予算管理システムの導入には月額数万円から、規模によっては数十万円のコストがかかります。まずは手元のExcelやスプレッドシートで自作できないか、あるいは今の運用をもう少し続けられないかを見きわめたい経理・経営企画の担当者は少なくありません。導入の前に「自作でどこまでやれるのか」を確かめておきたい、という関心です。
結論から言えば、予実管理表そのものはExcelやスプレッドシートで自作できます。勘定科目ごとに予算・実績・差異を並べ、SUMIFS関数で実績を自動集計し、IF関数と条件付き書式で予算超過を知らせる仕組みまでは、専用システムがなくても組めます。一方で、部門をまたいだ集約やリアルタイムの着地見込みが必要になると、自作では手間と属人化が急に重くなります。
この記事では、予実管理表を自作する具体的な手順を、表の列構成・使う関数・シートの分け方・テンプレートの入手先まで示します。そのうえで、自作がどこで立ちゆかなくなるのか、専用システムへ切り替える見きわめはどこにあるのかを、自社の規模・部門数・更新頻度に当てはめて判断できる形で整理します。
目次
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予実管理表を自作する(表構成・必要項目・関数・シート設計・テンプレート)
ここからは、予実管理表をExcelやスプレッドシートで自作する手順を、実際に手を動かす順に解説します。表の型を決め、中身の科目を埋め、関数で集計を自動化し、シートを分け、最後にテンプレートで時短する、という流れです。
予実管理表の基本構成(列と行の型)
予実管理表の骨格は、行に勘定科目、列に「予算・実績・差異・差異率」を並べる形が基本です。差異は「実績−予算」、差異率は「差異÷予算」で求めます。売上のように多いほど良い科目はプラスの差異が好ましく、費用のように少ないほど良い科目はプラスの差異が予算超過を意味するため、科目の性質に応じて差異の読み方を分けて見ます。
ある月の予実管理表を例にすると、次のような並びになります。
| 勘定科目 | 予算 | 実績 | 差異 | 差異率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,000,000 | 9,400,000 | -600,000 | -6.0% |
| 売上原価 | 4,000,000 | 3,900,000 | -100,000 | -2.5% |
| 売上総利益 | 6,000,000 | 5,500,000 | -500,000 | -8.3% |
| 販管費(人件費) | 2,500,000 | 2,550,000 | 50,000 | 2.0% |
| 販管費(外注費) | 800,000 | 900,000 | 100,000 | 12.5% |
| 販管費(経費) | 700,000 | 680,000 | -20,000 | -2.9% |
| 営業利益 | 2,000,000 | 1,370,000 | -630,000 | -31.5% |
月ごとにこの表を横へ並べれば年間の予実管理表になり、月次列の右端に累計列を足せば期首からの進捗を追えます。まずはこの「勘定科目×予算・実績・差異」の型を1枚作ることが出発点です。
予実管理表に必要な項目(行に置く勘定科目)
行に置く科目は、損益計算書の区分をそのまま使うと過不足がありません。売上高から売上原価を引いて売上総利益を出し、そこから販売費及び一般管理費(販管費)を引いて営業利益を出す、という順序です。この並びと算式は会社計算規則で定められた損益計算書の区分にもとづいています。
ここで注意したいのは、人件費・外注費・経費といった科目は損益計算書の独立した区分ではなく、販管費を細分したものだという点です。会社計算規則も、各区分は適当な項目に細分できると定めています。予実管理で費用を管理しやすくするには、販管費を人件費・外注費・経費などへ細分して行に並べ、その合計を販管費として営業利益の計算につなげる構成にすると、会計上のつながりを保ったまま費目ごとの差異を追えます。
(売上総損益金額)第八十九条 売上高から売上原価を減じて得た額(以下「売上総損益金額」という。)は、売上総利益金額として表示しなければならない。
(営業損益金額)第九十条 売上総損益金額から販売費及び一般管理費の合計額を減じて得た額(以下「営業損益金額」という。)は、営業利益金額として表示しなければならない。
出典:会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)第八十九条・第九十条|e-Gov法令検索
使う関数と使いどころ(SUMIFS・IF・差異率・条件付き書式)
予実管理表を「毎月手で転記する表」から「自動で集計される表」に変えるのが関数です。実績データを1行1明細で別シートに貯めておき、そこから科目別・月別に自動集計する使い方が中心になります。

実績の集計にはSUMIFS関数を使います。SUMIFS関数は複数の検索条件に一致するすべての値を合計する関数で、書式はSUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲 1, 条件 1, [条件範囲 2, 条件 2], ...)です。
たとえば実績データシートに勘定科目(A列)・月(B列)・金額(C列)を並べておけば、=SUMIFS(実績!C:C, 実績!A:A, "人件費", 実績!B:B, 4) と書くだけで「人件費かつ4月」の実績が予実管理表のセルに入ります。単一条件のSUMIF関数ではなくSUMIFSを使うのは、この「科目×月」の2軸で絞り込むためです。
