海外の取引先へ支払う、あるいは海外から代金を受け取るとき、銀行の送金依頼画面や取引先からの請求書に「手数料負担 SHA / OUR / BEN」「受取人負担・依頼人負担」という選択欄が現れます。どれを選ぶかで、相手に届く金額や自社が窓口で払う額が変わります。
この負担区分は、国際送金の電文で使われる手数料負担コードで、銀行の外国送金依頼書に標準で載っています。意味を取り違えると、相手に満額が届かなかったり、あとから中継銀行の手数料を差し引かれたりします。
この記事では、海外送金の手数料は一般的にどちらが負担するのか、SHA・OUR・BEN の違いと選び方を整理します。見落としがちな中継銀行手数料の扱いや、取引先ともめないための契約書・請求書の書き方、手数料そのものを下げたい場合の選択肢も後半で紹介します。
目次
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【結論】海外送金の手数料は普通どっちが負担?——一般的には「SHA」
海外送金の手数料をどちらが負担するかは、送金人と受取人で分け合う「SHA(シェア)」を選ぶのが一般的です。国際送金の実務では、この3区分のうち SHA が最も多く使われる負担方法とされています。
SHA では、送金する側で発生する送金手数料は送金人が負担し、中継銀行や受取銀行で発生する手数料は受取人が負担します。「どちらか一方が全部持つ」のではなく、各自が自分の側で発生した手数料を持つ、という分担です。
SHA・OUR・BEN は、国際送金の電文(SWIFT)で手数料の負担者を示すために使われるコードで、銀行の外国送金依頼書にも標準の選択欄として載っています。たとえば三井住友信託銀行の外国送金依頼書の記入例には、「手数料負担区分」の欄に SHA・OUR・BEN の3区分が示されています。送金画面や依頼書でこの選択を求められるのは、そのためです。
SHA は「折半」と説明されることがありますが、これは手数料を機械的に半分ずつ割るという意味ではありません。送金側で出た手数料は送金人、受取側で出た手数料は受取人が、それぞれ自分の側を負担するという意味です。記事によって「折半」「中継以降は受取人負担」と表現が割れて見えるのは言い回しの違いで、負担の構造は同じです。
出典・参考資料(2件)
- 出典:SWIFT MT103 手数料負担コード(field 71A “Details of Charges”)の解説(paiementor)
- 出典:【記入例】外国送金依頼書(兼払戻請求書)|三井住友信託銀行(PDF)
【一覧比較】SHA・OUR・BENで誰が何を負担するか
SHA・OUR・BEN の3区分は、1つの表に並べると違いがはっきりします。海外送金では「送金する銀行で出る手数料」「中継銀行で出る手数料」「受け取る銀行で出る手数料」の3か所で費用が発生し、どの区分を選ぶかでそれぞれの負担者と着金額が変わります。
| 負担区分 | SHA(シェア/一般的) | OUR(送金人が全額) | BEN(受取人が全額) |
|---|---|---|---|
| 送金側の手数料 | 送金人 | 送金人 | 受取人 |
| 中継銀行の手数料 | 受取人 | 送金人 | 受取人 |
| 受取銀行の手数料 | 受取人 | 送金人 | 受取人 |
| 着金額の傾向 | 中継・受取側の手数料が受取額から引かれ、受取人の手取りはやや減る | 受取人は指定額を受け取りやすい(ただし中継銀行分は例外あり) | すべて受取額から差し引かれ、受取人の手取りが最も減る |
SHA・OUR・BEN の負担者と着金額の傾向。実額の具体例は次のセクションで示します。
自社が海外へ支払う(送金する)側では、相手に指定どおりの金額を確実に届けたい場合は OUR、手数料を抑えたい場合は SHA が基本の選択になります。手数料を相手(受取人)に持ってもらいたい場合は BEN を指定します。
負担区分を指定するのは、送金する側です。自社が受け取る立場のときは、送金してくる取引先に対して、どの区分で送ってほしいか(自社の手取りを減らしたくなければ相手負担のOURなど)を伝えて取り決めることになります。
