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新リース会計基準とは?2027年適用の変更点・対象企業・準備をわかりやすく解説

新リース会計基準とは?2027年適用の変更点と対応のサムネイル画像

2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」、いわゆる新リース会計基準の適用が迫っています。これまで貸借対照表に載っていなかったオペレーティング・リースも資産・負債として計上する「オンバランス化」が柱で、経理・財務の実務に大きな影響を与える改正です。

まず気になるのは「いつから」「自社は対象か」「何が根本的に変わるか」の3点ではないでしょうか。この3点の結論から順に確認していきましょう。

本記事では、企業会計基準第34号と適用指針第33号にもとづき、適用時期・対象範囲・変更点・会計処理・財務指標への影響・準備の進め方までを整理します。あわせて、対応の第一歩となる契約の棚卸しや台帳管理を効率化する契約管理システムも紹介します。

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新リース会計基準とは?2027年適用の要点を先取り

新リース会計基準は、正式には企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」といい、2024年9月13日にASBJが公表しました。国際会計基準であるIFRS第16号との整合を図る改正で、借手の会計処理が大きく変わります。

細かい会計処理に入る前に、多くの担当者が最初に知りたい「いつから・誰が対象・何が変わるか」の結論を先に押さえておきます。

  • いつから:2027年4月1日以後に開始する事業年度の期首から強制適用(2025年4月1日以後開始事業年度からの早期適用も可能)
  • 誰が対象:上場企業や会社法上の大会社など、会計監査を受ける会社。中小企業は強制適用の対象外
  • 何が変わる:借手はファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がなくなり、原則としてすべてのリースを使用権資産・リース負債として貸借対照表に計上する

ここからは、それぞれの論点を原文にあたりながら詳しく見ていきます。

いつから適用される?2027年4月1日の強制適用と早期適用

適用時期は企業会計基準第34号の第58項で定められています。原則の強制適用と、任意で前倒しできる早期適用の2つが規定されています。

本会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる。

出典:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」第58項|企業会計基準委員会(ASBJ)

ポイントは「以後開始する事業年度の期首から」という点です。適用のタイミングは決算月によって変わるため、自社の事業年度に当てはめて確認する必要があります。

  • 3月決算の会社:2027年4月1日から始まる2028年3月期が最初の強制適用年度
  • 12月決算の会社:2027年4月1日以後に開始する事業年度は2028年1月1日開始の2028年12月期となるため、そこが最初の強制適用年度

早期適用には特別な条件は付されていません。2025年4月1日以後に開始する事業年度の期首からであれば、任意で前倒しして適用できます。IFRSを任意適用している企業や、グループで会計方針をそろえたい企業では、早期適用を選ぶケースも想定されます。

自社は対象になる?対象企業の線引き

新リース会計基準が強制適用されるのは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って会計処理を行う会社、すなわち会計監査を受ける会社です。具体的には、金融商品取引法に基づく監査対象である上場企業などと、会社法上の「大会社」が中心になります。

会社法上の大会社の定義は、会社法第2条第6号で次のように定められています。「最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上」または「負債の部に計上した額の合計額が200億円以上」のいずれかに該当する株式会社が大会社です。大会社は会社法第328条により会計監査人の設置が義務づけられており、これが新基準の適用対象になる根拠となります。

対象判定の線引き一覧

自社が強制適用の対象になるかどうかを、区分ごとに整理しました。

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会社の区分上場企業など(金融商品取引法の監査対象)会社法上の大会社中小企業(上記以外)大会社の子会社・連結子会社
該当要件金融商品取引法に基づき有価証券報告書を提出し会計監査を受ける会社資本金5億円以上、または負債合計200億円以上(いずれか該当)。会計監査人の設置義務あり中小企業の会計に関する指針・基本要領を適用できる会社連結財務諸表の作成対象となる子会社
新リース会計基準の強制適用対象対象対象外(従来の賃貸借処理を継続でき、任意適用は可能)連結上は親会社の会計方針に合わせた対応が必要

