メールの添付ファイルやインターネットからダウンロードしたファイルに、未知のマルウェアが潜んでいないと言い切れるでしょうか。ウイルス対策ソフトは既知の脅威を「検知」して防ぎますが、日々生まれる新種やゼロデイ攻撃は、パターンに登録される前にすり抜けてしまいます。この「検知の限界」を補う仕組みが、ファイル無害化サービスです。
ファイル無害化は、自治体の三層分離(ネットワーク分離)を起点に普及し、いまは金融・医療・製造など機密情報を扱う民間企業でも、メール経由やインターネット経由のファイル取り込み対策として導入が広がっています。ただし、提供形態や無害化の方式は製品ごとに大きく異なり、自組織の環境に合わないものを選ぶと業務が滞ります。
本記事では、主要なファイル無害化サービス16製品を「提供形態×想定環境」の3タイプに分けて比較・解説します。CDR(無害化)の仕組みや料金の考え方に加え、自治体(LGWAN三層分離)向けと民間ネットワーク向けの選び分けや、無害化エンジンとファイル受け渡し基盤の役割分担まで整理しました。情報システム・セキュリティ部門の担当者が、自組織に合うサービスを判断するための材料としてご活用ください。
また、自組織の環境に合うサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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ファイル無害化サービスとは?
ファイル無害化サービスは、ファイルに含まれるマクロやスクリプト、埋め込みオブジェクトなど「危険になり得る要素」を取り除き、安全な要素だけでファイルを作り直すことで、マルウェア感染を防ぐソリューションです。この仕組みは一般にCDR(Content Disarm and Reconstruction=コンテンツの無害化と再構築)と呼ばれます。
従来のウイルス対策ソフトは、既知のマルウェアの特徴(シグネチャ)と照合して「怪しいかどうか」を判定する検知型の対策です。これに対して無害化は、判定を待たずに危険要素を除去してしまうため、シグネチャに登録されていない未知の脅威やゼロデイ攻撃にも備えやすい点が特徴です。「怪しいものを止める」のではなく「すべてのファイルを安全に作り直す」という発想の違いがあります。
無害化が求められる背景と自治体の三層分離
ファイル無害化が広く使われるようになった背景には、自治体のネットワーク分離があります。総務省は、自治体の情報システムを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN(自治体専用の閉域ネットワーク)接続系」「インターネット接続系」の3つに分離する「三層の対策」を求めています。このうちインターネット接続系で取り込んだメールやファイルは、無害化したうえでLGWAN接続系へ受け渡す運用が前提とされています。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(概要)|総務省(https://www.soumu.go.jp/main_content/000907086.pdf)
この自治体向けの仕組みが実績を重ねるなかで、機密情報を扱う民間企業でも、社内ネットワークと外部を分離し、その境界で無害化を行う考え方が採り入れられるようになりました。無害化は「特別な組織だけの対策」ではなく、外部からファイルを受け取るあらゆる組織にとっての選択肢になっています。
ファイル無害化(CDR)の仕組みと無害化方式
ここからは、無害化がどのようにファイルを安全化するのか、その仕組みと代表的な方式を解説します。方式によって「元のファイルの見た目や機能をどこまで保てるか」が変わるため、自組織の業務との相性を判断するうえで押さえておきたいポイントです。
無害化の処理は、製品によって細部は異なりますが、大きくは「ファイルを構成要素に分解し、危険になり得る部分を取り除いて、安全な形に再構築する」という流れをたどります。国産のLGWAN-ASP型エンジンの一例では、ウイルスチェック、ファイル形式の走査、不正コードの走査、マクロ・スクリプトの除去、文書イメージの取得、ファイルの再構成という段階を経て処理されます。
無害化の方式は、おおまかに次の3つに整理できます。
- 分解・再構築型:ファイルを構成要素まで分解し、必要なデータだけで元の形式に作り直します。見た目や編集機能を保ちやすい一方、処理の作り込みが求められます。
- アクティブコンテンツ除去型:マクロやスクリプト、外部リンクなど動作する要素だけを取り除きます。処理が軽い反面、除去された機能は使えなくなります。
- 形式変換・画像化型:ファイルをPDFや画像に変換し、実行される要素そのものを持たない形にします。安全性は高い一方、再編集が難しくなります。
メール・ファイル・Web|3つの無害化対象
無害化と一口に言っても、対象となる経路は主に3つあります。自組織でどの経路のリスクが高いかによって、必要な製品タイプが変わります。
- メール無害化:受信メールの添付ファイルを無害化するほか、HTMLメールのテキスト化や本文中のURLリンクの無効化を行います。侵入経路として最も多いメールを入口で守ります。
- ファイル無害化:USBメモリやファイルサーバー、ネットワーク間の受け渡しで扱うファイルを無害化します。ネットワーク分離環境でのファイル交換で中心的な役割を担います。
- Web無害化:サーバー側が代わりにWebサイトへアクセスし、無害な表示情報だけを利用者へ転送します。ブラウザ経由の感染を防ぐ仕組みで、ファイル無害化と組み合わせて使われることもあります。
ウイルス対策ソフト・サンドボックスとの違いと併用
無害化は、既存のセキュリティ対策を置き換えるものではなく、検知型では防ぎきれない領域を補う「入口の追加防御」として位置づけると理解しやすくなります。似た対策との違いを整理します。
ウイルス対策ソフトは既知の脅威を検知して隔離しますが、未知のマルウェアは検知をすり抜ける可能性があります。サンドボックスは疑わしいファイルを仮想環境で実行し、その挙動から危険性を判定する方式で、検知の精度は高い一方、解析に時間がかかり、解析環境を検知して動作を止める巧妙なマルウェアには対処しきれない場合があります。
無害化は「危険かどうかを判定する」より先に危険要素を除去してしまうため、判定のすり抜けという弱点を構造的に持ちません。多くの組織では、ウイルス対策ソフトやサンドボックスと無害化を併用し、検知で既知の脅威を止め、無害化で未知の脅威に備えるという多層防御を組み立てています。
併用の相手となるサンドボックスは、「判定が出るまでファイルの配信を止められるか」「自社に流れるファイル量を捌けるか」が製品によって分かれます。サンドボックス単体の仕組みや提供形態ごとの違いまで詳しく知りたい場合は、以下の記事で整理しています。
ファイル無害化を導入するメリット
ここでは、ファイル無害化を導入することで得られる主なメリットを整理します。
- 未知マルウェアの侵入リスクを下げられる:検知に頼らず危険要素を除去するため、添付ファイルやダウンロードファイル経由の未知・ゼロデイ攻撃に備えやすくなります。
- 業務を止めずに運用できる:疑わしいファイルを一律に隔離するのではなく、安全化して受け渡すため、正当な業務ファイルのやり取りを妨げにくい運用が組めます。
- セキュリティ統制を標準化できる:無害化のポリシーを組織で統一することで、担当者ごとの判断に依存しない運用になり、監査対応やルールの説明がしやすくなります。
導入前に知っておきたい注意点(無害化後の崩れ・機能制限)
無害化は有効な対策ですが、副作用もあります。導入後に「思っていた運用ができない」とならないよう、あらかじめ次の点を押さえておきましょう。
無害化は危険要素を除去して再構築するため、ファイルによってはレイアウトが崩れたり、マクロやアクティブコンテンツなど元の機能の一部が使えなくなったりする場合があります。業務で日常的に使うマクロ付きの帳票やテンプレートがある場合は、無害化後の見た目や操作性を事前に検証しておくことが欠かせません。
