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3条書面とは?記載事項の全項目・交付方法と取適法(4条書面)改正を解説

3条書面とは?記載事項・交付方法・取適法(4条書面)改正のサムネイル画像

外注先に仕事を発注するとき、発注書に何を書けば法律に触れないのか——その答えの中心にあるのが「3条書面」です。3条書面は、下請法(現在の取適法)が発注側の企業に交付を義務づけている書面で、記載すべき項目が法令で細かく定められています。

2026年1月1日に下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと改正・改称され、この書面は条文上「4条書面」に変わりました。呼び方や条番号は変わったものの、発注時に何を明示すべきかという実務の骨格は引き継がれています。

この記事では、3条書面(現・4条書面)に記載しなければならない必須項目の全リストを起点に、交付が認められる条件と時期、交付しなかった場合の罰則、2026年改正での変更点までを整理します。自社の発注書式が要件を満たしているかを、この記事と突き合わせて確認できる形にまとめました。

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3条書面とは?発注時に交付する法定書面

3条書面とは、親事業者(発注側)が下請事業者(受注側)に製造委託などをしたとき、発注内容や代金などを明示するために交付が義務づけられている書面のことです。旧・下請法の第3条が交付を定めていたことから「3条書面」と呼ばれてきました。

2026年1月1日施行の取適法では、この義務が第4条に引き継がれ、条文上は「4条書面」となっています。以下では検索されることの多い「3条書面」の呼称を用いつつ、現行法である取適法の条文で解説します。

交付義務の根拠は、取適法第4条第1項です。発注をしたら「直ちに」明示しなければならないこと、書面だけでなく電磁的方法(メールなど)でもよいことが、次のように定められています。

委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法(中略)により中小受託事業者に対し明示しなければならない。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)第4条第1項|e-Gov法令検索
出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120

3条書面の交付義務を負うのは誰か(対象取引と規模の要件)

3条書面の交付義務が生じるのは、法律が定める「対象取引」を、一定の規模差がある相手に委託した場合です。取適法の対象取引は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託に、改正で加わった特定運送委託を含めた5種類で、これらをまとめて「製造委託等」と呼びます。

委託する側と受ける側の規模差は、資本金の額で判定します。改正では、資本金基準に加えて従業員数による基準も新設されました。代表的な区分は次のとおりです(詳細は取適法第2条)。

取引の種類委託事業者(発注側)の規模相手(中小受託事業者)
製造委託・修理委託・特定運送委託資本金3億円超個人、または資本金3億円以下
同上資本金1,000万円超〜3億円以下個人、または資本金1,000万円以下
情報成果物作成委託・役務提供委託資本金5,000万円超個人、または資本金5,000万円以下
同上資本金1,000万円超〜5,000万円以下個人、または資本金1,000万円以下
従業員基準(新設・製造委託等)従業員300人超個人、または従業員300人以下
従業員基準(新設・情報成果物・役務)従業員100人超個人、または従業員100人以下

自社がこの区分で「委託事業者」に当たり、相手が「中小受託事業者」に当たる取引では、発注のたびに3条書面の交付が必要です。物流の外注も、改正で加わった特定運送委託として対象になり得ます。

出典・参考資料(1件)

3条書面の記載必須項目【全リスト】

ここからは、3条書面に記載しなければならない項目を漏れなく確認します。記載事項は、取適法第4条第1項を受けた「明示規則」(令和7年公正取引委員会規則第8号)第1条第1項で、8つの号として定められています。自社の発注書式と1項目ずつ突き合わせてください。

本則の必須記載項目(明示規則第1条)

次の項目は、ほぼすべての発注で記載が必要です。番号は明示規則第1条第1項の号に対応します。5〜7号は取引方式に応じた条件付きの項目のため、次の「該当する場合のみ記載する項目」にまとめています。

記載する内容
1号委託事業者・中小受託事業者の商号や名称、または両者を識別できる番号・記号など
2号製造委託等をした日、給付(成果物・役務)の内容、その給付を受領する期日と場所
3号給付の検査をする場合は、その検査を完了する期日
4号製造委託等代金の額と支払期日
8号内容を定められない項目(未定事項)がある場合は、その理由と、内容を定める予定期日

