会員登録の完了通知やパスワード再設定、注文確認といったメールを自社サービスから自動で送りたい。あるいは数十万通規模のお知らせを短時間で配信したい。こうした場面で、システムに組み込んで使える「メール配信API(メール送信API)」の導入を検討する企業が増えています。
自前のメールサーバーやシステム標準の送信機能では、GmailやYahoo!、携帯キャリアに迷惑メール扱いされて届かない、送信結果を追えない、大量送信で処理が詰まるといった課題が起きがちです。2024年2月からはGmailとYahoo!が送信者ガイドラインを厳格化し、送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)への対応も避けて通れなくなりました。
ただ、ひとくちにメール配信APIといっても、通知メール向けにシステム連携のしやすさを重視したものから、大量一斉配信に特化したもの、効果測定まで一体で行えるメールマーケティング型、メール以外のチャネルもまとめて扱えるものまで幅があります。
本記事では、API連携できるメール配信サービスを用途タイプ別に整理し、API方式(REST/SMTPリレー)・料金・到達率・送信ドメイン認証・開発のしやすさといった選定軸で横断的に比較します。自社の用途に合う候補を絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の送信規模や用途に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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診断ツールですぐにわかる!用途別おすすめメール配信API
ここでは、いくつかの質問に答えるだけで、自社の送信規模や用途に合ったメール配信APIのタイプを絞り込める診断ツールをご用意しました。トランザクションメールなのか大量一斉配信なのか、開発リソースはどの程度かなどを選ぶだけで、候補となるサービスの方向性がわかります。
【比較表】API連携できるメール配信サービス比較
ここからは、API連携できる主要なメール配信サービスを横断的に比較します。API方式(REST API・SMTPリレー)や配信結果の取得方法、対応言語(SDK)、日本語ドキュメントの有無、送信ドメイン認証への対応、料金体系、送信規模・到達性までを一覧にまとめました。自社が重視する軸で見比べてください。
| サービス名 | SendGrid(Twilio SendGrid Email API) | Azure Communication Services | Amazon SES | blastengine | ベアメール | Customers Mail Cloud | Cuenote FC | API Mail | autobahn MTA | アララ メッセージ | Synergy!メールAPI | WEBCAS e-mail | 楽楽メールマーケティング | Mail Publisher Smart Edition | Benchmark Email | CPaaS NOW | Infobip |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 用途タイプ | トランザクション | トランザクション | トランザクション | トランザクション | トランザクション | トランザクション | 大量配信 | 大量配信 | 大量配信 | マーケ一体 | マーケ一体 | マーケ一体 | マーケ一体 | マーケ一体 | マーケ一体 | マルチチャネルCPaaS | マルチチャネルCPaaS |
| API方式 | REST API・SMTPリレー | REST API | REST API・SMTPリレー | REST API・SMTPリレー | SMTPリレー(送信APIはオプション) | REST API・SMTPリレー | REST API・SMTPリレー | API連携・SMTPリレー(オプション) | REST API・SMTPリレー | REST API(v1/v2) | REST API | API連携(一斉配信/トリガー配信) | API連携(有償オプション・CSVベース) | REST API・SMTPリレー | REST API(配信実行はWeb画面) | REST API | REST API |
| Webhook・配信結果取得 | Event Webhook対応(delivered/bounce/open/click 等) | 対応(Event Grid経由: Delivered/Bounced/Open/Click 等) | 対応(Configuration Set+SNS/EventBridge経由。ネイティブWebhookなし) | 対応(配信エラー系のみ。開封・クリックは対象外) | ログ取得API(標準)。Webhookは記載なし | 対応(Event Webhook:バウンス・送信エラー) | 配信ログ・開封/CVデータ取得API | 開封・クリック・エラー取得(API/管理画面) | 対応(Webhook:送信・バウンス・開封・クリック等) | 開封・クリック取得(Webhookは明記なし) | 開封・クリック・エラーをAPI取得(Webhookは要確認) | 配信結果(エラー含む)を返却(WEBCAS realtime mail) | 開封・クリック取得(Webhookは明記なし) | 開封・クリック計測(Webhookは要確認) | レポートAPI(開封・クリック・エラー)。Webhookは明記なし | 送信結果確認(API) | 対応(配信レポート/トラッキングWebhook: delivered/open/click 等) |
| SDK・対応言語 | Python・PHP・Node.js・Java・C#・Ruby・Go | .NET・JavaScript・Java・Python | AWS SDK(Python・Java・Node.js・Go・Ruby・PHP・.NET 等) | Python・Ruby・PHP・Node.js・Java・GAS | 要問い合わせ | PHP・Java・Python(公式ブログでライブラリ提供) | 要問い合わせ(サンプルコードあり) | 要問い合わせ | Python(公式SDK) | 要問い合わせ | SDKなし(REST/HTTPS、言語非依存) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(サンプルプログラム提供) | 要問い合わせ | SDKなし(REST/JSON) | 要問い合わせ | Java・C#・PHP・Go・Python・Node.js |
| 日本語ドキュメント | 対応(構造計画研究所/KKE) | 対応(Microsoft Learn) | 対応 | 対応 | 対応(管理画面内) | 対応(日本語/英語) | 要問い合わせ | 対応(日本語のみ) | 対応(日本語ヘルプセンター) | 対応(日本語のみ) | 対応(日本語APIリファレンス) | 対応(日本語) | 対応(PDF仕様書) | 対応(日本語) | 英語のみ(現行APIリファレンス) | 対応(日本語) | 技術ドキュメントは英語主体(日本法人サポートあり) |
| 送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC) | SPF/DKIM/DMARC 対応 | SPF/DKIM 対応(DMARCは自ドメイン側で設定) | SPF/DKIM/DMARC・BIMI | SPF/DKIM/DMARC | SPF標準/DKIMはオプション/DMARC透過 | SPF/DKIM/DMARC(S/MIME対応) | SPF/DKIM/DMARC・S/MIME | SPF標準/DKIMは一部オプション/DMARCは利用者設定 | SPF/DKIM/DMARC | SPF/DKIM/DMARCは設定支援オプション | 独自ドメイン・DKIM作成者署名(有償オプション) | DKIM対応(SPF/DMARCは公式明記なし) | SPF/DKIM/DMARCは公式明記なし | SPF/DKIM/DMARC | SPF/DKIM/DMARC | SPF/DKIM/DMARC | SPF/DKIM/DMARC 対応 |
| 料金体系 | 月額従量(KKE版 Essentials 3,000円〜/Pro 14,000円〜、60日無料トライアル) | 従量課金(メール送信 $0.00025/通〜、USD) | 従量課金 送信 $0.10/1,000通〜(USD) | 初期費用無料・月額3,000円〜(月間1万通) | 初期5万円〜・月額5,000円〜(月間コミット制) | 要問い合わせ(個別見積もり) | FC 初期3万円〜・月額5,000円〜/SR-S 初期5万円〜・月額27,000円〜 | 初期5.5万円〜・月額3万円〜(共有プラン、税込) | 初期0円・月額12,000円〜(月間10万通) | 月額9,980円〜(月間5万通、初期費用は記載なし) | 初期0円・月額5,000円〜(月間5,000通) | 初期3万円〜・月額1万円〜 | 要問い合わせ(API連携は月額1万円のオプション) | 要問い合わせ | 初期0円・無料プランあり/Proプラン月額1,600円〜 | 初期0円・月額0円〜(従量課金) | 要問い合わせ(従量課金) |
| 送信規模・到達性 | 専用IP対応(レピュテーションを自社実績で管理) | Microsoftの共有送信基盤(専用IPは非提供) | 毎年1兆通超を処理(到達率%は非公表) | 1,500万通/時(公式値)。国内向け99%以上を公式訴求 | 約500万通/時(公式FAQ)。到達率%は非公表 | 公表値なし(要問い合わせ) | 毎時1,300万通(FC)、月間89億通(シリーズ全体) | 約5万通/時(サーバー1台、公式) | 毎時数百万通規模(公式)。到達率%は非公表 | 毎時100万通(ベストエフォート、公式) | 600万通/時(公式値) | 毎時1,000万通以上(クラウド全体)、240万通/時(1社実績) | 公表値なし(要問い合わせ) | 4,100万通/時・月間85億通超(ブランド全体の公式値) | 公表値なし(プラン別に月間送信上限あり) | 公表値なし(要問い合わせ) | 専用IP対応(用途別IPプール・ウォームアップ) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年9月時点で各社の公式サイト・公表情報をもとに整理したものです。「要問い合わせ」は公式に情報が公開されていない項目、「要確認」は公式ページ上で明記が確認できなかった項目です。料金・仕様・対応状況は変更される場合があるため、導入検討時に各サービスの公式情報でご確認ください。
各メール配信APIサービスの詳細
ここからは、比較表で取り上げた各サービスを用途タイプ別に紹介します。それぞれの提供形態や得意な用途、API連携の特徴を確認し、自社の候補を絞り込む手がかりにしてください。
トランザクション・システム連携重視型
会員登録通知やパスワード再設定、注文確認など、システムの処理と連動して1通ずつ確実に届けたい用途に向くタイプです。到達率の高さ、REST APIやWebhookでの送信結果の取得しやすさ、SDKや日本語ドキュメントによる実装のしやすさが選定の軸になります。
1. SendGrid(Twilio SendGrid Email API)

