出張旅費規程を作る、あるいは古くなった規程を見直すとき、多くの担当者が最初に確かめたいのが「自社の出張費は世間並みなのか」という点です。日当や宿泊費の上限、交通費でどこまでの座席を認めるかを決めるには、他社が実際にいくら支給しているかという相場が判断の物差しになります。
出張費とは、出張にかかる宿泊費・交通費・日当(出張手当)などを合わせた費用の総称です。金額に法律上の決まりはなく各社が自由に定められますが、世間の相場からかけ離れた額は、非課税として認められる範囲を外れるおそれがあります。そこで基準線になるのが、財務省と産労総合研究所が実施している出張旅費の実態調査です。いずれも実際に企業が支給している金額を集計したもので、自社の水準を決めるときの目安になります。
本記事では、出張費を構成する宿泊費・交通費・日当の相場を、国内・海外別に、公的調査の実額とともに整理します。あわせて、役職による差のつけ方、出張費とは何を含むか、日当が非課税で認められる範囲、そして相場を出張旅費規程に落とし込む手順までを解説します。相場の数値は、公的調査が公表している平均額と、各社が規程で設定する際の目安とを区別して示します。
目次
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【早見表】出張費(宿泊費・交通費・日当)の相場一覧
まず、出張費を構成する宿泊費・交通費・日当が実際にいくらで支給されているかを、公的調査の実額で確認します。ここで示す金額は、財務省と産労総合研究所が企業に対して行った実態調査の集計値です。
各社が規程づくりの目安にする「設定額の相場」ではなく、実際に支給されている額を集計した数字である点を押さえてください。また、交通費は実費精算が基本のため、金額の相場ではなく、グリーン車や上位クラスを役職別にどこまで認めるかの割合を示しています。
| 出張費(宿泊費・交通費・日当)の相場(公的調査の実額) | 国内・宿泊費 | 国内・交通費 | 国内・日当 | 海外・宿泊費 | 海外・交通費 | 海外・日当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体平均(1人1日) | 定額方式10,672円/上限付き実費11,304円 | 実費支給が原則 | 2,621円 | 定額方式19,355円/上限付き実費17,634円 | 実費支給が原則 | 一般社員で北米5,199円・東南アジア4,841円・中国4,765円 |
| 役職・地域別の目安 | 部長クラス10,425円・一般社員8,878円(大都市圏はさらに高い) | 新幹線グリーン車の利用可=役員61.5%・部長20.4%・一般14.9% | 企業ごとの最低1,780〜最高3,786円(役職名別は非公表) | 地域別は欧州24,778円・北米23,678円・アジア18,042円ほか | 航空機のビジネスクラス利用=役員35.4%・部長6.2%・一般1.5% | 円建て企業の地域別(役職名別は非公表) |
| 主な出所 | 財務省令和5年度/産労総研2025年度 | 産労総研2025年度 | 財務省令和5年度 | 財務省令和5年度 | 産労総研2025年度 | 産労総研2025年度 |
※各調査の集計値(実際に支給されている額)。日当・宿泊費の役職名別の金額は、公的調査では宿泊費の一部(部長クラス・一般社員)に限られます。費目ごとの詳細と出典は以下で示します。
これらの数字は、上場企業を中心とする財務省の令和5年度(2023年度)調査(有効回答551社)と、一般企業を対象とする産労総合研究所の2025年度調査(回答161社)によるものです。大企業を多く含む集計のため、従業員規模の小さい会社では、平均額をそのまま採るより、平均から下限寄りを目安にすると自社の実態に近づきます。
たとえば財務省調査では国内日当の最低水準の平均が1,780円、宿泊費(定額方式)の最低水準の平均が8,330円と示されており、小規模な企業ほどこの下限側が参考になります。調査の詳細は各費目の項で示します。
出張費の内訳と費目別の相場(宿泊費・交通費・日当)
出張費は、大きく分けて宿泊費・交通費・日当の3つで構成されます。このうち宿泊費と交通費は、実際にかかった額を精算する「実費」が基本で、日当は使った額にかかわらず定額で支給される「手当」です。性質が異なるため、相場の見方も費目ごとに変わります。ここからは、早見表で示した各費目の相場を、役職や地域による差も含めて詳しく確認します。
