「Suicaで払えますか」とお客さまに聞かれる機会が増え、電子マネー決済の導入を検討している事業者の方は多いのではないでしょうか。まず気になるのは、導入すると売上から何%が手数料として差し引かれるのか、という点です。
電子マネー決済の手数料は、相場でいえばおおむね3%台(多くは3.24〜3.74%)です。ただし利用する決済サービスや、楽天Edyなど一部のブランドによって料率や課税の扱いが変わることもあり、「結局うちのケースでは何%なのか」を掴みにくいのが実情です。
本記事では、電子マネー決済の手数料相場を種類別・主要サービス別の実料率で整理し、手数料を誰が負担するのか、手数料以外にかかる費用は何かまでをまとめました。導入して損をしないか判断し、次の一歩へ進むための材料としてご活用ください。
目次
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電子マネー決済の手数料はいくら?相場と種類別の料率
はじめに、多くの事業者が最初に知りたい「電子マネー決済の手数料は何%か」に答えます。
電子マネー決済の手数料相場は、おおむね3%台(多くは3.24〜3.74%)です。1万円の決済であれば320〜370円ほどが手数料として差し引かれる計算になります。経済産業省が全国の加盟店を対象に実施した実態調査でも、電子マネーの手数料率は「3%台前半」が最も多く、交通系・その他ともに3%台に集中しています。
キャッシュレス決済の手数料率は、いずれの決済手段であっても3%台前半の占める割合が高く、ポイント還元事業において3.25%以下の手数料率を参加要件とした効果が継続している。
出典:キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果|経済産業省(2021年調査)
電子マネーは種類による料率差そのものは大きくなく、多くが3.24%前後に揃います。差が出るのはむしろ、楽天Edyなど流通系の一部ブランドと、後述するサービスごとの料金設定です。ここではまず交通系・ポストペイ型・プリペイド流通系の3区分で、手数料率の目安を整理します。
| 電子マネーの種類 | 主なブランド | 手数料率の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 交通系電子マネー | Suica、PASMO、ICOCA、manaca など | 3.24〜3.25%前後 | 多くの決済サービスで非課税 |
| ポストペイ(後払い)型 | iD、QUICPay | 3.24〜3.25%前後 | クレジットカードと同率に設定するサービスが多い |
| プリペイド(前払い)流通系 | 楽天Edy、nanaco、WAON | 3.24〜3.74%(サービス・ブランドで差) | 楽天Edyなど一部ブランドは課税対象となる例あり |
3区分とも中心はおおむね3.24%前後ですが、プリペイド流通系は決済サービスによって差が出やすい傾向があります。たとえばUSEN PAYでは交通系・QUICPayが3.24%であるのに対し、その他の電子マネーは3.74%に設定されています(サービス別の詳細は後述の比較表を参照)。自社の客層がよく使うブランドの料率は、サービスごとに確認しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
電子マネー決済の手数料は誰が負担する?客への上乗せは可能か
ここからは、手数料を負担するのは誰か、そして手数料分をお客さまに転嫁できるのかを整理します。
手数料を負担するのは店舗(加盟店)
電子マネー決済の手数料は、原則として決済を導入している店舗(加盟店)が負担します。お客さまが支払った金額から手数料が差し引かれ、残額が入金される仕組みです。たとえば1万円の売上で手数料が3.24%なら、店舗の入金額は9,676円ほどとなり、324円が手数料として差し引かれます。
手数料分を商品価格に上乗せできるか
手数料の負担を減らすために「電子マネー払いのお客さまだけ数%高くする」といった上乗せは、原則として認められていません。クレジットカードをはじめとする各決済ブランドの加盟店規約で、現金払いと異なる金額を請求する行為が禁止されているためです。
JCBでは加盟店との契約で、手数料の上乗せ行為を禁止しています。そのような行為を確認した場合は、加盟店に対し事実確認のうえ、是正指導をいたします。
出典:よくあるご質問(No.391)|JCB
この上乗せ禁止はJCBに限らず、主要な国際ブランドの加盟店規約に共通する方針です。違反すると加盟店契約の解除につながるおそれもあるため、手数料は価格転嫁ではなく、後述する費用構造の把握とサービス選びでコントロールするのが基本になります。ただし海外の加盟店では、国や地域によって手数料(サーチャージ)の加算が認められている場合もあります。
