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経理システムとは?種類・機能・選び方から法改正対応まで解説

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手入力による仕訳や領収書の集計、Excelでの請求書管理が限界を迎えつつあるという声を、経理現場で聞く機会が増えました。中小企業向けの導入率調査でも、経理・経費・会計システムは他分野よりも早くに普及しており、多くの企業が「経理システム」を検討し始めています。

しかし、いざ調べてみると「経理システム」と一口にいっても、会計ソフト単体を指す文脈もあれば、経費精算や請求書、債権管理まで含む総称として使われる場面もあり、言葉の範囲が意外と揺れていることに気づく方が多いはずです。

本記事では、経理システムという言葉が指す範囲を最初に整理したうえで、会計システムとの違い・4つの主な種類・導入形態の選び方・見落とせない選定観点・インボイス制度と電子帳簿保存法への対応要件・主要製品の比較・段階的な導入の考え方までを、実務の目線でまとめて解説します。

「うちの経理業務をどこからシステム化すればよいか」の当たりを付け、資料請求や比較検討の次の一歩に進むための見取り図として活用してください。

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経理システムとは?指す範囲と経理業務との関係

経理システムとは、企業の経理業務(会計・経費精算・請求書管理・債権/債務管理など)をITで支えるためのシステムの総称です。狭義には仕訳入力・決算書作成を担う「会計システム(会計ソフト)」を指すこともありますが、実務では会計ソフト単体だけでなく、経費精算・請求書・支払処理まで含めた経理業務全体を回すシステム群を「経理システム」と呼ぶ場面が多くみられます。

この記事でも広義の定義に沿って、経理業務全般をカバーするシステム群として経理システムを扱います。読者が資料請求やソリューション選定に進む際にも、「うちの経理業務のどの範囲まで自動化するか」という視点で見取り図を持つほうが、後戻りの少ない検討ができるためです。

この広義の使い方は特定ベンダーの独自定義ではなく、主要な会計ソフトベンダー(freee・弥生)や大手決済インフラの解説(NTTファイナンス)、請求書クラウドの解説(Bill One)などが同じ範囲で言葉を使っており、業界横断で通用する実務標準といえます。

経理業務とサブシステムの対応マップ

ここからは、日常の経理業務がどのサブシステムでカバーされるかを一枚の表で整理します。「うちの何をシステム化すればよいか」を判断する見取り図として活用してください。

日常の経理業務対応するサブシステム主な処理
仕訳入力・帳簿作成・決算書作成会計システム(会計ソフト)総勘定元帳・試算表・貸借対照表・損益計算書の作成
従業員の立替経費精算・交通費精算経費精算システム申請ワークフロー・領収書のAI-OCR読み取り・仕訳連携
取引先への請求書発行・受領した請求書の処理請求書管理システム(発行/受領)電子インボイス発行・受領請求書のデータ化・仕訳連携
売掛金の入金消込・与信管理・買掛金の支払処理債権・債務管理システム入金データと請求書の自動突合・支払データの自動作成

※本記事では上記4分類を「経理システム」の主構成として扱います。給与計算システムは経理システムに隣接する領域として、多くの製品で連携先の1つに位置付けられています。

すべてのサブシステムを一度に導入する必要はありません。自社の業務量や課題の優先度に応じて、必要な領域から段階的に導入していくのが現実的な進め方です。段階導入の考え方は「どこから入れる?段階導入の考え方」で詳しく解説します。

経理システムと会計システムの違い

「経理システム」と「会計システム」は実務では混同されがちですが、両者の関係を整理すると、会計システムは経理システムの一部(仕訳・決算に特化した領域)と位置付けられます。それぞれの範囲を表で対比します。

項目会計システム(会計ソフト)経理システム(広義)
主な役割仕訳入力・元帳作成・決算書作成経理業務全般(会計+経費精算+請求書+債権/債務など)
対象業務範囲会計処理に特化経理部門が担うオペレーション全般
主な利用者経理担当者・税理士経理担当者に加え、申請者(一般従業員)・営業・購買担当者など
単体で完結するか単体で仕訳〜決算まで完結複数のサブシステムを組み合わせて完結(統合型もあり)

ただし、実務では両語の混用がよくみられます。中小企業では会計ソフト1本で経理業務の中核を回している場合も多く、その場面では「会計システム=経理システム」と呼んでも意味が通じます。一方で、経費精算や請求書もシステム化してきた企業では、会計ソフトはあくまで経理システム群の一部という認識が自然です。

会話の相手や資料の文脈で範囲がずれることを踏まえ、社内の議論やベンダーとのやり取りでは「今どのサブシステムの話をしているのか」を明確にしておくと混乱が減ります。

経理システムの4つの種類と機能

広義の経理システムは、担う業務範囲によって主に次の4つの種類に分けられます。実務で広く定着している分類です。それぞれの主な機能を、抽象論に流れず具体的な処理内容で整理します。

1. 会計システム(仕訳入力・総勘定元帳・決算書作成)

