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法人融資は保証人なしで受けられる?公的制度・民間の方法と利用条件を解説

法人融資は保証人なしで受けられる?のサムネイル画像

事業資金の融資を検討する際に、「連帯保証人を頼める相手がいない」「経営者個人が背負う保証(経営者保証)の重さを避けたい」という理由で、一歩を踏み出せない法人や個人事業主は少なくありません。

結論として、保証人なしで法人が事業資金の融資を受けることは可能です。国は経営者保証に依存しない融資への転換を進めており、公的制度を中心に、保証人を立てずに利用できるルートが複数用意されています。

本記事では、保証人なしで使える公的な融資制度・ルートを対象や借入上限、利用条件とあわせて整理し、経営者保証を外す・免除される条件も解説します。さらに、公的制度でカバーしきれない場合に検討できる、保証人に依存しにくい民間の資金調達手段もご紹介します。

自社の状況に合った資金調達の選択肢を見つけるための検討材料として、ぜひご活用ください。

法人は保証人なしで融資を受けられる?結論と前提

法人が保証人なしで事業資金の融資を受けることは可能です。ただし、どのルートを使うかによって対象や条件は異なります。まずは可否の前提から整理します。

背景にあるのが、国による「経営者保証に依存しない融資慣行」への転換です。金融庁・経済産業省・財務省は2022年12月23日に「経営者保証改革プログラム」を公表し、保証人(経営者保証)に頼らない融資を広げる取り組みを進めています。

経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため、経済産業省・金融庁・財務省による連携の下、①スタートアップ・創業、②民間融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点的に取り組む「経営者保証改革プログラム」を策定・実行していく。

出典:経営者保証改革プログラム|金融庁・経済産業省・財務省(2022年12月23日)

こうした流れの中で、創業期の新しい信用保証制度や、日本政策金融公庫の各制度など、保証人を立てずに利用できる融資が整えられています。次章以降で、保証人の基礎知識を押さえたうえで、実際に使えるルートと条件を具体的に見ていきます。

融資の「保証人」とは?経営者保証の基礎知識

保証人なしのルートを理解する前に、融資で登場する保証人の種類と、なぜ法人融資で経営者保証が求められるのかを押さえておきます。

連帯保証人・第三者保証・経営者保証の種類と違い

保証人とは、借り手が返済できなくなったときに、代わりに返済の責任を負う人を指します。融資の文脈では、主に次の3つが問題になります。

融資の保証人の種類を示した図。連帯保証人は借り手とほぼ同じ返済義務を負い、催告の抗弁権などがなく貸し手が直接請求できる。誰が連帯保証人になるかで、経営者以外の第三者が保証する第三者保証と、経営者本人が保証する経営者保証の2つに分かれる。
  • 連帯保証人:借り手とほぼ同じ返済義務を負う保証人です。通常の保証人と違い、借り手に催告するよう求める権利(催告の抗弁権)などがなく、貸し手は連帯保証人へ直接請求できます。
  • 第三者保証:経営者以外の第三者(親族・知人・取引先など)が連帯保証人になるケースです。第三者を巻き込むことになり、心理的な負担も大きくなります。
  • 経営者保証:法人が融資を受ける際に、その法人の経営者(代表者)自身が連帯保証人になることを指します。会社の債務を経営者個人が保証する形です。

「保証人なしで融資を受けたい」というニーズは、この3つのうちどれを避けたいのかで取るべきルートが変わります。第三者保証を避けたいのか、経営者保証まで外したいのかを整理しておくと、後段の制度選びがしやすくなります。

なぜ法人融資で経営者保証を求められるのか

法人融資で経営者保証が求められてきた背景には、中小企業では会社の財務と経営者個人の財布が実質的に一体になりやすい事情があります。会社と個人の資金のやりとりが曖昧なままだと、貸し手は会社の返済力だけを見て融資判断をしにくくなります。

そのため貸し手は、経営者個人にも返済責任を持たせることで回収の確実性を高め、あわせて経営への規律付けを図る目的で経営者保証を求めてきました。裏を返せば、会社と個人の関係を明確に分離し、会社単独で返済できると示せれば、経営者保証を求めない判断につながります。この条件は後述する「経営者保証を外す条件」の核心になります。

