サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

, , ,

ふるさと納税でNFTを返礼品にした自治体の事例|寄付額・支援事業者と、総務省の返礼品基準への当てはめ

ふるさと納税でNFTを返礼品にした自治体の事例のサムネイル画像
NFT・トークン発行・配布支援比較表(2026年版)のプレビュー

主要13サービスの料金・機能を無料で一覧比較

NFT・トークン発行・配布支援比較表(2026年版)

ふるさと納税の返礼品にNFTを使う取り組みは、2022年から各地で試みられてきました。デジタルアートや会員権、体験の優先権など中身はさまざまで、寄付額も1万円台から数百万円規模まで幅があります。

ただ、期間限定の企画が多く、いま申し込めるものと終了したものが入り混じっています。自治体側で導入を検討する場合は、総務省が定める返礼品の基準にNFTがどう当てはまるのかが、企画の可否を分ける関門になります。

本記事では、公式に確認できたNFT返礼品の事例を自治体名・寄付額・開始時期つきで一覧にしたうえで、寄付者向けの受け取り方と税の扱い、自治体向けの制度上の位置づけと発行を任せられる事業者を整理します。返礼品の基準については、地方税法と総務省告示の条文を引きながら、2026年10月から変わる部分まで含めて確認します。

NFT・トークン発行・配布支援の関連サービス資料
PR
料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】NFT・トークン発行・配布支援の資料を
一括ダウンロードする
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

NFTを返礼品にしている自治体の事例

まず、ふるさと納税の返礼品としてNFTが提供された事例を、公式発表やポータルサイトの掲載内容から確認できた範囲で並べます。

自治体別の一覧

寄付額は各発表・掲載ページに記載された金額をそのまま載せています。NFT返礼品は期間限定の企画が多く、募集が終了しているものも含まれます。

自治体NFTの内容寄付額開始時期組んだ事業者募集状況(2026年8月時点)
北海道上士幌町「クリスマスドローンショー2021 in上士幌」の当日記録映像を収録したNFT(14点を出品)4,350,000円2022年4月22日(発表日)株式会社ルイス・ミッシェル(カミシホロホテル)掲載を確認できず
北海道余市町Yoichi Mini Collectible Collection No.1(Poki氏によるワインモチーフのアート、全54種類)120,000円から2022年5月7日株式会社あるやうむ終了(完売)
北海道余市町余市町ふるさとCNP2022(CryptoNinja Partnersとのコラボ、222個。ワイナリー優先購入権の抽選券つき)30,000円2022年10月21日株式会社あるやうむ終了(受付開始から3分ほどで完売)
和歌山県白浜町CryptoNinja Partners「リーリー」とのコラボNFT、222種類の一点もの。現地訪問でビジュアルが変化する仕掛けと温泉貸切特典つき30,000円2023年5月下旬株式会社あるやうむ申込可能
北海道湧別町湧別町ふるさとCNP2024。返礼品は冷凍ほたて・シジミで、寄付の証明としてSBT(譲渡・売買のできないトークン)が送られる32,000円(発表時は30,000円)2024年2月18日株式会社あるやうむ在庫切れ
大阪府太子町「しきぶちゃんになろう〜太子町あるある〜」(Polygonで発行。1年間の転送・転売制限つき)20,000円2024年3月10日(5組のクリエイター版は2025年8月7日)株式会社あるやうむ「近日登場」表示で申込不可
愛知県新城市Web3絵本作家とのコラボNFT「TMA Ehon-さん」10,000円/15,000円/20,000円2024年12月1日株式会社あるやうむ10,000円・15,000円は申込可能、20,000円は在庫切れ
福島県只見町JR只見線 縁結びNFT(会員権NFT、128個)。只見線の維持運営費用に充当12,000円(1セット・税込)2024年12月17日メディアエクイティ株式会社(HEXA)/制作: Reboots合同会社主要ポータルで掲載終了
埼玉県深谷市ふっかちゃんNFT(深谷ねぎセット等が受け取れるチケット機能つき。利用期限は2026年1月末で経過済み)10,000円(税込)2025年7月23日メディアエクイティ株式会社(HEXA)/制作: MITSUISHI Design合同会社受付終了
岩手県紫波町FurusatoDAO ロゴ NFT(保有するとFurusato DAOに参加でき、デジタル町民としてまちづくりに関われる)67,000円公表資料では確認できずSOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社申込可能

※2026年8月時点で公表資料から確認できた事例です。現在の募集状況は各自治体・ポータルサイトの返礼品ページでご確認ください。

株式会社あるやうむは2023年4月時点で11団体への展開を発表しており、上表以外にも北海道芦別市・北海道滝川市・茨城県守谷市・愛媛県今治市・長野県飯綱町などで実施されています。これらは実施時期や寄付額が公表されていないため、上表には含めていません。

出典・参考資料(12件)

返礼品になっているNFTの種類

一覧を見ると、NFT返礼品は大きく3つの型に分かれます。それぞれ寄付者にとっての価値の置き所が違うため、申し込む側も導入する側も、どの型なのかを見て判断することになります。

1つ目は、人気キャラクターやクリエイターとのコラボによるアート型です。余市町や白浜町のCryptoNinja Partnersコラボがこれにあたり、NFTそのもののデザインが返礼品の中心になります。白浜町のように、現地を訪れるとビジュアルが変化する仕掛けを組み合わせた企画もあります。

2つ目は、地域の特産品や体験を受け取る権利をNFTに持たせた引換券型です。深谷市のふっかちゃんNFTは深谷ねぎセット等が受け取れるチケット機能を備えており、余市町のふるさとCNP2022にはワイナリーの優先購入権の抽選券が付いていました。この型では、NFTは受け取りの証明であって、価値の実体は現物や体験の側にあります。

3つ目が、地域のコミュニティに参加する権利を持たせた会員権型です。紫波町のFurusatoDAO ロゴ NFTは、保有するとFurusato DAOに参加してデジタル町民としてまちづくりに関われる仕組みで、只見町のJR只見線 縁結びNFTも会員権NFTとして発行されています。寄付して終わりにせず、寄付後も地域と関わり続ける導線をつくる狙いがある型です。

「自治体のNFT」とふるさと納税の返礼品は別物

自治体がNFTを発行した事例を調べていると、ふるさと納税の返礼品ではないものが混ざって紹介されていることがあります。導入を検討する立場では、この2つを分けて見ておかないと、参考にした事例が自分の想定と違う枠組みだったということが起こります。

よく知られている山形県西川町のデジタル住民票NFTは、その一例です。2023年4月に1個1,000円で1,000個が抽選販売され、13,440個の申し込みがあったと発表されています。

ただしこれは、NFTマーケットプレイス上での直接販売であって、寄付に対する返礼品として提供されたものではありません。公式発表でも地方財政法に基づく自治体発行と説明されており、ふるさと納税の返礼品であるという記載は確認できませんでした。

新潟県長岡市山古志地域のNishikigoi NFTも、ふるさと納税の返礼品ではありません。発行したのは長岡市ではなく地元の任意団体である山古志住民会議で、長岡市公認のNFTプロジェクトと説明されています。公式発表でも、返礼品として提供されたという記載は確認できませんでした。

2021年12月14日に発行され、保有者を「デジタル村民」と位置づけて、セール売上の一部を原資とする活動予算の使い道を決める投票に参加できる仕組みです。返礼品の枠組みではありませんが、購入後の関わりがどこまで続いたかを示す数字が公表されています。

