会計ソフトを探して「無料」と書かれた製品を並べてみたものの、どれを選べばよいのか決めきれずにいませんか。同じ「無料」でも、料金を払わないまま使い続けられる製品もあれば、30日や2か月で終わる製品もあります。無料の範囲で決算書まで作れる製品もあれば、帳簿は付けられても決算書の出力だけは有料という製品もあります。
この違いは製品名を並べただけの一覧では見分けられません。自社が法人なのか個人事業主なのか、どの書類まで作る必要があるのかによって、同じ製品でも「無料で足りる」かどうかの答えは変わります。では、何を確かめれば自分の場合の答えにたどり着けるのでしょうか。
本記事では、無料で使える会計ソフト17製品を2つのタイプに分けて比較します。料金を払わないまま使い続けられる無料プラン型が5製品、有料製品を期間限定で試せる無料トライアル型が12製品です。無料でいられる期間・対象・導入形態と対応OS・無料で作れる帳票・サポート・失効条件・無料が終わったあとの料金まで、公式サイトに書かれている条件をそのまま示しました。
記帳から決算書、確定申告までのどこで無料が終わるのかを、自分の立場に当てはめて判断するための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、料金を払わないまま使い続けられる無料プランを持つ製品と、無料トライアルで費用をかけずに使い始められる製品の、合計17サービスを比較します。従業員数名までの小規模法人と個人事業主が、自分で帳簿を付けて決算・確定申告まで進めることを想定した範囲です。
本記事は「無料で使えること」を条件に絞り込んでいます。この条件を外して、有料の製品も含めてクラウド会計ソフト全体から選びたい場合は、事業規模やタイプ別の選び方と料金をまとめた以下の記事をご参照ください。
無料で使える会計ソフトには2つのタイプがある
無料の会計ソフトを見分けるうえで最初に押さえたいのが、次の2つのタイプについて解説します。この違いが分かると、以降の比較を読む軸が定まります。
会計ソフトの「無料」は、無料でいられる期間の考え方によって大きく2つに分かれます。料金を払わないまま使い続けられる無料プランを持つタイプと、有料製品を一定期間だけ無料で試せるタイプです。どちらを選ぶかで、使い始めたあとに待っている展開がまったく違います。
| タイプ | 無料でいられる期間 | 無料の代わりに何が制限されるか | 該当する主なサービス |
|---|---|---|---|
| ずっと0円で使い続けられる会計ソフト(無料プラン型) | 期間の区切りなし(一部の製品は公式に期間の記載がない) | 機能・対象・サポートのいずれかに線が引かれる。どこに線があるかは製品ごとに大きく違う | やよいの白色申告 オンライン、フリーウェイ経理Lite、JDL IBEX出納帳Major(※)、円簿会計(※)、確定申告FinFin(※) ※ 期間の記載を公式で確認できない(JDL IBEX出納帳Major・確定申告FinFin)/公式サイト内で記載が食い違う(円簿会計) |
| 一定期間だけ無料で試せる会計ソフト(無料トライアル型) | 30日〜2か月程度が中心(初年度だけ0円のタイプもある) | 機能はほぼ本番と同じ。期間が終われば有料契約か中止かを選ぶ | 弥生会計 Next、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、勘定奉行クラウド、PCAクラウド 会計 ほか |
ずっと0円で使い続けられる会計ソフト(無料プラン型)
利用期間の区切りがなく、料金を払わないまま使い続けられるタイプです。開業したばかりで会計ソフトに毎月お金をかけたくない、取引の件数がまだ少ない、という段階では現実的な選択肢になります。
ただし、事業者側が無料で提供し続けられる理由が必ずどこかにあります。画面内の広告収入で運営している製品もあれば、会計事務所が顧問先に配ることを前提にして無償配布している製品もあります。その結果として、機能・利用できる対象・サポートのいずれかに線が引かれているのが一般的です。どこに線が引かれているかは製品ごとに大きく違うため、「無料プランがある」というだけで同列に扱うと判断を誤ります。
このタイプは「完全無料」と紹介されることもありますが、実際には利用できる対象が限られていたり、主要な機能が使えなかったりする製品も含まれます。「完全」という言葉から制限のなさを読み取ると、実態とずれます。
一定期間だけ無料で試せる会計ソフト(無料トライアル型)
有料製品を30日〜2か月程度、無料で使えるタイプです。個人事業主向けの製品には、初年度だけ料金がかからないという形をとるものもあります。いずれも無料プラン型と違って機能はほぼ本番と同じで、無料でいられる期間の終わりが最初から決まっており、期間が終われば有料契約に進むか、使うのをやめるかを選ぶことになります。
性格としては「無料で始める」ためのものではなく、お金を払う前に自社の業務で使えるかどうかを確かめるためのものです。銀行口座やクレジットカードの明細を実際に取り込んでみて、自動で提案される仕訳がどの程度使えるかを確かめる、といった使い方が本来の狙いに合います。
費用をかけずに始められる点は無料プラン型と同じですが、期間の終わりが最初から決まっている以上、終わったあとにどうするかを申し込みの時点で考えておく必要があります。
無料の会計ソフトはどこまで無料か
ここでは、製品ごとに違う「無料」の中身を、何によって切られているのかという観点で整理します。
帳簿付けから決算書・確定申告書まで、無料でできること
無料の会計ソフトでも、日々の帳簿付けにあたる部分は一通りそろっているのが一般的です。現金や預金の出入りを記録する出納帳、仕訳の入力、総勘定元帳や補助元帳の作成、月次・年次の試算表の出力までは、無料の範囲で使える製品が多くあります。
その先の決算書の作成になると、製品によって扱いが分かれます。貸借対照表と損益計算書を無料のまま出力できる製品がある一方で、帳簿は無料で付けられても決算書の作成・出力だけは有料プランの機能という製品もあります。個人事業主向けの製品では、青色申告決算書や収支内訳書、確定申告書の作成、e-Taxによる電子申告まで無料の範囲に含まれるものもあります。
一方で、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込んで仕訳を提案する機能は、無料プラン型では有料版だけの機能とされていることが少なくありません。ただし全製品がそうではなく、無料プランのまま口座・クレジットカード・電子マネーとの連携を使えると公式の料金ページに明記している製品もあります。
この機能があるかどうかで入力にかかる時間は大きく変わるため、取引の件数が多い場合は無料の範囲に含まれるかを製品ごとに確かめる価値があります。
無料版と有料版の違い(何が有料に切り替わるのか)
無料と有料の境界は、大きく分けて次のどれか、あるいは複数の組み合わせとして現れます。
- 使える機能そのもの:自動仕訳、部門別の管理、クラウドへのデータ保存、決算書の出力などが有料版に回される
- 相談できる窓口:機能は同じでも、電話やチャットのサポートは有料プランの契約者だけが使える
- 扱える規模:登録できる会社データが1社まで、同時に使えるユーザーが1名まで、保存容量に上限がある
- 使える期間:無料でいられるのは初年度だけ、あるいは一定期間ログインしないと使えなくなる
重要なのは、この境界が製品ごとにまったく違う場所にあるという点です。同じ「無料プランがある」という説明でも、有料版と機能が変わらない製品と、主要な機能が使えない製品が同居しています。
気にする方が多いのが「無料版は月◯件まで」という仕訳・取引件数の上限です。無料プラン型の5製品を公式サイト・公式FAQ・仕様ページで確認した範囲では、いずれも件数の上限を示す記載が見当たりませんでした。1製品は公式に「フルスペック無償版」と表現しており、別の1製品には「無料プランでは一部機能に制限があります」という注記があるものの、その制限の中身までは公表されていません。
ただし、上限が無いと明言されているわけでもありません。取引が多い場合は、使い始めてから実際の入力で確かめるのが確実です。
機能で切られている製品と、サポートだけが違う製品
無料プラン型のなかでも、この2つは性格がはっきり分かれます。
サポートだけが違う製品は、無料プランでも有料プランと同じ機能が使えます。確定申告書の作成も、消費税の申告も、e-Taxによる電子申告も無料の範囲で行え、有料プランとの差は操作方法を電話やチャットで相談できるかどうかだけ、という設計です。簿記や会計ソフトの操作に慣れていて、自分で調べながら進められる人にとっては、無料のままで実務が回ります。
機能で切られている製品は、無料の範囲でできることが最初から絞られています。銀行明細の自動取り込みや自動仕訳が使えない、伝票入力や部門別の管理ができない、データをクラウドに保存できずパソコン内だけに置くことになる、といった制限があります。入力の手間を減らしたい、複数人で同じ帳簿を触りたいという要望がある場合、無料のままでは対応できません。
この2つを見分けないまま「無料プランがあるから」と選ぶと、あとから「自動で仕訳してくれると思っていたのにすべて手入力だった」という食い違いが起こります。各製品がどちらにあたるかは、比較表と個別の紹介で示します。
対象(法人・個人事業主・非営利組織)で切られている製品
3つ目の線は、そもそも誰が使える製品なのかという線です。無料であっても、想定している利用者が限られていれば、自分の事業には使えません。
個人事業主の確定申告に特化していて法人の決算には対応しない製品、逆に法人の記帳を前提に作られていて個人事業主の確定申告書は作れない製品があります。さらに、自治会やPTA、サークルといった非営利の団体向けに作られた無料ソフトもあります。この種の製品は現金出納帳や収支計算書は作れても、事業の決算書や確定申告書を作る機能を持ちません。
加えて、申告方式による線もあります。個人事業主向けの製品では、白色申告なら無料の範囲で完結するものの、青色申告に必要な複式簿記の記帳は上位の有料製品に移る必要がある、という設計が見られます。自分がどの立場でどの申告をするのかを先に決めておくと、候補が大きく絞れます。
見落としやすい失効条件と自動更新のタイミング
最後に、料金表だけを見ていると気づきにくい条件があります。無料でいられる状態が、何かのきっかけで終わる場合です。
期間の区切りがない無料プランでも、一定期間ログインしないと利用できなくなるという条件が付いていることがあります。年に一度の確定申告のためだけに使う場合、ログインしない期間が長くなりやすいため、この条件は実際に効いてきます。
「1年間無料」とうたわれている製品では、それが恒久的な無料プランなのか、初年度だけ料金がかからないキャンペーンなのかで意味が変わります。後者の場合、翌年からは有料契約に移ることが前提です。契約が自動で更新されるのか、更新前に案内があるのか、いつまでならキャンセルできるのかは、公式サイトのよくある質問に書かれていることが多いので、申し込む前に確かめておきたいところです。
無料トライアル型でも同じで、期間が終わったときに自動で課金される設計か、何もしなければ料金が発生しない設計かは製品によって違います。クレジットカードの登録を求められるかどうかも、この違いと連動していることが多くあります。製品ごとの条件は比較表にまとめました。
法人・個人事業主は、無料のまま申告まで終えられるのか
ここでは、ご自身の立場ごとに、どの書類まで無料で届くのかを整理します。「無料で始めたつもりが、決算の直前に有料プランへの切り替えを求められた」という事態を避けるための確認です。

