「新リース会計基準が2027年に始まる」と社内で聞いたものの、具体的にいつからで、自社の決算だと最初はどの期からなのかがはっきりしないまま、準備を任されている経理・財務の担当者は少なくありません。適用の時期は「2027年頃」といった曖昧な言い方では足りず、自社の決算月に当てはめた初年度まで確定させないと、影響試算も早期適用の判断も動き出せないためです。
本記事では、企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月に公表した新リース会計基準について、強制適用と早期適用の年月日を原文で示したうえで、3月決算・12月決算など決算月ごとの初年度を早見表にまとめました。あわせて、自社が対象企業に当たるかの判定と、適用時期から逆算した準備スケジュールも整理しています。
読み終えるころには、自社の初年度を言い当て、対象企業かどうかを判定し、いつまでに何を準備すればよいかの逆算スケジュールを描けるようになります。適用時期を確定したうえで、次の準備の一歩に進むための材料としてご活用ください。
目次
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新リース会計基準はいつから?強制適用と早期適用の適用時期
結論から示すと、新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」)の適用時期は次の2つです。強制適用が2027年4月1日以後に開始する事業年度から、任意で前倒しできる早期適用が2025年4月1日以後に開始する事業年度からと定められています。いずれも「開始する事業年度の期首から」という起算で、期の途中から切り替わるわけではありません。
この2つの日付は、基準本文の適用時期を定めた条文に一文で示されています。
本会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる。
出典:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」第58項|企業会計基準委員会(ASBJ、2024年9月13日公表)
強制適用は2027年4月1日以後に開始する事業年度から
強制適用の起点は、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首です。ポイントは「開始する事業年度」で判定する点で、2027年4月1日という日そのものではなく、その日以後に始まる事業年度から適用が始まります。決算日をまたいで期の途中で処理を切り替えるのではなく、対象となる事業年度の期首の残高から新基準で処理します。
早期適用は2025年4月1日以後に開始する事業年度から任意で可能
強制適用を待たず前倒しで適用することもできます。第58項のただし書きにある「2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる」がその根拠です。「適用することができる」という任意の定めなので、早期適用するかどうかは各社の判断に委ねられています。前倒しの是非をどう考えるかは、後述の判断材料の節で整理します。
決算月ごとの初年度早見表
「2027年4月1日以後に開始する事業年度」を自社の決算月に当てはめると、初年度は次のようになります。決算月の翌月1日が事業年度の開始日にあたり、その開始日が2027年4月1日以後になる最初の事業年度が、強制適用の初年度です。

| 決算月(事業年度) | 強制適用の初年度 | 早期適用の初年度(任意) |
|---|---|---|
| 3月決算(4月〜翌3月) | 2028年3月期 | 2026年3月期 |
| 4月決算(5月〜翌4月) | 2028年4月期 | 2026年4月期 |
| 5月決算(6月〜翌5月) | 2028年5月期 | 2026年5月期 |
| 6月決算(7月〜翌6月) | 2028年6月期 | 2026年6月期 |
| 7月決算(8月〜翌7月) | 2028年7月期 | 2026年7月期 |
| 8月決算(9月〜翌8月) | 2028年8月期 | 2026年8月期 |
| 9月決算(10月〜翌9月) | 2028年9月期 | 2026年9月期 |
| 10月決算(11月〜翌10月) | 2028年10月期 | 2026年10月期 |
| 11月決算(12月〜翌11月) | 2028年11月期 | 2026年11月期 |
| 12月決算(1月〜12月) | 2028年12月期 | 2026年12月期 |
| 1月決算(2月〜翌1月) | 2029年1月期 | 2027年1月期 |
| 2月決算(3月〜翌2月) | 2029年2月期 | 2027年2月期 |