内閣官房のデジ田メニューブックによれば、デジタル村民は地域に実際に住む住民794名を上回る1,032名(2022年11月28日現在)に達しました。現地を訪れたデジタル村民は延べ140名を超えています。

第3弾セールを発表した株式会社クリプトヴィレッジのプレスリリースでは、2023年8月時点の発行済みNFTは1,470枚です。発行上限の10,000枚に対して第3弾では7,530枚を販売し、価格は購入者の区分で分かれ、一般販売はイーサリアム建てで0.03ETHです。販売である以上、寄付金控除の対象にはなりません。

出典・参考資料(3件)

返礼品ではないという点は、複数の自治体が連携して立ち上げたDAOのNFTにも当てはまります。鳥取県智頭町や静岡県松崎町などが参加する「美しい村DAO」のNFTは、DAOへの参加権を得るために購入する形で、ふるさと納税の枠組みで販売されているという記載は公式情報では確認できませんでした。

両者の違いは、寄付金控除の対象になるかどうかに直結します。ふるさと納税の返礼品であれば寄付として控除の対象になりますが、マーケットプレイスでの直接販売はNFTの購入なので控除はありません。事例を参照するときは、その企画がどちらなのかを発表資料で確かめておくのが確実です。

出典・参考資料(1件)

最初のふるさと納税NFTはどれか

「日本初のふるさと納税NFT」がどの自治体なのかは、資料によって食い違います。北海道余市町を日本初とする記述が多く見られますが、提供開始日で並べると時系列が合いません。

先行しているのは北海道上士幌町です。同町のカミシホロホテルを運営する株式会社ルイス・ミッシェルが2022年4月22日付のプレスリリースで、ドローンショーの記録映像をNFT化した返礼品の出品を発表しています。余市町のNFT返礼品の提供開始は2022年5月7日で、業界メディアのDRONE.jpも、上士幌町に続く全国で2例目の事例として余市町を報じています。

ただし、「日本初」という表現の出どころは株式会社ルイス・ミッシェル自身のプレスリリースであり、第三者機関が認定したものではありません。同社のリリースも、本文では「映像コンテンツのNFTアートとしては国内初」と対象を限定した書き方をしています。厳密にどれが最初かを断定できる資料は見当たらないため、ここでは確認できた提供開始日の順として上士幌町が先行していることまでを示します。

寄付者が申し込む前に確かめておきたいこと

ここからは、NFT返礼品に寄付する側が申し込み前に知っておきたい点を、受け取り方・受け取った後にできること・税の扱いの順に整理します。

NFT返礼品を受け取るまでの流れ——ウォレットは必要か

NFT返礼品でいちばん引っかかりやすいのが、暗号資産を扱うためのウォレットを自分で用意する必要があるのかという点です。ここは企画を担う事業者によって方式が分かれていて、手順も変わります。申し込もうとしている返礼品がどちらの方式かは、返礼品ページの説明で確認できます。

ウォレットを自分で用意する方式

株式会社あるやうむが手がける返礼品は、寄付の申し込み時にNFTの送付先となるウォレットアドレスを入力する形をとっています。あらかじめMetaMaskなどのウォレットを作り、そのアドレスを控えておく必要があります。

ウォレットの用意は必要ですが、暗号資産を購入しなければならないわけではありません。同社のNFTはPolygonなどのチェーンで発行されており、寄付そのものはポータルサイト経由の通常の決済で完結します。ウォレットは受け取り先として使うだけ、と考えると分かりやすいでしょう。

QRコードなどウォレットが要らない方式

一方、寄付者側でウォレットを用意しなくても受け取れる方式もあります。SUSHI TOP MARKETING株式会社は、返礼品にQRコードを記載したシールやカードを添えて配る仕組みを提供しており、寄付者はスマートフォンでそれを読み取るだけでNFTを受け取れます。

アプリのダウンロードや会員登録は不要と説明されており、同社はこの配布方式について2024年10月18日に特許(第7573913号)を取得しています。

株式会社ICHIZEN HOLDINGSの「デジさと」も、メールアドレスを登録するとウォレットが自動で生成される設計で、決済はクレジットカードで完結します。株式会社ガイアックスのDAOXも、NFT販売時にウォレットを自動生成する機能を備えています。いずれも、寄付者から見るとウォレットの存在を意識せずに受け取れる形です。

受け取ったNFTでできること・注意点

受け取ったNFTで何ができるかは、企画ごとに大きく違います。アート型であればデジタル作品として保有するだけのものもあれば、引換券型のように現物や体験と交換できるもの、会員権型のようにコミュニティへの参加権として機能するものもあります。深谷市のふっかちゃんNFTのように利用期限が設けられている企画もあるため、交換や利用にあたっての条件は返礼品ページで確認しておくのが安全です。

特に気をつけたいのが転売の可否です。NFTは一般に売買できるものとして説明されがちですが、返礼品として配られるNFTには制限が付いていることがあります。

大阪府太子町の「しきぶちゃんになろう〜太子町あるある〜」には、1年間の転送・転売制限が設けられています。北海道湧別町のように、寄付の証明として送られるものが譲渡・売買のできないSBTである企画もあります。二次流通に出せる前提で申し込むと、想定と違う結果になりかねません。

ウォレットを自分で管理する方式では、秘密鍵や復元用のフレーズを失うとNFTを取り戻せなくなります。事業者がウォレットを預かる方式であれば、ログイン情報の再発行で復旧できる場合があります。受け取り期限や紛失時の具体的な扱いについては、各社が体系的に公開している資料は見当たらなかったため、気になる場合は申し込む前に自治体または事業者の問い合わせ窓口で確認しておくとよいでしょう。

返礼品に限らず、アートとしてのNFTを受け取った後に何ができるのか、マーケットプレイスで売るときの一般的な手順まで知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

寄付金控除と、受け取ったとき・売ったときの税金

税の扱いは、寄付したとき・受け取ったとき・売ったときの3段階に分けると整理できます。

まず寄付したときは、通常のふるさと納税と変わりません。寄付額のうち2,000円を超える部分について所得税と個人住民税から控除が受けられ、確定申告が不要な給与所得者で寄付先が5団体以内であれば、ワンストップ特例も使えます。

次に受け取ったときですが、返礼品を受け取ることで得た経済的利益は一時所得にあたります。国税庁は、その年に受け取ったことで計上し、他の一時所得と合わせて50万円を超えなければ課税関係は生じないと示しています。

ふるさと納税の謝礼として供与された返礼品に係る経済的利益は一時所得に該当しますが、一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるのが原則です(所得税基本通達36-13)。
なお、一時所得の特別控除額は最高50万円とされていますので、その年中の他の一時所得も含めた一時所得の総収入金額の合計額が50万円を超えない場合、課税関係は生じません。

出典:ふるさと納税の返礼品の収入計上時期|国税庁

高額なNFT返礼品を選ぶ場合は、この50万円の枠を意識しておくと安心です。返礼品の経済的利益は寄付額そのものではなく返礼品の価額で判断されるため、気になる場合は自治体に確認してください。

最後に売ったときです。ふるさと納税で受け取ったNFTを売却した場合の取得費の扱いは、公表資料では確認できませんでした。国税庁はNFT取引の税務上の取扱いを公表していますが、そこで想定されているのは購入したNFTだからです。

参考までに、購入したNFTを第三者に転売した場合の所得区分は次のように示されています。

ご質問の取引は、「デジタルアートの閲覧に関する権利」の譲渡に該当し、当該取引から生じた所得は、譲渡所得に区分されることになります。
(注)そのNFTの譲渡が、棚卸資産若しくは準棚卸資産の譲渡又は営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡に該当する場合には、事業所得又は雑所得に区分されます。

