取引先に請求書を出すためだけに、事務所へ戻ってパソコンを開いていませんか。現場や訪問先での仕事が中心だと、請求書の作成が月末にまとめて溜まり、入金の確認まで手が回らなくなります。
スマートフォンのアプリで請求書を作れるサービスは増えました。ただしアプリの中で送付まで終わるのか、無料でどこまで使えるのか、インボイス制度の記載要件を満たした請求書を出せるのかは、サービスによって違います。「アプリあり」「無料プランあり」という表示だけでは、自分の使い方に合うかどうかは判断できません。
本記事では、スマートフォンだけで請求書の作成から送付まで回せる請求書作成アプリ12本を比較します。対応OS・無料で使える範囲の具体的な上限・インボイス制度と電子帳簿保存法への対応・会計ソフトへの受け渡しを横並びにしました。
1枚目を発行するまでの手順や、入金の確認・督促といった発行後の実務まで整理しています。
また、自分の使い方に合うアプリを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」と「請求書作成アプリの比較表」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事で紹介する請求書作成アプリの条件
本記事で取り上げるのは、次の条件を満たす12サービスです。
- スマートフォン(専用アプリまたはスマートフォンのブラウザ)だけで請求書を作成し、取引先に渡せること
- 適格請求書(インボイス)として必要な記載ができること
- 個人事業主や数名規模の事業者が、そのまま契約して運用できる料金体系であること
請求書の発行件数が多い、複数人の承認を経てから発行する、既存の販売管理システムと連携させたいといった場合は、パソコンでの利用を前提としたクラウドの請求書発行システムのほうが要件に合います。
スマートフォンだけで完結するという条件を外し、パソコンで使うものも含めて選びたい場合は、以下の記事で22サービスをタイプ別に整理しています。
請求書作成アプリとは|手書き・Excelから何が変わるのか
請求書作成アプリは、スマートフォンやタブレットの画面で請求書を作り、そのまま取引先へ送るためのツールです。取引先の情報や単価をあらかじめ登録しておけば、金額の計算と書式の体裁はアプリ側が処理します。
請求書作成アプリの主な機能
請求書作成アプリの機能は、大きく7つに分かれます。すべてのアプリがすべてを持っているわけではないので、自分に要る機能と要らない機能を切り分ける材料としてご覧ください。
- 帳票の作成:請求書のほか、見積書・納品書・領収書を同じ取引先情報から作れるものがあります
- 送付:作成した請求書をPDFにして、メール・リンク共有・メッセージアプリで送ります。郵送を代行する機能を持つものもあります
- 入金の管理:支払期日と入金の有無を請求書ごとに記録し、未入金のものを一覧で確認できます
- 取引先の管理:宛名・住所・敬称・支払条件を登録し、2回目以降の発行で入力を省きます
- 書式の設定:ロゴや印影の登録、テンプレートの選択、振込先口座の固定表示など
- 法制度への対応:適格請求書に必要な項目の入力欄、電子的に送った請求書の控えの保存
- 会計ソフトへの受け渡し:発行した請求書の売上を、同じ提供元の会計ソフトへ渡します
手書き・Excelからスマホアプリに切り替えるメリット
最も大きい変化は、請求書を作る場所と時間の制約が外れることです。作業を終えた直後に現場から請求書を出せるようになると、月末にまとめて処理する必要がなくなり、発行から入金までの期間も短くなります。
計算と転記のミスも減ります。数量と単価を入れれば小計・消費税額・合計はアプリが計算し、取引先の宛名や振込先は登録済みの情報から呼び出されます。前月のファイルをコピーして日付と金額だけ直す運用で起きがちな、宛名や請求月の直し忘れが起こりにくくなります。
発行の記録が残る点も、Excelとの違いです。いつ・どの取引先に・いくらの請求書を送ったかがアプリ内に一覧で残るため、入金があったかどうかを通帳と突き合わせる作業が楽になります。
スマホだけで作成から送付まで終わるのか|工程ごとの完結度
「スマホ対応」と書かれていても、どの工程までスマートフォンで終わるかはサービスによって違います。請求書を1枚出すまでには次の4つの工程があり、アプリはこのどこかで区切られていることがあります。

- 作成:取引先・品目・金額を入力して請求書の内容を組み立てる工程です。ほとんどのアプリがスマートフォンで完結します
- PDF化:作成した内容を、取引先に渡せる形式の書類として出力する工程です。ほとんどのアプリはこの工程までスマートフォンで終わります
- 送付:PDFをメール・リンク共有・メッセージアプリで取引先に届ける工程です。アプリ内から直接送れるもの、いったん端末に保存してから自分でメールに添付するもの、郵送の代行まで依頼できるものに分かれます
- 控えの保存:発行した請求書を自分の側で保管する工程です。クラウドに保存されるものと、端末の中だけに保存されるものがあります。後者は機種変更のときにデータの移行を自分で行う必要があります
特に確認しておきたいのが、3つ目の送付です。請求書を作れるだけのアプリだと、出力したPDFを自分でメールに添付する手間が毎回かかり、送信の記録もアプリ側には残りません。取引先ごとに送り方が違う場合は、メール・リンク共有・郵送のどれに対応しているかまで見ておくと、導入後に運用が止まりません。
本記事で取り上げる12本のうち、作成から送付までスマートフォンだけで終わることを提供元が公式に示しているのは11本です。残る1本は、作成とPDF化はできるものの送付の手段が公表されていません。対応OSでは、Androidでも使えるものが10本、Androidに対応しないものが2本です。
比較表では、この工程の完結度を対応OSとあわせて列にしています。比較表を見るときは、まず自分がどの工程までアプリに任せたいのかを決めてからご覧ください。
無料で使えるのはどこまでか|発行枚数・保存期間・課金が始まる条件
請求書作成アプリの多くは無料で使い始められますが、どこまで無料かはサービスごとにまったく違います。無料の線がどこに引かれているかを先に把握しておくと、使い始めてから「思っていたより早く有料になった」という事態を避けられます。
本記事の12本を無料枠の区切り方で数えると、次の分布になります。月あたりの発行枚数で区切るものが4本、年間の通数で区切るものが1本、枚数の上限を置かないものが3本。残りは、使える機能で区切るものが1本、無料枠を持たない買い切りが2本、無料の範囲が公式に示されていないものが1本です。
無料プランで上限が置かれやすいところ
無料の範囲を区切る条件は、おおむね次の5種類です。自分の請求業務がどの条件に引っかかりやすいかを考えると、比較表の読み方が定まります。
- 月あたりの発行枚数:もっともよく使われる区切りです。本記事の12本では30日で3件・月10通・月10枚・月15通に線が引かれており、月に10枚出す事業者なら8本が無料の範囲に収まります。月11枚以上になる月があると、月10通・月10枚で区切る2本が外れます
- 登録できる取引先数・ユーザー数:枚数ではなく取引先の数で区切るものもあります。ひとりで使う分には問題になりませんが、経理を手伝ってもらう人を追加すると有料になります
- 機能そのもの:作成は無料でも、PDFの出力や送付から課金するものがあります。この形式では、無料のままでは請求書を取引先に渡せません
- データの保存期間:作成した請求書を一定期間しか閲覧できない設計のものがあります。控えの保存を求められる書類なので、期間の条件は必ず確認しておきます
- 送付の手段:メール送信は無料でも、郵送の代行は1通ごとに費用がかかるのが一般的です
買い切り型のアプリでは、この考え方が変わります。最初に一度支払えば、以降は枚数に関係なく使い続けられます。本記事では、購入して初めて使える買い切り型が2本あり、いずれも2,500円です。このほかに、無料で入れたあと制限の解除を900円の買い切りで購入する形のものが1本あります。月に数枚しか出さない事業者にとっては、月額のかかるサービスより総額が小さくなることがあります。
なお、無料の範囲にこだわらないなら選択肢はさらに広がります。本記事の12本のうち、月額が1,000円以下に収まるものは5本あり、そのうち2本は月額500円です。月に10枚以上を安定して出すなら、無料枠の上限を気にしながら使うより、この価格帯の有料プランを前提に選んだほうが判断は早く済みます。
上限に達したときに何が起きるか
上限に達したときの挙動も、事前に見ておきたい点です。多くのサービスでは翌月まで新規の発行ができなくなるか、有料プランへの切り替えを求められます。事業が伸びて発行枚数が増えるのは望ましいことなので、そのときに切り替える先の料金と、切り替えで何が増えるのかも確認しておくと安心です。
あわせて、データを外に持ち出せるかも確認しておくと安心です。取引先の一覧や過去の請求書をCSVやPDFで書き出せれば、別のサービスへ移るときにも、税務調査で過去の書類を求められたときにも困りません。書き出しの手段がないアプリだと、そのサービスを使い続ける以外の選択肢がなくなります。
無料の上限がどうしても足りない場合や、外出先はスマートフォン・事務作業はパソコンという使い分けができる場合は、スマートフォン完結にこだわらず請求書作成ソフトまで候補を広げる手もあります。以下の記事では、18サービスの無料プランで使える範囲とインボイス・電子帳簿保存法への対応を横並びにしています。
無料枠の上限や有料プランの条件は、各社の資料でまとめて確認できます。
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インボイス制度・電子帳簿保存法にアプリで対応できるか
アプリを選ぶうえで確認しておきたいのが、制度の要件を満たした請求書を出せるか、そして出した請求書の控えを正しく残せるかです。ここでは制度そのものの解説ではなく、アプリが自動で処理してくれる部分と、自分の設定・運用として残る部分を分けて整理します。

