社内研修や技術継承、機密性の高い会議映像の配信で動画を活用する企業が増えるなか、「配信する動画を社外のクラウドに預けたくない」「閉域網や社内LANの中だけで安全に届けたい」という要件から、オンプレミス型の動画配信システムを検討する担当者が増えています。
オンプレミス型は自社のサーバーやデータセンターに配信基盤を構築するため、視聴ログやアクセス制御を自社の管理下に置けます。一方で、初期費用や運用体制の負担はクラウド型より大きく、「そもそも自社にオンプレミスが必要なのか」「クラウドとの中間解はないのか」を見極めたうえで製品を選ぶことが失敗を避ける鍵になります。
本記事では、オンプレミス型動画配信システムのクラウド型との違い・メリットと注意点・費用相場を整理したうえで、オンプレミス構築に対応する主要6製品を提供形態やセキュリティ、料金の観点で比較します。自社の要件に合う製品を絞り込むための選び方も解説しますので、検討の判断材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適な製品を最短で見つけられるよう、「オンプレミス対応の動画配信システム比較表」や「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
本記事の対象範囲|オンプレミス型動画配信システムとは
オンプレミス型動画配信システムとは、動画の管理・配信を行う基盤を自社が保有するサーバーやデータセンターに構築し、自社の管理下で運用する提供形態の動画配信システムです。インターネット上の事業者サーバーを利用するクラウド型と異なり、配信データや視聴ログを社外に預けずに済む点が最大の特徴です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、情報システムの提供形態を「自社保有(オンプレミス)=自社が調達・運用・保守」と「クラウドサービス=クラウド事業者が調達・運用・保守」に整理しています。オンプレミス型は自社が基盤を持つぶん、社内LANや閉域網の中だけで動画を届ける構成や、既存の認証基盤と連携したアクセス制御を、自社の方針で設計しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(https://www.ipa.go.jp/security/sme/f55m8k0000001wpl-att/outline_guidance_cloud.pdf)
本記事では、こうしたオンプレミス構築に対応する動画配信システムを比較します。提供形態を限定せず動画配信システム全般を広く比較したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。
オンプレミス型とクラウド型の違い
ここからは、オンプレミス型とクラウド型の違いを、導入判断で効いてくる観点ごとに整理します。両者は「動画を配信する」目的こそ同じですが、費用構造・運用体制・セキュリティの考え方が大きく異なります。
| 比較項目 | 初期費用 | 運用・保守 | カスタマイズ性 | 導入スピード | セキュリティ | 拡張性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| オンプレミス型 | 高い(サーバー構築費が必要) | 自社で担う(専任の体制が必要) | 高い(自社要件に合わせて構築) | 遅い(設計・構築に数か月) | 自社の管理下で完結(閉域網・社内LAN配信が可能) | サーバー増設で対応 |
| クラウド型 | 低い(月額制ですぐ開始) | 事業者に任せられる | 提供機能の範囲内 | 速い(契約後すぐ利用可) | 事業者と役割・責任を分担 | 契約変更で柔軟に拡張 |
最も本質的な違いはセキュリティの考え方にあります。IPAはクラウド活用時の制約として「データを自らの管理範囲外に置く、あるいは社外に預ける不安や制約」を挙げ、クラウドのセキュリティは事業者と利用者が役割・責任を分担して維持するものと説明しています。オンプレミス型は配信基盤ごと自社の管理範囲に置けるため、外部にデータを預けられない要件を持つ企業に向いた構成だといえます。
オンプレミス型動画配信システムのメリット
