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出張の移動時間は労働時間? 残業代の要否と例外を判例・通達で解説

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遠方への出張で行き帰りに丸一日かかったとき、その移動時間は労働時間になるのか、残業代を払う必要があるのか。社員から質問されて答えに詰まった人事・労務の担当者は少なくありません。まず結論をお伝えすると、出張の移動時間は原則として労働時間には含まれず、それ自体が残業代(割増賃金)の対象になることもありません。

ただし、これはあくまで原則です。移動中に会社から具体的な業務を指示された場合や、物品の監視を命じられた場合など、一定の条件を満たすと移動時間も労働時間として扱われます。原則と例外の境目を判例・行政通達の根拠とともに押さえておかないと、未払い残業代を巡るトラブルに発展しかねません。

本記事では、出張の移動時間が労働時間になるかどうかの判断基準を、最高裁判例や労働基準局の通達の原文とともに整理します。労働時間になる例外をケース別の○×早見表で示し、休日移動・直行直帰・残業代とみなし労働時間制の関係、さらに就業規則や勤怠運用でトラブルを防ぐ方法まで解説します。

読み終える頃には、自社のケースが労働時間に当たるのかを自分で判断でき、就業規則・出張旅費規程の整備や勤怠管理の見直しという次の一手に進めるようになります。

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【結論】出張の移動時間は原則として労働時間に含まれない

ここからは、出張の移動時間の扱いについて結論から解説します。出張に伴う往復の移動時間は、原則として労働時間には含まれません。したがって、移動しただけでは残業代(時間外労働に対する割増賃金)の支払い義務も発生しないのが基本的な考え方です。

この考え方を示した代表的な裁判例が、日本工業検査事件です。出張の往復に要する時間について、裁判所は次のように判断しています。

出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常の出勤に費す時間と同一性質であると考えられるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがってまた時間外労働の問題は起り得ないと解するのが相当である。

出典:日本工業検査事件|横浜地方裁判所川崎支部 昭和49年1月26日決定(労働民例集25巻1・2合併号12頁)

移動時間は、毎日の通勤で駅や会社まで向かう時間と本質的に同じ性質だ、というのが理由です。出張先へ向かう移動そのものは、業務を遂行している状態とは評価されないため、労働時間には算入されないと整理されています。

この決定は昭和49年のものですが、移動時間を原則として労働時間に含めないという考え方は、後年の裁判例(後述の横河電機事件など)や行政実務にも引き継がれており、現在も実務判断の基礎になっています。

なぜ「原則は非該当」と言えるのか、その判断の基準を次に確認します。

労働時間かどうかの判断基準(使用者の指揮命令下にあるか)

では、なぜ移動が原則として労働時間に含まれないのか。その判断を左右するのは「使用者の指揮命令下に置かれているか」という一点です。この基準を押さえると、後述する例外に自社のケースが当たるかどうかも見分けられます。

労働時間の意味について、最高裁判所は三菱重工業長崎造船所事件で次のように述べています。就業規則や労働契約でどう定めているかにかかわらず、客観的に判断されるという点が重要です。

労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。

出典:三菱重工業長崎造船所事件|最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日判決(裁判所 裁判例検索

移動時間が労働時間になるかどうかは、その移動が「会社の指揮命令のもとで行われている」と客観的に評価できるかで決まります。単に会社の用事のために移動しているというだけでは足りず、移動そのものが業務として拘束されている必要があります。

なぜ出張の移動は原則として労働時間に含まれないのか

出張の移動中、社員は乗り物の中で読書をしたり、仮眠をとったり、飲食をしたりと、時間の使い方が比較的自由です。目的地に向かうという制約はありますが、その間の行動まで会社に細かく管理されているわけではありません。

この「拘束の程度が低い」という点を判断の根拠にしたのが横河電機事件です。所定労働時間内の移動を含むケースについて、裁判所は移動時間の労働時間性を次のように否定しました。

移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難であることから、これらの条項から直ちに所定就業時間内における移動時間が時間外手当の支給対象となる実勤務時間に当たるとの解釈を導き出すことはできない。

出典:横河電機事件|東京地方裁判所 平成6年9月27日判決(労働判例660号35頁)

移動という行為は、業務そのものに従事している状態と比べて拘束の度合いが弱い、というのがポイントです。この考え方が、出張の移動時間を原則として労働時間に含めない根拠になっています。