なお銀行によっては、SHA・OUR・BEN というコードではなく「受取人負担・依頼人負担」という日本語表記で選ばせるところもあります。呼び方は違っても、意味は同じ負担区分です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:SWIFT MT103 手数料負担コード(field 71A “Details of Charges”)の解説(paiementor)
- 参考資料:外国送金・国内外貨建て送金にかかわる手数料|横浜銀行(公式サイト)
海外送金でかかる手数料の内訳と、誰がいくら払うか
ここからは、海外送金でかかる手数料を種類ごとに整理し、実額の目安を見ていきます。海外送金では主に、送金手数料・リフティングチャージ(円為替取扱手数料)・中継銀行(コルレス)手数料・受取銀行手数料の4種類が発生します。このうち中継銀行手数料は誤解が多く落とし穴になりやすいため、次のセクションで詳しく扱います。

送金手数料は、送金する銀行に払う基本の手数料です。金額は銀行ごとに大きく異なり、三菱UFJ銀行の外国送金(仕向送金)では店頭窓口で7,000円、インターネットバンキングで2,500円(いずれも2026年8月時点)。楽天銀行の法人向け海外送金では1件あたり1,000円(2026年8月時点)と、ネット系のほうが低い傾向があります。
この送金手数料は、負担区分の選び方でも変わります。横浜銀行の外国送金手数料(2025年7月時点)では、送金手数料が受取人負担なら8,500円、依頼人(送金人)負担なら11,500円と、同じ送金でも負担区分を変えるだけで送金人が窓口で払う額が3,000円変わります。
また、受け取り側では受取銀行が課す受取銀行手数料がかかります。これは受取人の負担で、金額は受取銀行によって異なります。
負担区分の違いを着金額で見てみます。たとえば楽天銀行の法人向け海外送金(2026年8月時点)では、送金手数料1,000円のほかに中継銀行手数料1,000円がかかります。SHA や BEN では、この中継銀行手数料や受取銀行手数料が着金額から差し引かれ、相手の手取りはその分だけ減ります。
OUR にすれば中継銀行手数料も送金人が持つため、相手の手取りは目減りしにくくなります(ただし次のセクションで述べるとおり、中継銀行によっては OUR でも差し引かれる例外があります)。
リフティングチャージ(円為替取扱手数料)とは
リフティングチャージは、両替をせずに送金するとき(たとえば日本円のまま海外へ送るとき)にかかる手数料で、円為替取扱手数料や取扱手数料とも呼ばれます。金額は銀行によって異なり、楽天銀行の法人向け海外送金では円貨送金手数料が3,000円の定額、三菱UFJ銀行の円為替取扱手数料は送金金額の0.050%・最低2,500円です(いずれも送金人の負担、2026年8月時点)。
外貨に両替して送る場合はかからないこともあり、送る通貨によって発生の有無が変わります。数千円単位で効いてくるため、円のまま送るか外貨で送るかを決める際の判断材料になります。
出典・参考資料(3件)
「OURなら満額届く」とは限らない——中継銀行手数料の落とし穴
海外送金でもっとも誤解されやすいのが、中継銀行手数料です。中継銀行(コルレス銀行)手数料は、送金する銀行と受け取る銀行の間に立つ中継銀行が徴収する手数料で、多くの国際送金は複数の中継銀行を経由するため発生します。原則として受け取り時に受取額から差し引かれ、受取人の負担になります。
ここで注意したいのが、OUR(送金人が全額負担)を選んでも、経由する中継銀行によっては着金額から手数料が差し引かれる場合があるという点です。楽天銀行は法人向けの海外送金手数料の説明で、中継銀行手数料について次のように明記しています。
送金人負担にした場合にかかります。(受取人負担とした場合、送金金額から差引かれます。その際に発生する中継銀行手数料は、中継銀行によってことなります。)(送金人負担とした場合でも、中継銀行によっては一部の手数料が送金金額より差引かれて着金する場合が稀にあります。)
出典:海外送金手数料一覧(法人向け)|楽天銀行(2026年8月時点)
つまり、送金人がすべての手数料を負担する OUR を選んでも、途中の中継銀行の判断で受取額が目減りすることがあります。取引先に「請求額どおりの金額が届かなかった」と言われるのは、多くがこの中継銀行手数料が原因です。
