後継者が見つからないまま、経営者としての引退が近づいている。息子や娘は継ぐ気がなく、社内にも会社を任せられる人材がいない。「このままでは廃業しかないのか」と考えていたときに、「M&Aで会社を譲る」という選択肢を耳にした方も多いはずです。
後継者不在は、いまや特別な悩みではありません。全国のおよそ半数の企業が後継者を決められずにいる一方で、廃業ではなくM&A(第三者への事業譲渡)で会社を引き継いでもらう道を選ぶ経営者が増えています。
本記事では、後継者不足の現状をデータで確認したうえで、なぜ後継者がいなくてもM&Aで事業を引き継げるのか、承継の選択肢の比較、M&Aのメリットとデメリット、進め方、そして相談先までを順に解説します。「M&Aは大企業の話」と感じている方にも、自社の選択肢として判断できる材料を整理しました。
目次
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後継者不足でもM&Aで会社は引き継げる|データで見る現状
結論からお伝えすると、後継者がいなくても、M&A(第三者への事業譲渡)で会社を引き継いでもらう道は現実的な選択肢として広がっています。まずは、後継者不足がどれだけ一般的な悩みなのかをデータで確認します。
帝国データバンクの調査によると、2025年の後継者不在率は50.1%でした。全国のおよそ2社に1社が後継者を決められていない計算で、この不在率は改善傾向が続いているものの、依然として半数の水準にあります。
承継の担い手にも変化が表れています。同じ調査で、2025年に代表者が交代した企業の就任経緯を見ると、血縁によらない役員・社員を登用する「内部昇格」が36.1%で最も多くなり、長く最多だった「同族承継」(32.3%)を上回りました。
買収や出向を中心とする「M&Aほか」も20.6%(2025年速報値)を占めています。親族に継がせるのが当たり前だった時代から、社内や第三者へ引き継ぐ形へと、承継のかたちそのものが移りつつあります。
背景にあるのは経営者の高齢化です。中小企業庁の事業承継ガイドラインによれば、全国の経営者の平均年齢は1990年の54.0歳から上昇を続け、2020年には初めて60歳を超えました。団塊の世代が全員75歳以上となる2025年を迎え、事業承継の検討が急がれる状況になっています。
出典・参考資料(2件)
なぜ後継者がいなくてもM&A(第三者承継)で引き継げるのか
ここでは、後継者が社内外にいなくても、なぜM&Aなら事業を引き継げるのかという仕組みを解説します。
M&A(第三者承継)とは、会社の株式や事業を、親族でも社内の人材でもない第三者(他の企業や経営者)に引き継いでもらう方法です。
自社が築いてきた資産・取引先・従業員といった経営資源を承継先に引き継ぎ、自社に足りない「後継者」を承継先の経営陣に補ってもらう、という発想に立っています。後継者を社内で育てるのではなく、事業そのものを引き継げる相手を外部に探すため、社内に適任者がいなくても承継が成り立ちます。
中小企業庁の事業承継ガイドラインも、事業承継のかたちを「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継(M&A)」の3つに整理しています。親族や社内に継ぐ人がいない場合でも、第三者承継という正式な選択肢が用意されているわけです。
廃業を選んだ場合に失うもの
後継者がいないからと廃業を選ぶと、会社が積み上げてきたものの多くが失われます。従業員は職を失い、長年の取引先は仕入れや販売の相手をなくし、地域で担ってきた役割も途絶えます。中小企業庁も、廃業による経営資源の散逸や地域経済への悪影響を防ぐために、M&Aを促進する必要性は高いとしています。
金銭的な負担も見過ごせません。事業をたたむ際には、店舗や設備の原状回復、在庫の処分、契約の解約といった費用が生じることがあります。黒字であっても後継者不在を理由に廃業に至る企業は少なくなく、後継者不在率が改善する一方で廃業件数は増加傾向にあり、事業承継への取り組みは二極化しつつあります。M&Aは、こうした「失うもの」を避けて事業を次につなぐ手段になります。
出典・参考資料(2件)
後継者不在企業がとれる4つの選択肢を比較
後継者がいない場合の選択肢は、M&Aだけではありません。親族内承継・従業員承継(社内承継)・M&A・廃業の4つを、特徴とメリット・デメリット、向いている場合で並べて比較します。自社にとってM&Aが本当に合うのかを、他の選択肢と見比べて判断してください。