宿泊費の相場(国内・海外、役職別)
国内出張の宿泊費は、財務省の調査で全社の平均を見ると、あらかじめ上限を定めて支給する定額方式で10,672円、上限の範囲内で実費を精算する方式で11,304円でした。おおむね1万円台前半が目安です。支給方法としては「上限付き実費支給」が43.7%で最も多く、次いで「定額支給」28.9%、「実費支給」24.0%と続きます。
国内宿泊料(定額+上限付き支給社 n=400):平均額10,672円(最低8,330円/最高13,766円)
出典:民間企業における出張旅費規程等に関する実態調査 報告書(令和5年度)|財務省
国内宿泊料(上限付き実費支給社 n=241):平均額11,304円(最低8,739円/最高14,763円)
宿泊費を役職名別に示しているのは、産労総合研究所の調査です。定額支給で全地域を一律とする場合、部長クラスが10,425円、一般社員が8,878円でした。出張先の地域によって支給額を変える企業では、大都市圏など「最高地」で部長クラス12,094円、一般社員11,262円と高くなります。
公的調査に「東京・大阪・名古屋」といった都市名別の金額はなく、地域差は「大都市圏(最高地)」と「普通地」の区分で示されている点を押さえておくと、自社規程の地域区分を考えるときの参考になります。
宿泊料(定額支給・全地域一律):部長クラス10,425円/一般社員8,878円
出典:2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
宿泊料(定額支給・最高地〈大都市圏等〉):部長クラス12,094円/一般社員11,262円
実費支給の上限額(全地域一律):部長クラス11,314円/一般社員10,490円
海外出張の宿泊費は、財務省の調査で全体平均が定額方式19,355円、上限付き実費で17,634円でした。地域別に見ると、円で支給する企業の定額方式の平均は、アジア18,042円、北米23,678円、欧州24,778円、オセアニア24,206円などで、渡航先の物価に応じて国内の倍前後になります。
産労総合研究所の調査でも、一般社員の海外宿泊料が円建て企業で中国13,511円、東南アジア12,706円、北米15,706円と示されています。財務省と産労では地域の区切り方や対象の企業が異なるため、数字を並べるときは出所を分けて確認してください。
海外宿泊料(定額+上限付き支給社 n=213) 全体平均19,355円
出典:民間企業における出張旅費規程等に関する実態調査 報告書(令和5年度)|財務省
海外宿泊料(上限付き実費支給社 n=143) 全体平均17,634円
地域別(定額+上限付き支給社・円で支給する企業の平均):アジア18,042円/北米23,678円/欧州24,778円/オセアニア24,206円/中南米23,627円/中近東22,849円/アフリカ24,240円
出典・参考資料(2件)
交通費・座席等級の相場(グリーン車・上位クラスを役職別にどこまで認めるか)
交通費は、新幹線や航空券の運賃を実費で精算するのが原則です。日当や宿泊費のように「相場の金額」という形では現れにくい費目ですが、実務で差がつくのは役職に応じてどの座席等級まで認めるかです。ここには他社の運用が相場として存在します。
産労総合研究所の調査によると、新幹線グリーン車の利用を認めている企業の割合は、役員が61.5%、部長クラスが20.4%、一般社員が14.9%でした。航空機のスーパーシートなど上位クラスの利用は、役員52.1%、部長クラス17.3%、一般社員16.8%です。いずれも「認めている」と「そのつど判断」を合わせた割合で、役職が上がるほど上位の座席が認められる傾向がはっきり表れています。
新幹線グリーン車の利用許可(「認めている」+「そのつど判断」):役員61.5%/部長クラス20.4%/一般社員14.9%
出典:2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
航空機のスーパーシート等の利用許可(同):役員52.1%/部長クラス17.3%/一般社員16.8%
海外出張の航空機では、利用クラスの基準がより明確に役職で分かれます。同調査では、役員はビジネスクラス35.4%・エコノミークラス30.0%・ファーストクラス1.5%、部長クラスはエコノミークラス70.8%・ビジネスクラス6.2%、一般社員はエコノミークラス75.4%・ビジネスクラス1.5%でした。