連帯保証は代表を退任しても残り、相続の対象になる

経営者保証を安易に引き受けると、その負担は長く続きます。連帯保証の契約は、代表者を退任したからといって自動的に外れるわけではありません。金融機関との間で個別に解除の手続きを取らない限り、退任後も保証人としての責任が残り続けます。

さらに、連帯保証人としての地位は相続の対象になります。保証人が亡くなった場合、その保証債務は配偶者や子といった相続人へ引き継がれる可能性があります。事業承継を考える際にも、保証をどう扱うかは重要な論点です。だからこそ、初めから保証人なしのルートを選べるか、あるいは既存の保証を外せるかを検討する意味があります。

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保証人なしで使える公的な融資制度・ルート

保証人なしの融資でまず検討したいのが、公的な制度です。日本政策金融公庫や信用保証協会には、経営者保証や連帯保証人に依存しない融資・保証の仕組みが用意されています。日本政策金融公庫では、法人向け融資のうち新規に無保証で融資した件数が54,465件(令和7年度、法人向け融資の48.1%)にのぼり、経営者保証に依存しない融資が広がっています。

保証人なしで使える代表的な公的制度を、対象・上限額・保証人の扱い・主な条件で整理すると次のとおりです。また、地方公共団体の制度融資は上限や条件が自治体ごとに異なるため、表とは別に後述します。

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スタートアップ創出促進保証マル経融資(日本政策金融公庫)資本性ローン(日本政策金融公庫)経営者保証免除特例制度(日本政策金融公庫)信用保証協会の保証付融資
対象創業予定〜創業5年未満の法人など商工会議所などの経営指導を受ける小規模事業者(商工業者)新規開業・新事業活動・企業再建などの対象者経営者保証の免除を希望する方中小企業・小規模事業者(企業規模・業種・区域/業歴の3基準)
上限額3,500万円(保証割合100%・無担保)2,000万円7,200万円(別枠)各融資制度に付帯各保証制度による
保証人の扱い経営者の連帯保証が不要無担保・無保証人無担保・無保証人経営者の保証が免除される法人代表者以外の連帯保証人は原則不要(代表者本人の経営者保証は残る場合あり/個人事業主は保証人が原則不要)
主な条件保証料率に0.2%上乗せ/税務申告1期未終了の創業者は自己資金1/10が必要/設立3・5年目にガバナンス確認商工会議所などの長の推薦が必要/返済10年以内(据置2年以内)期限一括返済/資産査定上は自己資本とみなせる/返済5年1か月〜20年税務申告2期以上+法人個人の一体性解消+減価償却前経常利益が2期連続赤字でない、または直近で債務超過でない など所定の信用保証料が必要

※各制度の対象・上限額・条件は制度改定により変わります。利用の際は各機関の公式情報をご確認ください(2026年9月時点)。

出典・参考資料(6件)

各制度に適用される金利は、融資制度・金融機関・時期によって異なります。一般に公的制度は民間の融資に比べて金利が抑えられる傾向がありますが、具体的な利率は各機関の公式情報や相談窓口で確認してください。

申し込みの窓口も制度によって異なります。信用保証協会の保証付融資や地方公共団体の制度融資は取引金融機関を通じて、日本政策金融公庫の各制度は公庫の支店窓口やインターネット申込で手続きします。マル経融資は、まず商工会議所や商工会などの窓口で経営指導を受けることが入口になります。

経営者保証免除特例制度は、これから融資を受ける場合だけでなく、すでに融資を受けている経営者が保証を外したいときにも関わる制度です。詳しい要件は後述の「経営者保証を外す・免除される条件」で解説します。

経営者保証改革プログラム

経営者保証改革プログラムは、保証人(経営者保証)に依存しない融資慣行の確立を加速させるための政府の取り組みで、本章で挙げる制度群が生まれた背景になっています。

このプログラムの一環として、後述するスタートアップ創出促進保証(創業者向けの経営者保証を不要とする信用保証制度)が創設されました。また、信用保証付融資の分野では、保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度(スタートアップ創出促進保証とは別の制度)が2024年3月15日に始まっています。

