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変更契約書に収入印紙は必要?要否の判断基準と増額・減額別の金額を解説

変更契約書の収入印紙は必要?のサムネイル画像

取引先との契約を結んだあとで、契約金額や納期、支払方法を変えることになり、「変更契約書」や「覚書」を作成する場面は珍しくありません。このとき担当者が最初に迷うのが、その書面に収入印紙を貼る必要があるのか、貼るとしたらいくらなのか、という点です。貼り忘れれば過怠税の対象になり、逆に必要のない印紙を貼れば無駄なコストが発生します。

本記事では、変更契約書の収入印紙の要否と金額の考え方を整理します。要否を分ける「重要な事項」の判断基準から、増額・減額・金額以外の変更それぞれの税額、原契約が何号文書かによる区分、貼らなかった場合の過怠税まで、自社のケースに当てはめて判断できるようにまとめました。

あわせて、そもそも収入印紙を不要にする方法として、近年導入が進む電子契約システムの仕組みと選び方についても解説します。契約変更のたびに発生する印紙税の負担を、恒久的に見直すための検討材料としてご活用ください。

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変更契約書に収入印紙は必要?まず要否を判断フローで確認

変更契約書に収入印紙が必要かどうかは、その書面が「重要な事項」を変更するものかどうかで決まります。契約金額や数量、支払方法など重要な事項を変更する書面なら課税文書として印紙が必要になり、それ以外の軽微な変更だけなら原則として不要です。まずこの分かれ道を押さえると、自社の変更契約書がどちらに当たるかを判断できます。

要否と、課税される場合の税額の考え方は、次のフローで全体像をつかめます。

変更契約書の収入印紙の要否と税額を示した判断フロー図。重要な事項(契約金額・支払方法・数量・単価・納期・契約期間など)を変更する場合は課税文書となり収入印紙が必要、軽微な変更のみなら原則不要。課税される場合の税額は、金額の増額なら増加額(差額)が記載金額、減額なら記載金額なしで一律200円、金額以外(納期・支払方法など)の変更も記載金額なしで一律200円。

判断フロー:重要な事項を変えるなら課税、それ以外だけなら原則不要

国税庁は、原契約の内容を変更する文書が課税文書に該当するかどうかを、「重要な事項」を含むかどうかで判定するとしています。

「覚書」や「念書」等の表題を用いて、原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書(以下「変更契約書」といいます。)が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定することとされています。
すなわち、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しないことになります。

出典:No.7127 契約内容を変更する文書|国税庁

このように、書面の表題が「変更契約書」でも「覚書」でも、判断の分かれ目は名称ではなく中身です。自社の書面については、次の手順で要否を判定できます。

  1. 変更する内容に「重要な事項」(契約金額・支払方法・数量・単価・納期・契約期間など)が含まれるかを確認する。
  2. 含まれる → 課税文書に当たり、収入印紙が必要(金額を変えない変更でも、記載金額のない文書として200円がかかる)。
  3. 含まれず、誤記の訂正や連絡先の変更などの軽微な内容だけ → 原則として収入印紙は不要。

印紙が必要になる「重要な事項」とは(変更すると課税される項目)

ここでいう「重要な事項」は、印紙税法基本通達の別表第2「重要な事項の一覧表」で、文書の種類ごとに例示されています。請負契約書(第2号文書)や継続的取引の基本契約書(第7号文書)では、たとえば次のような項目が重要な事項に当たります。

  • 契約金額(請負金額・単価など)の変更
  • 契約金額の支払方法・支払期日の変更
  • 数量・単価、請負の期日または期限(納期・工期)の変更
  • 契約期間・契約の解除に関する定めの変更

反対に、次のような契約内容に影響しない軽微な変更だけであれば、「重要な事項」に当たらず、原則として収入印紙は不要です。

  • 誤記・脱字の訂正(金額や数量に影響しないもの)
  • 当事者の住所・担当部署・連絡先の変更
  • 条項番号のずれの整理など、契約内容を変えない形式的な修正