会計システムは、企業の日々の取引を仕訳として記録し、総勘定元帳・試算表・貸借対照表・損益計算書などの帳簿・決算書を作成するためのシステムです。経理システム群の中核をなす存在で、他のサブシステム(経費精算・請求書など)で発生した取引データも最終的にここへ集約されます。

主な機能は、複数の勘定科目に対応した仕訳入力、部門別・プロジェクト別の集計、月次・年次決算書の自動作成、税務申告用データの出力などです。クラウド型では銀行口座・クレジットカードとのAPI連携により、明細データが自動で仕訳候補として取り込まれるものが主流になっています。

会計ソフト単体で自社に合う候補を絞りたい場合は、規模・タイプ別の選び方や料金を横並びで整理した比較記事もあわせてご覧ください。

2. 経費精算システム(申請ワークフロー・領収書AI-OCR・仕訳連携)

経費精算システムは、従業員が立て替えた交通費や接待費などの経費を、申請・承認・振込・仕訳作成まで一気通貫で処理するためのシステムです。紙の領収書とExcelでの申請を撤廃したい、承認フローを可視化したい、といったニーズに応えます。

領収書のAI-OCR読み取り・交通系ICカードとの連携・多段階の承認ワークフロー・会計システムへの仕訳連携が主要な機能で、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たした運用にも対応します。従業員数が多い企業ほど、経費精算業務の負担削減効果が大きくなります。

経費精算システム単体で導入を進めたい場合の選び方や主要製品の料金・機能は、以下の比較記事で詳しく整理しています。

3. 請求書管理システム(発行/受領、電子インボイス対応)

請求書管理システムは、取引先への請求書発行、あるいは取引先から受領した請求書の処理を効率化するためのシステムです。用途によって「発行側」と「受領側」に分かれ、両方をカバーする製品もあれば、片方に特化した製品もあります。

発行側では、請求書テンプレートの管理・自動発番・電子インボイス(適格請求書)の発行・郵送代行などが主な機能です。受領側では、紙・PDF・電子データで届く請求書をデータ化し、承認ワークフローに乗せ、会計システムに仕訳として渡す処理を自動化します。インボイス制度と電子帳簿保存法への対応が事実上の必須要件となっており、選定時にも真っ先に確認したい観点です。

発行側と受領側は別カテゴリの製品として選定するのが一般的です。発行側の主要製品を横並びで比較したい方は下記の記事、受領側で悩んでいる方は請求書受領サービス比較が参考になります。

4. 債権・債務管理システム(入金消込・与信・支払処理)

債権・債務管理システムは、売掛金(債権)の入金消込や与信管理、買掛金(債務)の支払処理を自動化するためのシステムです。請求件数・取引先数が多くなると、Excelでの入金消込や支払データの作成に膨大な工数が取られるため、規模が大きくなるほど導入効果が現れやすい領域です。

主な機能には、銀行口座の入金明細と請求書データの自動突合による消込、取引先ごとの与信枠管理と与信状況の可視化、支払データ(FBデータ)の自動作成、督促管理などがあります。売上規模の大きい企業や、卸売・EC・製造業など取引件数が多い業種で特に有用性が高くなります。

入金消込や与信管理・督促対応の負担がすでに大きい企業では、債権管理システム単体をタイプ別に比較検討する方が近道です。消込・請求一体・与信督促・ERP統合のタイプ別に整理した比較記事もご覧ください。

経理システムを導入するメリット

経理システムを導入する主なメリットを、抽象的な「効率化できます」ではなく、具体的な業務名で整理します。

  1. 仕訳作業の自動化による工数削減 — 銀行明細・クレジットカード明細・領収書OCR・請求書データが仕訳候補として自動生成され、経理担当者は内容確認と修正のみで済むようになります。手入力主体の運用から比べると仕訳作業時間を大きく削減できます。
  2. 人的ミスの防止と再現性の向上 — 転記ミス・計算ミス・二重計上・勘定科目の取り違えといった手作業由来のミスが減り、月次締めや決算作業の手戻りが少なくなります。属人化していた処理ルールもシステム上に設定として残せます。
  3. データの一元管理とリアルタイム経営情報 — 仕訳・請求・入金・支払・経費のデータが一元管理されるため、経営層が月次を待たずにキャッシュ状況・売上進捗を確認できます。部門別・プロジェクト別の損益もリアルタイムで把握しやすくなります。
  4. 法改正対応の負担軽減 — インボイス制度・電子帳簿保存法・消費税率変更などの法制度改正時に、ベンダーが機能アップデートで対応してくれるため、自社で個別に対応方針を検討・実装する負担が軽減されます。特にクラウド型では、追加費用なしでの自動アップデートが一般的です。
  5. テレワーク・多拠点対応 — クラウド型を選べば場所を選ばずアクセスできるため、経理担当者のテレワーク運用や、複数拠点・海外拠点との経理連携も現実的になります。

経理システムの導入形態(提供形態と業務範囲の2軸)

