M&Aとは、「合併と買収」の略で、会社や事業を売買して経営権を引き継ぐことを指します。後継者が見つからない、あるいは会社の将来をどうするか——そうした場面で、廃業ではなく「第三者に事業を引き継ぐ」選択肢として耳にする機会が増えた言葉です。ただ、言葉は知っていても「具体的にどういう仕組みなのか」までは掴みにくいものです。
本記事では、M&Aの意味から、株式譲渡・事業譲渡といった代表的な手法の違い、行う目的、売り手・買い手それぞれのメリットとデメリット、相談から成約までの流れ、費用の考え方、そして相談先の種類までを、順を追って整理します。専門用語には基礎からの補足を添えており、はじめてM&Aに触れる方でも全体像を通して掴める内容です。
目次
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M&Aとは?意味を一文で(合併と買収の違い)
M&Aとは、英語の「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、平たく言えば会社や事業を売買して経営権を引き継ぐことです。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも、合併・買収にとどまらず、株式譲渡や事業譲渡を含む幅広い手法による事業の引き継ぎを指す言葉として定義されています。
M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁
「合併」と「買収」は、しばしばまとめてM&Aと呼ばれますが、意味は異なります。合併は、複数の会社を1つの法人に統合することを指します。一方の買収は、株式や事業を取得して経営権を握ることで、買収後も会社は別々の法人として残る点が合併と違います。中小企業の事業承継では、会社を丸ごと引き継ぐ買収の一種「株式譲渡」が最も多く、合併はグループ内の会社を1つにまとめる場面などで使われます。
中小企業にとってM&Aは、後継者のいない会社を第三者に引き継ぐ「事業承継の手段」として身近になっています。公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターも、M&Aを「会社や事業を売買すること」と平易に説明し、後継者問題の有力な解決策と位置づけています。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:M&A基礎知識|事業承継・引継ぎ支援センター
M&Aの代表的な手法(比較表で違いを一目で)
ここからは、M&Aで使われる代表的な手法を整理します。手法によって「何が相手に移り、何が会社に残るのか」が変わり、税務や手続きの負担、リスクの大きさも変わります。まずは主要な手法の違いを、下の表で俯瞰してみてください。
| 手法 | 株式譲渡 | 事業譲渡 | 合併 | 会社分割 | 株式交換・株式移転 |
|---|---|---|---|---|---|
| 何が移るか | 会社の株式(=経営権ごと会社まるごと) | 選んだ事業・資産・負債(個別に指定) | 消滅する会社の権利義務すべて | 分割契約で定めた事業に関する権利義務 | 発行済株式の全部 |
| 承継の性質 | 会社が丸ごと移る(法人格に変動なし) | 対象を選んで個別に移す(会社は売り手に残る) | 権利義務を包括的に承継(会社が1つに統合) | 対象事業を切り出して包括的に承継 | 完全な親子会社関係をつくる |
| 手続きの負担 | 比較的シンプル | 資産ごとの移転手続き・許認可の取り直しが必要 | 株主総会の特別決議・債権者保護手続きが必要 | 分割契約・債権者保護手続きが必要 | 組織再編行為として所定の手続きが必要 |
| 選ばれる場面 | 中小企業の事業承継で最も多い | 一部の事業だけ売買したいとき | グループ内の会社を1つにまとめるとき | 特定事業だけを切り出して引き継ぐとき | 既存会社をグループの完全子会社にするとき |
※上記は各手法の一般的な性質の整理です。実際の適用可否や手続きは、案件の状況により異なります。
最も多い「株式譲渡」と「事業譲渡」の違い

中小企業のM&Aで最も多く使われるのが、株式譲渡と事業譲渡です。株式譲渡は、経営者などの株主が持つ株式を買い手に譲る手法で、会社そのものが丸ごと相手に移ります。手続きは比較的シンプルですが、会社の法人格はそのまま残るため、貸借対照表に表れない未払残業代などの簿外債務や、将来発生し得る偶発債務も一緒に引き継がれる点に注意が必要です。この点は後の「見落としやすい注意点」でも改めて触れます。
一方の事業譲渡は、会社が営む事業のうち、買い手に譲る範囲(資産・負債・契約)を個別に選んで移す手法です。引き継ぐ対象を絞れるため簿外債務などのリスクを遮断しやすい反面、資産ごとの移転手続きや、取引先との契約・許認可の取り直しといった作業が発生します。中小企業庁のガイドラインも、両手法の性質を次のように説明しています。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁
- 株式譲渡 譲り渡し側の株主(多くの場合は経営者)が、譲り受け側に対し、譲り渡し側の株式を譲渡する手法である。手続は比較的シンプルだが、譲り渡し側の法人格に変動はないため、(未払残業代等、貸借対照表上の数字には表れない)簿外債務・(紛争に関する損害賠償債務等、現時点では未発生だが将来的に発生し得る)偶発債務リスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデュー・ディリジェンス(DD)が実施される傾向にある。
- 事業譲渡 譲り渡し側が、譲り受け側に対し、自社の事業を譲渡する手法である。譲渡の対象となる財産(承継対象財産)を選択でき、譲り渡し側の法人格から切り離すことができるため、簿外債務・偶発債務リスクを比較的遮断しやすいが、手続には(土地、建物や機械設備等といった)承継対象財産の特定や、(不動産登記手続等の)対抗要件具備、許認可の取得等の作業が必要になる。
合併・会社分割・株式交換の位置づけ
合併や会社分割は、会社法が定める「組織再編」に分類される手法です。合併では、消滅する会社の権利義務が存続会社に包括的に引き継がれます(会社法第750条)。会社分割は、分割契約で定めた事業に関する権利義務を切り出して承継させる手法です(同第759条)。いずれも、個々の資産や契約を1つずつ移し替える事業譲渡と違い、対象をまとめて承継できる点が特徴です。
株式交換・株式移転は、ある会社の発行済株式のすべてを別の会社に取得させ、完全な親子会社の関係をつくる手法です(同第2条第31号・第32号)。このほか、新たに発行する株式を特定の相手に引き受けてもらう第三者割当増資や、資本の一部を持ち合う資本業務提携なども、広い意味でのM&A・資本提携の手法として使われます。
上場企業を対象とする場合には、市場を通じて不特定多数の株主から株式を買い集める株式公開買付け(TOB)という手法もあります。どの手法を選ぶかは、引き継ぎたい範囲やリスク、税務、手続きの負担を踏まえて変わります。自社にどれが向くかは、後述する専門家と相談しながら検討するのが一般的です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:会社法(第750条・第759条・第2条)|e-Gov法令検索
M&Aの目的|なぜ行うのか(売り手・買い手別)
M&Aを行う動機は、売り手(譲り渡す側)と買い手(譲り受ける側)で異なります。ここでは、それぞれがどんな目的でM&Aを選ぶのかを整理します。
売り手側で最も大きな動機となるのが、後継者不在の解決です。帝国データバンクの調査によると、2025年時点でも全国の企業の約半数(後継者不在率50.1%)が後継者不在の状態にあります。この割合は7年連続で低下しており、同社は、官民の相談窓口や支援メニューの拡充に加え、M&Aを含む第三者への事業承継の広がりも改善に寄与したと分析しています。
売り手がM&Aを選ぶ主な目的は、次のとおりです。
- 事業承継:後継者がいなくても、信頼できる相手に会社を引き継ぎ、従業員の雇用や取引先との関係を守りながら事業を存続させる。
- 選択と集中:複数事業のうち一部を切り離し、主力事業に経営資源を集中させる。
- 創業者利益の獲得:株式の売却によって、創業者が利益(創業者利益)を得る。
買い手側の目的は、成長のスピードを買うことにあります。事業をゼロから立ち上げるには時間も人材も必要ですが、既に事業を営む会社を取得すれば、その顧客基盤・技術・人材・許認可をまとめて手に入れられます。主な目的は次のとおりです。
- 市場シェアの拡大:同業の会社を取得し、事業規模やシェアを一気に伸ばす。
- 新規事業への参入:異業種の会社を取得し、自社にない事業や技術を短期間で獲得する。
- 時間を買う:一から育てる手間を省き、既存の顧客・人材・許認可を引き継いで成長を加速する。
出典・参考資料(1件)
- 出典:全国「後継者不在率」動向調査(2025年)|帝国データバンク
M&Aのメリット・デメリットと注意点(売り手/買い手別)
M&Aには、売り手・買い手それぞれにメリットとデメリットがあります。良い面だけでなく、注意すべき落とし穴も含めて把握しておくことが、後悔のない意思決定につながります。
売り手のメリット・デメリット
売り手にとっての主なメリットは、次のとおりです。
- 後継者がいなくても事業を存続させ、従業員の雇用や取引先との関係を守れる
- 廃業では失われる企業価値を、譲渡によって現金化できる
- 経営者個人が抱える借入の連帯保証から解放されるケースがある
一方で、次のようなデメリット・注意点があります。