先に結論を書きます。ひとりから数名の規模で請求書を出している場合、実際にやることは次の3つに収まります。
- アプリの自社情報に登録番号を入れ、税率ごとの区分が入った請求書が出るかを1枚発行して確かめる
- アプリから電子的に送った請求書は、印刷して綴じるだけで終わらせず、データのまま残す
- 改ざん防止の措置として、アプリに訂正・削除の履歴が残る仕組みがない場合は、国税庁が公開している事務処理規程のひな形を1枚用意しておく
以下はこの3つの背景と、細かい条件の説明です。
適格請求書に必要な記載事項と、アプリが自動で埋める項目
適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、取引先から求められたときは適格請求書を交付する義務があります(消費税法第57条の4)。国税庁のパンフレットは、この点を次のように示しています。
売手は軽減税率対象品目の販売の有無にかかわらず、取引先(課税事業者)から求められた場合には、適格請求書を交付しなければなりません。
出典:適格請求書等保存方式の概要 ‐インボイス制度の理解のために‐(令和8年5月改訂)|国税庁
その適格請求書に記載しなければならない事項は、次の6つです。
出典:適格請求書等保存方式の概要 ‐インボイス制度の理解のために‐(令和8年5月改訂)|国税庁
- ① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- ② 取引年月日
- ③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
- ⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
同じ資料は、この6項目のうち①の登録番号、④の適用税率、⑤の税率ごとに区分した消費税額等に下線を引き、「下線の項目は、特に留意すべき事項です。」と注記しています。アプリを選ぶときに見るべきなのも、この3点です。
登録番号は自社の情報として一度登録すれば以降は自動で印字されます。適用税率と消費税額は、品目ごとに8%と10%を切り替えられるか、そして税率ごとに分けて集計されるかがアプリの機能に左右されます。1枚の請求書に軽減税率の対象品目と対象外の品目が混ざる業種では、この切り替えができるかを確認してください。逆に、工事や役務の提供だけで8%の品目が出ない業種であれば、この点は気にしなくて構いません。
なお、書式そのものに決まりはありません。
様式は、法令又は通達等で定められておらず、必要な事項が記載されたものであれば、名称を問わず、また、手書きであっても、適格請求書に該当します。
出典:適格請求書等保存方式の概要 ‐インボイス制度の理解のために‐(令和8年5月改訂)|国税庁
アプリのテンプレートの見た目が各社で違っても、6項目が入っていれば適格請求書として成立します。テンプレートのデザインより、必要な項目の入力欄がそろっているかを見てください。
発行した請求書の控えをどう保存するか
アプリからPDFをメールで送る運用は、制度上そのまま認められています。国税庁のパンフレットも「書面での交付に代えて、電磁的記録により提供することもできます」としています。ただし、電子的に送った場合は控えの残し方が変わります。
取引に関して、書面でやりとりしていた場合に保存が必要な書類(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など)に相当する電子取引データを受領又は交付した場合、その電子取引データの電子保存が義務付けられています。
出典:電子取引データを適切に保存できていますか?(令和6年11月)|国税庁
「受領又は交付」とあるとおり、この義務は請求書を送った側にもかかります(電子帳簿保存法第7条)。アプリからメールで送った請求書は、印刷して綴じるだけでは足りず、電子データのまま残す必要があります。
やや込み入っているのは、消費税法上の扱いとの違いです。消費税法施行規則第26条の8第2項は、適格請求書の写しについて電子データを出力した書面で保存する方法も認めています。一方、電子帳簿保存法第7条にもとづく電子取引データの保存は紙で代替できません。「印刷して保管しておけば全部済む」わけではない点は押さえておいてください。
電子取引データの保存で求められるのは、国税庁のリーフレットによれば次の3つです。
出典:電子取引データを適切に保存できていますか?(令和6年11月)|国税庁
- ① 改ざん防止のための措置をとること
- ② 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること
- ③ 「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できること
①はアプリ側の作りに関わります。訂正・削除の履歴が残る仕組みで保存されるアプリならこれで満たせますし、そうでなければ改ざん防止のための事務処理規程を自分で用意して備え付けることになります。国税庁は規程のサンプルを公開しているので、そちらを使えば作成の手間は小さく済みます。
②の備付けについては、スマートフォンだけで仕事をしている人に向けた説明が国税庁の資料にあります。
スマートフォンのみで取引を行っている場合など、パソコンやプリンタ等を保有していない場合でも、近隣の有料プリンタ等により速やかに出力できれば、この備付け要件を満たしているものと取り扱われます。
出典:電子取引データ保存要件チェックシート(令和6年11月)|国税庁
パソコンとプリンタを持っていないことは、それ自体が要件違反にはなりません。スマートフォンだけで請求業務を回す前提でも、制度への対応は成り立ちます。
③の検索については、緩和があります。
注 「基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下の方」等は、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしていれば、③の検索要件を満たす必要はありません。
出典:電子取引データを適切に保存できていますか?(令和6年11月)|国税庁
2年前の売上高が5,000万円以下であれば、日付・金額・取引先で検索できる機能がアプリになくても要件を満たせます(電子帳簿保存法施行規則第4条第1項)。ただし条件は「ダウンロードの求めに応じられること」なので、アプリから請求書データを取り出せるかどうかは変わらず確認しておきたい点です。
なお、①から③に対応しきれない場合の猶予措置も現行制度に置かれています。所轄税務署長が相当の理由があると認め、税務調査でデータのダウンロードと書面の提示に応じられる状態であれば、電子取引データを保存しておくだけで差し支えありません(同規則第4条第3項)。事前の届出は不要で、システム整備が間に合わないといった事情も相当の理由として認められます。
それでもデータを消さずに残しておくこと自体は必須です。無料プランの保存期間が短いアプリを使う場合は、期限が来る前に手元へ書き出しておく運用が要ります。
保存の期間は、根拠となる税目で異なります。交付した適格請求書の写しは、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間の保存が必要です。所得税の青色申告における請求書等の保存は5年間とされています。
適格請求書発行事業者であれば、長いほうに合わせることになります。実務上は、請求書を出した年の翌年の3月から数えて7年間(発行日からは最長で8年ほど)消さずに持っておくと考えておけば足ります。
出典・参考資料(2件)
登録番号がない場合・免税事業者の場合の扱い
適格請求書発行事業者の登録を受けていない場合でも、請求書そのものは問題なく発行できます。
※ 適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者であっても、適格請求書に該当しない請求書等は発行することができます。
※ 登録を受けていない事業者が、適格請求書と誤認されるおそれのある書類を交付することは、法律によって禁止されており、違反した場合の罰則も設けられています。
出典:適格請求書等保存方式の概要 ‐インボイス制度の理解のために‐(令和8年5月改訂)|国税庁
実務上の注意はここにあります。アプリのテンプレートには登録番号の入力欄が用意されています。登録を受けていないのに番号らしき文字列を入れると、適格請求書と誤認されるおそれのある書類の交付にあたる可能性があります(消費税法第57条の5)。登録がない場合は、その欄を空欄のままにしてください。
登録を受けるかどうかは事業者の任意です。免税事業者のままでも取引先は当面のあいだ仕入税額相当額の一定割合を控除できますが、その割合は段階的に下がります。2026年9月30日までは80%、2026年10月1日からは70%、その後は50%、30%と下がり、令和13年(2031年)10月1日以降は控除できなくなります。取引先との関係でこの割合が話題になったときの目安として覚えておくとよいでしょう。
請求書作成アプリのタイプ|自分はどれを選べばよいか
請求書作成アプリは、どこまでを引き受ける設計になっているかで4つに分かれます。自分の使い方に近いタイプから見ていくと、候補を数本まで絞れます。