経理システムの導入形態は、2つの軸で整理すると分かりやすくなります。1つ目は「提供形態」(クラウド型/インストール型など、システムがどこで稼働するか)、2つ目は「カバーする業務範囲」(統合型/業務別特化型、単体か束ねるか)。この2軸は独立しており、例えば「クラウドで動く業務別特化型」も「インストールで動く統合ERP型」もあり得ます。

軸1:提供形態(クラウド型/インストール型)

提供形態主な特徴向いている企業注意点
クラウド型ベンダーのサーバーで稼働。ブラウザからアクセス。月額課金が主流中小〜中堅企業/テレワーク・多拠点/IT体制が小さく法改正対応の負担を減らしたい企業インターネット接続が前提。カスタマイズ範囲は製品の設定で決まる
インストール型(オンプレミス)自社サーバーやPCにインストール。買い切り or サブスクの両方ありネットワーク環境の制約が厳しい業種/既存の業務フローを大きく変えたくない企業法改正時のバージョンアップ対応を自社で回す必要/サーバー・端末の運用コスト

軸2:カバーする業務範囲(統合型/業務別特化型)

業務範囲主な特徴向いている企業注意点
統合ERP型会計・人事・販売・購買などを1つの基盤で統合中堅以上/複数業務のシステム分断を解消したい企業/グループ経営で全社統一を図りたい企業導入負担・費用が大きい/要件定義に時間を要する
統合クラウドスイート型会計を中核に経費精算・請求書・給与などを同一基盤のシリーズで束ねる(freee/マネーフォワード等)中小〜中堅企業/統合ERPほど重くしたくないが業務全体を1本で回したい企業単一ベンダーへの依存が強まる/機能拡張は同シリーズ内が基本
業務別特化型経費精算・請求書・債権管理などのサブシステムに特化特定業務の課題が明確で、そこから先行的にシステム化したい企業連携先の会計システム・データ形式の確認が必須

近年は中小〜中堅企業を中心にクラウド型が主流になりつつありますが、既にインストール型の会計ソフトが定着している企業や、社外ネットワーク接続に制約がある業種では、インストール型が選ばれ続けています。業務範囲についても、まず単体(業務別特化型)から始めて必要に応じて統合を進める企業と、最初から統合クラウドスイート型で全体を揃える企業のどちらも現実的な選択肢です。

自社のIT体制・業務フロー・法改正対応の負担観を踏まえて、2つの軸で組み合わせを検討していきます。

経理システムの選び方(機能・料金・連携・サポート・法改正対応・セキュリティ)

経理システムを選ぶ際、後で見落としに気づいて困りやすいポイントを6つの観点で整理します。

自社に必要な機能・タイプが揃っているか

自社の課題がどのサブシステム(会計/経費精算/請求書/債権・債務)にあるかを最初に切り分け、その領域を確実にカバーする製品を候補にします。会計ソフト単体で足りるのか、経費精算まで含めた統合型がよいのかで、候補となる製品群が大きく変わります。将来的な拡張の余地(例:まず会計、次に経費精算)も併せて確認するのが安全です。

導入費用とランニングコストが自社規模に見合うか

クラウド型は月額料金(数千円〜数万円/月が中小向けの目安)が中心で、初期費用が少ない一方、長期利用で累計コストが積み上がります。インストール型・ERP型は初期費用が大きい代わりに、長期利用で単価が下がる場合もあります。ユーザー数課金・仕訳件数課金・機能課金など料金体系はベンダーによって異なるため、3〜5年後の運用規模を想定してTCO(総所有コスト)で比較すると判断を誤りにくくなります。

会計・給与・銀行など既存システムと連携できるか

経費精算・請求書・債権管理などのサブシステムを導入する場合は、会計システムへの仕訳連携方式(CSV連携/API連携)を確認します。既存の給与ソフト・販売管理システム・銀行口座(ネットバンキング)とのAPI連携の有無、対応銀行のリストも要確認です。連携形式が合わないと、二重入力や手作業でのCSV変換が発生し、システム化の効果が薄れる原因になります。

サポート体制が充実しているか

導入初期には設定支援・データ移行支援・操作研修が必要になる場面が多く、月次締めや決算時にはトラブル対応の即応性が業務停止時間を左右します。電話・チャット・メールの受付時間、専任担当者の有無、税理士向けサポートの有無などをチェックし、自社の運用体制に合うかを見ておきます。中小企業の場合、地域の税理士事務所と連携しやすい製品かどうかも実務上の重要な判断軸です。

インボイス制度・電子帳簿保存法に対応しているか

インボイス制度(適格請求書等保存方式)と電子帳簿保存法(電子取引データ保存の義務化を含む)への対応は、選定時の必須要件です。特に電子取引データの保存要件を満たさない場合、税務調査で否認されるリスクがあるため、単なる「対応済み」の表記だけでなく、真実性・可視性の要件をどう満たしているかまで確認したいところです。詳細は「法改正対応で外せない要件」で解説します。

