より低かったのか(単価差異)に分けて見ることで、次に打つべき手が具体的になります。

具体的に数字で見てみます。売上予算が「販売数量100個 × 単価10万円 = 1,000万円」で、実績が「販売数量90個 × 単価10万円 = 900万円」だった場合、単価は予算どおりのため、−100万円の差異はすべて販売数量の減少(10個 × 10万円)から生じたとわかります。

一方、実績が「販売数量100個 × 単価9万円 = 900万円」なら、同じ−100万円でも原因は単価の下落(1万円 × 100個)になります。数量差異と単価差異のどちらが大きいかで、値付けを見直すのか販売量を増やすのか、打つべき対策が変わります。

同じ「売上が100万円未達」でも、数量は計画どおりだが値引きで単価が下がっていたのか、単価は維持できたが販売数量が伸びなかったのかで、対策はまったく変わります。差異を金額の大小だけで捉えず、要因ごとに分解することが、差異分析を改善につなげる鍵になります。

④改善(Action):分析結果を次の行動に活かす

差異分析でわかった原因をもとに、具体的な改善策を実行します。販売施策の見直し、コストの調整、必要に応じた予算そのものの修正など、分析を次の一手につなげる段階です。ここで得た気づきを次期の予算編成にも反映することで、予算の精度が回を重ねるごとに高まっていきます。

予算管理を成功させるポイントと注意点

予算管理を形だけの作業にせず、経営に役立てるために押さえておきたいポイントを整理します。

  • 予算の根拠を明確にする:前年踏襲や経験則だけで数字を決めず、事業計画や市場の見込みなど、なぜその数字なのかを説明できる根拠にもとづいて設定します。
  • 予算の粒度を適切に保つ:粗すぎると差異の原因を追えず、細かすぎると管理の手間がかさみます。原因を特定でき、かつ運用が続けられる粒度に調整します。
  • 予算の達成そのものを目的にしない:数字の達成に固執すると、必要な投資を控えるなど本末転倒な判断につながりかねません。予算は経営目標を達成する手段であることを忘れないようにします。
  • 部門間で連携する:予算は経営企画・経理と各事業部門が関わって初めて機能します。数字の背景や前提を共有し、部門をまたいで認識をそろえることが大切です。
  • 短いサイクルで見直す:年次で立てた予算も、月次で実績と突き合わせて必要に応じ見込みを更新することで、環境変化に対応しやすくなります。

特に、環境変化が大きく、月次より短い間隔で見込みを更新し続けたい場合は、当初の予算に固執せず定期的に見通しを立て直すローリングフォーキャストという手法が役立ちます。その考え方やメリット・運用のコツは、以下の記事で詳しく解説しています。

これらに共通するのは、予算管理を「立てて終わり」の作業にせず、実績と照らし合わせて改善を回し続ける姿勢です。とはいえ、部門や拠点が増えるほど、この一連の管理を手作業で回すのは負担が大きくなります。そこで次に、管理の手段としてのExcel・予算管理システム・BI/ERPの使い分けを見ていきます。

Excel・予算管理システム・BI/ERPの使い分けと判断基準

予算管理を行う手段は、大きくExcel(表計算ソフト)・予算管理システム・BI/ERP(データを統合・分析する基盤ツール)の3つに分けられます。それぞれの特徴を整理すると、次のとおりです。

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主な特徴初期コスト属人化・多部門集計向く企業
Excel・スプレッドシート汎用的で導入しやすく、追加費用がかからない。小規模・単一部門の予算管理に向く低い(既存ライセンスで開始できる)ファイルの分散・関数の属人化が起きやすく、多部門の集計に手間がかかる部門・拠点が少なく、予算管理の規模が小さい企業
予算管理システム予算編成・予実の集計・差異分析・見込み管理に特化。部門横断のデータ収集を効率化サービスにより異なる(月額制が中心)入力〜集計を一元化でき、多部門・多拠点でも属人化を抑えやすい脱Excel・予実の効率化と差異分析の高度化を進めたい企業
BI・ERPツール会計・販売など基幹データと統合し、予実を含む幅広い経営指標を可視化・分析比較的高い(導入・構築の負担が大きい)データ統合により全社集計に強いが、運用に一定の専門知識が必要予実を含む経営全体のデータ統合・分析を進めたい企業

※一般的な傾向を整理したものです。具体的な機能・費用はサービスごとに異なります。

予算管理システムの導入だけでなく、会計や販売などの基幹データも統合して経営全体を分析したい場合は、BIツールも選択肢になります。タイプ別の違いや料金の比較は、以下の記事で確認できます。

多くの企業は、まずExcelやスプレッドシートで予算管理を始めます。汎用的で費用もかからず、小規模なうちは十分に機能します。一方で、次のような状況が見え始めたら、予算管理システムの検討に進むサインといえます。

  • 部門・拠点が増え、複数のExcelファイルを集約する作業に毎月まとまった工数がかかっている
  • 関数やファイル構成が特定の担当者しか分からず、属人化している
  • 集計に時間がかかり、差異分析や見込みの更新まで手が回らない
  • 入力ミスやバージョン違いによる数字の食い違いが起きている