表の「給付」は納品物や作業の成果、「給付を受領する期日」はいわゆる納期にあたります。自社の発注書と突き合わせるときは、とくに3号の検査完了期日、2号の給付内容に含める知的財産権の譲渡・許諾の範囲、8号の未定事項の但し書きが抜けやすいため、この3点を重点的に確認すると漏れを防げます。

記載事項の根拠となる明示規則の柱書きは、次のように交付・提供の方法まで定めています。

法第四条第一項の規定による明示は、次に掲げる事項を記載し又は記録した書面又は電磁的記録(中略)の交付又は電磁的方法による提供により行わなければならない。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第8号)第1条第1項|e-Gov法令検索

該当する場合のみ記載する項目

次の3項目は、その方式や取引を用いる発注に限って記載します。自社の取引に当てはまらなければ、記載する必要はありません。

記載する内容記載が必要になる場合
5号金融機関の名称、貸付け・支払を受けられる額と期間の始期、代金債権・債務に相当する額を金融機関に支払う期日債権譲渡担保方式・ファクタリング方式・併存的債務引受方式で金融機関から支払を受ける場合
6号電子記録債権の額、支払を受けられる期間の始期、電子記録債権の支払期日電子記録債権の発生記録・譲渡記録をする場合
7号原材料等の品名・数量・対価・引渡しの期日、その決済の期日と方法委託先に原材料等を有償で購入させる(有償支給する)場合

手形や一括決済、電子記録債権、有償支給原材料を使わない発注では、これらの項目は不要です。本則の項目と混同せず、自社の支払・調達方式に照らして要否を判断してください。冒頭の条文が挙げる「支払方法」のうち、手形や電子記録債権による支払を用いる場合は、この5号・6号で記載します。

記載事項の書き方とつまずきやすい点

実務では、発注時にすべての項目を確定できないことがあります。明示規則は、こうした場合の書き方も定めています。

代金の額を具体的に決められないやむを得ない事情があるときは、金額そのものではなく「算定方法」を明示すれば足ります(明示規則第1条第2項)。ただし運用上は、算定の根拠が固まれば金額が自動的に定まる形にしておき、確定後は速やかに金額を明示する必要があります。

支払方法や検査期間など、一定期間の発注で共通する事項は、あらかじめ書面や電磁的方法で明示しておけば、個々の発注では「あらかじめ明示したとおり」と示すだけで足ります(明示規則第1条第3項)。毎回すべてを書き直す必要はありません。

内容を定められない未定事項がある場合は、その理由と定める予定期日を明示し、確定した後に直ちに補充して明示します。情報成果物の作成を委託し、その知的財産権を譲り受けたり利用許諾を受けたりするときは、その譲渡・許諾の範囲も「給付の内容」の一部として明示する必要があります。

先に挙げた項目に加えて、とくに見落としやすいのが、2号の「給付を受領する場所」と、4号の「支払期日」です。受領場所は給付の内容とあわせて必ず明示します。支払期日は、給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内で定めます(取適法。旧下請法第2条の2)。書式に日付欄だけを設けて空欄のまま交付すると、明示漏れと支払遅延の両方につながるため注意してください。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第8号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/507M60200000008

公正取引委員会が示す記載例(サンプル)

3条書面に決まった様式はありません。明示規則が求める事項を1つの書面にまとめても、複数の書面に分けても構いません。契約書の交付をもって明示とすることも可能です。実際の書き方に迷う場合は、公正取引委員会と中小企業庁が公表する「中小受託取引適正化法テキスト(令和7年11月)」に、法第4条の明示に係る参考例が掲載されています。自社の様式を整える際の出発点として参照できます。

各項目を1つの発注書に並べると、最小のイメージは次のようになります。

  • 発注者・受注者の名称(1号):株式会社◯◯/△△製作所
  • 発注日・給付の内容・受領する期日と場所(2号):2026年◯月◯日発注/部品Aを100個/◯月◯日に自社倉庫へ納品
  • 検査完了期日(3号・検査する場合):納品から5営業日以内
  • 代金の額と支払期日(4号):1個◯円・合計◯円/翌月末払い
出典・参考資料(1件)

