契約書を取り交わすとき、多くの実務者がまず確認するのが「この契約書に収入印紙は必要か、必要なら金額はいくらか」という点です。収入印紙が必要かどうかは契約書の内容によって決まり、金額も文書の種類と契約金額の組み合わせで細かく分かれています。判断を誤ると、後から本来の3倍の過怠税を課されることもあります。
収入印紙(印紙税)は、印紙税法という法律で課税対象が定められた税金です。国税庁が「印紙税額の一覧表」として文書の種類ごと・契約金額の帯ごとの税額を公表しており、これに沿って自社の契約書を当てはめれば、貼るべき金額を確定できます。
本記事では、国税庁の一覧表と印紙税法の条文をもとに、契約書の種類・契約金額別の印紙税額、非課税となる契約書の見分け方、負担者や貼り方・消印、貼り忘れたときの過怠税までを整理します。あわせて、電子契約であれば印紙税そのものが不要になる法的な根拠と、その仕組みを支える電子契約システムも紹介します。
目次
一括ダウンロードする
契約書に収入印紙が必要なのはどんな場合か・いくらか
結論から示します。契約書に収入印紙が必要になるのは、その契約書が印紙税法上の「課税文書」に当たる場合だけです。課税文書は印紙税法の別表第一に20種類が列挙されており、契約書で頻出するのは次の4つです。
- 第1号文書:不動産の譲渡、地上権・土地賃借権の設定または譲渡、消費貸借(金銭の貸し借り)、運送に関する契約書
- 第2号文書:請負に関する契約書(工事請負、システム開発、警備・清掃などの役務提供を含む)
- 第7号文書:継続的取引の基本となる契約書(特約店契約・代理店契約・基本取引契約など)。契約金額にかかわらず一律4,000円
- 第17号文書:売上代金にかかる金銭の受取書(領収書)
金額は、第1号・第2号のように契約金額に応じて変わるものと、第7号のように一律のものがあります。まずは自社の契約書がどの号に当たるかを見極め、次の一覧表で契約金額の帯を確認するのが最短の手順です。
契約書という名前でなくても、契約の成立を証明する文書であれば課税対象になり得ます。逆に、業務委託契約書や雇用契約書のように、名前は契約書でも課税文書に該当しないものもあります。この線引きは後半の「収入印紙が不要な契約書」で詳しく解説します。
収入印紙が必要かどうか、必要なら税額をどう決めるかは、次の流れで判断します。

出典・参考資料(2件)
- 出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm)
- 出典:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm)
【一覧表】文書の種類×契約金額別の印紙税額
ここからは、契約書で頻出する第1号・第2号・第7号・第17号の印紙税額を、国税庁の一覧表の区分どおりに掲載します。同じ契約金額でも文書の種類によって金額が異なるため、まず自社の契約書がどの号かを確定してから該当する表を見てください。契約書の名前と代表的な号の対応は次のとおりです。
- 不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書(借用書)・運送契約書 → 第1号文書
- 工事請負契約書・システム開発などの請負契約書・注文請書 → 第2号文書
- 特約店契約書・代理店契約書・継続的な基本取引契約書 → 第7号文書(一律4,000円)
- 領収書・売上代金の受取書 → 第17号文書
業務委託契約書や賃貸借契約書のように、名前だけでは号を判断しにくいものもあります。これらは実体で扱いが変わるため、後述の「収入印紙が不要な契約書(非課税・不課税)」もあわせて確認してください。
第1号文書(不動産の譲渡・消費貸借・運送などに関する契約書)
不動産売買契約書、土地・建物の賃借権の設定・譲渡に関する契約書、金銭消費貸借契約書(借用書)、運送契約書などが第1号文書です。契約金額の帯は次のとおりで、100万円以下は一律200円ではなく、10万円を境に区切られている点に注意します。
| 契約金額(記載金額) | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上 10万円以下 | 200円 |
| 10万円超 50万円以下 | 400円 |
| 50万円超 100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超 50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
不動産の譲渡に関する契約書には、後述する軽減措置が適用されるため、実際に貼る金額は上表より低くなる場合があります。
第2号文書(請負に関する契約書)
工事請負契約書、システム開発の請負契約書、警備・清掃などの役務提供契約書、注文請書などが第2号文書です。第1号とは帯の刻みが異なり、100万円以下までは一律200円になります。
