「うちが毎日扱っている請求書や領収書、それに帳簿類は、電子帳簿保存法で電子保存しなければならない書類なのか」。名前や2024年からの義務化は聞いていても、自社のどの書類がどの区分に当てはまるのかが整理できず、対応の要否を判断しかねている経理・総務の担当者は少なくありません。
電子帳簿保存法の対象書類は、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿から、貸借対照表・損益計算書といった決算関係書類、請求書・領収書・契約書などの取引関係書類まで幅広く、それぞれ「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」という3つの保存制度のどれに当てはまるかで扱いが異なります。しかも同じ請求書でも、自社で電子交付したのか、紙で受け取ったのかによって区分が変わります。
本記事では、対象になる書類を分類別の早見表で示したうえで、3つの保存制度との対応関係、授受方法による区分の振り分け、対象外となる書類、区分ごとの保存要件までを整理します。保存要件では、電子取引データ保存だけが全事業者の義務で、他の2制度は任意である点も押さえます。自社の書類を仕分けし、対応の要否を判断するための材料としてご活用ください。
目次
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電子帳簿保存法の対象書類 早見表
電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)の対象になるのは、税務に関わる「国税関係帳簿」「国税関係書類」と、電子的にやり取りした「電子取引データ」です。まず、自社で扱う代表的な書類が、性質分類ごとにどの保存制度に当てはまり、電子保存の対象になるか・対応が義務か任意かを一覧にまとめます。
| 書類の分類 | 国税関係帳簿 | 決算関係書類 | 取引関係書類 (紙で授受) | 取引関係書類 (電子で授受=電子取引データ) |
|---|---|---|---|---|
| 主な書類の例 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳 など | 貸借対照表、損益計算書、棚卸表 など | 紙で受領・作成した請求書、領収書、契約書、見積書、注文書、納品書 など | メール添付のPDF請求書、Webでダウンロードする領収書、EDI(電子データ交換)取引データ など |
| 該当する保存制度 | 電子帳簿等保存 | 電子帳簿等保存 (スキャナ保存は対象外) | スキャナ保存 (紙のまま保管も可) | 電子取引データ保存 |
| 電子保存の対象/対象外 | 対象 (会計ソフト等で作成する場合。手書きの帳簿は対象外) | 対象 (自己が電子的に作成する場合) | 対象 | 対象 |
| 対応は義務/任意 | 任意 | 任意 | 任意 | 義務 (所得税・法人税を申告する全事業者) |
※取引関係書類は、紙で授受したものと電子で授受したもので保存区分が変わります。詳しくは「同じ書類でも授受方法で保存区分が変わる」をご覧ください。
表に挙げた具体的な書類名は、国税庁の一問一答が国税関係帳簿書類の例として示しているものにもとづいています。
書類の性質分類と3つの保存制度の関係
早見表を正しく読むには、「書類の性質による分類」と「3つの保存制度」という2つの軸の関係を押さえる必要があります。電子帳簿保存法は、書類そのものの性質(帳簿か、決算関係書類か、取引関係書類か)と、その書類を電子でどう保存するか(3つの保存制度)を組み合わせて扱いを定めているためです。
保存制度は次の3つに分かれます。まず電子帳簿等保存は、会計ソフトなどを使い、自己が最初の記録段階から一貫して電子的に作成する帳簿・書類を、そのまま電子データで保存する制度です。次にスキャナ保存は、紙で作成・受領した取引関係書類をスキャナで読み取り、画像データとして保存する制度です。
そして電子取引データ保存は、メールやEDI、Webサイトなど電子的にやり取りした取引情報を、電子データのまま保存する制度です。
性質分類と保存制度の対応は、おおよそ次のように整理できます。国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)と決算関係書類(貸借対照表・損益計算書など)は、自己が電子的に作成する場合に電子帳簿等保存の対象です。取引関係書類(請求書・領収書・契約書など)は、紙でやり取りしたものがスキャナ保存、電子でやり取りしたものが電子取引データ保存の対象になります。

条文上は、電子帳簿等保存が電子帳簿保存法第4条第1項・第2項、スキャナ保存が同第4条第3項、電子取引データ保存が同第7条に定められています。
同じ書類でも授受方法で保存区分が変わる
対象書類の仕分けでつまずきやすいのが、取引関係書類の扱いです。請求書・領収書・契約書などは、同じ書類名でも「誰が作ったか」「紙か電子か」で当てはまる保存区分が変わります。自社ケースに当てはめる際は、書類名ではなく授受の方法から判断すると整理しやすくなります。次の表で、請求書・領収書を例に授受方法ごとの区分を確認できます。
| 授受の方法(請求書・領収書などの取引関係書類) | 自社が作成し、電子データ(PDF等)で交付した控え | 取引先から紙で受領 | 取引先から電子データで受領 (メール添付PDF・Webダウンロード・EDI) |
|---|---|---|---|
| 当てはまる保存区分 | 電子取引データ保存 | スキャナ保存 (紙のまま保管も可) | 電子取引データ保存 |