国税庁は具体例として、工事請負契約書で工事代金の支払方法を変更する覚書は、第2号文書の重要な事項である「契約金額の支払方法」を変更するものなので、原契約書と同じく第2号文書として取り扱われるとしています。自社の変更契約書がどの項目を変えるものかを、この一覧に照らして確認すると判断しやすくなります。

出典・参考資料(1件)

「覚書」でも収入印紙は必要?名称と課税の関係

「覚書」や「念書」という表題であれば印紙は不要、と考えるのは誤りです。前述のとおり国税庁は、覚書や念書等の表題を用いた文書であっても、重要な事項を変更するものであれば課税文書に該当すると明示しています。印紙税の課否は書面のタイトルではなく、そこに書かれた変更内容の実質で判断されます。

したがって、変更合意書・念書・覚書といった名称を使っても、契約金額や納期などの重要な事項を変更するなら印紙税の対象になります。名称を変えることで印紙税を回避することはできない、と理解しておくと安全です。

変更契約書の印紙税額はいくら?記載金額で決まる(増額・減額・金額以外)

収入印紙が必要と分かったら、次は税額です。変更契約書の印紙税額は、その書面の「記載金額」がいくらになるかで決まります。ポイントは、同じ金額変更でも増額か減額か、そして変更前の契約金額が分かる書き方かどうかで、記載金額の扱いが変わることです。

【早見表】増額・減額 × 前契約明示の有無で記載金額が変わる

国税庁は、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかかどうかで、記載金額の取扱いが異なるとしています。増額と減額で扱いが逆になる点が要注意です。

イ 変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その増加金額が記載金額になります。
ロ 変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなります。

出典:No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁

たとえば、システム開発などの請負契約(第2号文書)で契約金額を300万円から400万円に増額する場合を考えます。前契約を明示して差額の100万円を記載すれば記載金額は100万円(第2号文書の本則税率200円)ですが、変更後の総額400万円だけを記載すると記載金額は400万円(同2,000円)になります。同じ増額でも、書き方によって税額が変わります

下表は、国税庁の質疑応答事例で示されている、建設工事請負契約(当初2億円)の変更契約書(覚書)を例に、4つのパターンで記載金額と印紙税額を整理したものです。税額は建設工事請負契約の第2号文書に適用される軽減後の金額で、金額の大きい契約ほど書き方による差が大きくなります。

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変更のパターン前契約を明示+増額(差額を記載)前契約を明示+減額前契約の明示なし+変更後の総額を記載(増額)前契約の明示なし+変更後の総額を記載(減額)
記載金額の扱い増加額(差額)が記載金額記載金額はないものとなる変更後の総額が記載金額変更後の総額が記載金額
具体例(原契約2億円の変更)2億円→2.2億円で差額2,000万円を記載→記載金額2,000万円2億円→1億8,000万円→記載金額なし変更後の2億2,000万円のみ記載→記載金額2億2,000万円変更後の1億8,000万円のみ記載→記載金額1億8,000万円
印紙税額1万円200円6万円6万円

※上記の税額は建設工事請負契約(第2号文書)に適用される軽減税率による金額です(1億円超5億円以下=本則10万円→軽減6万円、1千万円超5千万円以下=本則2万円→軽減1万円)。前契約を明示しないと、減額でも変更後の総額が記載金額とみなされる点に注意してください。契約の種類や記載金額により税額は異なります。

出典・参考資料(2件)

この取扱いの法令上の根拠は、印紙税法別表第一の課税物件表の適用に関する通則4のニに定められています。増額なら増加金額(差額)が記載金額となり、減額なら記載金額はないものとされる、という扱いは、この通則に基づくものです。

書き方で税額が変わる|前契約の明示・消費税額の区分記載

早見表からわかるとおり、同じ増額でも「変更前の契約金額が明らかで、差額だけを記載する」書き方にすると、記載金額は差額のみとなり、印紙税額を抑えられます。上の例では、前契約を明示して差額2,000万円と書けば税額は1万円ですが、変更後の総額2億2,000万円だけを書くと記載金額が総額扱いとなり6万円になります。