注意したいのは、事業年度の開始が1月〜3月になる12月決算・1月決算・2月決算です。これらの会社は、2027年に始まる事業年度の開始日が2027年4月1日より前になるため、その期は強制適用の対象になりません。
1つ後ろの事業年度が初年度となり、たとえば12月決算なら2028年12月期が最初の適用期です。3月決算の2028年3月期を基準に「うちも2027年度から」と早合点すると、初年度を1年取り違えるおそれがあります。
早見表の早期適用の列は、制度上の最も早い初年度を示したものです。すでに始まっている事業年度までさかのぼって早期適用することはできないため、実際に選べるのは、これから期首を迎える事業年度に限られます。自社が前倒しを検討できる期がどれかは、決算日と現在の時点をあわせて確認してください。
新リース会計基準の対象企業は?自社が対象か判定する
ここからは、自社が新リース会計基準の対象になるかを判定します。適用時期を確認した次に多くの担当者が抱くのが「そもそも自社は対象なのか」という問いです。対象範囲は新リース会計基準そのものではなく、どの会社が会計基準に従って財務諸表を作る義務を負うかという会社法・金融商品取引法の枠組みから決まります。
対象となる企業
新リース会計基準に従う必要があるのは、おおむね次の会社です。金融商品取引法にもとづく開示を行う会社は、内閣府令の定めにより一般に公正妥当と認められる会計基準に従って財務諸表を作成する義務があります(金融商品取引法第193条)。新リース会計基準も、その会計基準に含まれます。
- 上場企業とその連結子会社・関連会社:金融商品取引法にもとづく有価証券報告書を提出する会社と、その連結の範囲に入る子会社・関連会社
- 会社法上の大会社:資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の株式会社(会社法第2条第6号。いずれかに該当すれば大会社)
- 会計監査人設置会社:大会社は会計監査人を置く義務があり(会社法第328条)、公認会計士・監査法人の監査を受けるため会計基準に従った計算書類の作成が求められます
資本金と負債総額は「いずれか」に当てはまれば大会社です。資本金が5億円未満でも、負債総額が200億円以上あれば大会社に該当する点は見落とされがちなので、自社の直近の貸借対照表で両方を確認しておくと確実です。
中小企業は対象か(原則対象外だが実質必要になるケース)
上場しておらず大会社にも当たらない中小企業は、原則として新リース会計基準の対象外です。中小企業の会計に関する指針が、金融商品取引法の適用を受ける会社やその子会社・関連会社、会計監査人を設置する会社を適用対象から「除く」と定めており、それ以外の会社は従来の会計処理を続けられます。
ただし「中小企業だから無関係」と言い切れないケースがあります。次のような場合は、実質的に新基準への対応が求められることがあるため、原則対象外でも早めの確認をおすすめします。
- 上場企業の連結子会社・関連会社にあたる場合(親会社の連結財務諸表を通じて新基準の処理が求められる)
- 株式上場(IPO)を予定している場合(上場審査に向けて新基準対応の財務諸表が必要になる)
- M&Aで上場企業グループに入る可能性がある場合
- 金融機関との融資契約で財務指標に関する取り決め(コベナンツ)があり、会計処理の変更が指標に影響する場合
出典・参考資料(3件)
- 出典:会社法 第2条第6号・第328条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
- 出典:金融商品取引法 第193条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025)
- 出典:中小企業の会計に関する指針(4.本指針の適用対象とする株式会社)|日本税理士会連合会ほか(https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/cpta/business/tyushoushien/indicator/chusyokaikei140203.pdf)
早期適用を前倒しすべきかの判断材料
早期適用の日付(2025年4月1日以後に開始する事業年度)は先に示したとおりで、ここでは「前倒しするかどうか」をどう考えるかを整理します。任意の制度なので、自社の準備状況と負担を天秤にかけて判断することになります。
前倒しを後押しする要素としては、リース契約の棚卸しや影響試算がすでに進んでおり、早く新基準に移行して社内の運用を安定させたいケースが挙げられます。一方で慎重に考えたいのが、適用初年度の会計処理の負担です。適用指針では、新基準を適用する初年度は原則として過去の期間すべてに遡って処理する遡及適用が求められます。