ひとりで請求書だけをすばやく出したい人向け
請求書と見積書の作成・送付に機能を絞ったアプリです。アカウント登録が軽く、アプリを入れたその日から使い始められます。料金は買い切りか少額の月額で、月あたりの発行枚数が少なければ無料のまま使えるものもあります。
会計ソフトとの連携や入金の消込(入金と請求書の照合)といった機能は持たないか、あっても簡易です。請求書を出すこと自体が目的で、帳簿づけは別のやり方で回している人に向きます。
無料のまま会計・確定申告までつなげたい人向け
同じ提供元の会計ソフトや確定申告サービスとデータがつながるアプリです。発行した請求書の売上がそのまま帳簿に載るため、確定申告の時期に売上を集計し直す作業がなくなります。
請求書の作成・送付だけであれば無料で使えるものが多く、費用がかかるのは会計ソフト側の契約からというケースが目立ちます。すでに同じ提供元の会計ソフトを使っている、あるいはこれから確定申告まで一つにまとめたい人に向きます。
ただし、このタイプには「無料で使える枠が大きく、国内の会計ソフトとの連携は公式に案内されていない」ものも含まれます。連携が目的なら、比較表の会計ソフト連携の欄に連携先の名前が入っているかを確かめてください。
請求のあとの入金・消込まで見たい人向け
請求書を送ったあとの入金があったかどうかの追跡、支払期日を過ぎたときの督促、決済との連動まで含むアプリです。請求書ごとに支払状況が表示されるため、通帳と突き合わせる作業が不要になります。
取引先が10社を超えて「どこから入金があったか分からない」状態が出てきた段階で効いてきます。オンライン決済を組み合わせられるものなら、振込を待たずにカード払いで回収する選択肢も持てます。
現場仕事の見積・請求をその場で回したい人向け
工事やリフォームのように、現場で見積を出してそのまま請求まで進む働き方に寄せたアプリです。現場の写真を書類に添付する、印影を撮影して登録するといった、事務所に戻らないことを前提にした機能を持ちます。
汎用のアプリでも請求書自体は作れますが、見積から請求までの流れを現場で完結させたい場合は、業種に合わせた項目立てになっているぶん入力の手数が減ります。
しかし、自分の使い方がどのタイプに近いか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも、自分の使い方に合うサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
請求書作成アプリの選び方
候補を自分の条件に当てはめて絞り込む判断軸は5つです。比較表を見る前にどの軸を優先するかを決めておくと、選定が早く終わります。
iPhone・Androidへの対応と、アプリから送れる手段は自分に合うか
まず確認するのは、自分の端末で動くかどうかです。iOS専用のアプリは少なくなく、Androidを使っている場合は候補がそのまま外れます。ブラウザで動くサービスなら端末を選びませんが、その場合はアプリのように通知やオフライン利用ができるとは限りません。
あわせて見たいのが、取引先への届け方です。メールで送るのが基本ですが、取引先によってはメッセージアプリでのリンク共有を求められることも、紙での受け取りを希望されることもあります。郵送まで頼めるアプリなら、宛名書きと投函の手間がなくなる代わりに1通あたりの費用がかかります。取引先ごとの受け取り方が分かれている場合は、送付手段の幅が広いアプリを選んでおくと運用が止まりません。
無料の範囲と法制度対応が、自分の使い方で足りるか
ここでやることは1つです。直近3か月に自分が出した請求書の枚数を数え、比較表の「無料で使える範囲」の欄と突き合わせてください。多い月の枚数で見るのが安全です。上限に達したあと有料へ切り替えるのか、買い切り型に乗り換えるのかまで想定しておくと、あとで慌てずに済みます。
あわせて、無料プランのままでも適格請求書の記載と電子データの保存ができるかを確認してください。登録番号や税率区分の入力が有料機能に含まれているアプリだと、無料で使い続ける前提が崩れます。
入金の確認・督促と会計ソフトへの受け渡しまで追えるか
請求書を出したあとの工程を、同じアプリに任せるかどうかの判断です。入金の消込を手作業でやっている場合、請求書ごとの支払状況がアプリに表示されるだけで、通帳と1件ずつ突き合わせる作業がなくなります。
会計ソフトへの受け渡しも同じ観点です。連携があれば発行と同時に売上が帳簿に反映されますが、連携がなければ確定申告の時期に請求書を1枚ずつ入力し直すことになります。すでに使っている会計ソフトがあるなら、そのソフトと同じ提供元のアプリを選ぶのが最も手数が少なくなります。
記帳を税理士に任せていて自分では会計ソフトを持っていない場合は、連携先の名前より、発行した請求書をCSVやPDFでまとめて書き出せるかを見てください。年に一度まとめて渡す運用は、書き出しの手段があれば足ります。
会計ソフトをまだ決めていないなら、先に会計ソフト側を選んでから同じ提供元のアプリに寄せる順序も取れます。以下の記事では、個人事業主・フリーランス向けの会計ソフトを料金・青色申告65万円控除の要件・e-Taxへの対応で比較しています。
見積書・納品書もあわせて作れるか
取引の流れの中で見積書や納品書も出しているなら、同じアプリでまとめて作れるかを見ておきたいところです。見積書の内容をそのまま請求書に引き継げるアプリなら、金額や品目を入れ直す必要がなくなり、転記のミスも起きません。
請求書しか出さない業種であれば、この軸は優先度が下がります。帳票の種類が多いアプリほど画面が複雑になる面もあるため、使う書類だけで足りるかどうかで判断してください。
サポート体制とデータの持ち出しやすさ
個人開発のアプリでは、問い合わせ先がアプリストア経由のみというケースがあります。請求書は締め日の前後に集中して使うため、その時期に操作で詰まったときに聞ける先があるかどうかは、料金以上に効いてくることがあります。
データを外へ書き出せるかも確認してください。書き出しの可否は、乗り換えのときだけでなく、電子取引データの保存で求められる「ダウンロードの求めに応じられる状態」にも効いてきます。
料金プランや対応機能をまとめて見比べたい場合は、各社の資料を一括で取り寄せられます。
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【比較表】請求書作成アプリを横並びで比べる
ここからは、本記事で紹介する請求書作成アプリ12本を、前述の4つのタイプに分けて比較します。対応OSとスマートフォンだけで送付まで終わるか、無料で使える範囲の具体的な上限を先に並べ、そのあとに料金・法制度対応・連携を置いています。
ひとりで請求書だけをすばやく出したい人向けのアプリ
| サービス名 | ジムー | スマホで請求書 | SmartForm | Estilynx | シンプル請求書 |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | エフアンドエムネット株式会社 | アプリ929(個人開発) | whitez(個人開発) | LOADLYNX | gevvoihorry(個人開発) |
| 対応OS | iOS 14.3以降 Android | iOS 17.6以降 (Android版なし) | iOS 26.0以降 (Android版なし) | iOS 15.0以降 Android | iOS 15.0以降(iPhoneのみ) Android |
| スマホだけで送付まで完結 | ● | 公式に記載なし (送付手段の記載なし) | ● | ● | ● |
| 無料で使える範囲 | 請求書は月15通まで 見積書は上限なし | 公式に記載なし (課金前に出せる枚数の記載なし) | なし (買い切り購入が前提) | なし (Androidのみ無料の評価版あり) | 上限なし (全機能を無料で利用可) |
| 有料プラン | プレミアムプラン 月額500円(税込) | 買い切り 制限解除 900円 分析レポート 120円 | 買い切り 2,500円 | 買い切り 2,500円(iOS版) | なし |
| インボイス制度対応 | ●記載項目は公式に記載なし | ●記載項目は公式に記載なし | ●登録番号・軽減税率に対応 | ●登録番号・軽減税率に対応 | △税率は請求書単位での切り替え |