長時間のフライトを伴う役員にはビジネスクラスを認め、一般社員はエコノミーを基本とする運用が一般的だと読み取れます。自社で座席等級のルールを決めるときは、こうした役職ごとの傾向を目安にするとよいでしょう。
海外出張時の航空機の利用クラス基準:役員はファーストクラス1.5%・ビジネスクラス35.4%・エコノミークラス30.0%、部長クラスはビジネスクラス6.2%・エコノミークラス70.8%、一般社員はビジネスクラス1.5%・エコノミークラス75.4%
出典:2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
出典・参考資料(1件)
日当(出張手当)の相場(国内・海外)
日当(出張手当)は、出張中の食事代や細かな出費を補うために、1日あたり定額で支給するお金です。国内出張の日当は、財務省の調査で全体の平均が2,621円でした。
企業によって幅があり、最も低い水準の平均が1,780円、最も高い水準の平均が3,786円です。財務省・産労総合研究所とも、日当を「社長」「部長」「一般社員」といった役職名別の金額としては公表しておらず、役職差は先ほどの宿泊費や座席等級の傾向から読み取ることになります。
海外出張の日当は、産労総合研究所の調査で、円で支給する一般社員の場合、中国4,765円、東南アジア4,841円、北米5,199円でした。渡航先の物価に応じて、国内より高めに設定されています。
国内出張の日当(日当支給社 n=487):平均額2,621円(最低額の平均1,780円/最高額の平均3,786円)
出典:民間企業における出張旅費規程等に関する実態調査 報告書(令和5年度)|財務省/2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
海外出張の日当(円建て企業・一般社員):中国4,765円/東南アジア4,841円/北米5,199円
日当は、食事代を含めるかどうかや役職差のつけ方によって、妥当な水準が変わります。自社の日当額をいくらに設定するか、役職ごとにどう差をつけるかといった決め方は、日当そのものに絞って詳しく整理しています。日当の設定を具体的に検討する場合は、あわせて確認してください。
近年は、円安や物価高を背景に相場が上向いています。産労総合研究所の調査では、直近3年間で国内出張の宿泊料を増額した企業が31.1%、日当を増額した企業が14.9%でした。古い水準のまま規程を据え置くと相場から外れやすいため、金額を確認するときは調査の年度も意識してください。
出典・参考資料(2件)
出張費とは?旅費交通費との違いと勘定科目
相場を押さえたところで、出張費という費用そのものの整理をしておきます。経理処理や規程づくりで迷いやすい、旅費交通費との違いや勘定科目の考え方を確認します。
出張費とは(何を含むか)
出張費とは、従業員が出張する際に発生する費用の総称です。具体的には、目的地までの交通費(新幹線・航空券・タクシーなど)、宿泊費、そして食事代や諸雑費を補う日当(出張手当)が中心になります。このうち交通費と宿泊費は実際にかかった額を精算するのが基本で、日当は実際の支出にかかわらず定額で支給される点が異なります。会社が費用を負担し、出張旅費規程に沿って支給・精算するのが一般的な運用です。
旅費交通費との違い
「出張費」と似た言葉に「旅費交通費」があります。旅費交通費は、出張費を経理処理する際に使う勘定科目の名称です。出張にかかった交通費・宿泊費・日当は、多くの場合この旅費交通費の科目で処理します。
出張費が費用の中身を指す言葉であるのに対し、旅費交通費は帳簿上の分類を指す言葉だという関係です。通勤定期代や近距離の移動にかかる交通費も旅費交通費に含まれるため、出張に伴うものかどうかを区別して記録しておくと、後の集計や税務対応がしやすくなります。
勘定科目・精算の流れ
出張費は、内容に応じて旅費交通費以外の科目で処理する場合もあります。取引先との会食を伴う場合は交際費、社員旅行や研修を兼ねる場合は福利厚生費や研修費として区分することがあり、どの科目で処理するかを社内で明確にしておくと集計のばらつきを防げます。
