資金繰りを急ぐなかで銀行融資が間に合わない、あるいは実績や決算の状況から借入が難しいとき、売掛金を早期に現金化するファクタリングは有力な選択肢になります。ただ、いざ申し込もうとすると「自分の会社でも審査に通るのか」という不安が先に立つ方は少なくありません。
赤字だったり、税金を少し滞納していたり、銀行に一度断られていたりすると、「どうせうちは落ちるのでは」と申込を躊躇しがちです。しかし、ファクタリングの審査は融資とは見ているものが違うため、こうした弱点があっても通るケースは珍しくありません(税金滞納も、売掛債権が差し押さえられる前の軽微なものなら、基本的に支障にはなりません)。
本記事では、審査で実際に見られるのは自社の財務ではなく売掛先の信用力であるという結論を起点に、赤字・税金滞納・銀行NG・信用情報などの弱点別に通るかどうかを整理します。あわせて、落ちる原因の自己照合、必要書類、2社間・3社間の手数料の目安、悪質業者の見分け方までをまとめて解説します。自社の売掛先なら通りそうかを判断する材料としてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
ファクタリングの審査で見られるのは売掛先の信用力|融資との違い
まず結論からお伝えします。ファクタリングの審査で主に見られるのは、申し込む自社の財務状況ではなく、売掛金の支払元である売掛先の信用力です。だからこそ、自社が赤字でも、税金を滞納していても、銀行に断られていても、売掛先がしっかりしていれば通る可能性があります。
この違いは、融資とファクタリングの仕組みの差から生まれます。融資は申込者にお金を貸す取引なので、返済能力=申込者の信用力が審査されます。一方でファクタリングは、売掛債権という資産を売買する取引です。金融庁も、ファクタリングを次のように定義しています。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
売掛債権を買い取るということは、その売掛金がきちんと支払われるかどうかがファクタリング会社の関心事になります。支払うのは売掛先ですから、審査の中心が売掛先の信用力に置かれるわけです。この一点を押さえておくと、以降の「自社の弱点は通過に関係するのか」という疑問にも判断がつきやすくなります。

「では、なぜ決算書の提出を求められることがあるのか」と疑問に思うかもしれません。会社によっては決算書一式を求めることもありますが、これは本人確認や取引実態の確認が主な目的で、赤字であること自体が否決の理由になるわけではありません(見ているのはあくまで売掛先の信用力です)。必要書類は会社によって異なり、決算書は不要で、入出金明細と売掛金関連書類だけで申し込めるサービスもあります。
赤字・税金滞納・銀行NG・信用情報ブラック・個人事業主でも通るか【弱点別Q&A】
ここからは、読者が気にしがちな自社の弱点ごとに、原則として審査に通るのか、それとも注意が要るのかを個別に見ていきます。まず結論を一覧で示すので、自分の状況に近い項目から確認してください。
- 赤字決算:原則OK(見られるのは売掛先の信用力)
- 税金滞納:原則OK。ただし売掛債権がすでに差し押さえられている場合はその債権を使えない
- 銀行融資NG:OK(融資審査とは見ているものが別)
- 信用情報ブラック:原則OK(ファクタリングは貸付ではなく債権の売買)
- 個人事業主・フリーランス:会社による(対応する会社は多いが、法人限定の会社もある)

以下の各項目では、この結論の根拠と注意点を補足します。
赤字決算でも通るか
原則として、赤字決算そのものは審査落ちの直接の理由になりません。前述のとおり見られているのは売掛先の信用力なので、自社が赤字でも、売掛先が支払能力のある企業であれば買い取りの対象になり得ます。銀行融資では不利になりやすい赤字が、ファクタリングでは決定打にならない点が大きな違いです。
税金滞納があっても通るか
税金の滞納があっても、原則としてそれ自体で審査に落ちるわけではありません。ただし例外があり、税務署が滞納処分として売掛債権を差し押さえた場合は、その債権をファクタリングに回せなくなります。国税徴収法は、債権の差押えについて次のように定めています。