Twilioが提供するメール送信特化のAPIで、大量のトランザクションメールやマーケティングメールをシステムから配信できます。日本国内では構造計画研究所(KKE)が日本語のドキュメントとサポートを提供しています。
REST APIとSMTPリレーの両方に対応し、Python・PHP・Node.js・Java・C#・Ruby・Goの公式SDKが用意されています。Event Webhookで配信・バウンス・開封・クリックといった結果をリアルタイムに取得でき、SPF・DKIM・DMARCの送信ドメイン認証や専用IPで到達率を高められます。
料金はKKE版でEssentialsが月額3,000円から、Proが月額14,000円からの月額従量制で、60日間(1日100通まで)の無料トライアルを利用できます。
2. Azure Communication Services(Microsoft/国内窓口: 日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Teamsを支えるリアルタイム通信基盤を外部開発者に開放したCPaaSで、音声・ビデオ・チャット・SMS・メールをREST APIとクライアントSDKでアプリに組み込めます。国内窓口は日本マイクロソフト株式会社が担い、日本語ドキュメントも整備されています。
メール送信は1通あたり0.00025ドル(USD・税別)の完全従量課金で、初期費用や月額固定費はかかりません。Email向けSDKは.NET・JavaScript・Java・Pythonに対応し、SPF・DKIMのドメイン認証や、Azure Event Grid経由での配信・バウンス・開封・クリックの結果取得ができます(DMARCは自ドメイン側で設定します)。
ただし、日本の電話番号ではSMSの送受信に対応していない点には注意が必要です。日本国内向けのSMSを主目的とする用途には向きません。
3. Amazon SES(Amazon Web Services, Inc.)

AWSの一構成サービスとして提供される、クラウド型のメール送受信サービスです。EC2やLambdaなど他のAWSサービスと同じアカウント・IAM権限モデル・請求体系の中に組み込めるため、既存のAWS基盤上のアプリケーションにメール送信機能を追加しやすい構成です。
SES API(v1/v2)とSMTPインターフェースの両方に対応し、Boto3(Python)・Java・Node.js・Go・Ruby・PHP・.NETなどのAWS SDKと日本語ドキュメントが揃います。料金は従量課金で、送信は1,000通あたり0.10ドルからです(2026年7月にEssentials/Pro/Enterpriseの新プランも導入され、従来の従量課金と並存しています)。
なお新規アカウントは当初サンドボックス環境(送信先や送信量に制限あり)から始まり、本番の送信量へ移すには上限解放の申請が必要です。
配信結果の通知は、Webhook URLの直接登録ではなく、Configuration SetとAmazon SNS/EventBridgeを介した中継構成で受け取る仕組みです。バウンスや苦情、開封・クリックなどのイベントを他のAWSサービスと連携して処理できます。
4. blastengine(株式会社ラクスライトクラウド)