出典・参考資料(1件)
手数料以外にかかる費用(端末代・月額・振込手数料・入金サイクル)
電子マネー決済のコストは、決済手数料率だけでは判断できません。料率が同じでも、端末代や振込手数料の有無で総額は変わります。ここでは料率以外の主な費目を、それぞれ何のために・どう効くのかとあわせて押さえます。

端末代・初期費用
電子マネーのタッチ決済を受け付けるには、対応する決済端末が必要です。端末代は数万円かかるものから、キャンペーンで0円になるものまで幅があります。無料の場合でも「一定期間の利用が条件」といった付帯条件が付くことがあるため、無償化の条件まであわせて確認しておくと安心です。
こうした端末代や導入時の初期費用は、国や自治体の補助金を使って抑えられる場合があります。対象になる事業者や補助の内容、申請の流れは次の記事で整理しています。
月額利用料
月額固定費は、0円のサービスもあれば、数千円かかるサービスもあります。売上規模が小さいうちは、月額0円のサービスのほうが固定費の負担を抑えやすい一方、月額有料プランは決済料率が優遇されるケースもあります。想定する月間売上で、月額と料率を合わせた総額を試算して比べるのがおすすめです。
振込手数料・入金サイクル
振込手数料は、入金のたびに差し引かれるサービスもあれば無料のサービスもあり、回数が積み重なると差が出るため、料率と同じく見落とせない費目です。あわせて確認したいのが入金サイクルで、翌営業日に入金されるサービスから、週1回や月2回のサービスまでさまざまです。入金が遅いほど手元資金が拘束されるため、資金繰りの余裕が小さい店舗ほど入金スピードが効いてきます。
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主要サービス別の電子マネー決済手数料を比較
ここからは、主要な決済サービスごとに電子マネーの手数料率を横並びで比較します。総合的な手数料表では埋もれがちな「電子マネーの料率」に絞り、月額費用や入金サイクルとあわせて整理しました。いずれも公式料金ページ(2026年8月時点)にもとづく目安で、最新の料率や適用条件は各サービスの公式情報をご確認ください。
料率は多くのサービスで3.24%前後ですが、Squareは3.25%、STORES決済の交通系ICは1.98%と、サービスやブランドで差もあります。対応する電子マネーの範囲もサービスで異なり、SquareやSTORES決済は交通系IC・iD・QUICPayに対応する一方、楽天Edyなどには対応していません。
| サービス名 | Square(スクエア) | Airペイ(エアペイ) | STORES 決済 | USEN PAY | stera pack | アルファポータブル |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電子マネー料率(交通系IC・iD・QUICPay) | 3.25% | 3.24% | 交通系IC 1.98% iD・QUICPay 3.24% | 3.24% | 3.24% | 3.24%〜 |
| 電子マネー料率(楽天Edy等その他) | ×楽天Edy等は非対応 | 3.24% 楽天Edyは税抜2.95%・課税 | ×楽天Edy等は非対応 | 3.74% | 3.24% | 3.24%〜 |
| 月額費用 | 0円 | 0円 | 0円 無料プランあり | 〜1,980円 端末利用料(初期0円) | 1年目0円 2年目〜3,300円 | 0円 |
| 入金サイクル | 最短翌営業日 | 月6回(主要3行) 月3回(その他) | 自動入金は翌月20日 手動入金は最短翌々日 | 標準 月1〜2回 住信SBIで最短翌営業日 | 最短2営業日後 4パターンから選択 | 月1〜8回 プランで選択 |
| 振込手数料 | 0円 | 0円 ゆうちょ除く全銀行 | 0円 手動入金は10万円未満200円 | 0円 みずほ・住信SBI(他行180円) | 0円 三井住友(他行220円) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る |
出典・参考資料(5件)
- 参考資料:Squareの手数料について|Square ヘルプ
- 参考資料:料金・必要機器|Airペイ
- 参考資料:STORES 決済|STORES
- 参考資料:料金|USEN PAY
- 参考資料:stera pack|SMBC GMO PAYMENT
電子マネー決済の手数料の仕組み(なぜ店が払うのか)