精算の流れは、一般的に「出張前に申請・承認を得る」「出張後に領収書や報告書をそろえて精算書を提出する」「内容を確認して立替分を支払う」という順で進みます。出張旅費規程で申請・承認・精算の手続きを定めておくと、担当者ごとの処理の差が生まれにくくなり、税務調査の際にも支給の根拠を示しやすくなります。
相場を自社の出張旅費規程に落とし込む
相場を確認する目的の多くは、自社の出張旅費規程の金額を決める・見直すことにあります。ここでは、把握した相場をどう規程に反映するか、そして日当や宿泊費が非課税・損金として認められる範囲を、条文に沿って整理します。
規程の役割と金額の決め方(相場をどう金額に落とすか)
出張旅費規程は、誰にいくらの出張費を支給するかの基準を明文化した社内文書です。規程があることで、日当や宿泊費を経費として扱い、一定の範囲で非課税とする根拠になります。逆に規程がないまま日当を支払うと、税務上は給与の一部とみなされ、課税の対象になりかねません。
金額を決めるときは、本記事で見てきた公的調査の平均額を基準線に置き、そこから役職や出張先で区分をつけていくと根拠が明確になります。たとえば国内宿泊費なら全社平均の1万円台前半を出発点に、大都市圏は高め、普通地は低めに、役職が上がるほど上限を引き上げる、といった形です。日当も全体平均の2,600円前後を基準に、日帰りと宿泊、役職で差を設けます。
ここで大切なのは、公的調査の「平均額」と、各社が規程で決める「設定額」は別物だという点です。上で示したのは実際に支給されている額の集計であり、「社長5,000円、一般社員3,500円」といったきりのよい金額は各社が規程で設定する一例にすぎません。平均額を物差しに、自社の出張の実態に合わせて設定額を決めていきます。
実際に規程へ落とし込む進め方は、次の順序で考えると迷いにくくなります。まず費目ごとの平均額を基準線に置き、次に役職と出張先(国内・海外、大都市圏か普通地か)で区分をつけ、最後に後述の非課税の要件と照らし合わせて無理のない水準に収めます。
参考として、公的調査の平均額を役職別に当てはめた設定額の一例を示します。これは公的な平均額そのものではなく、平均を基準に役職差をつけた目安なので、自社の出張の実態に合わせて調整してください。
| 相場から起こした出張旅費規程の設定額(役職別の参考値) | 一般社員 | 課長・管理職クラス | 部長クラス | 役員・社長 |
|---|---|---|---|---|
| 国内日当の目安 | 2,000〜2,600円 | 2,600〜3,200円 | 3,000〜3,600円 | 3,500〜4,000円前後 |
| 国内宿泊費の目安 | 8,000〜9,000円前後 | 9,000〜11,000円前後 | 10,000〜12,000円前後 | 12,000円前後〜 |
| 海外日当の目安 | 4,500〜6,000円前後(渡航先による) | 6,000〜7,000円前後 | 7,000〜8,000円前後 | 8,000円前後〜 |
※上表は公的調査の平均額を役職別に当てはめた設定額の一例(参考値)で、公的な平均額そのものではありません。国内は産労総研2025年度調査(一般社員8,878円・部長クラス10,425円)と財務省令和5年度調査(日当の全体平均2,621円)、海外日当は同調査の一般社員の地域別実額を基準に役職差を上乗せした目安です。
日当の非課税の範囲・損金算入(「通常必要と認められる範囲」を条文で)
相場を規程に落とし込むうえで欠かせないのが、「いくらまでなら非課税・経費として認められるか」という税務上の観点です。出張旅費のうち日当は、受け取る従業員の側で所得税がかからない非課税の扱いになります。その根拠は所得税法第9条第1項第4号で、次のように定められています。
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
出典:所得税法 第9条第1項第4号|e-Gov法令検索
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、(中略)その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
ポイントは「その旅行について通常必要であると認められるもの」という部分です。金額の明確な上限は法律には書かれていません。では「通常必要と認められる範囲」をどう判断するのか。これについて、国税庁の所得税基本通達9-3は、次の2点を勘案するとしています。