出典:NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)別添FAQ 問4|国税庁

返礼品として受け取ったNFTの売却を検討する場合は、所轄の税務署や税理士に確認することをおすすめします。あわせて注意したいのが、売却益の申告のために確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請が無効になる点です。その場合は、ワンストップ特例で申請した分も含めて寄付金控除額を計算し直す必要があります。

出典・参考資料(2件)

導入する側から見たふるさと納税NFT——従来の返礼品との違い

寄付者として確かめたいことはここまでです。ここからは、自治体や地域の事業者が導入を検討する立場で押さえておきたい点に移ります。まず、ふるさと納税NFTが従来の返礼品と何が違うのかを整理します。

ふるさと納税NFTは、寄付の返礼品としてNFTを提供する取り組みです。NFTについては国税庁が次のように説明しています。

NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつトークンをいいます。

出典:NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)|国税庁

従来の地場産品の返礼品との実務的な違いは、物流が発生しない点にあります。特産品であれば在庫の確保、梱包、配送、それに伴う費用と手間がかかりますが、デジタルデータであれば発行と送付で完結します。どのアドレスが返礼品を受け取り、いまも保有しているのかをブロックチェーン上で追える点も、寄付後の関係づくりを考える自治体にとっては従来の返礼品と異なる特徴です。

庁内や議会でこの取り組みを説明する場面では、NFTという言葉のまま話すと理解が進みにくいことがあります。実務上は「デジタルの返礼品」「保有者が分かるデジタルの会員証」といった言い換えをしたうえで、何のためにやるのかから説明したほうが伝わりやすいでしょう。

この説明のつまずきは自治体に限った話ではありません。NFTの発行・配布プラットフォームを提供する株式会社アツラエは、企画が組織内の承認過程で止まる原因について次のように述べています。

大波氏
株式会社アツラエ セールスチーム マネージャー
大波氏
独自インタビューより

技術そのものをプロモーションしても壁は越えられないです。顧客視点に立って、経営課題と接続した言葉で語らないといけない。ここが業界全体に必要な意識転換だと考えています。

自治体だけでNFTを発行・配布できないのか

先に結論を述べます。自治体単独での実施を禁じた法令や所管官庁の見解は、確認した範囲では見当たりませんでした。実際の事例はほぼすべてが自治体と民間事業者の組み合わせですが、それは法令上できないからではありません。

「現行法では自治体が暗号資産を保有できないため単独では実施できない」という説明もありますが、条文と答弁で確認できるのは次の3点です。

1つ目は、地方自治法が公有財産として列挙しているものに、暗号資産やトークンが含まれていないことです。同法第238条第1項は、公有財産を不動産、船舶等、それらの従物、地上権等の権利、特許権等の権利、株式・社債等、出資による権利、財産の信託の受益権の8種類として列挙しています。ここに暗号資産の記載はありません。

2つ目は、国会での政府答弁です。2019年5月17日の衆議院財務金融委員会で、自治体自身が暗号資産やセキュリティトークンを発行・売買することについて質問があり、総務省は次のように答弁しています。

地方自治法では、歳入を収入する行為は、その前提要件として、必ず法令又は契約に基づいて合法的に発生した権利によってなされなければならず、地方公共団体の長は、正当な原因のない歳入を収入することはできないとされておりまして、暗号資産等について、地方自治法との関係では、まずはこうした観点からの整理、検討が必要と考えております。

出典:第198回国会 衆議院財務金融委員会 第14号(令和元年5月17日)会議録|衆議院

同じ答弁の中で、資金決済に関する法律(資金決済法)上は自治体による暗号資産の発行について特段の規制がないことも述べられています。つまり「できない」と示したものではなく、整理・検討が必要という段階の見解です。

しかもこの答弁が扱っているのは、自治体が暗号資産等を発行して売買し歳入を得る場合であって、返礼品としてNFTを配ることや自治体がウォレットを持つことを直接論じたものではありません。2019年のもので、NFT返礼品が登場する前の答弁である点も踏まえて読む必要があります。

3つ目は、そもそもNFTが暗号資産にあたるとは限らない点です。金融庁の事務ガイドラインは、決済手段として使わせない設計であれば暗号資産の要件を満たさないという整理を示しています。

イ.発行者等において不特定の者に対して物品等の代価の弁済のために使用されない意図であることを明確にしていること(例えば、発行者又は取扱事業者の規約や商品説明等において決済手段としての使用の禁止を明示している、又はシステム上決済手段として使用されない仕様となっていること)
ロ.当該財産的価値の価格や数量、技術的特性・仕様等を総合考慮し、不特定の者に対して物品等の代価の弁済に使用し得る要素が限定的であること。

出典:事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)16 暗号資産交換業者関係 Ⅰ-1-1|金融庁

同ガイドラインは、暗号資産にあたるかどうかは利用形態に応じて個別具体的に判断するとも述べています。返礼品として配られるNFTの多くは決済手段として使う設計ではありませんが、断定できる性質のものではありません。

実務上ほぼすべての事例が事業者と組んでいるのは、後述する各社が企画設計からNFTの発行・配布、寄付者からの問い合わせ対応までを一貫して請け負うサービスとして提供しているためです。庁内にNFTを扱える人がいなくても実施できる形が用意されている、と捉えるのが実態に近いといえます。

総務省の返礼品基準にNFTはどう当てはまるか

導入を検討する自治体にとって、実務上の最大の関門がここです。ふるさと納税の指定を受けるには総務大臣が定める基準に適合する必要があり、返礼品がその基準を満たさなければ企画そのものが成り立ちません。

結論から言えば、どの号に当たるかを総務省が示した文書はなく、当てはめは自治体が企画ごとに説明して個別に確認する領域です。ただし条文と運用Q&Aを読むと、説明の経路は4つに絞れます。

指定基準を定めた告示、運用通知、全54ページの運用Q&Aを含む関連11文書には、NFT・デジタルデータ・暗号資産・ブロックチェーンといった語が一度も登場しません(2026年8月時点)。

ここでは、基準の条文そのものと、デジタルなものに近い事例について当局が示している考え方を確認します。まず制度の構造として、地方税法が基準の骨格を定め、その詳細を総務大臣の告示に委ねています。

二 都道府県等が個別の第一号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額として総務大臣が定めるところにより算定した額が、いずれも当該都道府県等が受領する当該第一号寄附金の額の百分の三十に相当する金額以下であること。
三 都道府県等が提供する返礼品等が当該都道府県等の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するものであること。

出典:地方税法 第37条の2第2項|e-Gov法令検索

この条文には、NFTを考えるうえで見落とせない点があります。返礼品等の定義が「物品、役務その他これらに類するものとして総務大臣が定めるもの」となっており、デジタルデータそのものが物品にあたるのか役務にあたるのかは、条文からは決まりません。市町村分については第314条の7第2項に同じ規定が置かれています。

地場産品基準

返礼品が地場産品といえるかどうかの基準は、2019年(平成31年)の総務省告示第179号が定めています。現在(2026年9月30日までに開始する指定対象期間)は第五条で、全九号のいずれかに該当することが求められます。NFT返礼品との関係で読む価値があるのは、次の各号です。