- 希望する価格や条件で買い手が見つかるとは限らず、交渉が長引くことがある
- 従業員や取引先への影響を考えると、情報開示のタイミングに慎重さが求められる
- 譲渡後は、それまでの経営方針が買い手の方針に変わる可能性がある
買い手のメリット・デメリット
買い手にとっての主なメリットは、次のとおりです。
- 事業に必要な顧客・人材・技術・許認可を、まとめて短期間で獲得できる
- 一から用意する手間を省き、市場参入やシェア拡大のスピードを高められる
一方で、次のようなデメリット・注意点があります。
- 想定した相乗効果(シナジー)が思うように出ないことがある
- 買収後に企業文化や業務のすり合わせがうまくいかないことがある
- 買収価格が過大になれば、投資の回収が難しくなる
- 買収前の調査で見抜けなかった問題が、後から表面化する可能性がある
M&Aで見落としやすい注意点
特に注意したいのが、株式譲渡で会社を丸ごと引き継ぐ場合の簿外債務・偶発債務です。前述のとおり、株式譲渡では会社の法人格がそのまま残るため、貸借対照表に表れていない未払残業代や、将来発生し得る損害賠償債務なども一緒に引き継がれます。買い手がこうしたリスクを見極めるために行う調査が、デューデリジェンス(買収監査、DD)です。
また、成約はゴールではなく、その後の統合作業(PMI=Post Merger Integration、買収後の統合)で初めて効果が出ます。人事制度や業務システム、企業文化をすり合わせる過程でつまずくと、期待した成果が得られません。売り手・買い手のいずれの立場でも、こうしたリスクを踏まえて、専門家の支援を受けながら進めることが大切です。
M&Aの進め方|相談から成約までの流れと期間
M&Aは、思い立ってすぐ成立するものではなく、いくつかの段階を踏んで進みます。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」が示す一般的な手続きの流れは、次のとおりです。
- 意思決定:M&Aを検討すると決め、情報収集を始める段階です。
- 仲介者・FAの選定と契約:支援してくれる専門家を選び、契約を結びます。
- 企業価値評価(バリュエーション):会社や事業のおおよその価値を算定します。
- 相手探し(マッチング):条件に合う譲り受け側の候補を探します。
- 交渉:譲渡価格や条件をすり合わせます。
- 基本合意の締結:主要な条件について、いったん合意します。
- デューデリジェンス(DD):買い手が対象企業を詳しく調査します。
- 最終契約の交渉・締結:調査結果を踏まえ、最終的な契約を結びます。
- クロージング:株式や事業の引き渡しと決済を行い、取引が成立します。
- クロージング後(ポストM&A):統合作業(PMI)を進め、引き継ぎを軌道に乗せます。
相談開始からクロージングまでにかかる期間は、案件の規模や交渉の進み方によって変わります。早ければ数か月、一般には半年〜1年程度が一つの目安で、条件のすり合わせや買い手側の調査が長引けば1年を超えることもあります。あくまで目安として捉え、余裕を持って準備を始めるのが安心です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中小M&Aガイドライン(第3版)「中小M&Aにおける一般的な手続の流れ」|中小企業庁
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M&Aのお金の話|会社の価値(企業価値評価)と費用・手数料(レーマン方式)
M&Aで多くの人が気になるお金の話は、大きく2つに分かれます。1つは「自社(自分の会社)はいくらで売れるのか」、もう1つは「支援してくれるアドバイザーにいくら払うのか」です。会社の価値が取引価格の土台になり、その取引価格が手数料に影響するため、この順で見ていきます。
会社はいくらで売れる?企業価値評価(バリュエーション)の基本
会社や事業の価値を算定することを、企業価値評価(バリュエーション)といいます。中小企業庁のガイドラインは、評価の考え方を大きく3つのアプローチに整理しています。
- コストアプローチ(時価純資産法など):純資産に着目して価値を算定する。
- マーケットアプローチ(類似会社比較法など):似た会社や取引と比べて算定する。
- インカムアプローチ(DCF法など):将来生み出す利益から逆算して算定する。
中小企業のM&Aでは、時価純資産法や類似会社比較法がよく用いられます。
実務では、時価純資産に数年分の利益を加算する簡便な考え方(いわゆる年買法。「時価純資産+利益の数年分」で概算する方法で、加算する年数は案件により異なる)が使われることもあります。ただし、こうして出た金額がそのまま譲渡価格になるわけではなく、最終的な価格は買い手との交渉を経て当事者が合意した金額で決まります。評価額はあくまで交渉の出発点と考えておきましょう。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中小M&Aガイドライン(第3版)「バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)」|中小企業庁