法人は記帳から決算書の作成までは無料で届く製品がある
法人の会計処理は、日々の仕訳を入力して総勘定元帳や試算表を作り、事業年度末に貸借対照表・損益計算書といった決算書をまとめる、という流れで進みます。この決算書の作成までであれば、無料の範囲で完結できる製品が存在します。
ただし、無料プラン型のなかには決算書の出力に対応しない製品もあり、無料トライアル型でも「試用期間中は決算書の作成・出力だけは使えない」と条件を付けている製品があります。法人にとって決算書は必ず作る書類なので、ここが無料の範囲に入っているかどうかは、製品を絞り込む段階で確かめておきたい点です。
もう1点、法人特有の条件として登録できる会社データの数があります。無料プランでは1社分しか登録できない製品があり、グループ会社や複数の法人を1つのソフトで管理したい場合は無料の範囲では対応できません。
自社が該当する製品は、後半の比較表で絞り込めます。「対象」の欄に法人が含まれていて、「無料で作れる帳票」の欄に決算書(貸借対照表・損益計算書)が入っている行が、法人が記帳から決算書まで無料で届く製品です。無料プラン型の表と無料トライアル型の表の両方に該当する行があります。
法人税申告書の作成は会計ソフトの無料プランの外にある
決算書ができても、法人の手続きはそこで終わりません。法人税法は、確定申告について次のように定めています。
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
出典:法人税法 第74条第1項|e-Gov法令検索
同条第3項は、この申告書に貸借対照表・損益計算書などを添付することを定めています。決算書は申告書の添付書類にあたり、決算書を作ることと申告書を作ることは別の作業です。会計ソフトが無料で決算書まで作れても、そこから先の法人税申告書の別表を作る機能は、無料プランには含まれていないのが実情です。
ただし、これは法人税の申告そのものに必ず費用がかかるという意味ではありません。無料プランの外で手当てする方法は、実務上おおむね次の3つです。
- 国税庁のe-Taxソフトを使って自分で作成・送信する:ダウンロードして使うe-Taxソフトは法人の申告に対応しており、法人税申告書の別表も作成できます。e-Taxの利用手続そのものに費用はかからず、電子証明書も法人の代表者のマイナンバーカードの署名用電子証明書が使えます。ただし、会計ソフトとは別のソフトで別表を組む作業になるため、税務の知識と手間は必要です
- 申告書作成に対応した有償製品を別途契約する:会計ソフトで作った決算書のデータを引き継いで申告書を作れるため、自社で申告まで行う場合に作業を減らせます
- 税理士に決算・申告を依頼する:日々の記帳は無料の会計ソフトで自社が行い、決算と申告だけを依頼する分担にすると、依頼する範囲を絞れます。この場合、使っている会計ソフトのデータを税理士側に渡せるか(CSVで書き出せるか、税理士が使うソフトに取り込めるか)が実務上の分かれ目になります
どの方法を選ぶかで、会計ソフトに求める条件も変わります。自分でe-Taxソフトを使うなら決算書の数字を正確に出せれば足りますが、税理士に依頼するならデータを渡せる形式かどうかが先に効いてきます。
この点は比較表でも確かめられます。「無料で作れる帳票」の欄を17製品ぶん見ると、法人税申告書まで無料で作れる製品は1つもありません。法人の場合、会計ソフト選びと申告の手当ては別々に考える、という前提で読み進めてください。
出典・参考資料(4件)
個人事業主は申告方式(白色・青色)で無料の範囲が変わる
個人事業主の場合、法人と違って申告書の作成まで無料の範囲に含まれる製品があります。ただし、白色申告と青色申告のどちらを選ぶかで事情が変わります。
白色申告は、収支内訳書と確定申告書を作成して提出します。この範囲であれば、料金を払わないまま使い続けられる無料プランで、e-Taxによる電子申告まで完結できる製品があります。
青色申告になると、青色申告決算書の作成が必要になります。控除額は記帳の方法と申告の方法で変わり、令和8年分までは次の区分です。
- 55万円:複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限までに提出する
- 65万円:55万円の要件に加えて、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿の要件を満たして保存し届出書を出すか、確定申告書と決算書等を期限までにe-Taxで提出する
- 10万円:上記の要件に該当しない青色申告者が受けられる
ここに無料の範囲が直接効いてきます。使う製品が無料で複式簿記の記帳に対応しているか、確定申告書と決算書をe-Taxで送信できるかが、そのまま控除額の差になるためです。
個人事業主向けの製品では、青色申告に対応する製品が白色申告用の製品と別に用意されていることが多く、無料の形は製品ごとに分かれます。初年度だけ料金がかからないもの、30日〜1か月の無料トライアルにとどまるものがあり、いずれも無料でいられる期間の終わりが決まっている点は共通です。
では、青色申告を期間の区切りなく0円で続けられる製品はあるのでしょうか。今回調べた範囲では、青色申告への対応をうたう無料プラン型の製品はスマートフォンアプリの1製品だけでした。しかも対応の記載はアプリストアの説明にとどまり、青色申告決算書の作成まで無料の範囲に含まれるかは公式サイトでは確認できません。
パソコンで使うクラウド製品に限れば、青色申告は初年度0円のキャンペーン型か、最初から有料と考えておくのが実態に近くなります。
さらに、令和9年分の所得税からは区分が組み替わります。国税庁の案内では次のように示されています。
改正後の65万円控除の要件(複式簿記+e-Tax)に加えて、請求書データ等との自動連携や訂正削除履歴の記録など一定の要件を満たす優良な電子帳簿を作成及び保存している場合には、最大75万円の控除を受けることができます。
出典:令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?(令和8年4月)|国税庁
この改正は控除額が上がるだけの話ではありません。55万円の区分がなくなり、e-Taxでの送信が65万円控除の要件に組み込まれるため、複式簿記で記帳しているだけでは65万円に届かなくなります。
75万円を受けるには、複式簿記とe-Taxに加えて優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存の要件を満たし、届出書と青色申告承認申請の手続も必要です。簡易簿記で10万円控除を受けている事業者のうち、前々年分の不動産所得または事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える場合は、10万円控除の対象から外れます。
控除額の差は、そのまま納める税額の差になります。1年目は無料の白色申告用ソフトで会計ソフトの操作に慣れ、事業が軌道に乗った段階で青色申告に対応した製品へ移る、という進め方も現実的です。同じ提供元の製品どうしであればデータを引き継げる場合があるため、最初に選ぶ段階で移行先まで見ておくと切り替えが楽になります。
白色申告でも記帳と帳簿の保存は必要です。国税庁は「一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよい」と案内しており、この範囲であれば無料の会計ソフトでも十分に対応できます。
青色申告に切り替える段階で製品を選び直す場合は、複式簿記とe-Taxという65万円控除の要件をソフト側でどこまで満たせるか、年間の支払額がいくらになるかを並べて確認しておくと判断しやすくなります。
出典・参考資料(4件)
ここまでの条件を自分に当てはめると、どのタイプが合うか見当がついてきます。判断しにくい場合に備えて、事業の形態・無料で終わらせたい作業・無料でいられる期間・サポートの要否の4つに答えると候補が絞り込める「30秒で終わる選定診断ツール」を用意しました。
無料の会計ソフトを選ぶときの確認ポイント
ここまでで整理した物差しを自分の条件に当てはめると、候補を絞り込む手順を見ていきます。
法人向けか個人事業主向けかを最初に確かめる
最初に確かめるのは、その製品が自分の立場を想定して作られているかどうかです。ここが合っていないと、機能や料金を比べても意味がありません。比較表の「対象」の欄で、自分(法人/個人事業主の白色/青色)が含まれる行だけに絞り込んでください。
公式サイトの製品ページで確かめる場合は、法人向けと書かれているか、個人事業主・フリーランス向けと書かれているかを見ます。個人事業主向けの製品では、白色申告用と青色申告用が別製品になっていることがあります。法人向けの製品には想定する事業規模(ひとり法人か、従業員数十名規模か)が書かれていることが多く、どちらも絞り込みの手がかりになります。
副業で確定申告が必要になった方は、事業所得か雑所得かにかかわらず、まず個人事業主向けの製品が候補になります。
必要な帳票と仕訳の量を書き出して、無料の範囲に収まるか見る
次に確かめたいのは、自分が実際に作る必要のある書類です。法人であれば総勘定元帳・試算表・貸借対照表・損益計算書、個人事業主であれば青色申告決算書または収支内訳書と確定申告書、といった具合です。
書き出した書類が無料の範囲に入っているかは、製品ページと料金ページで確かめられます。決算書の出力だけが有料という設計は珍しくないため、帳票単位で見るのが確実です。
月にどれくらいの取引があるかも、あわせて見積もっておくと精度が上がります。数十件を超えてくると、銀行明細の自動取り込みが無料の範囲に入っているかどうかで毎月かかる時間が変わるためです。
クラウド型かインストール型か(対応OS・利用人数)
無料の会計ソフトには、ブラウザで使うクラウド型と、パソコンにインストールして使う型の両方があります。この違いは動作条件と使い方の自由度に直結します。
インストール型には、Windows専用で macOS では動かない製品や、特定のバージョンの Windows だけを対象としている製品があります。Mac を使っている場合や、外出先のタブレットからも入力したい場合は、この時点で候補から外れます。データがパソコン内だけに保存され、クラウドに置けない製品もあり、その場合はパソコンの故障や紛失に備えたバックアップを自分で用意する必要があります。
利用人数の条件も見落とせません。無料プランでは同時に使えるユーザーが1名まで、登録できる会社データが1社までという制限を設けている製品があります。経理担当と経営者の2人で同じ帳簿を見たい、顧問税理士にもアカウントを渡したい、といった使い方を考えている場合は、無料の範囲でそれが可能かどうかが分かれ目になります。
無料でサポートを受けられるかで決める
無料の範囲でどこまで聞けるかは、Webのよくある質問だけの製品から無料の期間中でも電話がつながる製品まで分かれます。比較表の「無料で受けられるサポート」の欄には、Webのよくある質問だけの製品から、無料の期間中でも電話がつながる製品、個別の問い合わせを受け付けていないと明記している製品までが並びます。この欄が「公式に記載なし」の製品は、申し込む前に窓口の有無を自分で確かめる必要があります。
判断の分かれ目は、自分で調べて解決できるかどうかです。簿記を学んだ経験があれば薄いサポートでも問題になりませんが、会計ソフトが初めてなら、窓口のある製品を選んでおくほうが安全です。
無料が終わったあとの選択肢を先に決めておく
無料トライアル型を選ぶ場合はもちろん、無料プラン型を選ぶ場合でも、事業が伸びれば無料の範囲では収まらなくなります。そのときにどうするかを、申し込む前に決めておくと選択の質が上がります。
見ておきたいのは、同じ製品の有料プランに移る場合の料金(比較表の「無料終了後の料金」の欄)と、そのときにデータをそのまま引き継げるかどうかの2点です。引き継ぎの具体的な条件は、後半の「無料から有料に切り替えるときのデータ引き継ぎ」で製品ごとに整理します。
申し込む前に公式サイトで確かめたい3点
候補が絞れたあと、申し込む直前に公式サイトで確かめたいのは次の3点です。無料に関する情報は変わりやすく、まとめ記事や口コミの記述が現在の条件と合っていないことがあるためです。
提供が終了していないか
会計ソフトは提供が終わることがあります。終了する場合、提供元は公式サイトのお知らせやプレスリリースで告知し、新規の申し込み受付を先に止めたうえで、一定期間後にサービスそのものを終了する、という進め方をとるのが一般的です。
確かめ方は単純で、製品ページが今も存在するか、お知らせ欄に終了や受付停止の告知が出ていないかを見るだけです。製品ページが表示されない、あるいは提供元のサイトから製品の案内自体が見当たらない場合は、すでに提供が終わっている可能性があります。
無料の案内が最新か(有料プランへの切り替えが前提になっていないか)
過去に無料で使えた製品が、料金体系の見直しによって有料に切り替わっていることがあります。サイト全体のキャッチコピーに「無料」という言葉が残っていても、製品ページの本文や料金ページには「無料体験期間のあと、有料プランに切り替えが必要」と書かれている、という状態です。
見るべきは、トップページの見出しやバナーではなく、その製品の料金ページとよくある質問です。無料でいられるのが期間なのか、機能を限った範囲なのか、そして期間の場合は何日間なのかが、料金ページには具体的に書かれています。
公式サイト内で無料期間の記載が食い違っていないか
同じ提供元のサイトの中でも、ページによって無料の説明が違っていることがあります。製品紹介ページには無料期間の注記が付いているのに、別の紹介ページでは期間の制限がないと書かれている、といったケースです。
製品ページ・料金ページ・よくある質問の3か所で、無料の条件について同じことが書かれているかを見比べるのが確実です。食い違いが見つかった場合は、どちらか一方を信じて申し込むのではなく、提供元の問い合わせ窓口での確認が要ります。無料で使い始めたあとに条件が違っていたと分かると、入力した帳簿の移し替えという余計な作業が発生します。