ただし簡便的な取り扱いも認められており、初年度の期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を、初年度の期首の利益剰余金に加減する方法を選べます。いずれにしても、過去分の再計算やその影響額の把握には相応の工数がかかるため、比較情報の整備を含めて準備が整っているかが、前倒しの現実的な判断材料になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」第118項|企業会計基準委員会(ASBJ)(https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0913.html)
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新リース会計基準とは?従来から何が変わるのか
ここでは、適用時期を押さえた読者が「何がどう変わるのか」を最小限つかめるよう、変更の核心だけを整理します。最も大きな変更は、借手のリース取引の扱いです。従来はファイナンス・リースだけを資産計上し、オペレーティング・リースは賃借料として費用処理していました。
新基準では、借手は原則としてすべてのリースについて、借りて使う権利を表す「使用権資産」と、支払義務を表す「リース負債」を貸借対照表に計上します。オフバランスだったリースがオンバランス化される、という変化です。
対象は不動産の賃貸借やオフィス機器のリースなど幅広く及ぶため、これまで費用として処理してきた契約が資産・負債として財務諸表に載ることになります。会計処理の詳細やリースの識別方法は論点が多いため、基準の全体像は関連記事に譲り、本記事では適用時期の判断に必要な範囲にとどめます。
オンバランス化の仕組みや使用権資産・リース負債の仕訳イメージ、どの契約が「リース」に該当するかの識別と例外、財務指標への影響まで、基準の全体像を通しで確認したい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
新リース会計基準とは?2027年適用の変更点・対象企業・準備をわかりやすく解説
2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」、いわゆる新リース会計基準の適用が迫っています。これまで貸借対照表に載っていなかったオペレーティング・リースも資産・負債として計上する「オ…
財務指標への影響(自己資本比率・ROAの低下)
オンバランス化は財務指標にも波及します。使用権資産とリース負債が両建てで計上されると、総資産と負債が増えるため、自己資本比率や総資産利益率(ROA)が下がる方向に働きます。
リース取引の規模が大きい業種ほど影響は大きくなりやすく、金融機関との融資契約で財務指標の取り決めがある場合には、指標の変動が契約条件に触れないかの事前確認も必要になります。影響の大きさは契約の内容や金額によって変わるため、次に述べる準備の中で自社の数値を試算しておくことが欠かせません。
適用時期から逆算する準備スケジュール
ここからは、確定した初年度から逆算して、いつ何を準備するかを整理します。適用は期首の残高から始まるため、初年度の期首を起点に、そこから前倒しで作業を進める形になります。3月決算で強制適用の初年度が2028年3月期の場合、起点は2027年4月1日です。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 着手できる今から | リース契約・賃貸借契約の棚卸しと、リースに当たる契約の識別 |
| 初年度の約1年前まで | 使用権資産・リース負債の影響額を試算し、経営層へ報告。会計方針の決定とシステムの選定 |
| 初年度の期首(適用開始) | システムの本稼働と、期首残高の計上・並行運用の確認 |
最初の一歩は、どの契約がリースに当たるかの棚卸しと識別です。契約書が紙と電子に散在していると、この洗い出しだけで時間がかかります。影響試算やシステム選定はその後の工程なので、まずは契約を集約して一覧化するところから着手すると、後の工程が滑らかになります。
新リース会計基準への対応に役立つサービス
ここでは、準備の最初の工程である「リース契約の棚卸し・識別」に役立つサービスを紹介します。新リース会計基準への対応は、大きく分けると「どの契約がリースに当たるかを洗い出す識別・棚卸し」と「使用権資産・リース負債を計算し仕訳する会計処理」の2つの工程に分かれます。
以下で取り上げるのは前者の識別・棚卸しを担うサービスで、使用権資産・リース負債の計算そのものは固定資産管理システムやクラウド会計ソフト側が担い、両者はCSV連携などでデータを引き継ぐ設計が一般的です。