| 契約金額(記載金額) | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超 50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
建設工事の請負に関する契約書も、不動産の譲渡と同じく軽減措置の対象です。詳しくは「印紙税の軽減措置」で解説します。
第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)
特約店契約書、代理店契約書、業務委託基本契約書、銀行取引約定書など、特定の相手と継続的に発生する取引の基本を定める契約書が第7号文書です。金額の大小にかかわらず、1通につき一律4,000円となります。
ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないものは第7号から除かれます。この条件に当たる短期・単発の基本契約は、記載内容によって別の号に分類されるか、不課税になります。
第7号文書の定義は印紙税法の別表第一に定められています。
継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)/一通につき 四千円
出典:印紙税法 別表第一 第七号|e-Gov法令検索
第17号文書(領収書・売上代金の受取書)
商品やサービスの代金を受け取ったときに発行する領収書は、第17号文書(売上代金にかかる金銭の受取書)に当たります。受取金額に応じて次のとおり課税されますが、5万円未満は非課税です。
| 受取金額(記載金額) | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
| 1,000万円超 2,000万円以下 | 4,000円 |
| 2,000万円超 3,000万円以下 | 6,000円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 2万円 |
| 1億円超 2億円以下 | 4万円 |
| 2億円超 3億円以下 | 6万円 |
| 3億円超 5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 15万円 |
| 10億円超 | 20万円 |
| 受取金額の記載のないもの | 200円 |
個人が私的な取引で発行する領収書のように「営業に関しないもの」は、金額にかかわらず非課税です。クレジットカード払いの控えなど、金銭または有価証券の受取事実がない書面も課税されません。
出典・参考資料(3件)
- 出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm)
- 出典:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm)
- 出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm)
印紙税の軽減措置(不動産の譲渡・建設工事の請負)
不動産の譲渡に関する契約書(第1号文書の一部)と、建設工事の請負に関する契約書(第2号文書の一部)には、印紙税を軽減する特例が設けられています。金額の大きい契約が多いこれらの分野では、軽減後の税額を確認しておかないと、本則よりも多く貼ってしまうおそれがあります。
この軽減措置の対象は、次の期間に作成される契約書です。
平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されるもの
出典:No.7108 不動産の譲渡に関する契約書及び建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
軽減の対象になるのは、不動産譲渡は記載金額が10万円を超えるもの、建設工事請負は記載金額が100万円を超えるものです。軽減後の税額は次のとおりで、本則税率と比べると帯によっては半分程度まで下がります。
| 契約金額(記載金額) | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 10万円超 50万円以下 | 200円 |
| 50万円超 100万円以下 | 500円 |
| 100万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 16万円 |
| 10億円超 50億円以下 | 32万円 |
| 50億円超 | 48万円 |
注意:上表の「10万円超 50万円以下」「50万円超 100万円以下」の行は、不動産の譲渡に関する契約書だけが対象です。建設工事の請負に関する契約書は記載金額が100万円を超えるものから軽減の対象になり、100万円以下は本則(200円)が適用されます。
