請求件数の増加とともに、入金の消し込みや売掛金の管理を手作業で回すことに限界を感じていませんか。目視での照合はミスや残業の温床になりやすく、滞留した債権が見えないまま放置されるリスクもあります。こうした請求から回収までの業務を自動化するため、債務管理・債権管理システムの導入や見直しを進める企業が増えています。
ここで扱うのは、個人が借入の返済を整理する「債務整理」や、回収を外部に委ねる債権回収会社ではなく、企業の経理・財務部門が請求・入金消込・支払管理を効率化するための業務システムです。主要な製品を比較しながら、自社の業務範囲に合う一本をどう選べばよいでしょうか。
本記事では、主要な債務管理・債権管理システムを対応業務範囲でタイプ分けし、機能・料金・連携の観点で比較・解説します。入金消込に特化した製品から、請求書発行から一気通貫で自動化する製品、販売管理・ERPに統合するもの、督促・回収や未回収保証に強いものまで、自社の課題に合ったシステムを判断するための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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債務管理・債権管理システムとは?
債務管理・債権管理システムとは、企業が取引先とやり取りする売掛金・買掛金のライフサイクルを一元管理し、請求書の発行から入金の消し込み、滞留債権の督促・回収までを自動化する業務システムです。経理・財務部門が担う入金確認や消込の作業を効率化し、目視照合による計上ミスや督促漏れを防ぐ役割を持ちます。
取引先が増え、振込・口座振替・カード決済など入金経路が多様になるほど、どの入金がどの請求に対応するかを人手で突き合わせる負担は膨らみます。こうした照合や督促の工程をシステムに任せることで、月次決算の早期化や滞留債権の可視化につなげられます。
債務管理と債権管理の違い
債権管理は、自社が取引先に対して持つ「受け取る権利」=売掛金を管理する業務です。請求書の発行、入金の消し込み、期日を過ぎた未収金の督促・回収までを含みます。一方の債務管理は、自社が取引先に対して負う「支払う義務」=買掛金や未払金を管理し、支払漏れや二重払いを防ぐ業務を指します。
実務では、この2つは請求・支払の両面として密接に関わるため、多くのシステムが債権側の入金消込を軸にしつつ支払管理も併せて扱います。本記事では、売掛債権の請求・入金消込・回収を中心に、支払管理まで視野に入れた業務システムを対象とします。
個人の債務整理・債権回収代行との違い
「債務管理」という言葉は、個人が借入の返済負担を軽くする「債務整理」(任意整理・個人再生・自己破産など)を指す場合もあります。これは弁護士・司法書士に依頼する法的手続きであり、企業の経理業務を効率化するシステムとは目的も対象も異なります。
また、回収が困難になった債権を買い取ったり回収を代行したりする債権回収会社(サービサー)も、システムとは別の選択肢です。本記事が扱うのは、あくまで自社の請求・入金消込・督促を自動化する業務システムであり、滞留債権の回収そのものを外部委託するサービスとは切り分けて紹介します。ただし督促・回収の効率化を求める場合は、後述する督促・回収/未回収保証型のシステムが選択肢になります。
回収業務そのものを社外に委ねたい場合は、依頼先のタイプ別の選び方や費用相場を整理した以下の記事が判断の助けになります。
タイプ別に見る債務管理・債権管理システム
ここからは、債務管理・債権管理システムを「どの工程まで自動化するか・どの課題を解くか」で4つのタイプに整理します。自社がどの工程に最も課題を感じているかを起点に、当てはまる型から候補を絞り込むと選定がスムーズです。全体像は次の図のとおりです。

