「着信認証」という名前を見て、電話がかかってくる仕組みだと思う方は少なくありません。ですが実際は逆で、利用者が自分の電話から表示された番号へ発信し、その発信元番号を照合して本人確認する方式です。コードの入力が要らず電話をかけるだけで済むこの方式は、SMS認証に代わる不正・なりすまし対策として、決済・EC・会員サイトで使われています。
この記事では、着信認証の仕組みをまず一目で押さえたうえで、SMS認証との違い・使える場面・費用相場までを順に整理します。読み終えるころには、自社に着信認証が向くかどうかと、導入できるサービスの当たりがつく状態を目指します。
目次
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着信認証とは?電話発信で本人確認する仕組み
着信認証を提供する事業者や、方式を扱う解説記事の説明も、この定義でおおむね一致しています。たとえば大日本印刷(DNP)の着信認証は、次のように説明しています。
ユーザーが所有する電話の「発信者番号」を利用したクラウド型の認証サービスです。従来のインターネット網と電話網の2経路を組み合わせることで、ユーザーの利便性を損なわずに、サービスの認証強化を実現します。
出典:着信認証|大日本印刷(DNP)
不正対策サービスを手がける株式会社アクルの解説記事も、利用者が登録番号からサービス指定の番号へ発信することで本人確認が完了する手段だと整理しています。呼び名は媒体によって「着信認証」「電話発信認証」と分かれますが、指している動きは同じです。
着信認証が成立するまでの流れ
認証は、利用者の発信を起点に次の流れで進みます。名前は「着信」でも、電話をかけるのは利用者の側だという点がポイントです。

- 電話番号の登録:利用者が自分の電話番号をサービスにあらかじめ登録しておきます。
- 認証用番号の表示:ログインや取引などの認証が必要な場面で、画面に発信先の電話番号が表示されます。この番号は認証のたびに切り替わる方式が一般的です。
- 利用者が発信:利用者が登録済みの電話から、表示された番号へワンコール発信します。コードの入力は不要です。
- 発信元番号の照合:サービス側が着信を受け、かけてきた電話の発信元番号と、登録済みの番号が一致するかを照合します。
- 認証成立:一致すれば本人確認が完了します。通話はつながる前に自動で切断される仕組みが多く、会話は発生しません。
DNPは、この照合に使う認証用番号について、認証のたびにランダムに発行されるため盗まれても使い回せないと説明しています。
サイトの認証画面に表示される「認証用電話番号」に発信した電話番号と、ユーザ登録されている電話番号を照合し、認証を行います。「認証用電話番号」は認証を行うたびにランダムに発行されるため、攻撃者から盗まれるリスクはありません。
出典:着信認証|大日本印刷(DNP)
「着信認証」「電話発信認証」「電話番号認証」の呼び名を整理する
着信認証は、媒体やサービスによって呼び名が分かれます。検索していて表記が揺れて見えるのは、同じ方式を別の言葉で指しているためです。混乱しやすいので、対応を整理しておきます。
- 着信認証:サービス側の視点で、利用者からの発信を「着信」として受けて照合することからこう呼ばれます。提供事業者の多くがこの表記を用います。
- 電話発信認証:利用者の視点で、電話を「発信」する動きに着目した呼称です。指している方式は着信認証と同じです。
- 電話番号認証:電話番号を本人確認の手がかりに使うことを広く指す言葉で、着信認証もこの一種にあたります。SMSでコードを送る方式(SMS認証)まで含めて指す場合もあります。
この記事では、利用者が発信して発信元番号を照合する方式を「着信認証」と呼び、話を進めます。次は、比較対象になりやすいSMS認証との違いを見ていきます。
着信認証とSMS認証の違い
着信認証を検討する多くの人が、いま使っている(あるいは候補にしている)SMS認証と比べています。ここからは、両者が操作・セキュリティ・対応デバイス・コスト・即時性の面でどう違うのかを整理します。
なぜ着信認証は傍受・中継に強いのか
まず、比較対象であるSMS認証の弱点は、公的な指針でも指摘されています。米国国立標準技術研究所(NIST)のデジタル認証ガイドライン「SP 800-63B」は、電話網(PSTN)を使ってワンタイムコードを送り届ける方式を「制限付きの認証手段(restricted authenticator)」に位置づけ、利用にあたって注意を促しています。
具体的には、SIMの入れ替え(SIM change)や番号ポータビリティ(number porting)といったリスクを事前に考慮すべきだとし、送られる秘密情報(コード)は攻撃者に傍受されて悪用されうると述べています。
