与信調査とは、取引先にツケ(後払い・掛け取引)で商品やサービスを売っても代金を回収できるか、その支払い能力を取引前に確かめる調査のことです。新規取引や取引額の拡大を前にして「与信をちゃんと調べた?」と問われたとき、まず知りたいのは具体的なやり方でしょう。
与信調査の方法は、大きく「社内(内部)調査」「直接調査」「外部調査」「依頼調査」の4つに分けられます。それぞれ何を調べ、どこから情報を取り、いくらかかるのかが違うため、自社の状況に合わせて組み合わせるのが基本です。
この記事では、4つの調査方法の使い分けから、登記簿や決算書といった情報源の具体的な入手先、集めた情報で取引可否を判断する基準、自力調査と信用調査会社の使い分けまでを解説します。
目次
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与信調査の4つの方法(社内・直接・外部・依頼)
ここからは、与信調査の全体像を4つの方法で整理します。社内(内部)調査は自社にすでにある情報を使う調べ方、直接調査は相手企業に会って確かめる調べ方、外部調査は登記簿や決算公告などの公開情報を集める調べ方、依頼調査は信用調査会社に任せる調べ方です。まずは下の表で、何を調べ・どこから取り・いくらかかるかを一覧で押さえてください。
| 調査方法 | 何を調べる | 主な情報源 | 取り方 | 費用の目安 | 向くケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 社内(内部)調査 | 過去の取引・支払い履歴、名刺、与信申込書、営業が持つ現場情報 | 自社の販売管理・経理データ、営業担当 | 社内の記録確認・関係部署へのヒアリング | 無料 | まず手元でできることから始めたい/既存取引先の見直し |
| 直接調査 | 事業所や在庫の実態、経営者の人柄・受け答え、決算書の内容 | 取引先訪問、面談、決算書の直接依頼 | 訪問・面談・書類のやりとり | 交通費程度 | 取引額が大きい/相手の実態を自分の目で確かめたい |
| 外部調査 (公開情報) | 登記情報、決算・財務、ネット上の評判やネガティブ情報 | 商業登記簿、官報決算公告・EDINET、企業HP・IR、オンライン与信ツール(会社名で公開情報を横断) | 登記情報提供サービス・官報・EDINET・ツールで取得 | 登記は1件330円〜、官報・EDINETは無料、ツールは月額制 | 低コストで客観情報を押さえたい/調査件数が多い |
| 依頼調査 | 現地調査にもとづく信用格付・評点、経営状況の総合評価 | 帝国データバンク・東京商工リサーチ・リスクモンスターなどの信用調査会社 | 信用調査会社に調査を依頼 | 各社非公表・要見積もり(新規調査は数万円程度とされる) | 自力では判断しきれない/新規で取引額が大きい相手 |
4つは択一ではありません。まず無料でできる社内調査と公開情報の外部調査で当たりをつけ、取引額が大きい相手や判断に迷う相手だけ直接調査や依頼調査を重ねる、という組み合わせが現実的です。次章から、各方法で使う情報源をどこで・どう取るかを具体的に見ていきます。

各調査方法の情報源と具体的な入手方法
ここからは、4つの調査方法で使う情報源を、どこで・どうやって取るかまで具体的に解説します。まずは自力でできる外部調査(公開情報)の情報源から見ていき、続いて直接調査・依頼調査の進め方に触れます。多くは低コストまたは無料で入手できます。
商業登記簿(会社の基本情報を確かめる)
商業登記簿では、取引先の商号・本店所在地・設立年月日・資本金・役員・目的といった会社の基本情報を確認できます。実在する会社か、登記上の情報と名刺の内容が一致するかを最初に押さえる情報源です。
画面で内容を閲覧・保存するだけなら、法務省の指定法人が運営する「登記情報提供サービス」が便利です。商業・法人の登記記録の全部の情報は1件330円で、インターネットからその場で取得できます。ただしこのサービスの情報には証明文や公印が付かないため、公的な証明書としては使えません。
証明力のある書類が必要な場面では、法務局が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)を取得します。手数料は請求方法で変わります。
登記所の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料は600円のところ,オンライン請求をご利用いただくと、証明書を郵送で受け取る場合の手数料は520円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は490円となります。
出典:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局