まず銀行送金のままできる緩和策として、楽天銀行のように中継銀行手数料を「送金人負担」で指定できる場合は、送金人負担にしておけば受取額の目減りをある程度抑えられます。ただし上記のとおり、それでも中継銀行の判断で差し引かれる例外は残ります。
相手に満額をより確実に届けたい場合は、中継銀行を経由しない送金経路(後述する海外送金サービスや、現地口座を使った受け取りの仕組み)を選ぶのが確実な対策になります。
なお、海外から代金を受け取る側では、この中継銀行手数料が「被仕向送金手数料」として着金額から差し引かれます。受け取り時にかかる手数料の内訳や、着金までの日数を詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。
取引先ともめないための負担者の決め方(契約書・請求書の書き方)
送金のたびに負担区分で迷わないためには、取り決めを先に決めておくのが有効です。継続的な海外取引では、負担者を送金画面で毎回選ぶのではなく、契約書や請求書にあらかじめ明記しておくと、着金額のズレをめぐる取引先とのトラブルを防げます。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、貿易取引での銀行手数料の負担について、次のように案内しています。
送金に伴い発生する銀行手数料には、電信料、コルレスチャージ、リフティングチャージ、取扱料などがあります。通常、輸出地(売手側)で発生する諸費用は輸出者が負担し、輸入地(買手側)で発生する諸費用は輸入者が負担します。契約書に「Banking charges outside Japan are for the account of buyer.」と記載すれば明確です。
出典:輸出代金の請求方法と送金に関する銀行諸費用の負担:日本|ジェトロ 貿易・投資相談Q&A
この「輸出地の費用は輸出者、輸入地の費用は輸入者が負担する」という原則は、各自が自分の側で発生した手数料を持つという点で、SHA と同じ考え方です。自社が海外へ支払う(買手=輸入者の)立場なら、日本国外で発生する費用を自社が負担する形になります。上の例文のように、契約書に「どちら側の費用を誰が持つか」を一文書いておけば、送金のたびに区分を迷う必要がなくなります。
貿易取引に限らず、海外のフリーランスやSaaSへ支払う場合でも、発注書や契約に「日本国外で発生する銀行手数料は支払う側が負担する」といった一文を入れておけば、同じように負担者を確定できます。負担条件は、こうした契約・発注の書面に明記しておくのが基本です。
なお貿易取引では、インボイス(送り状)が代金明細書と代金請求書の機能を兼ねるため、負担条件をインボイスに記載しておけば、別途の請求書を発行する必要はありません。
出典・参考資料(2件)
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手数料そのものを下げるには——法人向け海外送金サービスという選択肢
ここまでは「誰が負担するか」を整理してきましたが、そもそも手数料の総額を下げられれば、負担区分で悩む余地も小さくなります。銀行の海外送金コストは、送金手数料・為替の上乗せ(スプレッド)・中継銀行手数料の3層でふくらみがちです。この3つを抑える選択肢として、実勢に近いレートと透明な手数料をうたう法人向け海外送金サービス(資金移動業者)や、中継銀行を経由せずに受け取る仕組みがあります。
ここからは、手数料を抑えやすい法人向けの海外送金・資金回収サービスを紹介します。自社が海外へ「支払う(送金する)」のか、海外から「受け取る」のかで、適したサービスは変わります。
海外へ支払う送金と、海外から受け取る資金回収では、手数料を抑える手段が異なります。以下では両方のタイプを扱うので、自社の用途に近いものを見てください。まず主なサービスの手数料の考え方を一覧で比べ、続けて各サービスの特徴を見ていきます。
| 比較項目 | ラクヤス決済 振込 | Wise Business | Airwallex(エアウォレックス) | PayForex |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態・送金の向き | 海外からの入金受取(資金回収) | 日本発の海外送金+多通貨の受取・両替 | 日本発の海外送金・外貨両替 (日本での提供範囲に限定) | 日本発の海外送金 |