| 電子帳簿保存法対応 | △アプリ内課金の電子署名を使う場合 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 作成できる帳票 | 請求書・見積書・注文書 納品書・検収書・領収書 (一部はプレミアム限定) | 請求書・見積書 納品書・領収書 | 請求書・見積書・納品書 領収書・発注書 | 請求書・見積書・納品書 発注書・注文書・領収書ほか | 請求書のみ |
| 会計ソフト連携 | CSV出力のみ (プレミアムプラン) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 入金管理・督促 | △入金ステータスの確認のみ | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 郵送代行 | ●1通 200コイン(iOS)/270コイン(Android) | 公式に記載なし | ×(送付状の作成には対応) | 公式に記載なし (コンビニ印刷には対応) | 公式に記載なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※記号の意味:●=公式に対応と記載/△=条件付き・一部のみ対応/×=対応しない/「公式に記載なし」=その項目について提供元の公式情報で確認できなかったもの。2026年8月時点の各社公式情報(公式サイト・アプリストアの掲載情報)にもとづきます。料金・機能は変更される場合があるため、申し込み前に各社の最新情報をご確認ください。
無料のまま会計・確定申告までつなげたい人向けのアプリ
| サービス名 | freee請求書 | Misoca | INVOY | Zoho Invoice |
|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | フリー株式会社 | 弥生株式会社 | FINUX株式会社 | ゾーホージャパン株式会社 |
| 対応OS | iOS 16以降・Android 9以降 ブラウザ | iOS・Android ブラウザ | ブラウザのみ (専用アプリなし) | iOS・Android ブラウザ |
| スマホだけで送付まで完結 | ● | ● | ●スマホのブラウザで完結 | ● |
| 無料で使える範囲 | 発行枚数の上限なし (個別の作成・メール送付) | 請求書は月10通まで | 口座自動連携・資金繰り表 以外の全機能 | 年間500通・2ユーザー 3プロジェクト・2組織まで (英語版の料金ページ記載) |
| 有料プラン | スタンダード 月額1,980円 アドバンス 月額10,000円 | プラン15(ライト) 月額500円(税込)〜 | Standard 月額980円(税込) | 公式の料金ページに 有料プランの記載なし |
| インボイス制度対応 | ●無料プランでも作成可 | ● | ● | ●登録番号はカスタム項目で対応 |
| 電子帳簿保存法対応 | ● | ● | ●JIIMA認証取得 | △電子取引のみ(スキャナ保存は非対応) |
| 作成できる帳票 | 請求書・見積書・納品書 発注書・領収書 | 請求書・見積書・納品書 領収書(アプリの場合) | 請求書・見積書・納品書 発注書・領収書 | 請求書・見積書 |
| 会計ソフト連携 | freee会計 | 弥生会計 やよいの青色申告 | freee・マネーフォワード 弥生会計 | 国内の会計ソフトは 公式に記載なし |
| 入金管理・督促 | △入金消込はアドバンスプラン | △入金・売上情報の管理のみ | 公式に記載なし | ●支払期日の自動リマインダー |
| 郵送代行 | ●1通187円(税込、有料プラン) | ●単価は公式に記載なし(無料プランはお試し1枚) | ●別途費用(単価は非公開) | 公式に記載なし |
| 詳細情報 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※記号の意味:●=公式に対応と記載/△=条件付き・一部のみ対応/×=対応しない/「公式に記載なし」=その項目について提供元の公式情報で確認できなかったもの。2026年8月時点の各社公式情報(公式サイト・アプリストアの掲載情報)にもとづきます。料金・機能は変更される場合があるため、申し込み前に各社の最新情報をご確認ください。
請求のあとの入金・消込まで見たい人向けのアプリ
| サービス名 | Square 請求書 | 請求書FinFin |
|---|---|---|
| 提供会社 | Square株式会社 | 会計バンク株式会社 |
| 対応OS | iOS・Android ブラウザ | iOS・Android |
| スマホだけで送付まで完結 | ● | ● |
| 無料で使える範囲 | 発行枚数の上限なし (費用は決済手数料のみ) | 作成・取り込みが各月10枚まで (45日を過ぎると閲覧・DL不可) |
| 有料プラン | プラスプラン 月額3,000円 (別途 決済手数料3.25%) | 月額940円(年払い・税込) 月額1,318円(月払い・税込) |
| インボイス制度対応 | △公式コミュニティで登録番号の設定に言及 | ●記載項目は公式に記載なし |
| 電子帳簿保存法対応 | 公式に記載なし | ●保存要件は公式に記載なし |
| 作成できる帳票 | 請求書・見積書 | 請求書・見積書 納品書・領収書 |
| 会計ソフト連携 | freee・マネーフォワード | 公式に記載なし |
| 入金管理・督促 | ●自動リマインダー・支払状況の追跡 | △機能の詳細は公式に記載なし |
| 郵送代行 | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 詳細情報 | 詳細を見る | 公式サイト |
※記号の意味:●=公式に対応と記載/△=条件付き・一部のみ対応/×=対応しない/「公式に記載なし」=その項目について提供元の公式情報で確認できなかったもの。2026年8月時点の各社公式情報(公式サイト・アプリストアの掲載情報)にもとづきます。料金・機能は変更される場合があるため、申し込み前に各社の最新情報をご確認ください。
現場仕事の見積・請求をその場で回したい人向けのアプリ
※記号の意味:●=公式に対応と記載/△=条件付き・一部のみ対応/×=対応しない/「公式に記載なし」=その項目について提供元の公式情報で確認できなかったもの。2026年8月時点の各社公式情報(公式サイト・アプリストアの掲載情報)にもとづきます。料金・機能は変更される場合があるため、申し込み前に各社の最新情報をご確認ください。
タイプをまたいで条件から絞りたいとき
タイプ別に分けた4つの表を横断して、よく使われる条件で数えると次のようになります。表を上から順に見なくても、自分に外せない条件から候補を絞り込めます。
- Androidでも使える:12本中10本。残る2本はiPhone・iPad専用です
- 月10枚を無料で出せる:8本。月11枚以上になる月があると6本に減ります
- 郵送の代行を頼める:5本。うち1通あたりの費用が円で公表されているのは1本(187円・税込)で、2本はアプリ内のコイン建て、2本は単価が公表されていません
- 会計ソフトの連携先の名前が挙がっている:5本。それ以外はCSVでの書き出しか、連携についての記載がありません
- 入金の追跡や督促の機能がある:支払期日のリマインダーまで持つものが2本、入金ステータスの確認までが3本、有料の上位プランで入金の消込まで対応するものが1本です
- 月額が1,000円以下:5本(うち2本は月額500円)。買い切りは2本で、いずれも2,500円です
請求書作成アプリの個別紹介
ここからは、各アプリの対応OS・無料で使える範囲・インボイス制度と電子帳簿保存法への対応・送付の手段を、それぞれの公式情報にもとづいて紹介します。料金は2026年8月時点の各社公表情報です。
ひとりで請求書だけをすばやく出したい人向けのアプリ
請求書の作成と送付に機能を絞り、少ない手数で1枚を出せるアプリです。買い切りのものと、無料枠を持つものがあります。
1. ジムー(エフアンドエムネット株式会社)