与信の実務では、まず登記情報提供サービスで内容を確認できれば足りることが多く、証明書が必要な場面だけ登記事項証明書を取得する、という使い分けが効率的です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:登記情報提供サービスの利用料金等一覧|法務省(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25-1.html)
- 出典:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html)
決算書・財務情報(支払い能力を読む)
支払い能力を見るには決算書(貸借対照表・損益計算書)が最も重要な情報源です。入手経路は相手企業の性質で変わります。
上場企業や有価証券報告書の提出会社であれば、金融庁の電子開示システム「EDINET」で有価証券報告書などを誰でも無料で閲覧できます。一方、非上場の中小企業の多くはEDINETに掲載されないため、別の経路を当たる必要があります。
株式会社には、決算内容を公告する義務が会社法で定められています。
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
出典:会社法(平成17年法律第86号)第440条|e-Gov法令検索
公告方法を官報と定めている会社なら、2025年4月に電子化された官報の公式サイト(kanpo.go.jp)で決算公告を検索できます。発行から原則90日間は官報全体を無料で閲覧でき、決算公告は90日を過ぎても引き続き閲覧が可能です。有価証券報告書の提出会社は決算公告が不要とされており(会社法第440条第4項)、EDINETと決算公告はどちらかで確認できる関係にあります。
ただし、実務では決算公告をしていない中小企業も少なくありません。官報やEDINETで見つからない場合は、取引先へ直接決算書の提示を依頼するのが現実的です。取引開始にあたっての手続きとして依頼すれば、相手も応じやすくなります。
出典・参考資料(3件)
- 出典:EDINETについて|金融庁(https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html)
- 出典:会社法(平成17年法律第86号)第440条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
- 出典:官報の電子化について|内閣府(https://www.cao.go.jp/others/soumu/kanpo/about/kanpo_about.html)
インターネット・自社サイト・IR(評判とネガティブ情報を拾う)
相手企業の公式サイトやIR情報からは、事業内容・沿革・主要取引先・プレスリリースなどが読み取れます。あわせて、会社名や代表者名での検索で、行政処分・訴訟・支払い遅延などのネガティブ情報が出ていないかを確認することも重要です。
ネット情報は玉石混交のため、公式発表・報道・公的機関の公表といった確かな情報源にあたって裏を取る姿勢が欠かせません。噂レベルの書き込みだけで判断せず、事実として確認できたものを材料にします。
金融機関・取引先への照会(信用の裏付けを取る)
取引銀行への照会(銀行照会)や、相手企業と取引のある同業他社への聞き取りも有効な手段です。決算書だけでは見えない支払いの実態や、業界内での評判を補えます。ただし相手の同意なく踏み込みすぎると関係を損ねるため、通常は公開情報を中心に組み立て、照会は補完的に使います。
直接調査・依頼調査の進め方
直接調査では、取引先を訪問して事業所や在庫の状況、社内の雰囲気、経営者の受け答えなど、公開情報では見えない実態を自分の目で確かめます。決算書は、取引開始にあたっての手続きとして提示を依頼すれば、相手も応じやすくなります。
依頼調査は、信用調査会社への問い合わせから始まり、見積もり、調査の実施、報告書の受け取りという流れで進みます。新規に現地調査を依頼する方法と、すでにある調査報告書を購入する方法があり、費用や結果が返るまでの日数はこの依頼内容によって変わります。費用・納期の目安は次章で整理します。
自力でできる調査と信用調査会社への依頼
ここからは、どこまで自力で調べ、どこから信用調査会社に頼むかの線引きを整理します。情報源ごとの入手方法は前章のとおりなので、ここでは「自力の範囲」と「外注の費用感」に絞ります。
無料〜低コストで自力にできる範囲
次の手順は、いずれも自力で・無料または数百円で着手できます。新規取引先が出てきたら、まずここまでを済ませるのが基本です。
- 社内に過去の取引・支払い履歴がないかを確認する(社内調査)
- 登記情報提供サービスで商業登記を取得し、商号・所在地・資本金・役員を確認する(1件330円)
- EDINETまたは官報決算公告で決算書を探し、なければ取引先へ直接依頼する
- 公式サイト・IR・検索で事業実態とネガティブ情報を確認する