REST API連携とSMTPリレーの2方式に特化した、開発者向けの国産メール配信エンジンです。提供元はラクスグループの株式会社ラクスライトクラウドで、基幹システムやWebサービス、クラウド基盤からプログラム経由でメールを送る用途を主眼としています。
Python・Ruby・PHP・Node.js・Java・Google Apps Script向けの公式SDKをGitHubで公開し、APIドキュメントも日本語で整備されています。Webhookで受け取れるのは配信エラー系のイベント(DROP/SOFTERROR/HARDERROR)で、SPF・DKIM・DMARCの設定サポートも用意され、国内向けに99%以上の到達率を公式に掲げています。
初期費用は無料、月額は月間1万通プランの3,000円から始められ、REST APIとSMTPリレーはどちらを選んでも同一料金です。無料トライアルはクレジットカード登録不要で利用できます。
5. ベアメール(株式会社リンク)

株式会社リンクが1987年から続けるホスティング事業の一つとして提供する、国産のメールリレーサービスです。レピュテーション(送信元IPの評価)の高いIPアドレス群から分散配信することで携帯キャリアやISPによるブロックを避けて到達率を高める構成を取り、導入実績は1,000社以上とされています。
送信はSMTPリレーが基本で、配信ログ(正常配信数・エラー数など)をJSONで取得するログ取得APIが標準機能として使えます。一方で、メール送信そのものをAPI経由で行う機能は有料のWeb APIオプションとして提供され、DKIM付与もオプション扱いになる点は事前に確認しておきたいところです。
料金は月間コミットプラン方式で、初期費用5万円(税別)、月額は1万通クラスの5,000円(税別)からの段階制です。サポートは使い方相談が平日10〜17時、障害対応は24時間365日の窓口が用意されています。
6. Customers Mail Cloud(HENNGE株式会社)

銀行・クレジットカード・保険・証券などの金融機関や大手通信キャリア、官公庁・自治体を主要顧客層とする、HENNGE株式会社のクラウド型メール配信・SMTPリレーサービスです。取引確認や予約確認など、確実に届く必要がある通知メールの配信基盤として位置づけられています。
送信方式はSMTPリレーとWeb API(REST)の2つに対応し、バウンスや送信エラーをリアルタイムに通知するEvent Webhookを備えます。PHP・Java・Pythonのライブラリや、日本語・英語のAPIドキュメントも公開されています。2025年にはAWS Marketplaceでの提供とAWS認定ソフトウェア化も行われました。
料金プランは公開されておらず、月間配信数に応じた個別見積もりが前提です。導入を具体的に検討する際は問い合わせが必要になります。
大量・高速一斉配信重視型
数十万〜数百万通規模のメールを短時間で送り切る必要がある用途に向くタイプです。高速なSMTPリレーやMTA(メール転送エージェント)を基盤とし、時間あたりの配信スループットやエラーアドレスの制御機能が強みになります。
7. Cuenote FC・Cuenote SR-S(ユミルリンク株式会社)

ユミルリンク株式会社が展開するCuenoteシリーズのうち、大量配信を担うのがメール配信システムのCuenote FCと、メールリレー・メール送信APIに特化したCuenote SR-Sです。前者は管理画面からの配信を主体にREST APIをオプションで追加でき、後者はエンジニアが既存システムに組み込むリレーサーバー/APIとして設計されています。
配信速度はCuenote FCが毎時1,300万通、Cuenote SR-Sが基本性能で毎時890万通を公表しています。SR-Sはエラーアドレス管理機能の利用時に毎時150万通、メール文書生成を伴う場合は毎時100万通と条件で変動する点は確認しておきたいところです。Cuenoteシリーズ全体では月間89億通の配信実績、稼働率99.99%(2018年以降)とされています。
料金は、Cuenote FCが初期30,000円〜・月額5,000円〜(Premiumプラン)、Cuenote SR-Sが初期50,000円・月額27,000円〜(共用エントリープラン)です。バウンス解析とエラーアドレスの自動除外はSR-Sのオプション機能として提供され、既存システムを変更せずに導入できます。
8. API Mail(e-365株式会社)

既存の業務システムや自社データベースとAPI連携し、システム側から配信をキックして大量一斉配信を行うのが、e-365株式会社のAPI Mailです。管理画面での操作を前提とする配信ツールと異なり、会員登録通知やメルマガの大量配信を自社システムに組み込んで運用できます。
プランは共有サーバーと専有サーバーの2種類で、月間配信数の区分は〜50万通から300万通以上まで用意されています。配信サーバー1台あたりのスループットは1時間で約50,000通が目安とされ、数百万通規模の配信を想定した構成です。
料金は共有サーバープランが初期55,000円(税込)・月額30,000〜180,000円(税別、配信量による段階制)、専有サーバープランが初期110,000円(税込)・月額132,000円(税込)です。2023年5月には、トランザクションメールをSMTPリレーで中継するメールリレーサービスをオプションとして追加し、SPF・STARTTLSに加え第三者署名DKIMを標準装備しています。
9. autobahn MTA(トライコーン株式会社)

autobahn MTAは、トライコーン株式会社が国内で開発・運用するMTA型のメール配信サービスで、REST APIとSMTPリレーのどちらでも既存システムに組み込めます。公式サイトでは毎時数百万通規模の配信実績を掲げ、自動負荷分散とキュー制御によって大量配信・トリガーメール配信の双方に対応します。
配信エラーはバウンス理由を23カテゴリに分類して解析し、バウンス発生時の自動ブラックリスト管理も備えます。送信ドメイン認証はSPF・DKIM・DMARC・StartTLSに標準対応し、Gmail送信者ガイドラインに準拠しています。
料金は初期費用0円で、月間配信通数に応じた段階制プラン(M10〜M100超)が用意され、30日間の無料トライアルも利用できます。APIドキュメントは日本語で提供され、Python SDKを公式GitHubで公開しています。導入事例では、BtoBマーケティングSaaSのferret Oneが月間800万通超の配信に利用しています。
メールマーケティング一体型
配信そのものだけでなく、効果測定やシナリオ配信、顧客データとの連携までを一体で運用したい用途に向くタイプです。API連携で外部システムとつなぎつつ、開封・クリックの分析やセグメント配信をあわせて行えます。API連携が有償オプションや管理画面併用を前提とするサービスもあるため、位置づけを確認しておくと安心です。
10. アララ メッセージ(アララ株式会社)