第三者による認証として、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の「JIIMA認証」があります。認証を受けた製品は、電子帳簿保存法の法的要件を満たしていることが第三者により確認済みであるため、選定の見落としリスクを下げる物差しとして活用できます。

JIIMA認証とは、市販ソフトウェアやサービスが電子帳簿保存法の要件を満たしているかを検査し、法的要件を満たしていると判断したものを認証する制度です。

出典:JIIMA認証制度|公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)

認証区分としては、電子帳簿ソフト法的要件認証・電子取引ソフト法的要件認証・電子書類ソフト法的要件認証などがあり、それぞれの認証製品リストもJIIMA公式サイトで公開されています。

セキュリティ・操作性は運用に耐えるか

経理データは機密性が高く、外部漏洩や不正アクセスは経営リスクに直結します。クラウド型では、SOC2・ISMS等の第三者認証、通信・保存データの暗号化、二要素認証、IPアドレス制限、監査ログ機能などの提供状況を確認します。操作性は現場が毎日使う指標のため、無料トライアルや資料の画面キャプチャで実際の入力・承認画面を確認しておくと、導入後の定着リスクを減らせます。

法改正対応(インボイス制度・電子帳簿保存法)で外せない要件

経理システム選定において、現時点で最も外せないのがインボイス制度と電子帳簿保存法への対応です。制度の要点と、システム側で満たすべき対応要件を整理します。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)

令和5年(2023年)10月1日からスタート。税率が複数あっても、事業者の方が消費税を正確に納めていただけるように、消費税の金額等を書いた請求書・領収書等(インボイス)を基に計算する仕組みです。

出典:インボイス制度について|国税庁

インボイス制度では、買手が消費税の仕入税額控除を受けるために、売手が発行する適格請求書(インボイス)を保存する必要があります。インボイスには、①相手方の氏名または名称/②売手(自社)の氏名または名称および登録番号/③取引年月日/④取引内容(軽減税率対象品目である旨)/⑤10%・8%それぞれの対象となる対価の総額および適用税率 の記載事項が求められます。

経理システム側では、請求書管理システム・会計システムいずれも、適格請求書発行事業者の登録番号の管理、記載事項に沿った請求書テンプレートへの対応、受領した請求書がインボイスかどうかの判定と保存が求められます。制度の詳細は国税庁の一次情報で確認できます。

出典・参考資料(2件)

電子帳簿保存法

電子帳簿等保存制度とは、税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度をいい、3つの制度に区分されています。① 電子帳簿等保存【希望者のみ】/② スキャナ保存【希望者のみ】/③ 電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要です】

出典:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年4月)(PDF)|国税庁

3つの区分のうち、①電子帳簿等保存と②スキャナ保存は任意ですが、③電子取引データ保存は法人・個人事業者ともに対応が必要な義務です。取引情報を電磁的方式でやり取りした場合、その電子データを一定の要件を満たした形で保存しなければなりません。

電子取引の対象範囲は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データの授受です。メール添付のPDF請求書、Webサイトからダウンロードした領収書、EDIによるデータ交換も含まれます。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則2②一イ、二、⑥五、六、4①)。〔要件の概要〕電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります)/見読可能装置の備付け等/検索機能の確保/次のいずれかの措置を行う(① タイムスタンプが付された後の授受/② 速やかにタイムスタンプを付す/③ データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して授受及び保存を行う/④ 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け)

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 令和7年6月 問18 (PDF)|国税庁

経理システム側では、これらの要件を満たすタイムスタンプ機能・訂正削除履歴の記録・検索機能・見読可能な出力が必要です。ここでも先述のJIIMA認証が実用的な物差しになり、認証取得済み製品を候補に含めることで、要件充足の見落としリスクを下げられます。

出典・参考資料(1件)

法改正対応の要点表

制度開始/対応時期対応義務システム側の主な要件
インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必要登録番号管理/記載事項に沿った請求書発行/受領請求書の適格判定と保存
電子帳簿保存法(電子取引データ保存)法人・個人事業者ともに対応が必要電子取引データを電子のまま保存(紙出力保存は不可)真実性の確保(タイムスタンプ/訂正削除履歴/事務処理規程のいずれか)+可視性の確保(見読可能な出力/検索機能)
電子帳簿保存法(電子帳簿等保存)希望者のみ(任意)自社作成の帳簿・書類の電子データ保存を選択可訂正・削除履歴の保存/システム関係書類の備付け/検索機能
電子帳簿保存法(スキャナ保存)希望者のみ(任意)紙で受領した領収書・請求書のスキャナ画像保存を選択可タイムスタンプ/解像度・カラー要件/検索機能/原本の廃棄可

※国税庁「特集 インボイス制度 特設サイト」「電子帳簿等保存制度特設サイト」「電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年4月)」「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和7年6月」を基に整理(2026年8月時点)

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主要な経理システムの比較

ここからは、個人事業主〜従業員100名前後の中小企業で導入例の多い、経理業務を統合的にカバーできる経理システム5製品を横並びで比較します。会計を軸に、経費精算・請求書などの周辺業務まで束ねて扱えるクラウド系の代表製品が対象です。