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【比較表】無料で使える会計ソフト17選の比較
ここからは、17製品の無料の条件を横並びで比較します。無料の続き方・対象・導入形態・無料で作れる帳票・無料で受けられるサポート・失効条件と自動課金・無料が終わったあとの料金を、公式サイトの記載にもとづいて整理しました。
表のなかに「公式に記載なし」と書かれたセルがあります。これは機能や窓口が無いという意味ではなく、公式サイト・公式FAQ・料金ページを確認しても条件が公表されていなかったことを示します。
とくに「失効条件・自動課金」の欄が「公式に記載なし」の製品は、期間が終わったあとに自動で課金されるかどうかを外から確かめられません。その製品を候補に残す場合は、申し込み画面でクレジットカードの登録を求められるか、解約の導線がどこにあるかを自分の目で確認してから進めてください。
ずっと0円で使い続けられる会計ソフト(無料プラン型)の比較
| サービス名 | やよいの白色申告 オンライン | フリーウェイ経理Lite | JDL IBEX出納帳Major | 円簿会計 | 確定申告FinFin |
|---|---|---|---|---|---|
| 無料の続き方 | ずっと0円 (フリープラン・利用期間の区切りなし) | ずっと0円 (期間の制限なし・ライセンス購入不要) | 無料期間は公式に記載なし 期間の区切りを示す記載も、期間の制限がないという明言も確認できず | 公式サイト内で記載が食い違う 「無料期間は新規ご登録から1年間」「期間限定なし」「初年度無料」が併存 | 無料期間は公式に記載なし 料金ページに0円の記載はあるが、期間に触れた記述はない |
| 対象 | 個人事業主 (白色申告) | 法人・個人事業主 (登録できる会社データは1社) | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主 (利用は1社・1ユーザー) | 個人事業主 (フリーランス・副業を含む。法人向けの案内は公式になし) |
| 導入形態・対応OS | クラウド | インストール型 Windows 11・10(Mac非対応) | インストール型 Windows 11のみ(ARM版Windows・Mac非対応) | クラウド | スマホアプリ |
| 無料で作れる帳票 | 収支内訳書・確定申告書 消費税申告・e-Taxによる申告まで可 青色申告決算書は非対応 | 仕訳・帳簿・試算表 決算書(勘定式のみ) 自動仕訳・伝票入力・部門別管理は有料版 | 現金出納帳・売掛帳・仕訳帳・総勘定元帳 試算表・決算関連の財務諸表まで 法人税申告書は範囲外 | 仕訳帳・出納帳・試算表・総勘定元帳・補助元帳 年次決算・決算報告書・年次繰越 法人向け決算書の作成に対応 | 確定申告書・消費税申告書の提出(PDF出力)まで 青色申告・白色申告に対応 無料プランは一部機能に制限あり(中身は公式に記載なし) |
| 無料で受けられるサポート | Webのよくある質問のみ 電話・メール・チャットは有料プラン | AIチャットとよくある質問のみ 操作サポートは対象外 | よくある質問・操作マニュアル・オンラインセミナー動画のみ 製品に関する問い合わせは受付なし | 問い合わせフォームのみ 個別電話での対応はなし(回答範囲は操作方法まで) | 問い合わせは無料・FAQサイト 電話・チャットの可否は公式に記載なし |
| 失効条件・自動課金 | 3年間ログインがない場合は利用できなくなる 契約更新の手続きはなし 自動課金は公式に記載なし | 失効条件・自動課金とも公式に記載なし | 失効条件・自動課金とも公式に記載なし | 1年を過ぎたあとの扱いは公開情報では判断できず 申し込む前に提供元への確認が必要 | 失効条件・自動課金とも公式に記載なし |
| 無料終了後の料金 | フリープランは0円のまま継続可 サポートが必要な場合はベーシックプラン年額11,500円(税別・初年度0円)/トータルプラン年額21,000円(税別・初年度半額) | 企業版 月額3,000円 (年間36,000円・税抜) | JDL IBEX出納帳 79,000円(税抜・買い切り) JDL IBEX会計net 月額3,610円(税抜) | 円簿PRO ベーシック 年額9,500円(税抜) | 有料プラン 年払いで月940円(税抜)から アプリ内課金では月1,450円と表示 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月時点で各サービスの公式サイトに記載されている内容にもとづきます。「公式に記載なし」は公式サイトで確認できなかった項目で、非対応という意味ではありません。無料の条件は変更される場合があるため、申し込む前に各社の公式ページでご確認ください。
一定期間だけ無料で試せる会計ソフト(無料トライアル型)の比較
| サービス名 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 勘定奉行クラウド | PCAクラウド 会計 | ジョブカン会計 | かんたんクラウド会計 | 会計王 | やよいの青色申告 オンライン | マネーフォワード クラウド確定申告 | ジョブカン青色申告 | PCA Arch 財務経理 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 無料の続き方 | 最大2か月間 (1事業者につき1回まで) | 30日間 | 1か月間 | 30日間 (使い切った場合も再度申し込めば再開可) | 2か月間 | 30日間 | 2か月間 | 30日間 (ダウンロードして使う無料体験版) | 初年度0円 (セルフプラン・ベーシックプラン。2年目以降は有償) | 1か月間 | 30日間 | 2か月間 |
| 対象 | 法人 | 法人・個人事業主 | 法人 (ひとり法人・中小企業向け、50名以下) | 法人 (小規模企業〜中小企業) | 法人 (中小企業〜中堅企業) | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主 (科目体系は個人〈一般・医療・不動産〉/法人〈一般・工事・医療〉) | 法人・個人事業主 | 個人事業主 (青色申告) | 個人事業主 | 個人事業主 | 法人 (中堅・中小企業。個人事業主が申し込めるかは公式に記載なし) |
| 導入形態・対応OS | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド データセンター版/on AWS/インストール型のPCAサブスク | クラウド | クラウド | インストール型 Windows 11のみ(Mac非対応) | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 無料で作れる帳票 | ベーシックプラスプラン相当の機能 決算書の作成・出力は利用不可 | 有料プランの機能を試用(決算書の作成まで) お試し期間中も一部機能に制限あり(中身は公式に記載なし) | 仕訳帳・総勘定元帳・残高試算表 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書 試用中に使えない機能の有無は公式に記載なし | 1ライセンスで機能制限なし | 体験中に使える機能の範囲は公式に記載なし 製品としては伝票入力・元帳・試算表・決算書・経営分析帳票に対応 | 損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書・個別注記表 キャッシュ・フロー計算書は最上位プランの範囲 トライアル中の機能制限の有無は公式に記載なし | 決算書・消費税精算表・資金繰表まで 個人の確定申告書を作る「かんたんクラウド確定申告」は令和4年分で提供終了 オプションは無料試用期間中は申込不可 | 体験版で使える機能の範囲は公式に記載なし 製品としては決算書・消費税申告書・青色申告決算書・収支内訳書に対応 | 青色申告決算書・確定申告書・消費税申告書 e-Taxによる申告まで初年度0円で可 別途ある最大2か月の無料体験版では決算・申告機能が使えない | 青色申告決算書・収支内訳書・確定申告書(第一表〜第四表) e-Tax連携は全プラン(農業所得用の決算書は非対応) トライアルはパーソナルプラン相当の機能(一部利用できない機能あり) | 青色申告決算書(一般・不動産・農業・兼業)・確定申告書・消費税申告書 30日間は全機能を利用可 e-Taxはファイルを書き出して国税庁のe-Taxソフトから送信 | 体験中の機能制限の中身は公式に記載なし 製品としては財務会計・経費精算・固定資産管理・債権債務管理に対応 |
| 無料で受けられるサポート | チャット・メール 電話サポートと仕訳相談は利用不可 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ガイド・ヘルプサイト・専用のWebサポート | 公式に記載なし | 電話サポート(トライアル期間中から利用可) | メール(24時間受付)・チャット(平日9〜17時) 電話と遠隔操作のサポートはオプションのため試用中は申込不可 | 公式に記載なし 製品購入時は最大15か月の電話サポートが無償(平日10:00〜17:00) | セルフプランはWebのよくある質問のみ ベーシックプランは電話・メール・チャット・画面共有 | 公式に記載なし 有料プランはパーソナル以下がメール・チャット、パーソナルプラスで電話 | 問い合わせ(平日9:30〜17:00・当日返信が目安) 電話・チャットの可否は公式に記載なし | 製品内のAIチャット(24時間365日) 体験期間中の電話サポートの可否は公式に記載なし |
| 失効条件・自動課金 | 期間終了後の自動請求なし クレカ登録の要否は公式に記載なし 有償プランへの変更時、利用状況によっては契約変更月から従量課金 | 期間終了後の自動課金なし 従量課金の対象機能を使っても費用は発生しない クレジットカード登録不要(公式に「クレジットカード不要」と明記) | クレジットカード登録不要 自動的に有料プランへ移行しない | 期間終了後の自動課金なし クレカ登録の要否は公式に記載なし 試用データは終了後に完全に復元不可能な状態で削除(引き継ぎ不可) | 自動課金の有無・クレカ登録の要否とも公式に記載なし | 自動課金の有無・クレカ登録の要否とも公式に記載なし | クレジットカード登録不要 試用終了時の自動課金の有無は公式に記載なし | 自動課金の有無・クレカ登録の要否とも公式に記載なし 体験後に製品版へデータを引き継げるかも公式に記載なし | 自動で引き落とされることはなし(契約終了の前月にメール案内、前月末日までWebでキャンセル可) 申込には口座振替またはクレジットカード情報の登録が必要(自動更新の決済方法として) | クレジットカード登録不要 トライアル終了後に自動的に有料プランへ移行することはなし(データは引き継ぎ) | 無料期間後も入力済み帳簿の閲覧は可能 自動課金の有無・クレカ登録の要否とも公式に記載なし | 自動課金の有無・クレカ登録の要否とも公式に記載なし 体験後に契約すればその環境のまま本番稼働も可 |
| 無料終了後の料金 | エントリープラン 年額34,800円(税抜)から 無料体験と同じ範囲はベーシックプラスプラン 年額84,000円(税抜)から | ひとり法人プラン 年払いで月2,980円(税抜)から メンバー数・利用機能に応じた従量課金が別途 | ひとり法人 年払いで月2,480円(税抜)から | Eシステム 年額93,000円(税抜)から・初期費用0円 | 会計 hyper のみの構成で月額15,600円(税抜)から | スタートアップ 月2,500円(3ユーザーまで) 税抜・税込の別は公式に記載なし | Basic 月2,160円 (年額21,600円・税抜) | 44,000円(税込)の買い切り 2年目以降の年間保守は税込38,500円 | 2年目以降 セルフプラン 年額11,800円(税抜) | パーソナルミニ 年払いで月900円(税抜)から | 年額13,200円(税込)の1ライセンス制 | スタンダード 月額9,000円(税抜・1ユーザー)から |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月時点で各サービスの公式サイトに記載されている内容にもとづきます。「公式に記載なし」は公式サイトで確認できなかった項目で、非対応という意味ではありません。無料の条件は変更される場合があるため、申し込む前に各社の公式ページでご確認ください。
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無料で使える会計ソフト17選の詳細
17製品それぞれについて、無料の範囲がどこで終わるのかを個別に見ていきます。
ずっと0円で使い続けられる会計ソフト(無料プラン型)
料金を払わないまま使い続けられる5製品です。無料の代わりに、機能・対象・サポートのどこに線が引かれているかが製品ごとに異なります。ただし5製品のうち、公式が「ずっと無料」と肯定形で明記しているのは2製品です。残る3製品は、公式に期間の記載自体が無いか、サイト内で記載が食い違っています。該当する製品では、その旨を個別に記載しました。
5製品のうち、個人事業主専用はやよいの白色申告 オンラインと確定申告FinFinの2製品です。フリーウェイ経理Lite・JDL IBEX出納帳Major・円簿会計の3製品は、法人・個人事業主のどちらでも使えます。個人事業主の2製品は性格がはっきり違い、パソコンで白色申告を完結させたいならやよいの白色申告 オンライン、スマートフォンだけで済ませたいなら確定申告FinFinが出発点になります。
1. やよいの白色申告 オンライン(弥生株式会社)