アララ株式会社が国内で開発・運用する国産のメール配信システムです。メルマガ等の一斉配信を行うメールマーケティング機能と、外部システムと連携するメール配信APIを、同一契約・同一料金の中で一体提供しています。
メール配信APIは大量配信向けのv1(XML形式)とトランザクションメール向けのv2(JSON形式)の2系統を用意し、基幹システムと連携した一斉配信・自動送信に対応します。メール本文をもとにAIが件名候補を5パターン提案する機能も備えます。
料金は月間5万通で月額9,980円からの通数課金制で、メール配信APIとメールマーケティング機能の両方を追加課金なしで利用できます。契約は1か月から可能で、30日間の無料トライアルが用意されています。
11. Synergy!メールAPI(シナジーマーケティング株式会社)

シナジーマーケティング株式会社が提供する統合CRM「Synergy!」の配信基盤を、外部システムからREST APIで呼び出して単体利用できるようにした製品(Synergy!メールAPI)です。配信サーバーを自前で用意せず、Web API呼び出しだけでメール送信を組み込めます。
認証はOAuth 2.0のクライアントクレデンシャルズフローに対応し、配信数・開封数・クリック数・配信エラー情報をAPI経由で取得できます。到達率は国内主要モバイルキャリアを含め99%以上(公式記載、算出条件は非開示)、配信速度は600万通/時(公式記載値)とされています。
料金は初期費用0円、月間5,000通まで月額5,000円からの従量制です。上位のSynergy! CRM本体と組み合わせれば、セグメント配信やシナリオ自動配信などのメールマーケティング機能に広げられます(これらはメールAPI単体の機能ではない点に注意が必要です)。
12. WEBCAS e-mail(株式会社WOW WORLD)

株式会社WOW WORLD(旧・株式会社エイジア)が提供するメール配信システム「WEBCAS」シリーズの中核製品です。管理画面やCSVからの一斉配信・セグメント配信に加え、顧客システムのイベントを起点に自動送信するトリガー配信API「WEBCAS realtime mail」を組み合わせて使えます。
One to One配信やステップメール、開封・クリック・コンバージョン分析を備え、効果測定までを一体で運用できます。マーケティング向けの一斉配信とトランザクションメールの両方をAPI経由で扱える設計で、クラウド全体で毎時1,000万通以上、導入企業単体でも240万通以上/時の配信実績を公式に示しています。
料金は初期費用3万円から、月額1万円から(API利用料は個別見積り)です。ITRの調査(2023年度実績・売上金額ベース)でメール配信・パッケージ市場のシェアNo.1とされ、WEBCASシリーズの導入は12,000社を超えています。
13. 楽楽メールマーケティング(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供するクラウド型のメールマーケティングツールで、2025年10月に「配配メール」から名称変更されました。HTMLの知識がなくてもドラッグ&ドロップでメールを作成でき、開封率・クリック率の分析やセグメント配信、ステップメール・トリガーメールによる自動配信までを管理画面だけで完結できます。
製品の主軸は管理画面上での作成・配信・効果測定にあり、API連携は有償オプション(初期費用0円・月額10,000円/税抜)で、CSV形式のデータをやり取りする方式が中心です。顧客情報の登録・更新や開封・クリック数の取得に用途が限られ(呼び出しは240回/日が上限)、開発者向けのトランザクションメール送信APIとは仕様が異なります。
kintone連携・Salesforce連携に標準対応し、導入実績は10,000社を超えています(2025年12月末時点)。初期費用・月額費用は公式サイトで非公開のため、見積もりには資料請求・問い合わせが必要です。
14. Mail Publisher Smart Edition(エンバーポイント株式会社)

エンバーポイント株式会社が1999年から提供するメール配信プラットフォーム「Mail Publisher」のうち、外部システム連携と大規模配信を担うエディションです。CDP(顧客データ基盤)・ECシステム・基幹システム・レコメンドエンジンとのAPI/SFTP(暗号化ファイル転送)連携を前提に、企画段階から設計されています。
公式には「Mail Publisherの全機能をAPIとして保有」と示され、API連携が付随機能ではなく製品の一次機能として位置づけられている点が、統合マーケティング型の「Next」や重要通知特化の「Transaction」との違いです。自社基幹システムと連携したシナリオ配信にも対応します。
Mail Publisherブランド全体では、配信速度4,100万通/時、到達率99.9%以上、導入3,500社以上を公式に訴求しています(いずれもエディション横断の実績値)。送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)に対応し、料金は要問い合わせ、1か月の無料トライアルが用意されています。
15. Benchmark Email(株式会社ベンチマークジャパン)

米国のBenchmark Internet Groupが2004年から提供し、日本では株式会社ベンチマークジャパンが日本語で展開するメールマーケティングSaaSです。ドラッグ&ドロップ式のエディタや500以上のテンプレート、セグメント配信、自動化シナリオ、リアルタイムレポートを中心とした構成になっています。
RESTful APIを全プラン無料で公開し、コンタクト・キャンペーン・レポート・ドメインをプログラムから管理できます。ただしキャンペーンの最終デザイン確定と配信実行はAPIでは完結せず、Web管理画面での操作が必要で、API連携はマーケティングツールに付随する管理・連携機能という位置づけです。
Zapier経由で1,500以上のサービスと連携でき、Shopify・WordPressとの直接連携にも対応します。登録アドレス500件・月間2,500通まではクレジットカード登録不要の無料プランで利用でき、Proプランは登録アドレス数に応じて月額1,600〜1,900円からです。
マルチチャネルCPaaS型
メールに加えてSMSや音声、郵送といった複数の連絡手段を、1つのAPIプラットフォームでまとめて扱えるタイプです。将来的に通知チャネルを広げたい、複数チャネルの契約や開発を一本化したいという場合に選択肢になります。
16. CPaaS NOW(株式会社ネクスウェイ)