| 選択肢 | 親族内承継 | 従業員承継(社内承継) | M&A(第三者承継) | 廃業 |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 子どもなど親族に 事業を引き継ぐ | 役員や従業員が 事業を引き継ぐ | 第三者の企業・ 経営者に事業を 譲り渡す | 事業を終了する |
| メリット | 関係者の理解を 得やすい | 事業を理解した 人材に任せられる | 廃業を避け、 雇用や取引先を 守れる。売却益も | 自分の判断で 区切りをつけられる |
| デメリット | 継ぐ意思のある 親族がいないと 成立しない | 後継者に株式の 買取資金が必要に なることが多い | 買い手探しに 時間がかかり、 成立するとは限らない | 雇用・取引先・ 経営資源を失い、 費用も生じる |
| 向いている場合 | 継ぐ意思のある 親族がいる | 経営を任せられる 役員・従業員がいる | 親族・社内に 後継者がいない | 承継の相手が どうしても 見つからない |
各選択肢の一般的な特徴を整理したものです。実際の適否は個別の事情によって異なります。
親族や社内に継ぐ人がいる場合は、その承継を軸に考えるのが自然です。一方で、継ぐ意思のある親族も、経営を任せられる従業員もいないとき、廃業の前に検討したいのがM&Aです。M&Aなら、事業を続けたい相手に引き継いでもらうことで、廃業では失われる雇用や取引先を守れる可能性があります。
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M&Aで事業承継するメリットとデメリット・注意点
M&Aを選択肢として現実的に検討するために、メリットとデメリットの両方を確認します。良い面だけでなく、うまくいかない場合の注意点まで押さえておくことが、後悔のない判断につながります。
M&Aで承継するメリット
M&Aで事業を引き継いでもらう最大の利点は、廃業を避けて事業を存続できることです。買い手が事業を引き継ぐため、従業員の雇用が続き、取引先との関係も維持されやすくなります。経営者自身にとっても、株式や事業の売却益を得て引退後の生活の備えにできる点は、廃業にはない魅力です。
M&Aは会社を手放す「身売り」ではなく、一代で築いた事業と従業員・取引先を、途絶えさせずに次の担い手へ引き継ぐ前向きな選択です。事業そのものを残せることは、金銭面だけでは測れないM&Aならではの価値だといえます。
デメリットと注意点
一方で、M&Aは相手あってこそ成立するという難しさがあります。条件に合う買い手が現れるまでには一定の時間がかかることが多く、必ず見つかるとは限りません(かかる期間の目安は後述します)。
譲渡の条件も相手次第です。交渉の結果、譲渡価額が当初の想定を下回ることもあります。また、承継後は経営方針や社風が変わる可能性があり、従業員や取引先への影響にも配慮が必要です。こうしたリスクは、早めに動いて時間の余裕をつくり、複数の買い手候補を比較し、後述する専門家の力を借りることで、条件を少しでも良くする方向に近づけられます。
小規模な会社でも買い手は見つかるのか
「うちのような小さな会社に、そもそも買い手がつくのか」という不安は、多くの経営者が最初に抱くものです。結論からいえば、規模が小さいから買い手がつかないとは言い切れません。売上が数千万円規模の小規模な事業でも、後継者不在を機に第三者へ引き継がれるケースはあり、M&A各社のサイトでも小規模事業の成約事例が公開されています。
買い手が見るのは規模の大きさだけではなく、安定した取引先、技術やノウハウ、地域での信用、有資格の従業員といった「その会社にしかない強み」です。たとえば設備や技術を抱える町工場のような製造業なら、長年培った加工技術や熟練の職人、続いてきた受注先が評価されることがあります。
自社の強みを整理して魅力を高め、幅広く買い手候補にあたれば、小規模な会社でも引き継ぎ手が見つかる可能性は十分にあります。買い手探しを担うのが、後述するM&A仲介やアドバイザリーです。
後継者不足をM&Aで解決する進め方と早く動くべき理由
ここからは、M&Aで事業を承継する具体的な進め方と、早く動き出したほうがよい理由を解説します。
M&Aによる事業承継の進め方
M&Aは、おおまかに次の流れで進みます。読み進めながら、自社が今どの段階にいるかをイメージしてみてください。

- 相談・準備:支援機関や専門家に相談し、承継の方針や自社の現状(財務・強み・課題)を整理する
- 相手探し(マッチング):条件に合う買い手候補を探し、匿名情報から関心を募る
- 交渉・条件のすり合わせ:譲渡価額・雇用の維持・契約条件などをトップ面談を通じて詰める