変更契約書には原契約の契約書番号・契約日・当初金額を明記し、変更金額(差額)を記載しておくのが、税額を抑える実務上の基本です。

もう一つの節税ポイントが、消費税額の区分記載です。国税庁は、第1号文書・第2号文書・第17号文書について、消費税額等の扱いに特例を設けています。消費税額等が区分記載されているとき、または税込価格と税抜価格の記載により消費税額等が明らかなときは、その消費税額等を記載金額に含めません。

消費税の課税事業者が消費税および地方消費税の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税および地方消費税の金額(以下「消費税額等」といいます。)が区分記載されているとき、または、税込価格および税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。

出典:No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額|国税庁

たとえば請負金額の変更で税込1,100万円(うち消費税額等100万円)とする場合、消費税額等100万円を区分記載すれば記載金額は1,000万円となり、税額の区分が下がることがあります。ただしこの取扱いは第1号・第2号・第17号文書に限られ、免税事業者は区分記載しても消費税相当額を記載金額に含める点に注意が必要です。

金額に関係ない変更(工期・納期・支払方法)は一律200円

契約金額を変えず、工期や納期、支払方法だけを変更する場合はどうなるでしょうか。これらは重要な事項の変更に当たるため課税文書にはなりますが、記載金額がないため、印紙税額は原則200円です。減額のみの変更で「記載金額はないものとなる」場合も同様に200円となります。

これは、印紙税額の一覧表で「契約金額の記載のないもの」が200円と定められていることによります。金額に関わらない変更だからといって非課税になるわけではなく、200円の収入印紙が必要になる点を押さえておきましょう。

出典・参考資料(1件)

原契約は何号文書?号数別の印紙税額(第1号・第2号・第7号)

変更契約書の印紙税額は、原契約が印紙税法上のどの号の文書かを引き継いで決まります。国税庁は、原契約書が課税物件表の1つの号のみに該当する場合、その号の重要な事項を変更する文書は原契約書と同一の号の文書として取り扱うとしています。まず自社の原契約がどの号に当たるかを、次の目安で確認します。

  • 第1号文書:不動産の譲渡(売買)、地上権・土地賃借権の設定、金銭の消費貸借、運送に関する契約書。例:土地・建物の売買代金を変更する覚書
  • 第2号文書:請負に関する契約書。例:工事・システム開発・保守などの請負金額や納期を変更する覚書
  • 第7号文書:継続的取引の基本となる契約書(売買取引基本契約・業務委託基本契約など)。例:取引基本契約の契約期間を延長する覚書

業務委託契約は、単発の業務を請け負う内容なら第2号文書、継続的な取引の基本条件を定めるものなら第7号文書に当たるなど、契約の性質で号が分かれる点に注意します。下表は、第1号文書・第2号文書の記載金額ごとの印紙税額(本則税率)の抜粋です。変更契約書で記載金額が確定したら、この区分に当てはめて税額を確認します。

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記載金額1万円未満1万円以上 10万円以下10万円超 50万円以下50万円超 100万円以下100万円超 200万円以下200万円超 300万円以下300万円超 500万円以下500万円超 1,000万円以下1,000万円超 5,000万円以下5,000万円超 1億円以下1億円超 5億円以下5億円超 10億円以下10億円超 50億円以下50億円超契約金額の記載のないもの
第1号文書(本則)非課税200円400円1,000円2,000円2,000円2,000円1万円2万円6万円10万円20万円40万円60万円200円
第2号文書・請負(本則)非課税200円200円200円400円1,000円2,000円1万円2万円6万円10万円20万円40万円60万円200円

※第1号文書・第2号文書の本則税率の抜粋です。不動産の譲渡(第1号の1文書)・建設工事の請負(第2号文書)は後述の軽減税率が優先します。

出典・参考資料(2件)

契約期間の延長・継続的取引の基本契約は第7号文書(一律4,000円)

売買取引基本契約書や業務委託契約書などの継続的取引の基本となる契約書は、第7号文書に当たります。第7号文書には記載金額の概念がなく、印紙税額は一律4,000円です。こうした基本契約の契約期間を延長したり、取引条件のうち重要な事項を変更したりする覚書も、第7号文書として4,000円の対象になり得ます。