3条書面の交付方法と交付時期

ここからは、3条書面を「いつ」「どうやって」交付すればよいかを確認します。交付の時期、メールなどでの交付に相手の承諾が要るのか、認められる方式と満たすべき要件を順に見ていきます。交付の基本的な流れは次のとおりです。

3条書面(4条書面)交付の流れを示した3ステップの図解。STEP1: 発注(製造委託等)をした時点が交付義務の起点。STEP2: 契約書の作成を待たず発注時点で直ちに明示・交付し、書面・電磁的方法のどちらでもよく電磁的方法に相手の事前承諾は原則不要。STEP3: 電磁的方法で明示した後に相手から書面での交付を求められたら遅滞なく書面を交付する。

交付時期は「直ちに」(契約書の作成を待たない)

取適法第4条第1項は、製造委託等をした場合は「直ちに」明示しなければならないと定めています。法令上「◯日以内」といった日数の定義はなく、発注をしたその時点で交付するのが原則で、契約書の作成が完了するまで待つことは認められません。緊急のため口頭(電話)で発注し、その後に書面や電磁的方法で明示しないケースは、運用基準で違反行為として挙げられています。

例外は、前述の未定事項だけです。内容を定められない正当な理由があるものは、その時点では明示を要しませんが、内容が定まった後は直ちに明示する必要があります。

電子交付に相手方の承諾は必要か(現行は原則不要)

結論として、現行の取適法では、電磁的方法(メールなど)で交付する際に相手方の事前承諾は原則として不要です。第4条第1項が「書面又は電磁的方法により(中略)明示しなければならない」と、書面と電磁的方法を並列で認めているためです。改正前は事前承諾が必要でしたが、この要件は撤廃されました。

ただし、電磁的方法で明示した後に相手から書面での交付を求められたときは、書面を交付する必要があります。承諾不要化の経緯と、この「書面交付の請求」への対応義務は、後述の取適法改正のセクションで詳しく取り上げます。

認められる電磁的交付の方式

明示規則第2条は、認められる電磁的方法を2つの類型で定めています。1つは、受信者を特定して情報を伝える電気通信の送信です。電子メールやEDI(企業間で商取引データをやり取りする電子データ交換)のほか、ショートメッセージサービス(SMS)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のメッセージ機能も、受信者を特定して送信できるものであれば含まれます。

もう1つは、電磁的記録を記録した記録媒体(USBメモリやCD-Rなど)を交付する方法です。

「電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法」とは、電子メール、EDI 等のほか、ショートメッセージサービスやソーシャルネットワーキングサービスのメッセージ機能等、受信者を特定して送信することのできる電気通信を送信する方法をいう。

出典:中小受託取引適正化法の運用基準 第3-3|公正取引委員会

満たすべき技術要件と認められない交付方法

電磁的方法で明示する場合、明示すべき事項が中小受託事業者のパソコンやスマートフォンの画面に、文字・番号・記号などで明確に表示されるものでなければなりません(明示規則第2条第2項)。相手が内容を確認できる状態にすることが要件です。

一方で、ブログやウェブページへ書き込むような、受信者を特定せず第三者の閲覧に付随して伝える方法は、認められる送信には当たりません。改正前の下請法では携帯電話のショートメッセージなどが認められにくいとされていましたが、現行の取適法ではSMS・SNSのメッセージ機能が明示的に許容されている点が異なります。古い解説の技術要件をそのまま運用すると、現行法とずれるおそれがあります。

3条書面を交付しない場合の罰則(50万円以下の罰金)

3条書面(4条書面)を交付・明示しなかった場合、取適法第14条により50万円以下の罰金が科されます。罰則の対象は、違反行為をした委託事業者の代表者・代理人・使用人その他の従業者です。

次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第四条第一項の規定に違反して明示すべき事項を明示しなかつたとき。
二 第四条第二項の規定に違反して書面を交付しなかつたとき。
三 第七条の規定に違反して、書類若しくは電磁的記録を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の書類若しくは電磁的記録を作成したとき。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)第14条|e-Gov法令検索

罰金の対象になるのは、発注時の明示(第4条第1項)を怠った場合だけではありません。書面交付の請求に応じなかった場合(第4条第2項)や、取引後に作成・保存する書類(第7条書類。旧5条書類)を作成・保存しなかった場合も、同じく50万円以下の罰金の対象です。