- 買い手による精査・最終契約:買い手が財務や事業内容を精査したうえで、最終契約・引き継ぎ(クロージング)へ進む
このうち、希望する買い手とのマッチングだけでも、通常は数か月から1年程度を要します。準備から成約まで含めれば、さらに時間を見込んでおく必要があります。
なぜ早く動くべきか
事業承継は、思い立ってすぐ完了するものではありません。中小企業庁の事業承継ガイドラインによれば、後継者を決めてから承継が完了するまでの移行期間は、3年以上を要する割合が半数を上回り、10年以上を要する場合も少なくないとされています。平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえ、同ガイドラインは「概ね60歳頃には事業承継に向けた準備に着手することが望ましい」としています。
時間に余裕があるほど、複数の買い手候補をじっくり比較でき、自社の魅力を高める準備もできるため、条件面でも有利に進めやすくなります。
すでに60歳を、あるいは70歳前後を過ぎていても、遅すぎるということはありません。同ガイドラインも、既に60歳を超えている場合は速やかに身近な支援機関へ相談すべきだとしています。年齢を理由に諦めず、動けるうちに一度相談してみることが、会社と従業員を守る一歩になります。
出典・参考資料(1件)
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後継者不足の相談先はどこ?無料の公的窓口とM&Aアドバイザリーの使い分け
M&Aを検討し始めたら、次の一歩は相談先を見つけることです。相談先にはいくつかの種類があり、費用や立場が異なります。ここでは「どういう時にどこへ相談するか」を整理します。
どういう時にどこへ相談するか
まず気軽に相談できる公的窓口として、事業承継・引継ぎ支援センターがあります。国が全国47都道府県に設置する公的な相談窓口で、相談は無料です。中小企業基盤整備機構は、同センターについて次のように説明しています。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は、国が設置する公的相談窓口です。国が設置した公的機関ですので、ご相談は無料・秘密厳守・中立的な立場で幅広くサポートしています。
事業承継・引継ぎ支援センター|中小企業基盤整備機構
窓口は各都道府県にあり、「(お住まいの都道府県名) 事業承継・引継ぎ支援センター」で検索すると、最寄りの窓口の連絡先が見つかります。まずは電話やメールで問い合わせるところから始められます。
「まず何から始めればいいか分からない」「費用をかけずに一度相談したい」という段階では、この公的窓口が使いやすい入口になります。このほか、取引のある銀行や、日頃から会社の数字を見ている税理士も、事業承継の相談相手になります。そして、実際に買い手を探して成約まで伴走してほしい段階では、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリー(FA。フィナンシャル・アドバイザー)といった専門家に依頼するのが一般的です。
それぞれの相談先の特徴を、費用と立場、向いている場面で整理すると次のとおりです。
| 相談先 | 事業承継・引継ぎ支援センター | 銀行・税理士 | M&A仲介会社 | M&Aアドバイザリー(FA) |
|---|---|---|---|---|
| 費用 | 無料(国が設置) | 内容により異なる | 成功報酬など | 成功報酬など |
| 立場 | 中立 | 取引・顧問の関係 | 売主・買主の 双方と契約(両手) | 売主・買主の 一方と契約(片手) |
| 向いている場面 | まず気軽に相談したい /何から始めるか 迷っている | 日頃の付き合いから 相談したい | 買い手探しから 成約まで任せたい | 自社の側に立って 交渉してほしい |
費用は依頼内容や各社の料金体系によって異なります。詳細は各相談先にご確認ください。
M&A仲介と売主側FA(アドバイザリー)の違い
専門家に依頼する際に知っておきたいのが、「仲介」と「FA(フィナンシャル・アドバイザー)」の違いです。中小企業庁の中小M&Aガイドラインは、両者を次のように定義しています。
仲介者とは、譲り渡し側・譲り受け側の双方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい(中略)FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは、譲り渡し側又は譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい(中略)仲介者の場合は、譲り渡し側・譲り受け側の双方が依頼者となるため、構造的にいずれかの当事者との間で、利益相反のおそれが生じる。