中小企業は新基準の強制適用の対象外です。中小企業の会計に関する指針・基本要領に基づき、従来どおりの賃貸借処理を続けられます。ただし、大会社の子会社は連結財務諸表の作成にあたって親会社の会計方針に合わせる必要があるため、単体では中小企業でも実質的に対応が求められる場合があります。

何が根本的に変わるのか(オペレーティング・リースのオンバランス化と費用科目の分解)

新リース会計基準の核心は、借手の会計処理における2つの変更です。1つはすべてのリースを貸借対照表に計上する「オンバランス化」、もう1つは費用科目の分解です。

従来、オペレーティング・リースは貸借対照表に計上せず、支払ったリース料を賃借料として費用計上していました。新基準では、借手はファイナンス・リースかオペレーティング・リースかにかかわらず、原資産を使う権利を「使用権資産」として、その支払義務を「リース負債」として貸借対照表に計上します。

本会計基準では、すべてのリースを使用権の取得として捉えて使用権資産を貸借対照表に計上するとともに、借手のリースの費用配分の方法については、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上するIFRS第16号と同様の単一の会計処理モデルによることとした。

出典:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」結論の背景|企業会計基準委員会(ASBJ)

この結果、費用の科目も変わります。従来オペレーティング・リースで「支払リース料(賃借料)」として単一で計上していた費用が、新基準では「使用権資産の減価償却費」と「リース負債に係る利息相当額」の2つに分解されます。利息相当額は、原則として利息法によりリース期間にわたって配分します。

この区分の廃止と単一モデル化は借手の会計処理についての変更です。貸手はファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を基本的に踏襲します。

従来基準(第13号)と新基準(第34号)の違い【Before/After 対比表】

借手の会計処理について、従来のリース会計基準(企業会計基準第13号)と新基準の違いを対比すると、変更のインパクトが一目で分かります。

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観点オペレーティング・リースの扱いファイナンス/オペレーティングの区分貸借対照表への計上費用科目
従来基準(第13号)オフバランス(賃貸借処理)区分あり(処理が異なる)ファイナンス・リースのみ計上支払リース料(賃借料)
新基準(第34号・借手)オンバランス(使用権資産・リース負債を計上)区分を廃止(単一の会計処理モデル)原則すべてのリースを計上減価償却費+利息相当額に分解

どの契約が「リース」に該当する?識別と例外

オンバランス化の対象になるのは「リース」に該当する契約です。ここで重要なのは、契約書のタイトルが「リース」かどうかではなく、契約の実態で判定する点です。

企業会計基準第34号第6項は、リースを「原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と定義しています。そのうえで、契約がリースを含むかどうかは、第26項の識別基準で次のように判定します。

前項の判断にあたり、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含む。

出典:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」第26項|企業会計基準委員会(ASBJ)

この「特定された資産の使用を支配する権利」の移転があるかどうかで判定するため、契約書に「リース」の記載がなくても、レンタルや不動産賃貸、一部のサービス契約がリースに該当する場合があります。日本公認会計士協会も、契約実態が原資産の使用権を対価と交換に移転するものであればリースと判断されると解説しています。自社のどの契約が該当するかは、この支配の判定に照らして1件ずつ確認する必要があります。

特に判断に迷いやすいレンタル契約やサブスクリプション契約がオンバランスの対象になるかどうかは、以下の記事で契約タイプごとの判定基準と実務対応を詳しく解説しています。

短期リース・少額リースの例外

すべてのリースを厳密にオンバランス化すると実務負担が大きくなるため、簡便的な取扱いが認められています。ただし、いずれも義務ではなく選択できる取扱いです。

1つ目は短期リースです。適用指針第33号第4項では、短期リースを「リース開始日において、借手のリース期間が12か月以内であり、購入オプションを含まないリース」と定義しています。短期リースは、使用権資産・リース負債を計上せず、リース料をリース期間にわたって原則として定額法で費用計上できます。「12か月以内」だけでなく「購入オプションを含まない」ことも要件である点に注意が必要です。