個人事業主の白色申告に対象を絞ったクラウドソフトです。弥生株式会社が提供しており、無料の「フリープラン」に利用期間の区切りはなく、公式の製品ページにも「ずっと無料で使えるクラウド白色申告ソフト」と書かれています(2026年8月時点)。
無料の範囲は機能ではなくサポートで切られています。公式サイトのよくある質問には、ずっと0円のフリープランでもすべての機能が使え、有償プランとの違いはサポート内容のみだと記載があります。所得税の確定申告、消費税申告、インボイス対応、e-Taxによる申告まで無料のまま行えます。
ただし同じよくある質問には、3年間ログインがない場合は利用できなくなるという条件も書かれています。フリープランに契約更新の手続きはなく、期間の終了にともなう自動課金の記載もありませんが、確定申告の時期だけ開く使い方ではログインの間隔に注意が要ります。
無料で使えるのはWebのよくある質問だけで、電話・メール・チャットでの操作サポートは有料プランの契約者に限られます。上位のトータルプランでは、仕訳や業務についての相談も受けられます。
作成できる帳票は収支内訳書と確定申告書で、青色申告決算書には対応しません。青色申告に進む場合は同社の「やよいの青色申告 オンライン」へデータを引き継いで移行でき、白色申告で入力した仕訳をそのまま使えます。法人の決算に使う製品も、同社が別に用意しています。
有料プランの料金は、2026年8月時点でベーシックプランが初年度0円、トータルプランが初年度半額の年額10,500円(税別)と案内されています。キャンペーンを適用しない通常価格は公式の料金プランページに掲載されており、ベーシックプランが年額11,500円、トータルプランが年額21,000円(いずれも税別)です。
また、初年度無償キャンペーンの利用には、自動更新の決済方法として口座振替またはクレジットカード情報の登録が必要と案内されています(更新前のキャンセルは可能)。
2. フリーウェイ経理Lite(株式会社フリーウェイジャパン)