徴収職員は、債権を差し押えるときは、債務者に対しその履行を、滞納者に対し債権の取立その他の処分を禁じなければならない。
出典:国税徴収法第62条(差押えの手続及び効力発生時期)|e-Gov法令検索
差し押さえられた売掛債権は、滞納者による取立や譲渡(=ファクタリングでの売却)が禁じられるため、資金化に使えなくなります。差押えは滞納したら自動的に起きるものではなく滞納処分の一段階ですが、税金の滞納を抱えている場合は、この差押えリスクだけは念頭に置いておくのが安全です。
自社の売掛債権がすでに差し押さえられているかどうかは、一般に、税務署から送られてくる差押通知書(債権差押通知書は売掛先へ、滞納者にも差押えの通知が届きます)の有無で確かめられます。心当たりがあってはっきりしない場合は、税務署や売掛先に確認しておくと、申込前に使える債権かどうかを判断できます。
銀行融資を断られていても通るか
銀行融資を断られていても、ファクタリングの審査に通る可能性は十分にあります。融資審査とファクタリング審査は見ているものが別で、融資は自社の返済能力、ファクタリングは売掛先の支払能力が軸だからです。実際、各社の公式案内でも、銀行の融資審査の結果にかかわらず売却できる売掛債権があれば利用可能とされています。
信用情報ブラック(金融事故履歴)でも通るか
過去の延滞や債務整理などで信用情報に事故履歴がある場合でも、ファクタリングは利用できる可能性が高いと考えられます。理由は仕組みにあります。ファクタリングは貸付ではなく債権の売買であり、信用情報機関の加盟会員は貸金業者やクレジット業者に限られるためです。
この2点から、ファクタリングの利用は通常、信用情報の照会や登録の対象になりません。「絶対に照会・登録されない」と当局や信用情報機関が明言した公式文書は確認できていないため、あくまで仕組み上そうなるという理解が正確ですが、実務上、ファクタリングの利用が信用情報の面で問題になることはまず考えられません。信用情報の不安から申込をためらう必要はないと考えてよいでしょう。
個人事業主・フリーランスでも通るか
個人事業主やフリーランスでも、売掛金(請求書)があれば審査を受けられる会社は多くあります。一方で、法人のみを対象とし個人事業主を受け付けない会社もあるため、対象条件は申込前に確認しておく必要があります。少額の売掛金でも買い取ってくれるか、買取金額の下限も合わせて見ておくと空振りを避けられます。個人・フリーランスで使える会社の絞り込み方は、後半の会社選びの節で紹介します。
ファクタリング審査で見られる5つの項目
「見られるのは売掛先の信用力」をもう一段解像度を上げ、審査で具体的に何が確認されるのかを5つの項目に分けて解説します。自社の売掛債権を各項目に当てはめると、通りそうかの見当がつきます。
売掛先の信用力
最も重視されるのが売掛先の支払能力です。上場企業や大企業、官公庁など、倒産や支払遅延のリスクが低い先の売掛金ほど、回収が確実とみなされて審査で有利になります。逆に、経営状況が不透明な小規模先の売掛金は評価が慎重になりがちです。
売掛金の支払期日の長さ
支払期日までの期間が短いほど、回収までにトラブルが起きる余地が小さく、審査に通りやすくなります。目安として2か月以内であれば評価されやすく、3か月以上先の売掛金は敬遠される傾向があります。複数の請求書を持っている場合は、期日の近いものを選ぶのが得策です。
売掛先との取引実績・継続性
その売掛先と継続的に取引してきた実績があるかも確認されます。定期的な入金履歴があれば、今回の売掛金も同様に支払われる可能性が高いと判断されるためです。取引が始まったばかりの新規先や、一度きりの取引だと、支払いの確実性を示しにくくなります。
債権の実在性・二重譲渡でないか
売掛債権が実在し、他社にすでに売却(譲渡)していないかも重要な確認事項です。架空債権や、同じ債権を複数社に譲渡する二重譲渡は重大な不正とみなされ、審査に通らないだけでなくトラブルの原因になります。
また、契約書に債権譲渡を禁止・制限する特約が付いていても、ファクタリング自体は原則として可能です。2020年4月に施行された改正民法により、譲渡制限の意思表示があっても債権譲渡の効力は妨げられないと定められました。