エフアンドエムネット株式会社が2014年から提供している帳票作成アプリです。iOS 14.3以降とAndroidの両方に対応し、見積書・請求書・納品書・領収書など6種類の書類を作成できます。インボイス制度への対応は、公式サイトとApp Storeの説明文に明記されています。
作成からプレビュー、送付までをアプリ内で終えられ、送り方はメール・FAX・郵送から選べます。郵送はアプリから日本郵便経由の代行を申し込む形で、1通あたりiOS版200コイン・Android版270コインのアプリ内課金がかかります。電子帳簿保存法については、同じくコインを使った電子署名を付けた場合に対応すると説明されています。
料金は無料プランとプレミアムプラン(月額500円・税込)の2本立てです。無料プランでも見積書は無制限に作成でき、請求書は月15通まで発行できます。プレミアムプランでは請求書の枚数制限がなくなり、注文書や納品書といった帳票、会計データのCSV出力も使えるようになります。
2. スマホで請求書(アプリ929)

月額課金がなく、必要な機能をアプリ内課金で買い足す形の請求書作成アプリです。屋号「アプリ929」の個人開発者が提供しており、請求書・納品書・見積書・領収書の4種類を作成できます。Android版は公開されておらず、使えるのはiPhoneとiPadに限られます。
アプリ内課金は「すべての制限を解除」が900円、「分析レポート」が120円で、いずれも買い切りです。ただし課金前に何通まで発行できるかといった無料の範囲は、App Storeの説明文にも開発元のサイトにも書かれていません。
インボイス制度への対応は説明文に明記されていますが、登録番号欄や税率ごとの区分をどう扱うかまでの説明はありません。送付についても、データの書き出しとAirPrint対応プリンターでの印刷は明記がある一方、アプリから直接メールで送れるかは公式の説明から確認できません。電子帳簿保存法についての記載も見当たりません。
本記事で紹介する12本のなかでは、公式に確認できる情報がもっとも少ないアプリです。候補に入れるなら、900円の課金前に無料の範囲で1枚作り、登録番号と税率の区分が入るか、その書類を取引先に送れるかを自分の目で確かめてから判断してください。
3. SmartForm(whitez)

通信環境がなくても書類を作成できる、買い切り型の帳票作成アプリです。屋号whitezの個人開発者が提供しており、見積書・納品書・請求書・領収書・発注書の5種類に対応します。動作するのはiPhone・iPad・Mac・Apple Vision Proで、Android版はありません。
作成した書類はPDFとして保存され、LINE・メール・AirPrintでの印刷・Dropboxへの保存から送り方を選べます。郵送やFAXに添える送付状も作れますが、投函までを代行する仕組みではないため、紙で届ける場合は自分で印刷して送ることになります。
料金は買い切りで、App Storeの表示価格は2,500円です(2026年8月時点)。動作にはiOS 26.0以降が必要で、無料で試せる体験版も公式には案内されていないため、購入前に手元の端末のiOSバージョンを確認してください。インボイス制度については登録番号の記載欄と軽減税率の区分記載への対応が明記されている一方、電子帳簿保存法への言及はありません。
4. Estilynx(LOADLYNX)

LOADLYNXが提供するEstilynx(エスティリンクス)は、iPhone・iPad・Androidのいずれでも使える買い切り型の帳票作成アプリです。見積書・請求書・納品書・発注書などに対応し、250種類以上の帳票デザインから選べます。
書類の作成からPDF出力、メールでの送信、Dropbox・iCloudへのバックアップまでがアプリ内で完結します。郵送を代行する機能についての記載は公式サイト・App Storeのいずれにも見当たりませんが、コンビニ印刷に対応しているため、自宅にプリンターがなくても紙の書類を用意できます。オフラインでも動作します。
iOS版の価格は2,500円(税込)で、月額費用やアップデート費用はかからないと公式サイトに明記されています。Androidでは無料の「評価版」が別アプリとして公開されており、購入前に試せます。
インボイス制度については、登録番号の設定と印字、軽減税率対象品目への記号表示がApp Storeの更新履歴に記載されています。電子帳簿保存法への対応についての記載は、公式サイト・App Storeのいずれにも見当たりません。
5. シンプル請求書作成アプリ – 請求書メーカー(gevvoihorry)

請求書の作成だけに機能を絞ったアプリです。屋号gevvoihorryの個人開発者が公開しており、App Store・Google Playでの名称は「シンプル請求書作成アプリ – 請求書メーカー」です。見積書や納品書は作成できません。iPhoneとAndroidに対応し、iPadは対象外です。
広告表示もアプリ内課金も会員登録もなく、全機能を無料で使えます。請求月・発行日・明細を入力すれば請求書ができ、作成したPDFはLINEやメールでそのまま送信できます。明細は26件まで入力でき、超えた分は2ページ目に自動で送られます。
インボイス制度については、登録番号の記載に対応すると明記されています。ただし税率は設定画面で10%と8%を切り替える方式で、1枚の請求書に両方の税率が混ざる場合の区分記載までは公式の説明から確認できません。
データは端末内にのみ保存され、クラウド同期の記載もないため、機種変更時の移行方法は事前に確かめておく必要があります。電子帳簿保存法への対応についての記載も見当たらず、送った請求書の控えをどう残すかは自分で決めることになります。
無料のまま会計・確定申告までつなげたい人向けのアプリ
請求書の発行から会計・確定申告までを同じ提供元でそろえられるアプリです。請求書の作成・送付だけであれば無料で使えるものが多くなっています。
6. freee請求書(フリー株式会社)

会計ソフトのfreee会計を提供するフリー株式会社の請求書作成サービスです。2023年9月にスマートフォンアプリが加わり、iOS 16以上・Android 9以上の端末で利用できます。
アプリだけで請求書・見積書・納品書・発注書・領収書の5種類を作成し、そのままメールで送付できます。無料プランでも発行できる枚数に制限はなく、適格請求書の作成もこの範囲で行えます。作成した帳票は電子データとして保存され、紙の原本を残す必要はないと公式ヘルプに記載があります。
発行した請求書はfreee会計の「取引」として登録でき、請求から記帳までを同じ提供元でつなげられます。一括発行・一括メール送付と1通187円(税込)の郵送代行はスタンダード(月額1,980円)以上、入金消込と債権管理はアドバンス(月額10,000円)の機能です。
7. Misoca(弥生株式会社)