| 初期費用 | 30,000円 | 無料 (外貨口座情報の設定手数料は1回3,000円) | 無料 | 無料 |
| 送金・決済手数料の目安 | 1回あたり1,500〜2,000円 (+為替手数料) | 固定+変動(送金額の一定%) 通貨ペア・入金方法で変動 | 現地通貨送金は無料/SWIFT送金2,200〜3,800円 | 宛先・金額・受取方法で変動 (60万〜100万円帯は無料) |
| 為替コストの考え方 | 為替手数料あり(通貨により変動。「銀行より安い水準」を訴求) | 仲値(ミッドマーケットレート)を上乗せなしで適用 | 銀行間レートに0.2%〜のマークアップ (海外送金に伴う両替) | 公式に記載なし(要問い合わせ) |
| 中継銀行手数料の扱い | 現地口座への国内振込で受け取り、中継銀行を経由しない | 現地口座情報で現地送金として受取・送金(中継銀行を回避) ※SWIFT送金の受取は手数料あり | 現地決済ネットワーク経由で回避しやすい ※SWIFT送金は別 | 自社ネットワークで送金。中継・受取銀行手数料は「着金まで金額不明」と公式記載 |
| 資金移動業登録 | 公式に明示なし(要確認) | 第一種・第二種 (関東財務局長第00040号) | 第二種 (関東財務局長第00100号) | 第二種 (関東財務局長第00010号) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
1. ラクヤス決済 振込(株式会社RemitAid)

ラクヤス決済 振込は、海外の取引先からの入金(資金回収)に特化したサービスです。株式会社RemitAidが世界各地に開設した現地口座を使い、海外の取引先には自国内の国内送金として支払ってもらい、日本の事業者は中継銀行を経由しないローカル送金として受け取れる仕組みを取ります。前のセクションで触れた中継銀行手数料の目減りを、受け取りの経路そのものを変えることで避けられる点が特徴です。
公式の試算例では、香港から1,800,000香港ドルを受け取る場合、従来の国際送金でかかっていた手数料251,400円が48,090円に圧縮され、約81%の削減になったと紹介されています(削減率は送金元の通貨・金額によって変わります)。料金は初期費用30,000円と、1回あたり1,500〜2,000円の決済処理手数料が目安です(2026年7月時点)。
海外へ支払う仕向送金ではなく、海外から受け取る資金回収の手段として検討するサービスです。
実際の削減額は取引の条件によって幅があります。提供元の株式会社RemitAidは、既存の決済サービスから乗り換えた企業でどの程度コストが下がったかについて、次のように説明しています。

正直なところ、数字は条件次第なので一律には言いにくいです。ただ事例としては、3ヶ月で約8,000万〜1億円規模の輸出をしている企業が、既存の決済サービスから当社へ移行したことで、3ヶ月で約60万円のコスト削減につながったケースがあります。年換算でいうと、例えば年3億円程度の取引がある企業で、移行するだけで年間200万〜300万円の削減が見込めるケースもあります。
2. Wise Business(Wise Payments Limited)

両替時のレートに上乗せをしないミッドマーケットレート(仲値)の適用を最大の特徴とするのが、Wise Business です。1つのアカウントで複数通貨を保有・受取・両替・送金でき、米ドルやユーロなどの現地口座情報を取得して現地送金として受け取ることもできます。バッチ送金・API・会計ソフト連携・法人デビットカードといった業務利用向けの機能も備えます。
運営元は第一種・第二種資金移動業者として登録され(関東財務局長第00040号)、顧客資金は信託口座で分別管理されると公式に説明されています。銀行送金で膨らみやすい為替の上乗せを抑えたい企業にとって、有力な選択肢になります。
3. Airwallex(Airwallex Japan株式会社)

Airwallex は、越境ビジネス向けの金融機能をオンラインで提供するプラットフォームです。日本法人のAirwallex Japan株式会社は、第二種資金移動業者として登録されています(関東財務局長第00100号、2025年9月登録)。日本の企業向けには、海外送金や送金に伴う外貨両替、オンライン決済のアクワイアリングを提供しています。