公正取引委員会による勧告は、代金の減額や受領拒否といった禁止行為(取適法第5条)に対する措置で、書面不交付そのものへの直接の効果は上記の罰則です。勧告を行った場合には、公正取引委員会が事業者名などを公表する運用がとられています。

2026年施行の取適法改正で「3条書面」は「4条書面」へ(新旧対応)

2026年(令和8年)1月1日、下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと改正・改称されました(令和7年法律第41号)。3条書面をめぐる呼称や条番号もこの改正で変わっています。古い情報のまま運用していないか、ここで確認してください。

法名・書面呼称・条番号・用語の変更(新旧対応表)

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項目改正前(下請法)改正後(取適法)
法律名下請代金支払遅延等防止法(下請法)製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法/取適法)
発注時の書面3条書面(第3条)4条書面(第4条)
取引後の保存書類5条書類(第5条)7条書類(第7条)
発注する側親事業者委託事業者
受注する側下請事業者中小受託事業者
代金の呼称下請代金製造委託等代金
対象取引4類型5類型(特定運送委託を追加)

呼称や条番号は変わりましたが、発注時に明示すべき事項の骨格は引き継がれています。「3条書面」という言葉は実務や検索で広く使われ続けているため、本記事でも見出しで用いていますが、現に適用されるのは取適法の第4条です。

電子交付の事前承諾が原則不要に

改正前の下請法では、電磁的方法で交付するには下請事業者の事前承諾が必要でした。取適法では、第4条第1項が書面と電磁的方法を並列で認めたことにより、電磁的交付にあたっての事前承諾は原則として不要になりました。メールなどでの発注書面のやり取りが、承諾を取り付ける手続きなしに行いやすくなっています。

「書面交付の請求」への対応義務の新設

事前承諾が不要になった代わりに、中小受託事業者を保護する措置として「書面交付の請求」が新設されました。電磁的方法で明示した後に、相手から書面での交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付しなければなりません(明示規則で定める一定の例外を除きます)。この請求に応じないと、前述のとおり罰則の対象になります。

委託事業者は、前項の規定により同項に規定する事項を電磁的方法により明示した場合において、中小受託事業者から当該事項を記載した書面の交付を求められたときは、遅滞なく、公正取引委員会規則で定めるところにより、これを交付しなければならない。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)第4条第2項|e-Gov法令検索

手形払いの禁止(支払方法の見直し)

取適法では、代金(製造委託等代金)の支払方法として手形で支払うことが禁止されました。電子記録債権やファクタリングなどの手段も、支払期日までに代金の満額相当の現金を得ることが難しいものは認められません。

3条書面(4条書面)に記載する「支払方法」を決める際は、この見直しを踏まえ、現金や現金同等の方法で支払期日までに満額を支払える設計にしておく必要があります。手形・電子記録債権の記載欄(5号・6号)を使う場合も、この制限に反しないかを確認してください。

出典・参考資料(1件)

3条書面・5条書類・フリーランス法3条通知の違い

発注に関わる書面には、3条書面(4条書面)のほかに、取引後に作成・保存する「5条書類(7条書類)」や、フリーランス法にもとづく「3条通知」があります。名前が似ていて混同しやすいため、性質・根拠・義務・対象の違いを整理します。

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比較軸3条書面(現・4条書面)5条書類(現・7条書類)フリーランス法3条通知
書面の性質発注時に相手へ交付・明示する書面取引後に自社で作成・保存する書類業務委託時に相手へ交付・明示する書面
根拠条文取適法第4条(旧・下請法3条)取適法第7条(旧・下請法5条)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第3条第1項
主な義務交付・明示義務(相手に渡す)作成・保存義務(2年間保存)明示義務(相手に渡す)
電磁的方法の事前承諾原則不要(書面交付請求あり)自社保存のため交付義務なし原則不要(書面交付請求あり)
適用対象資本金・従業員基準で線引きされる委託事業者と中小受託事業者3条書面と同じ取引従業員を使用しない個人・一人法人(特定受託事業者)への業務委託