100名以上の中堅・大企業を検討する場合は、比較表に含めていない中堅ERP系も候補に加えてクラウド財務管理システムの比較で確認してください。

比較表(スポット比較)

← 横にスクロールできます →
サービス名Tenbook弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド会計PCAクラウド 会計
機能範囲会計・請求・経費・給与・支払を
1システムに集約
会計・請求・経費を1サービスで統合
給与は「弥生給与 Next」と連携
会計本体(入金消込含む)+
freee請求書・経費精算・人事労務と連携
会計本体+クラウドシリーズで
請求・経費・給与・債務支払を連携
会計+債権/債務(hyperオプション)
給与・販売等は同基盤の別モジュール
対象規模〜30名/売上15億円以下の
中小・スタートアップ
〜100名前後
(法人向け)
個人事業主〜100名超
(IPO準備・上場企業まで対応)
ひとり法人〜50名前後
(Plusで100名超まで対応)
中小〜中堅企業
(hyperはグループ経営対応)
料金の目安月額29,500円〜
(経理代行込みプラン)
月額2,900円〜
(エントリー年契約・税抜)
月額2,980円〜
(ひとり法人 年払い・税抜)
月額2,480円〜
(ひとり法人 年払い・税抜)
月額15,600円〜
(会計hyper・税抜)
インボイス・電帳法対応対応済み対応済み
(JIIMA認証あり)
対応済み
(JIIMA認証あり)
対応済み
(JIIMA認証あり)
対応済み
(JIIMA認証あり)
特徴会計事務所による経理代行と
会計ソフト「10book」の一体提供
弥生 Next の中核クラウド版
2,500以上の金融機関と連携
AI仕訳・API連携で自動化を追求
freeeシリーズと同基盤で拡張
2,300以上の金融関連サービス連携
経理経験者向けの自由度の高い操作性
PCA会計パッケージのクラウド版
hyper でグループ・セグメント管理に対応
詳細情報資料を見る公式サイトへサービス詳細公式サイトへ公式サイトへ

※2026年8月時点の各社公式情報より整理。料金・プラン内容は改定される可能性があるため、契約前に必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。Tenbookは経理代行込みプランで他社の会計ソフト単体プランとは提供範囲が異なるため、料金の直接比較には注意が必要です。

1. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

シンアカウンティングサービスが提供するクラウド経理・会計ソフト「Tenbook(テンブック)」の公式サイト。会計と経理業務の効率化を掲げるサービス紹介ページ。

Tenbook(テンブック)は、シンアカウンティングサービス株式会社が提供する、経理業務のクラウド型サービスです。会計代行・経理代行のサービス全体の名称が「Tenbook」で、その中核となる自社開発のクラウド会計ソフトが「10book(テンブック)」——サービス全体と会計ソフト単体の呼び分けとして両者を使い分けています。

会計・請求管理・給与計算・立替経費精算・支払管理・電子帳簿保存法対応・インボイス対応を1システムに集約し、経理代行と組み合わせて提供する構成が特徴です。

対象は売上15億円以下・従業員規模も中小〜中堅企業に合わせた設計で、「経理業務全体をまとめて回したい」と考える企業に適しています。会計処理のアウトソーシングを組み合わせられる点も、経理体制が小さい企業にとっての現実的な選択肢になります。

2. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextの公式サイト。法人向けクラウド会計ソフトとして『初めての会計ソフトに。知識ゼロでも迷わずカンタン。』を掲げるサービス紹介ページ。

従来のクラウドサービス「弥生会計 オンライン」の後継として、2025年4月にリリースされた法人向けクラウド会計ソフトが、弥生株式会社の「弥生会計 Next」です。デスクトップ版「弥生会計」とは別ラインの新ブランド「弥生 Next」の中核プロダクトで、金融機関2,500以上と自動連携する仕訳取込みや、電子帳簿ソフト法的要件のJIIMA認証を取得している点が実務観点での特徴です。

会計単体だけでなく、給与計算・請求書発行・経費精算といった弥生シリーズの各モジュールとのデータ連携により、経理システム全般を段階的に整えていく企業に馴染みやすい構成になっています。全国の税理士事務所とのネットワークが広い点も、地方や小規模企業では選定の判断材料になります。

3. freee会計(フリー株式会社)

freee会計の公式サイト。『会計業務を、誰でも、流れるように。』を掲げるクラウド会計ソフトのサービス紹介ページ。

銀行口座・クレジットカードとのAPI連携による明細自動取込みと、AIによる仕訳提案を軸に、簿記の専門知識が少ない担当者でも入力の迷いが少ないUI設計を採ってきたのが、フリー株式会社の「freee会計」です。個人事業主から従業員100名超の法人・IPO準備企業までカバーするプラン展開で、対象範囲の広さも中小企業クラウド会計の中では上位に位置します。