| 対応は義務/任意 | 義務 | 任意 (スキャナ保存を選ぶ場合) | 義務 |
ポイントは、紙で受け取った請求書はスキャナ保存(または紙のまま保管)である一方、メール添付のPDFなど電子で受け取った請求書や、自社が電子データで交付した控えは、いずれも電子取引データ保存の対象になる点です。
整理すると、判断の軸は「相手とのやり取りが電子か紙か」です。電子的に授受した取引情報は電子取引データ保存の対象となり、後述のとおり保存が義務づけられています。一方、紙で作成・受領した取引関係書類は、紙のまま保管するか、任意でスキャナ保存を選ぶという関係です。
国税庁は電子取引の例として、EDI取引、インターネットによる取引、電子メールで取引情報を授受する取引(添付ファイルを含む)、Webサイトを通じて取引情報を授受する取引などを挙げています。
電子保存の対象外となる書類
対象書類を確認するうえでは、逆に「電子保存が求められない・できない書類」の線引きも押さえておくと、自社の対応範囲を絞り込めます。代表的なものは次の2つです。
1つ目は、手書きで作成した国税関係帳簿です。電子帳簿等保存は「自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する」帳簿を対象とするため、手書きで作成した帳簿を電子データとして保存することは認められていません。国税庁は一問一答で次のように示しています。
電磁的記録等による保存等が認められる国税関係帳簿は、自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成するものであることから、手書きで作成された国税関係帳簿については、電磁的記録等による保存等は認められません。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】(令和8年7月)問4|国税庁
2つ目は、スキャナ保存の対象外となる決算関係書類です。棚卸表・貸借対照表・損益計算書など、計算・整理または決算に関して作成された書類は、スキャナ保存の対象から除かれています。したがって、これらを紙で作成した場合にスキャンして原本に代えることはできません。スキャナ保存の対象となるのは、契約書・領収書・請求書・見積書・注文書などの取引関係書類です。
区分ごとの保存要件と「義務・任意」の違い
対象書類がわかったら、次に押さえるのは「対応が義務か任意か」です。3つの保存制度は温度差があり、電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意ですが、電子取引データ保存だけは全事業者の義務です。この違いは条文の文言そのものに表れています。
電子帳簿等保存とスキャナ保存を定める第4条は、いずれも電子データによる保存を「もって……保存に代えることができる」と定めており、選べる仕組み(任意)です。一方、電子取引データ保存を定める第7条は次のように義務として規定しています。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子帳簿保存法 第7条|e-Gov法令検索
つまり、所得税・法人税の申告を行う事業者(法人・個人事業者)は、電子取引を行った場合、その取引データを電子のまま保存しなければなりません。以下では、任意の2区分と義務の電子取引データ保存に分けて、主な保存要件を整理します。
電子帳簿等保存・スキャナ保存の主な要件(任意)
電子帳簿等保存は、自己が一貫して電子的に作成した帳簿・書類を、財務省令で定めるところにより電子データで保存できる制度です。スキャナ保存は、紙で受領・作成した取引関係書類を一定の要件(解像度・タイムスタンプ・検索機能など)を満たしてスキャンし、画像データで保存する制度です。いずれも対応は任意で、取り組む場合に所定の要件を満たす必要があります。
電子取引データ保存の要件(全事業者に義務)
義務である電子取引データ保存では、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件を満たす必要があります。真実性の確保は、次のいずれかの措置を講じれば足ります。
真実性の確保として認められるのは、具体的には次のいずれかの措置です。
- タイムスタンプが付された後に取引情報を授受する
- 取引情報の授受後に、速やかにタイムスタンプを付す
- 訂正・削除の事実と内容を確認できる、または訂正・削除ができないシステムを使う
- 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する
可視性の確保は、ディスプレイやプリンタなどの見読可能装置を備え付け、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしておくことが求められます。
あわせて押さえておきたいのが、現行ルールの適用時点です。電子取引データを紙に出力して保存するだけで足りるとした宥恕措置(すでに終了した旧措置)は令和5年(2023年)12月31日で終了しており、令和6年(2024年)1月以降は、電子データそのものの保存が必要です。国税庁は一問一答で次のように説明しています。
令和5年12月末までに行う電子取引を対象とした宥恕措置では、出力書面のみを保存する方法で対応することが認められていましたが、令和6年1月以降に行う電子取引を対象とした猶予措置では、出力書面のみを保存することで対応することは認められておらず、出力書面の提示等に加え、電子データそのものも保存しておき、提示等ができるようにしておく必要があります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問89|国税庁