ここまでの料率を理解するために、なぜ店舗が手数料を負担するのか、その仕組みを補足します。
電子マネー決済では、店舗とお客さまの間に決済代行会社やカード会社(アクワイアラ)が入り、決済処理・入金・不正対策といった役割を担います。店舗が支払う手数料は、この一連の処理を代行してもらう対価にあたります。現金決済にはない機能を利用する分、料率という形でコストが発生する、というのが基本の考え方です。
電子マネーの種類によって料率が分かれることがあるのも、この仕組みが背景にあります。交通系ICのように事前チャージした残高から支払う前払い式と、iDやQUICPayのように後日クレジットカードから引き落とす後払い式では、決済の流れや関わる事業者が異なります。
加えて、決済サービスごとの料金設計やブランドとの取り決めも料率に反映されるため、同じ「電子マネー」でもサービス・ブランドによって数字が変わってきます。
電子マネーをかざした瞬間から店舗にお金が入るまで、実際に誰と誰が何をやり取りしているのか、前払い式と後払い式で流れがどう違うのかを図解で追いたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
電子マネー決済の手数料と税務・経理(消費税区分・経費計上)
最後に、手数料の税務・経理上の扱いを補足します。細かな点なので、必要になったときに確認すれば十分です。
消費税の区分は、決済手数料の性質によって分かれます。原則として、クレジットカードの加盟店手数料は債権譲渡の対価にあたるため非課税とされています。国税庁も、加盟店が信販会社へ支払う手数料について次のように示しています。
信販会社が加盟店から譲り受ける債権の額(100)と加盟店への支払額(90)との差額(10)は、消費税法施行令第10条第3項第8号に該当し、非課税となります。
出典:質疑応答事例(消費税)「クレジット手数料」|国税庁
ただし、これはクレジットカードの手数料を対象とした考え方です。電子マネーの手数料は、ブランドや決済の仕組みによって課税・非課税が分かれます。たとえばAirペイでは交通系ICなどが非課税である一方、楽天Edyは課税対象(税抜2.95%+消費税=税込3.24%)と公式に案内されています。
stera packも、一部非課税の手数料が含まれ、課税となる手数料には消費税相当額を別途申し受ける旨を案内しています。自社が受け付けるブランドの課税区分は、契約前に各サービスで確認しておくと会計処理でつまずきません。
経理処理では、決済手数料は事業に必要な支出として経費に計上できます。勘定科目は一般的に「支払手数料」を用います。決済端末のレンタル料や保守料は資産の貸付け・役務の提供にあたり、課税対象となる点にも注意が必要です。
出典・参考資料(2件)
電子マネー決済を導入するには
手数料の相場と費用構造が見えたら、次の一歩は決済端末の導入です。電子マネーのタッチ決済を受け付けるには対応端末が必要で、1台でクレジット・電子マネー・QRコードまでまとめて受けられるマルチ決済端末が主流になっています。ここでは、対応する電子マネーのブランドが多く、審査も柔軟な持ち運び型マルチ決済端末の一例を紹介します。
アルファポータブル(アルファノート株式会社)

持ち運び型のマルチ決済端末で、手のひらサイズの1台にクレジットカード・電子マネー・QRコード決済とレシート印字までを収めています。アルファノート株式会社がオンライン決済代行の知見をもとに提供しており、店内はもちろん、屋外イベントや移動販売といった持ち運び前提のシーンにも向いています。
対応する決済ブランドは70種類以上にのぼり、電子マネーは交通系IC(Suica・PASMOなど)から流通系、iD・QUICPayまでカバーします。決済手数料は公式に「3.24%から」と案内されており、業種・ブランド・プランにより変動します。
初期費用・端末費用・月額基本料はいずれも0円(キャンペーン条件による)で始められる点も、はじめて導入する店舗には検討しやすいポイントです。Android搭載でWi-Fi/4G回線に対応し、通信環境を選ばず使えます。
審査のハードルを比較的柔軟に設定しているのも特徴で、エステティックサロンや美容クリニックなど、前払い(前受金)を伴うために他社では審査が通りにくい業種の取り扱いにも実績があります。急ぎの場合は申し込みから最短翌日〜翌々日で利用開始できる仕組みも用意されています。
業種によって手数料の条件が変わる背景について、提供元であるアルファノート株式会社の早坂氏は次のように説明しています。