ただし国税庁は、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは第7号文書から除くとしています。契約期間の変更を扱う際は、この除外要件に該当するかもあわせて確認しましょう。

出典・参考資料(1件)

建設工事の請負契約は軽減税率に注意(令和9年3月31日まで)

原契約が不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書、契約金額10万円超)や建設工事の請負に関する契約書(第2号文書、契約金額100万円超)の場合、印紙税額の軽減措置が適用されます。国税庁は、2014年(平成26年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までの間に作成されるこれらの契約書について税額が軽減されるとしています。

軽減措置により、たとえば記載金額が1,000万円超5,000万円以下なら本則2万円が1万円に、1億円超5億円以下なら本則10万円が6万円になります。先ほどの建設工事請負の早見表で示した税額は、この軽減後の金額です。適用期限は令和9年(2027年)3月31日までとされているため、期限後の動向にも注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

建設工事の請負契約を扱う場合は、工事請負契約書や注文請書そのものの印紙税額、契約金額ごとの一覧まであわせて確認しておくと安心です。以下の記事で、軽減措置の適用条件とともに詳しく解説しています。

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収入印紙を貼らないとどうなる?過怠税・消印・負担者

必要な収入印紙を貼らずに変更契約書を作成すると、過怠税の対象になります。国税庁は、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち本来納付すべき印紙税額の3倍の過怠税が徴収されるとしています。

…その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
ただし、課税文書の作成者が所轄税務署長に対し、作成した課税文書について印紙税を納付していない旨の申出書(印紙税不納付事実申出書)を提出した場合で、その申出が印紙税についての調査があったことによりその課税文書について過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、納付すべき印紙税の額の1.1倍に軽減されます。

出典:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁

税務調査で指摘される前に自主的に不納付を申し出れば1.1倍に軽減されますが、いずれにしても本来の税額に上乗せされる負担です。印紙を貼っていないこと自体は契約の私法上の効力には影響せず、契約が無効になるわけではありません。ただし、過怠税は法人税の損金や所得税の必要経費に算入できない点にも注意が必要です。

消印・割印の正しい押し方

収入印紙は、貼るだけでなく消印(けしいん)が必要です。印紙税法第8条第2項は、「当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない」と定めています。消印は、文書と印紙にまたがるように印鑑を押すか、署名することで行います。

消印を忘れると、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が別途徴収されます。印紙を貼っていても消印がなければ納付したことにならないため、貼付と消印はセットで行いましょう。契約当事者双方がそれぞれ押印しても、いずれか一方が押印しても、消印としては有効です。

出典・参考資料(2件)

変更契約書の収入印紙は誰が負担する?

印紙税の納税義務者は、課税文書の作成者です。変更契約書のように2者以上が共同で作成する文書では、当事者が連帯して納税義務を負います。どちらか一方だけが負担しなければならない、という決まりではありません。

そのため実務では、印紙代をどちらが負担するかを契約当事者間で取り決めておくのが一般的です。原本を2通作成して双方が1通ずつ保管する場合は、各通が課税文書となり、それぞれに収入印紙が必要になる点にも留意しましょう。

印紙代を抑えたい場合は、正本を1通だけ作成し、もう一方は写し(コピー)を保管する方法があります。契約当事者の署名・押印のない単なる写しは課税文書に当たらず、収入印紙は不要です。ただし、写しにも署名・押印して正本と同等の証明力を持たせた場合は課税文書として扱われるため、注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

変更契約書の収入印紙を不要にする方法|電子契約という選択肢

ここまで見てきたとおり、紙の変更契約書には契約変更のたびに印紙税と消印の手間が発生します。この負担を根本からなくす方法が、契約を電子データで締結する電子契約です。原契約が紙であっても、変更契約の書面から電子に切り替えれば、その書面には収入印紙が不要になります。ここでは、電子契約なら印紙が不要になる法的根拠と、変更契約にも対応できるシステムの選び方を解説します。

なぜ電子契約なら印紙が不要なのか(電磁的記録は課税されない)