入金消込特化型
入金消込を中核に据えるタイプです。入金データと売掛金を自動で照合し、目視・手作業による消し込みを効率化することに主眼を置きます。請求書発行機能を持たず消込工程だけを刷新する製品もあれば、請求書発行を備えつつ消込に強みを持つ製品もあり、既存の請求・会計の仕組みを大きく変えずに消込の負担を軽くしたい企業に向いています。
照合の仕組みには、AI・機械学習が過去の入金パターンを学習して自動で紐づける方式や、振込名義と請求先を突き合わせる方式などがあります。銀行口座やネットバンキングと連携し、複数金融機関の入金明細をまとめて取り込める製品が多いのも特徴です。
請求書発行一体型
請求書の発行・送付から入金消込、期日管理、催促までを1つのシステムで一気通貫に自動化するタイプです。請求業務全体をまとめて効率化したい企業や、これから請求管理の仕組みを整えたい企業に適しています。
取引先ごとにバーチャル口座(専用の振込口座)を割り当て、入金と請求を確実に紐づけて消込精度を高める方式を採る製品もあります。請求から回収までの状況を1画面で把握できるため、滞留債権の早期発見にもつながります。
販売管理・ERP統合型
受注から請求、債権、会計までを販売管理システムやERPの一部として統合的に管理するタイプです。債権管理だけを切り出すのではなく、基幹業務を含めて全体最適を図りたい中堅〜大企業に向いています。
案件・プロジェクト単位や外貨建ての債権など、複雑な取引形態にも対応できる製品が含まれます。導入の負荷や費用は大きくなりやすい一方、部門をまたいだデータの二重入力を減らし、全社的な数字の整合を保てる点が強みです。
督促・回収/未回収保証型
滞留した債権の督促・回収をメール・SMS・電話(IVR)・書面など複数チャネルで自動化したり、売掛金の未回収リスクを保証・移転したりすることに強いタイプです。督促の効率化・回収の外部委託・貸し倒れへの備えという、異なる目的をまとめた型です。自社が抱える回収の悩みに応じて、製品を選び分けられます。
督促の進捗を管理して回収率の改善を図るものと、与信審査や売掛金保証によって未回収そのものを防ぐものがあります。前述のとおり回収を丸ごと外部に委託する債権回収会社とは異なり、自社の督促業務をシステムで効率化する、あるいは保証で備えるという位置づけです。
このうち売掛金の未回収リスクへの備えを重点的に比べたい場合は、保証範囲や料金、ファクタリングとの違いまで整理した以下の記事が参考になります。
自社に合うタイプ・製品がわかる選定診断ツール
4つのタイプを見ても、自社がどれに当てはまるか判断に迷うこともあります。そうしたときは、いくつかの質問に答えるだけで課題に合うタイプと製品の当たりがつく「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。急いで候補を絞りたい場合の入口としてもご活用ください。
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【比較表】債務管理・債権管理システムを対応業務範囲で比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要な債務管理・債権管理システムを、対応業務範囲・入金消込の方式・主要な連携先・料金の観点で一覧にまとめます。対応業務範囲でタイプ分けした一覧のため、タイプ列を手がかりに、自社が解きたい工程に合う製品から候補を絞り込んでください。
| サービス名 | マネーフォワード クラウド債権管理 | V-ONEクラウド | Victory-ONE/G5 | 楽楽債権管理 | T-CHECK Plus | 請求管理ロボ | Bill One債権管理 | バクラク債権管理 | 債権奉行クラウド | invox発行請求書 | 請求QUICK | freee請求書 | MakeLeaps | PROACTIVE | OBIC7 | 販売管理システムAlly | クラウドERP ZAC | 請求まるなげロボ | 債権回収ロボ | Lecto | URIHO(ウリホ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 入金消込特化型 | 入金消込特化型 | 入金消込特化型 | 入金消込特化型 | 入金消込特化型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 請求書発行一体型 | 販売管理・ERP統合型 | 販売管理・ERP統合型 | 販売管理・ERP統合型 | 販売管理・ERP統合型 | 督促・回収/未回収保証型 | 督促・回収/未回収保証型 | 督促・回収/未回収保証型 | 督促・回収/未回収保証型 |
| 請求書発行 | × | × | ● | × | ● | ● | ● | △シリーズの請求書発行と連携 | △奉行製品と連携 | ● | ● | ● | ● | ● | △販売管理モジュール | ●定期請求・自動発行 | ●プロジェクト単位で発行 | ● | × | × | × |
| 入金消込 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ●消込QUICK | ●アドバンスプラン | ●自動推測+確定操作 | ● | ●入金消込オプション | ● | ● | ● | × | △入金登録・消込 | × |
| 督促・回収 | △滞留督促・通知 | △社内督促依頼 | △社内督促通知 | △督促リスト自動作成 | × | △メール督促(電話・SMSは債権回収ロボ連携) | △リマインドメール一括通知 | △督促メール | △滞留督促・アラート | △督促メール自動送付 | × | × | △入金催促 | △回収・残高管理 | × | × | △滞留債権表・売掛年齢表 | ●回収代行(弁護士法人対応) | ●メール・SMS・IVR自動督促 | ●メール・SMS・IVR・書面 | × |