M&Aにかかる費用・手数料(着手金・中間金・成功報酬とレーマン方式)
M&Aで支援を受ける際の手数料は、主に契約時の着手金、途中の節目で発生する中間金、成約時の成功報酬の3種類です。何を請求するかは会社によって異なり、着手金・中間金を取らず成功報酬だけを受け取る「完全成功報酬型」もあります。完全成功報酬型なら、成約に至らなければ費用は発生しないため、検討初期の負担を抑えられます。
成功報酬の計算によく使われるのが、取引金額が大きくなるほど料率が下がる「レーマン方式」です。中小企業庁のガイドラインは、一例として次の料率を挙げています。
- 5億円以下の部分 5%
- 5億円超10億円以下の部分 4%
- 10億円超50億円以下の部分 3%
- 50億円超100億円以下の部分 2%
- 100億円超の部分 1%
※あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FA により異なる。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)「レーマン方式及び最低手数料」|中小企業庁
ガイドライン自身が「あくまで一例」と注記しているとおり、料率も、料率を掛ける基準となる金額(譲渡額か、負債を含む移動総資産額か等)も、会社ごとに異なります。特に中小規模の案件では、レーマン方式で計算した金額よりも各社が定める最低手数料の方が高くなり、最低手数料が実質の費用になることも少なくありません。
手数料を比較するときは、料率だけでなく「何を基準に計算するか」「最低手数料はいくらか」まで確認することが大切です。
M&Aにかかる税金(税務)の基本
会社や事業を売ると、その利益(譲渡益)に税金がかかります。どの手法を選ぶかで、誰に・どんな税金がかかるかが変わり、売り手の手取り額を左右します。ここでは、代表的な2つの手法についての基本的な考え方を押さえます。
株式譲渡の場合は、株式を売った株主に課税されます。売り手が個人(オーナー経営者など)であれば、株式の譲渡益は給与などとは分けて計算する「申告分離課税」の対象です。税率は所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて一律20.315%(内訳は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。売り手が法人の場合は、譲渡益がほかの利益と合算されて法人税などの対象になります。
事業譲渡の場合は、事業を売った会社(法人)の譲渡益に法人税などがかかります。加えて、譲渡する資産のうち、機械・備品・のれん(営業権)などの課税対象資産には消費税がかかる点が株式譲渡との違いです(土地や有価証券などは非課税)。この消費税は買い手が売り手に支払って負担し、それを売り手が国に納める流れになるため、買い手の資金負担にも関わります。
実際の税額は、取得費や各種特例、法人か個人かによって変わります。税務は手取り額や手法選びに直結するため、早い段階で税理士・公認会計士など専門家に確認しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁
- 参考資料:No.6209 非課税となる取引|国税庁
M&Aの相談先はどこ?種類と立ち位置の違い
M&Aの全体像を掴んだら、次に気になるのが「どこに相談すればよいか」です。相談先にはいくつかの種類があり、それぞれ立ち位置が異なります。違いを理解して選ぶことが、納得のいくM&Aへの第一歩になります。
中小企業庁のガイドラインは、支援機関を「仲介者」と「FA(フィナンシャル・アドバイザー)」に区別しています。仲介者は売り手・買い手の双方と契約してマッチングを支援する立場、FAは売り手または買い手の一方と契約してその依頼者を支援する立場です。

仲介者は双方の間を取り持つため中立的にまとまりやすい一方、FAは依頼者側の利益に専念できるという違いがあります。特に売り手が「自社に有利な条件を追求したい」場合は、売り手だけと契約する売り手専門のFAという選択肢もあります。
このほか、普段付き合いのある金融機関に相談すると、取引ネットワークを通じて買い手候補を紹介してもらえることがあります。税務・法務に詳しい士業(税理士・公認会計士・弁護士)は、株価の評価や契約書のチェックなど専門分野で力になります。また、国が全国に設置する公的機関「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中立な立場で無料の相談に応じています。