Airwallex はグローバルでは多通貨口座や法人カードなど幅広い機能を展開していますが、日本で利用できる範囲はサービスの提供状況によって変わります。日本での実際の利用範囲は、申し込み前に日本公式サイトで確認することをおすすめします。海外取引の送金・両替コストを一本化して見直したい企業に向くサービスです。
4. PayForex(Queen Bee Capital株式会社)

PayForex は、Queen Bee Capital株式会社が運営する日本から海外へのオンライン海外送金サービスです。第二種資金移動業者として、銀行を介さず自社のネットワークで200以上の国・地域への送金を扱い、24時間365日オンラインで送金依頼が完結します。
運営元は2026年6月に第一種資金移動業の認可も取得し、100万円を超える送金にも対応します。受け取り方法は宛先の国・地域により、銀行口座への入金・現金受け取り・電子ウォレットなど複数から選べます。
PayPay銀行・楽天銀行・横浜銀行などと提携しており、これらの銀行のページから接続できますが、送金を実行する主体はあくまでQueen Bee Capitalです。データは国内サーバーに保存し、プライバシーマークを取得しています。多くの送金先国をカバーしつつオンラインで完結させたい企業に向きます。
ここで取り上げたのは、手数料を抑えやすいサービスの一部です。銀行・ネット銀行・専門サービスを横断して、送金手数料や為替コストの観点から比較・検討したい場合は、以下の記事で選び方とあわせて詳しく解説しています。
まとめ:負担区分は「SHA」を基本に、実額と契約で詰める
海外送金の手数料をどちらが負担するかは、送金側の手数料は送金人、受取側の手数料は受取人が持つ「SHA」を選ぶのが一般的です。相手に指定どおりの金額を届けたいなら OUR、手数料を相手に持ってもらうなら BEN という使い分けになります。
ただし OUR を選んでも、中継銀行によっては着金額から手数料が差し引かれることがあります。相手に満額を届けたい取引や、負担者をめぐる行き違いを避けたい取引では、契約書・請求書で負担者を明記し、必要に応じて中継銀行を経由しない送金サービスを選ぶのが確実です。
手数料の総額そのものを下げたい場合は、実勢に近いレートと透明な手数料をうたう法人向け海外送金サービスの資料を取り寄せて、自社の送金パターンで比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 海外送金の手数料負担区分(SHA・OUR・BEN)とは何ですか?
A. SHA・OUR・BENとは、海外送金でかかる手数料を送金人と受取人のどちらが負担するかを示す3種類のコードです。国際送金の電文(SWIFT)で使われ、銀行の外国送金依頼書にも標準の選択欄として載っています。SHAは送金側の手数料を送金人・中継や受取側の手数料を受取人が負担し、OURはすべての手数料を送金人が、BENはすべての手数料を受取人が負担します。
銀行によっては同じ区分を「依頼人負担・受取人負担」という日本語表記で選ばせることもあります。
Q. 海外送金の手数料は普通どちらが負担しますか?
A. 海外送金の手数料は、送金側で発生する手数料を送金人、中継・受取側で発生する手数料を受取人が持つ「SHA(シェア)」を選ぶのが一般的です。SHAは「折半」と説明されることもありますが、手数料を機械的に半分ずつ割るという意味ではなく、各自が自分の側で発生した手数料を負担するという分担を指します。
相手に指定どおりの金額を届けたい場合はOUR、手数料を相手に持ってもらいたい場合はBENを選ぶ、という使い分けになります。
Q. 海外送金でOUR(送金人が全額負担)を選べば相手に満額が届きますか?
A. OURを選んでも、経由する中継銀行によっては着金額から手数料が差し引かれ、相手に満額が届かないことがあります。楽天銀行も法人向け海外送金の説明で「送金人負担とした場合でも、中継銀行によっては一部の手数料が送金金額より差引かれて着金する場合が稀にある」と明記しています(2026年8月時点)。取引先に「請求額どおりの金額が届かなかった」と言われる原因の多くはこの中継銀行手数料です。