株式会社フリーウェイジャパンの会計ソフトで、無料版のほかに一般企業向けの有料版、会計事務所向けの上位版が用意されています。無料版について公式サイトは、トライアルのような期間の制限がなく、ライセンスの購入も不要で、初年度だけではなくずっと無料で使えると説明しています。
できることは無料版と有料版ではっきり分かれます。無料版で登録できる会社データは1社のみで、銀行明細からの自動仕訳・伝票形式の入力・部門別の管理は使えず、データの保存先はパソコン内だけです。決算書と試算表の出力には対応し、決算書の形式は勘定式のみとなります。
対象は個人事業主やフリーランスに限定されておらず、法人でも使えます。ただし提供形態はパソコンにインストールする型で、対応OSはWindows 11と10、Macには対応していません。
インボイス制度には無料版でも追加費用なしで対応します。一方、電子帳簿保存法の「優良な電子帳簿」の要件を満たす機能は2026年9月以降のVer8.00で提供予定とされ、対象は会計事務所向けのPro版と顧問先版のみで、無料版と企業版は対象外だと公式のよくある質問に明記されています。
無料版は操作サポートの対象外で、使えるのは無人のAIチャットとよくある質問に限られます。一定期間ログインしないと使えなくなるといった失効条件や、自動で課金に切り替わる仕組みについての記載は、公式サイトには見当たりませんでした。
クラウドへのデータ保存や自動仕訳が必要になった場合は、一般企業向けの企業版(月額3,000円、年間36,000円、いずれも税抜)に切り替えることになります。切り替えの際に無料版のデータを引き継げるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。
3. JDL IBEX出納帳Major(株式会社日本デジタル研究所)

無料で配られている理由を、提供元が公式サイトで説明しています。株式会社日本デジタル研究所は本製品を、会計事務所が顧問先企業に配って顧問先自身の記帳を進めてもらうための入口として位置づけており、入力したデータは「Web POSTBOX」で会計事務所へ送れます。
製品ページの見出しは「記帳から決算まで!フルスペック無償版の会計ソフト」で、現金出納帳・売掛帳・仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿入力から仕訳の自動生成、試算表や決算関連の財務諸表の作成までを無料で行えます。使用料に加えてバージョンアップ料もかかりません。
ただし、この「決算関連の財務諸表」に貸借対照表・損益計算書がそのまま含まれるかどうかは、公式の製品ページからは特定できませんでした。法人の決算書として使えるかを重視する場合は、申し込む前に提供元へ確かめてください。
無料でいられる期間については、トライアルや年数の区切りを示す記載が公式ページに見当たらない一方で、期間の制限がないと明言した記載も確認できませんでした。登録できる会社数・取引件数・利用人数の上限も、公式ページからは分かりませんでした。
対象は法人・個人事業主のどちらも含みます。ただし動作環境は日本語版のWindows 11のみで、ARM版のWindowsとMacには対応しません。法人税申告書の作成も本製品の範囲外で、同社が別に提供する有償製品が必要になります。
サポートの範囲は公式に明示されています。案内ページには「JDL IBEX出納帳Majorに関するお問合せはお受けしておりません」と書かれており、用意されているのはQ&A・操作マニュアル・オンラインセミナー動画といった、自分で調べて解決するための手段です。
上位の有償製品には、買い切りのJDL IBEX出納帳(79,000円・税抜)やクラウド型のJDL IBEX会計net(月額3,610円・税抜)があります。上位製品へ移る際にデータを引き継げるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。
4. 円簿会計(株式会社円簿インターネットサービス)

株式会社円簿インターネットサービスが運営するクラウド型の会計ソフトで、無料で提供できる理由を公式のよくある質問で説明しています。「弊社の無料ソフトは広告収入によって運営されています」とあり、ソフト内の各画面に置かれた広告がクリックされると広告主から報酬を受け取る仕組みだと記載されています。
ただし、無料でいられる期間の説明は公式サイトの中で食い違っています。サービス紹介ページには「※1 無料期間は新規ご登録から1年間」という脚注が付く一方、別の紹介ページには「機能限定なし、期間限定なしの無料会計ソフトです」と書かれています(いずれも2026年8月20日時点)。
サービス一覧ページの記載は「初年度無料」で、2年目以降には触れていません。3つの記載は同時に公開されており、1年を過ぎたあとにどうなるのかも含めて、公開されている情報だけでは判断がつきません。申し込む前に提供元へ直接確かめておくのが確実です。
機能は、仕訳帳・出納帳・試算表・総勘定元帳・補助元帳から年次決算・決算報告書・年次繰越までをカバーし、法人向けの決算書の作成にも対応すると公式のサービス紹介ページに明記されています。弥生会計からのデータ取込も可能です。
利用の単位は1社・1ユーザーで、複数の法人を扱う場合はログインIDを会社ごとに分ける必要があります。データはサーバー上に現会計年度を含めて7年間保存され、それを超える分はCSVで書き出して自分で保管します。
また、公式の料金表には、無料の一般プランについてストレージ100MB・AI-OCRの読み取り年10枚という上限が載っています。これが円簿会計単体に適用されるのか、上位の円簿PROを含めた区分なのかは公式ページでは区別されていません。
サポートは問い合わせフォームからで、公式のよくある質問には「個別電話での対応は行っていません」と記載され、回答できる範囲もソフトの操作方法までとされています。複数社や複数人での利用が必要になった場合は、上位版の円簿PRO(ベーシックは年額9,500円・税抜)に移ることになります。
5. 確定申告FinFin(会計バンク株式会社)