なお、令和6年1月以降も、猶予措置(現行の措置)として、税務署長が相当の理由があると認め、税務調査等の際に電子データと出力書面の提示等ができる場合には、保存要件にかかわらず電子データを保存できる扱いが設けられています。ただし、この場合も電子データそのものの保存は必要で、紙の出力保存だけで済ませることはできません。
対象書類の保存期間(原則7年)
電子帳簿保存法の対象書類の保存期間は、原則として7年です。国税庁の一問一答によれば、帳簿はその閉鎖の日の属する年の翌年3月15日の翌日から、書類はその作成または受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から起算します。ただし例外もあり、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類は法人で10年間、個人事業者(青色申告)の取引関係書類などは5年間とされる場合があるため、自社の状況に応じて確認が必要です。
出典・参考資料(2件)
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自社は何から対応すればよいか
ここまでの整理を踏まえると、自社の対応でまず優先すべきは、義務である電子取引データ保存です。任意の電子帳簿等保存・スキャナ保存は、業務効率化の観点から自社の判断で取り組めばよいのに対し、電子取引データ保存は令和6年1月以降、対応しなければならないためです。
具体的には、経理業務で日常的にやり取りが多い請求書・領収書から着手するのが現実的です。メールで受け取ったPDFの請求書、Webサイトからダウンロードした領収書、EDIで授受した取引データなどを洗い出し、それらを検索要件(取引年月日・取引金額・取引先)を満たす形で電子保存できているかを点検します。
そのうえで、真実性の確保(訂正・削除の防止やタイムスタンプなど)を自社の運用やシステムで満たせるかを確認し、満たせない場合はシステムの導入・見直しを検討する、という順序で進めると整理しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
電子帳簿保存法に対応するメリットや、対応を怠った場合に生じるリスク、システム導入を進める際のポイントを整理したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
電子帳簿保存法はデメリットしかない?メリットと導入のポイントを徹底解説
電子帳簿保存法への対応、「正直メリットがなくデメリットしかないのでは?」と感じていませんか。 2024年からはメールやWeb上でやり取りした請求書など電子取引データの保存が完全に義務化され、対応を避けられない状況になりました。(参照:国税庁…
電子帳簿保存法対応に使えるクラウド財務管理システム
電子取引データ保存の要件(真実性の確保・検索要件)を自社の運用だけで満たすのが難しい場合は、電子帳簿保存法に対応したクラウド会計ソフトの活用が選択肢になります。受領した請求書・領収書のデータ化から、検索要件を満たした保存、訂正・削除履歴の管理までをシステム側で担えるため、日々の経理業務の中で対応を組み込めます。
ここでは、電子帳簿保存法・電子取引データ保存に対応するクラウド財務管理システムを紹介します。
まずは、各サービスの対応状況を一覧で比較します。
| サービス名 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 勘定奉行クラウド | ジョブカン会計 | PCAクラウド 会計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電子取引データ保存への対応 | ●証憑管理で受領書類を電子保存 | ●検索要件・真実性の確保に対応 | ●証憑を電帳法要件に沿って保存 | ●タイムスタンプ付与に対応 | ●証憑管理オプションで対応 | ●文書管理サービス連携で対応 |
| JIIMA認証 | ●取得 (電子帳簿ソフト/優良な電子帳簿) | ●取得 | ●取得 (電子帳簿・電子取引・スキャナ保存) | ◎4種すべて取得 | - (クラウド版は公式に明示なし) | ●電子帳簿ソフト認証取得 |
| 証憑のAI-OCRデータ化 | ●証憑を自動で読み取り電子保存 | ●請求書・領収書をAI-OCRでデータ化 | ●AI-OCRで証憑を仕訳(月100件超は従量課金) | ●AI-OCRで証憑を読み取り(一部オプション) | ●証憑管理オプションのAI-OCR(月100枚まで無料) | ●請求書・領収書を読み取り(PCA Arch/オプション) |
| 月額費用(税抜) | 月3,480円〜/年34,800円〜 | 月2,980円〜(ひとり法人・年払い) | 月2,480円〜(ひとり法人・年払い換算) | 月7,750円〜(Eシステム・年額換算) | 月2,500円〜(スタートアップ・3ユーザー) | 月16,200円〜(会計) |
| 対象規模 | 法人専用(中小企業向け) | 個人事業主〜中小・上場企業 | ひとり法人〜中小(〜50名想定) | 小規模〜中小企業 | 中小企業・個人事業主中心 | 中小〜中堅企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※JIIMA認証は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が電子帳簿保存法の要件への適合を認証する制度です。料金・対応状況は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。