日本政策金融公庫の制度(マル経・資本性ローン・免除特例)

日本政策金融公庫(国民生活事業)には、無担保・無保証人で利用できる制度が複数あります。代表的なものが、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)と、挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)です。

マル経融資は、商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者(商工業者)が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で借りられる制度です。融資限度額は2,000万円で、返済期間は10年以内(据置期間2年以内)です。利用には、商工会議所などの長の推薦を受ける必要があります。

資本性ローンは、無担保・無保証人で借りられ、金融機関の資産査定上は自己資本とみなすことができる制度です。融資限度額は7,200万円(別枠)で、返済期間中は利息のみを支払い、最終回に元本を一括返済します。この扱いにより、他の金融機関からの融資審査で不利になりにくく、財務内容の評価を下支えしながら資金を調達したい場合に選択肢になります。

ここで示した制度の金額・条件は、いずれも国民生活事業のものです。すでに保証付きで融資を受けている場合に経営者保証を外すルートとしては、後述の経営者保証免除特例制度があります。

信用保証協会(スタートアップ創出促進保証など)

信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受けやすくするために保証を行う公的機関です。信用保証協会が保証する「保証付融資」では、借り手の返済が滞った場合に、信用保証協会が金融機関へ立て替え払いを行います。

この保証付融資では、連帯保証人の扱いについて次のように示されています。

保証をご利用いただく際には、連帯保証人が必要となる場合があります。ただし、法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません。なお、個人事業主の場合、保証人は原則必要ありません。

出典:初めての融資と信用保証|全国信用保証協会連合会

第三者を連帯保証人に立てることは原則不要です。ただし、これは代表者以外の第三者保証についての話であり、法人の場合の経営者(代表者)自身の保証まで一律に不要という意味ではない点には注意が必要です。経営者保証まで外すには、この後で解説する条件を満たすか、経営者保証を不要とする制度を使う必要があります。

その経営者保証を不要とする制度が、創業期向けのスタートアップ創出促進保証です。信用保証協会の保証制度でありながら、経営者が会社の連帯保証人になる必要がありません。

保証限度額 3,500万円
保証期間 10年以内
据置期間 1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)
保証料率 各信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せした保証料率
担保・保証人 不要

出典:経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。|中小企業庁

対象は、創業予定者や創業後5年未満の法人などです。税務申告1期未終了の創業者は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。

また、この保証で融資を受けた場合、原則として会社を設立して3年目と5年目に、中小企業活性化協議会によるガバナンス体制の確認を受けることになります。制度の開始日は2023年3月15日です。創業関連保証や再挑戦支援保証と併用した場合も、これら3つの合計で3,500万円が保証限度額となります。

地方公共団体の制度融資

自治体が金融機関・信用保証協会と連携して提供する「制度融資」も選択肢になります。自治体の窓口に相談し、金融機関を通じて信用保証協会の保証を利用する流れが一般的です。信用保証協会の保証を使うため、前述のとおり法人代表者以外の連帯保証人は原則不要です。金利の一部を自治体が補助するなど、条件が優遇される場合もあります。

ただし、制度の内容・上限額・要件は自治体ごとに異なります。利用を検討する際は、事業所のある自治体の公式情報を確認してください。

経営者保証を外す・免除される条件

すでに経営者保証が付いている、あるいはこれから融資を受ける際に経営者保証を避けたい場合、どのような条件を満たせばよいのでしょうか。判断のよりどころになるのが「経営者保証に関するガイドライン」です。

経営者保証ガイドラインの3要件

経営者保証に関するガイドラインは、経営者保証に依存しない融資を促すための自主的なルールとして、2014年(平成26年)2月1日から適用されています。ガイドラインは、経営者保証を求めない融資や既存の保証解除を検討する際の要件として、次の3点を示しています。

① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
② 財務基盤の強化
③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

出典:経営者保証に関するガイドライン|経営者保証に関するガイドライン研究会

経営者保証を求めない可能性を検討する際は、会社と経営者個人の資産・経理が明確に分離されているか、両者の間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えていないかが見られます。あわせて、会社単独の資産・収益力で返済が可能と判断できること、財務情報が適時適切に提供されていることも判断材料になります。