- 会社名を入力するだけで公開情報を横断できるオンライン与信ツールを併用する
信用調査会社に頼むと何が返ってくるか
自力で判断しきれない相手や、取引額が大きく慎重を期したい相手には、信用調査会社への依頼調査が選択肢になります。大手の信用調査会社は、調査員が対象企業を訪問する現地調査にもとづく信用調査報告書を提供し、独自の評点や格付で信用力を数値化します。自社では取りにくい経営者評価や業界内の評判まで含めて、第三者の視点で総合評価が得られる点が依頼調査の価値です。
費用・納期の考え方
信用調査会社の依頼費用は、各社とも公式サイトで料金表を公開していません。費用は依頼内容(新規の現地調査か既存の報告書購入か)、会員か非会員か、対象企業などによって変わるため、正確な金額は各社への見積もりで確認する必要があります。一般には新規調査で1件あたり数万円程度とされることが多いものの、公表された実額ではないため、あくまで目安として捉えてください。
納期も依頼内容で変わります。新規の現地調査は結果が返るまで日数がかかる一方、既存の調査報告書の購入は短時間で入手できるのが一般的です。急ぐ場合は、費用とあわせて納期の目安も見積もり時に確認しておくとよいでしょう。
調査件数が多い場合や、まず低コストで公開情報を押さえたい場合は、月額制のオンライン与信ツールや、複数の信用調査機関のデータを従量課金で取得できるサービスを使うと、依頼調査より安く広く当たれます。この記事の後半で、代表的なサービスを紹介します。
集めた情報から取引可否を判断する基準
ここからは、集めた情報をどう読んで取引の可否を判断するかを解説します。判断は「数字で見る定量評価」と「数字に表れない定性評価」の両面で行うのが基本です。
定量評価:財務指標の見方
決算書からは、支払い能力に直結する財務指標を確認します。代表的な指標と一般的な目安は次のとおりです。
| 指標 | 計算式 | 一般的な目安 |
|---|---|---|
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 | 200%程度あると安心。120〜150%を下回ると短期の支払い余力に注意 |
| 当座比率 | 当座資産 ÷ 流動負債 | 100%以上が一つの目安 |
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資産 | 高いほど財務が安定(適正水準は業種による) |
ただしこれらの数値は会計・財務分析で広く共有されている目安であって、特定の公的機関が定めた合格ラインではありません。目安を絶対視せず、判断の入口として使ってください。
たとえば、流動比率が100%を下回り自己資本比率もマイナス(債務超過)の状態なら、支払い能力に明確な懸念があるため取引は慎重に判断するのが基本です。逆に各指標が目安を上回り、支払い遅延などの履歴もなければ、通常の取引条件で認めやすくなります。数字だけで割り切れないときは、次の定性評価とあわせて総合的に見るとよいでしょう。
より客観的に評価するには、取引先の指標を同じ業種の平均と比べる方法があります。中小企業庁の「中小企業実態基本調査」は、産業別・規模別に貸借対照表や損益計算書の項目を集計しており、業種ごとの実績平均を比較の基準として使えます。業種によって適正な水準は異なるため、単一の目安値だけでなく同業平均との比較を組み合わせると、判断の精度が上がります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中小企業実態基本調査|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.html)
定性評価:数字に表れない信用力
財務指標だけでは、経営者の資質や事業の将来性、業界内の評判までは読み取れません。経営者の経歴・受け答え・事業への姿勢、主要取引先や商流の安定性、社員の様子や現場の雰囲気といった定性面も、可能な範囲で確認することが望まれます。直接調査で相手を訪問する価値は、この定性評価にあります。
定量と定性を突き合わせ、「取引を認める・条件付きで認める・見送る」を判断するのが一般的です。認める場合も、回収不能が起きても致命傷にならない範囲で与信限度額(取引の上限額)を設定し、リスクを管理する運用が基本です。
与信限度額を具体的にいくらに設定すればよいか、計算式や決め方の考え方は以下の記事で詳しく解説しています。
与信調査の進め方(情報収集から事後管理まで)
ここまでの方法・判断を、一連の流れとして整理します。与信調査は一度きりで終わりではなく、取引開始後の管理まで含めて回すものです。

- 情報収集:社内調査・公開情報・(必要なら)直接調査や依頼調査で、対象企業の情報を集める
- 信用力の評価:財務指標などの定量評価と、経営者・商流などの定性評価で信用力を判断する