2つ目は少額リースです。ここは金額の目安に誤解が多いため、正確に押さえておきます。適用指針第33号第22項は、重要性が乏しいリースなどについて簡便的な取扱いを認めていますが、その判定方法の1つが、従来の適用指針第16号を踏襲した「リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下かどうか」で判定する方法です。

一方、IFRS第16号では新品時に5千米ドル以下程度の原資産を念頭に置いた少額リースの取扱いがあり、日本基準にもこの考え方を取り入れた選択肢がありますが、「5千米ドル」は日本基準本文の明確な金額基準ではありません。実務で金額の目安として使われるのは「リース料総額300万円以下」の方です。両者を混同して「少額リースは5,000ドル以下」と断定しないよう注意します。

リースの識別と例外判定の流れを示した図解。前提として契約書の名称ではなく契約の実態で判定する(レンタルや不動産賃貸なども対象になりうる)。判定①として特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転しているか(移転がなければリースに該当せず対象外)、判定②として短期リース(12か月以内・購入オプションを含まない)や少額リース(リース料総額300万円以下で判定)に当たるかを確認し、例外に当たる場合は貸借対照表に計上せず簡便処理を選択でき、当たらない場合は使用権資産・リース負債を計上するオンバランスとなることを示している。

会計処理はどう変わる?使用権資産・リース負債の仕訳イメージ

ここからは、帳簿上でどう動くのかを簡単な例で確認します。以下はオンバランス化のイメージをつかむための簡略例で、実際の金額は割引率やリース期間、付随費用によって変わります。

従来オペレーティング・リースとして毎期の支払リース料だけを費用計上していた契約を、新基準では次のように処理します。

  • リース開始日:リース料の支払義務を割引現在価値で計算し、リース負債を計上。同額に付随費用などを加えた金額で使用権資産を計上する
  • 各期:使用権資産の減価償却費を計上するとともに、リース負債に係る利息相当額を利息法で配分して計上する

数字を当てはめてイメージしてみます。たとえば、月10万円・5年契約のオフィス賃貸(リース料総額600万円)を割引率で現在価値に割り引き、リース負債と使用権資産を約540万円と見積もったとします。この場合、おおむね次のような処理になります。

  • リース開始日:(借方)使用権資産 540万円/(貸方)リース負債 540万円
  • 各期:(借方)減価償却費 約108万円(540万円÷5年、定額法の場合)/(借方)支払利息(利息相当額)+(貸方)リース負債の返済

金額は割引率の設定で変わるため、あくまで概念を理解するための仮の数値です。割引率の具体的な決め方は会計方針として定める必要があるため、監査法人や顧問会計士と相談しながら設定します。

このように、これまで1本だった「支払リース料」が、貸借対照表では使用権資産・リース負債として、損益計算書では減価償却費・利息相当額として表れます。所有権が借手に移転すると認められるリースの使用権資産は、自ら所有していたと仮定した場合と同じ減価償却方法で計算します。

財務諸表・経営指標への影響

オンバランス化は、財務諸表の見え方や経営指標にも影響します。これまで貸借対照表に載っていなかったオペレーティング・リースが資産・負債として計上されるため、総資産と負債がともに増加します。

主な影響として、次のような点が挙げられます。

  • 自己資本比率の低下:総資産が増える一方で自己資本は変わらないため、比率が下がる方向に働く
  • ROA(総資産利益率)の低下:分母の総資産が増えることで、利益が同じでも比率が下がりやすい
  • D/Eレシオ(負債資本倍率)の上昇:リース負債の計上により負債が増える
  • 借入契約のコベナンツ(財務制限条項):財務指標に基づく条項がある場合、抵触の有無を事前に確認する必要がある

店舗や事務所を賃借している小売・サービス業など、オペレーティング・リースの残高が大きい企業ほど影響も大きくなります。金融機関や投資家への説明、IR資料の見直しも視野に入れ、早めに影響額を試算しておくことが望まれます。

なぜ改正されたのか(IFRS第16号との整合)

ここまで見てきた変更の背景には、国際的な会計基準との整合があります。国際会計基準のIFRS第16号や米国基準では、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて、使用権資産とリース負債を計上する「使用権モデル」が採られています。