SMSは、送信元の番号表示そのものが信頼しきれない点も指摘されています。フィッシング対策協議会は、利用者向けのガイドラインで次のように注意を促しています。
SMSを使ったフィッシングは増加する中、手法も多様化しています。SMSの配信には以下の3種類があり、国際網経由の SMS についてはフィッシングの可能性を疑い、慎重に行動することが大切です。SMSが届いた際には発信者番号表示の電話番号が海外の電話番号やアルファベットになっていないことを確認しましょう。
出典:利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン 2026年度版 §5.4.4|フィッシング対策協議会
これに対して着信認証は、認証コードそのものを送ったり受け取ったりしません。利用者が電話をかけ、その発信元番号を照合するだけなので、通信経路上でコードを盗み取ったり、偽サイトで入力させて中継したりする「窃取・中継」の対象が、そもそも存在しないという構造になります。
DNPが説明するように、照合に使う認証用番号も毎回ランダムに切り替わるため、盗み見た番号を後から使い回すこともできません。SMS認証で問題になる「コードの傍受・中継」という攻撃が、着信認証では成立しにくい構造になっているわけです。
ただし、これはあくまで傍受・中継への強さです。SIMの入れ替えや番号の乗っ取りで電話番号そのものを奪われた場合は、その番号から発信できてしまうため、電話番号を手がかりにする認証に共通するリスクは着信認証にも残ります。
着信認証も万能ではなく、強みの裏側にある注意点は、後半の「デメリット・向かない場面」でも扱います。
操作・対応デバイス・コスト・即時性の違い(比較表)
セキュリティ以外の面もあわせて、着信認証とSMS認証の違いを横並びで整理します。
| 認証方式 | 着信認証 | SMS認証 |
|---|---|---|
| 利用者の操作 | 表示された番号へ発信するだけ (コード入力は不要) | 届いたコードを画面に手入力する |
| セキュリティ | 認証コードを送受信しないため 傍受・中継の対象がない | 送られるコードが傍受されうる (NISTは電話網OTPを「制限付き」に分類) |
| 対応デバイス | 携帯・スマホ・固定電話・IP電話など 発信できる電話全般 | SMSを受信できる携帯・スマホに限られる |
| コスト | 初期費用無料〜の従量制が中心 (1認証あたり10円〜程度が目安) | 1通あたりの配信料がかかる(従量) |
| 即時性 | 発信と同時にリアルタイムで照合 | 受信の遅延・不達が起こりうる |
※方式一般の傾向を整理したもので、対応範囲や料金は提供サービスによって異なります。
操作の面では、コードの手入力が要らない着信認証のほうが手数は少なくなります。対応デバイスの面では、SMSを受信できない固定電話やIP電話でも使える点が着信認証の特徴です。一方で、SMS認証は文字情報を送れるため、認証だけでなく通知やキャンペーンにも使い回しやすいという別の強みがあります。どちらが優れているというより、目的によって向き不向きが分かれます。
大量配信や文字での案内も重視するなら、SMS認証のほうが自社の用途に合うこともあります。SMS認証での本人確認のやり方や、提供サービスごとの料金・機能を比べたい場合は、以下の記事で整理しています。
着信認証が使える場面・用途
着信認証は、「本人であること」や「実在する電話番号を持っていること」を確かめたい場面で使われます。代表的な用途を挙げます。
- ログイン・取引時の追加認証:IDとパスワードに加えて、電話番号という別要素で本人を確かめる二要素認証として使います。決済情報の変更や高額取引など、重要な操作の前に挟むケースが典型です。
- 新規登録時の不正・多重登録の防止:1つの電話番号で認証させることで、大量のアカウントを機械的に作る不正登録を抑えます。電話番号は無制限に用意しにくいため、実在性のハードルになります。
- キャンペーンの重複応募・転売の抑止:「1電話番号につき1回」といった制限をかけ、同一人物の重複応募や、当選枠を狙った不正な複数登録を防ぎます。
- SMSが届かない相手への本人確認:固定電話しか持たない利用者や、SMSを受信できない環境の相手にも、電話の発信で本人確認できます。
いずれも「実在する電話番号の持ち主であること」を、コードのやり取りなしに確かめられる点が共通しています。金融・決済やEC、会員サービスなど、なりすましや不正登録が損失に直結する事業で採用されています。
着信認証のメリット・デメリット
導入を判断するには、良い面と注意すべき面の両方を見ておく必要があります。ここでは、着信認証のメリットと、向かない場面を含むデメリットを整理します。
着信認証のメリット
- コード入力が不要で手間が少ない:利用者は電話をかけるだけで、数字のコードを読み取って入力する手間がありません。入力ミスや途中離脱が起きにくくなります。