| 与信・保証 | × | × | × | × | × | × | × | × | △与信限度チェック | × | × | × | × | △与信管理(与信枠把握) | × | × | △与信管理(限度超で停止) | ●売掛金100%保証(与信通過分) | × | × | ●売掛金の未回収保証・与信 |
| 入金消込の自動化方式 | 機械学習による自動照合 | 独自照合ロジック+AI学習 | AI活用の一括消込・パターンレコメンド | 自動照合+AI照合アシスト(β版) | 高速照合エンジン(1対N〜N対N照合) | 入金情報の自動取得→自動照合(バーチャル口座) | バーチャル口座割当方式(Bill One Bank) | AIによる自動照合(入金消込エージェント) | 銀行入金データ取得+振込依頼人名・一括入金の自動照合 | ルールベース照合(金額・名義突合、バーチャル口座) | API連携でワンクリック入金取得→自動突合 | 銀行口座連携で入金明細取得→債権と自動突合 | 口座・バーチャル口座連携で自動推測・学習 | FBデータ取込+複数条件の自動照合 | 入金予定管理+債権明細消込(FBデータ連携) | FBデータ取込連動の自動消込(カナ名・顧客番号・バーチャル口座) | システム上で入金消込(プロジェクト単位請求と連動) | 回収・消込を代行(アウトソース) | 督促に特化(消込は請求管理ロボ連携) | 入金の登録・消込(督促・回収が中心) | 入金消込機能なし(売掛保証・与信) |
| 主要連携 | 会計(MFクラウド会計Plus・請求書Plus)/Salesforce | 会計(MF・勘定奉行・freee・PCA)/3,000超の金融機関 | 会計(MF・勘定奉行・PCA・freee)/複数金融機関・基幹システム | 会計(CSV出力)/複数銀行・販売管理 | 会計(仕訳データ生成)/AI-OCRで紙・PDF取込 | 会計(PCA・勘定奉行・弥生・MF)/Salesforce・kintone | 銀行(Bill One Bank)/会計連携先は要確認 | 会計(CSV・API)/全国の金融機関・バクラクシリーズ | 会計(勘定奉行・商蔵奉行)/基幹システムAPI・国内ほぼ全金融機関 | 会計17種(弥生・MF・freee・勘定奉行等)/Moneytree・GMOあおぞら | 会計(弥生・勘定奉行の雛形、MFへ取込)/ネットバンキングAPI | 会計(freee会計/他社はCSV・API) | 会計(弥生/勘定奉行・PCAはオプション)/販売管理・Salesforce・kintone | ERP内で会計・販売・購買を統合/FBデータ | OBIC7シリーズ(販売・人事給与等)/FBデータ | 会計(勘定奉行・弥生/PCAはWebAPI) | ZAC ERP内で統合(外部会計連携は要確認) | Salesforce(for Salesforce)/API連携 | 請求管理ロボ/CSV・Web API | CSV/Web API | 保証・与信サービス(会計・銀行連携なし) |
| 料金の目安 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期100,000円〜/月額20,000円〜(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額30,000円〜(税抜) | 初期0円〜/月額6,500円〜(iクラウド) | 初期0円/月額0円〜(消込1件55円) | 初期0円/月額0円〜(従量) | 要問い合わせ | 無料プランあり/個人1,000円〜・法人1,300円〜(/ユーザー) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期450,000円〜(税別) | 要問い合わせ | 手数料1.0%〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額4,980円〜(初期費用無料) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | パッケージ(オンプレ/AWS) | クラウド | 要問い合わせ | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | パッケージ(オンプレ中心) | クラウド | クラウド(業務代行) | クラウド | クラウド | クラウド |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
主要な債務管理・債権管理システムの特徴
ここからは、比較表で取り上げた各サービスの特徴を、対応業務範囲・主要機能・料金・連携の観点からタイプ別に紹介します。冒頭の番号はタイプごとの通し番号で、優劣を表すものではありません。自社が当てはまるタイプの製品を中心に、機能の過不足や料金感を確認してください。
入金消込特化型のサービス
既存の請求・会計の仕組みを残しつつ、入金消込の工程だけを自動化したい企業向けのサービスです。
1. マネーフォワード クラウド債権管理(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが2023年10月に提供を開始した、入金消込に的を絞ったクラウドサービスです。請求書発行機能は持たず、既存の請求システムで発行した請求データを取り込む構成のため、いまの請求・会計の仕組みを残したまま消込工程だけを刷新できます。
入金消込には機械学習による自動照合を採用し、使い込むほど照合率が高まる仕組みです。締め請求やサブスクリプション型の請求、合算入金・分割入金といった複雑な入金パターンにも、消込候補をAIが提案します。
マネーフォワード クラウド会計Plus・請求書PlusとAPI連携するほか、2025年5月にはSalesforce連携を提供開始し、経理・営業で回収状況を共有できます。料金は請求・入金の取込件数に応じた従量制で、具体額は問い合わせが必要です。
2. V-ONEクラウド(株式会社アール・アンド・エー・シー)