- 与信限度額の設定:取引を認める場合、回収不能が起きても許容できる範囲で取引上限額を決める
- 契約条件への反映:支払いサイト・担保・前払いや保証の要否など、リスクに応じた取引条件を設定する
- 事後管理(継続モニタリング):取引開始後も支払い遅延や信用状況の変化を追い、必要に応じて限度額や条件を見直す
特に見落とされやすいのが最後の事後管理です。取引開始時は健全でも、業績は変化します。支払いの遅れは危険のサインなので、定期的な見直しの仕組みを持っておくと、貸し倒れの初動を早められます。
与信調査は失礼にあたる?調べてよい範囲と配慮
取引先を調べること自体に、後ろめたさを感じる担当者は少なくありません。しかし与信調査は、取引を安全に続けるための正当な商慣行であり、相手企業も自社の取引先を調べているのが通常です。過度に気に病む必要はありません。
調査は、登記簿・決算公告・公式サイトといった公開情報の利用が基本です。相手をだましたり、不正な手段で情報を得たりすることは避けます。個人事業主や代表者個人の情報を扱う場面では、個人情報保護法の規律も及びます。
個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
出典:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第20条|e-Gov法令検索
これは個人情報の適正な取得を定めた条文で、法人の公開情報を正当な方法で集める通常の与信調査を妨げるものではありません。公開情報を中心に、正当な手段で調べる限り、与信調査は問題なく行えます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第20条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
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自力調査の限界を感じたら|与信調査に使えるサービス
ここまでの手順は自力で進められますが、調査件数が増える、判断に専門的な視点が欲しい、取引開始後も継続して監視したい、という段階になると、専用のサービスを使うほうが効率的です。
ここからは、与信調査に使える代表的なサービスを、提供形態の違いがわかるよう紹介します。会社名を入力して公開情報を横断するオンライン型、複数の調査機関を横断できる従量型、現地調査にもとづく信用調査会社まで、目的に応じて選べます。
| サービス名 | アラームボックス パワーサーチ | Riskdog | G-Search | 帝国データバンク | tsr-van2 | e-与信ナビ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | オンライン型 | オンライン型 | 横断型 | 信用調査会社 | オンライン型 | オンライン型 |
| 主な使い方 | 会社名を入力するだけで与信判断・反社チェック・企業調査を実施。AI解析に専任担当者の見解コメントが付く | 企業名・法人番号の入力でAIがリスク情報を自動収集・解析。与信判断・反社チェック・法人確認を統合 | 帝国データバンク・東京商工リサーチ・リスクモンスター等のデータを一つの契約・一画面で横断取得 | 調査員の現地調査にもとづく信用調査報告書と評点(100点満点)。データベースやモニタリングも提供 | 国内外の企業情報・信用調査レポートの取得、モニタリング、与信限度額の自動算出 | 独自の信用格付「RM格付」・与信限度額の算出・反社チェックを一画面に統合。登記モニタリングも標準装備 |
| 料金体系 | 初期費用無料/月額3,000円〜 | 要問い合わせ | 初期費用無料/月額660円〜+従量課金 | 要見積もり(非公表) | ミニマムチャージ制(パック6 月額3,000円〜、税別)+従量課金 | 入会金30,000円/月額20,000円〜+従量課金 |
| 向くケース | 調査から取引後の継続監視・売掛保証まで一つのサービスで回したい | AIでノイズを整理し、与信・反社チェックを一元化したい | 単一の調査会社に絞らず複数ソースを比較したい/調査件数が少ない | 自力では踏み込めない現地調査ベースの評価が必要な相手 | 国内だけでなく海外取引先の与信確認も必要 | 与信限度額の管理と登記モニタリングを一体で運用したい |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく(変動する場合があります)。
ここで挙げたサービスを含め、与信管理システムを選び方・機能・料金からじっくり比較検討したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
1. アラームボックス パワーサーチ(アラームボックス株式会社)