会計本体に加えて、freee 請求書・freee 経費精算・freee 支出管理受取請求書といった経理業務のサブシステムをシリーズで揃えており、同一基盤上で経理業務全般をカバーしたい企業に適しています。インボイス制度・電子帳簿保存法への対応も進んでおり、法改正対応の負担を減らしたい中小企業に幅広く選ばれています。

4. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計の公式サイト。ひとり法人・中小企業・IPO準備企業・中堅〜上場企業まで対応するクラウド会計ソフトのサービス紹介ページ。

ひとり法人・中小企業向け(想定50名以下)を主対象とする、株式会社マネーフォワードのクラウド会計ソフトが「マネーフォワード クラウド会計」です。銀行・カード・電子マネー等の外部サービスとの自動連携数が2,300以上と多く、明細取得〜仕訳提案〜レポート出力までのフローを1つの基盤で完結できる設計です。100名超の中堅企業には上位版「クラウド会計Plus」の系統も用意されています。

クラウド会計に加えて、マネーフォワード クラウド請求書・経費・給与・債権請求・債務支払など、経理業務の各サブシステムを同一基盤で展開しており、経理システム全体を一括で整えたい企業と、既存業務のうち一部から段階的に導入したい企業のどちらのニーズにも対応しやすい構成です。会計事務所向けサービスも充実しており、税理士との連携を重視する中小企業でも扱いやすくなっています。

5. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 会計の公式サイト。中小企業向け『PCAクラウド 会計』および中堅企業向け『PCAクラウド 会計 hyper』のサービス紹介ページ。

1980年代から会計パッケージソフトを提供してきたピー・シー・エー株式会社が、業務用会計ソフト「PCA会計」の操作性・帳票様式を継承したままクラウド化したのが、「PCAクラウド 会計」です。既存のPCAシリーズを利用してきた企業や、税理士事務所との共同運用を前提とする中小企業の移行先の1つとして候補に挙がります。

会計単体だけでなく、給与・販売・経費精算・電子帳簿保存など経理業務全般をカバーする製品群を同シリーズで揃えており、クラウド新興系(freee・マネーフォワード)とは異なる系統の選択肢として位置付けられます。中堅企業向けの上位ライン「hyper」はグループ経営・セグメント管理まで対応します。

どこから入れる?段階導入の考え方

比較表で候補が絞れてくると、次に湧いてくる疑問が「うちはどのサブシステムから入れれば失敗しないか」です。すべてを一気に導入するとプロジェクトが重くなり、現場が使いこなす前に頓挫するリスクが高まります。ここでは業務範囲と企業規模の観点から、段階導入の考え方を整理します。

まずは業務範囲が明確なサブシステムから

段階導入の第一歩には、業務範囲が明確で導入負担が比較的軽いサブシステムが選ばれやすい傾向があります。代表的な入口候補としては、経費精算(申請者が多く、紙・Excel運用の負担が可視化されやすい)/請求書管理(発行または受領の一方から絞れば範囲を絞りやすい)/会計ソフト(他システムが未整備でも単体で完結する)などが挙げられます。

どこから入れるべきかは「今、どの業務で現場のストレスが最も大きいか」「法改正対応で待ったなしの領域はどこか」を切り口に判断すると納得感が得られます。

中小企業のIT導入分野の中では経理・経費・会計システムが最も広く導入されており(商工組合中央金庫「中小企業のIT・ソフトウェアの活用状況に関する調査(2023年1月)」で導入済み78.0%)、他分野に比べて事例情報・導入ノウハウを集めやすいのも、この領域から着手しやすい理由です。

出典・参考資料(1件)

企業規模・業務範囲別の入口の目安

企業規模/状況着手しやすい入口次に検討
従業員10名以下・会計ソフト未導入会計ソフト単体(クラウド型)経費精算・請求書は必要に応じて段階追加
従業員30〜100名・経費精算の負担が大きい経費精算システム+既存会計ソフトへの仕訳連携請求書管理(受領側から)
従業員100〜300名・請求件数が増え入金消込に工数がかかる請求書管理システム(発行+受領)+債権管理会計ソフトを統合型にリプレース検討
複数拠点・グループ会社あり統合ERP型 or クラウド型で全社統一連結決算・グループ経理の追加

入口を決めるうえで重要なのは、選んだ製品が次に導入するサブシステムと連携できる基盤を持っているかです。同一ベンダーのシリーズを揃えると連携面の負担は最小ですが、単一ベンダーへの依存が強まる面もあるため、API連携が広く公開されている製品を選び、複数ベンダーを組み合わせる選択も現実的です。

経理システム導入の流れとつまずきポイント

入口となるサブシステムが決まったら、実装フェーズに入ります。ここでは代表的な導入ステップと、途中で起きやすいつまずき、定着させるための実務ポイントを順に見ていきます。

導入ステップ(目的定義→選定→業務フロー再設計→教育→運用PDCA)