また、以下の記事では、電子帳簿保存法対応にとどまらず、クラウド財務管理システム全般を機能・料金・タイプ別の選び方まで含めて比較・解説しています。導入を本格的に検討する方は、あわせてご覧ください。
財務管理システムおすすめ18選を比較|機能・料金・タイプ別の選び方を解説
決算や資金繰り、予算と実績の管理を表計算ソフトと手作業で回し、月次の集計や転記に追われていませんか。担当者しか中身がわからない、入力ミスに気づけない、経営層が求める数字をすぐに出せないといった悩みは、多くの経理財務部門に共通します。 こうし…
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextは、弥生株式会社が2025年4月にリリースした法人向けのクラウド会計サービスです。会計・経費・請求を1つのシステムにまとめ、証憑の保存までを同一システム内で完結できる点を訴求しています。AIによる勘定科目の推測やワンクリック登録など、入力の自動化機能も備えます。
証憑管理を通じて電子帳簿保存法に対応しており、受け取った請求書・領収書などの取引書類を電子で保存する運用に活用できます。クラウド型のため場所を問わずアクセスでき、複数人での同時作業にも対応します。
2. freee会計(フリー株式会社)

個人事業主から中小企業・エンタープライズまでをカバーする統合型のクラウド会計ソフトが、freee会計です。銀行口座・クレジットカード・POSレジなどと連携し、明細の自動取得から仕訳、決算書作成までをクラウド上で一気通貫に行えます。
改正電子帳簿保存法に対応し、AI-OCRで受領した請求書・領収書を証憑としてデータ化・保存できます。電子取引データ保存で求められる検索要件や真実性の確保にも対応するため、義務化された電子取引データの保存を日常の会計業務の中で処理したい事業者に適しています。
3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計は、ひとり法人・中小企業向けに提供される法人向けクラウド会計ソフトです。銀行・クレジットカード等とデータ連携して明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化します。請求・経費・給与など同シリーズの他製品と同一基盤で連携できます。
証憑データを電子帳簿保存法の要件に沿って保存する機能を備え、受領した請求書・領収書などをAI-OCRでデータ化して電子保存できます。電子取引データの保存を、日々の記帳と一体で運用したい事業者に向いています。
4. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウドは、OBCが提供する小規模・中小企業向けのクラウド会計ソフトです。金融機関の入出金明細や領収書、Excelデータなどから仕訳を自動起票し、月次決算の短縮を狙う構成で、給与奉行・固定資産奉行などの他の奉行シリーズや外部システムと連携できます。
電子帳簿保存法への対応では、スキャナ保存・電子帳簿・電子取引・電子書類の各分野でJIIMA認証を取得しており、証憑の収集から仕訳起票、電子保存までを一貫して処理できます。タイムスタンプの付与にも対応し、義務である電子取引データ保存の要件充足を後押しします。
5. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

勤怠管理や給与計算などを擁するジョブカンシリーズの会計・決算・申告領域を担うのが、ジョブカン会計です。パッケージ型会計ソフトの使い勝手にクラウドの利便性を加えたクラウド型会計システムとして提供されています。
初期費用無料・低価格帯で、法人・個人事業主のどちらにも対応し、インボイス制度と電子帳簿保存法に対応しています。コストを抑えて義務対応を始めたい中小企業にとって、現実的な検討対象になります。
6. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 会計は、長年提供されてきた会計パッケージ「PCA会計」シリーズをクラウド形態で提供する財務会計システムです。日常の伝票入力から元帳・試算表・決算書、経営分析帳票までを作成でき、中堅・中小企業向けにエディションと提供基盤が分かれています。
JIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を取得し、優良な電子帳簿の要件に対応します。証憑の電子保管は文書管理サービスと連携し、AI-OCRで請求書・領収書を読み取れるため、電子取引データを含む証憑の電子保存に活用できます。
まとめ
電子帳簿保存法の対象書類は、国税関係帳簿・決算関係書類・取引関係書類・電子取引データに大別され、それぞれ電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3つの制度に対応づけられます。自社の書類を仕分ける際は、書類名だけでなく「紙か電子か」「誰が作ったか」という授受方法まで見て区分を判断することが要点です。
対応の優先度としては、令和6年1月以降に全事業者の義務となった電子取引データ保存が最優先です。手書き帳簿や決算関係書類のスキャナ保存など対象外の線引きも押さえたうえで、義務である電子取引データの保存要件(真実性・検索要件)を自社で満たせるかを点検し、必要に応じて電子帳簿保存法に対応したクラウド会計ソフトの導入を検討するとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 電子帳簿保存法とは何ですか?