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
出典:民法第466条第2項(債権の譲渡性)|e-Gov法令検索
ただし、譲渡制限を知りながら(または重大な不注意で知らずに)譲り受けた場合には、債務者が支払いを拒める余地が残ります。譲渡禁止特約がある売掛金を扱うときは、この点をファクタリング会社に相談しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
請求額の妥当性
請求額が自社の売上規模に照らして妥当かも見られます。売上規模に対して極端に高額な請求書や、逆に少額すぎる売掛金は、実態との整合性を疑われたり採算に合わないと判断されたりすることがあります。日常の取引の延長にある自然な金額の請求書ほど、審査はスムーズに進みます。
ファクタリング審査に落ちる主な原因【自社状況の自己照合チェックリスト】
審査に落ちる原因は、多くのファクタリング会社で共通しています。ここでは代表的な落選パターンを、自社の状況に1つずつ当てはめて確認できる形で並べました。当てはまる項目があれば、その下の対処を検討してください。
売掛先が設立間もない
出そうとしている請求書の売掛先は、設立から日が浅い企業ではありませんか。支払実績の蓄積が乏しいと信用力を測りにくく、審査が慎重になります。別に信用力の高い売掛先の請求書があれば、そちらを優先して申し込むのが有効です。
売掛先が個人である
売掛先が法人ではなく個人だと、支払いの安定性を評価しにくく、落ちやすくなる傾向があります。法人や公的機関を売掛先とする請求書があれば、そちらを選ぶことで通過の可能性が上がります。
とはいえ、取引先が1社しかなく、その売掛先も小規模・個人だという場合もあるはずです。その場合でも打つ手はあります。過去の入金履歴がわかる通帳や、契約書・発注書・納品書といった取引の継続性を示す書類を添えると、売掛先の規模だけでは測りにくい支払いの確実性を補えます。
それでも不安が残るなら、赤字・債務超過・創業間もない事業者などにも対応する柔軟審査の会社や、個人事業主・フリーランスを対象とする会社を当たると、通過の可能性を残せます。「別の請求書を選べない=詰み」ではありません。
売掛先との取引が一度きり
その売掛先との取引は、今回が初めてか一度きりではありませんか。継続性を示せないと支払いの確実性が読みにくくなります。この場合も、前述のとおり取引の継続を裏づける書類を添えれば評価を補えます。
売掛金の支払期日が長すぎる
支払期日が数か月先まで開いていないでしょうか。期日が遠いほど回収までのリスクが高まり、敬遠されやすくなります。期日の近い別の請求書に切り替えるか、支払サイトの短い取引先の売掛金を選ぶと通りやすくなります。
請求額が売上規模と不釣り合い
申し込む請求額は、自社の売上規模から見て自然な水準ですか。過大・過少な請求書は実態を疑われることがあります。日常の取引に見合った金額の請求書を選ぶのが基本です。
二重譲渡の疑い
その売掛債権を、すでに別のファクタリング会社に売却していませんか。二重譲渡は重大な不正とみなされ、確実に審査に落ちます。譲渡していない未使用の売掛債権で申し込むことが大前提です。
必要書類の不備・整合性の欠如
提出する請求書・通帳・本人確認書類の内容は、互いに食い違っていませんか。金額や取引先名が書類間で一致しないと、債権の実在性を確認できず落選につながります。申込前に書類の記載を突き合わせ、整合を確認しておきましょう。
一括ダウンロードする
ファクタリング審査を通すための5つのコツ
落ちる原因の裏返しとして、通過率を高めるために自分でできる打ち手があります。いずれも「ファクタリング会社が負う回収リスクを下げる」方向に効くものです。
信用力の高い売掛先の請求書を選ぶ
複数の請求書を持っているなら、上場企業・大企業・官公庁など信用力の高い売掛先のものを選んで申し込むのが基本です。回収の確実性が高いほどファクタリング会社のリスクが下がり、審査通過と手数料の両面で有利に働きます。
支払期日の短い売掛金を選ぶ
支払期日までの期間が短い売掛金ほど、回収までの不確実性が小さくなります。期日が近い請求書を優先することで、審査のハードルを下げられます。