スマートフォンだけで記帳から確定申告までを終えられるようにしたアプリです。提供元は、会計ソフト大手のソリマチグループの出資により設立された会計バンク株式会社です。対象はフリーランス・個人事業主・副業で、法人向けの機能やプランの案内は公式サイトに見当たりません。
公式の料金ページに載る無料プランには期限の記載がなく、含まれる機能として画像での仕訳登録、口座・クレジットカード・電子マネーとの連携、マイナポータル連携に加え、確定申告書の提出と消費税申告書の提出(PDF出力)が明記されています。
一方、同じページには無料プランについて「無料プランでは一部機能に制限があります」という注記もあり、仕訳の登録件数や口座の連携数といった上限の中身までは公式サイトの記載から分かりませんでした。青色申告・白色申告の両方に対応することは、アプリストアの説明に記載があります。
時限式の無料トライアルという案内は見当たらず、期間の終了にともなって自動で課金される仕組みについての記載も確認できませんでした。サポートは問い合わせが無料である旨とFAQサイトが案内されていますが、電話やチャットに対応するかどうかまでは分かりませんでした。
有料プランに移る場合の料金は、公式サイトとアプリストアで表示が一致しません。公式サイトは年払いで月940円(税抜)からと案内する一方、アプリストアのアプリ内課金では別のプラン名で月1,450円と表示されています(いずれも2026年8月20日時点)。契約する経路によって金額が変わる可能性があるため、申し込む画面での確認が必要です。
一定期間だけ無料で試せる会計ソフト(無料トライアル型)
有料製品を一定期間だけ無料で使える12製品です。機能はほぼ本番と同じで、無料でいられる期間の長さ、クレジットカード登録の要否、期間終了後の扱いが選ぶうえでの分かれ目になります。
対象とする事業規模と無料が終わったあとの料金は、製品による幅が大きい点にも注意が要ります。月900円台から月額15,600円(年間換算で187,200円)まで開きがあるため、比較表の「対象」と「無料終了後の料金」の欄もあわせてご確認ください。
6. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生株式会社が2025年4月に正式リリースした法人向けのクラウド会計サービスです。会計に加えて見積書・請求書の発行、経費精算、証憑管理を1つのサービスにまとめ、それぞれのデータが会計へ自動で流れる構成をとります。対象は法人で、個人事業主には同社の別製品が案内されています。
無料体験の期間は最大2か月、1事業者につき1回までです。使えるのは上位のベーシックプラスプラン相当の機能ですが、公式サイトのよくある質問には決算書の作成・出力は利用できないと明記されています(2026年8月時点)。決算まで通しで試すことはできません。
無料体験中のサポートは、チャットとメールが使えます。同じ回答には、電話サポートと仕訳相談は利用できないとも書かれています。申込時にクレジットカードの登録が必要かどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。
期間が終わっても自動的に請求は発生せず、作成したデータは有償プランの契約後も引き継がれます。ただし同じ回答には、無料体験から有償プランへ変更する際、変更前の利用状況によっては契約変更月から従量課金が発生するという注記も付いています。
有償プランの年額は、正式リリース時点の公表値でエントリープランが34,800円、ベーシックプランが50,400円、ベーシックプラスプランが84,000円(いずれも税抜)からです。無料体験と同じ範囲を続けるなら最上位のベーシックプラスプランが対応する価格帯になります。月契約は2025年6月から選べます。
7. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識が浅い状態でも記帳できることを一貫して掲げるクラウド会計ソフトです。フリー株式会社が提供し、銀行口座・クレジットカード・POSレジなど1,000を超えるサービスと連携して取引データを取得し、決算書の作成までを同じ画面でつなぎます。
無料で試せるのは30日間です。公式サイトのよくある質問は「一部機能制限ありますが、有料プランの機能を30日間無料でお試しいただけます」と回答しており、お試し期間中も一部の機能に制限がかかることが明記されています。制限の中身は別ページに委ねられており、この回答からは分かりません。
費用面の条件は同じ回答に続けて書かれています。お試し中に従量課金の対象となる機能を使っても費用は発生せず、期間終了後に自動で費用が発生することもなく、作成したデータは有料プランの契約後も引き継がれます。申し込みにあたってクレジットカードの登録は不要で、公式のサービスページにも「クレジットカード不要」と明記されています。
対象は個人事業主から上場企業までと幅があり、法人向けは5つのプランに分かれます。サポートはひとり法人からスタンダードまでがチャットとメール、アドバンスとエンタープライズで電話と専任担当が加わる構成です。無料の期間中にどこまで相談できるかは、公式サイトでは確認できませんでした。
期間終了後の料金は、法人向けの最小構成にあたるひとり法人プランが年払いで月2,980円(税抜)、中小規模向けのスタンダードが月8,980円(税抜)からです。スターター以上は基本料金に加えて、メンバー数や利用機能に応じた従量課金が別途かかります(2026年8月時点)。
8. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

カード情報を預けずに試せることが公式サイトに明記されている製品です。株式会社マネーフォワードが提供する法人向けのクラウド会計ソフトで、公式サイトの対象は「ひとり法人・中小企業向け」、想定規模は50名以下とされています。
よくある質問「無料のトライアルの条件は?」への回答は、「1ヶ月間無料でご利用いただけます。クレジットカード登録不要で、自動的に有料のプランに移行することはありません。トライアル中に作成したデータは有料のプランへ移行後もそのまま引き継がれます」というものです(2026年8月時点)。
機能は、2,300以上の金融関連サービスと連携した明細の自動取得と、AIによる勘定科目の提案が中心です。複式簿記に対応し、仕訳帳・総勘定元帳・残高試算表などの帳簿から、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった決算書までを作成できます。
一方で、1か月のあいだに使えない機能があるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。法人向け各プランのサポート手段と対応時間についても公開情報での明示が限られており、無料の期間中に相談できる範囲は分かりません。
期間終了後の料金は年払い換算で、ひとり法人が月2,480円、スモールビジネスが月4,480円、ビジネスが月6,480円(いずれも税抜)です。ひとり法人プランは1名・年間500仕訳までで、ビジネスプランは月末時点で4名以上になると1名につき月300円(税抜)が加算されます。
9. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

金融機関の入出金明細や領収書、Excelのデータから伝票を自動で起票し、月次決算の短縮につなげる構成をとる会計ソフトです。株式会社オービックビジネスコンサルタントの奉行シリーズに属し、給与奉行・固定資産奉行・申告奉行など同社の他製品とデータ連携する前提で設計されています。
対象は小規模企業から中小企業です。処理できる伝票明細件数と機能に応じてEシステムからSシステムまでのエディションがあり、中堅企業・グループ企業・上場企業向けには上位の別製品「奉行V ERPクラウド」が用意されています。
無料で試せる期間は30日間です。公式のお試し申込ページによると、この期間は利用者1ライセンスで機能制限がなく、ガイドやヘルプサイトのほか専用のWebサポートも使えます。期間が終わっても自動で課金されることはなく、期間を使い切った場合も再度申し込めば試用を再開できます。クレジットカード登録の要否は公式サイトでは確認できませんでした。
ここで注意したいのが、お試し期間が終わったあとのデータの扱いです。公式のよくある質問には次のように記載されています。
Q 終了後、試用したデータはどうなりますか?
出典:勘定奉行クラウド 30日間無料お試し|オービックビジネスコンサルタント(2026年8月時点)
A 終了後に完全に復元不可能な状態で削除されます。
お試し中に入力した仕訳は契約後に引き継げません。この点は、トライアル中のデータをそのまま有料プランに持ち越せる製品とは扱いが異なります。実際の取引を本格的に入力するのではなく、操作感や自社の業務に合うかを確かめる目的で使うのが実情に合います。
期間終了後の料金は年額制で、最小構成のEシステムが年額93,000円(税抜)から、初期費用は0円です。次のJシステムは年額141,000円(税抜)からで初期費用が50,000円かかります。EシステムとJシステムはいずれも1ユーザーと専門家1名の利用が前提で、3名以上で使う場合の料金は公式の料金ページで問い合わせ扱いとなっています。
10. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

1980年設立のピー・シー・エー株式会社が、1980年の設立以来提供している「PCA会計」をクラウドで提供している財務会計システムです。日常の伝票入力から元帳・試算表・決算書、経営分析帳票までを作成でき、給与や販売仕入在庫など同社の他の基幹業務ソフトと同じクラウド基盤でつながります。
無料体験の期間は2か月です。体験中に使える機能の範囲、受けられるサポート、クレジットカード登録の要否、期間終了後の自動課金の有無については、公式サイトでは確認できませんでした。
製品は2つのグレードに分かれ、標準の「PCAクラウド 会計」が中小企業向け、上位の「会計 hyper」が中堅企業向けです。hyperでは複数会社を企業グループとして扱うグループ企業管理、事業別・地域別のセグメント管理、部門の階層管理が加わります。仕訳の承認機能を備え、担当者が入力して責任者が確認する運用にも対応します。
提供の形は複数から選べます。稼働率の保証が付く国内データセンター版、2021年4月に加わったPCAクラウド on AWS(月額12,600円・税抜から)、PCAサブスクがあり、体験する前にどの形で申し込むかを決めておく必要があります。
提供の形を選び直すことになった場合にデータをどう引き継げるかについて、同社は次のように説明しています。

PCAの大きな売りのひとつが、サブスク版、『PCA Arch』、クラウド版という製品ジャンルが異なっていても、データの互換性があり、画面レイアウトもまったく同じという点です。
たとえば、これまでサブスク版をお使いいただいていたお客様が、在宅ワークの増加に伴って「クラウドでみんなでデータを共有したい」となった場合、サブスク版のバックアップデータをクラウド版にそのままリカバリーしてお使いいただくことができます。他社様ですと、製品を切り替える際には丸ごと乗り換えるような形になることが多いのですが、当社の場合はデータも操作感もそのまま引き継げます。
体験後の料金は、会計 hyper のみの構成で月額15,600円(税抜)から。債権・債務管理オプションと固定資産hyperを含む推奨構成では月額34,800円(税抜)です。公式の料金ページには、この金額に導入時のインストール・操作指導・データ移行の料金は含まれないと注記されています。
11. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

30日間の無料トライアル期間中から電話サポートを利用できると案内されています。提供元は株式会社DONUTSで、勤怠管理・給与計算・経費精算などを擁するジョブカンシリーズの会計領域を担う製品です。初期費用とサポート費用はかかりません。
操作はパッケージソフトの使い勝手を踏襲しており、キーボード中心の入力と自動集計、複数帳簿のタブ表示、前年度参照といった作りになっています。試算表では月次・期間・年間推移・前年比較を確認でき、部門別の集計にも対応します。
決算まわりでは、固定資産管理と決算書の作成に対応し、損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書・個別注記表を作れます。キャッシュ・フロー計算書は最上位のエンタープライズプランの範囲です。銀行・クレジットカード明細の自動取込、インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応します。
対象は中小企業・スタートアップ・個人事業主が中心で、法人と個人の双方の決算書作成に対応します。一方、トライアル中に制限される機能があるか、クレジットカードの登録が要るか、30日を過ぎたあとに自動で課金されるかは、公式サイトでは確認できませんでした。支払い方法は銀行振込とクレジットカード決済です。
トライアル後の料金は、スタートアップが3ユーザーまで月2,500円、ビジネスが5ユーザーまで月5,000円、エンタープライズがユーザー数の上限なしで月50,000円。税抜・税込の別は公式の料金案内では確認できませんでした。ビジネス以上では権限管理・承認・履歴管理が加わります。
12. かんたんクラウド会計(株式会社ミロク情報サービス)