通勤時間・事業所間の移動との違い

移動時間には、扱いの異なるものが混在します。整理すると、自宅と会社の間の通勤時間は労働時間に当たりません。一方で、勤務時間中に上司の指示で別の事業所や取引先へ移動する時間は、業務命令による移動として労働時間に含まれます。

出張の移動は、この2つのうち通勤時間に近いものとして扱われます。先ほどの日本工業検査事件が「日常の出勤に費す時間と同一性質」と述べたのは、この位置づけを指しています。ただし、勤務時間中に発生する移動や、業務指示を伴う移動は扱いが変わるため、次章の例外で詳しく見ていきます。

ここまでの判断の流れを一枚に整理すると、次のとおりです。

出張の移動時間が労働時間になるかの判断図。判断の分かれ目は使用者の指揮命令下にあるかどうか。指揮命令下になく自由に過ごせる純粋な移動は原則として労働時間に含まれず、通勤と同性質で残業代の対象外。移動中に業務へ従事した場合や、物品監視の指示・移動中の業務指示・所定労働時間内などで指揮命令下にある場合は労働時間に含まれる。

出張の移動時間が労働時間になる例外(ケース別○×早見表)

では、原則が崩れて移動時間が労働時間になるのは、どのような場面でしょうか。判断のカギは、前章で述べた「使用者の指揮命令下にあるか」です。まず全体像を早見表で確認し、その後に各ケースを掘り下げます。

ケース労働時間該当ポイント
純粋な移動のみ(自由に過ごせる)×原則どおり非該当
①物品・現金・機密書類の運搬監視など別段の指示がある監視という業務が命じられている
②移動中に業務の指示を受けた(PC作業・資料作成 等)移動中に業務へ従事している
③上司に同行し移動中に打ち合わせをした移動中に業務へ従事している
④所定労働時間内に移動したもともと労働時間の枠内
⑤出張の前後に会社へ立ち寄った指示あり○/任意×会社の指示・拘束があったかどうかで分岐

いずれも、移動時間中に「業務そのものへの従事」や「会社の具体的な拘束」が加わっているかどうかが分かれ目です。順番に見ていきます。

①物品・現金・機密書類の運搬監視など別段の指示がある場合

移動中に、現金や機密書類、貴重品などを運び、その監視を会社から命じられている場合は、移動時間も労働時間に含まれます。単なる移動ではなく「監視」という業務を遂行している状態だからです。

この考え方は行政通達にも表れています。行政通達(昭和33年2月13日基発第90号)では、出張中の休日に旅行する場合であっても、旅行中の物品の監視など別段の指示がある場合を除き、休日労働として取り扱わなくても差し支えないとされています。裏を返せば、物品監視などの指示があれば労働時間として扱う必要があるということです。

同じ発想で、納品物の運搬そのものが出張の重要な目的だった場合には、移動が会社の指揮命令下にあるとして移動時間の労働時間性が肯定された裁判例もあります(ロア・アドバタイジング事件・東京地裁 平成24年7月27日判決、労働判例1059号26頁)。移動が「業務そのもの」と評価できるかが分かれ目です。

②移動中に業務の指示を受けた場合(PC作業・資料作成 等)

移動中に上司から指示を受けて、パソコンで資料を作成したり、メールで業務対応をしたりした場合、その作業をしていた時間は労働時間に当たります。移動しながらでも、実際に業務へ従事していれば指揮命令下にあると評価されるためです。

この判断のよりどころは、前章の「使用者の指揮命令下にあるか」という基準です。あわせて、移動時間の自由利用が保障されているかどうかも手がかりになります。対象は異なりますが、訪問介護労働者に関する通達(平成16年8月27日基発第0827001号)が、この点について参考になる判断枠組みを示しています。

移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。

出典:訪問介護労働者の法定労働条件の確保について|厚生労働省労働基準局長通知 平成16年8月27日基発第0827001号(厚生労働省 法令等データベース

この通達は訪問介護労働者を対象にしたものですが、「自由利用が保障されているか」で移動時間の労働時間性を判断するという考え方は、出張の移動時間を考えるうえでも参考になります。移動中に業務を指示され、自由に過ごせない状態であれば、その時間は労働時間に近づくと理解しておくとよいでしょう。