また、処理には一定の時間がかかるため、大量のファイルを扱う時間帯には遅延が生じることがあります。例外的に無害化を通さないファイルの扱いや、無害化ログの管理といった運用設計を詰めておかないと、現場の運用が回らなくなる点にも注意が必要です。
対応ファイル形式と無害化後の崩れやすさ
無害化できるファイル形式は製品によって幅があります。業務で使うファイルが対象に含まれているかは、選定の前提として確認しておきたいポイントです。
前述の国産のLGWAN-ASP型エンジンの例では、Microsoft Office(Word・Excel・PowerPoint)、一太郎・花子・三四郎といった国産アプリケーション、OpenDocument形式、PDF、画像、音声・動画、CAD、圧縮ファイルまで幅広く対応します。
一方で、複雑なマクロを多用するExcelファイルや、独自形式・特殊なレイアウトのファイルは、無害化後に崩れが生じやすい傾向があります。自組織で頻繁に扱う形式ほど、実ファイルでの検証が重要になります。
ファイル無害化サービスの種類(提供形態×想定環境の3タイプ)
ここからは、主要なファイル無害化サービスを提供形態と想定環境で3つのタイプに分けて整理します。自組織のネットワーク構成やまず守りたい経路によって、適したタイプが変わります。
- CDR専用エンジン型(複数経路に横断適用):無害化エンジンをAPIやICAPなどで組み込み、メール・Web・ストレージなど複数の経路に同じポリシーで無害化を適用できるタイプです。入口が複数あり、無害化を全社で標準化したい企業に向きます。
- メール・ゲートウェイ搭載型(メール経路で完結):メールの受信ゲートウェイで添付ファイルを無害化し、メール経路の対策を単体で完結できるタイプです。まずメール経由の侵入対策を強化したい企業に向きます。
- 国産・自治体/公共特化型(LGWAN-ASP対応・三層分離前提):自治体の三層分離やLGWAN接続系での受け渡しに合わせて設計された国産中心のタイプです。日本語文書や国内特有のファイル形式、公共の運用要件を重視する組織に向きます。国産の無害化エンジンやファイル受け渡し基盤には、金融・医療など民間企業でも導入されている製品が含まれるため、民間の情報システム担当も候補として確認する価値があります。
自治体(LGWAN三層分離)向けと民間ネットワーク向けの選び分け
3タイプのどれを選ぶかは、自組織がどのネットワーク環境にあるかで大きく変わります。ここが最初の分岐点です。
自治体や、自治体に準じた三層分離を運用する組織であれば、国産・自治体/公共特化型が第一候補になります。インターネット接続系からLGWAN接続系への受け渡しという決まった運用に合わせて作られており、日本語文書や公共の要件への対応が織り込まれているためです。多くは受け渡しの承認フローやログ管理まで含めて提供されます。
一方、民間企業でまずメール経由の対策を固めたい場合は、メール・ゲートウェイ搭載型が導入しやすい選択肢です。すでにインターネット・ストレージなど複数の経路を持ち、無害化を全社で統一したい場合は、CDR専用エンジン型が適します。自組織の「守りたい経路がメールだけか、複数か」「国内公共の要件があるか」を最初に確認すると、候補を絞り込みやすくなります。
なお、メール経由の無害化は、標的型攻撃メール対策の一部を担う仕組みです。フィルタリング・サンドボックス・無害化・EDRといった各手段が、攻撃の「届く→開く→感染する→持ち出される」というどの段階を防ぐのかまで含めてメール防御の全体像を押さえたい場合は、以下の記事をご覧ください。
無害化エンジンとファイル受け渡し基盤の役割分担
ネットワーク分離環境でファイルを扱う場合、「無害化そのもの」と「安全にファイルを受け渡す仕組み」は別の役割であり、両方が必要になる点も押さえておきたいところです。
たとえばネットワーク分離向けのファイル受け渡し基盤(セキュアファイル交換)は、利用者の認証や送受信の承認、受け渡しログの記録といった統制を担い、無害化そのものは外部のCDRエンジンと連携して実現する構成をとることがあります。実際に、ファイル受け渡し基盤側が無害化エンジンをオプションとして組み合わせ、統制と無害化を分担する製品も存在します。
この構成は、後述するファイル受け渡し基盤型の製品の紹介で具体的に確認できます。
このため製品を比較する際は、「無害化エンジンなのか」「受け渡し基盤なのか」「その両方を備えるのか」を区別して見ると、自組織に足りない機能が見えやすくなります。エンジンだけを導入しても受け渡しの統制が別途必要になる場合があり、逆に受け渡し基盤だけでは無害化の強度が連携製品に依存します。
ファイル無害化サービスの料金・費用と課金体系
ここからは、ファイル無害化サービスの料金の考え方を整理します。実額を公開している製品は限られ、個別見積もりが基本ですが、課金の仕組みと公開されている価格例を押さえておくと、資料請求後の比較がスムーズになります。
料金は、初期導入費用と、月額または年間の利用料で構成されるのが一般的です。利用料の課金単位は製品によって異なり、自治体向けのASP型では利用職員数に応じた課金でボリュームディスカウントが設定される例があり、資料DLページでは「初期導入費用+年間利用料(基本+オプション)」という体系が示されている製品もあります。
無害化エンジンをAPIで組み込むタイプでは、処理量やライセンス数に応じた課金となることがあります。
数少ないながら公開されている料金例を課金単位別に見ると、アカウント単位の月額型では月額200円台から、オンプレミスの参考価格で月額換算250円程度からという水準が公開されています。
初期費用+月額型では、クラウドの1コア構成で初期110,000円+月額38,500円程度からという例があります。いずれも構成やオプション、対象ユーザー数で変動するため、具体的な金額は比較表と各社の資料でご確認ください。
一方、自治体向けのASP型や海外製CDRエンジンの多くは実額が非公開で、要問い合わせが基本です。見積もりを取る際は、無害化する経路(メールだけか、ファイル受け渡しも含むか)、対象ユーザー数、オプション機能の要否を先に整理しておくと、製品間の条件をそろえて比較しやすくなります。
失敗しないファイル無害化サービスの選び方・比較ポイント
ここからは、ファイル無害化サービスを選ぶ際に確認したい比較ポイントを解説します。自組織の環境と業務に照らして、優先順位をつけて見ていきましょう。
無害化方式と対応ファイル形式は業務に合うか
分解・再構築型は見た目や機能を保ちやすく、形式変換・画像化型は安全性が高い一方で再編集が難しくなります。業務でファイルを編集し続ける必要があるなら、元の形式を保てる方式が向きます。あわせて、自組織が日常的に扱うファイル形式(Office・一太郎・PDF・CADなど)が対応範囲に含まれるかを確認します。
自組織と同規模・同業界での導入実績があるか
同じ規模や業界での稼働実績は、自組織の運用に耐えられるかを見極める材料になります。特に自治体向けでは、導入自治体数が実績の目安として示されることが多く、民間向けでも同業種の事例があると運用イメージを描きやすくなります。あわせて、ピーク時の処理速度やスケーラビリティ、現場の利用部門が迷わず使える操作性、導入後のサポート体制も確認しておきたい観点です。
国産エンジンと海外エンジンの選び方観点
無害化エンジンには、国産のものと海外製のものがあります。どちらが優れているというより、自組織の要件との相性で選ぶ観点です。
国産エンジンは、一太郎など国内特有のファイル形式への対応や、日本語でのサポート、自治体・公共の運用要件への適合という点で選ばれやすい傾向があります。海外製エンジンは、汎用CDRとして複数経路への組み込みやグローバルでの実績を強みとする製品が多く、大規模・多拠点での標準化に向くことがあります。
国内での提供体制(正規代理店・導入事例・日本語サポート)が整っているかは、海外製を検討する際に必ず確認したい点です。
ここまでの選定軸を踏まえても、自社がどのタイプに適しているか判断が難しい場合は、以下の診断ツールをご活用ください。想定するネットワーク環境や守りたい経路など、いくつかの質問に答えるだけで、自組織に合うタイプと候補サービスの目安を30秒ほどで確認できます。