印紙税は、紙の「文書」の作成に対して課される文書課税です。電子契約のように電磁的記録として作成されたものには、印紙税は課されません。これは政府の見解としても示されており、参議院に提出された内閣答弁書(平成17年)では次のように述べられています。

事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

出典:印紙税に関する質問に対する答弁書(第162回国会)|参議院

変更契約や覚書を電子契約システムで締結すれば、収入印紙そのものが不要になります。契約変更が多い企業や、金額の大きい建設工事請負契約などを扱う企業ほど、印紙税の削減効果は大きくなります。原契約が紙でも、変更契約分から電子に切り替えていくことは可能です。

電子契約システムの選び方(電帳法対応・署名方式・改ざん防止)

電子契約システムを選ぶときは、次のような観点を確認すると、変更契約の運用にも耐える製品を選べます。

  • 電子帳簿保存法への対応:締結した電子契約は電子取引データとして保存要件(検索機能の確保など)を満たす必要があります。タイムスタンプの自動付与や検索機能に対応しているかを確認します。
  • 署名方式(立会人型・当事者型):メール認証で手軽に締結できる立会人型(事業者署名型)と、電子証明書で当事者本人が署名する当事者型があります。取引先との運用のしやすさと、求められる本人確認の強度で選びます。
  • 改ざん防止・証拠力:電子署名とタイムスタンプにより、締結後に内容が変更されていないことを証明できる仕組みかを確認します。
  • 既存契約の変更フロー:紙で結んだ原契約を電子の変更契約で巻き直せるか、他社サービスで締結した契約書も取り込んで一元管理できるかも、運用面での確認ポイントです。

以下では、変更契約の締結や印紙税の削減に活用しやすい電子契約システムを紹介します。まずは各サービスの特徴を比較表で確認してみましょう。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサインfreeeサインマネーフォワード クラウド契約
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社フリー株式会社株式会社マネーフォワード
署名方式立会人型・当事者型
(マイナンバーカード署名)
立会人型・当事者型
(ハイブリッド可)
立会人型(電子サイン)・
電子署名(電子証明書)
立会人型(事業者署名型)
電子帳簿保存法対応認定タイムスタンプを標準付与JIIMA認証取得(有料プラン)タイムスタンプ付きで保存電子取引に対応(自動タイムスタンプ)
無料プランあり(月2件まで・1名)あり(月5件まで・1名・立会人型のみ)あり(電子サイン月1通・3名まで)あり(送信不可・閲覧/DLのみ・1名)
月額費用無料〜11,000円
(Light・税抜)
無料〜8,800円
(ライト・年間契約・税抜)
無料〜7,180円
(Starter・税抜/年払い5,980円/月)
無料〜2,480円
(年払い・税抜)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る詳細を見る詳細を見る

※料金・プランは2026年9月時点の各社公式情報によります。最新の提供内容・価格は各社サイトでご確認ください。

クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインの公式サイト

クラウドサインは、事業者署名型(立会人型)を標準とする電子契約サービスで、弁護士ドットコム株式会社が運営しています。書類のアップロードから電子署名・タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結でき、印刷・押印・郵送を不要にします。公式は富士キメラ総研の調査を出典に国内シェアNo.1と表記しています。

電子署名は事業者署名型(立会人型)が標準で、認証局での本人確認が不要なため導入のハードルが低い方式です。あわせて、マイナンバーカードの電子証明書を用いて契約当事者自身が署名する当事者署名型の「マイナンバーカード署名」にも対応しており、取引先や契約の重要度に応じて署名方式を使い分けられます。変更契約や覚書もオンラインで巻き直せるため、印紙税の削減と締結業務の効率化を同時に進めたい企業に適しています。

電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインの公式サイト

電子印鑑GMOサインは、公式サイトによると導入350万社以上・上場企業の82%が利用するとされる電子契約サービスです。運営はGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社で、幅広い企業規模で導入実績があります。