  1. 目的の定義 — 何のために導入するか(工数削減/法改正対応/属人化解消/リアルタイム経営情報)を1〜2つに絞り、成功指標(例:月次締めを◯営業日短縮)を設定します。
  2. 候補選定と製品比較 — 目的に合う候補を3〜5製品に絞り、機能・料金・連携・サポート・法改正対応・セキュリティで比較します。可能なら無料トライアルで実際の操作性を検証します。
  3. 業務フローの再設計 — 「今の業務をそのままシステムに載せる」のではなく、承認ルート・仕訳ルール・入力タイミングをシステム前提で再設計します。ここでの手抜きが後の「使いにくい」の原因になります。
  4. 教育・移行の実施 — 経理担当者向けの操作研修に加え、申請者(経費精算では全社員が対象)向けのマニュアル・動画・ヘルプデスクを準備します。過去データの移行方針(何年分を移行するか)もこの段階で決定します。
  5. 運用開始と PDCA — 導入後1〜3ヶ月は現場のフィードバックを積極的に回収し、承認フロー・仕訳ルール・エラー対応の運用ルールを詰めていきます。四半期ごとに効果測定(工数削減量・エラー件数)を確認します。

使いこなせない・コスト負担などのつまずきポイント

導入プロジェクトで起きやすい典型的なつまずきと対処の考え方を整理します。

  • コスト負担が想定より大きい — ユーザー数課金や仕訳件数課金で運用開始後にコストが膨らむ事例があります。契約前に3〜5年後の運用規模でTCOを算出し、想定外の増額要因(追加機能・API連携)を洗い出しておくのが安全です。
  • 現場が使いこなせない — 経理担当者は使えても、申請者側(経費精算の全社員)が操作に馴染めず紙の申請が残る、といった事例があります。申請者向けの動線を極力単純化する製品を選び、導入初期はヘルプデスク・チャット窓口を確保します。
  • 既存業務フローとの不整合 — システムの前提と自社の業務ルールが噛み合わず、現場が回避策を編み出してしまう事例があります。業務フロー再設計の段階で、システム提供元のベストプラクティスに寄せる判断を明確にしておくと避けられます。
  • 操作画面の使いにくさ — カタログ機能では十分に見えても、現場が日常的に使う画面の使いにくさで定着しない事例があります。導入前に無料トライアルや資料の画面キャプチャで実物を確認しておくと、事後の後悔を減らせます。

定着させる・教育を回すための実務ポイント

導入したシステムを定着させ、投資効果を出すために、以下の実務ポイントが役立ちます。

  • 段階リリースで負荷を分散 — 全部門一斉稼働ではなく、モデル部門・拠点で先行導入し、課題を潰してから全社展開します。
  • 教育資材を役割別に用意 — 経理担当者・申請者・承認者・管理職で必要な操作が異なるため、動画・FAQ・マニュアルを役割別に整備します。ベンダーが提供する研修資料をカスタマイズできれば活用します。
  • 現場フィードバックの回収経路を作る — 導入後3ヶ月は月次でヒアリングし、承認フロー・入力ルール・エラー対応を微調整します。改善事例を社内で共有すると、後追い部門の導入がスムーズになります。
  • ベンダー担当者との定例窓口 — 導入後の運用改善や機能追加リクエストは、定例のミーティング窓口を作っておくと解決までの時間が短縮されます。中小企業ほど、担当者の顔が見える関係が実務上の差を生みます。

まとめ

経理システムは、会計ソフト単体を指す狭義の使い方と、経費精算・請求書・債権/債務管理まで含む経理業務全般のシステムを指す広義の使い方があります。

本記事では実務で広く通用する広義の定義に沿って、4つの主な種類(会計/経費精算/請求書/債権・債務)と機能、クラウド/インストール/統合ERP/業務別特化の導入形態、選定時の6つの観点、インボイス制度と電子帳簿保存法で外せない要件、主要な経理システムの比較、段階的な導入の考え方までを整理しました。

すべてを一気に導入する必要はなく、自社の業務量と課題の優先度、法改正対応の必要性、拡張性を踏まえて、必要なサブシステムから段階的に整えていくのが現実的な進め方です。まずは自社の課題がどのサブシステムにあるかを切り分け、その領域の主要製品を比較検討していきましょう。

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経理システムに関するよくある質問(FAQ)

Q. 経理システムとは何ですか?

経理システムとは、企業の経理業務(会計・経費精算・請求書管理・債権/債務管理など)をITで支えるためのシステムの総称です。狭義には仕訳入力・決算書作成を担う会計ソフト単体を指しますが、実務では経費精算や請求書、支払処理まで含めた経理業務全体を回すシステム群を「経理システム」と呼ぶ場面が多くみられます。本記事はこの広義の定義に沿って解説しています。

Q. 経理システムと会計システムの違いは何ですか?

経理システムと会計システムは、会計システムが経理システム(広義)の一部=仕訳・決算に特化した領域として位置付けられる関係です。会計システムは仕訳入力から総勘定元帳・決算書作成までの会計処理に特化し、経理システム(広義)はそこに経費精算・請求書管理・債権/債務管理を加えた経理業務全般をカバーします。