第五条 法第三十七条の二第二項第三号及び第三百十四条の七第二項第三号に規定する総務大臣が定める基準は、地方団体が提供する返礼品等が、次の各号のいずれかに該当するもの(当該各号のいずれかに該当する返礼品等とのみ交換させるために提供するものを含む。)であることとする。
三 当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであること。
五 地方団体の広報の目的で生産された当該地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズその他これらに類するものであって、形状、名称その他の特徴から当該地方団体の独自の返礼品等であることが明白なものであること。
六 前各号に該当する返礼品等と当該返礼品等に附帯するものとを合わせて提供するものであって、当該返礼品等の価値が当該提供するものの価値全体の七割以上であること。
七 当該地方団体の区域内において提供される役務その他これに準ずるもの(宿泊(飲食を伴うものを含む。以下同じ。)の提供に係る役務を除く。)であって、当該役務の主要な部分が当該地方団体に相当程度関連性のあるものであること。

出典:平成三十一年総務省告示第百七十九号 第五条|総務省

各号は「いずれかに該当」すればよい選択的な基準です。実際の企画がどの号を通るかを考えると、地元のクリエイターが区域内で制作したアートであれば第三号、自治体のキャラクターを使ったオリジナルグッズとしてなら第五号、特産品にNFTを添えるセットなら第六号、現地での体験や優待にひもづく引換券なら第七号、といった経路が条文上は読み取れます。

ただし繰り返しになりますが、どの号に当たるかを総務省が示した文書はありません。

当てはめを考えるうえで参考になるのが、運用Q&Aに示された当局の例示です。まず、返礼品等に電磁的なものが含まれうることを示した記述があります。

「物品又は役務と交換させるために提供するもの」(告示第3条)とは、寄附したタイミングよりも一定期間後において返礼品等(地場産品基準のいずれかに該当するものに限る。)と交換することのできるポイントや施設利用引換券の類いのものを指す。証票に記載されているもののみならず、電子機器その他のものに電磁的方法により入力されたものを含む。

出典:ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて 別紙1 問10|総務省

引換券や優待権としてのNFTを考えるときは、この記述が手がかりになります。あわせて、交換される対象そのものが地場産品基準に適合している必要があるとされている点も重要です。NFTが引換券として機能するなら、引き換える先の特産品や体験が基準を満たしていなければなりません。

一方、第五号のオリジナルグッズとして整理しようとする場合には、注意すべき例示があります。

(認められないと考えられる例)……・区域外で製造している電子機器類の待受け画面に、当該地方団体の名称やゆるキャラ等を表示させたもの・アウトドアブランドと連携協定を結び、当該ブランドと当該地方団体がコラボレーションしたロゴを印字した区域外で製造するアウトドアグッズ……

出典:ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて 別紙1 問21|総務省

区域外で作られたデジタルなものの表示面に自治体の名称やキャラクターを載せただけでは認められない、という例示です。有名IPとのコラボNFTを自治体のオリジナルグッズとして単純に整理できるとは限らないことが、ここから読み取れます。同じQ&Aは第三号についても、区域内の事業者が監修しているだけの品は認められない例として挙げています。

第七号の役務として整理する場合も、区域内を訪れずに利用できるものや、区域内の講師が区域外の受講者にオンラインで提供するレッスンは、認められない例に挙げられています。ネット上で完結するNFTを役務として説明するのは難しく、逆に現地での体験や優待にひもづく設計であれば、この経路に乗る余地があると読めます。

ここまでを、企画しているNFTの型ごとに整理すると次のようになります。

企画するNFTの型条文上の経路その号が求めるもの運用Q&Aが認められない例に挙げているもの2026年10月からの変更
地元のクリエイターが制作したアート第三号区域内で製造・加工の主要な部分を行い、相応の付加価値が生じていること区域内の事業者が監修しているだけのもの「相応の付加価値」が「価値の過半」に変わり、製造等を行う者による証明と自治体による公表が必要になる
自治体のキャラクターを使ったオリジナルグッズ第五号自治体の広報の目的で生産され、形状・名称などから自治体独自のものと明白であること区域外で製造している電子機器類の待受け画面に、自治体の名称やゆるキャラ等を表示させたもの自治体が広報目的で自ら調達し配布・販売した実績と計画が必要になり、返礼品として出す数量がその配布・販売数量を超えられなくなる
特産品にNFTを添えるセット第六号地場産品にあたる返礼品の価値が、提供するもの全体の価値の7割以上であること(第六号固有の否定例は示されていない)条番号が移る(第五条→第六条)ほかは、この号の要件に大きな変更は確認できず
現地での体験や優待にひもづく引換券第七号(引換券としての位置づけは告示第三条・運用Q&A問10)区域内で提供される役務で、主要な部分が自治体に相当程度関連していること。引き換える対象そのものも地場産品基準を満たすこと区域内を訪れず利用できる宅配クリーニング/区域内に教室を設ける講師が区域外の受講者にオンラインで実施するレッスン同上

※条文と運用Q&Aから読み取れる経路を整理したものです。前述のとおり、NFTがどの号に当たるかを総務省が示した文書はないため、実際の企画については所管への確認が必要です。

返礼割合・募集経費の基準

返礼品の調達費が寄付額の3割以下、募集に要する費用の総額が5割以下という2つの基準は、よく知られている一方で、どちらも出どころが混同されがちです。3割の基準は地方税法が定めるもので、5割の基準は総務省告示が定めるものです。総務省自身も資料の中で「返礼品上限3割(地方税法で規定)」「募集費用上限5割(総務省告示で規定)」と整理しています。

3割の条文は、前掲の地方税法第37条の2第2項第2号です。5割については告示に次のように定められています。

指定対象期間において第一号寄附金の募集に要する費用(法附則第七条第二項に規定する申告特例の求めに関する事務、第一号寄附金の受領を証する書類に関する事務など、当該募集に付随して生ずる事務に要する費用を含む。)の額の合計額が、当該指定対象期間において受領する第一号寄附金の額の合計額の百分の五十に相当する金額以下であること。

出典:平成三十一年総務省告示第百七十九号 第二条第二号|総務省

条文が示すとおり、5割に含まれるのは返礼品の調達費と手数料だけではありません。ワンストップ特例の申告特例に関する事務や、受領証明書に関する事務など、募集に付随して生じる事務の費用まで含まれます。NFT返礼品は配送費がかからない一方、企画設計や発行の費用は募集経費に入るため、この枠の中で収める設計が必要です。

ただし、この5割の基準は2026年10月1日以後に開始する指定対象期間から削除されます。代わりに、寄付金のうち自治体が実際に使える額の割合を定める基準が新設されます。

この観点から、令和8年度税制改正において、新たに、寄附金活用基準を規定し、寄附金活用可能額の割合を段階的に引き上げることとしており、令和8年指定対象期間については、当該期間における寄附金活用可能額が、当該期間において受領する第1号寄附金(法第37条の2第1項第1号及び第314条の7第1項第1号に掲げる寄附金をいう。以下同じ。)の額の合計額の100分の52.5に相当する金額以上であることとされていること

出典:ふるさと納税に係る指定制度の運用について(令和8年6月26日 総税市第71号)|総務省自治税務局市町村税課

寄付金活用可能額は、受領した寄付金の合計額から募集に要した費用を差し引いた額です。この割合を最終的に60%以上とする基準で、2026年(令和8年)の指定対象期間は52.5%、2027年は55%、2028年は57.5%、2029年に60%と段階的に引き上げられます。あわせて、その使途の公表も求められます。

経費の上限を定める形から、使える額の下限を定める形へ、裏返しの規制になったと捉えると理解しやすいでしょう。返礼割合3割の基準そのものは変わりません。

出典・参考資料(1件)