まず公的窓口で全体像を掴み、実際の支援は民間の仲介者・FAに依頼する、という進め方も可能です。ただし、センターから紹介された民間機関に実務を依頼する段階では費用が発生する点は理解しておきましょう。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小M&Aガイドライン(第3版)「仲介者/FA」の定義|中小企業庁
- 出典:M&A基礎知識(相談無料の案内)|事業承継・引継ぎ支援センター
相談先の候補を具体的に見比べたい方に向けて、以下の記事ではM&A・FAを含む金融コンサルティング会社を専門領域別に比較し、選び方や費用相場まで解説しています。どんな相談先があるかを一覧で押さえたいときの参考にしてください。
ここでは、相談先の具体例として、売主に専任するM&A Leadと、Web3・ブロックチェーン業界に特化したConsensus Baseの2つのアドバイザリーを紹介します。立ち位置や得意領域が異なるため、まず比較表で違いを確認してください。
| サービス名 | M&A Lead | Consensus Base(Web3特化) |
|---|---|---|
| サービス形態 | 売主専門(セルサイド専任)の M&Aアドバイザリー | Web3・ブロックチェーン特化の M&Aアドバイザリー |
| 得意領域・対象 | 業種を問わず売主の利益最大化に専念 (事業承継〜子会社譲渡まで) | Web3/ブロックチェーン事業 (GameFi・NFT・DeFi・DID/ZK等)の技術DDに対応 |
| 手数料体系 | 完全成功報酬制(着手金・中間金なし) レーマン方式(譲渡対価の1〜5%) | 要問い合わせ (レーマン方式の採用有無は非公開) |
| 手数料の負担 | 売主のみ(買主からは受け取らない) | 要問い合わせ |
| 対応エリア | 全国対応(オンライン相談可) | 国内外(東南アジア・欧州・北米のネットワーク) |
| 無料相談 | ● | ● |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadは、売り手(譲渡企業)だけのために働くことを掲げた、売り手専門のM&Aアドバイザリーです。売り手・買い手の双方から手数料を受け取る一般的な仲介と異なり、買い手からは手数料を受け取らず売り手からのみ報酬を受領する立場をとっています。そのため、譲渡価格や雇用条件など、売り手にとって有利な条件の追求に専念できる点を特徴としています。
料金は、着手金・中間金・月額報酬がかからない完全成功報酬制で、成功報酬はレーマン方式(譲渡対価の1〜5%)で算出されます。自社に加えて他社の仲介会社や独立系アドバイザーとも連携する買い手ネットワークを活用し、全国の企業に対応しています。相談は無料で、オンラインにも対応しているため、検討の初期段階から気軽に利用できます。
Web3業界特化M&Aアドバイザリー|Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

こちらは、暗号資産・ブロックチェーンなどWeb3領域の事業を対象とした業界特化型のアドバイザリーです。一般的な業種の事業承継では前述のM&A Leadのような相談先が主な候補になりますが、Web3関連の事業を営む場合は、こうした特化型が有力な選択肢になります。
コンセンサス・ベイス株式会社が提供するWeb3業界特化M&Aアドバイザリーは、ブロックチェーンやWeb3領域に強みを持つM&Aアドバイザリーです。同社は長年ブロックチェーンの受託開発・技術コンサルティングを手がけており、その業界知見を活かして、暗号資産・ブロックチェーン関連事業のM&Aを支援します。
Web3領域は技術・規制の両面で専門性が高く、事業やトークンの価値評価も一般的な業種とは異なる観点が求められます。業界特化型のアドバイザーは、こうした領域固有の論点を踏まえた支援ができる点が、汎用的な仲介会社との違いです。料金体系は要問い合わせのため、詳細は資料や相談で確認するとよいでしょう。
まとめ
M&Aとは、会社や事業を売買して経営権を引き継ぐことで、後継者不在の解決や事業の成長を実現する手段です。株式譲渡や事業譲渡など手法によって「何が移り、何が残るか」が変わり、目的・メリット・デメリット・費用も立場によって異なります。全体像を掴んだうえで、自社の状況に合った手法と相談先を選ぶことが、納得のいくM&Aにつながります。
相談先には仲介者・FA・金融機関・公的窓口などがあり、それぞれ立ち位置が異なります。売り手として有利な条件を追求したい場合は、売り手に専任するFAという選択肢もあります。まずは各サービスの資料を取り寄せ、支援内容や料金を比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. M&Aとは何ですか?