3条書面が「発注時に相手へ渡す」書面であるのに対し、5条書類(7条書類)は「取引の記録を自社で残す」書類で、2年間の保存義務があります。ただしこの2年間はあくまで取適法上の期間です。同じ取引に関する書類でも、税法では帳簿書類を原則7年間、会社法では会計帳簿を10年間の保存が求められるため、実務では最も長い期間に合わせて保存しておくのが安全です。

フリーランス法の3条通知は、相手が従業員を雇わない個人事業主や一人法人のときに必要になる明示で、取適法の4条書面とほぼ同じ構造です。自社の取引先や取引内容によっては、複数の書面が同時に必要になることもあります。

出典・参考資料(1件)

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電子交付で3条書面の作成・交付を効率化する

取適法で電子交付の事前承諾が原則不要になったことで、3条書面(4条書面)をメールや電子契約システムで交付しやすくなりました。とはいえ、明示すべき事項を画面に明確に表示すること、書面交付の請求に備えて記録を残すこと、多数の取引先へ確実に届けることは、手作業では負担が大きい部分です。電子契約システムを使えば、発注書面の作成から送信、認定タイムスタンプによる記録、一括送信までを一元化できます。

電子契約システムは、料金体系や署名タイプ(立会人型・当事者型)がサービスごとに異なります。数あるサービスを選び方から比較し、自社の発注業務に合う一社を見極めたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

ここでは、発注書面の電子交付に必要な機能(認定タイムスタンプによる記録・一括送信)を備えた電子契約システムの代表例として、導入実績の多い2サービスを紹介します。料金や機能の要点は次の比較表で確認してください。

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サービス名電子印鑑GMOサインクラウドサイン
電子署名タイプ立会人型・当事者型
(ハイブリッド可)
立会人型(標準)
当事者型(マイナンバー署名)
認定タイムスタンプ標準付与標準付与
電子帳簿保存法対応JIIMA認証取得無料は一部個別対応
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無料プラン月5件・1ユーザー月2件・1ユーザー
月額料金(有料最安)8,800円〜
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※料金・機能は2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の情報は各社公式サイトでご確認ください。

1. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス)

電子印鑑GMOサインの公式サイト

電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供するクラウド型の電子契約サービスです。メール認証で締結する立会人型(契約印タイプ)と、電子証明書で本人性を担保する当事者型(実印タイプ)の2方式に対応し、両者を組み合わせるハイブリッド署名も選べます。導入実績は350万社以上(公式サイト記載)で、官公庁や自治体、上場企業での利用実績があります。

発注書面の電子交付という観点では、総務省認定のタイムスタンプを標準で付与し、一括送信やテンプレート登録に対応している点が実務で役立ちます。電子帳簿保存法には、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が法的要件への適合を認証するJIIMA認証(契約印&実印プラン向け)で対応し、電子署名法についてもデジタル庁・法務省・財務省の3省庁から適法性の確認を得ています。

無期限で使える「お試しフリープラン」(月5件まで・1ユーザー・契約印タイプ)が用意され、有料の最安プランは年間契約で月額8,800円(税込9,680円)から、立会人型の送信料は1件100円(税込110円)です(2026年8月時点、公式料金ページ)。

2. クラウドサイン(弁護士ドットコム)

クラウドサインの公式サイト

弁護士ドットコムが運営するクラウドサインは、書類のアップロードから電子署名・タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結させる電子契約サービスです。標準の署名方式は事業者署名型(立会人型)で、認証局での本人確認が不要なため、取引先にも導入しやすい設計になっています。

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まとめ

3条書面は、発注時に相手へ交付・明示する法定書面で、記載必須項目は明示規則で8つの号として定められています。本則の項目(当事者の識別・給付の内容と受領期日・検査完了期日・代金額と支払期日・未定事項の扱い)はほぼすべての発注で必要で、手形や電子記録債権、有償支給原材料を使う場合に限って追加項目を記載します。交付は発注時に「直ちに」行い、メールなどの電磁的方法でも、事前承諾なしに交付できます。

2026年1月の取適法改正で、この書面は条文上「4条書面」となり、電子交付の事前承諾が原則不要になった一方、書面交付の請求への対応義務が新設されました。交付を怠ると50万円以下の罰金の対象です。自社の発注書式を記載必須項目と突き合わせ、不足があれば追記したうえで、電子契約システムを使って交付と記録を効率化することが、改正への実務対応の近道になります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 3条書面と4条書面は同じものですか?