たとえば1億円を超え5億円以下の建設工事請負契約書は、本則では10万円ですが、軽減後は6万円です。契約金額が大きくなるほど差額も大きくなるため、対象になるかどうかを必ず確認してください。この軽減措置は令和9年(2027年)3月31日までの時限措置です。契約書を作成する時点で期限が延長・改正されていないか、最新の国税庁の情報を確認することをおすすめします。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.7108 不動産の譲渡に関する契約書及び建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm)
建設工事の請負契約書については、注文請書や変更契約書(増減額)の印紙の扱いなど、実務でさらに判断に迷う場面があります。工事請負契約書に絞って印紙税額と軽減措置を整理した以下の記事もあわせてご覧ください。
収入印紙(印紙税)と課税文書の基本
ここで、そもそもなぜ契約書に収入印紙が必要なのかを確認しておきます。収入印紙は、印紙税という税金を納めるための証票です。印紙税は経済的な取引にともなって作成される文書のうち、印紙税法の別表第一(課税物件表)に限定して列挙されたものだけに課され、この列挙された文書を「課税文書」といいます。
納付の方法は、原則として課税文書に収入印紙を貼り、そこに消印をすることです。収入印紙を貼る行為そのものが、その文書にかかる印紙税を納めていることを意味します。だからこそ、貼り忘れは納税漏れとして過怠税の対象になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:印紙税法(昭和42年法律第23号)別表第一(課税物件表)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
収入印紙が不要な契約書(非課税・不課税)
すべての契約書に収入印紙が必要なわけではありません。印紙が不要になるケースは、大きく「不課税」と「非課税」の2つに分かれます。ここを正しく切り分けられると、不要な印紙代を払わずに済みます。
そもそも課税されない契約書(不課税文書)
印紙税が課されるのは、別表第一に列挙された20種類の文書だけです。裏を返せば、そこに挙がっていない契約書は課税文書ではなく、収入印紙は不要です。これを不課税文書といいます。実務で不課税になりやすいのは次のような契約書です。
- 委任契約書・準委任契約書(事務や業務の処理を委託するもの)
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 使用貸借契約書(無償で物を貸し借りするもの)
- 建物の賃貸借契約書(土地の賃貸借とは異なり、建物のみの賃貸借は不課税)
注意したいのが「業務委託契約書」です。名前だけでは判断できず、契約の実体で決まります。仕事の完成を約束する内容なら請負として第2号文書(課税)に、継続的な取引の基本を定める内容なら第7号文書(一律4,000円・課税)に当たることがあり、純粋に事務処理の委託(準委任)にとどまる場合に限って不課税になります。契約書のタイトルではなく、条項の中身で判断してください。
課税文書でも金額が小さく非課税になる場合
課税文書に当たる場合でも、記載金額が一定額に満たなければ非課税になります。第1号・第2号文書は契約金額が1万円未満なら非課税、第17号文書(領収書)は受取金額が5万円未満なら非課税です。少額の取引では、課税文書であっても印紙が不要になる点を押さえておきましょう。
出典・参考資料(2件)
- 出典:印紙税法 第3条・第5条・別表第一(課税物件表)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm)
契約金額の記載がない・複数の号に当たる場合の実務
一覧表の帯にそのまま当てはまらないケースもあります。実務でつまずきやすい3つのパターンを、印紙税法の考え方に沿って整理します。
契約金額の記載がない契約書は200円
契約金額を明記していない契約書でも、第1号・第2号文書に当たる場合は課税されます。この場合の印紙税額は、金額の大小にかかわらず一律200円です。単価だけを定めて総額を書かない基本契約や、金額未定の変更契約書などがこれに当たります。
1通で複数の号に当たるときの所属の決め方
1通の契約書が複数の課税事項を含み、どの号に当たるか判断が分かれることがあります。この場合は、印紙税法別表第一の「課税物件表の適用に関する通則」に従って所属を決定します。
たとえば第1号文書と第2号文書の両方に当たるときは、原則として第1号文書として扱いますが、契約金額を号ごとに区分でき、第2号の金額が第1号を上回る場合は第2号として扱う、といった調整ルールが定められています。判断に迷う契約書は、通則に沿って所属を確定してから金額を当てはめてください。
消費税額を区分記載すると記載金額が下がる
第1号・第2号・第17号文書では、消費税額を区分して記載すれば、その消費税額を印紙税の記載金額に含めなくてよいことになっています。