当社が業種ごとに料金を分けているのは、リスクのとり方が違うからです。先ほどの特定継続的役務のように、高額な前受金が発生するモデルの場合、店舗様が万が一営業を停止された際の返金リスクが、最終的にカード会社や決済会社側に及ぶ可能性があります。実際、過去には大手の語学スクール事業者が経営破綻された際に、決済会社が大きな負担を負ったという事案もありました。それ以来、業界全体で前受金型ビジネスへの審査は厳しくなっています。当社は長年このリスクと向き合ってきたデータとノウハウがありますので、他社様が受けにくい業種でもお引き受けできるのですが、その分だけ手数料は一般的な相場よりやや高めに設定させていただくケースがあります。
ここで紹介したのは一例です。手数料や対応する電子マネー、据え置き型・持ち運び型といった設置形態まで含めて複数の端末を見比べたい方は、次の記事で選び方とあわせて解説しています。
まとめ
電子マネー決済の手数料相場は、おおむね3%台(多くは3.24〜3.74%)です。交通系IC・iD・QUICPayはおおむね3.24%前後で、楽天Edyなど流通系やサービスによって差が出やすい傾向があります。手数料は店舗(加盟店)が負担し、お客さまへの上乗せは加盟店規約で原則できません。
料率が同じでも、端末代・月額・振込手数料・入金サイクルによって総額は変わります。料率だけで安く見せるサービスに惑わされず、自社の売上規模と客層に合わせて総コストで比べることが、損をしない導入の近道です。
どのサービスが合うかは、重視する費目で絞ると選びやすくなります。固定費を抑えたい小規模店なら月額0円のサービス、入金の早さを重視するなら翌営業日入金のサービス、といった具合です。気になるサービスがあれば、資料を取り寄せて最新の料率と条件を確認し、導入の検討を進めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 電子マネー決済の手数料とは何ですか?
A. 電子マネー決済の手数料とは、Suica・iD・楽天Edyなどの電子マネー決済を受け付けた店舗(加盟店)が、決済額に応じて決済サービスへ支払う手数料です。相場はおおむね3%台(多くは3.24〜3.74%)で、決済処理・入金・不正対策といった仕組みを利用する対価にあたります。決済のたびに売上から差し引かれ、残額が店舗に入金される仕組みです。
Q. 電子マネー決済の手数料は誰が負担しますか?
A. 電子マネー決済の手数料は、原則として決済を導入している店舗(加盟店)が負担します。お客さまが支払った金額から手数料が差し引かれ、残額が店舗に入金される仕組みです。たとえば1万円の売上で料率が3.24%なら324円が差し引かれ、入金は9,676円ほどになります。お客さま側が決済手数料を負担することはありません。
Q. 電子マネー決済の手数料を客に上乗せできますか?
A. 電子マネー払いのお客さまにだけ手数料分を上乗せして請求することは、原則として認められていません。クレジットカードをはじめ各決済ブランドの加盟店規約で、現金払いと異なる金額を請求する行為が禁止されているためです。違反すると加盟店契約の解除につながるおそれもあるため、手数料は価格への転嫁ではなく、費用構造の把握とサービス選びでコントロールするのが基本になります。
Q. 電子マネー決済の手数料は経費にできますか?
A. 電子マネー決済の手数料は、事業に必要な支出として経費に計上できます。勘定科目は一般的に「支払手数料」を用います。あわせて、決済端末のレンタル料や保守料も経費になりますが、これらは決済手数料と消費税の課税区分が異なる(レンタル・保守は課税対象)ため、分けて処理すると帳簿を誤りにくくなります。
Q. 電子マネー決済の手数料に消費税はかかりますか?
A. 電子マネー決済の手数料に消費税がかかるかは、ブランドや決済の仕組みによって課税・非課税が分かれます。クレジットカードの加盟店手数料は債権譲渡の対価にあたり非課税とされる一方、電子マネーでは交通系ICなどが非課税、楽天Edyなど一部ブランドは課税対象として案内される例があります。
一律に非課税とは言い切れないため、自社が受け付けるブランドの課税区分を契約前に各サービスで確認しておくと処理を誤りにくくなります。
Q. 電子マネー決済で一番手数料が安いのはどれですか?
A. 電子マネー決済で「どれが一番安いか」は、料率だけでなく端末代・月額利用料・振込手数料・入金サイクルまで含めた総コストで決まります。電子マネーの料率は各社ともおおむね3.24%前後に集まっており、料率単体の差は小さいことが多いためです。自社の想定する月間売上と、客層がよく使うブランドを前提に、費用の総額で比べるのが損をしない選び方です。
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