3社間ファクタリングを検討する
売掛先に債権譲渡を通知・承諾してもらう3社間ファクタリングは、売掛先から直接ファクタリング会社へ入金される仕組みのため、回収リスクが下がります。その分、2社間より審査に通りやすく手数料も低くなる傾向があります。売掛先に知られても差し支えない場合は選択肢に入れる価値があります。
自社の情報を正直に伝える
審査では、売掛金の内容や自社の状況を隠さず正確に伝えることが重要です。虚偽の申告や事実と異なる書類は、発覚した時点で即座に失格となります。不利に思える情報も、正直に共有したうえで相談するほうが、結果的に条件面での柔軟な対応を引き出しやすくなります。
取扱実績が豊富な会社を選ぶ
取扱件数や買取実績が豊富なファクタリング会社は、多様なケースを審査してきたノウハウがあり、画一的な基準で機械的に落とさず柔軟に判断できる余地があります。自社の状況が一般的なパターンから外れていると感じる場合ほど、実績の厚い会社を選ぶ意味が大きくなります。
ファクタリング審査で必要な書類
審査に進むには、いくつかの書類を揃える必要があります。何を用意すればすぐ申し込めるのか、基本の書類と補助的な書類に分けて整理します。
基本の書類
多くの会社で共通して求められるのが、資金化したい売掛金の請求書、入出金の状況がわかる通帳(口座明細)、そして代表者の本人確認書類の3種です。請求書は売掛債権の存在を示し、通帳は売掛先との取引実績を裏づける役割を持ちます。
あるとよい書類
基本の書類に加えて、売掛先との契約書・発注書・納品書などがあると、取引の実在性と継続性を補強できます。取引が始まったばかりの売掛先の場合や、請求額が大きい場合は、こうした書類を揃えておくと審査が進みやすくなります。
会社別の傾向
必要書類の点数は会社によって差があります。オンライン完結型では書類を絞る傾向があり、入出金明細と売掛金関連書類の2点で申し込める会社もあれば、法人の場合に決算書一式・直近6か月以上の通帳明細・請求書・本人確認書類まで求め、より多くの書類を確認する会社もあります(各社の具体的な要件は後述の比較表を参照してください)。
出典・参考資料(2件)
ファクタリングの手数料相場|2社間・3社間の違い
審査に通っても、手数料が高すぎては資金繰りの改善につながりません。手数料には公的な相場統計が存在しないため、ここでは各社や比較記事が示す目安と、各社の公式値を出所つきで整理します。
手数料を読むときは、実際に手元へ入る金額もあわせてイメージしておくと安心です。基本的には「額面−手数料=手取り」で、手数料を差し引いた後にいくら受け取れるかの割合を掛け目(買取率)と呼ぶこともあります。掛け目に公的な相場はなく、売掛先の信用力や契約方式、売掛金の額によって各社・ケースごとに変わるため、見積もり時に手取り額を必ず確認しましょう。

2社間ファクタリングの手数料相場
売掛先に知られずに利用する2社間ファクタリングは、ファクタリング会社が回収リスクを負う分、手数料が高めになります。複数の比較記事や各社が示す目安として概ね8〜18%程度とされることが多いものの、これは公的機関が定めた相場ではなく補助的な目安です。確実なのは各社の公表値で、公表されている例では2社間4%〜、1%〜9.5%といった水準があります(各社の具体的な手数料は後述の比較表を参照してください)。
3社間ファクタリングの手数料相場
売掛先の承諾を得て利用する3社間ファクタリングは、売掛先から直接入金されるため回収リスクが下がり、手数料は2社間より低くなります。複数の比較記事などが示す目安は概ね2〜9%程度とされ(同じく補助的な目安です)、各社公表値でも3社間2%〜という例があります(各社の具体的な手数料は後述の比較表を参照してください)。売掛先に通知しても問題ない場合は、コスト面で有利な選択肢です。
出典・参考資料(2件)
手数料が変動する要因
同じサービスでも、手数料は一律ではありません。売掛先の信用力が高いほど、支払期日が短いほど、また請求額の規模が大きいほど、回収の確実性や採算性が上がるため手数料は下がりやすくなります。手数料を抑えたい場合は、これらの条件が良い売掛金を選んで申し込むのが基本の考え方です。
一括ダウンロードする