株式会社アール・アンド・エー・シーが約20年にわたり入金消込・債権管理に特化して開発してきたクラウドサービスです。月間の入金件数が100件規模から10,000件規模までの企業で利用されています。
独自の照合ロジックとAI学習を組み合わせ、請求N件対入金N件の照合や科目をまたぐ照合など、複雑なパターンの消込を自動化します。一度照合した組み合わせを学習し、次回以降の自動照合率が高まります。
会計ソフト(マネーフォワード・勘定奉行・freee・PCAなど)や3,000を超える金融機関とAPI・CSVで連携できます。初期費用・月額料金はいずれも問い合わせが必要です。
3. Victory-ONE/G5(株式会社アール・アンド・エー・シー)

同じ株式会社アール・アンド・エー・シーが提供する、パッケージ型の入金消込・債権管理ソリューションです。オンプレミスまたはAWS環境に構築でき、カスタマイズや基幹システムとの連携を前提とした中堅〜大規模向けの位置づけです。
AIを活用した一括入金消込と消込パターンのレコメンド、請求書発行(インボイス対応)、前受金管理、債権管理帳票などを備えます。導入事例にはパラマウントベッドホールディングスや白鶴酒造などがあります。
クラウド型のV-ONEクラウドが導入のしやすさを重視するのに対し、本製品は基幹システムとの柔軟な連携やカスタマイズに対応します。初期費用・月額とも、構築する環境に応じた要見積もりです。
4. 楽楽債権管理(株式会社ラクス)

「楽楽明細」「楽楽精算」などの楽楽シリーズを展開する株式会社ラクスが、2025年7月に販売を開始した債権管理クラウドです。請求データと入金データを突合し、一括消込を効率化します。
複数の銀行から入金データを自動取得(オプション)して自動照合するほか、AI照合アシスト(β版)が振込名義と請求先の異なるケースでも消込を提案します。誤差許容金額の設定で、振込手数料による金額差も自動で吸収します。
滞留債権の一覧化や督促リストの自動作成にも対応します。料金は初期費用100,000円〜(税抜)、月額20,000円〜(税抜)で、銀行入金データの自動取得はオプションです。
5. T-CHECK Plus(株式会社東計電算)