役員報酬やオーナーへの貸付などで会社と個人の資金が混ざっている状態を解消しておくことが、外すための実務的な第一歩です。

公庫の経営者保証免除特例制度の要件

日本政策金融公庫(国民生活事業)は、経営者保証に関するガイドラインに対応する制度として、経営者の保証を不要とする「経営者保証免除特例制度」を設けています。税務申告を2期以上実施している場合の主な要件は次のとおりです。

税務申告を2期以上実施している方であって、次の(1)および(2)の要件を満たす方
(1)法人と代表者の方の一体性の解消が一定程度図られていることについて、公庫において確認ができること
(2)次のいずれかの要件を満たす方 ア 最近2期の決算期において、減価償却前経常利益が2期連続して赤字でないこと イ 直近の決算期において債務超過となっていないこと

出典:経営者保証免除特例制度|日本政策金融公庫

この制度では、融資にあたって経営者の保証が免除されます。担保を提供するかどうかは申し込みの際に選べます。ここで挙げた税務申告2期以上のケースが基本ですが、これから事業を始める方や新規開業からおおむね5年以内で事業に新規性がある方など、複数の適用類型が用意されています。自社が該当するかは公庫に相談して確認するとよいでしょう。

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保証人に依存しにくい民間の資金調達という選択肢

公的制度は対象や条件が定められており、要件に合わない場合や、より早く資金を確保したい場合もあります。そうしたときに検討できるのが、保証人に依存しにくい民間の資金調達手段です。

民間の選択肢の種類

民間の資金調達には、保証人(特に第三者保証・連帯保証人)に頼らずに利用しやすい仕組みがいくつかあります。代表的なものを整理します。

  • 売上データ連動型の融資(トランザクションレンディング):決済やECの売上データをもとに与信を行い、返済を売上から自動で相殺する仕組みです。担保・保証人を求めないサービスがあります。
  • 資産担保型のローン:保有資産を担保に差し入れて借りる方法です。担保があるため、第三者の連帯保証人を立てずに調達しやすくなります。暗号資産(ビットコイン・イーサリアム)を担保にするサービスもあります。
  • 売掛債権・在庫などを活用した資金化:売掛債権を早期に資金化するファクタリングや、在庫・売掛債権を担保にする融資など、事業の資産を裏付けにする方法です。

このうちファクタリングは、保有する売掛債権を売却して支払期日を待たずに資金化する方法で、借入ではないため保証人・担保を求められにくいのが特徴です。対象や手数料の相場、会社の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。

ここでは、第三者保証や連帯保証人に依存しにくいサービスの例を紹介します。まずは以下の比較表で全体像を確認してください。

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サービス名デジタルアセット担保ローンGMOイプシロン トランザクションレンディング
調達の仕組み暗号資産を担保にする
資産担保型ローン
売上データ連動型
(トランザクションレンディング)
保証人・担保暗号資産(BTC・ETH)を担保に差し入れ担保・保証人とも不要
融資限度額事業者向け500万円〜5億円法人30万円〜5,000万円
実質年率4.0%〜8.0%法人3.5%〜12.0%
融資スピード最短3営業日最短5営業日
対象法人・個人事業者・個人GMOイプシロン加盟店(法人・個人)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見る

デジタルアセット担保ローン(Fintertech株式会社)

デジタルアセット担保ローンのウェブサイト

デジタルアセット担保ローンは、Fintertech株式会社が提供する、保有する暗号資産を担保に資金を借りられる有担保ローンです。担保として設定できるのはビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)で、暗号資産を売却せずに日本円または米ドルを調達できます。

暗号資産という保有資産を担保に差し入れる仕組みのため、第三者の連帯保証人を巻き込まずに資金を確保しやすい点が特徴です。事業者向けは原則500万円以上の借入から申し込め、法人・個人事業主のいずれも利用できます。実質年率は融資希望額に応じて4.0%〜8.0%で提示されます。納税資金や事業資金など、まとまった資金を暗号資産を手放さずに用意したい場合に検討できます。

GMOイプシロン トランザクションレンディング(GMOイプシロン株式会社)