A. 電子帳簿保存法とは、帳簿・決算関係書類・取引関係書類などの国税関係帳簿書類や電子取引データを、一定の要件のもとで電子データとして保存することを認める法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で、保存方法は電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存という3つの制度に分かれます。
このうち電子取引データ保存だけが全事業者の義務で、他の2制度は任意です。
Q. 電子帳簿保存法の対象外となる書類にはどのようなものがありますか?
A. 電子帳簿保存法で電子保存の対象外となる代表例は、手書きで作成した国税関係帳簿と、スキャナ保存が認められない決算関係書類(貸借対照表・損益計算書・棚卸表など)です。電子帳簿等保存は「自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する」帳簿を対象とするため、手書きで作成した帳簿を電子データで保存することはできません。
また決算関係書類はスキャナ保存の対象から除かれているため、紙で作成したものをスキャンして原本に代えることもできません。
Q. 同じ請求書でも電子帳簿保存法の保存区分が変わるのはなぜですか?
A. 電子帳簿保存法では、同じ請求書でも「電子でやり取りしたか、紙でやり取りしたか」という授受方法によって当てはまる保存区分が変わるためです。メール添付のPDFやWebサイトのダウンロードなど電子的に授受した請求書は電子取引データ保存の対象、紙で受領した請求書は紙のまま保管するか任意でスキャナ保存を選ぶ、という関係になります。
自社ケースに当てはめる際は、書類名ではなく授受の方法から判断すると整理しやすくなります。
Q. 電子帳簿保存法の対応は、すべての書類で義務ですか?
A. 電子帳簿保存法の3つの制度のうち義務なのは電子取引データ保存だけで、電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意です。電子取引データ保存は、所得税・法人税を申告する全事業者に課される義務である一方、自己が電子的に作成した帳簿・書類を電子保存する電子帳簿等保存と、紙で受領・作成した取引関係書類をスキャンするスキャナ保存は、事業者が業務効率化の観点から選んで取り組む制度です。
この違いは条文の文言(第4条は「保存に代えることができる」、第7条は「保存しなければならない」)そのものに表れています。
出典・参考資料(1件)
Q. 電子取引データ保存はいつから義務になりましたか?
A. 電子取引データを電子のまま保存する義務は、令和6年(2024年)1月以降に行う電子取引から本格的に適用されています。それ以前は、電子取引データを紙に出力して保存するだけで足りるとする宥恕措置がありましたが、この措置は令和5年(2023年)12月31日で終了しました。
したがって令和6年1月以降は、メールで受け取ったPDF請求書やWebでダウンロードした領収書などを、電子データそのものとして保存する必要があります。
出典・参考資料(1件)
Q. 電子取引データは紙に出力して保存するだけで済ませてよいですか?
A. 電子取引データは、紙に出力して保存するだけでは要件を満たさず、電子データそのものの保存が必要です。令和6年1月以降も、税務署長が相当の理由があると認め、税務調査等の際に電子データと出力書面の提示等ができる場合には保存要件にかかわらず保存できる猶予措置が設けられていますが、この場合も電子データの保存は必須で、紙の出力保存だけで済ませることはできません。
あわせて、可視性の確保として取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしておくことが求められます。
Q. 電子帳簿保存法の対象書類の保存期間は何年ですか?
A. 電子帳簿保存法の対象書類の保存期間は、原則として7年です。帳簿はその閉鎖の日の属する年の翌年3月15日の翌日から、書類はその作成または受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日から起算します。ただし例外もあり、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類は法人で10年間、青色申告の個人事業者の取引関係書類などは5年間とされる場合があるため、自社の状況に応じて確認が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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