- コードを送受信しないぶん、傍受・中継に強い:前述のとおり、認証コードそのものをやり取りしないため、盗み取りや偽サイトでの中継の対象がありません。
- 固定電話を含む幅広い層に対応できる:スカラコミュニケーションズの解説にあるように、着信認証は携帯電話・スマートフォン・固定電話などを利用できます。SMSを受け取れない利用者もカバーできます。
- 通話料がかからない構成が多い:発信直後に自動で切断する方式では、利用者に通話料が発生しません。
出典・参考資料(1件)
着信認証のデメリット・向かない場面
一方で、電話を発信させる方式ならではの注意点もあります。株式会社アクルは、デメリットとして次の2点を挙げています。
ユーザーの通信状況に依存 発信が必要なため、通信環境が悪い場合には認証が完了しない可能性があります。特に海外や通信圏外のエリアでは利用が制限される場合があります。
出典:電話発信認証とは|株式会社アクル
国際通話や追加コストの発生 海外ユーザーの場合、発信が国際通話になる場合があり、通話料金が発生することがあります。特にコスト意識の高いユーザーには負担となる可能性があります。
これらに加えて、実務では次の点も検討材料になります。
- 電話を「かける」操作へのためらい:コード入力に慣れた利用者にとっては、電話を発信する操作自体が見慣れず、心理的な抵抗になる場合があります。
- 1つの番号を複数人で共有する環境:代表電話のように1つの番号を複数人で使う場面では、個人単位の本人確認には向きません。
- 海外・多言語の大量処理:発信が国際通話になる相手や、認証と同時に文字のメッセージも届けたい用途では、SMS認証など別の方式のほうが合うことがあります。
通信環境への依存は、方式の性質上避けにくい点です。NISTのガイドラインでも、電話網を使う認証には「電話がつながりにくい地域がある(limited telephone coverage)」という制約が挙げられています。自社の利用者層や利用シーンに、これらの向かない条件が当てはまらないかを確認しておくと、導入後のミスマッチを防げます。
着信認証の費用相場
ここからは、着信認証の費用相場を見ていきます。多くのサービスが「初期費用+認証数に応じた従量課金」という組み立てで、料金を公開しているものと問い合わせが必要なものが混在します。公開されている料金をもとに、目安を整理します。
初期費用・月額・1認証単価の目安
たとえば着信認証サービスのオスティアリーズは、公式サイトで料金プランを公開しています。API版は月間2,000リクエスト以内であれば初期費用0円で月20,000円の固定料金、ASP版は初回チャージが5,000円(税込5,500円)で1認証あたり10円、これに毎月900円のシステム利用料が加わる体系です。
ここから、費用相場の目安は次のように整理できます。
- 初期費用:無料〜数千円程度。API版で初期費用なし、ASP版で5,000円といった水準です。DNPも「初期費用は無償で、認証数に応じた月額従量制」と説明しています。
- 1認証あたりの単価:10円前後が目安です。スカラも「トランザクション当たり10円~程度」の従量課金が一般的だと説明しています。
- 月額:一定回数分をまとめた定額(例:月20,000円台で一定リクエスト分)か、認証回数に応じた従量制が中心です。
出典・参考資料(3件)
ここで示した相場は、利用者が発信する着信認証型を対象にしたものです。後半で紹介するサービスのうち、システム側から自動音声応答(IVR)で電話をかける発信認証型は、料金体系や水準が異なり、初期費用・月額とも高くなる傾向があります。
API版とASP版の違い
着信認証サービスは、提供形態が「API版」と「ASP版」に分かれることがあります。両者は、自社システムへの組み込み方と料金の組み立てが異なります。
- API版:自社のWebサイトやアプリにAPIで組み込んで使う形態です。一定リクエスト分を含む定額(例:月20,000円台で月2,000リクエスト)で提供されることがあり、自社サービスに認証を溶け込ませたい場合に向きます(月額は媒体により税抜20,000円・税込22,000円と表記されます)。
- ASP版:提供事業者が用意した認証画面を使う形態です。初期費用と月額のシステム利用料に、認証回数分の従量料金(1認証10円前後)が加わる構成が一般的で、開発負担を抑えて始めたい場合に向きます。
実際の料金は認証回数や契約条件で変わるため、候補を絞ったら公式の料金・見積りで最新の金額を確認してください。
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着信認証を導入できるサービスと選び方
仕組みと費用感がつかめたら、次は「自社にどの方式・どのサービスが合うか」です。電話を使った本人認証には、着信認証のほかにも近い方式があり、代表的なサービスを並べると選択肢の幅が見えてきます。まずは方式ごとの代表例を比較表で確認します。