GMOイプシロン トランザクションレンディングのウェブサイト

決済代行サービスを手がけるGMOイプシロン株式会社が、自社の加盟店向けに提供する融資サービスです。加盟店の日次の売上実績をもとに融資上限を設定し、返済は月々の売上から自動で相殺する、売上データ連動型のトランザクションレンディングです。

担保・保証人が不要で、申し込みから貸し出しまで最短5営業日という調達スピードが強みです。法人加盟店の融資限度額は30万円〜5,000万円、実質年率は3.5%〜12.0%となっています。ただし利用できるのはGMOイプシロンの加盟店に限られるため、決済でGMOイプシロンを利用している事業者に向いた選択肢です。

民間の資金調達には、ここで挙げた以外にも数多くのビジネスローンがあります。保証人・担保の扱いだけでなく、金利や融資スピード、審査の柔軟性まで含めて幅広く比較したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

保証人なしで融資を受けるメリット・デメリットと注意点

保証人なしの融資には利点がある一方で、知っておきたい注意点もあります。両面を理解したうえで判断しましょう。

メリット

最大の利点は、第三者を巻き込まずに資金を調達できることです。連帯保証を頼める相手がいない場合でも、公的制度や担保型・売上連動型のサービスを使えば融資の道が開けます。

経営者保証まで外せた場合は、経営者個人が背負うリスクを抑えられます。前述のとおり連帯保証は退任後も残り、相続の対象にもなるため、経営者保証を回避できれば、事業承継や万一の際に家族へ負担が及ぶ事態を避けやすくなります。会社の債務と個人の資産を切り離せる点は、経営者にとって大きな安心材料です。

デメリット・注意点

保証人なしのルートは、対象や条件が限定される点に注意が必要です。公的制度には対象者や利用要件が定められており、マル経融資のように商工会議所などの推薦が必要なものもあります。誰でもすぐに使えるわけではありません。

また、保証や担保による回収の裏付けが弱い分、審査は会社の返済力を厳しく見られる傾向があります。民間の融資では、保証人ありの融資に比べて金利が高めに設定されたり、借入上限が抑えられたりする場合もあります。

加えて、いったん連帯保証を付けてしまうと、一方的に解除することはできません。契約前に、その融資が本当に保証人なしで組めるのか、将来外せる余地があるのかを確認しておくことが大切です。

まとめ

法人が保証人なしで事業資金の融資を受けることは可能です。国は経営者保証に依存しない融資への転換を進めており、スタートアップ創出促進保証や日本政策金融公庫の各制度、信用保証協会の保証付融資など、保証人を立てずに使えるルートが整えられています。すでに経営者保証が付いている場合も、経営者保証に関するガイドラインの3要件や公庫の経営者保証免除特例制度を通じて外せる余地があります。

公的制度で条件が合わない場合や、より早く資金を確保したい場合は、保証人に依存しにくい民間の資金調達手段も選択肢になります。自社の状況に合ったルートを見極め、まずは各サービスの資料で条件を比較することから始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 経営者保証とは何ですか?

A. 経営者保証とは、法人が融資を受ける際に、その会社の経営者(代表者)自身が会社の債務の連帯保証人になることです。会社が返済できなくなったとき、経営者個人が代わりに返済する責任を負います。中小企業では会社の財務と経営者個人の資金が一体になりやすいため、貸し手が回収の確実性を高める目的で求めてきました。経営者以外の親族・知人などが連帯保証人になる「第三者保証」とは区別されます。

Q. 経営者保証に関するガイドラインとは何ですか?

A. 経営者保証に関するガイドラインとは、経営者保証に依存しない融資を促すために定められた自主的なルールです。2014年2月1日から適用されており、①法人と経営者の関係の明確な区分・分離、②財務基盤の強化、③財務状況の正確な把握・適時適切な情報開示による経営の透明性確保、の3要件を満たせば、経営者保証を求めない融資や既存の保証の解除を検討できるとしています。

法的な強制力はありませんが、金融機関が経営者保証の要否を判断する際の実務指針として広く用いられています。

出典・参考資料(1件)