下表は、リース契約の棚卸し・台帳化・リース識別に役立つサービスを比較したものです。
| サービス名 | TOKIUM契約管理 | マネーフォワード クラウド契約 |
|---|---|---|
| 新リース会計基準のリース識別 | ●契約書全文をAIで読み取りリース該当を識別。根拠条文付きでCSV出力できる標準機能 | ●リース自動識別機能で新リース会計基準への対応を訴求 |
| 契約書の棚卸し・台帳化(AI-OCR) | ●紙契約書を非破壊でスキャン代行し、AI-OCRで全文データ化。GPT-4oが管理項目を自動抽出 | ●AI-OCRの自動入力(GPT-4o)で契約情報を抽出。他社で締結した契約書も取り込み可能 |
| 使用権資産・リース負債の計算 | ×自社では計算せず、固定資産管理システムへCSV連携 | ×自社では計算せず、クラウドリース会計などの会計処理側が担当 |
| 提供形態・料金 | 契約管理クラウド 基本利用料 月1万円〜+契約書件数の従量制 初期費用は要問い合わせ | マネーフォワード クラウドの1サービス 入口プラン 法人 月2,480円〜(年払い) 初期費用0円(標準プラン) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。使用権資産・リース負債の計算は両サービスとも自社では行わず、CSV連携などで固定資産管理システムや会計処理側に引き継ぐ設計です。
TOKIUM契約管理(株式会社TOKIUM)

紙と電子の契約書をまとめてクラウドで管理できるのがTOKIUM契約管理です。紙の契約書は郵送するだけで非破壊のままスキャン代行され、AI-OCRで全文をデータ化したうえで、取引先名・契約期間・自動更新の有無といった管理項目を生成AIが自動で抽出します。締結後の契約が散在している企業にとって、棚卸しの起点になる台帳を整えやすいサービスです。
新リース会計基準への対応では、契約書の内容を読み取り、リースに当たる可能性のある取引をAIで識別する機能を標準で提供しています。識別の結果はCSVで出力でき、使用権資産・リース負債の計算は外部の固定資産管理システムなどに引き継ぐ設計です。
契約管理側で会計計算まで完結するわけではなく、識別と契約情報の整備を担う位置づけと理解しておくと、後工程との役割分担を描きやすくなります。料金は基本利用料が月あたり1万円からで、契約書の件数に応じた従量制が加わります(2026年8月時点、初期費用は要問い合わせ)。
マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド契約は、電子契約の締結と、締結後の契約書のAI-OCRによる一元管理を1つのサービスでまかなえます。会計・請求書・経費・給与などを揃えるマネーフォワード クラウドの一部で、契約から会計処理までを同じ基盤の上でつなげられるのが持ち味です。契約情報を集約して管理できるため、リース契約を含む契約の棚卸しの土台として使えます。
使用権資産・リース負債の計算そのものは、同社が別に提供するクラウドリース会計などの会計処理側が担う構成です。契約管理で識別・整理した情報を会計処理へ渡す流れを、同じマネーフォワード クラウド内で組める点が、他サービスとの違いになります。
料金は「まずは電子契約をはじめたい方」向けのプランが法人向けで月額2,480円から(2026年8月時点、年払い・税別)で、会計や請求書など複数のサービスを基本料金の範囲で利用できます。初期費用は標準プランで0円です。
ここで取り上げたのは棚卸し・識別に役立つ2サービスですが、契約管理システムは製品ごとにカバーする範囲や料金が大きく異なります。タイプ別の選び方や料金の実額、電子帳簿保存法への対応まで含めて幅広く比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
新リース会計基準は、強制適用が2027年4月1日以後に開始する事業年度から、早期適用が2025年4月1日以後に開始する事業年度から始まります。いずれも期首起算のため、自社の決算月に当てはめて初年度を確定することが出発点です。3月決算なら2028年3月期、12月決算なら2028年12月期のように、事業年度の開始が2027年4月1日以後になる最初の期が強制適用の初年度になります。
対象になるのは上場企業や会社法上の大会社、会計監査人設置会社などで、中小企業も上場子会社やIPO予定などの場合は実質的な対応が必要です。初年度を確定したら、契約の棚卸しから影響試算、システム選定へと逆算で準備を進めていきましょう。まずはリース契約の洗い出しと識別から着手するのが、無理のない第一歩です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 新リース会計基準とは何ですか?