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【比較表】主要ファイル無害化サービスの比較
ここからは、主要なファイル無害化サービス16製品を、提供形態×想定環境の3タイプ別に比較します。無害化方式・対応範囲・提供形態・想定環境・料金体系を整理していますので、自組織に合う候補を絞り込む材料としてご活用ください。
CDR専用エンジン型の比較
| サービス名 | Votiro(現 Menlo Security File Security) | OPSWAT MetaDefender | Menlo Security | Glasswall | SHIELDEX |
|---|---|---|---|---|---|
| 無害化方式 | 分解・再構築(CDR/Positive Selection) | 分解・再構築(Deep CDR)+マルチエンジンスキャン | Web分離(RBI)+ダウンロード時にCDR無害化 | 分解・再構築(CDR) | 分解・再構築(CDR) |
| 対応ファイル範囲 | 220種類以上(Office・PDF・EML・圧縮・CAD・音声/動画等) | Office・PDF・アーカイブ等(マクロ・埋め込み除去、拡張子偽装検査) | Webダウンロードファイル(対応形式は公式非公開) | Office・PDF等(45形式以上・140拡張子以上、新エンジンでCAD・画像等に拡大) | 文書・画像・圧縮・CAD等(Office・PDF等) |
| 提供形態 | クラウド(エージェントレス・API連携)/オンプレミス | オンプレミス/クラウド(Microsoft 365向け)/API連携 | クラウド(エージェントレス) | クラウド(Halo)/デスクトップ(Meteor)/組み込みSDK/エアギャップ対応 | オンプレミス/SaaS(メール・ファイル・Web) |
| 想定環境 | 民間中心(複数経路の横断適用) | 自治体・民間(国内自治体の50%以上で利用と公表) | 民間中心 | 民間・官公庁(国内は代理店経由) | 自治体・民間(文教・官公庁で先行) |
| 料金体系 | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式非公開) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
メール・ゲートウェイ搭載型の比較
| サービス名 | m-FILTER MailFilter | IIJセキュアMXサービス | サイバーソリューションズ メールセキュリティ | FortiMail | Fortra Clearswift Secure Email Gateway | Mail Defender |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 無害化方式 | アクティブコンテンツ除去+再構成(メール無害化オプション、HTMLテキスト化) | メール無害化(添付削除・HTMLテキスト化・URL無効化、オプション) | メール無害化(添付削除・テキスト化・画像化、URL無効化) | メール無害化(添付削除・HTML無害化・URI除去)+サンドボックス連携 | アクティブコンテンツ除去(Structural Sanitization)+適応型DLP | メール無害化(URL非リンク化・HTMLテキスト化)+添付無害化オプション(Fast Sanitizer連携) |
| 対応ファイル範囲 | メール添付ファイル(危険拡張子・マクロ・パスワード付きZIP判定) | メール添付ファイル(マクロ除去フィルタ標準) | メール添付ファイル・本文URL(受信メール) | メール添付ファイル・URL(無害化前の原本を別途保管) | Office・PDF等(アクティブコンテンツ除去、拡張子偽装検知) | メール本文・URL(添付無害化はFast Sanitizer連携) |
| 提供形態 | オンプレミス/クラウド/ゲートウェイ型(EdgeMTA) | クラウド(ゲートウェイ/フルアウトソース/外部クラウド連携) | クラウド(Σ-ST)/オンプレミス(CyberMail-CDR)/Microsoft 365・Google Workspaceアドオン | アプライアンス/VM/クラウド(ゲートウェイ型・API型) | オンプレミス/AWS Marketplace(BYOL)/マネージドサービス | クラウド/仮想アプライアンス/物理アプライアンス |
| 想定環境 | 民間中心 | 民間中心 | 自治体・民間(自治体・教育委員会向けにオンプレ型を展開) | 民間中心 | 政府・金融機関・民間 | 民間中心 |
| 料金体系 | 月額換算250円〜/ライセンス(オンプレ参考価格、規模で変動) | 要問い合わせ(個別見積もり、無料トライアル1ヵ月) | 月額200円〜/アカウント(Cloud Mail SECURITY SUITE) | 要問い合わせ(代理店見積もり) | 要問い合わせ(25ユーザーから) | 初期110,000円+月額38,500円〜(クラウド1コアプラン) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
国産・自治体/公共特化型の比較
| サービス名 | e-自治体 メール・ファイル無害化サービス | FAS Technology(Fast Sanitizer) | ファイル・メール無害化ASPサービス(両備システムズ) | ファイル無害化 for LGWAN-ASP(ATL) | FileZen S |
|---|---|---|---|---|---|
| 無害化方式 | メール・ファイル無害化(無害化エンジンを採用、自社/外部の別・方式詳細は非公開) | 分解・再構築(CDR)+画像変換のハイブリッド(選択式) | 分解・再構築(構成要素の分解・再帰的無害化+原本性を保った再構成) | 分解・再構築+画像化(6段階処理、マクロ除去不可時は文書画像化) | ファイル受け渡し基盤(無害化は外部CDR製品 OPSWAT/Votiro と連携) |
| 対応ファイル範囲 | メール本文・添付・ファイル(パスワード付き添付も無害化/対応形式一覧は非公開) | Office・PDF・CAD(AutoCAD・JW CAD)・一太郎/花子/DocuWorks・圧縮(zip/rar/7z/tar) | マクロ・スクリプト削除+再帰的無害化(対応形式一覧は非公開、PDF変換オプション) | Office・一太郎/花子/三四郎・PDF・画像・音声/動画・CAD・圧縮(Zip・LHA) | 連携する無害化製品(OPSWAT/Votiro)の対応形式に依存 |
| 提供形態 | クラウド(LGWAN-ASP) | 仮想アプライアンス/クラウドAPI(NAS・LBO/ICAP・SMB・API) | 共同利用型LGWAN-ASP | クラウド(LGWAN-ASP) | 物理アプライアンス/仮想アプライアンス/Remote Agent(Windows Server) |
| 想定環境 | 自治体 | 自治体・民間(自治体・教育委員会・金融機関) | 自治体 | 自治体 | 自治体・民間(自治体・教育・金融・医療) |
| 料金体系 | 要問い合わせ(初期導入費用+年間利用料) | 初期110,000円+月額38,500円〜(クラウド1コアプラン) | 利用職員数に応じた課金(お試し利用あり、実額は要問い合わせ) | 要問い合わせ(公式非公開) | 要問い合わせ(公式非公開) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
主要ファイル無害化サービスの詳細
ここからは、各サービスの特徴を提供形態のタイプ別に紹介します。無害化の方式や提供形態、想定環境が製品ごとに異なるため、自組織の環境に照らして読み進めてください。
CDR専用エンジン型
無害化エンジンを複数の経路に横断的に組み込めるタイプです。全社で無害化ポリシーを統一したい企業に向きます。
1. Votiro(現 Menlo Security File Security)(Menlo Security, Inc.)