IFRS第16号及びTopic 842では、借手の会計処理に関して、主に費用配分の方法が異なるものの、原資産の引渡しによりリースの借手に支配が移転した使用権部分に係る資産(使用権資産)と当該移転に伴う負債(リース負債)を計上する使用権モデルにより、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産及び負債を計上することとされています。

出典:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表|企業会計基準委員会(ASBJ)

日本基準はこれまでも国際的な会計基準とのコンバージェンス(収れん)を進めてきました。今回の改正は、財務諸表の国際的な比較可能性を高めるために、借手の会計処理をIFRS第16号と整合させたものです。

適用に向けた準備ステップとスケジュール

適用に向けては、限られた期間で段階的に準備を進める必要があります。実務では、おおむね次の流れで対応します。

新リース会計基準への対応準備を示した4ステップの図解。STEP1 契約の棚卸し(リース・賃貸借・レンタル・サービス契約を紙・電子を問わず洗い出す)、STEP2 リースの識別(支配する権利の移転かを判定し短期・少額の例外の適用可否も確認)、STEP3 会計方針の決定(割引率の設定・例外規定の適用範囲・経過措置の選択)、STEP4 システム・業務対応(使用権資産・リース負債の計算と契約の期限管理の体制整備)を矢印でつないで示している。
  1. 契約の棚卸し:リース・賃貸借・レンタル・サービス契約など、リースに該当しうる契約を紙・電子を問わず洗い出す
  2. リースの識別:洗い出した契約が「特定された資産の使用を支配する権利」の移転に当たるかを判定し、短期・少額の例外の適用可否も確認する
  3. 会計方針の決定:割引率の設定、例外規定の適用範囲、経過措置の選択などの方針を固める
  4. システム・業務フローの対応:使用権資産・リース負債の計算や、契約の期限管理を継続的に回せる体制を整える

最初のステップである契約の棚卸しは、対象となる契約が多いほど負担が大きくなります。どこに何の契約があるかを把握できていないと、リース識別も影響額の試算も始められません。

強制適用の時期から逆算して段取りを組むと、準備の見通しが立てやすくなります。早期適用をしない3月決算の会社(最初の強制適用は2028年3月期)を例にすると、次のような目安が考えられます。

  • 〜2027年3月期(準備期間):契約の棚卸しとリースの識別を進め、影響額を試算する
  • 2028年3月期の期首まで:会計方針(割引率・例外規定・経過措置の選択)を確定し、システム・業務フローを整える
  • 2028年3月期の期首(2027年4月1日):新基準の適用を開始する

棚卸しと影響額の試算には一定の期間がかかるため、実務では強制適用の1〜2年前から着手する企業が多いと考えられます。

経過措置・簡便法の使いどころ

適用初年度の負担を軽くするために、経過措置が用意されています。適用指針第33号第118項では、原則として過去の期間すべてに遡及適用するとしつつ、簡便的な取扱いを認めています。

会計基準の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、原則として、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する。ただし、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することができる。

出典:企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」第118項|企業会計基準委員会(ASBJ)

この簡便法を使えば、過去のすべての期間を作り直す代わりに、累積的な影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減して、その残高から新基準を適用できます。あわせて、リースの識別を見直さずに済む経過措置も設けられています。ただし、いずれの措置を選んでも、遡及や洗い出しの対象を把握するには結局すべての契約の棚卸しが前提になります。

契約の棚卸し・台帳管理を効率化する契約管理システム

ここまで見てきたとおり、新リース会計基準への対応は「契約の棚卸し→リースの識別→台帳化→期限管理」という実務から始まります。対象契約が数百・数千件に及ぶ企業では、この作業を表計算ソフトの手作業だけで回すのは現実的ではありません。

そこで有効なのが、締結済みの契約書を取り込んで台帳を自動生成し、契約期間や自動更新の有無を管理できる契約管理システムです。ここでは、リースを含む契約の洗い出しと管理に役立つサービスを紹介します。