株式会社ネクスウェイ(TISインテックグループ)が提供するCPaaS NOWは、メール・SMS・郵送・FAXを単一のAPIで扱える国産のマルチチャネルCPaaSです。チャネルごとに別々のベンダーと契約・開発する負担を一本化でき、まずメールから始めて、必要に応じてSMSや郵送を追加していく使い方ができます。
送信に失敗したリクエストを別チャネル・別宛先へ自動で再送するFallback機能や、認証コードの生成・送信・照合を担う認証機能を標準で備えます。国内4キャリアへの直接接続と国内特化のメールサーバーを基盤とし、問い合わせには国内の専任スタッフが日本語で対応します。
料金はSMS1通あたり6円〜の従量課金で、初期費用は0円です。スタンダードプランは月額固定費が0円で、利用がない月は請求も発生しません(月間利用額が1,000円に満たない場合のみ1,000円を請求)。メール・郵送の従量単価は要問い合わせです。
メール・SMSに加えて郵送までを単一のAPIで扱える点について、提供元である株式会社ネクスウェイの田島氏は次のように説明しています。

実は、郵送をAPI化して提供している企業は非常に少ないんです。(中略)仕組みとしては、請求書などの帳票データを連携してもらうと、弊社側で印刷、封入、投函、発送まで一貫して対応します。
17. Infobip(インフォビップ合同会社)