出典:所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)|国税庁
- (1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
- (2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
1つ目は、役員から一般社員まで全体を通じて金額のバランスが取れていること。役員だけを不自然に高くする設定は、この点に抵触します。2つ目が、同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当であること。

ここで相場が判断材料になります。本記事で見てきた公的調査の水準に収まっていれば、この要件を満たしていると説明しやすくなります。相場を確認することは、単なる目安合わせではなく、非課税の要件を満たしているかを裏づける作業でもあるわけです。
この範囲を超えて支給した場合、超えた部分は非課税の旅費とは扱われません。所得税基本通達9-4は、通常必要と認められる範囲を超える金額を、旅行の区分に応じて給与所得などに算入すると定めています。相場から大きく外れた高額な日当は、その差額が課税対象になり得ると理解しておくとよいでしょう。
会社側から見ると、規程に基づいて支給した日当や宿泊費は、旅費交通費(販売費・一般管理費)として損金に算入できます。これは法人税法第22条第3項第2号が定める費用の一般原則に基づくもので、日当だけに適用される特別な条文があるわけではありません。損金算入が認められるのも、あくまで前述の「通常必要と認められる範囲内」であることが前提になります。
出典・参考資料(3件)
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相場を踏まえた運用改善:出張手配・旅費精算を効率化する方法
相場を踏まえて規程の金額を整えた後は、その規程を日々の出張業務でどう回すかが課題になります。役職・出張先ごとに定めた宿泊費の上限や座席等級のルールに沿って手配し、立替精算を突き合わせる運用は、出張が増えるほど負担が大きくなります。規程で定めた上限のチェックや、出張手配から立替精算までを一元化するのが、出張管理システムです。
ここでは、出張手配と旅費精算の効率化に対応する2サービスを紹介します。自社の出張の規模や、既存の経費精算システムとの連携を踏まえて、比較の出発点にしてください。
| 出張手配・旅費精算の効率化に対応するサービス | 出張手配プラス | ピカパカ出張DX |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0円 |
| 月額・料金体系 | 0円 手配した交通・宿泊の実費のみ | 0円 システム利用料は利用金額の0〜5% |
| 出張手配の対応範囲 | 国内・海外 航空券・JR券・ホテル・レンタカー・貸切バス・会議室ほか | 国内・海外 航空券132社・ホテル64万軒以上・新幹線・レンタカーほか |
| 出張申請・承認ワークフロー | ● | ● |
| 旅費の上限設定 | ●ホテル予約の上限金額を設定可 | ●役職・出張規程に沿った旅費を検索時に表示 |
| 精算の仕組み | 立替・会社一括請求 | 会社一括請求(請求書後払い) |
| 経費精算システム連携 | 要お問い合わせ | Concur Expense・楽楽精算・ マネーフォワード クラウド経費 |
| 導入スピード | 最短3営業日 | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
出張手配プラス(株式会社エルク)

出張手配プラスは、株式会社エルク(エルクトラベル)が運営するクラウド型の法人向け出張手配・管理サービスです。国内・海外の航空券やJR券、ホテル、レンタカー、貸切バス、会議室までをまとめて手配でき、部署ごとに分かれがちな出張手配の窓口を一本化できます。
出張費はエルクトラベルが立て替えて会社へ一括で請求する仕組みのため、出張者の立替負担と経理担当者の精算作業を減らせます。出張申請・承認のワークフローを標準で備え、ホテル予約の上限金額を設定できるため、規程で定めた宿泊費の上限をシステム上で運用できます。誰がいつどこへ出張しているかを把握する危機管理機能も持ちます。