2026年10月からの指定期間に適用される告示改正

ここまで見てきた基準は、2026年10月から開始する指定対象期間に係る指定から変わります。総務省は改正の趣旨を次のように公表しています。

ふるさと納税の指定制度※について、制度本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるよう、本日付けで当該指定に係る基準について定めた告示の改正及びQ&Aの発出を行いましたので、お知らせいたします。
本改正は、令和8年10月から開始する指定対象期間に係る指定から適用となります。
<主な改正内容>
・ 募集費用の透明化
・ 地場産品基準の明確化

出典:報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」令和7年6月24日|総務省

実際の変更は、この2項目にとどまりません。NFT返礼品を検討する自治体が押さえておきたい変更は、次のとおりです。

1つ目は、条番号の移動です。地場産品基準は、地方税法第37条の2第2項第3号を受けた告示第五条から、同項第4号を受けた告示第六条へと移ります。前述の寄付金活用基準が法律に挿入されたことによる玉突きで、条文の中身を参照するときは時点に注意が必要です。

2つ目は、第五号のオリジナルグッズに数量の要件が加わることです。改正後は、自治体が広報の目的で自ら調達して配布・販売した実績があること、指定対象期間中もその計画を定めていること、返礼品として提供する数量がその配布・販売数量を超えないこと、が求められます。NFTを自治体のオリジナルグッズとして整理する設計は、この改正でハードルが上がります。

五 地方団体の広報の目的で製造等がされた当該地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズその他これらに類するものであって、次のいずれにも該当するものであること。
ロ 指定対象期間の初日の属する年の前年の十月一日からその翌年の九月三十日までの間に、当該地方団体が広報の目的で自ら調達し、配布又は販売を行った実績(返礼品等の提供によるものを除く。)があるもの
ニ 指定対象期間において、当該地方団体が返礼品等として提供する数量が、ロの配布又は販売を行った数量を超えないもの

出典:令和七年総務省告示第二百二十号(平成三十一年総務省告示第百七十九号の一部を改正する件)|総務省

3つ目は、第三号の付加価値の要件が厳しくなることです。これまでの「相応の付加価値が生じている」から「価値の過半が生じている」に変わり、加えて製造等を行う者による証明と、自治体によるその内容の公表が必要になります。地元のクリエイターが制作したことを理由に第三号で整理する場合、証明と公表の手続きまで含めた準備が要ります。

4つ目が、前項で述べた募集経費5割基準の廃止です。あわせて、募集費用として同一の相手に年間100万円以上を支払った場合には、支払先の名称・所在地・支払額・支払目的の一覧を作成して公表することも求められます。

出典・参考資料(2件)

自治体がNFTを返礼品にする狙いと課題

制度上の位置づけを確認したところで、そもそも何のために導入するのか、そして導入した自治体が何につまずいているのかを見ていきます。

認知向上・返礼品の幅の拡大・関係人口の創出

導入の狙いとして挙げられるのは、大きく3つです。

1つ目は認知の獲得です。人気キャラクターやクリエイターとのコラボは話題を集めやすく、余市町の「ふるさとCNP2022」は寄付受付の開始から3分ほどで222個すべてに寄付が集まったと、企画を手がけた株式会社あるやうむが発表しています。従来の返礼品では届きにくい層に自治体名を知ってもらう機会になるという見方です。

出典・参考資料(1件)

2つ目は返礼品の幅が広がることです。地場産品が限られる自治体でも、地域の風景や文化、体験の権利をデジタルの形で返礼品にできます。只見町がJR只見線の維持運営費用に充てる形で縁結びNFTを出したように、寄付の使い道と結びつけた企画も組めます。

3つ目が、寄付後も関係が続く仕組みをつくることです。どのアドレスがどのNFTを持っているかがブロックチェーン上で分かるため、保有者に限定した特典や情報を届けられます。紫波町のFurusato DAOのように、保有者がデジタル町民としてまちづくりに参加する形まで設計している例もあります。

返礼品を送って終わりだった関係を、継続的なつながりに変えられるかどうかが、この狙いの成否を分けます。なお、この型で使われるDAOがどのような組織形態で、意思決定や資金管理をどう行うのかについては『DAO(自律分散型組織)とは?ビジネスモデルと成功事例、web3との関係性についてわかりやすく解説!』で解説しています。

もっとも、つながりが続く形になるかどうかは企画の設計しだいです。企業や自治体向けにNFTを使った会員基盤を提供するMarbull X株式会社の小川氏は、施策が単発で終わる場面を現場で見てきたと話しています。

小川氏
Marbull X株式会社 代表取締役CEO
小川氏
独自インタビューより

現場でよく見るのが、企業のキャンペーン施策や自治体のスタンプラリー施策が「一回で終わってしまう」ケースなんですよね。やっている最中は盛り上がるけれど、終わった途端に関係が切れてしまう。

2025年10月のポイント付与の規制で何が変わったか

NFT返礼品への関心が高まっている背景として、ポータルサイトのポイント付与に関する規制がよく挙げられます。ただし、この規制の中身は「ポイント付与の全面禁止」と説明されることが多く、正確ではありません。

総務省が2024年(令和6年)6月28日の報道資料で公表した改正内容は、次のとおりです。

・ 寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること。(募集適正基準の改正)【令和7年10月1日から適用】

出典:報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」令和6年6月28日|総務省

規制の対象は、寄付者へのポイント付与そのものではなく、ポイントを付与する事業者を通じて寄付を募集する行為です。自治体が守るべき募集の基準として定められたもので、適用されるのは2025年10月1日以後に開始する指定対象期間からです。運用Q&Aでは、ポータルサイト運営事業者が寄付者に付与するポイント等について、マイルやコインなど名称を問わず経済的利益にあたるとされています。

この結果、ポータルサイトのポイント還元で寄付先を選んでいた層に対して、別の動機づけが必要になったという事情があります。NFT返礼品がその選択肢として語られる文脈はここにありますが、NFTがこの規制の対象になるかどうかについて当局が示した見解はありません。

導入前に押さえたい課題と、うまくいかなかった事例

導入を判断するには、うまくいかなかった側の情報も要ります。公表資料から見える課題は次の4点です。

まず、企画の多くが期間限定で、その後の状況が追いにくい点です。今回、公表資料から確認できた事例のうち、現在も募集が続いているかどうかを公式に確認できたものはごく一部でした。深谷市のふっかちゃんNFTのようにチケットの利用期限が明示されている企画もあり、単発で終わっているケースが相当数あると見られます。継続的な取り組みとして設計しない限り、一度きりの話題づくりで終わりやすいのが実情です。

次に、成果の数値がほとんど公表されていない点です。寄付件数や寄付額、実際にNFTを受け取った人の割合、その後のコミュニティの参加率といった、効果を判断するための数字を公開している自治体は見当たりませんでした。余市町のように完売が発表された企画はありますが、完売は初動の反応であって、関係人口が生まれたかどうかを示すものではありません。

3つ目は、寄付者側に求められる知識の負担です。ウォレットを自分で用意する方式では、受け取りの途中で離脱する人が出ます。この負担を減らすためにウォレット不要の方式が各社から出てきていますが、その分、NFTの管理を事業者に預ける形になるため、事業者の撤退やサービス終了のリスクを考えておく必要があります。

最後に、NFTを導入すること自体が目的になりやすい点です。話題性から企画が先行しやすい領域ですが、地域として何を実現したいのかが定まっていなければ、返礼品の種類が一つ増えるだけで終わります。前述のとおり制度面の当てはめも自治体側で確認する必要があり、その手間に見合う目的があるかどうかを先に整理しておくことをおすすめします。