株式会社ミロク情報サービスが、スタートアップ・中小企業・小規模事業者に向けて提供するクラウドの会計ソフトです。会計事務所が顧問先に導入して遠隔からサポートする運用にも対応しており、事務所側のシステムとデータをやり取りできます。
公式の製品ページに載る科目体系は「個人(一般・医療・不動産)」と「法人(一般・工事・医療)」の両方で、法人専用ではありません。ただし個人の確定申告書を作る別製品「かんたんクラウド確定申告」は、令和4年分の申告書の作成をもって提供を終了しています。個人事業主が使う場合は、記帳と決算書の作成までを担う製品と考えておくのが実態に合います。
申し込むと2か月間の無料試用期間が始まります。公式ページには「無料試用期間はクレジットカードの登録は不要です」と明記されており、カード情報を登録せずに始められます。
ただし制限が1つ明示されています。公式ページの記載は「オプションについては無料試用期間中は申込できません。有料プランへ移行後に申込可能となります」というもので、電話とオンライン遠隔操作によるサポート(月額360円)もオプションの扱いです。無料試用期間中の標準サポートは、24時間受付のメールと平日9〜17時のチャットになります。
機能面は、仕訳入力・出納帳・振替伝票に加え、銀行口座とクレジットカードの自動連携、レシート画像から日付・金額・電話番号を読み取る自動仕訳まで。取引例があらかじめ登録されているため簿記の知識がなくても入力できるとしており、決算書の作成、消費税精算表、資金繰表にも対応します。
試用期間後の料金は、基本のBasicが月2,160円(年額21,600円)、財務分析・工事管理などが加わるPlusが月3,000円(年額30,000円)、いずれも税抜です。標準で3アカウント使え、追加は1名あたり月240円。試用期間の終了時に自動で課金されるか、入力したデータを引き継げるかは、公式サイトでは確認できませんでした。
13. 会計王(ソリマチ株式会社)

無料の期間が終わったあとに毎月の支払いを続けたくない場合の選択肢になります。ソリマチ株式会社の会計王は44,000円(税込)でソフト本体を買い切る形をとっており、月額や年額の利用料は発生しません。
無料で試せるのは30日間の無料体験版で、公式の製品ページからダウンロードして使います。体験版で使える機能の範囲、体験終了後に入力したデータを製品版へ引き継げるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。クレジットカードの登録や自動課金についての記載も見当たりませんでした。
提供の形はWindowsパソコンにインストールする型で、対応OSはWindows 11のみ、Macでは動きません。ブラウザだけで完結するクラウド版は用意されておらず、銀行・クレジットカードの明細を取り込むMoneyLinkやデータ保管の安心データバンクなど、周辺の機能がクラウドを使う構成です。対象は中小企業と個人事業主です。
記帳から決算・申告までを1本でカバーし、貸借対照表と損益計算書のリアルタイム集計、減価償却資産管理、手形管理、資金繰り、部門管理、5期分析に対応します。消費税申告は原則課税・簡易課税のどちらの方式でも出力でき、個人事業主向けに青色申告決算書と収支内訳書も作成できます。
サポートは購入時に最大15か月の電話サポートが無償で付き、受付時間は平日10:00〜17:00です。2年目以降も同じサポートと最新バージョンの提供を受けるには、年間保守「バリューサポート」の更新(メーカー標準価格 税込38,500円)が必要になります。
14. やよいの青色申告 オンライン(弥生株式会社)

先に挙げたやよいの白色申告 オンラインと同じ弥生株式会社の製品ですが、無料の性質が違います。青色申告オンラインに期間の区切りがないプランはなく、セルフプランとベーシックプランの初年度が0円という形です。2年目以降は有償になります。
公式サイトのよくある質問には「『やよいの青色申告 オンライン』は、どのプランでもすべての製品機能が使えます。消費税申告、所得税の確定申告、インボイス対応、e-Taxによる申告など、すべての機能が初年度0円です」とあります。プランの違いはサポート内容だけなので、1年目は機能の制限なく確定申告まで終えられます。
これとは別に最大2か月間の無料体験版も用意されていますが、こちらは決算・申告機能が使えません。確定申告まで無料で通したい場合は、体験版ではなく初年度0円のプランで申し込む必要があります。申し込みにあたっては、公式の料金プランページに「初年度優待価格のご利用には、自動更新の決済方法として、口座振替またはクレジットカード情報のご登録が必要です」と記載されています。
1年が終わったあとの扱いも同じよくある質問に書かれています。自動的に引き落とされるかという問いへの回答は「いいえ。ご案内せずに勝手に引き落とされることはありません。次年度の契約終了の前月に、次回の更新についてメールでご案内いたします。契約終了月の前月末日までにWeb(オンライン)上でキャンセル可能です」というものです。
対象は個人事業主・フリーランスで、法人の決算には同社の別製品が案内されています。サポートは、セルフプランがWebのよくある質問のみ、ベーシックプランで電話・メール・チャット・画面共有による操作サポート、トータルプランで仕訳や確定申告の進め方の相談まで広がります。
2年目以降の年額は、セルフプランが11,800円、ベーシックプランが22,800円(いずれも税抜)。トータルプランは初年度半額の年額19,800円(税別)と案内されています(2026年8月時点)。他社の申告ソフトから書き出したCSV形式の仕訳データを取り込めるとも記載があります。
15. マネーフォワード クラウド確定申告(株式会社マネーフォワード)

個人事業主・フリーランス向けに、法人向けのクラウド会計とは別建てで用意された確定申告ソフトです。株式会社マネーフォワードが提供し、プランはパーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラスの3段階に分かれます。
無料で試せるのは1か月間で、クレジットカードの登録は不要です。公式サイトは「1ヶ月無料のトライアルで パーソナルプラン相当の機能をお試し」と案内しており、トライアル終了後に自動的に有料プランへ移行して請求が発生することはなく、作成したデータはそのまま引き継がれると明記されています。ただし「無料のトライアル期間中は一部ご利用いただけない機能があります」という注記もあります。
銀行口座やクレジットカードなど2,300以上のサービスと連携して明細を取得し、青色申告決算書・収支内訳書・確定申告書の第一表から第四表までを作成できます。e-Tax連携は全プランに付き、マイナンバーカードの読み取りから提出までをスマートフォンアプリだけで終えることも可能です。農業所得用の決算書には対応しません。
プランの違いは消費税申告の可否とサポートです。消費税申告(インボイス制度対応)が使えるのはパーソナルプラン以上で、パーソナルミニでは利用できません。電話サポートが付くのは年払いのみのパーソナルプラスで、下位2プランはメールとチャットに限られます。
お試し期間後の料金は年払いで、パーソナルミニが月900円、パーソナルが月1,280円、パーソナルプラスが月2,980円(いずれも税抜)です。月払いはパーソナルミニが月1,280円、パーソナルが月1,680円です。解約費用や最低利用期間の縛りはないと公式の料金ページに記載があります。
16. ジョブカン青色申告(株式会社ジョブカン会計)

「ツカエル青色申告オンライン」が2024年2月に改称した製品で、株式会社ジョブカン会計が提供する個人事業主向けのクラウド青色申告ソフトです。1ライセンスで最大3名まで同時に利用できます。
新規登録から30日間、全機能を無料で使えます。対応する書類は青色申告決算書(一般・不動産・農業・兼業)、確定申告書、消費税申告書で、最大65万円の青色申告特別控除に対応すると公式サイトに明記されています。2024年4月には「優良な電子帳簿保存」の要件を満たすソフトとしてJIIMA認証も取得しています。
無料の期間中に確かめておきたいのが電子申告の進め方です。e-Taxはソフトから直接送信するのではなく、e-Tax用ファイル(拡張子.xtx)を書き出し、国税庁のe-Taxソフトに取り込んで送信する方式をとります。ソフト内で提出まで完結する製品を想定していると、実際の手順が変わります。
サポートの受付時間は平日9:30〜17:00で、当日中の返信を目安にしていると公式サイトに記載があります。電話やチャットに対応するかどうかは公式サイトでは確認できませんでした。クレジットカード登録の要否と、30日を過ぎたあとに自動で課金されるかどうかについての記載も見当たりませんでした。
無料期間が終わったあとも、入力済みの帳簿の閲覧は続けられます。ただし新規入力や帳票の出力を続けられるかは公式サイトでは確認できませんでした。有料は年額13,200円(税込)の1ライセンス制で、月額課金の設定はありません。
17. PCA Arch 財務経理(ピー・シー・エー株式会社)

先に挙げたPCAクラウド 会計と同じピー・シー・エー株式会社の製品ですが、別ブランドで料金体系も異なります。財務会計に経費精算・固定資産管理・債権債務管理を1つのプランへ統合し、チャット型のAIアシスタントを標準で搭載した構成です。
無料体験は2か月です。公式のよくある質問には「2ヶ月間無料でご利用頂くことができ、体験利用後に『PCA Arch』『PCAクラウド』のご注文・ご契約をして頂いた場合には、その環境のまま本番稼動することも可能です」とあり、体験中に入力したデータを入れ直さずに本番の環境へ移せることが読み取れます。
一方で、体験中の機能制限の中身、クレジットカードの登録の要否、期間終了後に自動で課金されるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。有償契約は体験とは別の申込ページから、決済代行サイトでの登録を経て進む流れになっています。
対象として公式が挙げるのは「財務経理業務を効率化したい中堅・中小企業」で、中小企業向けのスタンダードと、グループ企業管理・セグメント管理が加わるエンタープライズの2段階です。1,300以上の金融機関と連携した自動仕訳、4段階までの承認、9形式の帳簿入力に対応します。個人事業主が申し込めるかどうかは公式サイトでは確認できませんでした。
製品内のAIチャットは24時間365日回答しますが、体験期間中に電話サポートを受けられるかについては公式サイトに記載がありません。公表されている電話窓口は保守サポート契約者向けのものです。体験後の料金は1ユーザーの場合、スタンダードが月額9,000円、エンタープライズが月額15,000円(いずれも税抜)からです。経費精算やAI-OCRは件数・人数に応じた別料金のオプションです。
無料で使っても電子帳簿保存法・インボイス制度の義務は変わらない
ここまで各製品の対応状況を見てきましたが、制度の側から見ると事情が少し違います。ソフトが「対応」をうたっているかどうかと、事業者が守るべき義務があるかどうかは別の話だからです。
電子取引データの保存義務は無料プランでもなくならない
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)第7条は、電子取引を行った場合のデータ保存を次のように定めています。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条|e-Gov法令検索
義務を負うのは「所得税及び法人税に係る保存義務者」であり、条文には使っている会計ソフトの料金体系は登場しません。国税庁も、電子帳簿等保存制度を3つに区分したうえで、電子取引データ保存だけを「法人・個人事業者は対応が必要」と位置づけています。
税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度を電子帳簿等保存制度といい、 ①電子帳簿等保存 【希望者のみ】②スキャナ保存 【希望者のみ】③電子取引データ保存 【法人・個人事業者は対応が必要】の3つの制度に区分されています。
出典:電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?(令和8年6月)|国税庁
ここが製品表示を読むときの基準点になります。①電子帳簿等保存と②スキャナ保存は希望者だけの制度なので、無料プランがこれらに対応していなくても法令上の問題は生じません。対応が必要なのは③だけです。メールやWebサイトで受け取った請求書・領収書・注文書などがこれにあたり、仕入以外の水道光熱費や旅費交通費に関するものも保存の範囲に含まれます。