Votiro は、2025年2月に米Menlo Securityが買収し、現在は同社プラットフォームの「Menlo Security File Security」として提供されているCDR(無害化)製品です。ファイルを検知・判定せず、安全と確認できる要素だけで作り直す「Positive Selection」方式を採用しています。
メール添付・Webダウンロード・クラウドストレージ・コラボレーションツール(Teams・OneDrive・Box・Google Drive)・ファイル転送など複数の経路を横断してカバーし、公式では220種類以上のファイル形式に対応するとしています。導入はエージェントレスのオープンAPI連携が基本で、必要に応じてオンプレミス設置も選べます。
国内では代理店のアズジェントが「Votiro Disarmer」のブランドで販売を継続しており、アイ・ティ・アールの調査(2016〜2023年度の売上金額シェア)に基づく「無害化市場8年連続国内シェアNo.1」を同社が公表しています。
2. OPSWAT MetaDefender(OPSWAT, Inc.)

米OPSWATが提供する「MetaDefender」は、ファイルベースの脅威対策プラットフォームです。検知に依存しない無害化技術「Deep CDR」を中核に、複数のアンチウイルスエンジンによる並列スキャン(Metascan)とサンドボックス(Adaptive Sandbox)を組み合わせ、多層で脅威を防ぐ設計です。
メール経路向けには、オンプレミスの「Email Gateway Security」と、Microsoft 365向けクラウドの「Cloud Email Security」の2種類を用意しています。マルチスキャンは30以上のアンチウイルスエンジンを並列動作させ、公式はMAXエンジン構成時に99.2%の検知率と説明しています。
国内では2018年設立のOPSWAT Japanが展開し、ネットワールドやネットワンパートナーズなどの代理店を通じて提供されています。同社は2024年10月に、国内の地方自治体の50%以上で利用されていると発表しています。
3. Menlo Security(Menlo Security, Inc.)