自動車部品メーカー向けの検収照合を起点に開発された、株式会社東計電算の検収照合システムです。売掛・買掛の照合から請求書発行、入金消込までを自動化し、製造業・商社を主な対象とします。
自社開発の高速照合エンジンにより、10万件の照合を数分で完了すると公式に記載しています。照合機能は特許を取得しており、1対1からN対Nまでの多対多照合に対応し、結果を照合済・未回収・過回収・単価差に自動で振り分けます。
AI-OCRで紙やPDFの帳票もデジタル化して取り込めます。料金は問い合わせが必要で、サポートは電話(平日9〜18時)で受け付けています。
請求書発行一体型のサービス
請求書の発行から入金消込・催促までをまとめて自動化したい企業向けのサービスです。
6. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求書の発行・送付から集金、入金消込、未入金への自動催促メールまでを1つのシステムでつなぐクラウド型の請求・債権管理サービスです。運営する株式会社ROBOT PAYMENTは決済代行事業を母体とし、東証グロース市場に上場しています。
銀行振込・バーチャル口座・クレジットカード・口座振替・コンビニ決済など複数の入金経路をまとめて管理し、金融機関から取得した入金情報と請求を自動照合して消し込みます。単発・定期定額・定期従量といった請求タイプを設定でき、希望の周期で請求書を自動発行できます。
会計ソフト(PCA会計・勘定奉行・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計)やSalesforce・kintoneと連携でき、請求から仕訳までのデータを引き継げます。未収債権を別サービスの「債権回収ロボ」へ渡せば、メール・SMS・電話による督促まで広げられます。料金は月額と請求件数に応じた従量で構成され、具体額は資料請求で確認できます。
7. Bill One債権管理(Sansan株式会社)

取引先ごとに固有のバーチャル口座を割り当て、その口座に届いた入金と債権を自動でマッチングして消し込む方式を中核に据えたクラウド債権管理サービスです。名刺管理や請求書受領で知られるSansan株式会社が、請求書管理サービス「Bill One」の機能拡張として提供しています。
バーチャル口座を起点に照合するため、複数請求分をまとめて振り込む合算入金や、振込名義が請求先と一致しない入金など、従来の自動消込が苦手としたケースも自動で処理できるとしています。口座は住信SBIネット銀行のBaaS基盤を用いた「Bill One Bank」で発行されます。
料金は請求書の発行環境の構築費用と、発行する請求書の件数に応じた年額で構成されます。利用ユーザー数による追加料金は発生せず、保存する請求書の件数やデータ容量にも上限がありません。具体額は要問い合わせです。
8. バクラク債権管理(株式会社LayerX)

経費精算や請求書処理を手がける「バクラク」シリーズの一つとして、株式会社LayerXが2025年3月に提供を開始した債権管理システムです。AIが入金データと請求データを照合し、入金消込・仕訳・督促を自動化します。
全国の金融機関から入金データを自動で取得し、あらかじめ設定した条件に沿って請求情報と紐づけます。2025年11月には、日々のログインなしで入金確認から消込までを進める「入金消込エージェント」の提供も始まりました。経費精算・請求書発行などシリーズの他機能と組み合わせた運用にも向いています。
料金は月額30,000円(税抜)からで、年間契約・12ヶ月分の一括払いが基本です。初期費用は公式サイトに明示がないため、導入時に確認しておくとよいでしょう。
9. 債権奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

「奉行」シリーズを展開する株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供するクラウド債権管理システムです。入金消込・債権残高管理・回収予定管理・滞留督促・与信限度チェックを一体で扱います。
銀行の入金データを自動取得し、振込依頼人名・一括入金・振込手数料を加味して自動でマッチング、消込と同時に入金伝票まで作成します。受取手形・電子記録債権・ファクタリング・期日現金など多様な決済方法のてん末管理にも対応し、勘定奉行クラウドや商蔵奉行クラウドと連携できます。
中小〜中堅向けの「債権奉行iクラウド」は、初期費用0円・月額6,500円のiEシステムから、月額22,000円のiSシステムまで5段階のプランがあります。中堅・上場企業向けにはERPクラウド製品も用意されています。
10. invox発行請求書(株式会社invox)

インボイス制度に対応した請求書の作成・発行・送付から、売上計上・入金消込・督促メールの送付までを1つのプロダクトで完結できるクラウドサービスです。提供元は株式会社invoxで、郵送代行にも対応します。
入金消込では、発行済みの請求データと、Moneytree連携・GMOあおぞらネット銀行のバーチャル口座・CSVや全銀EDI(ZEDI)の3経路で取り込んだ入金明細を照合します。金額と口座名義が一致すれば自動で消し込み、複数請求分をまとめた合算入金にも対応します。弥生会計・マネーフォワード クラウド会計・freee・勘定奉行など17種類の会計ソフトへ仕訳データを出力できます。
料金は初期費用0円で、基本料金は月額0円のフリーから29,800円(税抜)のプロフェッショナルまで4段階です。入金消込はベーシックプラン以上で使え、消込1件あたり50円(税込55円)の従量課金となります。
11. 請求QUICK(SBIビジネス・ソリューションズ株式会社)

SBIグループのSBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供するクラウド請求書発行システムです。請求書の作成・発行から、銀行明細の取得による入金消込(消込QUICK)、仕訳データ出力までを月額0円から利用できます。
インターネットバンキングとのAPI連携により、ワンクリックで入出金明細を取得し、発行済みの請求データと自動で突き合わせます。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、請求書のクレジットカード決済(クレカQUICK)や、法人向けの請求書ファクタリング(入金QUICK、手数料0.5%〜・最短2営業日)も同じ基盤で利用できます。
初期費用・月額基本料金とも0円、ユーザー数は無制限で、請求書発行は月50通まで、銀行明細の取得は月30回まで無料です(いずれも超過分は従量課金)。継続利用の申込社数は2026年2月時点で7,000社を突破しています。
12. freee請求書(フリー株式会社)

クラウド会計で知られるフリー株式会社が提供する電子請求書発行システムです。請求書の作成・発行・送付に加え、2023年11月提供開始のアドバンスプランで債権管理・入金消込・仕訳の自動作成まで対応します。
銀行口座から入金明細を自動で取得し、入金情報と債権を突き合わせて消し込みます。勘定科目を推測して仕訳を自動作成し、CSVまたはAPIで会計システムへ連携できます。freee会計と組み合わせれば、請求書発行から入金消込・会計処理までを一続きで運用できます。
入金消込や仕訳の自動作成はアドバンスプランで提供される機能のため、導入時は利用したい機能とプランの対応関係を確認しておくとよいでしょう。無料デモが用意されており、申込から利用開始までの目安は約1〜2か月です。
13. MakeLeaps(メイクリープス株式会社)

見積書から請求書、納品書、領収書まで9種類の帳票をクラウド上で作成・発行できる請求管理サービスです。運営はリコーグループのメイクリープス株式会社。見積書から請求書・納品書などへワンクリックで変換でき、請求発行から入金消込までを1サービスでカバーします。
入金消込は、Moneytree連携(法人プラン以上は無料)や楽天銀行のバーチャル口座(月額5,000円のオプション)で取り込んだ入金情報を、金額の一致から自動で紐づけ候補として推測し、内容を確認して確定する方式です。振込名義と摘要の対応を学習し、照合の精度が上がっていきます。
料金は取引先3社・ユーザー1人までの無料プランから、個人プラン(月額1,000円/ユーザー)、法人プラン(月額1,300円/ユーザー+取引先従量)、エンタープライズプラン(月額33,000円/社)まで段階的です。30日間は全機能を試せる無料トライアルも用意されています。
販売管理・ERP統合型のサービス
受注から会計までを基幹システムの中で統合的に管理したい中堅〜大企業向けのサービスです。
14. PROACTIVE(SCSK株式会社)

SCSK株式会社(住友商事グループ)が提供する国産クラウドERPで、会計・販売・購買・人事給与などを統合し、その会計・販売管理モジュールの一部として債権管理機能を備えます。売掛金・未収金・預り金に加え、多通貨の外貨建債権までを一元管理できます。
得意先マスタと金額に基づいて回収条件を自動判定し、請求情報の集約から請求書発行、回収、債権消込までを統合的に扱います。入金消込はファームバンキングデータを取り込み、銀行口座・バーチャル口座別に複数条件で自動照合します。
外貨建債権のレート管理や為替予約、取引先別与信枠のリアルタイム把握にも対応し、外貨・多通貨取引のある中堅〜大企業の債権管理を想定した構成です。クラウド版はFit to Standardモデルで最短3ヶ月での導入を掲げ、オンプレミスも選べます。料金は利用モジュールや規模に応じた個別見積のため要問い合わせです。
15. OBIC7(株式会社オービック)

単体会計から連結会計、債権・債務管理、原価管理までを一貫してカバーする、株式会社オービックの中堅・大企業向け統合業務ソフトウェアです。会計情報ソリューションを軸に、基幹業務をまとめて構築できます。
債権管理と入金消込は「入金消込オプション」として提供され、入金予定の管理と債権明細の消込、ファームバンキング振込データの連携に対応します。財務会計システムは複数会社管理・本支店会計に対応し、仕訳処理から財務諸表・決算報告までを扱います。
コンサルティングから開発、導入時教育、運用サポートまでを自社で手がけるワンストップの提供体制を掲げ、販売管理や人事給与などOBIC7シリーズ内のモジュールと統合して構築できます。提供形態はオンプレミスとクラウドがあり、料金は個別構築型のため要問い合わせです。
16. 販売管理システムAlly(株式会社ディータイド)

契約に基づく請求書発行のタイミング管理と、実現主義の原則に基づく売上計上を同時に満たすことを設計思想とする、株式会社ディータイド開発の販売・債権債務管理システムです。定期請求契約による継続課金・サブスクリプション型のビジネスを主な対象とします。
見積・受発注から請求・入金・売上・仕訳までを一気通貫で扱い、入金自動消込はファームバンキングデータの取込と連動します。消込は取引先カナ名・顧客番号・バーチャル口座で照合し、振込手数料や消費税差額の自動判定、過入金・不足金の処理にも対応します。
業務範囲に応じて「債権債務管理」「債権管理」「債務管理」の3構成から選べ、売上や原価の期間按分(月割・日割)、前受金の自動振替判定を標準で備えます。会計ソフトへは仕訳ファイル出力で連携します(勘定奉行・弥生会計など、PCAとはWebAPI連携)。料金は債権管理システム構成で初期費用450,000円〜(税別)、操作説明(3回)が180,000円で、月額は要問い合わせです。
17. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