見積書・納品書・請求書・領収書を同じ入力フォームから作成できるクラウドの請求書作成ソフトです。提供元は弥生会計・やよいの青色申告を展開する弥生株式会社で、ブラウザとスマートフォンアプリの双方から利用できます。
アプリはiOS・Androidの両方にあり、見積書・納品書・請求書の作成からメール送付、郵送代行の依頼までをアプリ内で終えられます。無料プランで作成できる請求書は月10通までで、これを超える場合はアプリ内課金で契約するプラン15(ライト)が月額500円(税込)・月15通までという段階になります。
プラン15(ライト)を契約すると、ブラウザ版のMisocaも同じ条件で使えます。発行した請求書は弥生会計・やよいの青色申告と連携して仕訳・帳簿入力へ引き継げるほか、インボイス制度と電子帳簿保存法にも対応します。郵送代行は有料プラン向けの機能で、無料プランにはお試し用の無料チケットが1枚付きます。
8. INVOY(FINUX株式会社)

専用アプリを入れずに、スマートフォンのブラウザだけで請求書の作成・発行・メール送信まで行えるクラウド請求管理サービスです。運営はOLTA株式会社の子会社であるFINUX株式会社で、パソコンを立ち上げる必要はないと公式サイトに明記されています。
無料のFreeプランで請求書・見積書・発注書・納品書・領収書の5種類を作成でき、見積書から納品書、請求書へとボタン操作で変換できます。口座の自動連携と資金繰り表の作成を除く全機能が無料で使え、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応もこの範囲に含まれます。
会計ソフトはfreee・マネーフォワード・弥生会計との連携に対応します。有料のStandardプランは月額980円(税込、年払いは9,800円)で、銀行口座の自動連携と資金繰り表の作成が加わります。郵送代行も用意されていますが、費用は別途かかり、単価は公表されていません。
9. Zoho Invoice(ゾーホージャパン株式会社)

請求書と見積書の作成・発行に機能を絞ったサービスで、ゾーホージャパン株式会社が提供します。iOS・Androidのアプリがあり、テンプレートを選んで請求書を作り、メールで送るところまでをスマートフォンで行えます。
日本語の料金ページは「¥0」の1プランのみを掲げていますが、英語版の料金ページには2ユーザー・年間500通・3プロジェクト・2組織までという上限が記載されています。日本語ページには英語版の翻訳にもとづくとの注記があるため、無料で使える範囲はこの上限内と見ておくのが安全です。
適格請求書は、登録番号をカスタム項目として追加し、税率ごとの消費税額を表示する設定で対応します。電子帳簿保存法については、電子取引データの保存要件には対応する一方、紙で受け取った書類のスキャナ保存要件には対応しないと公式に案内されています。郵送代行と国内の会計ソフトとの連携は、公式に案内が見当たりません。
請求のあとの入金・消込まで見たい人向けのアプリ
請求書を送ったあとの入金状況の追跡や督促まで、同じアプリで確認できるサービスです。
10. Square 請求書(Square株式会社)

決済サービスのSquareを日本で提供するSquare株式会社(米Block, Inc.の日本法人)の請求書機能です。請求書と見積書の作成・送付には枚数の上限がなく、費用がかかるのは取引先がカードなどで支払ったときの決済手数料(請求書経由3.25%)だけです。
支払状況は請求書ごとにリアルタイムで追跡でき、未払いの取引先には自動リマインダーが送られます。毎月同じ内容を請求する定期請求書やレポート作成も、無料のフリープランのまま利用できます。入金は最短翌営業日で、振込手数料はかかりません。
アプリはiOS・Androidの両方にあり、取引先のメールアドレスと請求額を入力して送信する手順で、作成から送付までアプリ内で終わります。送付の手段はメール・SMS・支払いリンクで、紙の郵送を代行する機能については公式サイトに記載がありません。
テンプレートのカスタマイズなどが加わる有料プランは月額3,000円です。インボイス制度・電子帳簿保存法への対応範囲は公式の機能ページに明示されていないため、適格請求書として必要な記載を満たせるかは、申し込み前に確認しておくと安全です。
11. 請求書FinFin(会計バンク株式会社)

会計ソフトのソリマチグループでFinTech事業を担う会計バンク株式会社が、確定申告FinFin・開業FinFinと同じシリーズとして提供しています。ただし同シリーズとのデータ連携について、公式サイトに具体的な記載は見当たりません。作れる帳票は請求書・見積書・納品書・領収書の4種類で、iOS版とAndroid版があります。
他のアプリと違うのは、自分が発行する請求書だけでなく、取引先から届いた請求書を取り込んで管理できる点です。紙で受け取ったものはカメラで撮影して登録でき、発行した分と受け取った分を同じアプリの一覧で確認できます。
無料プランで扱えるのは作成が月10枚、取り込みが月10枚までで、作成または取り込みから45日を過ぎた書類は詳細の閲覧・PDFのダウンロード・複製しての編集ができなくなります。この上限と保存期間を外す有料プランは、年払いで月あたり940円(年間11,273円・税込)、月払いで1,318円(年間15,816円・税込)です。
送付はメール・LINE・URLリンクの共有に対応し、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応が公式サイトに記載されています。請求書の作成から入金管理まで完結するとも案内されていますが、消込や督促として何ができるかまでは公開されていないため、入金後の管理を任せたい場合は事前の確認が必要です。
現場仕事の見積・請求をその場で回したい人向けのアプリ
工事やリフォームの現場で、見積から請求までをその場で終わらせることに寄せたアプリです。
12. リモデラ事務(REMODELA株式会社)