これらは、予算管理の規模が手作業の限界を超えつつあることを示しています。Excelを続けるか、予算管理システムやBI/ERPに移行するかは、部門数・集計の頻度・差異分析にかけたい労力を照らし合わせて判断するとよいでしょう。次のセクションでは、効率化の手段となる予算管理システムを具体的に見ていきます。

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予算管理を効率化する予算管理システム

予算管理システムは、予算編成・予実の集計・差異分析・着地見込み(期末の最終的な着地を予測した数字)の管理といった一連の業務をクラウド上で効率化するツールです。会計システムからのデータ取り込みを自動化し、部門横断でのデータ収集や差異分析の手間を減らせる点が、Excel運用との大きな違いになります。ここでは、代表的なサービスを取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

予算管理システムが得意とする方向性は、サービスによって異なります。予実管理に特化して脱Excelを進めるもの、KPIと予実を組み合わせて自動で可視化するもの、財務数値と非財務指標を統合して経営管理に高めるものなどがあります。以下の比較表で、各サービスの特徴を確認できます。

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サービス名DIGGLE(ディグル)X-KPI(クロスケーピーアイ)Scale Cloud(スケールクラウド)
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
得意な方向性予実管理に特化して脱Excelを進めるKPIと予実を組み合わせて自動で可視化財務数値と非財務指標(KPI)を統合して経営管理に高める
予実管理・差異分析予算策定・予実突合・見込管理・レポーティングを一元管理予算と実績の差異・異常値を自動検知し、原因とともにチャットへ通知予算策定・予実管理・着地見込み更新に対応、多軸分析・異常値の自動検知
KPI管理非財務指標を分析の切り口として活用部門・拠点・プロジェクト単位のKPIをノーコードで設計・一元管理(KPIツリー)PL/BS/CFと先行・結果指標KPIを関連づけてモデリング
会計・データ連携freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計・SalesforceなどとAPI/CSV連携会計ソフト・グループウェアとAPI連携勘定奉行クラウド・freee・Salesforce(API)・Googleスプレッドシート・CSV連携
月額料金要問い合わせ要問い合わせ月額10万円〜(プラン詳細は要問い合わせ)
サポート問い合わせ・見積相談の導線あり(詳細な体制は要問い合わせ)導入後サポートあり(詳細な手段・対応時間は要問い合わせ)KPI設計コンサルティング・導入後の定期ミーティングによる伴走支援あり
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※本表は2026年9月時点の各社公式サイトおよび掲載情報をもとに作成しています。「要問い合わせ」は公式に金額・条件が公開されていない項目です。KPI管理の記号は、●=KPIの一元管理に対応、△=KPIを分析の切り口として活用、を表します。料金・機能は変更される場合があるため、最新の内容は各社にご確認ください。

1. DIGGLE(ディグル)(ディグル株式会社)

DIGGLE(ディグル)のウェブサイト

DIGGLEは、予算策定から予実突合、着地見込みの管理、レポーティングまでをクラウド上で一元管理する、予実管理に特化したサービスです。「脱エクセルの予実管理」を掲げ、Excel運用で起こりがちな属人化や集計の手間の解消を目指しています。

特徴は、会計システムからのデータ取り込みと予実の突き合わせを自動化できる点にあります。freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPIやCSVで連携し、実績データの取り込みを効率化します。勘定科目より細かい粒度での損益管理や、非財務指標(KPI)を組み合わせた分析にも対応し、月初の予実突合に追われる状況から抜け出したい企業に向いています。

2. X-KPI(クロスケーピーアイ)(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPI(クロスケーピーアイ)のウェブサイト

差異分析そのものを自動化したい場合に選択肢となるのが、KPI・予実管理クラウドのX-KPIです。部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化します。

特に、予算と実績の差異や異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する機能を備えており、差異分析を担当者の手作業に依存させない運用ができます。KPI項目やダッシュボードは専門知識がなくても設計でき、会計ソフト・グループウェアとのAPI連携にも対応します。複数部門のKPIと予実をまとめて把握し、ズレに早く気づける状態をつくりたい企業に適しています。

3. Scale Cloud(スケールクラウド)(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud(スケールクラウド)のウェブサイト

Scale Cloudは、財務数値(PL)と各部門のKPIを関連づけて一元管理できる経営管理クラウドです。予実の集計にとどまらず、商談数や成約率といったKPIを積み上げて売上予算を組み立てるなど、KPIと予算をつなげた管理に対応している点が特徴です。

売上や利益といった結果の数字だけでなく、その結果に至るプロセス(KPI)まで含めて可視化できるため、「なぜ予算に届いたのか・届かなかったのか」を要因までさかのぼって把握しやすくなります。予算管理を単なる集計作業ではなく、再現性のある経営管理に高めていきたい企業に向いています。

結果だけでなくプロセスまで把握するという発想の背景について、同サービスを提供する株式会社Scale Cloudの広瀬氏は、従来の管理会計が抱える課題を次のように説明しています。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。