たとえば「請負金額1,100万円(うち消費税額等100万円)」と書けば、記載金額は本体価格の1,000万円と判定され、印紙税額は1万円です。一方、「請負金額1,100万円(消費税額等10%を含む)」のように消費税額が明確でない書き方だと、1,100万円として2万円になります。書き方ひとつで税額の帯が変わるため、消費税額は区分して明記するのが実務上のポイントです。
契約金額が非課税ライン(第1号・第2号文書は1万円、第17号文書は5万円)の前後にある場合も、消費税額を区分記載していれば本体価格で判定できるため、課税・非課税の分かれ目が変わることがあります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:印紙税法 別表第一 課税物件表の適用に関する通則|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7124.htm)
一括ダウンロードする
収入印紙は誰が負担するのか(納税義務者・原本各通の扱い)
契約書の収入印紙は、当事者のどちらが負担するのでしょうか。ここは法律上の納税義務と、商慣行上の費用負担を分けて考える必要があります。
印紙税法上、納税義務を負うのは課税文書の「作成者」です。契約書のように2者以上が共同で作成する文書については、次のとおり全員が連帯して納税義務を負います。
一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
出典:印紙税法 第3条|e-Gov法令検索
ここで注意したいのは、第3条が定めているのは「国に対する納税義務」だという点です。契約の当事者のうち、実際にどちらが印紙代を出すかまでは法律で決まっていません。費用をどちらが負担するかは当事者間の取り決めや商慣行に委ねられており、契約書に負担者を明記しておくとトラブルを避けられます。
また、同じ契約書を当事者がそれぞれ1通ずつ保有するために正本を2通作成した場合は、それぞれが独立した課税文書となり、各通に収入印紙が必要です。一方、契約の証明を目的としない単なる控え(コピー)には、原則として印紙は不要と扱われます。原本を何通作るかによって印紙代が変わるため、必要な部数を事前に決めておきましょう。
出典・参考資料(1件)
- 出典:印紙税法 第3条(納税義務者)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
収入印紙の貼り方と消印
収入印紙は、貼るだけでは納税が完了しません。貼ったうえで消印をして、はじめて納付したことになります。貼り方と消印の正しい方法を確認します。
まず貼付する位置についてですが、実は法令で「ここに貼る」と定められた位置はありません。実務上は契約書の左上の余白に貼ることが多いものの、これは慣行であって、貼る場所によって効力が変わるわけではありません。
重要なのは消印です。印紙は貼るだけでなく、収入印紙と文書の彩紋(模様)にまたがるように判明に消して、はじめて納付が完了します(印紙税法第8条第2項)。消印は文書の作成者やその代理人・従業者の印章または署名で行い、印鑑がなければ署名でも構いません。契約書の「割印」と混同されがちですが、法令上の正式な行為は印紙を消す「消印」です。
課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
出典:印紙税法 第8条|e-Gov法令検索
収入印紙はどこで購入できる?
収入印紙は、次のような場所で購入できます。取り扱う額面が場所によって異なるため、高額の印紙が必要なときは事前に在庫を確認すると安心です。
- 郵便局:1円から10万円まで幅広い額面をそろえており、高額の印紙も入手しやすい
- 法務局:登記関連の手続きで使う高額印紙も入手しやすい
- コンビニエンスストア:多くの店舗で200円の印紙を扱う。高額の額面は取り扱いがないことが多い
- 金券ショップ:額面より安く購入できる場合があるが、在庫や額面は店舗による
納める税額ちょうどの額面がないときは、複数の収入印紙を組み合わせて貼っても差し支えありません。たとえば6万円が必要なら、額面を組み合わせて合計6万円分を貼付します。
出典・参考資料(2件)
- 出典:印紙税法 第8条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:印紙税法施行令 第5条(印紙を消す方法)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342CO0000000108)
貼り忘れ・誤りのペナルティ(過怠税)と還付
収入印紙を貼り忘れたり、金額を誤ったりすると、本来の印紙税に加えてペナルティが課されます。ここでは過怠税の仕組みと、逆に払いすぎたときの還付について解説します。
貼り忘れると最大3倍の過怠税
課税文書に収入印紙を貼らなかった場合、印紙税法第20条により、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額との合計(本来の印紙税額の3倍)が過怠税として徴収されます。たとえば本来2万円の印紙が必要な契約書に貼り忘れると、合計6万円を負担することになります。