Menlo Security は、Webアクセスを対象としたクラウド型の分離・無害化ソリューションです。同社がファイル無害化(CDR)として提供する「Votiro(現 Menlo Security File Security)」とは別の製品ラインで、こちらはWebブラウザ経由の防御を主軸とします。
独自の「Menlo Security Isolation Platform(MSIP)」で、Webコンテンツを端末から切り離した使い捨ての仮想コンテナ(DVC)内で実行し、安全な表示情報だけを端末へ届けます。
特許技術の「Adaptive Clientless Rendering(ACR)」により、端末へのエージェント導入なしでブラウザ分離を実現します。ダウンロードするファイルは端末に届く前に自動で無害化(CDR)されるため、Webブラウザ経由の感染対策に軸足を置く点が特徴です。
悪意の有無を判定せず、アクセス先を一律に隔離・無害化する考え方をとります。国内では日立ソリューションズ、NRIセキュアテクノロジーズ、三井情報、ラックといったパートナーが提供し、導入前のPoCから日本語で支援を受けられます。
4. Glasswall(Glasswall Solutions Limited)

英国ロンドンに本社を置く Glasswall Solutions Limited が開発する「Glasswall」は、ファイル無害化(CDR)の専業製品です。マルウェア検知に頼らず、ファイル形式の仕様に準拠しない要素を取り除いたうえで、安全な状態にファイルを再構築します。
サーバー・大規模環境向けの「Halo」、デスクトップ向けの「Meteor」、既存システムに組み込む開発者向けSDK「Embedded Engine」などを揃え、オンプレミス・主要クラウド・エアギャップ環境のいずれにも展開できます。2026年には、メモリセーフ設計の新エンジン「Genesis」も投入しています。
公式サイトでは、米国家安全保障局(NSA)や米国防総省、NATO関連機関など米英の政府・防衛機関への導入を挙げています。国内では2023年からEGセキュアソリューションズが代理店として取り扱っていますが、日本法人・日本語の公式サイトはなく、導入規模や価格は代理店経由での確認が必要です。
5. SHIELDEX(シールデックス)(ソフトキャンプ株式会社)

SHIELDEX は、韓国のSoftCampが開発したCDR技術をもとにした無害化製品ブランドで、日本ではソフトキャンプ株式会社が提供しています。メール・ファイル・Webの各経路をカバーする複数の製品でラインナップが構成されています。
具体的には、メール本文・添付・URLを無害化する「SHIELDEX Mail」、ネットワーク分離環境でのファイル受け渡しを想定した「SHIELDEX File」、Webアクセスを隔離処理する「SHIELDEX Remote Browser」、ダウンロードファイルを安全に閲覧する「SHIELDEX File Online」を提供します。
危険要素を判定せず、安全と確認できる要素だけでファイルを再構築する方式で、サンドボックスのような実行処理を必要としません。日本では2017年に教育委員会や学校など文教市場向けに先行展開し、その後エンタープライズ・官公庁向けにも広げてきた経緯があります。
メール・ゲートウェイ搭載型
メール受信ゲートウェイで添付ファイルを無害化し、メール経路の対策を完結できるタイプです。まずメール経由の侵入対策を強化したい企業に向きます。製品によって、無害化が標準機能か、オプションや別製品との連携で実現するかが異なるため、各製品の位置づけを確認しながら読み進めてください。
6. m-FILTER MailFilter(デジタルアーツ株式会社)