REMODELA株式会社が建設・リフォームの現場向けに提供する請求書作成アプリです。作成できる帳票は見積書・請求書・発注書・納品書・領収書の5種類で、対応OSはiOS 15.0以降とAndroidです。2024年4月時点で2万アカウントを突破したと発表されています。
現場向けという位置づけは機能に表れています。書類には現場で撮影した写真を添付でき、実印を撮影して電子印として登録・押印できます。一度入力した内容は履歴に残り、次回作成時に自動で入力されるため、同じ取引先への見積から請求までを続けて出す使い方に向きます。
作成からPDF化、メール・LINEでの送付までスマートフォンだけで終わり、FAX送信と郵送もアプリから依頼できます(書類の作成とは別に費用がかかります)。ただし写真を添付した書類はFAX・郵送では送れず、メールやLINEなどデータでの送付に限られます。
料金は初期費用が0円で、フリープランは30日あたり3件まで書類を作成・送付できます。件数の上限がないプレミアムプランは月額980円です。電子帳簿保存法は2024年1月の改正版に準拠していると発表されています。一方でインボイス制度については税率設定機能を備えるという案内にとどまるため、無料の3件で必要な項目が入るかを確かめてから有料プランに移ると、想定外の課金を避けられます。
アプリを入れたあとの実務|1枚目の発行から入金確認・督促まで
アプリを決めたら、次は実際に運用へ乗せる段階です。1枚目を発行するまでの流れと、送ったあとに続く入金確認・督促・紙での対応を順に見ていきます。
スマホで請求書を作る手順(1枚目の発行まで)
どのアプリでも、1枚目を出すまでの流れはおおむね共通しています。
- アプリを入れてアカウントを作る:買い切り型ではアカウント登録が不要なものもあります。クラウド型では、パソコンのブラウザからも同じデータを扱えるようになります
- 自社の情報を設定する:屋号または氏名、住所、振込先の口座、そして適格請求書発行事業者の登録を受けているなら登録番号を入れます。ここで入れた情報は以降すべての請求書に自動で入るので、最初に正確に入れておくと後の手間がなくなります
- 取引先を登録する:宛名・敬称・住所・支払期日の条件を登録します。2回目以降は選ぶだけで済みます
- 請求書を作る:取引先を選び、品目・数量・単価・税率を入力します。消費税額と合計はアプリが計算します。支払期日の欄は必ず埋めてください(理由は後述します)
- 送付する:PDFにしてメールで送る、リンクを共有する、郵送を依頼するなど、アプリが持つ手段から選びます。送信の記録が残るアプリなら、いつ送ったかを後から確認できます
ロゴや印影を登録できるアプリでは、この段階で設定しておくと請求書の見た目が整います。印影は法的に必須ではありませんが、取引先の慣習で求められることがあります。
入金があったかを追う
請求書を送ったあと、実際に入金があったかを確認する作業が残ります。取引先が数社のうちは通帳を見れば済みますが、社数が増えると「どの請求書の入金か」の突き合わせに時間がかかり始めます。
入金管理の機能を持つアプリでは、請求書ごとに支払状況が表示され、未入金のものだけを絞り込めます。決済と連動するアプリなら、カード払いやオンライン決済で回収した分は自動で消し込まれます。機能を持たないアプリを使う場合は、発行履歴の一覧に自分で印を付けるか、手元の表で管理することになります。
支払期日を過ぎたときの督促
支払期日を過ぎたら、まず請求書が届いているかを確認します。送信の記録が残るアプリなら、いつ・どのアドレスに送ったかをその場で示せるため、行き違いかどうかの切り分けが早く済みます。
行き違いでないと分かったら、まず電話やメールで支払いの予定を確認します。それでも動かないときに、どの期限を根拠に督促できるかは取引の形で変わります。
自分が従業員を雇っていない個人事業主または一人法人で、発注先が従業員を使用している事業者であれば、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)が適用されます。
(報酬の支払期日等)第四条 特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合における報酬の支払期日は、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日(略)から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第4条|e-Gov法令検索
起算点は請求書を送った日ではなく、納品や役務の提供が完了して発注先が受領した日です。また、支払期日を決めていなかった場合は受領した日が支払期日とみなされます(同条第2項)。従業員を雇っている場合はこの60日の規定の対象外になるため、自分がどちらに当たるかを先に確認してください。
建設工事の下請では、別のルールが働きます。建設業法第24条の3は、元請負人が発注者から支払を受けたときは、その支払を受けた日から1か月以内に下請負人へ支払わなければならないと定めています。期間も起算点も上記とは異なるため、工事の請負で仕事をしている場合はこちらが目安になります。なお、従業員を雇っていない一人親方であれば、フリーランス・事業者間取引適正化等法の60日の規定も別途かかります。
いずれの法律もかからない取引では、契約と民法が拠りどころになります。民法第412条は、確定期限があるときは期限の到来した時から遅滞の責任を負う(第1項)、期限を定めなかったときは履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(第3項)と定めています。つまり支払期日を書いていなければ、請求して初めて相手が遅滞の責任を負うことになります。アプリの支払期日の欄を必ず埋めるべき理由はここにあります。
取引先が紙の請求書を希望した場合
電子で送ることが制度上認められていても、取引先の社内手続きの都合で紙を求められることはあります。対応は3つです。
1つ目は、アプリの郵送代行を使う方法です。宛名の印字・封入・投函までを依頼できます。本記事の12本では5本が対応しており、1通あたりの費用が円で公表されているのは1本(187円・税込)、2本はアプリ内のコインで支払う形、残る2本は単価が公表されていません。件数が少ないうちは、自分で印刷して封筒に入れる時間を考えれば割に合うことが多くなります。
2つ目は、PDFを自分で印刷して送る方法です。自宅にプリンタがなくても、コンビニのマルチコピー機からの出力に対応したアプリがあります。
3つ目は、PDFを取引先に送ったうえで、先方に印刷してもらう方法です。取引先が受け入れるかどうか次第ですが、費用も手間もかかりません。
いずれの方法をとる場合も、電子的に送った請求書についてはデータのまま控えを残す必要がある点は変わりません。紙で送った分だけを綴じて終わりにしないよう注意してください。
請求書作成アプリの注意点|アプリだけでは終わらないこと
導入したあとにつまずきやすい場面もあります。あらかじめ知っておくと、アプリで足りるのか、それとも別の仕組みに移るべきなのかを自分で判断できます。
通信環境と端末が前提になる
クラウド型のアプリは、電波の届かない場所では請求書の作成も送付もできません。山間部の現場や地下での作業が多い場合は、オフラインでも作成でき、通信が回復してから送れるアプリを選んでおくと作業が止まりません。
端末の側にも前提があります。データを端末の中だけに保存するアプリでは、機種変更や端末の故障でデータが失われる可能性があります。バックアップの手段が用意されているか、クラウドに同期されるかを確認しておいてください。
1つのアカウントを複数人で共有できないことがある
個人向けに設計されたアプリでは、複数人での同時利用を想定していないものがあります。事業が広がって、経理を家族や従業員に手伝ってもらう段階になると、ユーザーを追加できるプランがあるかが問題になります。
アカウントを共有する運用は、誰が発行したかの記録が残らなくなるため避けたほうが無難です。ユーザーを追加できるアプリでは、追加した人数に応じて料金が上がるのが一般的です。
発行件数が増えてアプリでは追いつかなくなったとき
取引先が増えて毎月の発行が数十件を超えてくると、スマートフォンの画面で1枚ずつ作る運用は時間がかかります。同じ内容の請求書を毎月発行する定期請求の自動化、複数の請求書をまとめて発行する一括処理、承認を経てから発行するフロー。こうした機能は、パソコンでの利用を前提としたクラウドの請求書発行システムのほうが充実しています。
切り替えを考える段階では、それまでに発行した請求書と取引先のデータを書き出せるかが分かれ目になります。書き出しの手段があるアプリなら、移行先にそのまま取り込める可能性があります。
まとめ
請求書作成アプリを選ぶときの起点は、自分がどの工程までスマートフォンに任せたいかです。使い方でおおよその行き先は決まります。
請求書を出すこと自体が目的で帳簿づけは別に回しているなら、作成と送付に絞ったタイプが向きます。確定申告まで一つにまとめたいなら、同じ提供元の会計ソフトとつながるタイプを選びます。入金の取りこぼしが不安なら、支払期日のリマインダーと支払状況の追跡を持つタイプが候補になります。工事やリフォームで現場から出すなら、写真の添付と電子印に対応したタイプです。
タイプが決まったら、直近3か月で自分が出した請求書の枚数を数えて、無料で使える範囲と突き合わせてください。月10枚前後なら無料のまま収まる候補が多く、それを超えるなら月額1,000円以下の有料プランを前提に選んだほうが早く決まります。適格請求書の記載と電子データの保存が無料のままできるかも、あわせて確認してください。