A. 新リース会計基準とは、借手が原則としてすべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」として貸借対照表に計上(オンバランス化)する会計基準です。企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月13日に公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を指し、従来は賃借料として費用処理していたオペレーティング・リースも資産・負債として財務諸表に載る点が、最も大きな変更です。
Q. 新リース会計基準はいつから強制適用されますか?
A. 新リース会計基準の強制適用は、2027年4月1日以後に開始する事業年度(連結会計年度を含む)の期首から始まります。任意で前倒しする早期適用は、2025年4月1日以後に開始する事業年度の期首から可能です。いずれも「開始する事業年度の期首から」という起算で、期の途中で処理を切り替えるわけではなく、対象となる事業年度の期首残高から新基準で処理します(企業会計基準第34号第58項)。
Q. 3月決算や12月決算の会社は、新リース会計基準が最初に適用されるのはいつですか?
A. 事業年度の開始日が2027年4月1日以後になる最初の期が初年度で、3月決算なら2028年3月期、12月決算なら2028年12月期が強制適用の初年度です。注意したいのは、事業年度の開始が1月〜3月になる12月決算・1月決算・2月決算で、2027年に始まる事業年度の開始日が2027年4月1日より前になるため、その期は対象にならず1つ後ろの事業年度が初年度になります。
自社の決算月での初年度は、本記事の決算月ごとの早見表で確認できます。3月決算の2028年3月期を基準に「うちも2027年度から」と思い込むと1年ずれるため、決算月ごとに当てはめて確認してください。
Q. 新リース会計基準は早期適用すべきですか?
A. 早期適用は任意の制度のため、リース契約の棚卸しや影響試算などの準備が整っている企業には前倒しが向く一方、準備が途上なら強制適用まで待つ選択も妥当です。
適用初年度は原則として過去の期間に遡って処理する遡及適用が求められます(初年度の期首より前の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する簡便的な取扱いも選べます)。過去分の再計算や比較情報の整備には相応の工数がかかります。この準備状況が、前倒しするかどうかの現実的な判断材料になります(企業会計基準適用指針第33号第118項)。
Q. 中小企業も新リース会計基準への対応が必要ですか?
A. 上場しておらず会社法上の大会社にも当たらない中小企業は、原則として新リース会計基準の対象外で、従来の会計処理を続けられます。
ただし「中小企業だから無関係」と言い切れないケースがあり、上場企業の連結子会社・関連会社にあたる場合、株式上場(IPO)を予定している場合、M&Aで上場企業グループに入る可能性がある場合、金融機関との融資契約で財務指標に関する取り決め(コベナンツ)がある場合は、実質的に新基準への対応が求められることがあります。原則対象外でも早めに確認しておくと安心です。
Q. 既存のファイナンス・リースは新リース会計基準でどうなりますか?
A. 従来からオンバランスしていた既存のファイナンス・リースは、新基準でも引き続き貸借対照表に計上され、使用権資産・リース負債という新しい区分に整理して扱います。新基準で新たにオンバランス化されるのは、これまで費用処理してきたオペレーティング・リースです。適用初年度には経過措置として簡便的な取扱いも認められており、移行の負担を抑えられる余地があります。
Q. オペレーティング・リースも新リース会計基準でオンバランス処理が必要ですか?
A. 必要です。新リース会計基準では、従来は賃借料として費用処理していたオペレーティング・リースも、借りて使う権利を表す「使用権資産」と支払義務を表す「リース負債」として貸借対照表に計上します。
借手は原則としてすべてのリースをオンバランス化するため、対象は不動産の賃貸借やオフィス機器のリースなど幅広く及び、これまで費用として処理してきた契約が資産・負債として財務諸表に載ることになります。対象になる契約の幅が広いため、早めに洗い出しに着手しておくと、後工程の負担を抑えられます。
Q. 新リース会計基準の適用開始に向けて、何から準備すればよいですか?
A. まず着手すべきは、リース契約・賃貸借契約の棚卸しと、どの契約がリースに当たるかの識別です。
契約書が紙と電子に散在していると洗い出しだけで時間がかかるため、契約を集約して一覧化するところから始めると、後の工程が滑らかになります。そのうえで、初年度の約1年前までに使用権資産・リース負債の影響額を試算して経営層へ報告し、会計方針の決定とシステム選定を進め、初年度の期首で期首残高の計上・並行運用の確認へと、期首を起点に逆算して準備します。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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