デジタルアーツ株式会社のメールセキュリティ製品「m-FILTER」の中核機能で、社外からの攻撃メール対策と誤送信対策を担います。安全なメール送信元をデータベース化して正当な送信元かを判定する運用を基本に、本文中のURL検査や添付ファイルの検査を受信ゲートウェイで行います。添付ファイルの無害化機能は「m-FILTER メール無害化オプション」として提供されます。
添付ファイルは、削除・マクロ除去に加え、安全な要素だけで再構成する無害化処理(メール無害化オプション)に対応します。2026年2月には、外部ツールと連携せずm-FILTER単体で添付ファイルの無害化を実行できるオプションの提供が始まりました。
導入形態は、オンプレミス型、クラウド型(m-FILTER@Cloud)、別筐体のゲートウェイ型(m-FILTER EdgeMTA)から選べます。料金はライセンス数やオプションによって変わるため個別見積もりが基本で、無料試用版も用意されています。
7. IIJセキュアMXサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が運営する、クラウド型の統合メールセキュリティサービスです。受信時の迷惑メール・ウイルス・標的型攻撃メール対策と、送信時の情報漏えい・内部不正対策を、単一のクラウドゲートウェイでまとめて提供します。
導入形態は、既存メールサーバーの手前に設置するゲートウェイ構成、メールボックスまで委託するフルアウトソース構成、Microsoft 365・Google Workspaceと連携する外部クラウド連携の3種類です。なりすまし対策のSPF・DKIM・DMARCに標準対応し、添付ファイルの削除やURLリンクの無効化を行うメール無害化と、仮想環境で挙動を確認するサンドボックスはオプションで追加します。
料金はメールアドレス数とオプションに応じた個別見積もりで、最低利用期間は1ヵ月、1ヵ月の無料トライアルが用意されています。なお2024年8月には本サービスの設備が不正アクセスを受ける事案が公表されており、同社は不正アクセス経路を切り離し、現在は安全に利用できる状態と発表しています。
8. サイバーソリューションズ メールセキュリティ製品群(サイバーソリューションズ株式会社)

クラウドメール「CYBERMAIL Σ」や、セキュリティ機能を強化した「CYBERMAIL Σ ST」を中核に、無害化やアドオンまで複数の製品を組み合わせられるのが、サイバーソリューションズ株式会社のメールセキュリティ製品群です。既存のメール環境の状況に応じて、必要な防御レイヤーを選んで導入できます。
外部から届いたメールの添付ファイル・URLリンクを無害化してから社内サーバーへ転送するゲートウェイ型の「CYBERMAIL Σ-ST」や、Microsoft 365・Google Workspaceに日本仕様のセキュリティ機能を追加する「Cloud Mail SECURITY SUITE」を用意しています。
送信ドメイン認証はSPF・DKIM・DMARCに加え、転送メールに対応するARC認証にも対応します。
同社は2025年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、累計導入製品数3万・450万アカウント以上の実績を公表しています。Cloud Mail SECURITY SUITEは、1アカウントあたり月額200円から、50アカウントから契約でき、以降は10アカウント単位で追加できます。
9. FortiMail(フォーティネットジャパン合同会社)

米Fortinet, Inc.が開発する「Fortinet FortiMail」を、日本ではフォーティネットジャパン合同会社が提供するメールセキュリティ製品です。受信メールを「既知」「疑わしい」「未知」「ビジネスメール詐欺(BEC)」の4段階に自動で分類し、脅威の度合いに応じた防御を実行します。
添付ファイルの無害化にはCDR(Content Disarm and Reconstruction)機能を用います。添付の削除、HTMLの無害化、URLの除去を宛先ドメイン単位で設定でき、無害化前の原本は別途保管してWebメールから確認できます。未知のファイルはFortiSandboxと連携して動的解析にかけ、URLはクリックした時点で改めて検査する仕組みを備えます。
SPF・DKIM・DMARCによる送信ドメイン認証にも対応します。
導入形態は、アプライアンス、仮想マシン、クラウド(ゲートウェイ型/API型)から選べます。2025年の「Gartner® Magic Quadrant™ for Email Security」ではChallengerと評価されています。料金は非公開で、販売代理店経由の見積もりが基本です。
10. Fortra Clearswift Secure Email Gateway(Fortra, LLC)

アクティブコンテンツの除去と送信メールの情報漏えい対策(DLP)を、1つのゲートウェイに統合したメールセキュリティ製品です。もともと英Clearswift社が開発し、現在は米Fortra, LLCが提供しています。
Office・PDFなどのファイルからマクロやスクリプトといったアクティブコンテンツを除去する「Structural Sanitization」を採用し、安全と確認できない要素を除去して受け渡す再構築型のアプローチをとります。あわせて、文書中の個人情報やカード番号を自動で検出・マスキングする「Adaptive DLP」を同じ製品内に統合しています。
送信ドメイン認証はDMARC・DKIM・SPF・ARCに対応します。
導入形態はオンプレミスのほか、AWS Marketplace経由(BYOL)やマネージドサービスにも対応します。日本国内では日立ソリューションズ株式会社が2006年から正規販売代理店として取り扱っています。料金は非公開で、25ユーザーからの導入として案内されています。
11. Mail Defender(株式会社CYLLENGE)

「誤送信防止」「侵入防止」「証拠保全(アーカイブ)」の3つの機能を1製品にまとめた、株式会社CYLLENGE(旧・株式会社プロット)の統合メールセキュリティソリューションです。Microsoft 365やGoogle Workspace、オンプレミスのメールサーバーなど、既存のメール環境を変更せずに導入できるゲートウェイ型です。
標的型攻撃メール対策を担う侵入防止の機能では、SPF・DKIMの設定によるなりすまし検知、本文中URLの自動非リンク化、HTMLのテキスト変換を行います。添付ファイルの無害化は、同社の別製品「Fast Sanitizer」と連携するオプションで対応します。
クラウド、仮想アプライアンス、物理アプライアンスから選べ、利用アドレス数はコア数・容量に応じた課金のため無制限です。誤送信防止・侵入防止アプリのクラウド版は初期費用110,000円・月額38,500円(1コアプラン)からで、30日間の無料トライアルが用意されています。
国産・自治体/公共特化型
自治体の三層分離やLGWAN接続系での受け渡しに合わせて設計された国産中心のタイプです。日本語文書や国内の運用要件を重視する組織に向きます。
12. e-自治体 メール・ファイル無害化サービス(富士電機株式会社)