オンプレミス型を選ぶ利点は、単に「社内にサーバーを置ける」ことではなく、機密性の高い動画運用で効いてくる具体的な強みにあります。ここでは4つの観点で解説します。
配信データを外部に預けずに自社で管理できます。研修教材や技術ノウハウ、経営会議の録画など、社外流出が許されない動画を扱う場合、配信基盤を自社の管理範囲に置けることは大きな安心につながります。閉域網や社内LANの中だけで配信を完結させれば、インターネット経由の情報漏えいリスクそのものを設計段階で断つことができます。
アクセス制御と視聴ログを自社の方針で管理できます。誰がいつどの動画を視聴したかというログを自社サーバーに保持し、既存の認証基盤と連携して視聴権限を細かく制御できます。監査対応や内部統制の観点で、視聴記録を自社の管理下に置きたい企業に適しています。
自社の要件に合わせてカスタマイズしやすくなります。既存の社内システムとの連携や独自の運用フローに合わせて、機能や画面を作り込める柔軟性があります。クラウド型の標準機能では対応しきれない、業種特有の要件を組み込みたい場合に向いています。
長期・大規模の利用では費用を見通しやすくなります。クラウド型は視聴者数や配信量に応じて月額費用が増える一方、オンプレミス型は初期に投資したあとの運用保守費が中心になります。視聴規模が大きく、長期にわたって使い続ける前提であれば、総額を見通しやすい構造だといえます。
オンプレミス型のデメリットと導入前の注意点
メリットの裏返しとして、オンプレミス型には自社で引き受けなければならない負担があります。導入前に押さえておきたい注意点を整理します。
初期費用が高く、導入までに時間がかかります。サーバーの調達・設計・構築が必要なため、契約後すぐに使い始められるクラウド型と比べ、稼働までに数か月を要することがあります。予算と導入スケジュールの両面で、余裕を持った計画が求められます。
運用・保守を自社で担う体制が必要になります。サーバーの死活監視、セキュリティパッチの適用、定期的なバックアップ、視聴者数の増加に備えた容量管理までを情報システム部門が担います。研修や会議の配信が本格化すると視聴のピークに合わせた対応も発生するため、これらの月次の運用工数を誰が持つのかを、導入前に体制として決めておく必要があります。
障害時の対応責任を自社が負います。クラウド型では事業者が担う復旧作業も、オンプレミス型では自社の責任範囲に入ります。全社研修の配信当日にサーバーが停止すれば業務への波及は大きいため、保守契約でどこまでの復旧を事業者が支援するのか、対応窓口や復旧までの目安時間を契約の範囲として確認しておくことが欠かせません。
視聴規模の急な拡大には柔軟に対応しにくくなります。想定を超える視聴者数に対応するにはサーバーの増強が必要になり、クラウド型のように契約変更だけで即座に拡張とはいきません。配信規模が読みにくい用途では、後述する中間解も含めて検討する価値があります。
そもそもオンプレミスが必要か
オンプレミス型は自社管理という強みがある一方、初期投資と運用負担は小さくありません。まずは自社にとって本当にオンプレミスが必要かを見極め、必要なら過剰投資にならない構成を選ぶことが大切です。
オンプレミスが向いている企業
オンプレミス型が適しているのは、次のような要件を持つ企業です。金融・官公庁・製造・医療・教育など、機密性やネットワーク制約の高い組織が該当しやすい傾向にあります。
- 機密性の高い動画を扱い、配信データを社外のクラウドに置けない
- 閉域網や社内LANの中だけで配信を完結させる必要がある
- 視聴ログやアクセス制御を自社の管理下に保持したい
- 運用・保守を担える情報システム部門の体制がある
逆に、社外を含む不特定多数への配信が中心で、機密性より手軽さや拡張性を優先したい場合は、クラウド型のほうが適しています。
オンプレとクラウドの中間解|プライベートクラウド・閉域接続
「機密性は確保したいが、サーバーの運用まで自社で抱えるのは避けたい」という場合、オンプレミスとクラウドの中間にあたる選択肢が有効です。具体的には、専用環境を割り当てるプライベートクラウドや、閉域網(専用線・VPN)でクラウドと自社を接続する構成が挙げられます。