中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁
仲介は売主と買主の双方と契約し、双方から手数料を受け取るのが通常です。早く成約させたい両者の間に立つため、うまくマッチングを進めやすい一方で、構造的に利益相反のおそれがあると公的に指摘されています。
これに対してFAは売主か買主の一方だけと契約し、依頼した側の利益のために交渉します。売主側のFAであれば、譲渡価額や雇用条件など、売主にとって有利な条件を追求する立場に立ちます。
どちらが優れているという話ではなく、自社が「幅広く相手を探して早く決めたい」のか「自社の利益を最優先に交渉してほしい」のかで選び方が変わります。相談先を選ぶ際は、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録された事業者かどうかも、信頼性を見極める一つの目安になります。この制度は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言した支援機関を登録するもので、登録機関は専用ポータルで確認できます。
出典・参考資料(2件)
どのタイプの相談先が自社に合いそうか見えてきたら、次は実際にどの会社へ相談するかを具体的に比べたくなります。以下の記事では、M&Aアドバイザリーをはじめとする金融コンサル会社を専門領域別に比較し、選び方や費用相場までまとめています。売主側の相談先を絞り込む材料としてご覧ください。
金融コンサル会社徹底比較|専門領域別おすすめ19選と選び方【費用相場も解説】
資金繰りや財務戦略、事業承継やM&Aといった経営の重要局面では、社内の知見だけで最適解にたどり着くのが難しい場面が少なくありません。「専門家に相談したいが、どの金融コンサルに頼めばよいのか分からない」と迷う方も多いでしょう。 金融コ…
売主専門のM&Aアドバイザリー:M&A Lead(M&A Lead株式会社)

売主側に立つM&Aアドバイザリーの具体例として、M&A Leadを紹介します。「自社の側に立って交渉してほしい」という中小企業の売主に向いた、M&A Lead株式会社が運営する売主専門のアドバイザリーです。
売主だけのために働く譲渡企業専属という立場を掲げ、買主からは手数料を受け取らず、売主からのみ手数料を受領する「片手取引」のモデルを採っています。双方から手数料を得る仲介とは異なり、譲渡価額や雇用条件など、売主に有利な条件の追求に専念できる立場を明確にしている点が特徴です。
料金は完全成功報酬制で、相談料・着手金・中間金・月額報酬はいずれもかかりません。成約したときにのみ、譲渡対価に応じたレーマン方式(譲渡対価に応じて手数料率が決まる計算方式。料率は1〜5%)の成功報酬が発生します。検討の初期段階で費用の負担が生じにくく、中小企業にも相談しやすい仕組みです。
買い手探しでは、自社に加えて他社の仲介会社や独立系アドバイザーとも連携する「100を超えるM&Aネットワーク」を通じて、幅広く買い手候補にアプローチします。相談は全国対応で、オンラインや電話でも受け付けています。
美容業や動物病院といった地域の小規模な事業から、上場企業の子会社の譲渡まで、幅広い規模・背景の成約事例が公開されています。後継者不在を理由に売主側の立場で相談したい場合の相談先として、まず資料で内容を確認してみるとよいでしょう。
まとめ:後継者がいなくても、事業を次につなぐ道はある
後継者不在率が半数に及ぶいま、後継者がいないことは特別な悩みではありません。親族や社内に継ぐ人がいなくても、M&A(第三者承継)によって、雇用や取引先を守りながら事業を次の担い手へつなぐ道があります。廃業で多くを失う前に、選択肢として一度検討する価値は十分にあります。
M&Aは相手を探す時間がかかるため、早く動き出すほど選択肢は広がります。譲渡価額は会社の資産や収益力、その会社ならではの強みをもとに決まるので、まずは無料の相談で自社にどのくらいの値がつくのかを見積もってもらうとよいでしょう。
無料の公的窓口や、売主の側に立つM&Aアドバイザリーに相談すれば、買い手が見つかりそうかも含めて具体的に見えてきます。廃業を決めてしまう前に、まずは一度、相談から始めてみてください。
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後継者不足とM&Aに関するよくある質問(FAQ)