導入費用と月額利用料は無料で、手配した交通機関の運賃や宿泊費などの実費のみを負担する料金体系です。最短3営業日で利用を開始できます。
出張費の立替をやめて一括請求に切り替えると、経理の精算業務はどの程度軽くなるのか。運営元の株式会社エルクは、自社が関わった導入現場の数字をこう説明します。

そのうえで数字で示せる事例で言うと、コスト削減では企業様によって20%ほど削減できたケースがあります。これまで変更のできる航空券を取って運用されていたところを、エルクのサービスでもう少し割引きの効いた変更可能な航空券に切り替えていただいて、20%ほど削減できた、という事例です。また、これはエルクだけの効果ではありませんが、一括の請求払いに変えることで精算部分の工数が60〜80%ほど減る、というのもよくあるお話です。
ピカパカ出張DX(株式会社ピカパカ)

ピカパカ出張DXは、航空券・新幹線・ホテルの予約から、出張申請・承認、請求書の一括精算、利用実績の可視化までをひとつの基盤で扱う、株式会社ピカパカの法人向け出張管理サービスです。航空会社132社、ホテル64万軒以上を横断して検索でき、価格や移動時間を比較したうえで手配できます。
企業ごとに異なる出張規程や承認フローに合わせて設定できる点が特徴で、規程に沿った運用をシステム上で再現しやすくなっています。経費精算システムやワークフローシステムとの連携を前提に開発されており、すでに導入済みの仕組みを活かしながら出張手配だけを組み込むこともできます。料金は利用金額に応じた料率型で、出張の件数や運用に応じた見積もりを提示する形をとっています。
予約サイトや旅行代理店といった従来の手配手段と、出張管理システムは何が違うのか。運営元の株式会社ピカパカは、両者の差をこう述べます。
航空券やホテルの予約サイトは予約機能に特化しており、旅行会社は手配業務に強みがありますが、企業全体の出張データを一元管理できるケースは多くありません。
ここで取り上げた2サービスのほかにも、出張管理システムは料金体系や対応できる手配の範囲、経費精算システムとの連携方式がサービスごとに大きく異なります。タイプ別の選び方まで含めて主要な製品を比較検討したい場合は、出張管理システム16製品を比較した以下の記事も参考にしてください。
まとめ
出張費の相場は、公的調査の実額で見ると、国内出張は日当が1日あたり2,600円前後、宿泊費が1万円台前半です。海外出張は日当が地域によって5,000円前後から、宿泊費が1万数千円から2万円台になります。
交通費は実費が基本で、新幹線グリーン車や航空機の上位クラスをどこまで認めるかは役職で差をつけるのが一般的です。日当・宿泊費の役職名別の金額は公的には限られた範囲でしか公表されていないため、これらの平均を基準線に、役職や出張先で区分をつけて自社の金額を決めていきます。
金額を決めたら、出張旅費規程として文書化します。相場から大きく外れない水準に収め、役員から一般社員まで全体でバランスの取れた基準にしておくことが、日当を非課税で扱うための前提です。
円安や物価高で宿泊費の見直しが進んでいるため、古い水準のまま据え置かず、相場に合わせて定期的に見直すことも検討してください。相場を規程に反映した後は、その運用を効率化する出張管理システムの活用も、出張業務の負担を下げる選択肢になります。まずは自社の金額を公的調査の相場と照らし合わせるところから、規程の見直しを始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 出張費の相場は、1回の出張でトータルいくらくらいですか?
A. 出張費の総額そのものに決まった相場はなく、日当・宿泊費・交通費の各相場を積み上げて算出します。国内で1泊する出張なら、日当が1日あたり2,600円前後、宿泊費が1万円台前半、これに実費の交通費を加えた金額が目安です。
公的調査が公表しているのは費目ごとの平均額で、「出張1回でいくら」という総額の集計はありません。財務省の令和5年度調査では国内日当の平均が2,621円、国内宿泊費の平均が定額方式で10,672円・上限付き実費で11,304円でした。
交通費は新幹線や航空券の運賃を実費で精算するのが原則のため、行き先までの距離によって総額が大きく変わります。自社の出張費を見積もるときは、この費目別の相場に出張日数と移動距離を掛け合わせて考えると実態に近づきます。
出典・参考資料(1件)