こうした構成なら、運用の一部を事業者に任せながら、社外の一般ネットワークから隔離した環境で配信できます。実際に、後述する製品の多くはオンプレミス版とクラウド版の両方を提供しており、要件に応じて構成を選べます。オンプレミスかクラウドかの二択で考えず、中間解も含めて比較すると、過剰投資を避けやすくなります。
オンプレミス型動画配信システムの費用相場
オンプレミス型の費用は、サーバー構築を伴うぶんクラウド型より初期負担が大きくなります。あくまで目安ですが、桁感をつかむために両者を比較します。
動画配信システムの提供事業者が公開している費用の目安では、オンプレミス型は初期費用300万〜1,000万円、運用保守費用が年30万〜100万円とされています。これに対しクラウド型は初期費用10万〜30万円、月額10万〜20万円が目安です。オンプレミス型は初期にまとまった投資が必要な一方、クラウド型は初期を抑えて始められる代わりに月額が継続的に発生する構造だとわかります。
ただし、これらは利用人数や動画容量を十分に考慮した場合の目安であり、実際の費用は要件によって変動します。多くの製品は料金を公開しておらず個別見積もりとなるため、具体的な金額は各社への問い合わせで確認するのが確実です。視聴規模が大きく長期利用する前提ならオンプレミス型、初期を抑えて素早く始めたいならクラウド型、というのが費用面から見た大まかな判断軸になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:動画配信システムの費用は?相場や料金の内訳、選び方を解説|株式会社フォトロン(https://www.photron.co.jp/solution/recording/video-system-cost.html)
30秒でわかる|自社に合うオンプレミス型動画配信システム診断
ここまでオンプレミス型の特徴や費用を見てきましたが、機密度・配信規模・用途・提供形態の希望は企業ごとに異なり、どの製品が自社に合うかを見極めるのは簡単ではありません。次の診断では、いくつかの質問に答えるだけで、条件に近い製品を絞り込めます。ぜひご活用ください。
一括ダウンロードする
オンプレミス対応の動画配信システム比較
ここからは、オンプレミス構築に対応する主要6製品を、提供形態・閉域配信への対応・認証基盤との連携・セキュリティ・料金の観点で比較します。いずれも2026年9月時点で新規導入を受け付けている現行製品です。
本記事で扱う現行の主要製品は、いずれもオンプレミス構築に加えてクラウド版も選べるハイブリッド構成です。そのためオンプレミス構築の形(専用環境・エッジ配信・買い切りなど)に注目して見比べてください。
| サービス名 | Mediasite Video Platform | CLEVAS(クレヴァス) | クラストリーム(CLASTREAM) | Bizlat | ソーシャルキャスト(SocialCast) | メタムービクス(MetaMovics) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | オンプレミス構築 / クラウド | オンプレ版CLEVAS / CLEVAS Cloud | オンプレ版 / クラウド・エッジ | オンプレ版Bizlat 6.0 / クラウド | イントラ/指定サーバー構築 / クラウド | オンプレ買い切り / クラウドASP |
| 閉域・社内LAN配信 | ● | ● | ● | ● | ●オーダーメイド構築 | ● |
| AD・SSO連携 | △認証サーバー連携 | ●LDAP・AD連携 | ●AD・SSO連携 | 記載なし | ●SSO連携 | 記載なし |
| セキュリティ認証 | 記載なし | ISO27001 (運営会社が取得) | ISO27001・ISO27017 (動画配信事業部が取得) | 記載なし | ISO27001 (運営会社が取得) | 記載なし |
| 主な用途 | 講義収録・eラーニング・研修配信 | 大学講義・医療実習・企業研修 | 社内研修・セミナー・限定配信 | 企業内配信・会員向け・有料配信 | 動画販売・研修・限定配信 | 社員研修・教材配信 |