A. M&Aとは、「合併と買収」の略で、会社や事業を売買して経営権を第三者に引き継ぐことを指します。中小企業庁のガイドラインでは、合併や会社分割といった組織再編に加え、株式譲渡・事業譲渡を含む幅広い手法による事業の引き継ぎを指す言葉として定義されています。近年は、後継者のいない会社を第三者に託す「事業承継の手段」として広く使われるようになりました。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小M&Aガイドライン(第3版)「M&Aの定義」|中小企業庁
Q. M&Aと事業承継は何が違うのですか?
A. 事業承継は会社や事業を後継者に引き継ぐこと全般を指し、M&Aはそのうち「第三者への引き継ぎ」を実現する手段の一つです。事業承継には、親族に継がせる親族内承継、役員・従業員に継がせる社内承継、そして第三者に引き継ぐM&Aの3つの方法があります。親族や社内に後継者がいない場合に、廃業を避けて事業を残す選択肢としてM&Aが選ばれます。
Q. 中小企業や赤字の会社でもM&Aはできますか?
A. 中小企業でも、また赤字や債務超過の会社でも、M&Aは可能です。買い手は決算書上の利益だけでなく、技術・ノウハウ・顧客基盤・許認可・人材といった「その会社ならではの価値」を評価します。赤字であっても、買い手にとって取得する意味のある強みがあれば、譲渡が成立するケースは少なくありません。実際、後継者不在を背景に、中小企業の事業承継を目的としたM&Aは年々広がっています。
Q. M&Aでは株式譲渡と事業譲渡のどちらを選べばよいですか?
A. 会社を丸ごと引き継ぐなら株式譲渡、一部の事業だけを売買したい・引き継ぐリスクを限定したいなら事業譲渡が向いています。株式譲渡は手続きが比較的シンプルな反面、簿外債務や偶発債務も会社ごと一緒に引き継がれます。事業譲渡は対象を選んで移せるためこうしたリスクを遮断しやすい一方、資産ごとの移転手続きや取引先との契約・許認可の取り直しが必要です。
どちらが適するかは会社の状況によるため、専門家と相談して決めるのが一般的です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小M&Aガイドライン(第3版)「株式譲渡/事業譲渡」|中小企業庁
Q. M&Aにかかる期間はどれくらいですか?
A. 相談開始からクロージング(取引成立)までは、おおむね数か月から1年程度が目安です。案件の規模や相手探しの難易度、交渉やデューデリジェンス(買収監査)の進み方によって前後します。早ければ数か月でまとまることもあれば、条件のすり合わせや調査が長引けば1年を超えることもあります。あくまで目安と捉え、余裕を持って準備を始めると安心です。
Q. M&Aの相談先はどうやって選べばよいですか?
A. 「双方の間を取り持つ仲介者」か「自分の側の利益に専念するFA」か、立ち位置の違いで選ぶのが基本です。仲介者は売り手・買い手の双方と契約するためまとまりやすく、FAは一方だけと契約するため依頼者に有利な条件を追求しやすい特徴があります。
まず中立に全体像を知りたい場合は、無料で相談できる公的機関「事業承継・引継ぎ支援センター」も選択肢です。売り手として条件を追求したいなら、売り手に専任するFAという選び方もあります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小M&Aガイドライン(第3版)「仲介者/FA」の定義|中小企業庁
- 参考資料:M&A基礎知識(相談無料の案内)|事業承継・引継ぎ支援センター
Q. 自分の会社がいくらで売れるか、事前に目安は分かりますか?
A. 企業価値評価(バリュエーション)によって、譲渡価格のおおよその目安を事前に把握できます。中小企業では、時価純資産に数年分の利益を加える簡便な方法などが使われます。ただし、算定額はあくまで交渉の出発点で、最終的な譲渡価格は買い手との交渉を経て、当事者が合意した金額で決まります。多くのアドバイザーは、初期の無料相談の段階で簡易な目安を示してくれます。
Q. M&Aで会社を売却すると、経営者の個人保証(連帯保証)はどうなりますか?
A. 個人保証は売却によって自動的に消えるわけではなく、買い手への引き継ぎや金融機関との交渉を通じて解除を目指すのが一般的です。株式譲渡の場合、多くはクロージングのタイミングで金融機関と調整し、旧経営者の保証を解除して新たな体制へ移行します。個人保証の扱いは重要な交渉条件になるため、早い段階でアドバイザーや金融機関に相談しておくことが大切です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