「審査なし」「100%通る」を謳う業者は危険|悪質業者と給与ファクタリングの見分け方
資金繰りを急いでいると、甘い言葉を掲げる業者に引き寄せられがちです。しかし、なかには違法な貸付や不利な契約を仕掛ける悪質な業者も存在します。安全に使うために、避けるべきサインを押さえておきましょう。
「審査なし」「100%通る」は悪徳業者のシグナル
ファクタリング会社は売掛金を買い取った時点で未回収リスクを負うため、審査を一切行わないことは通常ありえません。「審査なし」「100%通る」といった文言は、ヤミ金融や偽装ファクタリングを疑うべきサインです。金融庁も、買取代金が債権額に比べて著しく低いケースについて注意を促しています。
ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額であるといったケースは、偽装ファクタリングの疑いがありますので、ヤミ金融を利用しないよう、十分注意してください。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
給与ファクタリング(貸金業該当・違法)に手を出さない
個人の給与(賃金債権)を買い取る「給与ファクタリング」は、事業者向けのファクタリングとはまったくの別物です。金融庁は、これを貸金業に該当すると明言しています。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
貸金業に該当する取引を無登録で行う業者はヤミ金融であり、高金利や違法な取立てにつながります。事業の資金調達で検討するのは、あくまで売掛債権を対象とした事業者向けのファクタリングであり、給与ファクタリングには手を出さないことが鉄則です。
償還請求権付き契約・高すぎる手数料の危険性
正当なファクタリングは、売掛先が倒産しても利用者に返済義務が生じないノンリコース(償還請求権なし)が原則です。逆に、売掛先が支払えなかったときに買い戻しを求める契約は、実質的な貸付として貸金業に該当するおそれがあると金融庁は指摘しています。
例えば、譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、○ 売主が債権を買い戻すこととされている ○ 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている などといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
契約書に「ノンリコース」と書いてあれば安全とは限りません。金融庁は、貸金業該当性は形式だけでなく経済的側面や実態に照らして判断されるとしています。買戻し条項の有無や手数料が相場から外れて高くないかを、契約前に必ず確認してください。
悪質業者を避けるチェックポイント
安全な会社を見極めるには、会社概要や所在地・連絡先が明示されているか、契約書が交付されるか、手数料や契約条件が事前に説明されるかを確認しましょう。「絶対に通る」「書類不要」といった文言を強調して契約を急がせる業者は避けるのが賢明で、信用情報を問わず必ず通ると断定するような勧誘も同様に警戒すべきです。判断に迷うときは、金融庁の注意喚起ページで最新の情報を確かめておくとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
審査に通りやすいファクタリングサービスの選び方と代表サービス
自社の売掛先なら通りそうだと見当がついたら、あとは会社選びです。ここでは選び方の軸を先に示し、続けて代表的なサービスの比較と個別の紹介へと進みます。
通りやすいファクタリングサービスの選び方
「通りやすさ」を重視するなら、次の観点で候補を絞り込むとよいでしょう。いずれも、自社の状況に合うかどうかで見るのがポイントです。
- 審査通過率:通過率を公表している会社は、審査への通りやすさを判断する目安になります
- 審査の柔軟性:赤字・債務超過・税金滞納中・創業間もない事業者にも対応しているか
- 入金スピード:資金が必要な時期に間に合うか、最短の入金までの時間
- オンライン完結度:面談なしで申し込めるか、書類提出の手軽さも通しやすさに影響します
- 買取可能額の下限と対象:少額でも買い取れるか、法人・個人事業主のどちらが対象か