③電子取引データ保存には3つのルールがあります。
① 改ざん防止のための措置をとること
出典:電子取引データを適切に保存できていますか?(令和6年11月)|国税庁
② 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること
③ 「⽇付・⾦額・取引先」の3つの要素で検索できること
このうち改ざん防止措置は、タイムスタンプや訂正・削除の履歴が残るシステムを使う方法のほかに、事務処理規程を定めて運用する方法が認められています。同じ資料には「専用のシステムを導入しない方法もあります!」という一文が添えられており、ソフトの機能に頼らずに要件を満たす道が公式に示されています。
国税庁は規程のサンプルを法人の例と個人事業者の例の2種類で配布しているため、これを自社の名称に置き換えて備え付ければ対応できます。
③の検索要件についても、基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者は、データのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば満たす必要がありません。それに満たない場合でも、表計算ソフトで索引簿を作る方法や、日付・金額・取引先の順にファイル名を付けて特定のフォルダにまとめる方法が認められています。
原則的なルールへの対応が間に合わない場合の猶予措置もあります。所轄税務署長が相当の理由があると認め、税務調査の際にデータのダウンロードと出力書面の提示に応じられる状態であれば、データを保存しておくだけで足りるという扱いです。事前の届出は不要で、「人手不足」「システム整備の資金不足」も相当の理由として認められると案内されています。
ただし、この猶予措置を紙での保存でよいという意味に受け取らないよう注意が必要です。かつて存在した宥恕措置は令和5年12月31日で廃止されており、現在の猶予措置では出力書面だけの保存は認められていません。
このように、令和5年12月末までに行う電子取引を対象とした宥恕措置では、出力書面のみを保存する方法で対応することが認められていましたが、令和6年1月以降に行う電子取引を対象とした猶予措置では、出力書面のみを保存することで対応することは認められておらず、出力書面の提示等に加え、電子データそのものも保存しておき、提示等ができるようにしておく必要がありますので、そのために必要な準備をお願いします。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問89(令和8年7月)|国税庁
製品が「電子帳簿保存法対応」と表示している場合、それが3区分のどれを指すのかを確かめる価値があります。第三者の認証を受けていても、電子取引データ保存の機能要件を認証するものと、優良な電子帳簿の機能要件を認証するものは別に分かれています。国税庁の一問一答には、認証を受けたソフトでも初期設定のままでは機能要件を満たさない場合や、設定を変更したことで満たさなくなる場合がある旨の注意も置かれています。
電子取引データの保存に対応しないまま税務調査を迎えた場合に何が起こるのか、また、取引の経路や書類の洗い出しから何を順に進めればよいのかまで確認したい場合は、以下の記事で整理しています。
出典・参考資料(7件)
インボイス(適格請求書)の保存と帳簿の要件
消費税の申告をする事業者にとっては、インボイス制度の保存要件も無料か有料かに関わらず適用されます。
課税仕入れ等に係る消費税額を控除するには、その事実を記載し、区分経理に対応した帳簿および事実を証する請求書等の両方を保存する必要があります。この請求書等には、適格請求書、適格簡易請求書のほか、仕入明細書等やそれらの電磁的記録を含みます。
出典:No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存|国税庁
ここで押さえておきたいのは、保存が必要なのは請求書等だけではなく帳簿もセットだという点です。無料の会計ソフトで作った帳簿がこの要件に沿った記載になっているかは、実際に消費税の申告を行う段になって効いてきます。
保存期間は、帳簿はその閉鎖の日、請求書等は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から、いずれも7年間です。6年目と7年目についてはどちらか一方を保存すれば足ります。無料プランにデータの保存期間の上限がある場合、この年数との兼ね合いで自分側での書き出しと保管が必要になります。
ただし、令和11年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れについては、帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められる措置(少額特例)があります。少額の仕入れが中心の小規模な事業者は、おおむねこの対象に入ります。請求書等の保存より、帳簿を7年間持ち続けられるかどうかのほうが、実務上の課題になりやすい点です。
出典・参考資料(3件)
無料の会計ソフトを使うメリット
無料の会計ソフトで始めることの価値は、費用面だけではありません。ここでは費用以外も含めて見ていきます。
コストをかけずに帳簿付けを始められる
費用がかからないことの実質的な価値は、金額そのものより合わなかったときに乗り換えられることにあります。会計ソフトは自分の取引を実際に入力してみないと使い勝手が分からず、年間契約を結んだあとで合わないと気づくと、次の更新まで使い続けるか支払った分を捨てるかの二択になります。無料で始めれば、この判断を金銭的な損なしにやり直せます。
手書き・エクセルより転記ミスが減り、決算前の作業が軽くなる
仕訳を1回入力すれば、総勘定元帳・補助元帳・試算表・決算書までが連動して作られます。エクセルでは、集計式の参照範囲がずれる・行を挿入したときに数式が追随しないといった原因で数字が合わなくなることがあります。会計ソフトでは貸借の一致がその場で検証されるため、間違いが決算前まで持ち越されにくくなります。
紙の帳簿や表計算ソフトで管理してきた事業者にとっては、無料の製品であってもこの効果は同じように得られます。
税制改正への対応が自動で反映される
税制や会計に関わる制度は毎年のように見直されます。消費税率の扱い、インボイス制度に関わる経過措置、控除額の変更などを自分で追いかけて帳簿の様式に反映するのは、本業の合間では負担が大きい作業です。
クラウド型の会計ソフトは、提供元が制度の変更に合わせてプログラムを更新するため、利用者側の作業なしに新しい様式や計算方法が反映されます。無料プランでもこの更新の対象に含まれる製品が多く、費用をかけずに制度への追従を任せられます。インストール型の場合も、無料でプログラムの更新が提供される製品があります。
ただし、製品が「電子帳簿保存法に対応」と書いているとき、それが3つの区分のどれを指すのかには幅があります(前節を参照してください)。
無料の会計ソフトの注意点
費用がかからない代わりに、使い始めたあとで効いてくるリスクもあります。
提供終了や仕様変更で使えなくなることがある
無料で提供されているサービスは、提供元にとって直接の収益を生まない場合があります。そのため、事業の見直しによって提供が終了したり、無料だった範囲が有料に変わったりする可能性が、有料製品よりも高くなります。
実際に提供が終了すると、それまで入力してきた帳簿を別の製品に移す作業が必要になります。移行の期限は提供元が示す終了日までで、決算期と重なると負担が大きくなります。
備えとしては、仕訳データを定期的にCSVなどの形式で書き出して手元に保存しておくことです。提供が続いている間にデータを自分の手元に持っておけば、万一のときも入力し直しにはなりません。
利用人数・端末数・データの保存に制限がある
無料プランには、使える規模の上限が設けられていることがあります。同時に使えるユーザーが1名まで、登録できる会社データが1社まで、保存できるデータの容量に上限がある、といった形です。
データの保存期間に区切りがある製品もあります。一定の年数を超えた分は自分で書き出して保管するよう案内されている場合、帳簿の保存義務との関係で自分側の管理が必要になります。
インストール型では、データがそのパソコンの中だけに保存される製品があります。この場合、パソコンが故障するとデータも失われるため、外付けの記録媒体やクラウドストレージへのバックアップを自分で用意することになります。
つまずいたときに聞ける相手がいない
無料プランでサポートが受けられない製品では、操作に迷ったときに自分で解決する必要があります。会計ソフトの操作以前に、この取引をどの勘定科目で処理すべきかという簿記の判断でつまずくことも少なくありません。
備え方は2つあります。1つは、提供元が公開しているよくある質問やマニュアル、操作を説明した動画が充実しているかを申し込む前に見ておくことです。もう1つは、無料の期間中にサポートを試せる製品を選び、実際に問い合わせてみて回答の速さと分かりやすさを確かめることです。
簿記の判断そのものに不安がある場合は、記帳は自分で行い、決算と申告の局面だけ税理士に相談する形も選べます。この場合も、使っている会計ソフトのデータを渡せるかどうかが実務上の条件になります。
無料で足りる人と、有料を検討したほうがよい人
自分が無料の範囲で足りるのかどうかを判断する目安を整理します。
無料のままで足りるケース
次のような状況であれば、無料の会計ソフトで実務が回ります。
- 取引の件数が月に数件から十数件程度で、手入力でも負担にならない
- 帳簿を触るのが自分1人で、複数人での同時利用や権限の分担が要らない
- 簿記の基礎が分かっている、または調べながら進めることに抵抗がない
- 個人事業主で白色申告を選んでいる、あるいは事業を始めたばかりで会計ソフトの操作に慣れる段階にある
ひとり法人や、開業して間もない個人事業主の多くはこの範囲に収まります。無理に有料の製品を選ぶ必要はありません。
無料では足りなくなるサイン
一方で、次のような状態になったら有料への切り替えを考える時期です。
- 入力の手間が無視できなくなった:取引が増え、銀行明細を1件ずつ手で入力する時間が本業を圧迫している。自動取り込みと自動仕訳が使える有料プランに移ると、この時間はまとまって減ります
- 使える人数や会社数の上限に達した:経理担当を採用した、顧問税理士とデータを共有したい、2社目を設立した、といった変化があった場合、無料プランの上限が壁になります
- 法人税申告まで自社で行う必要が出てきた:会計ソフトの無料プランでは申告書の作成まで届かないため、申告に対応した製品の契約か、税理士への依頼を検討することになります
- 相談できる相手が必要になった:判断に迷う取引が増え、自分で調べる時間のほうが高くついていると感じたら、サポート込みのプランに移る価値があります
有料でも月1,000円台から選べる
無料か有料かは二者択一ではありません。個人事業主向けのクラウド会計ソフトには、年払いで月あたり1,000円前後から使える製品があり、法人向けでも月額数千円の価格帯から選べます。
この価格帯であれば、銀行明細の自動取り込みや自動仕訳、チャットやメールでのサポートまで含まれることが一般的です。入力に毎月数時間かけているのであれば、その時間を本業に戻せる金額として見合うかどうかで判断できます。
無料プランで会計ソフトの操作に慣れてから、必要になった時点で同じ提供元の有料プランに移る進め方であれば、最初から高い製品を選ぶ必要はありません。各製品の無料が終わったあとの料金は比較表に記載しています。
個人事業主・フリーランスの方が、無料の範囲を超えたあとの年間コストで製品を比べたい場合は、支払額とプラン構成を横並びにした以下の記事が参考になります。
無料から有料に切り替えるときのデータ引き継ぎ
無料で始めたあとに切り替える段になって困らないよう、データの引き継ぎについて整理します。
同じ製品の有料プランに移る場合
同じ製品の中でプランを上げる場合、入力済みの仕訳データがそのまま引き継がれる設計が一般的です。無料の期間に入力した内容が無駄にならないため、切り替えの負担は最も小さくなります。
ただし、無料プラン用の製品と有料の上位製品が別製品として提供されている場合は、プランの変更ではなく製品の乗り換えになります。この場合もデータの引き継ぎ手順が用意されていることが多いものの、契約の切り替えにかかる費用や手続きがプランごとに異なることがあるため、事前に提供元の案内を確かめておきます。
もう1点、無料の期間中の利用状況によっては、有料プランに移った月から従量課金が発生する場合があります。証憑の読み取り枚数のように月ごとの無料上限が決まっている機能を無料期間中に多く使っていると、切り替え直後に追加の費用が乗ることがあります。
別の製品に乗り換える場合(書き出せるデータの範囲)
提供元が変わる乗り換えでは、データを一度書き出して新しい製品に取り込む作業が必要です。多くのクラウド会計ソフトはCSV形式でのデータの取り込みに対応しているため、仕訳データの移行自体は可能です。
作業として発生するのは、書き出したデータの列の並びや勘定科目の名称を、取り込む側の製品が指定する形式に整えることです。勘定科目の名称や補助科目の設定は製品ごとに異なるため、対応表を作って置き換える手間がかかります。
過去のデータをすべて移すことにこだわらず、新しい年度の期首残高だけを登録して新しい製品で始める方法もあります。過去分は書き出したファイルとPDFで保管しておけば、必要になったときに参照できます。移行にかかる時間を本業から捻出しにくい場合は、この進め方のほうが現実的です。
移行に適した時期(期首・年度の区切り)
切り替える時期は、事業年度の区切りに合わせるのが最も負担の少ない選び方です。
年度の途中で移行すると、その年度の帳簿が2つの製品に分かれます。決算のときに両方から数字を集めて突き合わせる作業が発生し、残高の照合にも手間がかかります。期首から新しい製品を使い始めれば、その年度の帳簿は1つの製品の中で完結します。
無料トライアルを使って移行先を検討する場合は、期首から逆算した申し込み時期の設定が要ります。30日や2か月という期間は、実際の取引を入力して使い勝手を確かめるには短いこともあるため、確かめたいことを先に決めてから始めると期間を有効に使えます。
まとめ
無料で使える会計ソフトは、料金を払わないまま使い続けられる無料プラン型と、有料製品を一定期間だけ試せる無料トライアル型に分かれます。前者は無料でいられる期間に区切りがない代わりに、機能・対象・サポートのどこかに線が引かれ、後者は機能がほぼ本番と同じである代わりに期間の終わりが決まっています。
選ぶときは、自分が法人か個人事業主か、どの書類まで作る必要があるか、取引が月にどれくらいあるか、つまずいたときに聞ける相手が必要かを先に決めることです。そのうえで、必要な帳票が無料の範囲に入っているかを製品ページと料金ページで確かめます。
取引が少なく1人で帳簿を触るのであれば無料プラン型で実務が回ります。入力の手間を減らしたい、複数人で使いたい、サポートが要るという場合は、無料トライアル型で使い勝手を確かめてから有料に移るほうが結果的に早く軌道に乗ります。法人税申告書の作成は会計ソフトの標準機能とは別に扱われるため、無料の外で何を手当てするかも合わせて決めておきます。
無料の条件は変わりやすいため、申し込む直前に製品ページ・料金ページ・よくある質問の3か所で最新の記載を確かめてください。
無料の範囲では足りないと判断された場合は、クラウド会計ソフトの資料をまとめて取り寄せ、有料製品の料金と機能を並べて検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 無料で使える会計ソフトとは何ですか?
A. 無料で使える会計ソフトとは、料金を払わずに仕訳の入力や帳簿・決算書の作成ができる会計ソフトです。
提供のされ方は、期間の区切りなく0円で使い続けられる無料プラン型と、有料製品を一定期間だけ無料で試せる無料トライアル型の2つに分かれます。同じ「無料」でも、無料でいられる期間・使える機能・対象となる事業者・受けられるサポートのどこに線が引かれているかは製品ごとに違います。自分が必要とする作業が無料の範囲に入っているかは、製品単位での確認が欠かせません。
Q. 無料で使える会計ソフトの「無料プラン」と「無料トライアル」は何が違いますか?
A. 無料プランは期間の区切りがなく、料金を払わないまま使い続けられる仕組みで、無料トライアルは有料製品を30日〜2か月程度だけ無料で試せる仕組みです。
使える範囲にも違いがあります。無料プランは無料の代わりに機能・対象・サポートのいずれかが絞られているのに対し、無料トライアルは機能がほぼ本番と同じである代わりに、期間が終われば有料契約に進むか使うのをやめるかを選ぶことになります。トライアルでは期間終了後に自動で課金される設計かどうか、クレジットカードの登録が必要かどうかも製品によって異なるため、申し込む前に確かめておくと安心です。
Q. 法人でも無料で使える会計ソフトはありますか?
A. 法人が使える無料の会計ソフトはあります。ただし無料で届くのは日々の記帳から決算書の作成までで、法人税申告書の作成は会計ソフトの無料プランの外にあります。
無料プラン型には、対象を個人事業主に限定せず法人の記帳にも使える製品があります。一方で、無料プランでは登録できる会社データが1社までという制限が付く製品や、帳簿は無料で付けられても決算書の出力だけは有料という製品もあります。法人にとって決算書は必ず作る書類なので、この点は候補を絞る段階で確かめておきたいところです。
Q. 無料の会計ソフトだけで法人税の申告まで終えられますか?
A. 法人税の申告は会計ソフトの無料プランの中では完結しませんが、申告そのものに必ず費用がかかるわけではありません。
法人税法第74条は、確定した決算に基づく申告書の提出を定めており、決算書はその申告書の添付書類にあたります。決算書を作ることと申告書の別表を作ることは別の作業で、後者は会計ソフトの無料プランに含まれていないのが実情です。
手当ての方法は、国税庁が提供するe-Taxソフト(ダウンロードして使う型)で自分で別表を作成・送信する、申告書作成に対応した有償製品を別途契約する、決算と申告だけ税理士に依頼する、の3つが実務上の選択肢になります。
e-Taxソフトは法人税申告書の別表作成に対応しており、e-Taxを利用するための税務署への手続自体に費用はかかりません(通信費用や電子証明書の取得費用などの付随費用は別途必要です)。
出典・参考資料(3件)
Q. 青色申告に対応した無料の会計ソフトはありますか?
A. 青色申告に必要な複式簿記の記帳と青色申告決算書の作成に対応する製品はありますが、いずれも無料でいられる期間に終わりがあり、期間の区切りなくずっと0円で使えるものは確認できませんでした。初年度だけ料金がかからないもの、30日〜1か月の無料トライアルにとどまるものに分かれます。
白色申告であれば、収支内訳書と確定申告書の作成からe-Taxによる送信まで無料プランで完結できる製品があります。
青色申告特別控除は、令和8年分までは複式簿記による記帳と決算書の添付で55万円、これに加えて確定申告書等をe-Taxで提出するか優良な電子帳簿の要件を満たして届出書を出すと65万円、いずれにも該当しない場合は10万円という区分です。
使う製品が無料で複式簿記に対応しているか、e-Taxで送信できるかが、そのまま控除額の差になります。
令和9年分の所得税からは区分が組み替わり、55万円の区分がなくなってe-Taxでの送信が65万円控除の要件に組み込まれます。
最大75万円の控除を受けるには、複式簿記とe-Taxに加えて優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存の要件を満たし、届出書と青色申告承認申請の手続も必要です。また簡易簿記による10万円控除は、前々年分の不動産所得または事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える場合、対象から外れます。
出典・参考資料(2件)
Q. 無料の会計ソフト選びは、個人事業主と法人で違いますか?
A. 違います。個人事業主は申告方式(白色か青色か)と確定申告書まで無料で作れるかどうか、法人は決算書を無料で出力できるかと法人税申告をどう手当てするかが、それぞれ判断の中心になります。
個人事業主向けの製品では、白色申告用と青色申告用が別製品として用意されていることがあり、選び間違えると必要な決算書を作れません。法人の場合は、これに加えて登録できる会社データの数や同時に使えるユーザー数の上限、顧問税理士とデータを共有できるかも見ておく必要があります。対象が合っていない製品どうしを機能や料金で比べても答えは出ないため、立場の確認を最初に済ませるのが近道です。
Q. 無料の会計ソフトは電子帳簿保存法やインボイス制度に対応していますか?
A. 対応の範囲は製品ごとに異なりますが、どの製品を使っていても電子取引データを電子のまま保存する義務はなくなりません。
国税庁は電子帳簿等保存制度を3つに区分しており、電子帳簿等保存とスキャナ保存は希望者のみの制度で、法人・個人事業者が対応を求められるのは電子取引データ保存だけです。
この保存に必要な改ざん防止措置は、専用のシステムを使わずに事務処理規程を定める方法でも認められており、国税庁が規程のサンプルを公開しています。
検索要件についても、基準期間の売上高が5,000万円以下であればデータのダウンロードの求めに応じられる状態にしておけば足ります。
注意したいのは、紙に出力して保存すれば済むわけではない点です。かつての宥恕措置は令和5年12月31日までに行う電子取引が対象で、令和6年1月以降の電子取引を対象とする猶予措置では、出力書面のみを保存する方法は認められていません。インボイス制度についても、仕入税額控除を受けるには区分経理に対応した帳簿と適格請求書等の両方を保存する必要があり、これは無料か有料かに関わらず適用されます。
出典・参考資料(3件)
Q. 無料の会計ソフトで付けた帳簿でも、税務上の問題はありませんか?
A. 帳簿に求められる要件は法令で定められており、使った会計ソフトの料金とは関係ありません。必要な記載事項を満たした帳簿を作成し、定められた期間保存できていれば、無料のソフトで付けたことが理由で問題になることはありません。
むしろ実務上の分かれ目になるのは、保存を続けられるかどうかです。無料プランのなかにはデータの保存期間に上限がある製品や、一定期間ログインしないと利用できなくなる製品があります。消費税の仕入税額控除のために保存する帳簿・請求書等の保存期間は、原則7年間です(白色申告者が保存する書類は5年)。この年数を無料の範囲でまかなえない場合は、自分でデータを書き出して手元に保管しておく必要があります。
あわせて、電子取引データの保存義務は無料か有料かにかかわらず課されます。この点は本記事の「無料で使っても電子帳簿保存法・インボイス制度の義務は変わらない」で整理しています。
Q. 会計ソフトの代わりにエクセルで帳簿を管理できますか?
A. エクセルでも帳簿を付けること自体はできますが、取引が増えるほど集計や決算書の作成に手間とミスが生じやすく、仕訳を1回入力すれば元帳・試算表・決算書まで連動する会計ソフトのほうが実務は軽くなります。
白色申告の記帳については、国税庁も「一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよい」と案内しているため、取引が月に数件であればエクセルでも実務は回ります。
一方、複式簿記が前提となる青色申告や法人の決算では、貸借の一致の確認や総勘定元帳の作成が必要になり、表計算ソフトでは数式のずれを探す作業が決算前の時間を消耗させます。
費用をかけずにこの負担を減らせる点が、無料の会計ソフトを使う意味です。ただし、エクセルで管理する場合も電子取引データを保存する義務は同じように生じます。
出典・参考資料(1件)
Q. 無料の会計ソフトは、本当にずっと0円のまま使えますか?
A. 今回調べた5製品のうち、公式サイトが「ずっと無料」と肯定形で明記しているのは2製品でした。残る3製品は、期間についての記載が公式に見当たらないか、同じ公式サイトの中でページによって無料期間の説明が食い違っています。
食い違いを見つけたときは、どちらかを信じて申し込まず、提供元の問い合わせ窓口で自分の使い方を伝えて確認してください。「1年間無料」という案内も、恒久的な無料プランを指すのか初年度だけのキャンペーンを指すのかで意味が変わるため、その場で聞く価値があります。
使い始めたあとに条件が違っていたと分かると、入力した帳簿を別の製品に移し替える作業が発生します。確認にかかる数分のほうが、あとから発生する作業よりはるかに軽く済みます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