Infobipは、クロアチア発でグローバルに展開するCPaaSベンダーです。日本法人のインフォビップ合同会社が国内の営業体制を担い、メール・SMS・音声・WhatsApp・Viber・RCS・LINEなど15種類以上のチャネルを1つのAPIプラットフォームから利用できます。
190以上の国・地域に対応し、800以上の通信事業者との直接接続を含む配信網を運用しています。配信できない場合にSMSなどへ切り替えるスマートフォールバックや、本人確認(2FA)向けのAuthentication APIも備え、ISO/IEC 27001(ISMS)などの認証を取得しています。
日本では、カスタマーエンゲージメントのMomentsとコンタクトセンターのConversationsを日本語対応で提供するほか、2025年1月にNTTコム オンラインと「NTT CPaaS」を共同開発しています。料金は初期費用・月額とも公表されておらず、SMS等は従量課金で具体的な金額は要問い合わせです。
メール送信/配信APIとは?SMTPとの違い
ここからは、メール配信APIの基本的な仕組みと、従来のSMTPによる送信との違いを整理します。すでに概要をご存じの方は読み飛ばしても構いません。
APIでメールを送る仕組み
メール送信APIは、自社のアプリケーションやシステムから、HTTPリクエスト(多くはREST API)でメール配信サービスに送信を依頼する仕組みです。宛先や件名、本文、差し込み用のデータをリクエストとして渡すと、配信サービス側が実際の送信処理と宛先サーバーへの受け渡しを担います。
送信側は自前でメールサーバーを構築・運用する必要がなく、送信結果(成功・失敗・バウンス・開封など)をWebhookやAPIでシステムに取り込めます。会員登録やパスワード再設定のように「システムの処理に連動して届けたいメール」を自動化しやすいのが特徴です。
SMTP(リレー)との違い
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、メールを送受信するための標準プロトコルです。多くの配信サービスは、REST APIに加えてSMTPリレー(自社サーバーの代わりに配信サービスのSMTPサーバーへ中継させる方式)も提供しています。
SMTPリレーは、既存のメール送信処理がSMTP前提で作られている場合に、接続先を切り替えるだけで移行しやすい利点があります。一方でREST APIは、送信結果の細かなステータス取得や、テンプレート・差し込み・配信停止の制御をきめ細かく行いやすく、新規開発でシステムに深く組み込む場合に向きます。どちらが適するかは、既存システムの構成と、送信後の結果をどこまで扱いたいかで判断します。
メール配信APIでできること(主な機能)
ここからは、メール配信APIで一般的に実現できることを整理します。サービスによって対応範囲は異なりますが、主な機能は次のとおりです。
- システム連動の自動送信:会員登録・注文確認・パスワード再設定など、アプリケーションの処理に連動してメールを自動送信します。
- テンプレートと差し込み:宛名や注文内容といった個別データを本文に差し込み、1通ずつパーソナライズした内容で送信します。
- 送信結果の取得:成功・失敗・バウンス(不達)・開封・クリックといった結果を、WebhookやAPIでシステムに取り込みます。
- バウンス・配信停止の管理:不達アドレスの自動除外や、配信停止リストの管理により、無効な宛先への再送を防ぎます。
- 送信ドメイン認証:SPF・DKIM・DMARCの設定を支援し、なりすまし対策と到達率の維持に対応します。
メール配信APIを活用するメリット
ここからは、メール配信APIを導入する価値を整理します。大きく分けて、到達率の改善、システムと連動した自動送信、運用工数の削減という3つの効果が見込めます。
1つ目は到達率の改善です。専用のメール配信基盤は、IPアドレスの評価(レピュテーション)管理や送信ドメイン認証への対応が整っており、自前サーバーやシステム標準の送信よりも迷惑メール判定を受けにくくなります。特にGmailやYahoo!への大量送信では、この差が届くかどうかを左右します。
2つ目はシステムと連動した自動送信です。アプリケーションの処理に合わせてリアルタイムにメールを送れるため、通知の手作業や送信漏れがなくなります。送信結果をシステムに取り込めば、不達時の再処理やユーザーへの案内も自動化できます。
3つ目は運用工数の削減です。メールサーバーの構築・保守やIPレピュテーションの管理、送信者ガイドラインへの追従といった継続的な負担を配信サービス側に任せられます。自社は本来の開発に集中でき、中長期的には自前運用より総コストを抑えやすくなります。
メール配信APIのタイプ(用途別+CPaaSマルチチャネル軸)
ここからは、メール配信APIを用途別の4タイプに整理します。自社の送信目的がどれに当てはまるかを起点に候補を絞ると、選定がスムーズになります。
トランザクション・システム連携重視型
会員登録通知や認証コード、注文確認など、システムの処理に連動して確実に届けたい用途に向くタイプです。到達率の高さ、REST APIやWebhookでの送信結果の取得、SDKや日本語ドキュメントによる実装のしやすさが重視されます。SMTPリレーで既存システムから中継させる方式や、クラウド基盤に付随して提供される方式もこのタイプに含まれます。
大量・高速一斉配信重視型
数十万〜数百万通規模のメールを短時間で送り切る用途に向くタイプです。高速なSMTPリレーや専用のMTAを基盤とし、時間あたりの配信スループットや、エラーアドレスの自動除外による到達率維持が強みになります。メールマガジンや大規模なお知らせ配信が中心の企業に適しています。
メールマーケティング一体型
配信に加えて、効果測定やシナリオ配信、顧客データとの連携までを一体で運用したい用途に向くタイプです。API連携で外部システムとつなぎながら、開封・クリックの分析やセグメント配信を行えます。ただしサービスによってはAPI連携が有償オプションであったり、配信の最終実行を管理画面から行う前提であったりするため、API連携の位置づけを確認して選びます。
マルチチャネルCPaaS型
メールに加えてSMSや音声、郵送などの連絡手段を、1つのAPIプラットフォームでまとめて扱えるタイプです。まずはメールから始め、必要に応じて他のチャネルを追加していきたい場合に向くタイプです。CPaaSという考え方と拡張のメリットは、後半の専用セクションで詳しく取り上げます。
メール送信APIの到達率と送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)
ここからは、メールが「届くかどうか」を左右する到達率と、その土台となる送信ドメイン認証を解説します。APIで送信するだけでは到達率は改善せず、認証の設定と運用が欠かせません。
送信ドメイン認証は、そのメールが正当な送信者から送られたことを受信側が検証するための仕組みです。代表的な3つの方式があります。SPF(Sender Policy Framework)は、送信元ドメインがどのサーバー(IPアドレス)からの送信を許可するかをDNSで宣言し、受信側が照合する仕組みで、RFC 7208で規定されています。
DKIM(DomainKeys Identified Mail)は、電子署名によってメールの改ざんと送信元の正当性を検証する仕組みで、RFC 6376で規定されています。
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)は、SPFとDKIMの認証結果をもとに、認証に失敗したメールの扱い(なにもしない・隔離・拒否)を送信側が宣言する仕組みで、RFC 7489で規定されています。
これらの対応が実務で必須になったのが、2024年2月から適用されたGmailとYahoo!の送信者ガイドラインです。Gmailは、Gmailアカウント宛に1日あたり5,000件を超えるメールを送る「一括送信者」に対して、次の要件を課しています。
2024 年 2 月 1 日以降、Gmail アカウントに 1 日あたり 5,000 件を超えるメールを送信する送信者は、このセクションに示す要件を満たしている必要があります。
出典:メール送信者のガイドライン|Gmail ヘルプ(Google)
(中略)送信元ドメインに DMARC メール認証を設定します。DMARC 適用ポリシー は none に設定できます。