富士電機株式会社が電子行政ソリューションの一つとして提供する、自治体のネットワーク三層分離に対応したクラウド型(LGWAN-ASP)の無害化サービスです。インターネット接続系からLGWAN接続系へメールやファイルを受け渡す際に無害化処理を行い、庁内にサーバーを設置せずに導入できる点を公式に案内しています。
メール無害化と、ファイル無害化(セキュアファイル交換サービス)を、単体でも組み合わせでも導入できる構成をとります。メール側では本文・添付ファイルに加え、パスワード付き添付ファイルの無害化にも標準で対応します。
ファイル無害化では、インターネット接続系とLGWAN接続系の双方向のファイル交換や、外部との大容量ファイル交換に対応します。無害化できないメールや添付ファイルの原本を確認できるメール原本管理機能、上長承認機能はオプションとして用意されています。料金は初期導入費用と年間利用料(基本サービス+オプション)で構成され、金額は要問い合わせです。
13. FAS Technology/Fast Sanitizer(株式会社CYLLENGE)

株式会社CYLLENGE(旧・株式会社プロット)が開発した国産のファイル無害化技術が「FAS Technology」で、これを搭載して提供される商用製品が「Fast Sanitizer」です。自治体・教育委員会・金融機関など公共性の高い組織への導入を主な対象としています。
無害化の方式として、マクロやスクリプトを除去しつつファイルの編集可能性を保つCDR方式と、内容を画像に変換してセキュリティを優先する画像変換方式の2方式を用途に応じて選べるハイブリッド構成が特徴です。一太郎(jtd/jtdc)・花子・DocuWorksといった国内特有のファイル形式や、AutoCAD・JW CAD、zip/rar/7z/tarの圧縮ファイルにも対応します。
導入形態は、VMware ESXi・Hyper-V・KVM・Nutanix AHV・Azure・AWS上で動く仮想アプライアンスとクラウドAPIモデルがあり、接続方式はNAS・LBO(ICAP連携)・SMB・APIの4通りから選べます。料金はクラウド1コアプランで初期費用110,000円・月額38,500円が公式に示され、上位プランやアプライアンス版は要問い合わせです。
14. ファイル・メール無害化ASPサービス(株式会社両備システムズ)

共同利用型のLGWAN-ASPとして、株式会社両備システムズが自治体・公共機関向けに展開するサービスです。インターネット接続系で取り込んだファイルを無害化したうえで、LGWAN接続系の端末で受信できるようにします。
公式は、マクロやスクリプトの削除だけでなく、ファイルを構成要素まで分解し、再帰的に無害化したうえで原本性を保って再構成する処理を掲げています。既知の判定に頼らず、対象となるファイルをすべて無害化する設計思想を明示している点が特徴です。
民間企業や他自治体との大容量ファイル送受信、上長承認、メール本文と添付ファイルをまとめてPDF化するオプションに対応し、タブレットやスマートフォンからも利用できます。料金は利用職員数に応じた課金で、共同調達によるボリュームディスカウントや導入前のお試し利用が用意され、実額は要問い合わせです。
15. ファイル無害化 for LGWAN-ASP(株式会社エーティーエルシステムズ)

国産の無害化エンジン「サニタイザー」を搭載したLGWAN-ASPで、株式会社エーティーエルシステムズ(山梨県甲府市、2008年設立)が自治体向けに提供しています。エンジンは川口弘行合同会社が開発したもので、同社はこれを組み込んでクラウド型のサービスとして構築しています。
無害化は、ウイルスチェック、ファイル形式の走査、不正コードの混入走査、マクロ・スクリプトの除去、文書イメージのキャプチャ、ファイルの再構成という6段階の処理として公式に示されています。マクロなどを除去できない場合に、文書を画像化して内容を確認できるようにする処理を備えます。
対応ファイル形式には、Word・Excel・PowerPointに加え、一太郎・花子・三四郎などのジャストシステム製品、OpenDocument形式、PDF、JW_CAD・DXF・AutoCAD、Zip・LHAの圧縮ファイルなどが含まれます。利用はブラウザからのドラッグ&ドロップで完結し、庁内にサーバーなどのハードウェアを設置する必要がありません。
16. FileZen S(株式会社ソリトンシステムズ)