Q. 宿泊費が出張旅費規程の上限額を超えてしまったときは、どう精算すればよいですか?
A. 規程の上限を超えた宿泊費の扱いは、超過分を従業員の自己負担とするか、事前承認を条件に実費で認めるかを、あらかじめ出張旅費規程で定めておきます。大都市圏の繁忙期などは、ホテル代が規程の上限を超えることが実際に起こります。
定額支給や上限付き実費支給の方式では、上限を超えた分は原則として自己負担になります。ただし、出張先や時期にやむを得ない事情がある場合に備え、上長の事前承認を条件に上限超過の実費を認める例外規定を設けておくと運用しやすくなります。
規程にないまま超過分を都度認めると基準が形骸化し、非課税の前提となる「全体でバランスの取れた基準」からも外れやすくなるため、判断のルールを規程に落とし込んでおくことが大切です。
Q. 海外出張の出張費は、国内よりどのくらい高くなりますか?
A. 海外出張の出張費は、宿泊費・日当とも国内のおおむね2倍前後が目安です。宿泊費は財務省の令和5年度調査で全体平均が定額方式19,355円(国内は10,672円)、日当は産労総合研究所の2025年度調査で円建て企業の一般社員が北米5,199円・東南アジア4,841円・中国4,765円(国内平均は2,621円)でした。
渡航先の物価水準に応じて金額が上がるため、地域別に区分して規程を定めるのが一般的です。金額の水準は国内より高くなりますが、非課税として認められる範囲の考え方は国内と同じで、所得税基本通達9-3の「通常必要と認められる範囲」に収まっているかで判断することになります。渡航先の物価に見合わない過大な支給は、国内と同様に課税対象になり得る点に注意してください。
出典・参考資料(2件)
Q. 個人事業主や一人社長の会社でも、出張費(日当)を経費にできますか?
A. 一人社長の会社(法人)は出張旅費規程を定めれば代表者本人にも日当を非課税で支給できますが、個人事業主は事業主本人への日当を経費にできません。両者で扱いが分かれるのは、非課税の根拠となる所得税法第9条第1項第4号が「給与所得を有する者」に支給される旅費を対象にしているためです。
法人であれば代表者も役員として給与所得を有するため、規程に基づく日当が非課税の対象になります。一方、個人事業主本人は自分自身と雇用関係にあるわけではなく、自分に日当を支払うという扱いができないため、本人分は経費になりません。ただし個人事業主でも、雇用している従業員に対しては出張旅費規程に基づいて日当を支給し、経費として計上できます。
出典・参考資料(2件)
Q. 出張費の相場は、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
A. 見直しの頻度に決まりはありませんが、近年は円安や物価高で相場が上向いているため、数年に一度は公的調査の最新値と自社の金額を突き合わせることをおすすめします。古い水準のまま据え置くと、相場から下方に外れやすくなります。
産労総合研究所の2025年度調査では、直近3年間で国内出張の宿泊料を「増額した」企業が31.1%、日当を「増額した」企業が14.9%にのぼりました。相場が動いている局面では、規程の金額が実態と合っているかを定期的に確認することが、社員の不満や非課税要件からのずれを防ぐことにつながります。金額を確認するときは、参照する調査の年度もあわせて意識してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 交通費でグリーン車や航空機の上位クラスを認めても、出張費として非課税・損金にできますか?
A. グリーン車や上位クラスの運賃も、職務上その利用が通常必要と認められる範囲であれば、実費として非課税で支給でき、会社の損金にも算入できます。判断の軸は座席の等級そのものではなく、所得税基本通達9-3が示す「役員から一般社員まで全体でバランスが取れているか」「同業種・同規模の他社の水準に照らして相当か」です。
実際、産労総合研究所の2025年度調査では、新幹線グリーン車の利用を認める企業の割合は役員61.5%・部長クラス20.4%・一般社員14.9%と、役職が上がるほど上位の座席を認める運用が一般的です。
こうした役職に応じた基準を出張旅費規程で定めておけば、上位クラスの運賃も旅費交通費として損金に算入できます(法人税法第22条第3項第2号)。逆に、規程の裏づけなく一部の社員だけに高額な席を認めると、通常必要な範囲を超えるとみなされ、超過分が課税対象になり得る点に注意してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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