会社名を入力するだけで、新規取引先の与信判断・反社チェック(反社会的勢力との取引の有無の確認)・企業調査をまとめて実施できる与信管理クラウドです。インターネット上の公知情報・公的機関情報・提携調査会社のデータを毎日収集し、AIで解析したうえで、専任の調査担当者による与信判断の見解やアドバイスコメントが付く点が特徴です。
新規取引時の与信判断から継続モニタリング、売掛保証まで一体で扱えるため、調査から取引後の管理までを一つのサービスで回したい企業に向きます。2025年7月に弥生グループへ加わり、会計データと組み合わせた与信モデルの構築方針も公表されています。
2. Riskdog(Baseconnect株式会社)

企業データベース「Musubu」を運営するBaseconnectが2025年に提供を始めたAI与信リスク管理サービスです。企業名または法人番号を入力すると、AIが企業・役員に紐づくリスク情報を自動で収集・解析し、評価指標でスクリーニング済みの形で提示します。
与信判断・反社チェック・法人確認を一つのプラットフォームに統合している点が特徴で、行政処分・訴訟・財務情報を組み合わせた総合的な確認ができます。名寄せ(同一企業・人物の情報の照合)の精度を高めるAIでノイズを整理し、手作業での情報の読み込みを減らせます。
3. G-Search 企業情報・与信情報サービス(株式会社ジー・サーチ)

富士通グループのジー・サーチが運営する、企業情報・与信情報の横断検索サービスです。帝国データバンク・東京商工リサーチ・リスクモンスターといった複数の信用調査機関のデータを、一つの契約・一つの画面から取得できる点が最大の特徴で、単一の調査会社に絞らず複数ソースを比較したい担当者に向きます。
基本料が低額で、実際に取得した情報の件数分だけ費用が発生する従量制のため、調査件数が少ない企業やスポットで調べたい企業でも導入しやすい料金設計です。海外取引先については、コファスグループの現地調査レポートの取次にも対応しています。
4. 帝国データバンク 企業信用調査・与信管理サービス(株式会社帝国データバンク)

国内最大手の信用調査会社である帝国データバンクは、単一の製品ではなく、調査員が対象企業を訪問する企業信用調査、企業概要データベース「COSMOS2」、継続モニタリングの「C-モニタリング」などを組み合わせて与信管理を支えています。現地現認を基本とした調査と、業歴・財務・代表者などから算出する評点(100点満点)が、依頼調査の代表的な選択肢です。
kintoneやSalesforce、SAPなど主要な業務システム向けの連携も提供しており、既存の営業・与信管理フローに組み込みやすい設計です。自力調査では踏み込めない現地調査ベースの評価が必要な場面で候補になります。
5. tsr-van2(株式会社東京商工リサーチ)

東京商工リサーチが提供する、インターネット経由の企業情報・与信管理サービスです。国内企業約700万件超に加え、Dun & Bradstreetとの提携により海外企業の情報も同じプラットフォームから取得できます。企業基本情報・財務情報・信用調査レポートの閲覧、モニタリング、与信限度額の算出までを行えます。
複数の手法を組み合わせた与信限度額の自動算出や、評点とリスクスコアの二軸評価により、属人的になりがちな与信判断の根拠を整えられます。国内だけでなく海外取引先の与信確認も必要な企業に向く選択肢です。
6. e-与信ナビ(リスクモンスター株式会社)

リスクモンスターの与信管理ツールで、独自の信用格付「RM格付」、与信限度額の算出、反社チェックを一つの画面に統合しています。企業概要・財務・登記・グループ企業などのデータをタブで確認でき、取得したデータはモニタリング機能に自動で蓄積されて継続監視に使えます。
与信限度額を、自社の財務体力・取引先への依存度・社内決裁ルールという3基準の最小値で算出する設計により、与信の出しすぎを構造的に抑えられます。商業登記の取得や登記変更のアラートも標準機能として備え、与信管理と登記モニタリングを一体で運用したい企業に向きます。
まとめ
与信調査は、社内・直接・外部・依頼の4つの方法を組み合わせて進めます。まずは無料でできる社内調査と、登記情報提供サービス(1件330円)・EDINET・官報決算公告といった公開情報の外部調査で当たりをつけ、取引額が大きい相手や判断に迷う相手だけ直接調査や信用調査会社への依頼を重ねるのが効率的です。
集めた情報は、財務指標などの定量評価と経営者・商流などの定性評価の両面で読み、与信限度額を設定したうえで、取引開始後も継続してモニタリングします。自力調査に限界を感じたら、オンライン与信ツールや信用調査会社の資料を取り寄せ、自社の調査件数や目的に合うものを比較検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 与信調査とは何ですか?