| 料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (クラウド版は月80,000円〜) | 要問い合わせ (クラウド版は月33,000円〜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (クラウド版は月36,000円〜) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※各製品の公式サイト等の公開情報にもとづく2026年9月時点の内容です。マークは、●=対応、△=条件つき・一部対応、「記載なし」=公式に明記なし(非対応とは限りません)を表します。「セキュリティ認証」は製品固有の認証ではなく、CLEVAS・ソーシャルキャストは運営会社の、クラストリームは運営会社の動画配信事業部が取得したISO認証です。料金はいずれもオンプレミス構築は個別見積もり(要問い合わせ)で、注記の月額は各社が公開するクラウド版の参考価格です。最新の対応可否・料金は各社にご確認ください。
オンプレミス対応動画配信システムの個別紹介
比較表で挙げた6製品について、提供形態やセキュリティ機能、想定される用途を個別に紹介します。いずれもオンプレミス構築に対応しつつ、クラウド版も選べる製品が中心です。自社の要件に近い製品から詳しく確認してください。
1. Mediasite Video Platform(メディアサイト株式会社)

Mediasite Video Platformは、大学や医療機関の講義収録・配信を主な用途として展開されてきた動画プラットフォームです。メディアサイト株式会社が開発し、専用の収録機Mediasite Recorderで撮影した映像をサーバーへ自動アップロードし、編集から視聴制限、配信までを一つの画面で管理できます。
提供形態はオンプレミス構築とクラウド利用の両方に対応します。自社サーバーやデータセンターに配信基盤を置く閉域網での運用に対応し、視聴権限の付与とユーザー認証サーバーとの連携によって、特定の受講者だけに動画を届けられます。
動画に含まれる文字を検索できる機能やLMS連携、利用者自身がコンテンツを公開できるMy Mediasiteなど、講義・研修動画の運用を支える機能を備えます。料金は構成によって異なるため、オンプレミス構築の見積もりを含めて問い合わせが必要です。
2. CLEVAS(株式会社フォトロン)

CLEVASは、高速度カメラや収録システムを手がける株式会社フォトロンが開発した学習動画共有プラットフォームです。講義や研修の動画を配信するだけでなく、視聴者が動画のタイムライン上にコメントや評価を書き込み、学びを共有できる仕組みを備えています。
提供形態は、自社サーバーで動画を管理するオンプレミス版「CLEVAS」と、クラウド版「CLEVAS Cloud」の2種類です。オンプレミス版は閉域網での運用に対応し、LDAPやActive Directoryと連携して既存の認証基盤に視聴者管理を寄せられます。
フォトロン社の収録機器Spider Recなどと連携した講義室の自動収録配信に対応し、課金はライセンス数ではなく同時ログイン数に応じる方式です。運営会社のフォトロンがISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しています(CLEVAS製品固有の認証ではありません)。オンプレミス構築の料金は要問い合わせです。
3. クラストリーム(株式会社アイ・ピー・エル)

ID・パスワードによる会員制の限定配信に特化しているのが、株式会社アイ・ピー・エルが運営するクラストリームです。部署や履修科目、会員種別ごとに視聴範囲を細かく設定でき、社内研修・社外セミナー・イベントのライブ配信など「特定の人だけに届ける」用途を想定しています。
配信方式はクラウド配信を基本としつつ、サーバーを自社環境へ導入するオンプレミス版や、顧客専用サーバーを用意する専用環境プラン、多拠点向けのエッジサーバー構成まで選べます。AD連携・SSO連携にも対応し、社内の認証基盤と組み合わせた運用が可能です。