ネットワーク分離環境で「自分から自分」へファイルを安全に受け渡すことに特化したアプライアンス製品で、株式会社ソリトンシステムズが提供しています。自治体の三層分離や、金融・医療機関などの社内ネットワークとインターネットの分離環境で、インターネット接続系から内部への受け渡しを主な対象としています。
FileZen S自体は無害化エンジンを内製せず、ファイル無害化はOPSWAT MetaDefender CoreやVotiro Disarmerといった外部のCDR専門製品と自動連携して実現する構成です。FileZen S側は、ドラッグ&ドロップのファイル受け渡し、承認フロー、ログ記録、原本を長期保存するアーカイブといった受け渡し基盤の役割を担います。
ウイルスチェックはBitDefenderエンジンをオプションで搭載できます。
提供形態は、物理アプライアンス・仮想アプライアンス・Windows Server上で動くRemote Agentの3種類があり、ネットワーク構成に応じて選べます。導入事例では、山口県庁が約5,500人の利用環境で運用し、インターネット接続系から取り込んだファイルに起因するセキュリティインシデントは0件と公式に公表しています。料金は要問い合わせで、仮想アプライアンスの試用申込が用意されています。
まとめ
ファイル無害化サービスは、ウイルス対策ソフトでは防ぎきれない未知のマルウェアに、「検知」ではなく「危険要素の除去と再構築」で備える仕組みです。製品は、CDR専用エンジン型・メール・ゲートウェイ搭載型・国産・自治体/公共特化型の3タイプに分かれ、自組織のネットワーク環境とまず守りたい経路によって適した選択肢が変わります。
選定にあたっては、無害化方式と対応ファイル形式が業務に合うか、守りたい経路と提供形態が一致するか、同規模・同業界での実績があるかを軸に比較すると、過不足のない判断ができます。料金は要問い合わせが基本のため、条件をそろえて複数社の資料を取り寄せ、比較するのが近道です。まずは気になる製品の資料を取り寄せて、自組織の環境に合うかを確認してみてください。
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ファイル無害化サービスに関するよくある質問(FAQ)
Q. ファイル無害化とは何ですか?
A. ファイル無害化とは、ファイルに含まれるマクロやスクリプト、埋め込みオブジェクトなど危険になり得る要素を取り除き、安全な要素だけでファイルを作り直す(再構築する)セキュリティ技術です。この仕組みはCDR(Content Disarm and Reconstruction)とも呼ばれます。
脅威を「検知」するのではなく除去してしまうため、シグネチャに登録されていない未知の脅威にも備えやすいのが特徴です。
Q. ファイル無害化サービスはウイルス対策ソフトを導入していれば不要ですか?
A. ファイル無害化サービスは、ウイルス対策ソフトを導入していても併用する価値があります。ウイルス対策ソフトは既知の脅威を検知して防ぐ仕組みが中心で、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃はすり抜ける可能性があるためです。無害化を「入口で危険要素を除去する追加の防御層」として組み合わせることで、検知だけでは防ぎきれないリスクを抑えられます。
添付ファイルや外部からのファイル取り込みが多い組織ほど、併用の効果が高まります。
Q. ファイル無害化サービスは未知のマルウェアやゼロデイ攻撃にも効果がありますか?
A. ファイル無害化サービスは、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃に対しても一定の効果が期待できます。「怪しいかどうか」を判定してから防ぐのではなく、判定を待たずに危険になり得る要素を除去して安全な形に作り直すため、検知をすり抜ける未知の脅威にも備えやすい仕組みだからです。ただし、どの要素をどこまで除去するかは製品や設定によって異なり、無害化だけであらゆる脅威を100%防げるわけではありません。
ウイルス対策ソフトなど他の対策と組み合わせた多層防御が前提となります。
Q. ファイル無害化するとファイルのレイアウトや機能が崩れることはありませんか?
A. ファイル無害化では、ファイルによってはレイアウトが崩れたり、マクロなど元の機能の一部が使えなくなったりする場合があります。危険要素を除去して安全な要素だけで再構築する仕組み上、避けられない副作用です。影響を抑えるには、業務で日常的に使うマクロ付きの帳票やテンプレートを事前に用意し、無害化後の見た目や操作性を検証しておくことが欠かせません。
編集を続ける必要があるファイルには、元の形式を保ちやすい分解・再構築型の製品が向きます。
Q. メール添付ファイルだけを守りたい場合でもファイル無害化サービスは導入できますか?
A. メール添付ファイルだけを守りたい場合は、メール受信ゲートウェイで添付ファイルを無害化する「メール・ゲートウェイ搭載型」が導入しやすい選択肢です。入口がメールに絞られているため、受信時に無害化して安全な添付ファイルを配布する運用を、既存のメール環境に組み込む形で構築できます。
将来的にWebやファイル受け渡しなど複数の経路に広げたい場合は、複数経路に横断適用できるCDR専用エンジン型も視野に入れて検討するとよいでしょう。
Q. ファイル無害化サービスの料金・課金体系はどのようになっていますか?
A. ファイル無害化サービスの料金は、初期導入費用と月額または年間の利用料で構成されるのが一般的で、多くの製品は個別見積もりです。課金単位は製品によって異なり、自治体向けのASP型では利用職員数に応じた課金、無害化エンジンをAPIで組み込むタイプでは処理量やライセンス数に応じた課金となる例があります。
公開されている例では、クラウド版で初期費用110,000円・月額38,500円(1コアプラン)からといった価格が示されている製品もあります。見積もりを取る際は、守りたい経路・対象ユーザー数・オプションの要否を先に整理しておくと、製品間の条件をそろえて比較しやすくなります。
Q. 自治体向けと民間企業向けでファイル無害化サービスの選び方は変わりますか?
A. ファイル無害化サービスは、自治体(LGWAN三層分離)向けと民間ネットワーク向けで最適なタイプが変わります。自治体や三層分離を運用する組織は、インターネット接続系からLGWAN接続系への受け渡しに合わせて設計された「国産・自治体/公共特化型」が第一候補になります。
一方、民間企業でまずメール経由の対策を固めたい場合は「メール・ゲートウェイ搭載型」、複数の経路を全社で標準化したい場合は「CDR専用エンジン型」が向きます。まず自組織のネットワーク環境と守りたい経路を確認することが、選定の出発点になります。
Q. ファイル無害化サービスの提供形態(LGWAN-ASP・クラウド・アプライアンス)にはどのような違いがありますか?
A. ファイル無害化サービスの提供形態は、庁内・社内に機器を置かず利用できるLGWAN-ASP/クラウド型と、自組織のネットワーク内に設置するアプライアンス型(物理・仮想)に大きく分かれます。LGWAN-ASP・クラウド型はサーバーの設置や運用の負荷が小さく、短期間で導入しやすいのが利点です。
アプライアンス型は自組織のネットワーク構成に合わせて柔軟に配置でき、ネットワーク分離環境でのファイル受け渡し基盤としても使われます。自組織の運用体制やネットワーク構成に合わせて選びます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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