目的の置き方は、企画が前に進むかどうかにも影響します。前出の小川氏は、NFTを起点にするか目的を起点にするかで進み方が変わると述べています。

小川氏
Marbull X株式会社 代表取締役CEO
小川氏
独自インタビューより

正直なところ、NFTを目的化すると途中で止まりやすいです。「NFTをやりたい」という入り方だと、どこかで「本当にNFTじゃないといけないんだっけ?」という議論になって、そこで立ち止まってしまうことがある。一方で、「ユーザーの熱量を上げたい」「リピート施策をつくりたい」という目的が先にあれば、NFTは手段のひとつとして整理できるので、進め方はだいぶスムーズになります。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】NFT・トークン発行・配布支援の資料を
一括ダウンロードする

NFT返礼品の発行・配布を任せられる事業者

実際に導入するとなると、企画の設計からNFTの発行、寄付者への配布までを担う事業者を選ぶことになります。ここでは、ふるさと納税の返礼品を扱うメニューを公開している事業者を取り上げます。

冒頭の事例表に登場した上士幌町の事例は、地域の事業者が自らの商品をNFT化して出品したもので、他の自治体が発注できるサービスではありません。

ふるさと納税に限らず、デジタル会員証やクーポンなど幅広い用途でNFTを発行・配布するツールを比べたい場合は、以下の記事で対応チェーンや料金、エンジニアなしで運用できるかといった観点から13サービスを比較しています。

提供範囲・ウォレット要否・導入自治体の比較

以下はご紹介する事業者の比較表です。

← 横にスクロールできます →
サービス名web3×地方創生コンサルティング
(あるやうむ)
デジさと+
(ICHIZEN HOLDINGS)
DAOコンサルティング
(ガイアックス)
NFT付ふるさと納税
(SUSHI TOP MARKETING)
HEXA
(メディアエクイティ)
提供範囲企画設計からNFT発行、寄付受付、配布まで
自社ポータルで一貫
企画の設計・立案からプロモーション、寄付受付・販売まで企画・戦略立案からNFT発行・販売、配布後のDAO運営まで企画設計の伴走からNFT発行・配布、LINE連携、効果測定まで
返礼品にQRコードを同梱して配布
NFTの発行・販売・配布の基盤を提供
発行主体は自治体
寄付者のウォレット要否必要
寄付者が用意したウォレットアドレス宛にNFTを送付
不要
メールアドレスの登録でウォレットが自動生成され、決済はクレジットカード
不要
クレジットカード決済でのNFT購入時にウォレットが自動生成される
不要
返礼品同梱のQRコードをスマートフォンで読み取って受け取る
不要
暗号資産・ウォレット・ガス代なしで受け取れる
ふるさと納税返礼品の導入自治体北海道余市町、和歌山県白浜町、愛知県新城市、北海道湧別町、茨城県守谷市、大阪府太子町など
2023年4月の発表時点で11団体
確認できず(2026年8月時点)
岡山県真庭市でNFT活用事業の採択実績はあるが、返礼品としての明記は確認できず
確認できず(2026年8月時点)
岩手県紫波町のFurusato DAOを支援したと説明しているが、同町の返礼品NFTを開発したのはSOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社
公開されていない
複数の実績があるとの記載のみ
福島県只見町、埼玉県深谷市
費用公開されていない初期費用・ランニングコストは無料の成果報酬型
料率は公開されていない
公開されていない
30分の無料相談あり
シンプルな企画で10万円
スタンプラリー等を組み合わせる場合は200万〜300万円程度
成果報酬型(MATICチェーン20%、イーサリアムチェーン30%)
自治体向けに同じ料率が適用されるかは公開されていない
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式サイト公式サイト

※上記は各社の公式情報にもとづく2026年8月時点の内容です。実際の提供範囲や費用は個別の企画内容によって異なるため、各社にご確認ください。

見積もりを取るときに確かめること

比較表のとおり、費用の出し方は実額型と成果報酬型に分かれます。この違いは、寄付が伸びたときのコストの出方に効いてきます。

実額型は企画にかかる費用が先に決まるため、寄付が想定を超えて集まるほど、寄付額に対する費用の比率は下がります。反対に、寄付が集まらなければ費用だけが残ります。成果報酬型は逆で、集まらなければ費用も発生しない代わりに、寄付が伸びるほど費用も比例して増えます。想定する寄付額の幅を先に置いてから、どちらの形が自庁の見通しに合うかを考えることになります。

見積もりを依頼するときは、総額ではなく内訳を聞いておくと後で比べやすくなります。企画設計費、NFTの発行費(発行数に応じて変わるのか)、ポータルサイトの手数料、寄付者からの問い合わせ対応を含む運用費は、事業者によって含まれる範囲が違います。

あわせて確かめたいのが、その費用が募集経費の基準に収まるかどうかです。現在は募集に要する費用の総額が寄付額の5割以下という基準があり、ここには返礼品の調達費だけでなく、受領証明書の発行やワンストップ特例の事務にかかる費用も含まれます。2026年10月から開始する指定対象期間からは、寄付額から募集費用を差し引いた寄付金活用可能額を寄付額の一定割合以上とする基準に変わります。

なお、NFTの発行費用が返礼品の調達費(寄付額の3割以下)に入るのか、募集経費の側に入るのかについて、公表資料からは判断できませんでした。試算の前提が変わる論点なので、見積もり時に事業者へ、必要に応じて所管へ確認しておくことをおすすめします。

各サービスの特徴

1. web3×地方創生コンサルティング(株式会社あるやうむ)

株式会社あるやうむのウェブサイト

ふるさと納税NFTの専用ポータル「ふるさと納税NFT」を自社で運営し、返礼品の企画からNFTの発行、寄付の受付、寄付者への配布までを一貫して担っています。2020年11月設立の札幌の企業で、2022年5月の余市町の事例以降、自治体との取り組みを重ねています。

導入自治体は北海道余市町・和歌山県白浜町・愛知県新城市・北海道湧別町・茨城県守谷市・大阪府太子町など、実名と寄付額まで公表されている案件が多いのが特徴です。2023年4月時点で11団体への展開を発表しています。CryptoNinja Partnersをはじめとする人気IPとのコラボ企画を得意とし、現地を訪れるとNFTのビジュアルが変化する仕掛けなど、寄付者を実際に地域へ呼ぶ設計も手がけています。

寄付者はNFTの送付先としてウォレットアドレスを用意する必要があります。暗号資産の購入までは求められませんが、ウォレット不要の方式に比べると寄付者側の準備は増えます。費用は公開されていません。

2. デジさと+(株式会社ICHIZEN HOLDINGS)

株式会社ICHIZEN HOLDINGSのウェブサイト

NFTを使ったふるさと納税の企画について、設計・立案からプロモーション、寄付の受付・販売までを包括的に支援するサービスです。同社は地域貢献の度合いを可視化するNFTプラットフォーム「デジさと」と、Web3と地方創生の事例を扱うメディア「WEB3地方創生ねっと」も運営しています。

寄付者の負担が小さい設計が特徴で、メールアドレスを登録するとNFTの保有に必要なウォレットが自動で生成され、決済はクレジットカードで完結します。ウォレットという言葉を寄付者に意識させない作りになっています。

費用は初期費用とランニングコストを無料とする成果報酬型で、寄付額に応じた報酬を受け取る形だと説明されています。具体的な料率は公開されていません。NFTを活用した事業では岡山県真庭市での採択実績が公表されていますが、ふるさと納税の返礼品としての実績かどうかは確認できませんでした。