セキュリティ面では特許を取得したウォーターマーク機能、IPアドレス制限、リファラ制限、二要素認証などを備えます。運営会社の動画配信事業部門はISO27001とISO27017の認証を取得しています。クラウド版の月額はスモールプラン33,000円(税込)からで、オンプレミス版の料金は要問い合わせです。
4. Bizlat(株式会社EVC)

放送局や大手企業向けの映像システム開発を母体とする株式会社EVCが提供するのが、動画管理・配信システムのBizlatです。ライブ配信とVOD配信の両方に対応し、企業内の限定配信から会員向け配信、有料配信までを単一のパッケージでカバーします。
提供形態は、顧客環境に設置するオンプレミス版「Bizlat 6.0」と、クラウド版「Bizlat Cloud」の2系統です。機密性の高い映像は自社設置のオンプレミス版で社内に閉じて配信し、手早く始めたい配信はクラウド版を選ぶ、という使い分けができます。
セキュリティ面ではAES暗号化やMicrosoft PlayReadyによるDRM、CDN連携に対応します。映像システムインテグレーターとして導入・構築支援まで手がける点は、オンプレミス設置を伴う案件では確認しておきたい要素です。料金はいずれの提供形態も要問い合わせです。
5. ソーシャルキャスト(株式会社ストランダー)

自社ブランドの動画配信サイトをそのまま構築できるのが、株式会社ストランダーのソーシャルキャストです。オンデマンド配信・ライブ配信に加え、単品販売・サブスクリプション・レンタルなど複数の販売方式を組み合わせられ、一般消費者向けの動画販売と法人向けの会員限定配信の双方に対応します。
提供形態は、サーバー込みのレンタルプランと、自社環境に設置するオンプレミス向けのパッケージプラン(オーダーメイド開発)の2系統です。ID・パスワード認証やシリアルコード配布による会員限定配信、視聴者・グループ単位の権限設定によって、社内研修や限定コンテンツの配信範囲を絞り込めます。
セキュリティ面ではSSL/TLSによる通信の暗号化、2要素認証、IPアドレス制限に対応し、国内データセンターを利用しています。運営会社のストランダーは全社でISO/IEC 27001認証を取得しています。レンタルプランは初期・月額とも36,000円からの定額制で、オンプレミス向けパッケージの料金は要問い合わせです。
6. メタムービクス(株式会社リオ)

株式会社リオの教育事業部が開発したメタムービクスは、教材や研修動画の配信管理を主眼としたネットワーク型の動画配信管理システムです。「サイト生成」「動画再生」「管理」の3機能をパッケージ化し、動画のエンコードやサムネイル生成を自動化して投稿の手間を抑えます。
提供形態はクラウドASPと、導入時に買い切りで自社環境へ設置するオンプレミス版の両対応です。ID・パスワードによるログイン認証とグループ単位のアクセス管理で視聴権限を設定でき、閉じた環境での教材配信に用いられます。
ユーザーアカウント数は無制限で、受講者が増えてもアカウント単位のライセンス増を気にせず利用できます。対応デバイスはPCブラウザ・タブレット・スマートフォンです。オンプレミス版を含む料金は要問い合わせで、導入時の構成にあわせた見積もりが必要です。
オンプレミス型動画配信システムの選び方
オンプレミス対応といっても、提供形態やセキュリティ機能、運用に必要な体制は製品ごとに異なります。ここでは、自社の要件に合う製品を絞り込むための観点を、確認する順序に沿って解説します。
提供形態がオンプレミス専用かクラウド併用可か
まず確認したいのが、その製品がオンプレミス専用なのか、クラウド版も選べるハイブリッド型なのかです。この違いは、将来の運用方針の柔軟性に直結します。当面はオンプレミスで運用しつつ、将来的にクラウドや中間解へ移行する可能性があるなら、両方を提供する製品を選んでおくと選択肢を残せます。自社の機密要件が緩和される見込みや、運用体制の変化を見据えて判断することが大切です。
閉域網・社内LAN配信に対応できるか
機密動画をインターネットから隔離して配信したい場合、閉域網や社内LANの中だけで配信を完結できるかが重要な条件になります。判断は自社のネットワーク構成で分かれます。単一拠点で社内LAN内に閉じるなら多くの製品が対応しますが、専用線やVPNで結んだ複数拠点へ配信するなら、拠点ごとに配信を最適化するエッジ配信に対応する製品が候補になります。