満額を確実に届けたい場合は、OURを指定したうえで中継銀行を経由しない送金サービスを使うのが確実な対策になります。
Q. 海外送金の中継銀行手数料(コルレス手数料)は誰が負担しますか?
A. 中継銀行手数料は、原則として受け取り時に受取額から差し引かれ、受取人の負担になります。送金する銀行と受け取る銀行の間に立つ中継銀行(コルレス銀行)が徴収する手数料で、複数の中継銀行を経由すると都度発生します。ただし楽天銀行のように、送金依頼時に中継銀行手数料を「送金人負担」か「受取人負担」かを選べる銀行もあり、送金人負担にすれば受取額の目減りをある程度カバーできます。
それでも中継銀行の判断で差し引かれる例外があるため、負担区分だけで満額を保証はできません。
Q. 海外送金のリフティングチャージとは何ですか?避ける方法はありますか?
A. リフティングチャージ(円為替取扱手数料)とは、両替をせずに送金するとき(日本円のまま海外へ送るときなど)にかかる手数料です。楽天銀行の法人向け海外送金では円貨送金手数料(リフティングチャージ)が3,000円で、送金人の負担とされています(2026年8月時点)。外貨に両替してから送る場合はかからないこともあるため、避けたい場合は送る通貨を外貨建てにできないか検討するのが基本の対策です。
数千円単位で効いてくるため、円のまま送るか外貨で送るかを決める判断材料になります。
Q. 海外送金の手数料は1回あたりどのくらいかかりますか?
A. 海外送金の送金手数料は、銀行の店頭窓口で7,000円前後、インターネットバンキングやネット系銀行では1,000〜2,500円程度が目安です(2026年8月時点)。たとえば三菱UFJ銀行の仕向送金は店頭7,000円・インターネット2,500円、楽天銀行の法人向け海外送金は1件1,000円です。
これに加えて、送金金額に応じた取扱手数料(三菱UFJ銀行の円為替取扱手数料は送金金額の0.050%・最低2,500円)、リフティングチャージ、中継銀行手数料などが上乗せされるため、総額で見て比較するのが実務的です。
Q. 海外送金の「依頼人負担・受取人負担」はSHA・OUR・BENとどう違いますか?
A. 「依頼人負担・受取人負担」は、SHA・OUR・BENと同じ手数料負担区分を日本語で言い換えた表記で、意味は同じです。銀行によってコード表記か日本語表記かが異なるだけで、どちらを選ぶかで窓口で払う額や着金額が変わります。
実額の差は小さくなく、たとえば横浜銀行の外国送金では、送金手数料が受取人負担なら8,500円、依頼人(送金人)負担なら11,500円と、同じ送金でも負担区分を変えるだけで送金人が窓口で払う額が3,000円変わります(2025年7月時点)。
Q. 海外送金で取引先ともめないために、契約書・請求書へ手数料負担をどう書けばよいですか?
A. 契約書には、「輸出地で発生する費用は輸出者、輸入地で発生する費用は輸入者が負担する」という原則を一文で明記しておくのが確実です。日本貿易振興機構(ジェトロ)は、売買契約に「Banking charges outside Japan are for the account of buyer.」と記載すれば負担者が明確になると案内しています。
この原則は各自が自分の側の手数料を持つという点でSHAと同じ考え方で、自社が海外へ支払う(買手=輸入者の)立場なら日本国外で発生する費用を自社が持つ形になります。なお貿易取引ではインボイス(送り状)が請求書の機能を兼ねるため、別途請求書を発行する必要はありません。
Q. 海外送金の手数料そのものを下げる方法はありますか?
A. 手数料の総額を下げたい場合は、実勢に近いレートと透明な手数料をうたう法人向け海外送金サービス(資金移動業者)や、中継銀行を経由せずに受け取る仕組みを使う方法があります。銀行の海外送金コストは、送金手数料・為替の上乗せ(スプレッド)・中継銀行手数料の3層でふくらみがちです。
負担区分をどう選んでも下げられるのはこのうち一部にとどまるため、送金頻度や金額が大きい企業ほど、送金手段そのものを見直す効果が大きくなります。自社の送金パターン(支払いが多いか、受け取りが多いか)に合わせて複数サービスの料金を比較するのがおすすめです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