ここで取り上げたのは代表的な3サービスです。より多くの製品を横並びで比較し、機能・料金やタイプ別の選び方まで確認したい場合は、以下の記事で予算管理システム全体の比較と選定のポイントを解説しています。導入を検討される方は、あわせてご覧ください。

まとめ

予算管理とは、予算を編成し、実行と実績の比較・差異分析を経て改善につなげる一連の管理活動です。予算と実績を突き合わせる予実管理は予算管理の一部であり、より広い経営管理の中に予算管理が位置づけられます。扱う予算は売上・原価・経費・利益の4種類が基本で、これらを連動させて実現可能な計画を組み立てます。

予算管理は、編成→実行→差異分析→改善のサイクルを回し続けることで精度が高まります。部門や拠点が増え、Excelでの集計や差異分析が手作業では回りきらなくなってきた場合は、予算管理システムやBI/ERPの活用も検討し、効率化と分析の高度化を両立させましょう。

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予算管理に関するよくある質問(FAQ)

Q. 予算管理とは何ですか?

A. 予算管理とは、事業計画にもとづいて予算を立て、実績と比較して差異の原因を分析し、次の行動に活かす一連の管理活動です。「計画(予算編成)→実行→比較・分析→改善」というサイクルを回すことで、経営目標の達成に向けて事業の進み具合をコントロールする取り組みを指します。予算を立てるだけでなく、実績と突き合わせて改善につなげるところまでを含む点が要点です。

Q. 予算管理と予実管理は何が違うのですか?

A. 予算管理と予実管理の違いは、予算管理が予算の編成から実績との比較・改善までの全般を指すのに対し、予実管理はそのうち予算と実績を突き合わせて差異を分析する部分を担う点にあります。予実管理は予算管理の一部で、月次・週次など短いサイクルで回すのが一般的です。さらに広い概念として経営管理があり、その中に予算管理、予算管理の中に予実管理がある、という入れ子の関係で捉えると整理しやすくなります。

Q. 予算管理では具体的にどんな予算を扱いますか?

A. 予算管理で扱う予算は、一般的に売上予算・原価予算・経費予算・利益予算の4種類に分けられます。売上予算から原価予算を差し引くと売上総利益(粗利)が求められ、そこからさらに経費予算を差し引いたものが利益予算にあたります。4つは独立しているのではなく連動しているため、どれか一つだけを動かしても計画は成り立ちません。関連づけて組み立てることが、実現可能な予算づくりのポイントになります。

Q. 予算差異分析とは何ですか?どう計算しますか?

A. 予算差異分析とは、一定期間ごとに予算と実績を比較し、そのズレ(差異=実績−予算)の原因を切り分けて次の行動につなげる分析です。たとえば売上予算1,000万円に対して実績900万円なら、差異は「900万円−1,000万円=−100万円」で予算を100万円下回ったとわかります。

重要なのは金額の確認で終わらせず、売上の差異なら販売数量が少なかったのか(数量差異)・単価が低かったのか(単価差異)に分解し、打つべき手を具体化することです。

Q. 予算管理はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A. 予算管理は、年次・四半期などで予算を編成し、月次で予算と実績を突き合わせて見込みを更新するサイクルで回すのが一般的です。予算編成は中期的なサイクル、予実の突き合わせ(予実管理)は月次など短いサイクル、と粒度を分けて考えると運用しやすくなります。環境変化が大きい局面では、見込みをより短い間隔で更新することで、計画とのズレに早く気づいて軌道修正しやすくなります。

Q. 予算管理の担当者に求められるスキルは何ですか?

A. 予算管理の担当者には、売上・原価・利益の関係を理解する会計の基礎知識と、部門をまたいで数字の前提をすり合わせるコミュニケーション力が求められます。加えて、個々の数字にとらわれず事業全体を俯瞰して差異の原因を捉える視点があると、差異分析を改善につなげやすくなります。高度な専門資格が必須というより、数字を経営の判断材料に翻訳する姿勢が土台になります。

Q. 予算管理はExcelだけでもできますか?

A. 予算管理は、部門・拠点が少なく規模が小さいうちはExcelやスプレッドシートでも十分に行えます。一方で、複数ファイルの集約に毎月まとまった工数がかかる、関数やファイル構成が特定の担当者に属人化している、集計に追われて差異分析まで手が回らない、といった状況が見え始めたら、予算管理システムの検討に進むサインです。

Excelを続けるか移行するかは、部門数・集計の頻度・差異分析にかけたい労力を照らし合わせて判断するとよいでしょう。

Q. 予算管理システムを導入すると何ができますか?

A. 予算管理システムを導入すると、予算編成・予実の集計・差異分析・着地見込みの管理といった一連の業務をクラウド上で効率化できます。会計システムからのデータ取り込みを自動化し、部門横断でのデータ収集や差異分析の手間を減らせる点が、Excel運用との大きな違いです。サービスによって予実管理特化型・KPI連携型・経営管理統合型など得意な方向性が異なるため、自社の目的に合わせて選ぶことが大切です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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