個人事業主・フリーランスの方は、対象可否に加えて少額対応や手数料の水準にも会社ごとの差があります。個人・フリーランスでも使える会社を条件で絞り込んで比較したい場合は、次の記事が申込先選びの参考になります。
個人事業主・フリーランス向けファクタリングおすすめ13選を比較|手数料・入金スピード・信頼できる業者の選び方を解説
個人事業主やフリーランスとして請求書を発行したあと、入金期日まで運転資金が回らずに困る場面は、独立直後の事業者ほど起きやすい資金繰り課題です。取引先の支払サイトが60〜90日と長く、外注費や税金の納付期限が先に迫るケースは珍しくありません。…
以下は、これらの観点で代表的なサービスを横並びで比較した表です。手数料・入金スピード・必要書類・契約方式・対応対象を突き合わせて、自社に合う会社を絞り込んでください。
| 比較項目 | ビートレーディング | PAYTODAY | Mentor Capital | 入金前払いシステム(JTC) |
|---|---|---|---|---|
| 対応対象 | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主・フリーランス | 法人・個人事業主 | 法人のみ (個人事業主・フリーランスは不可) |
| 契約方式 | 2社間・3社間・注文書 | 2社間中心 (3社間も案内) | 2社間・3社間 | 2社間(非通知)・3社間(通知) |
| 審査の柔軟性・重視点 | 通過率は非公表。売掛先の信用力・支払期日・利用会社の信頼性を重視 | 通過率は非公表。AI審査で、銀行の融資審査の結果にかかわらず売却できる売掛債権があれば利用可 | 審査通過率92%(2023年実績)。赤字・債務超過・税金滞納中・創業1年未満も対応 | 通過率は非公表。高額・法人向けの選択肢。売掛金の有無・過去の取引内容を確認し、税金滞納の有無も条件に影響 |
| 手数料の目安 | 2社間4%〜/3社間2%〜 | 1%〜9.5% | 2%〜 (上限・内訳は要問い合わせ) | 1.2%〜10% (非通知契約) |
| 最短入金スピード | 最短即日 (審査は最短2時間) | 最短30分 | 最短即日 (審査は最短60秒) | 最短即日 |
| オンライン完結 | △300万円未満はオンライン申込可 | ●面談なし・完全オンライン | △クラウド契約に対応(来社・訪問も選択可) | △書類はLINE・メール可(初回は対面を推奨) |
| 買取金額の下限 | 1万円〜(買取実績) | 10万円 | 数十万円〜 | 100万円 (300万円以上が中心) |
| 必要書類 | 2点 (入出金明細・売掛金関連書類) | 法人は決算書一式・通帳明細(6か月以上)・請求書・本人確認書類 | 通帳コピー(3か月)・売掛金関連資料 | 仮審査書類(個別に案内) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※上記は2026年9月時点の各社公式サイト等の公表情報にもとづき作成。手数料・対応条件・必要書類などは変動するため、最新の内容は各社の資料でご確認ください。
ここでは代表的な4社を詳しく紹介しますが、掛け目や対応条件まで含めてより多くの会社を一覧で見比べたい場合は、手数料・入金スピード・買取可能額で選べる次の比較記事もあわせてご覧ください。
1. ビートレーディング(株式会社ビートレーディング)

2012年創業のファクタリング専業会社で、取引社数9.1万社以上、累計買取額1,824億円(2026年3月時点)という実績を公表しています。審査では売掛先の信用度の高さ、支払期日が遠すぎないこと、利用会社の信頼性という3点を重視すると公式に説明しており、審査の考え方がわかりやすいのが特徴です。
必要書類が入出金明細と売掛金関連書類の2点で済み、審査は最短2時間と、対応スピードにも強みがあります。手数料は2社間4%〜・3社間2%〜と下限を明示。300万円未満はオンラインで申し込め、2社間・3社間に加えて注文書ファクタリングにも対応します。売掛先が倒産しても返還義務を負わないノンリコース契約で、顧問弁護士の起用や経営革新等支援機関の認定など、コンプライアンス面の体制も公表しています。