立会人型(事業者署名型)と、電子証明書を用いる当事者型の両方に対応するハイブリッド型が特徴で、契約の重要度に応じて本人確認の強度を選べます。自社で電子認証局を運営するグループならではの証明基盤を備え、厳格な本人確認が求められる契約にも対応します。契約金額の大きい取引の変更契約を電子化したい企業にとって、証拠力とコスト削減を両立しやすい選択肢です。

freeeサイン(フリー株式会社)

freeeサインの公式サイト

会計・人事労務のクラウドサービスで知られるフリー株式会社が手がける電子契約サービスが、freeeサインです。契約書の作成から締結、管理までをオンラインで行え、電子帳簿保存法に対応したタイムスタンプ機能を備えています。

会計freeeなど同社のバックオフィスサービスと組み合わせて使える点が特徴で、契約・請求・会計のデータを連携させたい中小企業に向いています。契約金額の変更を伴う覚書なども電子で締結でき、印紙税と保管コストの削減につながります。

マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド契約の公式サイト

マネーフォワード クラウド契約は、他社サービスで締結した契約書も取り込んで一元管理できる電子契約・契約書管理サービスです。運営は株式会社マネーフォワードで、契約書の作成・社内申請(ワークフロー)・締結・保管・管理までをクラウド上で完結できます。電子署名は立会人型(事業者署名型)を採用し、本人確認はメール認証で実施します。

電子帳簿保存法の電子取引に対応し、締結された電子契約に自動でタイムスタンプを付与します。他社の電子契約サービスで締結した契約書も取り込んで一元管理できるため、紙・電子が混在する契約や、契約変更の履歴をまとめて管理したい企業に適しています。マネーフォワード クラウドの会計・請求書などと同一アカウントで利用できる点も特徴です。

ここで取り上げた4サービスのほかにも電子契約システムは数多くあります。料金体系やタイプ別の選び方をふまえて自社に合う一社を選びたい方は、以下の比較記事もあわせてご覧ください。

まとめ

変更契約書に収入印紙が必要かどうかは、契約金額や納期などの「重要な事項」を変更するかで決まります。必要な場合の税額は記載金額で決まり、増額なら差額が記載金額、減額や金額以外の変更なら記載金額なしとして200円が基本です。前契約を明示して差額を記載する、消費税額を区分記載するといった書き方の工夫で税額を抑えられる一方、貼り忘れれば本来の3倍の過怠税がかかります。

こうした印紙税の負担や貼付・消印の手間を根本からなくす手段が、電子契約です。電磁的記録には印紙税が課されないため、変更契約を電子で締結すれば収入印紙は不要になります。契約変更の頻度や金額規模から削減効果を試算し、電帳法対応や署名方式を確認したうえで、自社に合ったシステムの導入を検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 変更契約書とは何ですか?

A. 変更契約書とは、すでに締結した契約の金額・納期・支払方法などの内容を、後から変更するために作成する書面の総称です。「覚書」「変更合意書」「念書」といった表題で作成されることもありますが、印紙税の課否は表題ではなく変更内容の実質で判断されます。重要な事項を変更する書面であれば、名称にかかわらず収入印紙の対象になります。

Q. 「覚書」という名称なら変更契約書の収入印紙は不要ですか?

A. 「覚書」や「念書」という名称でも、契約金額や納期などの重要な事項を変更するものであれば収入印紙は必要です。国税庁も、覚書・念書等の表題を用いた文書であっても、重要な事項を変更するために作成したものは課税文書に該当するとしています。名称を「覚書」に変えても印紙税を回避することはできない、と理解しておくと安全です。

出典・参考資料(1件)

Q. 契約金額を減額する変更契約書にも収入印紙は必要ですか?

A. 契約金額を減額する変更契約書も課税文書に該当しますが、記載金額はないものとして扱われ、印紙税額は原則200円です。減額は「契約金額」という重要な事項の変更に当たるため非課税にはなりません。増額の場合は増加額(差額)が記載金額となり税額が上がるのに対し、減額では記載金額なしとして200円になる点が、増額と減額で扱いが逆になるポイントです。

出典・参考資料(1件)