Q. 融資の連帯保証人には誰を設定してもよいですか?

A. 融資の連帯保証人は、貸し手と借り手の合意があれば親族・知人・取引先などの第三者を立てることも可能ですが、近年は第三者保証に依存しない融資が原則になっています。信用保証協会の保証付融資では、法人代表者以外の連帯保証人は原則として必要ありません(個人事業主の場合は保証人自体が原則不要)。

第三者を保証人に巻き込むと相手の心理的負担も大きくなるため、まずは保証人を求めない公的制度の利用を検討するのが現実的です。

出典・参考資料(1件)

Q. すでに設定している経営者保証は外せますか?

A. すでに付いている経営者保証は、経営者保証に関するガイドラインの3要件を満たすことで、金融機関との交渉を通じて外せる可能性があります。会社と経営者個人の資産・経理を明確に分離し、会社単独の収益力で返済できると示し、財務情報を適時開示していることが判断材料になります。日本政策金融公庫には、このガイドラインに対応して経営者の保証を免除する「経営者保証免除特例制度」も用意されています。

ただし、いったん結んだ連帯保証を借り手側から一方的に解除することはできず、外すには金融機関の同意が必要です。まずは取引金融機関に相談し、ガイドラインに沿った解除の可否を確認するとよいでしょう。

出典・参考資料(2件)

Q. 信用保証協会を利用すれば保証人なしで融資を受けられますか?

A. 信用保証協会の保証付融資では、法人代表者以外の第三者を連帯保証人に立てることは原則不要ですが、法人の経営者(代表者)自身の保証まで一律に不要になるわけではありません。代表者の経営者保証まで外すには、経営者保証に関するガイドラインの要件を満たすか、創業期向けの「スタートアップ創出促進保証」など経営者保証を不要とする制度を利用する必要があります。個人事業主の場合は、保証人自体が原則不要です。

出典・参考資料(2件)

Q. 保証人なしで借りた融資を返済できなくなったらどうなりますか?

A. 保証人なしの融資でも、返済が滞れば会社(借り手)自身が返済を求められ、担保があればその処分によって回収が行われます。信用保証協会の保証付融資では、返済が滞ると信用保証協会が金融機関へ立て替え払い(代位弁済)を行いますが、その後は信用保証協会が借り手に返済を求めるため、借り手の返済義務がなくなるわけではありません。

経営者保証を付けていなければ、会社の債務がただちに経営者個人へ及ぶ事態は避けられます。返済が難しくなりそうなときは、早めに取引金融機関や公的な相談窓口へ相談することが大切です。

出典・参考資料(1件)

Q. 個人事業主でも保証人なしで融資を受けられますか?

A. 個人事業主も保証人なしで融資を受けられます。信用保証協会の保証付融資では、個人事業主の場合は保証人が原則不要とされています。また、日本政策金融公庫のマル経融資(無担保・無保証人、限度額2,000万円)や資本性ローンなど、無担保・無保証人で利用できる制度も個人事業主が対象に含まれます。保証人を立てられなくても、事業の実態や返済計画をもとに審査を受けて資金調達を進められます。

出典・参考資料(2件)

Q. 創業したばかりの会社でも保証人なしで融資を受けられますか?

A. 創業したばかりの会社でも保証人なしで融資を受けられます。創業予定者〜創業5年未満の法人などを対象にした「スタートアップ創出促進保証」なら、経営者が会社の連帯保証人になる必要がありません(保証限度額3,500万円・無担保)。

ただし、税務申告1期が未終了の創業者は創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要で、原則として会社の設立3年目・5年目にガバナンス体制の確認を受けます。

出典・参考資料(1件)

Q. 保証人なしの融資は審査が厳しく金利も高くなりますか?

A. 保証人なしの融資は、保証や担保による回収の裏付けが弱い分、会社の返済力をより厳しく審査される傾向があり、民間の融資では金利がやや高めに設定されたり借入上限が抑えられたりする場合があります

一方で、日本政策金融公庫の各制度や信用保証協会の保証付融資といった公的ルートは、保証人なしでも金利が優遇されており、条件を満たせば有利に借りられます。まずは公的制度で使えるものを確認し、条件が合わない場合や急ぐ場合に民間の資金調達手段を検討する順序が現実的です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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