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サービス名Hubble mini法務オートメーション「OLGA」Hubble
提供会社株式会社HubbleGVA TECH株式会社株式会社Hubble
対応範囲締結後の契約管理に特化法務受付〜締結後管理まで契約作成〜締結後管理まで
契約台帳のAI自動作成
紙契約のOCR取込
更新期限の通知
全文検索
初期費用要問い合わせ要問い合わせ0円
月額費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報ミーティングを予約するミーティングを予約するミーティングを予約する

※2026年9月時点の各社公式情報にもとづく。料金は要問い合わせの場合があります。

Hubble mini(株式会社Hubble)

Hubble mini

Hubble mini は、締結後の契約書管理に範囲を絞った契約書管理クラウドです。締結済みの契約書PDFをアップロードすると、AIが契約書名・相手方・開始日・終了日・自動更新の有無といった基本項目を読み取り、契約台帳を半自動で作成します。抽出される項目は、リースの識別や使用権資産の算定に必要な契約情報と直結しています。

紙の契約書もOCRでテキスト化して検索対象にできるため、過去のリース・賃貸借契約の棚卸しに向いています。更新期限は月1回、必要な担当者にメールで通知されるので、契約の抜け漏れを防ぎながら管理できます。導入したモリト株式会社では、営業における契約業務の工数を3分の1に削減したと公表されています。契約管理をこれからデジタル化する企業でも始めやすい構成です。

締結済みの契約書を台帳化する作業がどの程度軽くなるのか、提供元の株式会社Hubbleへの取材では、次のような事例が語られました。

安田氏
株式会社Hubble Partner Sales Manager
安田氏
独自インタビューより

分かりやすい事例で申し上げますと、ある企業様では契約書の件数が多く、台帳への入力作業に週1時間ほどかかっていましたが、Hubble miniを使ってPDFをアップロードしていただくと、相手方や契約期間といった項目をAIが代わりに入力してくれますので、1時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。これによって、本来注力すべき業務に時間を割けるようになったというお声をいただいておりまして、インパクトとしては非常に大きい部分だと感じています。

法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」

GVA TECH株式会社が提供する「OLGA」は、法務案件の受付から契約書管理、ナレッジ活用までを一元化するクラウド型の法務プラットフォームです。事業部門はメール・Slack・Teamsなど普段のツールのまま法務へ依頼でき、受け付けた案件は契約書のバージョンやコメント、やりとり履歴とともに案件単位で蓄積され、管理台帳が自動生成されます。

締結後は、契約更新期限のアラートや全文検索で契約を継続的に管理できます。契約書の作成・審査から締結後の管理まで法務業務の全プロセスをカバーするため、契約の棚卸しを機に法務全体の運用を整えたい企業に適しています。

数千件規模の契約更新を管理する現場でどのような成果が出ているのか、提供元のGVA TECH株式会社への取材では、次のように語られました。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

ある企業様では、法務相談の受付から回答までの工数が40%削減され、月間で数百時間の工数削減につながりました。また、数千件以上の契約更新管理を行っている企業様では、AIによる自動化によって、更新漏れによる不利益な契約更新やタイミングの失念がゼロになったという定量的な成果も出ています。

Hubble(株式会社Hubble)

Hubble

契約書の作成・レビュー・締結・締結後の管理までを1つのクラウドで扱うのが、株式会社Hubble の「Hubble」です。Microsoft Word で編集・保存するたびに版が自動管理され、前バージョンとの差分が自動で抽出されます。締結後は、AIが取引先名や自動更新の有無などの主要項目を抽出して台帳に反映し、更新期限を月次メールで通知します。

基本契約と個別契約といった関連する契約書をAIが自動で紐付ける機能があり、リースに該当しうる契約の関係性を把握するうえでも役立ちます。SoftBankやニコン、パナソニックなど大手・上場企業での導入実績があり、契約業務全体を効率化したい法務部門に向いています。

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まとめ

新リース会計基準(企業会計基準第34号)は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用され、上場企業や会社法上の大会社などが対象になります。借手はファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がなくなり、原則としてすべてのリースを使用権資産・リース負債として貸借対照表に計上します。