2. PAYTODAY(Dual Life Partners株式会社)

独自のAI審査により、面談なし・オンラインのみで申し込めるファクタリングサービスです。最短30分での入金に対応し、資金繰りを急ぐ場面で頼りになります。手数料は1%〜9.5%と上限まで公式に開示されており、通ったあとのコストが読みやすいのも安心材料です。
買取金額の下限が10万円と低く、少額の売掛金にも使いやすい設計です。法人だけでなく個人事業主・フリーランスも対象で、公式のよくある質問では、銀行の融資審査の結果にかかわらず売却できる売掛債権があれば利用可能と案内しています。売掛先が倒産しても支払義務が生じないノンリコースで、債権譲渡登記も行わない方針です。
3. Mentor Capital(株式会社Mentor Capital)

審査通過率92%(2023年実績)を公式に掲げ、審査の柔軟性を前面に出しているのがMentor Capitalです。赤字・債務超過・税金滞納中、創業1年未満といった事業者も対応対象と明示しており、他社で不安を感じた読者の受け皿になりやすい会社です。中小企業・個人事業主のいずれも利用できます。
審査では数字だけでなく、売掛債権の実在性を中心に、売掛先の過去の入金実績や取引の継続性まで総合的に判断するとしています。最短60秒で審査結果を提示し、即日現金化にも対応。2社間・3社間の両方式を扱い、買取率は最大98%(2024年実績)を公表しています。
審査で具体的に何を見ているのかについて、同社は次のように説明しています。

当社では、単に数字の情報だけを見るのではなく、売掛先様との取引の継続性や、お客様ご自身や事業、資産の将来性まで、複数の観点からみて総合的に判断しています。具体的に重視しているのは、「売掛債権の実在性をしっかり見ること」と、「お客様との信頼関係を構築すること」です。お客様の現在の状況だけでなく、売掛先様の支払い実績、つまり過去の入金実績や業種の特性なども見ています。
4. 入金前払いシステム(株式会社JTC)

名古屋・東京・大阪に拠点を持つ株式会社JTCが、2社間の非通知方式を「入金前払いシステム」と呼んで提供しています。高額取引の相談が多く、上限を設けずに数千万円から数億円規模まで対応してきた実績が強みです。ISO/IEC 27001を取得し、書類はLINEやメールで提出できる手軽さも備えています。
注意したいのが対象と金額の条件です。フリーランス・個人事業主は取扱い対象外で、利用は法人に限られます。買取は最低100万円から、300万円以上の相談が中心とされ、少額や個人事業主での利用なら前述のPAYTODAYやMentor Capitalが向いています。その意味でJTCは、通りやすさで選ぶより、まとまった金額を法人で調達したいケース向けの高額・法人向けの選択肢です。
手数料は取引先に知られない非通知契約で1.2%〜10%とされ、税金滞納の有無なども条件に影響します。売掛先が破綻しても買い戻しは不要のノンリコース契約です。
手数料の差がどのような要因で生じるのかについて、同社は次のように説明しています。
但し売掛金の内容によっては手数料や買取率が下回る事や上回る事もございます。さらに、お客様の状態として税金滞納の有無なども影響するので、結果として手数料に差が出ます。同じ条件なら、100万円より1,000万円の方が手数料は安くしやすい、というのはあります。
まとめ
ファクタリングの審査で見られるのは、自社の財務ではなく売掛先の信用力です。この仕組みがあるため、赤字・銀行NG・信用情報の不安があっても、売掛先が優良なら通る可能性は十分にあります。税金滞納は原則直接影響しないものの、売掛債権が差し押さえられている場合だけは使えない点に注意が必要です。
通過を分けるのは、売掛先の信用力・支払期日・取引実績・債権の実在性・請求額の妥当性の5点です。信用力の高い売掛先の、期日が近い請求書を選び、書類の整合を整えて正直に申し込むことが通過への近道になります。「審査なし」を掲げる業者や給与ファクタリングは避け、自社の売掛先で通りそうだと確信できたら、対応条件の合う会社の資料を取り寄せて比較検討を進めてください。
ファクタリング審査に関するよくある質問(FAQ)