ただし、税務調査を受ける前に自主的に貼り忘れを申し出た場合は、過怠税が軽減されます。この場合は本来の印紙税額と、その10%に相当する金額の合計(1.1倍)で済みます。また、印紙は貼ったものの消印を忘れた場合は、消していない印紙の額面金額に相当する額が過怠税として徴収されます。
過怠税は法人税や所得税の計算上、損金や必要経費に算入できません。単なる納税の後払いではなく、実質的な追加負担になる点に注意が必要です。
払いすぎた印紙は税務署で還付を受けられる
必要以上の額面を貼ってしまった、課税文書でない書類に誤って貼ってしまった、貼ったものの使う見込みがなくなった、といった場合は、印紙税の還付を受けられます。手続きは、「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」に必要事項を記入し、過誤納となっている文書の現物を添えて、納税地の所轄税務署長に提出します。
一度契約書に貼ってしまった収入印紙は、郵便局では交換できません。還付は税務署の手続きになる点を覚えておきましょう。還付請求権は、請求できる日から5年を経過すると消滅します。
出典・参考資料(3件)
- 出典:印紙税法 第20条(過怠税)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm)
- 出典:No.7130 誤って納付した印紙税の還付|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7130.htm)
電子契約なら収入印紙は不要——コスト削減の根拠と進め方
ここまで見てきたように、契約書の印紙税は金額の確認・貼付・消印・保管と手間がかかり、金額が大きければコストも無視できません。この負担を根本からなくす方法が、契約を電子化することです。
電子契約に印紙税がかからない法的根拠
電子契約に印紙税がかからないのは、税務上のグレーな慣行ではなく、政府自身が国会で明言している取り扱いです。参議院に提出された質問への答弁書で、政府は電磁的記録(電子データ)で作成された契約について、次のように回答しています。
電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである
出典:参議院「印紙税に関する質問に対する答弁書」内閣参質一六二第九号(平成17年3月15日)
この取り扱いの理論的な背景は、印紙税が「課税文書の作成」に対して課される税金だという点にあります。印紙税法基本通達第44条は、課税文書の「作成」を、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、それを文書の目的に従って行使することと定めています。
電子データは紙の用紙に記載するものではなく、相手方への現物の交付もありません。そのため、印紙税の対象となる「課税文書の作成」が生じず、印紙税がかからないと整理されています。この取り扱いは、契約をあくまで電子データのまま作成・授受する場合の話です。電子で作成した契約書をあらためて紙に印刷し、署名・押印して正式な契約書として取り交わせば、その紙が課税文書となり収入印紙が必要になります。
契約を電子化すれば、1通あたり数百円から数万円の印紙代がまるごと不要になります。金額の大きい契約や、締結件数の多い企業ほど、削減効果は大きくなります。印紙代だけでなく、印刷・製本・郵送の手間や、契約書の保管・検索の負担も同時に軽くなります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:参議院「印紙税に関する質問に対する答弁書」内閣参質一六二第九号(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm)
- 出典:印紙税法基本通達 第44条(作成等の意義)|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/inshi01/07.htm)
印紙コストを削減できる電子契約システム
電子契約を始めるには、電子署名とタイムスタンプで契約の成立と非改ざんを証明できる電子契約システムを使うのが一般的です。ここでは、導入実績が豊富で、取引先が既に利用している可能性が高く、電子契約を提案しても受け入れられやすい代表的な2サービスを紹介します。より多くのサービスから比較したい場合は、後述の比較記事もあわせてご覧ください。
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン |
|---|---|---|
| 提供会社 | 弁護士ドットコム株式会社 | GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 |