逆に、会社の指示がなく、社員が自主的に移動中の時間を使って仕事をしただけであれば、原則として労働時間には当たりません。ただし、そうした作業が常態化し、会社がそれを黙認・期待していると評価される状況では、実質的に指揮命令下にあるとみなされる余地があるため、注意が必要です。

③上司に同行し移動中に打ち合わせをした場合

上司や同僚と同行し、移動中に仕事の打ち合わせをした場合も、その打ち合わせをしていた時間は業務への従事にあたり、労働時間として扱われます。移動の形をとっていても、実質的に会議をしているのと変わらないためです。

逆に、同じ乗り物に上司が乗っていても、それぞれが自由に過ごしていて業務のやり取りがなければ、通常の移動と同じく非該当と考えられます。打ち合わせという業務が発生していたかどうかが分かれ目です。

④所定労働時間内に移動する場合

始業から終業までの所定労働時間の中で移動が発生した場合、その移動時間はもともと労働時間の枠内にあるため、賃金の支払い対象になります。例えば午前中に出社してから取引先の遠方拠点へ向かい、勤務時間内に移動したようなケースです。

この場合は「例外」というより、もともと賃金の対象である所定労働時間の中で移動しているだけ、という整理になります。注意したいのは、これは所定労働時間ぶんの賃金が支払われるという意味であって、移動そのものが時間外手当(残業代)を生むわけではない点です。先の横河電機事件も、所定就業時間内の移動は時間外手当の対象となる実勤務時間には当たらないとしています。

⑤出張の前後に会社へ立ち寄った場合(指示の有無で分岐)

出張の前後に会社へ立ち寄ってから移動するケースは、立ち寄りが会社の指示によるものかどうかで扱いが分かれます。会社に集合するよう実質的に指示され、そこから現場へ移動した場合は、その移動時間が労働時間に含まれると判断された裁判例があります(総設事件・東京地裁 平成20年2月22日)。

一方で、立ち寄りが強制ではなく、社員どうしの任意の取り決めで相乗りしていたケースでは、移動時間は労働時間と認められませんでした(阿由葉工務店事件・東京地裁 平成14年11月15日)。会社の指示・拘束があったかどうかが判断の軸です。

休日の出張移動・直行直帰の扱い

ここからは、担当者からの相談が特に多い「休日の移動」と「直行直帰」について解説します。いずれも原則は非該当ですが、条件によって扱いが変わるため、個別に確認します。

休日に出張先へ移動する時間は労働時間か

翌日からの出張に備えて休日に移動する場合、その移動時間は原則として休日労働にはあたりません。前掲の行政通達(昭和33年2月13日基発第90号)が、出張中の休日の移動について、物品の監視など別段の指示がある場合を除いて休日労働として取り扱わなくても差し支えないとしているためです。

したがって、休日に移動しただけであれば、休日労働に対する割増賃金の支払いは原則として不要です。ただし、移動中に物品の監視や業務対応を命じた場合は、その時間が労働時間となり、休日労働の扱いが問題になります。

直行直帰の日の移動時間の扱い(会社に立ち寄らない場合)

自宅から直接出張先へ向かい、帰りも会社に寄らずに帰宅する直行直帰の場合、自宅と出張先の間の移動は通勤と同じ性質と考えられ、原則として労働時間には含まれません。会社に立ち寄る義務がなく、移動が自由に行われているためです。

直行直帰で気をつけたいのは、労働時間かどうかよりも、勤務の実態をどう記録するかです。会社にいる時間を基準にできないため、出張先での業務開始・終了の時刻をどう申告・記録するかを、あらかじめ社内で決めておく必要があります。運用面の工夫は後半で解説します。

出張中の残業代とみなし労働時間制(事業場外みなし)の関係

労働時間に当たるかどうかを整理できたら、次は「結局いくら払うのか」です。出張は社外での勤務が中心になるため、労働時間をどう算定するかが問題になります。

出張のように事業場の外で働き、労働時間を正確に把握しにくい場合に使われるのが、事業場外みなし労働時間制です。労働基準法は次のように定めています。

労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

出典:労働基準法 第38条の2 第1項(e-Gov 法令検索

みなし労働時間制が適用される場合の残業代の扱い

事業場外みなし労働時間制が適用され、その日の労働が所定労働時間内に収まるとみなされる場合、移動を含む出張の時間について追加の残業代は発生しません。所定労働時間ぶんを働いたものとして扱われるためです。