Q. 金額を変えず納期や支払方法だけを変更する変更契約書の印紙はいくらですか?

A. 契約金額を変えず、納期・工期・支払方法などだけを変更する場合も課税文書となり、記載金額がないため印紙税額は原則200円です。これらは重要な事項の変更に当たるため非課税にはならず、印紙税額の一覧表で「契約金額の記載のないもの」が200円と定められていることによります。金額に関わらない変更だからといって印紙が不要になるわけではありません。

出典・参考資料(1件)

Q. 契約期間を延長する覚書の収入印紙はいくらですか?

A. 売買取引基本契約書などの継続的取引の基本契約について契約期間を延長する覚書は、第7号文書として一律4,000円の収入印紙が必要になり得ます。第7号文書には記載金額の概念がなく、金額にかかわらず4,000円です。ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは第7号文書から除かれるため、この除外要件に該当しないかもあわせて確認しましょう。

出典・参考資料(1件)

Q. 変更契約書の収入印紙は誰が負担しますか?

A. 変更契約書の収入印紙は、法律上は文書の作成者が納税義務を負い、当事者が共同で作成した場合は連帯して納税義務を負います。どちらか一方だけが負担しなければならないという決まりではないため、実務では印紙代の負担割合を契約当事者間で取り決めておくのが一般的です。原本を2通作成して双方が保管する場合は、各通が課税文書となり、それぞれに収入印紙が必要になる点にも留意しましょう。

Q. 変更契約書を2通作成する場合、収入印紙は2枚必要ですか?

A. 原本を2通作成し、双方が1通ずつ保管する場合は、各通が課税文書となるため、それぞれに収入印紙が必要です。一方を正本、もう一方を単なる写し(コピー)として扱う場合は、写しには原則として収入印紙は不要です。ただし、写しであっても契約当事者双方が署名・押印して正本と同じ証明力を持たせると課税文書と判断されるため、印紙代を抑えたい場合は正本を1通のみとする運用も検討できます。

Q. 変更契約書に収入印紙を貼り忘れたらどうなりますか?

A. 必要な収入印紙を貼り忘れると、本来納付すべき印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます。ただし、税務調査で指摘される前に自主的に不納付を申し出た場合は1.1倍に軽減されます。また、印紙を貼っても消印を忘れた場合は、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が別途課されるため、貼付と消印はセットで行う必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 収入印紙を貼らないと変更契約は無効になりますか?

A. 収入印紙を貼っていなくても、変更契約そのものが無効になることはありません。印紙税の未納付は印紙税法上の問題であり、契約の私法上の効力とは別問題として扱われます。したがって契約自体は有効に成立しますが、過怠税の対象にはなるため、税負担のリスクは残ります。印紙が貼られていない事実が税務調査で発覚するケースもあるため、要否の判断は正確に行うことが重要です。

Q. 変更契約書をPDFで作成・メール送付した場合も収入印紙は必要ですか?

A. 変更契約書をPDFなどの電磁的記録として作成し、紙で交付しない場合は、収入印紙は不要です。印紙税は紙の文書の作成に対して課される文書課税のため、電子データのままやり取りする限り課税対象になりません。ただし、受け取ったPDFを印刷して正式な契約書の原本として保管・交付すると、課税文書の作成と判断される可能性があるため注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

Q. 電子契約で変更契約書を締結すれば収入印紙は不要になりますか?

A. 電子契約システムで変更契約や覚書を締結すれば、収入印紙は不要になります。電磁的記録により作成された契約は印紙税法上の課税文書に該当せず、政府の答弁書でも電子的に作成されたものには課税されないことが示されています。契約変更の頻度が高い企業や、金額の大きい建設工事請負契約などを扱う企業ほど、印紙税の削減効果は大きくなります。

出典・参考資料(1件)

Q. 原契約が紙の場合でも、変更契約分から電子契約に切り替えられますか?

A. 原契約を紙で締結していても、その後の変更契約や覚書から電子契約に切り替えることは可能です。変更契約を電子で締結すれば、その変更契約分については収入印紙が不要になり、印紙税と消印・保管の手間を削減できます。電子契約システムのなかには、他社サービスで締結した契約書や紙の契約書を取り込んで一元管理できる製品もあるため、紙・電子が混在する契約の管理にも対応できます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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