3. DAOコンサルティング(株式会社ガイアックス)

株式会社ガイアックスのウェブサイト

1999年設立で名古屋証券取引所ネクスト市場に上場しており、NFTを返礼品として配って終わりにせず、その後のコミュニティ運営まで含めて設計する点に強みがあります。リサーチと企画戦略の立案からDAOの組成、運用と改善までを4段階で支援する体制をとっています。

地域のコミュニティづくりでは、岩手県紫波町の「Furusato DAO」を支援してきたと同社は説明しています。ただし、同町がふるさと納税の返礼品として出しているFurusatoDAO ロゴ NFTを開発したのは、町と連携協定を結ぶSOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社です。

ガイアックス自身がふるさと納税の返礼品としてNFTを提供した実績は、公表資料では確認できませんでした。関係人口づくりまで含めて設計したい場合の選択肢として検討することになります。

自社で開発したDAO運営基盤「DAOX」を持ち、クレジットカード決済に対応したNFT販売とウォレットの自動生成、投票や資金管理といったコミュニティ運営の機能を備えています。費用は公開されておらず、30分の無料相談から始まる形です。

4. NFT付ふるさと納税(SUSHI TOP MARKETING株式会社)

SUSHI TOP MARKETINGのウェブサイト

NFTを返礼品そのものにするのではなく、従来の返礼品にNFTを添える形を軸にしたソリューションです。返礼品にQRコードのシールやカードを同梱し、寄付者がスマートフォンで読み取るだけでNFTを受け取れる仕組みで、この配布方式について2024年10月18日に特許(第7573913号)を取得しています。

寄付者はアプリのダウンロードも会員登録も不要で、NFTという言葉を知らない層にも届く設計になっています。LINEとの連携により、NFT保有者に限定した情報配信や特典案内といった寄付後のコミュニケーションも組み込めます。

この領域で費用と期間を実額で公開している数少ない事業者で、シンプルな企画で10万円、スタンプラリーなどを組み合わせる場合は200万円から300万円程度、導入までは最短2週間から2か月としています。一方、導入自治体については複数の実績があるとするにとどまり、確認できた範囲では自治体名が公開されていません。

5. HEXA(メディアエクイティ株式会社)

HEXA(ヘキサ)のウェブサイト

NFTマーケットプレイスを運営しており、そこで発行したNFTを自治体がふるさと納税の返礼品として提供する形をとっています。ふるさと納税の返礼品として公式に確認できるのは、福島県只見町のJR只見線 縁結びNFT(1セット12,000円・128個)と、埼玉県深谷市のふっかちゃんNFT(返礼品分10,000円)の2件です。自治体のNFT発行実績は2025年8月時点で累計17自治体と公表されています。

仮想通貨もウォレットもガス代も不要で、販売収益を日本円で受け取れる点を掲げています。自治体側で暗号資産を扱う必要がないため、庁内の調整負担を抑えたい場合に検討しやすい構成です。

手数料はMATICチェーンで20%、イーサリアムチェーンで30%という成果報酬型で、売れなければ費用は発生しません。ただし、自治体向けにこの料率がそのまま適用されるかどうかは公開されていないため、見積もりの際に確認が必要です。なお、同社が手がけた山形県西川町のデジタル住民票NFTは、ふるさと納税ではなくマーケットプレイスでの直接販売にあたります。

出典・参考資料(6件)

ここで取り上げた事業者の多くは、ふるさと納税の返礼品に限らず地域でのWeb3活用そのものを手がけています。デジタル住民票や命名権NFTによる関係人口づくりなど、ふるさと納税以外で自治体がNFTをどう使ってきたかは、以下の記事で国内の事例を整理しています。

まとめ

ふるさと納税の返礼品としてのNFTは、確認できた範囲でもっとも早い2022年4月の北海道上士幌町以降、アート型・引換券型・会員権型といった形で各地に広がってきました。寄付額は1万円台から数百万円規模まであり、期間限定の企画が多いため、申し込む際は募集状況と利用条件の確認が欠かせません。

寄付者にとっての分かれ目は、ウォレットを自分で用意する方式かどうかです。QRコードやメールアドレスの登録だけで受け取れる方式も広がっており、返礼品ページで方式を確かめてから申し込むと迷いません。受け取ったNFTを売却する場合の税の扱いは、購入したNFTを前提とした資料しか公表されていないため、税務署や税理士への確認をおすすめします。

導入を検討する自治体にとって最も重要なのは、総務省の返礼品基準への当てはめです。NFTが基準のどの号に当たるかを示した公的な資料はなく、個別に確認する必要があります。

加えて、2026年10月から開始する指定対象期間に係る指定からは、地場産品基準の条番号が移り、オリジナルグッズの要件に数量の縛りが加わり、募集経費5割の基準が寄付金活用可能額の基準へ置き換わります。これから企画を立てるのであれば、新しい基準を前提に設計することになります。

発行や配布を担う事業者は、提供範囲も寄付者側の負担も費用の出し方も異なります。実績のある自治体名を公開している事業者もあれば、費用を実額で示している事業者もあり、何を重視するかで候補は変わります。MCB FinTechカタログでは、これらのサービスの資料を無料で請求できます。ぜひ各社の資料をご覧になって、自庁の目的に合う相手の検討を進めてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】NFT・トークン発行・配布支援の資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. ふるさと納税NFTとは何ですか?

A. ふるさと納税NFTとは、寄付の返礼品としてNFT(ブロックチェーン上でデジタルデータに唯一の性質を付与したトークン)を提供する取り組みです。国内では、確認できた範囲でもっとも早い2022年4月の北海道上士幌町の事例以降、各地に広がってきました。返礼品の中身は、クリエイターとのコラボによるアート型、特産品や体験と引き換えられる引換券型、地域のコミュニティに参加できる会員権型に大きく分かれます。

Q. ふるさと納税のNFT返礼品は、どこで探して申し込めますか?

A. ふるさと納税のNFT返礼品は、ポータルサイトのNFT特集ページや、支援事業者が運営する専用ポータルから探せます。ふるさとチョイスはNFT返礼品を集めた特集ページを設けており、株式会社あるやうむは「ふるさと納税NFT」という専用ポータルを自社で運営しています。

ただし、NFT返礼品は数量や期間を限った企画が多く、紹介記事に載っていても募集が終わっているものがあります。申し込む前に、自治体の公式ページかポータルの返礼品ページで、現在の募集状況と申込期限を確認してください。

Q. ふるさと納税NFTは、暗号資産のウォレットを持っていなくても申し込めますか?

A. ふるさと納税NFTは、寄付者側でウォレットを用意しなくても受け取れる方式があり、どちらの方式になるかは企画を担う事業者によって分かれます。

SUSHI TOP MARKETING株式会社は返礼品に同梱したQRコードを読み取る方式、株式会社ICHIZEN HOLDINGSの「デジさと」はメールアドレスの登録でウォレットが自動生成される方式、HEXA(メディアエクイティ株式会社)は暗号資産もウォレットもガス代も不要とする方式です。

一方、株式会社あるやうむが手がける返礼品は、寄付の申し込み時にNFTの送付先となるウォレットアドレスの入力が必要です。

いずれの方式でも、寄付者が暗号資産を購入する必要はありません。寄付そのものはポータルサイト経由の通常の決済で完結します。

Q. ふるさと納税でNFTを受け取っただけで税金はかかりますか?

A. ふるさと納税の返礼品を受け取ったことによる経済的利益は一時所得に当たり、その年の一時所得の合計額が特別控除額の50万円を超えなければ課税関係は生じません。国税庁は、ふるさと納税の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益を一時所得としたうえで、収入に計上するのは返礼品を実際に受け取った年分であり、一時所得の特別控除額は最高50万円だと示しています。