| サービス | 着信認証(オスティアリーズ) | Infront Security | DHKクラウド電話認証サービス | オーロラSMS by メディアSMS |
|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社オスティアリーズ | INFRONT株式会社 | 株式会社電話放送局 | 株式会社メディア4u |
| 認証方式 | 着信認証型 (表示番号へ発信・コード入力不要) | 着信認証型+端末認証 (初回のみ発信・以降は端末認証) | 発信認証(IVR)型 (システムが登録番号へ発信) | SMS認証型+IVR認証 (SMS不達時はIVRで補完) |
| 導入方式 | API版/ASP版(jsタグ設置) | API連携/JavaScriptタグ(TeleBoost) | API連携(クラウドIVR) | API連携(OTP生成・照合) |
| 初期費用 | API版 0円〜/ASP版 5,000円 | 要問い合わせ (TeleBoostは無料) | 500,000円〜 | 0円 |
| 月額・従量の目安 | 1認証10円〜(ASP版) 認証数に応じた従量制 | TeleBoost 月額5,000円〜 認証数×10円以下(従量) | 月額100,000円〜(発信認証) 認証本体の従量単価は要問い合わせ | 月額基本料0円 送信成功分の従量課金(認証単価は要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※各社の公開情報(2026年6〜8月時点)にもとづく目安です。非開示の項目は「要問い合わせ」と記載しています。認証方式や料金は提供形態・利用規模で変わるため、最新の条件は各社の公式情報・資料でご確認ください。
選ぶときは、次の観点で自社に当てはめると絞り込みやすくなります。
- 認証の方式:利用者に発信させる着信認証型か、システムから電話をかける発信認証(IVR)型か、SMSでコードを送るSMS認証型か。自社の利用者層(固定電話が多いか、海外が多いか)で向き不向きが変わります。
- 導入方式と開発負担:APIで自社サービスに組み込むか、タグ設置やASPで手早く始めるか。社内の開発リソースに合わせて選びます。
- 料金の組み立て:初期費用・月額・1認証単価のバランス。想定する認証回数で総額が変わるため、月間の認証件数を見積もっておくと比較しやすくなります。
ここからは、方式の代表となるサービスを個別に紹介します。まず記事で解説してきた純粋な着信認証型から、着信認証に端末認証を組み合わせた型、システムが発信する発信認証(IVR)型、SMS認証型の順に見ていきます。着信認証型を含む電話認証サービス全体を、料金・対応方式・到達率で横並びに比べたい場合は、以下の比較記事で13サービスを整理しています。
1. 着信認証(株式会社オスティアリーズ)

「着信認証」は、株式会社オスティアリーズが提供する、この記事で解説してきた方式そのもののサービスです。利用者が画面に表示された認証用の050番号へワンコール発信すると、その発信元番号と登録番号の一致を特許技術で判定して認証します。コードの入力や受信が要らず、1ステップで認証が完了する純粋な着信認証型です。
携帯電話・固定電話・IP電話のほか海外番号にも対応し、提供形態はAPI版とASP版から選べます。費用相場の節で引用した公開料金(ASP版は初期5,000円に1認証10円程度、API版は月20,000円で一定リクエスト分を含む定額)も、このサービスのものです。純粋な着信認証をまず知りたい・試したい場合の基準になります。
2. Infront Security(INFRONT株式会社)

Infront Securityは、電話番号と端末情報を組み合わせて本人認証をおこなう、特許取得の認証サービスです。利用者はログイン画面などで電話番号を入力し、初回のみ画面に表示されたフリーダイヤルへスマートフォンからワンタップで発信します。通話は数秒で自動切断され、会話は発生しません。このとき端末情報を取得し、入力された電話番号と実際の発信元番号が一致した場合のみ認証を通します。
特徴は、2回目以降は同じ端末からの利用であれば端末認証で完結し、電話番号だけで認証できる点です。「毎回電話をかけるのが面倒」という着信認証の弱点を、初回だけ発信・以降は端末認証という設計でやわらげています。インターネットと電話網の2経路を使うため、SMSの不達・遅延に左右されにくいことも訴求されています。
導入はAPI連携のほか、JavaScriptタグを設置するだけの「TeleBoost(テレブースト)」も用意されており、こちらは初期費用無料・月額5,000円から始められる小規模・トライアル向けのプランです。EC・会員サービス・金融のフィッシング対策などで利用されています。