Q. ファクタリングの審査では、自社の何が調べられますか?
A. 審査で中心に見られるのは自社の財務ではなく売掛先の信用力です(詳しくは本文「審査で見られるのは売掛先の信用力」の節を参照)。自社について確認されるのは主に本人確認と取引の実態で、赤字や税金滞納そのものが否決の直接原因になるわけではありません。会社によっては決算書の提出を求められることもありますが、これも赤字かどうかを判定するためではなく、事業や取引の実態を確かめるのが目的です。
Q. ファクタリングの審査にはどれくらい時間がかかりますか?
A. オンライン完結型のファクタリングなら、審査は最短で数十分〜数時間、入金まで最短即日で終わることもあります。最短30分で入金する会社もあれば、審査に数時間かかる会社もあります(各社のスピードは比較表を参照)。ただし提出書類に不備があったり追加確認が生じたりすると時間は延びます。請求書・通帳・本人確認書類を揃え、記載内容に食い違いがない状態で申し込むと、審査はスムーズに進みます。
Q. ファクタリングの審査に落ちたら、別の会社に申し込めますか?
A. ファクタリングは審査に落ちても、別の会社に申し込んで問題ありません。会社ごとに審査基準が異なり、断られた売掛債権が別の会社では通ることも珍しくありません。他社での否決履歴が信用情報として共有されることも通常はなく、再申込が不利に働くとは限りません。ただし同じ債権を複数社へ同時に売る二重譲渡は重大な不正のため、申込は1社ずつ結果を待って進めます。
Q. ファクタリングを利用すると信用情報に記録され、他社に知られますか?
A. ファクタリングは貸付ではなく債権の売買のため、利用が信用情報に記録され、他社に知られることは通常ありません(仕組みの詳細と留意点は本文「信用情報ブラック(金融事故履歴)でも通るか」の節を参照)。実務上、ファクタリングの利用が信用情報の面で問題になることはまず考えられないため、この点を過度に心配して申込をためらう必要はありません。
Q. ファクタリングの審査基準は会社によって違いますか?
A. ファクタリングの審査基準は会社によって異なります。銀行融資のような明確な統一基準はなく、各社のリスク許容度や取引方針によって、売掛先の規模・業種、支払期日、必要書類の要件といった判断軸が変わります。そのため、自社の状況が一般的なパターンから外れていると感じる場合は、審査の柔軟性を掲げる会社や取扱実績の豊富な会社を複数比較して申し込むと、通過の可能性を高められます。
Q. 審査通過率が高いファクタリング会社なら必ず通りますか?
A. 審査通過率が高い会社でも、必ず審査に通るわけではありません。通過率は過去の実績を示す目安にすぎず、実際の可否は売掛先の信用力・支払期日・債権の実在性といった個別の条件で判断されるためです。どの会社にも「100%通る」ことはないため、通過率の数字だけで選ぶのではなく、自社の売掛先の条件を整えたうえで、審査の柔軟性や必要書類が自社に合う会社を選ぶことが通過への近道になります。
Q. 2社間と3社間は、どちらを選べばよいですか?
A. 通りやすさと手数料を優先するなら3社間、売掛先に資金調達を知られたくないなら2社間、と目的で使い分けるのが実務的です。3社間は売掛先から直接入金され会社の未回収リスクが下がるため、一般に審査は通りやすく手数料も低めです(仕組みは本文参照)。一方の2社間は売掛先への通知が不要で秘匿性が高い代わりに、条件はやや厳しめになります。売掛先との関係に支障がなければ、まず3社間を検討する価値があります。
Q. 安全なファクタリング会社かどうかは、どこで見分ければよいですか?
A. 正規のファクタリング会社に「審査なし」はありえないため、それを掲げる業者はまず避けるのが前提です(理由は本文の該当節を参照)。そのうえで、会社概要・所在地・連絡先の明示、契約書の交付、手数料や契約条件の事前説明があるかを確認します。「書類不要」「ブラックでも100%OK」を強調する業者や、契約を急がせる業者はヤミ金融・違法な貸付の疑いが高いため注意してください。
出典・参考資料(1件)
ファクタリングサービスの料金・手数料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、ファクタリングサービスの最新資料を無料で一括ダウンロードできます。手数料や入金スピード、必要書類、対応対象(法人・個人事業主)、契約方式など、審査に通りやすい会社を選ぶために必要な情報をまとめて比較できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