予算超過の判定にはIF関数が向いています。IF関数は、条件が満たされているかを判定して結果に応じた表示を返す関数で、書式はIF(論理式, [値が真の場合], [値が偽の場合])です。
予実管理表に判定用の列を1つ足し、実績セル(例: C5)が予算セル(B5)を上回ったら「超過」と出すなら、=IF(C5>B5, "超過", "") と書きます。差異率は関数ではなく四則演算のため、差異の列に =(C5-B5)/B5 のような式を直接入れて求めます。
超過したセルを目立たせるには、条件付き書式を組み合わせます。条件付き書式はセルの値にもとづいてセルの書式を決めるルールを作る機能で、たとえば「差異がプラスの費用セルを赤く塗る」といった強調ができます。値の判定を担うIF関数と、見た目の強調を担う条件付き書式は役割が異なるため、両方を組み合わせると異常値に早く気づける表になります。
出典・参考資料(3件)
シート分けの設計(部門別・月別の持ち方)
1枚の表に部門も月もすべて詰め込むと、行数が膨らんで壊れやすくなります。運用しやすいのは、役割ごとにシートを分ける設計です。
- 実績を1行1明細で貯める「実績データ」シート(会計ソフトからの出力を貼り付ける置き場)
- 部門ごとの予実を表示する「部門別」シート(SUMIFSで実績データから科目別・月別に集計)
- 全部門を足し合わせる「全社集約」シート(各部門シートまたは実績データから合算)

実績データを1か所に集約し、表示用のシートはそこから関数で参照する形にすると、元データを1回貼り替えるだけで全シートが更新されます。部門ごとにファイルを分けてしまうと後で合算が手作業になるため、部門はシートで分け、ファイルは分けないのが集約を楽にするこつです。
テンプレートの入手先(ゼロから組まない)
表を一から組むのが負担なら、配布されているテンプレートを土台にする方法があります。代表的な入手先は次の3つです。
- bizocean(ビズオーシャン):予実管理表のExcel・Word版が業種別も含めて複数配布されています。無料でダウンロードできますが、会員登録が必要です。トップの検索窓で「予実管理」を検索すると一覧にたどり着けます。
- Microsoft(Microsoft Create):Microsoft公式が事業予算のExcelテンプレートを無料配布しています。ただし配布されているのは「予算」テンプレートで、予実対比に特化した形ではないため、実績列と差異列を自分で足して使うのが実際的です。
- Smartsheet:予算と実績を月次・四半期で比較するExcelテンプレートを無料配布しており、部門別・プロジェクト別の様式もそろっています。
いずれのテンプレートも、行の科目と列の予算・実績・差異という基本の型は共通です。自社の科目体系に合わせて行を差し替え、SUMIFSでの集計を組み込めば、自社仕様の予実管理表として使えます。
出典・参考資料(3件)
自作の限界(どこで立ちゆかなくなるか)
ここからは、自作の予実管理表がどこで立ちゆかなくなるのかを見ていきます。「属人化する」「ミスが増える」といった一般論ではなく、どの規模・どの更新頻度で問題が顕在化するのかを具体的に押さえておくと、自社が限界に近いのかどうかを判断できます。
集計・転記の手間と属人化はどこで重くなるか
自作の負担は、扱うデータ量と関与する人数に比例して増えます。1部門・月次更新のうちは、会計ソフトの出力を実績データシートへ貼り、関数で集計するだけで回ります。これが複数部門になり、部門ごとの担当者が別々のファイルへ入力するようになると、様式のばらつきや貼り付け位置のずれが集約時のエラーとして表面化します。
厳密な線引きがあるわけではありませんが、目安として、入力に関わる人が10名前後を超え、集約する部門が5つほどになるあたりから、この手間とばらつきは無視しにくくなります。
属人化は、関数やマクロが複雑になるほど進みます。SUMIFSやVLOOKUP、独自のマクロを組み込んだファイルは、作った本人にしか全体の構造が分からなくなりがちです。担当者の異動・退職のタイミングで「誰も中身を触れないファイル」が残るリスクは、更新の頻度が高く、式が入り組んでいるほど大きくなります。
リアルタイム性・部門横断・内部統制の弱さ
更新の頻度が上がるほど、手作業の限界が見えてきます。月に一度の締めなら手動更新でも間に合いますが、週次や日次で着地見込みを更新したい場合、実績の貼り替えと確認の作業が毎回発生し、タイムラグが避けられません。経営会議で「今の最新値」を求められる場面が増えるほど、この遅れが問題になります。
部門横断の集計も、ファイルベースでは手間がかかります。各部門のファイルを1つに束ねて全社の着地を出す作業は、部門数が増えるほど時間を要し、集約中の転記ミスも混じりやすくなります。加えて、誰がいつどのセルを変えたのかという変更履歴が残らないため、数字の食い違いが起きたときに原因をたどりにくく、内部統制の観点でも弱さがあります。上場準備や監査対応で証跡が求められる段階では、この点が特に課題になります。
見落としがちな内製の隠れコスト
自作は「無料」に見えますが、実際には人手のコストがかかっています。判断材料として、次の3つの隠れコストを見積もっておくと、専用システムとの比較が公平になります。