IT・システム開発業やSaaS、広告制作、士業・コンサルティングなど、案件・プロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERPです。運営は株式会社オロで、販売管理には見込・引合管理から受注・売上・請求・入金・債権管理までが含まれます。
プロジェクト単位で請求書を発行し、システム上で入金消込を行えます。未回収の売掛金には滞留債権表や売掛年齢表といった管理表を出力でき、設定した限度額を超えると処理が止まる与信管理機能も備えます。
プロジェクト管理や原価管理、勤怠・労務・経費までをERPとして統合する構成です。料金は2024年に月額ライセンス利用型へ一本化されており、利用する機能や人数に応じて変動するため個別見積となります。提供形態はクラウドで、初期費用は要問い合わせです。
督促・回収/未回収保証型のサービス
滞留債権の督促・回収の効率化や、売掛金の未回収リスクへの備えを重視する企業向けのサービスです。
18. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促までの請求業務を、株式会社ROBOT PAYMENTが代行するアウトソーシングサービスです。督促にはメール・電話のほか弁護士法人による対応も含み、企業間(BtoB)取引の請求・回収業務をまとめて外部に委ねられます。
特徴は、自社審査で適格債権と判断され与信を通過した債権について、売掛金を100%保証する点です。回収結果にかかわらず指定営業日に入金されるため、貸し倒れによる損失を回避できます。与信を通過しなかった取引先分も同一プラットフォームで自社管理でき、全請求情報を一元的に扱えます。
手数料は1.0%〜で、月額費用は請求書の発行件数に応じて変動します(初期費用や具体的な料率は取引内容により個別見積もり)。対応する決済方法は口座振替と銀行振込です。導入時は専任担当が最大3か月にわたり、初期設定や既存データの登録を支援します。
19. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

未入金の督促・回収業務を自動化するSaaSで、株式会社ROBOT PAYMENTが2026年3月に提供を開始しました。メール・SMS・オートコール(自動音声)を組み合わせた督促シナリオを、債務者の属性や債権額に応じて設計し、自動で実行します。
督促の状況や受信・返信の履歴を一元管理でき、属人化しやすい電話督促を標準化できる点が特徴です。決済手段や過去の支払い履歴から最適な催促のタイミングを導く技術で特許出願(特願2026-037336)も行っています。同社の請求管理ロボと連携すれば請求から督促・回収までを一元管理でき、単独での導入にも対応します。
企業間(BtoB)の売掛金に限らず、個人向けサブスクリプションの月額利用料回収といったBtoC消費者債権にも導入実績があります。料金は初期費用・月額とも公式に公開されておらず、個別見積もりとなります。
20. Lecto(Lecto株式会社)

Lecto株式会社が提供する、債権管理・督促・回収業務に特化したデジタルプラットフォームです。メール・SMS・IVR(自動音声)・書面の複数チャネルで督促を自動送信し、人手による電話や手紙中心の督促を置き換えます。
債務者の情報や債権の回収進捗、入金の登録・消込を一元管理し、督促・受電・交渉の履歴を自動で記録します。ダッシュボードでの分析にも対応し、ノンバンクや決済事業者など金融サービスを扱う事業者を主要な顧客としています。
外部データとの連携はCSVとWeb APIに対応し、導入は最短1か月程度が目安です。料金は月額基本料に督促数に応じた従量課金を組み合わせる体系で、金額は利用する機能や取扱データ量によって変わるため、問い合わせが必要です。
21. URIHO(ウリホ)(株式会社ラクーンフィナンシャル)

株式会社ラクーンフィナンシャルが運営する、ネット完結型の売掛保証サービスです。督促や回収を代行・自動化するのではなく、取引先の倒産や1か月以上の支払い遅延で売掛金が回収できなくなった際に、保証会社が取引代金を支払う仕組みで未回収リスクそのものに備えます。入金消込や売掛金台帳といった債権管理の機能は備えていません。
料金は月額定額のサブスク型で、保証する取引先数に上限がなく、従量の保証料もかかりません。月額はミニプラン4,980円〜・Aプラン9,800円・Bプラン29,800円・Cプラン99,800円(いずれも非課税)で、初期費用は無料、初回1か月は無料で試せます。
取引先の信用リスクを保証推奨度5段階で可視化する与信機能を備え、保証金請求は最短10日で支払われます。保証対象は法人・屋号を持つ個人事業主とのBtoB売掛債権で、海外法人や一般消費者との取引は対象外です。
失敗しない債務管理・債権管理システムの選び方
ここからは、自社に合うシステムを見極めるための5つの観点を解説します。すべてを満たす製品を探すのではなく、自社が最も重視する工程・要件から優先順位を付けて絞り込むことが失敗を避けるコツです。
どの工程まで自動化できるか
入金消込だけを自動化したいのか、請求書発行から回収まで一気通貫で任せたいのか、販売管理・会計まで統合したいのかで、選ぶべきタイプが変わります。まず自社の請求・回収業務のどこに最も工数がかかっているかを洗い出し、その工程をカバーする対応範囲の製品に絞ると、機能の過不足を避けられます。
あわせて、取引先数や請求件数、拠点・外貨といった取引の複雑さも判断材料になります。小規模で消込中心なら特化型、全社の基幹を含めて整えたい中堅〜大企業なら統合型、というように規模と対応範囲を重ねて考えると絞り込みやすくなります。
課題が入金消込の一点に絞れている場合は、照合方式や例外対応、会計ソフト連携といった消込まわりの観点だけで製品を比べた以下の記事が役立ちます。
会計・販売管理・銀行データと連携できるか
入金消込や仕訳を自動化するには、既存の会計ソフト・販売管理システムや、入金明細を取得する銀行口座・ネットバンキングとの連携が欠かせません。連携が不十分だと、せっかく自動化しても手作業のデータ移し替えが残ってしまいます。
自社が使う会計ソフトや外部サービスに対応しているかが、連携の要になります。マネーフォワード・勘定奉行・PCA・弥生などの会計ソフトやSalesforce・kintoneといった外部サービスに対応しているか、API連携やCSV連携のどちらで実現するかを事前に確認しておきましょう。
料金・費用体系は自社の請求件数に見合うか
請求件数や取引先数に応じた従量課金の有無で総額が変わります。料金は初期費用と月額費用に加え、この従量部分で大きく差がつき、月額数千円から始められる製品もあれば、規模に応じて個別見積もりとなるものもあります。現在の請求件数と今後の増加を見込み、件数が増えても費用が急増しない体系か、無料トライアルで実際の運用を試せるかを確認しておくと安心です。
入金消込の自動化方式は自社の入金に合うか
入金消込の自動化には、取引先ごとに専用のバーチャル口座を割り当てて入金を確実に紐づける方式、AI・機械学習が振込名義や金額から自動照合する方式、振込名義と請求先を突き合わせる方式などがあります。振込名義が請求先と一致しにくい、分割入金や相殺が多いといった自社の入金パターンに、どの方式が合うかで消込の自動化率が変わります。デモやトライアルで自社の実データに近い形で照合精度を試すのが確実です。