ただし、条文のただし書に注意が必要です。業務を遂行するために通常は所定労働時間を超えて働くことが必要な場合は、その業務の遂行に通常必要とされる時間を働いたものとみなします。この点で「みなし=常に残業代ゼロ」ではなく、通常必要な時間が所定を超えるなら、その超過分は割増賃金の対象になります。

具体的にイメージしてみます。所定労働時間が8時間の日に、往路の移動2時間・現地での商談4時間・復路の移動2時間で出張したとします。労働時間を管理する立場の人が同行せず、具体的な指示もなかった場合は、事業場外みなし労働時間制のもとで所定の8時間労働したものとみなし、移動を理由とした追加の残業代は原則として発生しません。

一方、同じ日に上司が同行して移動中も業務の指示を出していた場合は、実際に業務へ従事した時間を積み上げて計算し、8時間を超えた分が残業代の対象になります。

みなし労働時間制が適用されない場合の残業代の扱い

みなし労働時間制が使えるのは「労働時間を算定し難いとき」に限られます。出張に労働時間を管理する立場の人が同行している場合や、携帯電話などで随時具体的な指示を受けながら業務をしている場合は、労働時間を把握できると判断され、みなし制は適用されません。

ここでいう「随時具体的な指示」とは、単に携帯電話やチャットで連絡が取れる状態を指すのではなく、移動や業務の進め方について会社が随時、具体的に指示を出している状態を指します。連絡が取れるというだけでは、ただちにみなし制が使えなくなるわけではありません。

この場合は実際の労働時間を把握して賃金を計算します。所定労働時間を超えて業務に従事した時間があれば、その分は時間外労働として割増賃金の対象になります。出張だからといって一律に残業代が不要になるわけではない点に注意しましょう。

実際に割増賃金をいくら支払うのかは、基本の計算式と、時間外・深夜・休日それぞれの割増率をもとに算出します。計算式や割増率の一覧、給与形態別の計算例は以下の記事で確認できます。

出張の移動時間トラブルを防ぐ社内ルールと勤怠運用

ここまで見てきた法律の考え方を、実際のトラブル予防にどう落とし込むかが最後のポイントです。原則と例外を理解しても、社内の取り決めが曖昧なままでは、社員との認識のズレから未払い残業代の主張を招きかねません。

就業規則・出張旅費規程での定め方(移動時間の扱いの明文化)

まず取り組みたいのが、移動時間の扱いを就業規則や出張旅費規程で明文化することです。原則として移動時間は労働時間に含まないこと、どのような場合に労働時間として扱うか(物品の監視、移動中の業務指示など)を具体的に書いておくと、判断のよりどころになります。

あわせて、事業場外みなし労働時間制を採用するかどうか、採用する場合のみなし労働時間の設定も規程に落とし込みます。移動中に業務を命じる場合の申請・記録のルールを決めておくと、例外に当たる時間を漏れなく把握できます。ルールを社員に周知しておくことが、認識のズレを防ぐうえで欠かせません。

出張日当(旅費日当)の考え方

移動時間そのものは労働時間ではないとしても、長時間の移動には社員に負担がかかります。この負担に報いる仕組みとして多くの企業が採用しているのが、出張日当(旅費日当)です。移動や出張に伴う拘束・負担に対して、賃金とは別に一定額を支給する運用です。

出張日当を出張旅費規程で定めておくと、移動時間に賃金が出ないことへの不公平感をやわらげられ、社員の納得を得やすくなります。日当は労働時間の対価ではないため、金額や支給条件を自社の実態に合わせて設計できる点も利点です。

もっとも、金額を自由に決められるからこそ「いくらに設定すればよいか」で迷いがちです。役職別・国内/海外別の平均額や、非課税として認められる範囲を踏まえた決め方は、以下の記事で具体的に確認できます。

勤怠・出張管理システムでの記録・申請・集計

ルールを決めても、記録が正確でなければトラブルは防げません。特に直行直帰や社外での勤務が多い出張では、始業・終業の時刻や、移動中に業務を行った時間を、後から確認できる形で残す必要があります。