Postmaster Tools で報告される迷惑メール率を 0.3% 未満に維持します。
マーケティング目的のメールと配信登録されたメールは、ワンクリックで登録解除できるようにし、メッセージ本文に登録解除のリンクをわかりやすく表示する必要があります。
すべての送信者にはSPFまたはDKIMのいずれかが、一括送信者にはSPF・DKIMの両方に加えてDMARC(適用ポリシーはp=noneでも可)が求められます。Yahoo!(Yahoo Inc.)も同時期にほぼ同じ構造の要件を公表しており、一括送信者にはSPF・DKIM・DMARCの設定、迷惑メール率0.3%未満の維持、ワンクリックでの登録解除への対応を求めています。
主要なメール配信APIの多くは、これらの送信ドメイン認証の設定支援や、迷惑メール率を抑えるためのIPレピュテーション管理、ワンクリック登録解除ヘッダーへの対応を備えています。自社ドメインでの認証設定がどこまで簡単に行えるか、Postmaster Toolsで監視すべき迷惑メール率をどう抑えられるかは、到達率に直結する選定ポイントです。
出典・参考資料(5件)
- 出典:メール送信者のガイドライン|Gmail ヘルプ(Google)(https://support.google.com/a/answer/81126?hl=ja)
- 出典:Sender Requirements & Recommendations|Yahoo Sender Hub(Yahoo Inc.)(https://senders.yahooinc.com/best-practices/)
- 参考資料:RFC 7208(SPF)|IETF(https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc7208.txt)
- 参考資料:RFC 6376(DKIM)|IETF(https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc6376.txt)
- 参考資料:RFC 7489(DMARC)|IETF(https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc7489.txt)
送信ドメイン認証や到達率への対応は、サービスごとに支援の範囲が異なります。気になるサービスの資料をまとめて取り寄せ、対応状況を見比べてみましょう。
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メール配信APIの料金相場
ここからは、メール配信APIの料金相場を用途タイプ別に整理します。料金体系はサービスごとに幅がありますが、おおよその目安を押さえておくと予算に合う候補を絞りやすくなります。個別の金額は前掲の比較表と各サービスの詳細をご確認ください。
トランザクション・システム連携重視型では、送信通数に応じた従量課金が主流です。国内サービスでは月間1万通で月額3,000〜5,000円程度、月間10万通で月額1万〜2万円程度が一つの目安とされます。クラウド基盤に付随する海外系サービスは、1,000通あたり数円〜十数円といった従量課金で、小規模から始めやすい料金設定です。
大量・高速一斉配信重視型やメールマーケティング一体型では、初期費用と月額固定費に配信規模に応じた料金が加わる形が多く、初期費用が数万円〜、月額が数万円規模になるケースが一般的です。大規模配信や専用環境を求めると、月額数十万円規模まで広がります。金額を公開せず個別見積もりとするサービスも少なくないため、その場合は「要お問い合わせ」として扱っています。
失敗しないメール配信APIの選び方
ここからは、メール配信APIを選ぶ際に確認したい観点を整理します。料金と到達率は前掲の「料金相場」「到達率と送信ドメイン認証」も選定軸として参照してください。本節では、それ以外に見落としやすいポイントを掘り下げます。
既存システムとの連携方式は合っているか
既存システムがSMTPでの送信を前提に作られている場合は、接続先を切り替えるだけで移行できるSMTPリレー対応が実装の近道です。新規開発でシステムに深く組み込み、送信結果を細かく扱いたい場合は、REST APIとWebhookの対応状況を確認しましょう。リアルタイムでの結果取得が必要な業務では、Webhookで受け取れるイベントの種類(配信・開封・バウンスなど)の粒度も選定基準になります。
開発のしやすさは十分か
実装のスピードと運用のしやすさは、開発リソースが限られる企業ほど重要です。自社が使う言語のSDK(Python・PHP・Ruby・Java・Node.jsなど)が提供されているか、APIドキュメントが日本語で読めるか、送信テスト用のサンドボックス環境があるかを見ておくとよいでしょう。特に海外系サービスはドキュメントが英語のみのことがあり、トラブル時の調査コストに直結します。
日本語でのサポートやドキュメントの有無は、実装後の運用まで見据えて評価します。
必要な配信・効果測定機能がそろっているか
差し込み配信やバウンス処理、開封・クリックの計測、配信停止リストの管理など、自社の用途に必要な機能がそろっているかを確認しましょう。通知メール中心ならバウンス管理と結果取得が、メールマーケティング用途ならセグメント配信や効果測定が重視されます。用途に対して機能が過不足ないかを見極めることが大切です。
サポート体制とセキュリティは要件を満たすか
導入時や障害時に日本語でサポートを受けられるか、対応時間はどうかを確認しましょう。あわせて、ISMS(ISO/IEC 27001)などのセキュリティ認証や、国内データセンターの利用、通信の暗号化といった要件も、金融や官公庁向けの用途では重要になります。自社が扱う個人情報の量や業界要件に照らして判断するとよいでしょう。
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メール配信APIの導入手順
ここからは、メール配信APIを実際に使い始めるまでの流れを3ステップで説明します。多くのサービスで共通する基本的な手順です。
1. アカウント開設とAPIキーの発行
まず配信サービスに申し込み、アカウントを開設します。管理画面からAPIキー(認証情報)を発行し、送信元となる自社ドメインを登録します。この段階で、SPF・DKIM・DMARCのDNSレコードを設定し、送信ドメイン認証を有効にします。
2. API連携の実装
公開されているAPI仕様やSDK、サンプルコードをもとに、自社システムから送信を呼び出す処理を実装します。REST APIで送信する方式か、SMTPリレーで既存の送信処理を中継させる方式かを選び、テンプレートや差し込みデータ、Webhookでの結果受信も必要に応じて組み込みます。
3. テスト配信と本番移行
サンドボックスやテスト用アドレスへの送信で、届き方や差し込み内容、送信結果の取得を確認します。GmailやYahoo!など主要な宛先での到達を検証し、問題がなければ本番の送信量へ段階的に切り替えます。急に大量送信を始めるとIPの評価に影響することがあるため、送信量を徐々に増やすウォームアップを行うと安全です。
メールAPIからマルチチャネルへ:CPaaSという選択肢
ここからは、メール単体にとどまらない選択肢として、CPaaS(Communications Platform as a Service)を紹介します。将来的に連絡手段を広げる可能性がある場合に検討したい視点です。
CPaaSは、メール・SMS・音声・郵送といった複数のコミュニケーションチャネルを、1つのAPIプラットフォームからまとめて扱えるサービスです。従来はメールはA社、SMSはB社と、チャネルごとに別々のベンダーと契約し、それぞれにセキュリティ審査や開発を行う必要がありました。CPaaSなら1つの契約・1つのAPIで複数チャネルを利用でき、管理の手間を減らせます。
たとえば、まずはメールで通知を始め、サービスの成長にあわせてSMSでの確実な到達や、重要書類の郵送を後から追加するといった拡張がしやすくなります。顧客の年齢層や場面によって最適な連絡手段が異なる場合にも、チャネルを使い分けやすいのが利点です。当面はメールだけでも、通知チャネルを増やす見通しがあるなら、マルチチャネルCPaaS型を候補に含めておくと将来の開発コストを抑えられます。
こうした受け取り手側のニーズの多様化について、国産CPaaS「CPaaS NOW」を提供する株式会社ネクスウェイの田島氏は、開発の背景を次のように話しています。