特にAI・機械学習型の照合は、導入直後から照合率が最大になるわけではなく、運用を重ねる中で精度が高まっていく方式です。この学習の立ち上がりの目安について、マネーフォワード クラウド債権管理を提供するマネーフォワードの栗本賢人氏は、独自インタビューで次のように述べています。

機械学習を使っているため、最初から100点を目指すというよりは、使い続けていくことで照合精度が上がっていく仕組みです。目安としては3ヶ月程度で精度が安定してきますが、、お客様のシチュエーションによっても異なります。継続的にお取引をされる企業が中心なのか、新規の取引先が多く入ってくるのかによっても学習のスピードは変わってきます。
サポート・セキュリティ体制は十分か
債権情報は取引先の与信や入金に関わる機微なデータのため、通信の暗号化やアクセス権限の管理、第三者認証(ISMSなど)の取得状況を確認しておきましょう。あわせて、導入・運用を支えるサポート体制も定着を左右します。導入時の初期設定や運用開始後の問い合わせ対応、操作研修の有無を確かめておくと安心です。特に少人数の経理部門では、導入・運用を伴走してくれる体制があるかが実務上の負担を大きく変えます。
債務管理・債権管理システムを導入するメリット
ここからは、システムを導入することで得られる主なメリットを整理します。手作業の削減にとどまらず、経営判断に使える数字の可視化まで含めて価値を捉えると、導入効果を見積もりやすくなります。
最大のメリットは、入金消込や督促といった定型業務の自動化による工数削減です。目視照合で発生していた計上ミスや督促漏れが減り、月次決算の早期化にもつながります。あわせて、誰がどの取引先の入金を確認したかが記録に残るため、担当者に依存していた業務の属人化を解消できます。
滞留している債権や回収予定がリアルタイムで可視化されることで、資金繰りの見通しが立てやすくなる点も見逃せません。督促の自動化や与信・保証の仕組みを組み合わせれば、回収率の改善や貸し倒れリスクの低減にもつながり、経理部門の負担軽減と経営の安定の両面で効果が期待できます。
導入時の注意点
ここからは、導入を成功させるために事前に押さえておきたい注意点を解説します。多機能な製品を選ぶこと自体が目的化しないよう、自社の運用に定着するかを基準に検討することが大切です。
まず、多機能な製品ほど魅力的に見えますが、自社が使わない機能まで抱えると費用と運用負荷が増えます。今の課題を解く対応業務範囲に絞り、将来の拡張は必要になったときに検討するほうが、導入も定着もスムーズです。
また、既存データの移行や運用の切り替えには一定の準備期間が必要です。過去の売掛金残高や取引先マスタの移し替え、締め日をまたぐ切り替えのタイミングを見込んでおくと、導入直後の混乱を避けられます。加えて、現場の経理担当者が無理なく使いこなせる操作性か、初期設定や運用開始を支える体制があるかも、定着を左右します。
まとめ
債務管理・債権管理システムは、請求書発行から入金消込、督促・回収までを自動化し、経理・財務業務の負担軽減と債権の可視化を実現する業務システムです。個人の債務整理や回収代行とは異なり、自社の請求・回収業務そのものを効率化する点が特徴です。
選定にあたっては、自社が最も課題を感じる工程に合ったタイプ(入金消込特化型・請求書発行一体型・販売管理・ERP統合型・督促・回収/未回収保証型)から候補を絞り、会計・銀行データとの連携、料金体系、入金消込の自動化方式、サポート体制を照らし合わせることが失敗しないコツです。まずは気になる製品の資料を比較し、自社の業務に合うかを見極めることをおすすめします。
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出典・参考資料(2件)
- 出典:債権回収ロボ 提供開始のお知らせ(特許出願 特願2026-037336)|株式会社ROBOT PAYMENT
- 出典:T-CHECK Plus 製品情報(照合機能)|株式会社東計電算
※本文および比較表に記載した各サービスの料金・機能・提供形態・導入実績は、各サービスの公式サイトおよびMCB FinTechカタログ掲載情報(2026年9月時点)にもとづきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 債務管理・債権管理システムとは何ですか?
A. 債務管理・債権管理システムとは、企業の売掛金・買掛金を一元管理し、請求書の発行から入金消込、滞留債権の督促・回収までを自動化する業務システムです。
経理・財務部門が担う入金確認や消込の作業を効率化し、目視照合による計上ミスや督促漏れを防ぐ役割を持ちます。取引先が増え、振込・口座振替・カード決済など入金経路が多様になるほど、導入による効果が大きくなります。
Q. 債務管理・債権管理システムは個人の債務整理とは違うのですか?
A. 債務管理・債権管理システムは、個人が借入の返済負担を軽くする「債務整理」とはまったく別のもので、企業の請求・入金消込・支払管理を効率化する法人向けの業務システムです。
任意整理や個人再生、自己破産といった債務整理は、弁護士・司法書士に依頼する法的手続きであり、目的も対象も異なります。また、回収が困難になった債権を買い取ったり回収を代行したりする債権回収会社(サービサー)とも別の選択肢です。本記事が扱うシステムは、あくまで自社の請求・入金消込・督促といった業務そのものを自動化するものです。
Q. 債務管理・債権管理システムの導入費用の目安はどのくらいですか?
A. 債務管理・債権管理システムの費用は、月額数千円から始められるクラウド型から、初期数十万円以上・個別見積もりとなるパッケージ型やERP統合型まで幅広く分かれます。
入金消込特化型やクラウドの請求書発行一体型には初期費用0円・月額数千円から始められる製品がある一方、パッケージ型やERP統合型は初期数十万円以上・個別見積もりとなることが多い傾向です。
多くの製品は請求件数や取引先数に応じた従量課金を含むため、現在の請求件数と今後の増加を見込んで総額を試算しておくと、規模が拡大しても費用が急増しない体系かを見極められます。個別の料金は比較表と各サービスの紹介でご確認ください。
Q. 債務管理・債権管理システムは会計ソフトや銀行口座と連携できますか?
A. 多くの債務管理・債権管理システムは、主要な会計ソフトや銀行口座・ネットバンキングとAPIまたはCSVで連携できます。
マネーフォワード・勘定奉行・freee・PCA・弥生などの会計ソフトや、Salesforce・kintoneといった外部サービスに対応する製品が一般的です。ただし対応範囲は製品ごとに異なり、連携が不十分だと自動化した先で手作業のデータ移し替えが残ってしまいます。自社が使うソフトに対応しているか、API連携とCSV連携のどちらで実現するかを導入前に確認してください。
Q. 債務管理・債権管理システムで入金消込は完全に自動化できますか?
A. 債務管理・債権管理システムの入金消込は、自社の入金パターンに合う照合方式を選べば大幅に自動化できますが、消込の自動化率は入金の内容によって変わります。
照合方式には、取引先ごとに専用のバーチャル口座を割り当てて確実に紐づける方式、AI・機械学習が振込名義や金額から自動照合する方式などがあります。振込名義が請求先と一致しにくい、分割入金や相殺が多いといったケースでは自動化率が下がることもあるため、デモやトライアルで自社の実データに近い形で照合精度を試すのが確実です。
Q. 無料で使える債務管理・債権管理システムはありますか?
A. 月額0円や無料プランから始められる債務管理・債権管理システムもあります。請求書発行を軸にしたクラウド型を中心に、無料で使い始められる製品があります。
ただし無料の範囲は請求書の発行通数や入金明細の取得回数などに制限があり、入金消込などの主要機能は有料プランで提供されることが多い点に注意が必要です。まずは無料プランやトライアルで操作性を確かめたうえで、自社の請求件数に見合う有料プランを見極めるとよいでしょう。
Q. 債務管理・債権管理システムは中小企業や少人数の経理部門でも導入できますか?
A. 債務管理・債権管理システムは、月額数千円台のプランや無料プランを備えた製品も多く、中小企業や少人数の経理部門でも無理なく導入できます。
むしろ取引先・請求件数が増えて手作業の入金消込に限界を感じている企業ほど、導入効果を実感しやすい領域です。少人数の部門では、導入時の初期設定や運用開始を伴走してくれるサポート体制があるかどうかも、定着を左右する重要なポイントになります。
Q. 債務管理・債権管理システムは導入から利用開始までどのくらいかかりますか?
A. 債務管理・債権管理システムの導入期間は製品やタイプによって異なり、クラウド型は最短1か月程度、販売管理・ERP統合型では数ヶ月かかることもあります。
督促・回収に特化したクラウド型は最短1か月程度、販売管理・ERP統合型はクラウド版でも数ヶ月かかることがあります。既存の会計・販売管理システムとの連携やデータ移行の範囲によっても変わるため、資料請求の際に導入スケジュールとサポート内容をあわせて確認しておくと安心です。個別の導入期間は各サービスの紹介でご確認ください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