ただし中小企業では会計ソフト1本で経理業務の中核を回している場合も多く、その場面では両語が同じ意味で使われることもあります。社内の議論やベンダーとのやり取りでは「今どのサブシステムの話をしているのか」を明確にしておくと混乱が減ります。

Q. 経理システムの導入費用はどのくらいが目安ですか?

経理システムの導入費用は、クラウド型なら月額数千円〜数万円が中小向けの目安、インストール型や統合ERP型なら初期費用が数十万円〜数百万円規模になるのが一般的です。クラウド型は初期費用が少ない一方で長期利用で累計コストが積み上がり、インストール型・ERP型は初期費用が大きい代わりに長期利用で単価が下がる場合もあります。

料金体系はユーザー数課金・仕訳件数課金・機能課金などベンダーによって異なるため、3〜5年後の運用規模を想定してTCO(総所有コスト)で比較すると判断を誤りにくくなります。

Q. 経理システムはクラウド型とインストール型のどちらを選ぶべきですか?

経理システムのクラウド型とインストール型の選択は、IT体制が小さく法改正対応の負担を減らしたい中小〜中堅企業やテレワーク・多拠点運用にはクラウド型、ネットワーク環境の制約が厳しい業種や既存の業務フローを大きく変えたくない企業にはインストール型が向きます。クラウド型はブラウザからアクセスでき月額課金でスタートしやすく、法改正時のアップデートもベンダー側で自動対応されます。

インストール型は自社サーバーやPCで稼働するため社外ネットワーク接続に制約がある業種でも運用でき、既にインストール型が定着している企業では移行負担を抑えやすい選択肢です。詳細は「導入形態の違い」で解説しています。

Q. 経理システムはインボイス制度・電子帳簿保存法に対応している必要がありますか?

経理システムのインボイス制度・電子帳簿保存法対応は、選定時の事実上の必須要件です。特に電子帳簿保存法の「電子取引データ保存」は法人・個人事業者ともに対応が必要な義務で、要件を満たさない保存は税務調査で否認されるリスクがあります。

インボイス制度では登録番号管理・記載事項に沿った請求書発行・受領請求書の適格判定と保存が、電子帳簿保存法(電子取引データ保存)では真実性の確保(タイムスタンプ/訂正削除履歴/事務処理規程のいずれか)と可視性の確保(見読可能な出力/検索機能)が求められます。制度の詳細は国税庁「特集 インボイス制度 特設サイト」および「電子帳簿等保存制度特設サイト」で確認できます。

Q. 経理システムはどのサブシステムから導入を始めるべきですか?

経理システムの段階導入は、「今、どの業務で現場のストレスが最も大きいか」「法改正対応で待ったなしの領域はどこか」を切り口に、業務範囲が明確なサブシステムから入るのが失敗しにくい進め方です。会計ソフトが未導入なら会計単体(クラウド型)から、経費精算の負担が大きければ経費精算システムから、請求件数が増え入金消込に工数がかかるなら請求書管理+債権管理から、という順序が代表的な入口の目安になります。

入口を決める際は、選んだ製品が次に導入するサブシステムと連携できる基盤を持っているかも併せて確認してください。企業規模別の入口の目安は「どこから入れる?段階導入の考え方」で整理しています。

Q. JIIMA認証とは何ですか?経理システム選定でどの程度重視すべきですか?

JIIMA認証は、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が市販ソフトウェアやサービスについて電子帳簿保存法の要件を満たしているかを検査・認証する第三者認証制度で、経理システム選定では電子帳簿保存法対応の見落としリスクを下げる物差しとして活用できます。

認証区分には「電子帳簿ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証」「電子書類ソフト法的要件認証」などがあり、認証取得済み製品を候補に含めれば、法的要件充足が第三者により確認済みという安心材料になります。ただし認証の有無だけで選定を決めるのではなく、機能・料金・連携・サポートといった他の観点と併せて判断するのが実務的です。認証製品リストはJIIMA公式サイトで公開されています。

Q. 既存の会計ソフトから経理システムに乗り換えるときの注意点は?

既存の会計ソフトから経理システムに乗り換える際は、過去データの移行方針(何年分を移行するか)・仕訳ルールの棚卸し・切り替えタイミングの設計の3点を先に決めておくのが安全です。過去データを何年分システムに取り込むかで移行コストと期間が大きく変わり、既存の仕訳ルールが新システム上で再現できるかの検証も必要になります。

切り替えは会計期首を基準にすると税務申告への影響を抑えられ、月次締めが安定している時期を選ぶと現場負担も減らせます。あわせて、既存ソフトのCSVエクスポート形式と新システムの取込形式の互換性、既存の給与ソフト・販売管理・銀行口座(ネットバンキング)との連携再設定も事前確認が必要です。

乗り換え後の並行稼働期間(旧・新システムを一定期間並行運用してデータ整合性を検証する期間)をどのくらい取るかも、導入前にベンダーと擦り合わせておくと安心です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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