ここで役立つのが、出張の申請・承認から実績の記録・集計までを一元管理できる出張管理システムや勤怠管理システムです。出張申請の段階で移動や宿泊の予定を登録し、直行直帰の打刻や、移動中に業務対応した時間の申請をシステム上で処理できれば、担当者の手作業を減らしながら、労働時間の記録を正確に保てます。次章で、こうした仕組みを提供するサービスを紹介します。

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出張手配・勤怠を効率化するサービスの活用

ここからは、出張の申請・手配から移動・費用の記録までを一元化し、移動時間や勤務実態を正確に管理しやすくするサービスを紹介します。いずれも出張手配と管理をまとめて効率化できる出張管理システムで、労働時間トラブルの予防にもつながります。

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サービス名出張手配プラスピカパカ出張DX
初期費用・月額初期費用・月額とも0円初期費用・月額とも0円
料金体系手配した交通機関の運賃・宿泊費など実費のみシステム利用料は当月合計利用金額の0〜5%
出張申請・承認ワークフロー
出張実績の可視化・集計出張の見える化・危機管理(出張者の所在把握)利用実績の可視化・部署別の申込/請求確認
経費精算システム連携会社一括請求で精算負担を軽減(外部システム連携は要問い合わせ)Concur Expense・楽楽精算・マネーフォワード クラウド経費と連携
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

出張手配プラス(株式会社エルク)

出張手配プラスの公式サイト

出張手配プラスは、国内・海外の航空券やJR券、ホテル、レンタカー、貸切バスなどの手配窓口を一本化できるクラウド型の法人向け出張手配・管理サービスです。出張申請・承認のワークフローを標準で備え、誰がいつどこへ出張しているかを可視化できるため、勤務実態の把握や規程遵守にも役立ちます。

導入費用・月額利用料は無料で、手配した交通機関の運賃や宿泊費などの実費のみを負担する料金体系です。出張費は運営元のエルクトラベル(株式会社エルク)が立て替えて会社へ一括請求するため、出張者の立替負担と経理担当者の精算業務を軽減できます。最短3営業日で利用を開始でき、導入実績は3,000社以上(2026年6月時点、公式サイト)です。

ピカパカ出張DX(株式会社ピカパカ)

ピカパカ出張DXの公式サイト

航空券・新幹線・ホテル・レンタカーの手配から、出張申請・承認、経費精算システムとの連携までを1つのシステムに集約できるのがピカパカ出張DXです。出張申請・承認のワークフローをシステム上で処理でき、部署単位での申込状況や請求内容の確認、旅費上限の設定など、管理者向けの機能を備えています。

導入費用は0円、アカウント発行は無制限・無料で、システム利用料は当月合計利用金額の0%〜5%という料金体系です(2026年6月時点、公式サイト)。Concur Expense・楽楽精算・マネーフォワード クラウド経費といった主要な経費精算システムと連携し、出張手配の情報を自動で反映できるため、出張後の精算処理をスムーズにできます。

出張の申請・承認・予約・精算が複数の仕組みに分かれ、勤務実態の記録や管理が煩雑になりやすい背景について、株式会社ピカパカの勝間氏は開発の経緯を次のように述べています。

勝間氏
株式会社ピカパカ 執行役員
勝間氏
独自インタビューより

多くの企業では、出張申請、承認、予約、経費精算といった出張業務が複数のシステムや手作業によって分断されており、出張者と管理部門の双方に大きな負担が発生していました。近年は経費精算システムやワークフローシステムの導入が進む一方で、出張手配だけが別運用のまま残ってしまっているケースも多く、出張データの一元管理や業務効率化が十分に進んでいないという課題がありました。

ここで取り上げた2サービス以外にも出張管理システムは数多くあり、機能や料金体系はさまざまです。タイプ別の選び方や料金相場も含めて全体を比較したうえで自社に合うものを選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

出張の移動時間は、原則として労働時間には含まれず、それだけでは残業代の対象になりません。判断の基準は「使用者の指揮命令下にあるか」で、通勤と同じく拘束の程度が低い移動は労働時間に算入されないというのが、最高裁判例や下級審裁判例が積み重ねてきた考え方です。

一方で、物品の監視を命じられた場合、移動中に業務の指示を受けた場合、所定労働時間内の移動など、指揮命令下にあると評価される例外では労働時間として扱われます。残業代の要否は事業場外みなし労働時間制の適否とあわせて判断する必要があり、みなしイコール残業代ゼロという単純な理解は禁物です。

トラブルを未然に防ぐには、移動時間の扱いを就業規則・出張旅費規程で明文化し、出張日当で負担に配慮したうえで、勤怠・出張管理システムで記録と申請を正確に回すことが有効です。自社の運用を見直す第一歩として、出張管理システムの資料を比較検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 出張の移動時間は労働時間に含まれますか?