| 署名方式 | 立会人型(事業者署名型)が標準 当事者型(マイナンバーカード署名)にも対応 | 立会人型(契約印タイプ)+当事者型(実印タイプ)に対応 両者を併用するハイブリッド署名も可 |
| 無料プラン | フリープラン(月2件・1ユーザー、立会人型の署名+タイムスタンプ利用可) | お試しフリープラン(月5件・1ユーザー、契約印タイプのみ) |
| 送信料(有料プラン) | 220円/件(税抜) | 立会人型100円/件・当事者型300円/件(いずれも税抜) |
| 電子帳簿保存法対応 | 対応(認定タイムスタンプ標準付与・検索要件対応。フリープランは一部を利用者側で個別対応) | 対応(JIIMA認証・契約印&実印プラン向け) |
| 導入実績 | 導入250万社以上・累計送信4,000万件超(2024年度) | 導入350万社以上・累計送信5,000万件超(公式トップページ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が運営するクラウドサインは、導入企業250万社を超える電子契約サービスです。書類のアップロードから電子署名・タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結できます。
- 署名方式: メール認証による立会人型(事業者署名型)が標準で、相手方はアカウント登録なしでも署名できます。2023年からはマイナンバーカードの電子証明書を使う当事者型署名にも対応し、本人確認を厳格にしたい重要契約でも利用できます。
- 導入実績: 導入企業は250万社を超え、累計送信件数は4,000万件超(2024年度実績、公式トップページ)。取引先が既にアカウントを持っている可能性が高く、電子化をスムーズに依頼しやすい点が強みです。
- 導入のしやすさ: 月に一定件数まで無料で送信できるフリープランがあり、少額・少件数から電子契約を試せます。
電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子契約・電子署名サービスです。契約の重要度に応じて署名方式を使い分けられる柔軟さが特徴です。
- 署名方式: 手軽な立会人型(契約印タイプ)と、電子証明書を使う厳格な当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、両者を組み合わせたハイブリッド署名も利用できます。日常的な発注は立会人型、高額な契約は当事者型といった運用を1つのプラットフォームで実現できます。
- 導入実績: 導入企業は350万社以上(公式トップページ)、累計送信件数は5,000万件を超えます。自社グループで認証局(GlobalSign)を保有しており、技術面の信頼性にも強みがあります。
- 導入のしやすさ: 月に一定件数まで無料で送信できるお試しフリープランがあり、コストを抑えて導入を検討できます。
ここで取り上げた2サービスのほかにも電子契約システムは数多く、署名方式・料金・対応機能はサービスごとに異なります。以下の記事では料金やタイプ別の選び方から各サービスを比較しているので、自社に合う一社を選びたい方はあわせてご覧ください。
電子契約システムおすすめ比較|料金とタイプ別の選び方で自社に合う一社を選ぶ
契約のたびに印刷・製本・押印・郵送を繰り返し、取引先の返送を待つあいだ業務が止まってしまう。そんな紙の契約に伴うリードタイムと印紙税の負担を、見直したいと感じていませんか。 電子契約システムを導入すれば、押印や郵送のやり取りをオンラインに置…
まとめ
契約書の収入印紙は、その契約書が印紙税法の課税文書に当たるかどうかで要否が決まり、金額は文書の種類と契約金額の組み合わせで細かく分かれます。第1号・第2号・第7号・第17号の別と、非課税・不課税の線引き、負担者や消印、貼り忘れたときの過怠税まで、判断の拠りどころは国税庁の一覧表と印紙税法の条文にあります。
そして、これらの手間とコストを根本からなくす手段が電子契約です。電子データで作成した契約には印紙税がかからないことは政府も国会で認めており、印紙代はもちろん、印刷・郵送・保管の負担も同時に減らせます。契約件数や金額規模から、どれだけの削減につながるかを試算したうえで、電子契約システムの導入を検討してみてください。
まとめて比較する
よくある質問(FAQ)
Q. 収入印紙とは何ですか?
A. 収入印紙とは、印紙税をはじめとする税金や手数料を国に納めたことを証明する証票です。契約書や領収書のうち、印紙税法で「課税文書」と定められた文書に貼り、消印をすることで、その文書にかかる印紙税を納めたことになります。郵便切手に似た見た目ですが、役割はまったく異なります。
Q. 収入印紙と切手は何が違いますか?
A. 収入印紙と切手の違いは、収入印紙が税金・手数料の納付を証明する証票なのに対し、切手は郵便料金の支払いに使うものだという用途の違いです。どちらも郵便局で買え、見た目も似ているため混同されがちですが、契約書に切手を貼っても印紙税を納めたことにはなりません。課税文書には必ず収入印紙を貼付します。