A. 与信調査とは、取引先にツケ(後払い・掛け取引)で商品やサービスを売っても代金を回収できるか、相手の支払い能力を取引前に確かめる調査のことです。新規取引や取引額の拡大の前に行い、集めた情報から取引の可否や与信限度額(取引の上限額)を判断して、貸し倒れや連鎖倒産のリスクを抑えることを目的とします。
Q. 与信調査は自分(自社)でできますか?
A. 与信調査は、登記情報の取得・ネット検索・決算書の確認といった公開情報を使えば、外注しなくても自力でかなりの部分まで行えます。まず社内の取引履歴を確認し、登記情報提供サービスで会社の基本情報を、EDINETや官報決算公告で財務情報を押さえるところまでは無料〜数百円で着手できます。自力で判断しきれない相手や取引額が大きい相手だけ、直接調査や信用調査会社への依頼を重ねるのが効率的です。
Q. 信用調査会社に与信調査を依頼する費用はいくらですか?
A. 信用調査会社の依頼費用は、各社とも料金表を公表しておらず、依頼内容(新規の現地調査か既存報告書の購入か)・会員区分・対象企業によって変わるため、正確な金額は見積もりで確認する必要があります。一般には新規調査で1件あたり数万円程度とされることが多いものの、公表された実額ではないため目安として捉えてください。
調査件数が多い場合や低コストで公開情報を押さえたい場合は、月額制のオンライン与信ツールや従量制のサービスのほうが安く広く当たれます。
Q. 与信調査で使う登記簿はどこで取れますか?
A. 商業登記簿は、法務省の指定法人が運営する「登記情報提供サービス」を使えば、インターネットから1件330円でその場で閲覧・取得できます。ただしこのサービスの情報には証明文や公印が付かないため、公的な証明が必要な場面では、法務局が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)を取得します。
与信の実務では、まず登記情報提供サービスで内容を確認すれば足りることが多く、証明書が要る場面だけ登記事項証明書を取る使い分けが効率的です。
Q. 取引先の決算書が手に入らないときはどうすればよいですか?
A. 決算書が手に入らないときは、まずEDINET(上場・有価証券報告書提出会社)や官報の決算公告を探し、それでも見つからなければ取引先へ直接、決算書の提示を依頼するのが基本です。非上場の中小企業はEDINETに載らず、決算公告をしていない会社も少なくないため、公開情報で見つからないケースは珍しくありません。取引開始にあたっての手続きとして依頼すれば、相手も応じやすくなります。
Q. 与信調査ではどの財務指標を見ればよいですか?
A. 与信調査では、短期の支払い能力を見る流動比率・当座比率と、財務の安定性を見る自己資本比率が基本の指標です。一般的な財務分析では流動比率は200%程度あると安心、当座比率は100%以上が一つの目安、自己資本比率は高いほど安定とされますが、これらは会計・財務分析で広く共有された目安であって公的機関が定めた合格ラインではありません。
業種によって適正水準は異なるため、中小企業庁「中小企業実態基本調査」などの同業平均と比べると判断の精度が上がります。
Q. 与信調査は取引先に失礼にあたりませんか?
A. 与信調査は、取引を安全に続けるための正当な商慣行であり、公開情報を中心に正当な手段で行う限り失礼にはあたりません。相手企業も通常は自社の取引先を調べているため、過度に気に病む必要はありません。
ただし、相手をだましたり不正な手段で情報を得たりすることは避け、登記簿・決算公告・公式サイトなどの公開情報を基本に組み立てます。代表者個人の情報を扱う場面では個人情報保護法の規律も及ぶため、正当な方法での取得を徹底してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