- 作成の工数:表の設計・関数の組み込み・テストにかかる初期の時間。凝った自動化を組むほど大きくなります。
- 更新・運用の工数:毎月の実績貼り替え・確認・部門集約にかかる継続的な時間。更新頻度と部門数に比例します。
- 引き継ぎのリスク:作った担当者が抜けたときに、構造を解読し直す、あるいは作り直すためのコスト。属人化が進んでいるほど大きくなります。
これらは目に見えにくいぶん軽視されがちですが、更新頻度が高く部門数が多い会社ほど、月々の運用工数と引き継ぎリスクは無視できない大きさになります。
自作か専用システムか(切り替えの見きわめ)
ここまでの限界を踏まえて、自作で回せるのか、専用システムへ切り替えるべきなのかを判断する目安を整理します。次の表は、自社の状況を判断軸に当てはめて読むためのものです。
| 判断軸 | 部門数 | 更新頻度 | 関与人数 | 分析の深さ | 統制・証跡 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自作で回せる目安 | 1〜数部門で、集約の手作業が負担にならない | 月次の締めで足りる | 入力・更新を担う人が限られ、様式を統一できる | 予算と実績の差異が追えれば足りる | 変更履歴が問われない |
| 専用システムを検討する目安 | 部門・拠点が多く、集約に毎回まとまった時間がかかる | 週次・日次で着地見込みを更新したい | 多人数が同時に入力し、様式のばらつきが起きる | KPIとの連動や複数シナリオの着地見込みが必要 | 監査・上場準備で変更履歴や権限管理が求められる |
目安の多くが右側に当てはまるなら、自作の運用工数と属人化リスクが専用システムのコストを上回っている可能性が高い段階です。逆に左側が中心なら、当面は自作で十分に回せます。
専用システムだからできること(自作では再現しにくい機能)
専用の予算管理システムが自作と分かれるのは、主に次の機能です。切り替えで何が得られるのかを具体的に押さえておくと、投資判断がしやすくなります。
- 部門・拠点をまたいだ予算入力と集約のワークフロー(各部門が入力し、経営企画が承認・集約する流れをシステム上で回せる)
- 会計システムやERPとのデータ連携による実績の自動取り込み(手貼りをなくし、転記ミスを防ぐ)
- 着地見込み(フォーキャスト)の更新と、複数シナリオでのシミュレーション
- 連結・多通貨など、グループ経営に必要な集計
- 変更履歴・権限管理による内部統制(誰がいつ何を変えたかの証跡が残る)
これらは、自作でも部分的には近づけますが、部門横断・自動連携・履歴管理を同時に満たそうとするほど、Excelの作り込みでは無理が出る領域です。切り替えると集計の工数がどれだけ変わるのかは、自社に近い規模・業種の導入事例で見るとイメージをつかみやすくなります。
「自作」の選択肢はExcelだけではない
自作を検討するとき、選択肢はExcelに限りません。同じ「自分たちで作る」でも、手段によって共同編集のしやすさ・保守の重さ・属人化の起きやすさが変わります。判断表で「自作で回せる」と出た場合も、次の5つの手段から自社に合うものを選ぶと運用が安定します。
| 手段 | Excel | Googleスプレッドシート | ノーコードツール | BIツール | スクラッチ開発 |
|---|---|---|---|---|---|
| 向いている場面 | 単独〜少人数で、関数に慣れた担当者がいる | 複数人で同時編集・共有したい | 入力フォームやアラートを内製したい | 実績データの可視化・ダッシュボード化に寄せたい | 独自要件が強く、自社に開発力がある |
| 留意点 | 共同編集とファイル管理が弱く、属人化しやすい | 大量データや重い関数では動作が重くなりやすい | ツールの学習と、作り込みの保守が必要 | 予算入力・編集の機能は別途用意が要る | 開発・保守コストが最も重く、属人化のリスクも大きい |
複数人で同時に触るならスプレッドシート、入力の仕組みまで作り込みたいならノーコード、というように、関与人数と作り込みの深さで手段は変わります。ただし、どの手段を選んでも、先の見きわめ表で挙げた部門横断の集約や変更履歴の管理まで背負い込むと保守は重くなります。自社の状況が見きわめ表の左側に収まるうちは、これらの手段で自作を続けるのが現実的です。
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自作で回せないなら:予算管理システムという選択肢
ここからは、自作の限界を越えたときに検討したい予算管理システムを紹介します。いずれも予算策定から予実突合、着地見込みの更新までをクラウド上で完結でき、Excel運用で起きがちな集計の手間と属人化を解消する用途に向いています。まずは各サービスの特徴を比較したうえで、資料で詳細を確認してみてください。
| 比較項目 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 予実管理に特化。予算策定・予実突合・着地見込み管理・レポーティングをクラウドで完結 | KPIと予実を同じ基盤で管理。予実のズレ・異常値を自動検知しチャットへ通知 | PL・BS・CFと現場のKPIを結びつけて一元管理する経営管理クラウド |
| 主な連携先 | freee会計・勘定奉行クラウド・弥生会計など (API/CSV連携) | 会計ソフト・グループウェア (API連携) | 勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・Googleスプレッドシート (API/CSV連携) |