Q. M&A(第三者承継)とは何ですか?
A. M&A(第三者承継)とは、親族でも社内の人材でもない第三者(他の企業や経営者)に、会社の株式や事業を引き継いでもらう事業承継の方法です。
中小企業庁の事業承継ガイドラインも、事業承継のかたちを「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継(M&A)」の3つに整理しており、親族や社内に後継者がいない場合の正式な選択肢として位置づけられています。後継者を社内で育てるのではなく、事業を引き継げる相手を外部に探すため、社内に適任者がいなくても承継が成り立ちます。
出典・参考資料(1件)
Q. 小規模な会社や赤字の会社でも、M&Aで買い手は見つかりますか?
A. M&Aの成否は会社の規模や足元の黒字・赤字だけで決まるわけではなく、小規模な事業でも、後継者不在を機に第三者へ引き継がれるケースはあります。M&A各社のサイトでは、地域に根ざした小規模事業の成約事例も公開されています。
買い手が見るのは規模の大きさよりも、安定した取引先、技術やノウハウ、地域での信用、有資格の従業員といった「その会社にしかない強み」です。自社の強みを整理して魅力を高め、幅広く買い手候補にあたることで、小規模な会社でも引き継ぎ手が見つかる可能性は十分にあります。
Q. 後継者不足やM&Aの相談は無料でできますか?
A. 後継者不足の相談は、国が全国47都道府県に設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」を使えば、無料・中立の立場で始められます。「まず何から始めればいいか分からない」「費用をかけずに一度相談したい」という段階では、この公的窓口が使いやすい入口になります。
一方、実際に買い手を探して成約まで伴走してもらうM&A仲介会社やM&Aアドバイザリー(FA)に依頼する場合は、成約時に成功報酬などの費用がかかるのが一般的です。費用をかけずに相談したい段階では公的窓口、本格的に買い手探しを任せたい段階では専門家、という使い分けができます。
出典・参考資料(1件)
Q. 後継者不足を理由にM&Aを始めてから、会社が引き継がれるまでどのくらいかかりますか?
A. 希望する買い手とのマッチングだけでも、通常は数か月から1年程度の時間がかかります。準備から成約・引き継ぎまで含めれば、さらに時間を見込んでおく必要があります。
中小企業庁の事業承継ガイドラインも、後継者を決めてから承継が完了するまでの移行期間は3年以上を要する割合が半数を上回り、10年以上を要する場合も少なくないとしたうえで、概ね60歳頃には準備に着手することが望ましいとしています。時間に余裕があるほど複数の買い手候補をじっくり比較でき、条件面でも有利に進めやすくなります。
出典・参考資料(1件)
Q. M&Aで会社を売却すると、税金はどれくらいかかりますか?
A. 個人の経営者が保有株式を譲渡して会社を売却した場合、譲渡益(売却益)に対して合計20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかるのが原則です。これは株式等の譲渡所得に対する課税で、給与など他の所得とは分けて計算する申告分離課税です。
ただし、株式譲渡か事業譲渡か、売主が個人か法人かによって税金の種類や計算方法は変わり、実際の税負担は個別の事情で異なります。具体的な金額は、税理士やM&Aの専門家に確認してください。
出典・参考資料(1件)
Q. M&Aで会社を譲ると、従業員の雇用や取引先はどうなりますか?
A. M&Aは事業をそのまま引き継いでもらう承継のため、廃業とは異なり、従業員の雇用や取引先との関係は買い手に引き継がれるのが基本です。雇用の維持は売主が重視する条件の一つで、交渉のなかで買い手に求めることができます。
ただし、承継後は経営方針や社風が変わる可能性はあるため、雇用や取引の継続を重視する場合は、その意向を交渉の早い段階で伝え、譲渡の条件として明確にしておくことが大切です。売主の側に立って交渉するM&Aアドバイザリー(FA)を活用すれば、こうした条件を交渉で通しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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