電話をかけて本人確認する方式がなりすましに強いとされる理由について、提供元のINFRONT株式会社の松本氏は、独自インタビューで次のように述べています。

ポイントは、電話をかけるという行為自体が、本人の担保性が非常に高い認証であるということです。たとえばメール認証をした後に端末情報を取得しても、メール認証自体がなりすましに対するセキュリティとしては十分ではありません。一方で、電話をかけるという行為は、その端末を物理的に持っている本人にしかできません。だからこそ、電話認証で確認した端末だという位置づけがしっかり取れるのです。昨今、金融業界で問題になっているリアルタイムフィッシングのような、リアルタイムに詐取される詐欺に対しても、当社の認証であれば防ぐことができます。
3. DHKクラウド電話認証サービス(株式会社電話放送局)

DHKクラウド電話認証サービスは、自動音声応答(IVR)を使った本人認証システムです。着信認証とは逆に、システム側が利用者の登録番号へ自動で発信し、音声ガイダンスに従って認証コードを入力してもらう「発信認証(IVR)型」にあたります。銀行振込や決済情報の更新といった重要な処理の前に挟む追加認証として使われます。
既存の電話機をそのまま使えるため、利用者側の初期投資が不要で、スマートフォンアプリを持たない層やSMSを受け取れない端末の利用者にも対応できます。認証データ登録・認証結果取得のAPIが用意されており、自社システムとクラウドIVRをリアルタイムに連携できます。運営元の電話放送局は長年IVR基盤を手がけており、その運用実績を土台にしたサービスです。
料金は回線・機能区分で分かれ、発信認証にあたるアウトバウンドは初期費用500,000円〜・月額100,000円〜が目安として公開されています。コール量や要件で変わるため、確定金額は問い合わせで確認する形です。
この発信認証(IVR)型がどのような場面に向くのかについて、提供元の株式会社電話放送局の前田氏は、独自インタビューで次のように述べています。

日常的にログインが発生する証券口座のようなサービスで毎回電話認証を挟むと、お客様にとっては少し煩わしく感じられることもあると思います。ですので、私たちがおすすめしているのは、頻度は低いけれどもセキュリティが特に重要視される場面での利用です。登録しているクレジットカードの更新をするとき、といったケースです。こうした「頻度は低いが機密性が高い」シーンで、しっかり本人確認を入れたい、という企業のニーズにフィットするサービスだと考えています。
4. オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMS by メディアSMSは、株式会社メディア4uが提供する法人向けのSMS配信・認証サービスです。国内の携帯電話事業者と直接接続する設計で、SMSでコードを送るSMS認証に加え、SMSが届かない相手や固定電話向けに、自動音声応答を使ったIVR認証も用意しています。着信認証を検討した結果、「大量配信や文字での案内も必要」と分かった場合の受け皿になります。
認証機能は、ワンタイムコードの生成・送信・照合をひとつのAPIでまとめて実行できる「認証オールインワンサービス」として提供されます。SMS配信本体は初期費用・月額基本料ともに0円で、送信した分だけの従量課金という組み立てです。認証機能や送信単価の詳細は、用途に応じて問い合わせで確認する形になります。
着信認証そのものではありませんが、「電話番号を使った本人認証を、SMSも含めて幅広くカバーしたい」という場合の選択肢になります。
まとめ
着信認証の整理は以上です。次の点を押さえておくと、自社に合うかどうかの判断に進めます。
- 仕組み:利用者が表示された番号へ発信し、その発信元番号を登録番号と照合して本人確認する方式。名前は「着信」だが、電話をかけるのは利用者側。
- SMS認証との違い:コードを送受信しないため、傍受・中継の対象がない。固定電話にも対応し、コード入力の手間もない。
- 使える場面:ログイン・取引時の追加認証、不正・多重登録の防止、キャンペーンの重複応募の抑止など。
- 注意点:通信環境に依存し、海外発信では通話料が生じることがある。電話を「かける」操作への抵抗や、番号の共有環境には向かない。
- 費用相場:初期費用は無料〜数千円、1認証あたり10円前後の従量制が目安。提供形態はAPI版とASP版に分かれる。
「自社に導入するなら、どのサービスが合うか」を具体的に比べたいときは、電話認証サービスの資料を一括で取り寄せて、料金・対応方式・実績を並べて検討すると判断が早まります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 着信認証とは何ですか?