| 着地見込み・シミュレーション | ●着地見込みを明細レベルで管理・スナップショットでバージョン管理 | △日次・月次・四半期で進捗と見通しを把握 | ◎KPIからPLをシミュレーション・複数パターンで予算作成/着地見込み更新 |
| 無料トライアル | あり(期間・条件は要問い合わせ) | あり | 要問い合わせ |
| 料金の目安 | 要問い合わせ (Lite/Standard/Enterpriseの3プラン、見積制) | 要問い合わせ | 月額10万円〜 (初期費用・詳細は要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | ミーティングを予約する |
1. DIGGLE(DIGGLE株式会社)

予実管理に特化したクラウドサービスがDIGGLEです。予算策定・予実突合・見込(着地見込み)管理・レポーティングという一連の予実管理業務をクラウド上で完結でき、会計システムからのデータ取り込みと予実突合を自動化します。Excel中心の運用で起きる属人化や集計工数を減らす用途に位置づけられています。
勘定科目より細かい粒度での損益管理に対応し、非財務指標(KPI)を組み合わせたドリルダウン分析やスナップショット分析も行えます。freee会計・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPIやCSVで連携でき、既存の会計データを取り込んで予実を突き合わせられます。料金はLite・Standard・Enterpriseの3プラン構成で、金額は見積制です(2026年8月時点)。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

KPIと予実を同じ基盤で管理したい会社に向くのが、クラウド型のKPI・予実管理ツールX-KPIです。複数の部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化します。予算と実績のズレや異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する仕組みを備えています。
KPI項目・レポート・ダッシュボードは専門知識がなくても設計・運用でき、会計ソフトやグループウェアとのAPI連携で既存のデータ基盤を活かせます。日次・月次・四半期といった粒度で予実を比較し、進捗と見通しを追える点も特徴です。無料トライアルが用意されており、料金は要問い合わせです(2026年8月時点)。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

経営管理クラウドのScale Cloudは、財務数値(PL・BS・CF=損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)と現場のKPIを結びつけて管理できるサービスです。両者を関連づけて一元管理し、KPIの変化がPLにどう影響するかをシミュレーションできます。予算管理・予実管理・KPI管理を一元化し、経営層・管理部・事業部が同じ数字を見て議論できる状態をつくることを狙ったサービスです。
結果指標だけでなく先行指標のKPIまで含めて設計でき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新に対応します。勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・Googleスプレッドシートなどと連携して実績を取り込めます。料金は月額10万円からで、利用ユーザー数などにより変動します(2026年8月時点、詳細は要問い合わせ)。
Excelやスプレッドシートからの切り替えで工数がどの程度変わるかについて、同社の広瀬氏は次のように述べています。
数値的な効果で申し上げると、他社システムからの乗り換えでは、工数が約40%削減できたとおっしゃっていただいているケースがあります。Excelやスプレッドシートからのリプレースに関しても、工数が6分の1程度になったという声をいただいています。
ここで取り上げた3サービス以外にも、予算管理システムには多くの製品があります。以下の記事では主要な予算管理システムをタイプ別に整理し、選び方や料金・機能まで詳しく比較しています。自作からの切り替え候補を幅広く見比べたい方は、あわせてご覧ください。
まとめ
予実管理表そのものは、Excelやスプレッドシートで自作できます。行に損益計算書の科目、列に予算・実績・差異を並べ、SUMIFSで実績を集計し、IF関数と条件付き書式で予算超過を知らせる仕組みまで組めば、実務で使える表になります。テンプレートを土台にすれば、ゼロから作る手間も省けます。
一方で、部門数が増え、更新頻度が上がり、変更履歴が問われる段階になると、自作は集計の手間と属人化で立ちゆかなくなります。自社の部門数・更新頻度・関与人数・分析の深さ・統制の要否を見きわめ表に当てはめて、多くが右側に振れているなら、専用の予算管理システムへの切り替えを検討するタイミングです。まずは各サービスの資料を取り寄せ、自社の運用に合うかどうかを比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 予実管理表とは何ですか?