A. 出張の移動時間は、原則として労働時間には含まれず、それ自体では残業代(割増賃金)の対象になりません。労働時間に当たるかどうかは「使用者の指揮命令下に置かれているか」で客観的に判断され、目的地へ向かう移動そのものは通勤と同じく拘束の程度が低いためです。ただし、移動中に物品の監視を命じられたり、会社の指示を受けて実際に業務へ従事したりした場合は、その時間は労働時間として扱われます。

Q. 直行直帰の日の移動時間はどう扱えばよいですか?

A. 直行直帰の日の移動も、通勤と同じ性質と考えられ、原則として労働時間には含まれません。判断は他の出張と同じで、移動中に会社の指示で業務へ従事した時間があれば、その分は労働時間になります。直行直帰では会社にいる時間を基準にできないため、出張先での業務の開始・終了時刻をどう記録・申告するかを、社内であらかじめ決めておくことが大切です。

Q. 日帰り出張の移動時間は、宿泊をともなう出張と扱いが違いますか?

A. 日帰り出張でも、移動時間の扱いは宿泊出張と同じで、移動そのものは原則として労働時間には含まれません。日帰りか宿泊かで判断基準が変わるわけではなく、あくまで移動中に使用者の指揮命令下にあったかどうかで決まります。日帰り出張で朝から晩まで移動と業務が続く場合は、実際に業務へ従事した時間を把握し、所定労働時間を超えた分を残業代として扱う必要があります。

Q. 休日に出張先へ移動する時間は休日労働になりますか?

A. 翌日からの出張に備えて休日に移動するだけなら、その移動時間は原則として休日労働にあたらず、割増賃金も不要です。行政通達(昭和33年2月13日基発第90号)が、出張中の休日の移動について、物品の監視など別段の指示がある場合を除き休日労働として取り扱わなくても差し支えないとしているためです。移動中に物品の監視や業務対応を命じた場合は、その時間が労働時間となります。

Q. 出張の移動中にパソコンで業務をした時間は労働時間になりますか?

A. 移動中でも、会社の指示でパソコン作業やメール対応などの業務に従事した時間は労働時間に含まれます。実際に業務を行っていれば、使用者の指揮命令下にあると評価されるためです。訪問介護労働者に関する通達(平成16年8月27日基発第0827001号)も、移動中の時間の自由利用が保障されていない場合は労働時間に該当するとの考え方を示しています。指示を受けず自由に過ごした時間は含まれません。

Q. 海外出張の長時間の移動や時差の分は労働時間になりますか?

A. 海外出張でも、移動時間の長さや時差にかかわらず、移動そのものは原則として労働時間には含まれません。判断基準は国内出張と同じで、フライトや待ち時間を自由に過ごせるなら算入されません。ただし、移動中に業務を指示された時間や、機密書類・物品の監視を命じられた時間は労働時間となります。長時間移動の負担には出張日当などで報いる運用が一般的です。

Q. 出張の前泊・後泊にかかる時間は労働時間になりますか?

A. 前泊・後泊のための移動や、宿泊先で過ごす時間そのものは、原則として労働時間には含まれません。宿泊をともなう移動も通勤と同一性質と考えられ、宿泊先での食事や就寝など自由に過ごせる時間は使用者の指揮命令下にないためです。ただし、宿泊先で会議や資料作成などの業務を指示された場合は、その業務に従事した時間が労働時間として扱われます。

Q. 移動時間が無給になることへの社員の不公平感には、どう対応すればよいですか?

A. 移動時間の負担に報いる仕組みとして、多くの企業が出張日当(旅費日当)を支給しています。移動時間は労働時間ではないため賃金の支払い義務はありませんが、長時間の移動には拘束と負担が伴うため、日当という形で手当てするのが実務的な対応です。あわせて、移動時間を労働時間に含めない原則や例外の扱いを就業規則・出張旅費規程に明文化し、社員に周知しておくと、認識のズレによるトラブルを防げます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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