A. 着信認証とは、利用者があらかじめ登録した電話番号から、サービスが指定する番号へ発信し、その発信元番号を照合して本人確認する認証方式です。名前は「着信」ですが、実際に電話をかけるのは利用者の側で、サービスがその着信を受けて番号の一致を確かめます。
認証コードの手入力が要らず、電話をかけるだけで認証が完了します。媒体によっては「電話発信認証」「電話番号認証」とも呼ばれますが、指している方式は同じです。
Q. 着信認証とSMS認証はどちらが安全ですか?
A. 着信認証とSMS認証を比べると、認証コードを送受信しない着信認証のほうが、傍受・中継のリスクの面では構造的に有利です。SMS認証は送られるコードを通信経路上で盗まれたり、偽サイトで入力させて中継されたりしうるのに対し、着信認証はコードそのものをやり取りしないため、盗み取りや中継の対象が存在しません。
米国国立標準技術研究所(NIST)のガイドライン(SP 800-63B)も、電話網でコードを送るSMS方式を「制限付きの認証手段」に位置づけています。ただし着信認証は通信環境に依存するなどの弱点もあるため、どちらが優れているというより、目的に応じた使い分けが現実的です。
Q. 着信認証の費用相場はどのくらいですか?
A. 着信認証の費用は、初期費用が無料〜数千円、1認証あたり10円前後の従量課金が目安です。ASP版では初期費用5,000円に1認証10円程度を加える体系、API版では月20,000円で一定リクエスト分を含む定額といった料金が公開されています。実際の金額は認証回数や契約条件で変わるため、候補を絞ったら公式の料金・見積りで最新の金額を確認してください。
Q. 着信認証は固定電話でも使えますか?
A. 着信認証は、固定電話やIP電話でも使えます。発信できる電話であれば方式が成立するため、SMSを受信できない固定電話しか持たない利用者もカバーできる点が、携帯・スマホに限られるSMS認証にはない特徴です。ただし、代表電話のように1つの番号を複数人で共有する環境では、個人単位の本人確認には向きません。
Q. 着信認証で電話をかけると通話料はかかりますか?
A. 着信認証は、発信直後に自動で切断する構成が多く、その場合は利用者に通話料がかかりません。フリーダイヤルへ発信させる設計や、通話がつながる前に着信側で切断する仕組みが一般的なためです。ただし、海外の利用者が発信する場合は国際通話となり、通話料が生じることがあります。
Q. 着信認証の導入には自社システムの開発が必要ですか?
A. 着信認証の導入は、API版なら自社サイトやアプリへの組み込み開発が必要ですが、ASP版やタグ設置型なら開発負担を抑えて始められます。API版は認証を自社サービスに溶け込ませたい場合に向き、ASP版は提供事業者が用意した認証画面を使うため、短期間で始められます。JavaScriptタグを設置するだけで導入できるプランを用意するサービスもあり、社内の開発リソースに合わせて選べます。
Q. 着信認証は海外の利用者にも使えますか?
A. 着信認証は海外の利用者にも使えますが、発信が国際通話になって通話料が生じたり、通信環境によっては認証が完了しなかったりする場合があります。特に圏外や通信状況の悪いエリアでは発信自体ができず、認証が滞ることがあります。海外ユーザーが多い、あるいは認証と同時に文字での案内も届けたい用途では、SMS認証など別の方式との併用・使い分けもあわせて検討するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