予実管理表とは、勘定科目ごとに予算・実績・差異を並べ、計画と実績のズレを管理する表です。差異は「実績−予算」、差異率は「差異÷予算」で求め、費用科目でプラスの差異が出ると予算超過を意味します。実績データを別シートに1行1明細で貯め、SUMIFS関数で科目別・月別に自動集計すれば、Excelやスプレッドシートでも実務で使える予実管理表になります。
Q. 予算管理は自作と専用システムのどちらが良いですか?
予算管理を自作と専用システムのどちらにすべきかは、部門数・更新頻度・関与人数・分析の深さ・統制の要否という5つの軸で決まります。1〜数部門で月次の締めに間に合い、変更履歴が問われないうちは自作で十分に回せます。
一方、部門・拠点が多く週次・日次で着地見込みを更新したい、監査や上場準備で証跡が求められる段階になると、自作の運用工数と属人化リスクが専用システムのコストを上回るため、切り替えの検討どきです。
Q. 予算管理表を自作するにはどの関数が必要ですか?
予算管理表の自作で中心になるのは、実績を科目別・月別に集計するSUMIFS関数と、予算超過を判定するIF関数です。SUMIFSは「科目が人件費、かつ月が4月」のように複数条件で実績を自動集計でき、IFは実績が予算を上回ったら「超過」と表示するといった判定に使います。
差異率は関数ではなく「(実績−予算)÷予算」の四則演算で求め、超過したセルを目立たせたいときは条件付き書式を組み合わせると、異常値に早く気づける表になります。
Q. 予実管理表の無料テンプレートはどこで入手できますか?
予実管理表の無料テンプレートは、bizocean(ビズオーシャン)・Microsoft Create・Smartsheetなどで入手できます。bizoceanは予実管理表のExcel・Word版を業種別も含めて配布しており(会員登録が必要)、Smartsheetは予算と実績を月次・四半期で比較する様式を配布しています。
Microsoft Createは「予算」テンプレートが中心のため、実績列と差異列を自分で足して使うのが実際的です。いずれも行の科目と列の予算・実績・差異という基本の型は共通で、自社の科目体系に合わせて行を差し替えれば使えます。
Q. Excelでの予算管理はどんなときに限界を迎えますか?
Excelでの予算管理は、部門数が増え、更新頻度が上がり、変更履歴が問われる段階で立ちゆかなくなります。複数部門が別々のファイルに入力すると様式のばらつきや貼り付け位置のずれが集約時のエラーになり、週次・日次で着地見込みを更新するとなると実績の貼り替えのタイムラグが避けられません。
さらに、誰がいつどのセルを変えたかの履歴が残らないため、監査・上場準備で証跡が求められる場面では内部統制の弱さが課題になります。
Q. 予算管理の自作はExcel以外の方法でもできますか?
予算管理の自作は、ExcelのほかGoogleスプレッドシート・ノーコードツール・BIツール・スクラッチ開発でも可能です。複数人で同時に編集・共有したいならスプレッドシート、入力フォームやアラートまで作り込みたいならノーコード、実績データの可視化に寄せたいならBIツール(データを集計・可視化する分析ツール)が向きます。
ただし、どの手段でも部門横断の集約や履歴管理を本格的に求めると保守が重くなる点は共通するため、その負担が専用システムのコストに近づいたときが切り替えの検討どきです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