ただし、これらはNFT返礼品を名指しした資料ではありません。NFTは寄付から受け取りまでに段階があるため、いつ受け取ったことになるかといった個別の扱いは、所轄の税務署や税理士に確認してください。

出典・参考資料(2件)

Q. ふるさと納税で受け取ったNFTを売却したら、税金はどうなりますか?

A. ふるさと納税で受け取ったNFTを売却した場合について、譲渡所得の計算に使う取得費をどう考えるかは、国税庁の公表資料では確認できません。国税庁のFAQは購入したNFTの転売を前提に、譲渡所得の金額を「転売収入−取得費−譲渡費用−特別控除額」で計算すると示していますが、購入していないNFTの取得費についての記述はありません。

あわせて注意したいのが、売却益について確定申告を行うと、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効になる点です。国税庁は、確定申告を行う場合はワンストップ特例を申請した分も含めて寄附金控除額を計算する必要があるとしています。売却を検討する場合は、税務署や税理士に確認することをおすすめします。

出典・参考資料(2件)

Q. ふるさと納税NFTと、自治体が販売するデジタル住民票NFTは何が違いますか?

A. 自治体が販売するデジタル住民票NFTは、ふるさと納税の枠組みではなくNFTマーケットプレイス上での直接販売であり、寄付金控除の対象にはなりません。よく紹介される山形県西川町のデジタル住民票NFTは2023年4月に1個1,000円で1,000個が抽選販売されたもので、公式発表でも地方財政法に基づく自治体発行と説明されており、ふるさと納税の返礼品であるという記載は確認できませんでした。

複数の自治体が参加する「美しい村DAO」のNFTも、DAOへの参加権を購入する形です。事例を参考にするときは、その企画がふるさと納税の返礼品なのか、自治体による直接販売なのかを発表資料で確かめてください。

Q. 自治体がふるさと納税NFTを導入する費用はどのくらいかかりますか?

A. ふるさと納税NFTの導入費用を実額で公開している事業者は限られており、確認できる範囲では、SUSHI TOP MARKETING株式会社がシンプルな企画で10万円、NFTを活用したスタンプラリーなどを組み合わせる場合は200万円から300万円程度としています。

HEXAはMATICチェーン20%・イーサリアムチェーン30%の成果報酬型(自治体向けに同じ料率が適用されるかは非公開)、「デジさと+」は初期費用・ランニングコストが無料の成果報酬型で料率は非公開、株式会社あるやうむと株式会社ガイアックスは費用を公開していません。

企画設計や発行にかかる費用は募集に要する費用に含まれるため、想定する寄付額と合わせて基準に収まるかを試算したうえで、複数社から見積もりを取るのが現実的です。

Q. ふるさと納税NFTは、企画から提供開始までどのくらいの期間がかかりますか?

A. 導入までの期間を公表している事業者は少なく、確認できる範囲では、SUSHI TOP MARKETING株式会社が最短2週間から2か月での導入実績があるとしています。ほかの事業者は標準的な期間を公開していないため、企画内容と庁内の準備状況に応じて個別に確認することになります。

これに加えて、返礼品基準への当てはめを自治体側で整理する時間を見込む必要があります。2026年10月1日以後に開始する指定対象期間からは、区域内での制作を理由に地場産品と整理する場合に、製造等を行う者による証明と自治体によるその内容の公表が求められるため、その手続きの分も日程に織り込んでおくと安全です。

Q. 庁内にNFTに詳しい職員がいなくても、ふるさと納税NFTは導入できますか?

A. ふるさと納税NFTでは、企画設計からNFTの発行・配布までの実務は事業者に任せられますが、返礼品が総務省の基準に適合することの整理と説明は自治体側に残ります。各事業者は企画の立案からNFTの発行、寄付の受付、寄付者への配布までを請け負う体制をとっており、寄付者がウォレットを意識せずに受け取れる仕組みも提供されています。

一方で、総務省の告示・通知・運用Q&Aには、確認した範囲ではNFTやデジタルデータを名指しした記述がありません。自団体の企画が基準のどこにどう当てはまるのかを説明する作業は事業者に委ねられないため、企画内容を具体化したうえで総務省に確認する前提で進めることをおすすめします。

Q. 地元のクリエイターが制作したNFTなら、地場産品基準を満たしますか?

A. NFTが地場産品基準を満たすかどうかについて総務省が示した見解は確認できず、当てはめは自治体が個別に確認する領域です。告示の各号は「いずれかに該当」すればよい選択的な基準で、区域内で製造・加工の主要な部分を行って付加価値が生じているとする第三号、特産品にNFTを附帯させたセットとして提供し地場産品側の価値が全体の7割以上であるとする第六号などが、条文上の経路として読み取れます。

ただし運用Q&Aは、区域内の事業者が監修しているだけのものや、区域外で製造している電子機器類の待受け画面に自治体の名称やゆるキャラ等を表示させたものを、認められない例として挙げています。制作の実態がどこにあるかで判断が分かれるため、企画の内容を具体化したうえで確認するのが確実です。

出典・参考資料(2件)

Q. 2026年10月以降にふるさと納税NFTを企画する場合、どの基準で設計すればよいですか?

A. 2026年10月1日以後に開始する指定対象期間に係る指定からは、地場産品基準が総務省告示第179号の第五条から第六条(地方税法第37条の2第2項第4号を受けるもの)へ移り、募集経費5割の基準が削除されて寄附金活用可能額の基準に置き換わります。これから企画するのであれば、新しい基準を前提に設計することになります。

NFT返礼品に関わる主な変更は3点です。地場産品基準の第五号(オリジナルグッズ)には、自治体が広報の目的で自ら調達して配布・販売した実績と計画があること、返礼品として提供する数量がその配布・販売数量を超えないことという要件が加わります。

第三号は「相応の付加価値」から「価値の過半」に変わり、製造等を行う者による証明と自治体による公表が必要になります。募集経費については、寄付金の合計額から募集費用を差し引いた寄附金活用可能額を寄付金総額の60%以上とする基準が新設され、2026年(令和8年)の指定対象期間は経過措置で52.5%以上とされています。返礼割合3割の基準そのものは変わりません。

出典・参考資料(3件)

Q. NFTを返礼品にすると、2025年10月からのポイント付与の規制に触れませんか?

A. NFT返礼品がこの規制の対象になるかどうかについて、総務省が示した見解は確認できません。規制の内容は「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集」を禁止するもので、2025年10月1日以後に開始する指定対象期間から適用されています。寄付者へのポイント付与そのものを直接禁じた規定ではなく、自治体が守るべき募集の基準として定められています。

運用Q&Aは、ポータルサイト運営事業者等により寄付者に付与されるポイント等について、マイルやコインなど名称を問わず経済的利益に該当するとしています。NFTを名指しした記述はありませんが、寄付に伴って寄付者に何を提供する設計にするかによっては、確認しておきたい論点です。

出典・参考資料(2件)

Web3ビジネス支援サービスの料金・機能を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、NFTの発行・配布支援やWeb3事業の立ち上げ支援に関する最新の資料をまとめてご覧いただけます。提供範囲や費用感を比較したうえで、自治体・自社の企画に合うサービスをお探しください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】NFT・トークン発行・配布支援の資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

NFT・トークン発行・配布支援
おすすめの診断サービス