完全にインターネットから切り離したイントラネット限定の環境では、その構成での構築実績やオーダーメイド対応の可否まで確認すると安心です。視聴端末の想定環境(社内PCに限るのか、専用アプリが必要か)もあわせて各社に提示し、自社の構成で問題なく配信できるかを見極めましょう。
既存の認証基盤(AD/SSO)と連携できるか
視聴者の管理を効率化し、アクセス制御を徹底するには、既存の認証基盤との連携が欠かせません。具体的には、Active Directoryとの連携や、シングルサインオン(SSO)に対応しているかを確認しておきましょう。
数百人以上が利用する規模では、既存アカウントで視聴管理できるかどうかが、運用負荷とセキュリティの両面で大きな差を生みます。二要素認証やIPアドレス制限といった追加の視聴制御に対応しているかもあわせて見ておきましょう。
サーバー要件・配信規模に自社の環境が見合うか
オンプレミス型は自社サーバーに構築するため、製品が求めるサーバー要件(対応OS・スペック)と、想定する同時視聴者数に自社の環境が見合うかを確認しておきます。大規模なライブ配信を行うのか、オンデマンドの研修動画が中心なのかで必要なスペックは変わります。想定する配信規模を提示したうえで、必要なサーバー構成と拡張余地を各社に確認しておくと、後からの増強コストを見積もりやすくなります。
運用・保守を自社で担える体制があるか
オンプレミス型は、サーバーの監視や障害対応、アップデートを自社で担うのが基本です。専任できる人員や運用ノウハウが社内にあるかを見極め、不足するなら保守サポートの手厚い製品を選ぶ判断が必要になります。ベンダーの保守契約でどこまでの範囲をカバーできるか、障害時の対応窓口や復旧支援の有無を確認しておくと、運用開始後の負担を現実的に見積もれます。
現在も新規導入を受け付けているか
オンプレミス型の動画配信システムには、過去に提供されていたものの新規販売や受注を終了した製品もあります。比較検討の途中で候補に挙がった製品でも、現時点で新規に導入できるとは限りません。公式サイトで新規導入を受け付けているか、サポートの提供期限はいつまでかを必ず確認し、これから長期に使う製品として問題がないかを見極めてください。
まとめ
オンプレミス型動画配信システムは、配信データや視聴ログを自社の管理下に置き、閉域網や社内LANの中だけで機密動画を届けられる提供形態です。その一方で、初期費用や運用・保守の負担はクラウド型より大きいため、まず自社にオンプレミスが必要かを見極め、必要ならプライベートクラウドなどの中間解も含めて検討することが失敗を避ける近道になります。
製品を選ぶ際は、提供形態・閉域配信への対応・認証基盤との連携・サーバー要件・運用体制・現在の提供状況を順に確認し、自社の要件に合う候補を絞り込んでください。各製品の資料をまとめて取り寄せ、機能や費用を横並びで比較すると、検討がスムーズに進みます。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. オンプレミス型動画配信システムとは何ですか?
A. オンプレミス型動画配信システムとは、動画の管理・配信を行う基盤を自社のサーバーやデータセンターに構築し、自社の管理下で運用する提供形態の動画配信システムです。インターネット上の事業者サーバーを利用するクラウド型と異なり、配信データや視聴ログを社外に預けずに済むため、閉域網や社内LANの中だけで機密動画を配信したい企業に向いています。
Q. オンプレミス型とクラウド型の動画配信システムは何が違いますか?
A. オンプレミス型とクラウド型は、初期費用・運用体制・セキュリティの考え方が大きく異なり、オンプレミス型は自社管理で高いセキュリティ、クラウド型は低コストで短期間に開始できる点が主な違いです。オンプレミス型は初期にサーバー構築費がかかり運用保守も自社で担いますが、配信基盤ごと自社の管理範囲に置けます。
IPA(情報処理推進機構)も提供形態を「自社保有(オンプレミス)=自社が調達・運用・保守」と「クラウド=事業者が調達・運用・保守」に整理しており、両者は基盤を誰が持ち誰が守るかという点で根本的に異なります。