A. 3条書面と4条書面は、発注時に交付する同じ法定書面を指し、根拠となる条番号が変わっただけです。3条書面とは、発注側の企業が委託先に対して発注内容・代金・支払期日などを明示するために交付が義務づけられている書面のことで、旧・下請法の第3条が根拠だったことからこう呼ばれてきました。

2026年1月1日施行の取適法(中小受託取引適正化法)では、この義務が第4条に引き継がれ、条文上は「4条書面」となっています。呼称や条番号は変わったものの、明示すべき事項の骨格は同じです。実務や検索では「3条書面」の呼び方が広く使われ続けているため、本記事でも見出しに用いています。

Q. 3条書面はメールやチャットで交付してもよいですか?

A. 3条書面は、メールやチャットなどの電磁的方法で交付でき、現行の取適法では相手方の事前承諾も原則として不要です。認められるのは、電子メール・EDIのほか、SMSやSNSのメッセージ機能など「受信者を特定して送信できる」方法で、記録媒体(USBメモリ・CD-Rなど)の交付も含まれます。

ただし、明示すべき事項が相手のパソコンやスマートフォンの画面に文字・番号などで明確に表示されることが要件です(明示規則第2条第2項)。ブログやウェブページに書き込むような、受信者を特定しない方法は認められません。また、相手から書面での交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する必要があります(取適法第4条第2項)。

Q. 3条書面を発注時にすべて記載できない場合はどうすればよいですか?

A. 3条書面は、正当な理由があって内容を定められない項目に限り、その理由と定める予定期日を明示すれば、確定後に補充する形で足ります。代金の額を具体的に決められないやむを得ない事情があるときは、金額そのものではなく「算定方法」を明示すれば足ります(明示規則第1条第2項)。

委託内容などを発注時に確定できない未定事項は、その理由と内容を定める予定期日を記載し、確定した後に直ちに補充して明示します。ただし、単に事務処理が面倒だからといった理由で記載を省くことは認められません。定められる事項は、発注時にすべて明示するのが原則です。

Q. デザインやシステム開発を外注する場合も3条書面は必要ですか?

A. デザインやプログラムなどの制作を外注する取引は「情報成果物作成委託」に当たり、規模の要件を満たせば3条書面の交付が必要です。これらは取適法の「情報成果物作成委託」に当たります。発注側の資本金が5,000万円超(相手は個人または資本金5,000万円以下)、または1,000万円超〜5,000万円以下(相手は個人または資本金1,000万円以下)の規模差があると、取適法の対象になります。

改正で従業員数による基準(情報成果物・役務は100人超)も加わりました。コンペ用の制作物であっても、正式に発注して作成を委託した時点で対象になり得るため、自社と相手の規模を確認したうえで交付の要否を判断してください。

Q. フリーランスや個人事業主への発注でも3条書面は必要ですか?

A. フリーランスや個人事業主への発注でも、取引条件を明示した書面の交付は必要ですが、根拠となる法律は取引の規模で変わります。発注側が資本金要件を満たす事業者であれば、相手が個人事業主でも取適法の対象となり、3条書面(4条書面)を交付します。

取適法の規模要件に当てはまらない場合でも、従業員を使用しない個人や一人法人(特定受託事業者)への業務委託であれば、フリーランス法にもとづく「3条通知」で取引条件を明示する義務があります。いずれの法律でも、発注時に取引条件を明示する点は共通しているため、相手が個人だからと口頭発注で済ませることはできません。

Q. 3条書面を交付しないとどうなりますか?

A. 3条書面(4条書面)の交付・明示を怠ると、取適法第14条により50万円以下の罰金が科されます。罰則の対象は、違反行為をした委託事業者の代表者・代理人・使用人その他の従業者です。発注時の明示を怠った場合だけでなく、相手からの書面交付の請求に応じなかった場合や、取引後に作成・保存すべき書類(7条書類。旧5条書類)を作成・保存しなかった場合も、同じく50万円以下の罰金の対象になります。

あわせて、代金の減額や受領拒否といった禁止行為があれば公正取引委員会の勧告・事業者名の公表の対象にもなるため、発注書式を法定の記載事項と突き合わせて整えておくことが重要です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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