CPaaS NOWを開発した大きな理由としては、「エンドユーザーがどのような手段で情報を受け取りたいか」という情報入手ニーズの多様化が挙げられます。(中略)たとえば自治体のケースでは、年齢層によっては従来の紙での郵送が見やすいという方もいれば、メールや電子で受け取りたいという方もいらっしゃいます。このように、エンドユーザー側の受け取りニーズが多様化していることが開発の背景にあります。
メールを起点にSMS・音声・郵送まで広げるCPaaSは、対応チャネルや国内到達率、料金体系がサービスごとに大きく異なります。プラットフォームそのものを横断で比較して選びたい場合は、以下のまとめ記事もあわせてご覧ください。
まとめ:自社の用途に合うメール配信APIを選ぶ
メール配信APIは、送信の目的によって適したタイプが分かれます。通知メールを確実に届けたいならトランザクション・システム連携重視型、大量のお知らせを短時間で送るなら大量・高速一斉配信重視型、効果測定まで一体で運用したいならメールマーケティング一体型、将来的に連絡手段を広げたいならマルチチャネルCPaaS型が起点になります。
いずれのタイプでも、API方式(REST/SMTPリレー)の適合、送信ドメイン認証と到達率、開発のしやすさ、料金体系を軸に見比べると、自社に合う候補を絞り込めます。まずは診断ツールと比較表で方向性を確認し、有力な候補の資料を取り寄せて詳細を検討してみてください。
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メール配信APIに関するよくある質問(FAQ)
Q. メール配信API(メール送信API)とは何ですか?
A. メール配信APIとは、自社のアプリケーションやシステムから、HTTPリクエスト(多くはREST API)でメール配信サービスに送信を依頼できる仕組みです。宛先・件名・本文・差し込みデータを渡すと、配信サービス側が実際の送信処理と宛先サーバーへの受け渡しを担います。
自前でメールサーバーを構築・運用する必要がなく、会員登録通知や注文確認のようにシステムの処理に連動したメールを自動送信でき、送信結果(成功・失敗・バウンス・開封など)をWebhookやAPIで取り込める点が特徴です。
Q. メール配信APIとSMTPリレーはどちらを使うべきですか?
A. どちらを選ぶかは既存システムの構成で決まり、新規に組み込んで送信結果を細かく扱うならREST API、既存の送信処理を活かして移行を急ぐならSMTPリレーが適しています。REST APIは送信ステータスの取得やテンプレート・差し込み・配信停止の制御をきめ細かく行いやすく、システムに深く組み込む用途に向きます。
一方SMTPリレーは、既存のメール送信処理がSMTP前提で作られている場合に接続先を切り替えるだけで移行できる手軽さが利点です。多くのサービスは両方式に対応しているため、まずは自社の実装方針に合う方式が用意されているかを確認してください。
Q. メール配信APIの料金相場はどのくらいですか?
A. メール配信APIの料金は用途タイプで幅がありますが、トランザクション用途の国内サービスなら月間1万通で月額3,000〜5,000円程度、月間10万通で月額1万〜2万円程度が一つの目安です。送信通数に応じた従量課金が主流で、クラウド基盤に付随する海外系サービスは1,000通あたり数円〜十数円と小規模から始めやすい設定です。
大量・高速一斉配信型やメールマーケティング一体型では、初期費用が数万円〜、月額が数万円規模になることが多く、大規模配信や専用環境では月額数十万円規模まで広がります。金額を公開せず個別見積もりとするサービスも少なくありません。
Q. 自社のSMTPサーバーとメール配信API、どちらがコストを抑えられますか?
A. 送信量がまとまってくると、中長期的にはメール配信APIを使う方が総コストを抑えやすいのが一般的です。自社サーバーでの送信は利用料こそかかりませんが、サーバーの構築・保守費用に加え、IPレピュテーション(送信元IPの評価)の管理、SPF・DKIM・DMARCなど送信者ガイドラインへの継続的な対応、障害対応といった運用人件費が積み上がります。
これらを配信サービス側に任せられる分、自社は本来の開発に集中でき、到達率も安定しやすくなります。
Q. メール配信APIを使えばGmailやYahoo!に確実に届くようになりますか?
A. APIで送るだけで到達率が上がるわけではなく、SPF・DKIM・DMARCの送信ドメイン認証とIPレピュテーションの管理が到達の鍵です。2024年2月からGmailとYahoo!は送信者ガイドラインを厳格化し、1日5,000件を超える一括送信者にはSPF・DKIM・DMARCの設定、迷惑メール率0.3%未満の維持、マーケティングメールでのワンクリック登録解除への対応を求めています。
主要なメール配信APIはこれらの認証設定支援やレピュテーション管理を備えているため、自前運用より要件を満たしやすくなりますが、自社ドメインでの認証設定は利用側で行う必要があります。
Q. 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)は自社で設定する必要がありますか?
A. 送信ドメイン認証のDNSレコード設定は、原則として送信元ドメインを持つ自社側で行う必要があります。多くのメール配信APIは設定手順のガイドや、DKIM署名の付与、設定確認のサポートを提供していますが、自社ドメインのDNSにSPF・DKIMのレコードを登録し、DMARCポリシーを宣言する作業自体は利用企業が実施します。
サービスによってはDKIM付与が有償オプションの場合もあるため、認証周りの設定をどこまで支援してもらえるかは選定時に確認しておくと安心です。
Q. トランザクションメールと大量一斉配信では、選ぶメール配信APIは違いますか?
A. 用途によって適したタイプが分かれ、通知系ならトランザクション・システム連携重視型、メルマガなどの大量送信なら大量・高速一斉配信重視型が起点になります。会員登録通知や認証コードのようにシステムの処理と連動して1通ずつ確実に届けたい用途では、到達率とWebhookでの結果取得、実装のしやすさが重視されます。
一方、数十万〜数百万通を短時間で送り切る用途では、時間あたりの配信スループットやエラーアドレスの自動除外機能が要になります。両方を1つのサービスで扱える製品もあるため、自社の送信目的を起点に絞り込んでください。
Q. メール配信APIのドキュメントやSDKが日本語に対応しているかは重要ですか?
A. 日本語のAPIドキュメントとSDKの有無は、実装スピードとトラブル時の調査コストに直結する重要な選定軸です。ドキュメントが英語のみの海外系サービスは、学習コストが増え、障害発生時の切り分けも難航しがちです。
自社が使う言語(Python・PHP・Ruby・Java・Node.jsなど)のSDKが提供されているか、日本語のドキュメントやサポート窓口があるか、送信テスト用のサンドボックス環境があるかを、実装後の運用まで見据えて確認しておくとよいでしょう。
Q. プログラミングの知識がなくてもメール配信APIは使えますか?
A. API連携には開発が必要ですが、多くのサービスは管理画面からの操作だけで一斉配信できる機能もあわせて備えています。メルマガ配信や効果測定を管理画面で完結したい場合は、メールマーケティング一体型のように画面操作中心で使えるサービスが向きます。一方、システムの処理に連動した自動送信をAPIで組み込むには、SDKやサンプルコードを使った実装が必要です。
自社の開発リソースに応じて、API連携中心か管理画面中心かで候補を選ぶとよいでしょう。
Q. メール配信APIで送信結果(開封・クリック・バウンス)は取得できますか?
A. 主要なメール配信APIは、成功・失敗・バウンス(不達)・開封・クリックといった送信結果をWebhookやAPI経由で取得できます。取得したバウンス情報をもとに無効な宛先を自動除外したり、配信停止リストを管理したりすることで、再送による評価低下を防げます。
ただしWebhookで受け取れるイベントの種類や粒度(配信・開封・エラーなど)はサービスごとに差があるため、自社が必要とする結果をリアルタイムに取得できるかを事前に確認してください。
Q. メールだけでなくSMSや郵送もまとめて送りたい場合はどうすればよいですか?
A. メール・SMS・音声・郵送などを1つのAPIプラットフォームで扱えるCPaaS(マルチチャネルCPaaS型)を選ぶと、複数チャネルの契約と開発を一本化できます。従来はチャネルごとに別々のベンダーと契約し、それぞれにセキュリティ審査や開発が必要でしたが、CPaaSなら1つの契約・1つのAPIで複数チャネルを利用できます。
まずはメールから始め、サービスの成長にあわせてSMSでの確実な到達や重要書類の郵送を後から追加する、といった拡張がしやすいのが利点です。当面はメール中心でも、通知チャネルを広げる見通しがあるなら候補に含めておくと将来の開発コストを抑えられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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