Q. 契約書に貼った収入印紙の勘定科目は何ですか?
A. 契約書などに貼る収入印紙は、「租税公課」の勘定科目で費用に計上します。まとめて購入して未使用分が残る場合は、購入時にいったん「貯蔵品」として資産計上し、使用したぶんを租税公課へ振り替える方法もあります。ただし、貼り忘れなどで生じた過怠税は、租税公課で処理しても法人税・所得税の計算上は損金・必要経費に算入できません。
Q. 収入印紙の購入代金に消費税はかかりますか?
A. 収入印紙を郵便局や法務局などの所定の場所で購入する場合、その購入代金に消費税はかかりません(非課税取引)。収入印紙そのものの譲渡が消費税の非課税取引とされているためです。ただし、金券ショップなど所定の場所以外で購入したときは、消費税の課税対象になります。
Q. 契約書の収入印紙は誰が負担しますか?
A. 契約書の収入印紙は、その契約書を作成した当事者全員が連帯して納める義務を負います(印紙税法第3条第2項)。ただしこれは国に対する納税義務の定めで、実際に印紙代を当事者のどちらが負担するかまでは法律で決まっていません。費用負担は当事者間の取り決めや商慣行によるため、契約書に負担者を明記しておくとトラブルを防げます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:印紙税法 第3条(納税義務者)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
Q. 収入印紙はコンビニでも買えますか?
A. 収入印紙は、コンビニエンスストアでも購入できますが、多くの店舗で扱っているのは200円の額面だけです。数千円〜数万円といった高額の印紙が必要なときは、1円から10万円まで幅広い額面をそろえる郵便局や、登記関連の高額印紙も入手しやすい法務局で購入するのが確実です。
Q. 契約書に収入印紙を貼り忘れるとどうなりますか?
A. 契約書に収入印紙を貼り忘れると、本来の印紙税額に加えてその2倍、合計で本来の3倍に相当する額が過怠税として徴収されます(印紙税法第20条)。税務調査を受ける前に自主的に申し出た場合は、1.1倍に軽減されます。印紙を貼らなくても契約書そのものの法的効力が失われるわけではありませんが、過怠税は損金に算入できない実質的な追加負担になる点に注意が必要です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:印紙税法 第20条(過怠税)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm)
Q. 収入印紙の消印はどのように押せばよいですか?
A. 収入印紙の消印は、収入印紙と契約書の彩紋(模様)とにまたがるように、印章(判子)または署名で判明に押します(印紙税法第8条第2項)。消印は印紙が再使用されるのを防ぐためのもので、契約書の作成者だけでなく、その代理人・従業者の印や署名でも構いません。消印を忘れると、消していない印紙の額面と同額が過怠税として徴収されます。
出典・参考資料(2件)
- 出典:印紙税法 第8条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000023)
- 出典:印紙税法施行令 第5条(印紙を消す方法)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/342CO0000000108)
Q. 多く貼りすぎた収入印紙は返してもらえますか?
A. 必要以上の額面を貼った、課税文書でない書類に誤って貼ったといった場合は、税務署で収入印紙(印紙税)の還付を受けられます。「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」に、過誤納となっている文書の現物を添えて、納税地の所轄税務署長に提出します。いったん契約書に貼った印紙は郵便局では交換できず、還付請求権は請求できる日から5年を経過すると消滅します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.7130 誤って納付した印紙税の還付|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7130.htm)
Q. 電子契約なら本当に収入印紙は不要ですか?
A. 電子契約であれば、契約金額にかかわらず収入印紙は不要です。電子データで作成・送信した契約は、印紙税の対象となる「課税文書の作成(用紙への記載と現物の交付)」に当たらず印紙税が課されないことを、政府も国会答弁で認めています。印紙代がまるごと不要になるだけでなく、印刷・製本・郵送・保管の手間も同時に削減できます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:参議院「印紙税に関する質問に対する答弁書」内閣参質一六二第九号(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm)
電子契約システムの料金・手数料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、電子契約システムの最新資料をワンクリックで一括入手できます。各社の料金プラン・署名方式・本人確認の強度・セキュリティ方針・対応機能など、比較に必要な情報をまとめて確認でき、自社に合うサービスを効率的に見つけられます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