ここまで絞れたら、あとは1本に決めるだけです。選定診断ツールに枚数・端末・業種を入れると候補が出ますし、比較表では条件から横断して絞り込めます。無料で試せるものが多いので、候補を2本に絞ったら実際に1枚発行して、登録番号と税率の区分が入るかを確かめてください。
MCB FinTechカタログでは、請求書の発行に関する各社の資料を無料で一括請求できます。料金プランや対応機能を手元で見比べたうえで、導入を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 請求書作成アプリは無料で使えますか?
A. 請求書作成アプリの多くは無料で使い始められますが、無料で使える範囲の線引きは製品ごとにまったく違います。区切りが置かれるのは、月あたりの発行枚数、登録できる取引先数やユーザー数、PDFの出力や送付といった機能そのもの、作成した書類を閲覧できる期間、送付手段のいずれかです。メール送信は無料でも、郵送代行は1通ごとに費用がかかるのが一般的です。
発行枚数に上限を設けずに無料で使えるものもあれば、購入して初めて使い始められる買い切り型もあります。自分の月あたりの発行枚数と取引先数を先に数えて、どの条件に最初に触れるかを確認してください。
Q. 請求書作成アプリはiPhoneとAndroidの両方で使えますか?
A. 請求書作成アプリの対応OSは製品ごとに分かれており、iPhone(iOS)だけに対応してAndroid版がないアプリは珍しくありません。個人開発の買い切り型アプリにこの傾向が強く、Androidを使っている場合は候補がそのまま外れます。
専用アプリを持たず、スマートフォンのブラウザから使うサービスなら端末を選びません。ただしその場合、専用アプリのような通知やオフラインでの利用ができるとは限らない点には注意が必要です。将来の機種変更でOSをまたぐ可能性があるなら、両方に対応する製品を選んでおくと乗り換えで困りません。
Q. 請求書作成アプリで作った請求書をLINEで送れますか?
A. LINE単体で請求書を作ることはできませんが、請求書作成アプリで出力したPDFをLINEで取引先に共有することは可能です。アプリの共有メニューからそのままLINEに渡せるものと、いったん端末にPDFを保存してから自分で送るものがあります。
ただし、取引先の担当者がLINEで請求書を受け取れるとは限らず、社内の経理へ回す都合でメールを指定されることもあります。取引先ごとに受け取り方が違う場合は、メール送信・リンク共有・郵送のどこまでに対応しているかを見てからアプリを決めてください。
Q. 無料の請求書作成アプリでもインボイス制度に対応できますか?
A. 請求書作成アプリは、無料プランのままでも適格請求書(インボイス)として必要な記載ができるものが多い一方、対応の中身は製品ごとに差があります。国税庁のパンフレットは適格請求書の記載事項6項目のうち、登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額等の3つを「特に留意すべき事項」として挙げています。
登録番号は自社情報として一度登録すれば以降は自動で印字されます。確認が要るのは税率のほうで、1枚の請求書に8%と10%の品目が混ざる業種では、品目ごとに税率を切り替えられるか、税率ごとに分けて集計されるかを見てください。登録番号欄や税率区分が有料機能に含まれるアプリだと、無料で使い続ける前提が崩れます。
出典・参考資料(1件)
Q. 請求書作成アプリはパソコンがなくてもスマホだけで使えますか?
A. 請求書作成アプリには作成から送付までスマートフォンだけで終わる製品があり、パソコンやプリンタを持っていないこと自体が制度上の問題になることもありません。国税庁のチェックシートは、スマートフォンのみで取引を行っている場合を明示的に扱っています。パソコンやプリンタを保有していなくても、近隣の有料プリンタ等で速やかに出力できれば電子取引データ保存の備付け要件を満たす、というものです。
注意したいのはアプリ側です。作成まではスマートフォンで行えても、PDFの出力や送付の操作をパソコンのブラウザに前提としている製品もあります。パソコンを持たずに運用するなら、送付までアプリ内で終わるかを申し込み前に確かめてください。
出典・参考資料(1件)
Q. 請求書は必ず発行しなければいけないのですか?
A. 適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、取引先(課税事業者)から求められたときに適格請求書を交付する義務があります(消費税法第57条の4)。国税庁のパンフレットも「売手は軽減税率対象品目の販売の有無にかかわらず、取引先(課税事業者)から求められた場合には、適格請求書を交付しなければなりません」としています。
登録を受けていない事業者でも、適格請求書に該当しない請求書を発行すること自体は問題ありません。ただし登録がないのにアプリの登録番号欄へ番号らしき文字列を入れると、適格請求書と誤認されるおそれのある書類の交付にあたる可能性があります(消費税法第57条の5)。登録がない場合は、その欄を空欄のままにしてください。
出典・参考資料(1件)
Q. スマホから送った請求書の控えは、印刷して保管すれば足りますか?
A. 請求書作成アプリからメールなどで電子的に送った請求書は、印刷して綴じるだけでは足りず、電子データのまま残す必要があります。電子帳簿保存法第7条の保存義務は「受領又は交付」した電子取引データにかかるため、受け取った側だけでなく送った側にも適用されます。
紛らわしいのは消費税法上の扱いとの違いです。適格請求書の写しについては、電子データを出力した書面で保存する方法も認められています(消費税法施行規則第26条の8第2項)。一方で電子帳簿保存法にもとづく電子取引データの保存は紙で代替できません。「印刷して保管すれば全部済む」とはならない点を押さえておいてください。
保存期間は根拠となる税目で異なります。交付した適格請求書の写しは、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、所得税の青色申告における請求書等は5年間です。無料プランで書類の閲覧期間に上限があるアプリを使う場合は、期限が来る前に手元へ書き出しておく運用が要ります。
出典・参考資料(2件)
Q. 機種変更したとき、請求書作成アプリのデータはどうなりますか?
A. 請求書作成アプリのデータが機種変更後も残るかは、保存先がクラウドか端末内かで分かれます。クラウドに保存される製品なら、新しい端末でアカウントにログインし直すだけで過去の請求書と取引先情報を引き継げます。
データを端末の中だけに持つ買い切り型では、バックアップの手段(クラウドストレージへの書き出しなど)を使って自分で移すことになり、手段がなければ過去の請求書を失う可能性があります。請求書の控えは保存が必要な書類なので、端末保存型を選ぶ場合はバックアップの方法を先に確認してください。
iPhoneからAndroid(またはその逆)へ乗り換える予定があるなら、同じアプリが両方のOSで提供されているかもあわせて確認してください。
Q. 別の請求書作成アプリに乗り換えるとき、過去の請求書や取引先データは移せますか?
A. 乗り換え時にデータを持ち出せるかは、そのアプリにCSVやPDFでの書き出し機能があるかで決まります。書き出しの手段がない製品だと、過去の請求書を見るためだけに使い続けることになり、実質的に他へ移れません。
データを取り出せることは、税務の面でも効いてきます。2年前の売上高が5,000万円以下の事業者は電子取引データの検索要件が免除されますが、その条件は「ダウンロードの求めに応じられること」です。無料プランの上限に達したとき、発行件数が増えて別の仕組みへ移るとき、税務調査で過去の書類を求められたときのいずれにも関わるため、使い始める前に確認しておく価値があります。
Q. 請求書に支払期日を書いていなかった場合、入金の遅れを督促できますか?
A. 支払期日を定めていなくても督促自体はできますが、相手が支払いの遅れの責任を負うのは、こちらが請求をした時点からになります(民法第412条第3項)。期日を定めていれば、その期限が来ただけで相手は遅滞の責任を負います(同条第1項)。請求書作成アプリの支払期日の欄を必ず埋めるべき理由はここにあります。
フリーランス・事業者間取引適正化等法が適用される取引であれば、支払期日を定めなかったときは給付を受領した日が支払期日とみなされます(同法第4条第2項)。適用されるのは、自分が従業員を雇っていない個人事業主または一人法人で、発注先が従業員を使用している事業者である場合です。自分と発注先がこの条件に当てはまるかで、督促の根拠が変わります。
出典・参考資料(2件)
Q. 請求書作成アプリと請求書発行システムはどう違いますか?
A. 請求書作成アプリはスマートフォン1台で1枚ずつ請求書を出すことに寄せた設計です。請求書発行システムはパソコンでの利用を前提に、定期請求の自動化・一括発行・承認フロー・販売管理システムとの連携までを引き受けます。
毎月の発行が数十件を超えてきた、複数人の承認を経てから発行したい、既存の販売管理システムと連携させたいといった条件が出てきた段階では、システム側のほうが要件に合います。切り替えを考えるときに効いてくるのは、それまでに発行した請求書と取引先のデータを書き出せるかどうかです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