Q. そもそも自社にオンプレミス型動画配信システムは必要ですか?
A. オンプレミス型が必要になるのは、機密動画を社外のクラウドに置けない、閉域網・社内LANだけで配信したい、視聴ログを自社の管理下に保持したい、といった要件がある場合です。逆に、社外を含む不特定多数への配信が中心で、機密性より手軽さや拡張性を優先したいならクラウド型のほうが適しています。
初期投資と運用負担は小さくないため、まず自社要件を見極め、必要な場合も過剰投資にならない構成を選ぶことが失敗を避ける鍵になります。
Q. オンプレミス型動画配信システムは閉域網や社内LANだけで配信できますか?
A. オンプレミス型は自社の管理下に配信基盤を構築するため、インターネットから隔離した閉域網や社内LANの中だけで配信を完結させる構成が可能です。ただし、実際の配信経路や視聴端末の要件は製品ごとに差があるため、自社のネットワーク構成(専用線・VPN・イントラネット)で問題なく配信できるかを、視聴環境まで含めて事前に確認しておくと安心です。
Q. オンプレミス型動画配信システムは既存の認証基盤(AD/SSO)と連携できますか?
A. 多くのオンプレミス型動画配信システムは、Active Directory連携やシングルサインオン(SSO)に対応しており、既存アカウントで視聴者管理やアクセス制御を行えます。ただし対応範囲は製品ごとに異なるため、二要素認証やIPアドレス制限といった追加の視聴制御とあわせて、各製品の対応可否を確認してください。
数百人以上が利用する規模では、この連携の可否が運用負荷とセキュリティの両面で大きな差を生みます。
Q. オンプレミス型動画配信システムの初期費用はどのくらいが目安ですか?
A. あくまで目安ですが、オンプレミス型は初期費用300万〜1,000万円、運用保守費用が年30万〜100万円が相場とされ、クラウド型(初期10万〜30万円・月額10万〜20万円)より初期負担が大きくなります。これは利用人数や動画容量を十分に考慮した場合の目安で、実際の費用は要件によって変動します。
多くの製品は料金を公開しておらず個別見積もりとなるため、具体的な金額は各社への問い合わせで確認するのが確実です。
Q. オンプレミス型動画配信システムの運用・保守は自社で担う必要がありますか?
A. オンプレミス型はサーバーの監視・障害対応・アップデートを自社で担うのが基本で、専任できる人員や運用ノウハウが社内にあるかが導入可否を左右します。社内の体制が不足する場合は、ベンダーの保守サポートが手厚い製品を選ぶ判断が必要です。保守契約でどこまでの範囲をカバーできるか、障害時の対応窓口や復旧支援の有無を事前に確認しておくと、運用開始後の負担を現実的に見積もれます。
Q. オンプレミスとクラウドの中間にあたる選択肢(プライベートクラウド)はありますか?
A. 「機密性は確保したいが運用まで自社で抱えたくない」場合は、専用環境を割り当てるプライベートクラウドや、閉域網(専用線・VPN)でクラウドと自社を接続する中間解があります。運用の一部を事業者に任せつつ、社外の一般ネットワークから隔離した環境で配信できます。実際に多くの製品がオンプレミス版とクラウド版の両方を提供しているため、二択で考えず中間解も含めて比較すると、過剰投資を避けやすくなります。
動画配信システムの料金・機能を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、動画配信システムの最新資料をワンクリックで一括入手できます。提供形態やセキュリティ機能、料金、サポート体制など、比較に必要な情報をすばやく把握できます。オンプレミス構築を検討する際の候補選びにお役立てください。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