この変更は自己資本比率やROAなどの経営指標にも影響するため、早めに自社のリース契約を把握し、影響額の試算と対応方針の決定を進めることが重要です。まずは契約の棚卸しから着手し、契約の量が多い場合は契約管理システムの活用も検討してみてください。

出典・参考資料(6件)

よくある質問(FAQ)

Q. 新リース会計基準とは何ですか?

A. 新リース会計基準とは、借手が原則すべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」として貸借対照表に計上する(オンバランス化する)ことを定めた会計基準です。正式名称は企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」で、2024年9月にASBJ(企業会計基準委員会)が公表しました。2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用され、国際会計基準IFRS第16号との整合を図る改正です。

出典・参考資料(1件)

Q. 新リース会計基準に中小企業も対応が必要ですか?

A. 中小企業は新リース会計基準の強制適用の対象外で、従来どおりの賃貸借処理を続けられます。 会計監査を受けない中小企業は、中小企業の会計に関する指針・基本要領に基づく処理が認められているためです。ただし、上場企業や会社法上の大会社の子会社は、連結財務諸表の作成にあたって親会社の会計方針に合わせる必要があるため、単体では中小規模でも実質的に対応を求められる場合があります。

出典・参考資料(2件)

Q. 新リース会計基準で既存のファイナンス・リースの処理は変わりますか?

A. もともとオンバランス処理していたファイナンス・リースは、引き続き使用権資産・リース負債として貸借対照表に計上され、資産計上という点では大きく変わりません。

新基準では、借手についてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分自体がなくなり、すべてのリースを単一の会計処理モデルで扱います。従来のファイナンス・リースも含め、費用は使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息相当額に分けて計上する形になります。

Q. オフィスの家賃や不動産賃貸も新リース会計基準の対象になりますか?

A. オフィスや店舗など不動産の賃貸借も、契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転していれば「リース」に該当し、原則としてオンバランス化の対象になります。 契約書の名称が「賃貸借契約」であっても、契約の実態で判定される点に注意が必要です。

ただし、借手のリース期間が12か月以内の短期リースや、少額リース(適用指針でリース料総額300万円以下などにより判定)に該当する場合は、貸借対照表に計上せず簡便的に費用処理する選択肢があります。

出典・参考資料(2件)

Q. IFRSを任意適用している企業に新リース会計基準の影響はありますか?

A. すでにIFRS第16号を適用している企業は借手のリースをオンバランス処理済みのため、新リース会計基準による追加的な影響は限定的です。 新基準はIFRS第16号との整合を図って設計されているためです。ただし、少額・短期リースの取扱いなど細部には日本基準との差異があるため、連結でIFRS・単体で日本基準を併用しているような場合は、個別に処理の違いを確認しておくと安心です。

Q. リース料が途中で変動する場合、新リース会計基準ではどう扱いますか?

A. 指数やレートに連動して決まる変動リース料は、原則としてリース負債の測定に含めて計上します。 一方、借手の使用量や売上高などの実績に応じて変動する部分は、発生した期間の費用として処理するのが一般的な考え方です。変動の条件はリース負債の見直しにも関わるため、契約ごとに条項を確認しておく必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 新リース会計基準に合わせて法人税など税務の処理も変わりますか?

A. 新リース会計基準は会計上の取扱いを定めるもので、法人税法上のリースの取扱いが自動的に変わるわけではありません。 そのため、会計と税務で処理に差が生じ、申告書上で調整が必要になる場面が想定されます。税務上の具体的な取扱いは今後の実務や個別の事情によるため、詳細は顧問税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

Q. 新リース会計基準の適用に向けて、最低限まず何から着手すべきですか?

A. まずはリースに該当しうる契約の棚卸し(洗い出し)から着手するのが最優先です。 どこにどんなリース・賃貸借・レンタル契約があるかを把握できないと、リースの識別も影響額の試算も始められないためです。対象契約が数百件を超えるような企業では、締結済みの契約書を取り込んで台帳化できる契約管理システムを活用すると、棚卸しとその後の期限管理を継続的に回しやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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