取引先に商品やサービスを先に提供し、代金は後から受け取る掛け取引では、相手が支払ってくれるという信用が前提になります。その信用を見極め、売掛金の未回収を防ぐのが与信管理です。ところが、これまで営業任せ・経験と勘で進めてきた与信管理を見直そうとすると、「そもそも何に気をつければよいのか」でつまずきがちです。
与信管理は、手順どおりに進めているつもりでも、いくつかの落とし穴にはまると取引先の焦げ付きを見逃します。逆に、どこでつまずきやすいかを先に押さえておけば、限られた人手でも未回収リスクを大きく減らせます。
この記事では、与信管理でやりがちな失敗と注意点を、なぜ危険なのか・どう防ぐのかまでセットで解説します。あわせて、正しい進め方や与信限度額の決め方、人手不足・属人化を解消する外部サービスまで整理し、自社の与信管理を見直す手がかりを示します。
目次
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与信管理でやりがちな失敗・注意点
ここからは、与信管理の実務でつまずきやすい代表的な失敗を5つ取り上げます。いずれも「気づかないうちに焦げ付きを招く」パターンなので、自社のやり方に当てはまるものがないかを確認しながら読み進めてください。
担当者一人に任せきり、与信管理が属人化している
与信の判断基準や過去の審査履歴が特定の担当者の頭の中だけにあると、その人が異動・退職した途端に運用が止まります。基準が明文化されていないため、引き継いだ人は「どこまでの取引先なら大丈夫か」を判断できず、審査が甘くなったり逆に必要な取引まで止めたりします。
防ぐには、与信の判断基準・与信限度額の決め方・見直しの頻度・承認の流れを文書にして組織で共有し、誰が担当しても同じ判断ができる状態にしておくことが有効です。属人的な運用から組織的な仕組みへ移すことが、与信管理を安定させる第一歩になります。
与信限度額を決めたきり、見直していない
取引開始時に与信限度額(取引先ごとに認める掛け取引の上限額)を設定しても、その後放置してしまうのはよくある失敗です。取引先の業績や資金繰りは時間とともに変わるため、設定したときは健全でも、数年後には支払い能力が落ちていることがあります。見直しをしないと、悪化の兆候に気づかないまま取引を続け、いざ倒産という段階で大きな焦げ付きを抱えます。
決算期ごとなど時期を決めて定期的に与信を再評価し、直近の決算内容や支払い状況を反映して限度額を上げ下げすることが大切です。支払いの遅れが増える、急な増額依頼が来るといった変化は、見直しのきっかけとして注意して見ておきます。
営業と管理部門の情報連携が切れている
取引先の異変に最初に気づくのは、日常的に接している営業担当者です。ところが現場の情報が管理部門に共有されないと、財務データだけでは見えない危険な兆候を見逃します。営業が取引先と親しくなりすぎて悪い情報を上げにくくなる、売上を優先して与信の懸念を後回しにする、といったことも起こりがちです。
「支払いを渋るようになった」「主要な取引先を失ったらしい」といった現場の気づきを、管理部門へ吸い上げる仕組みをつくることが欠かせません。営業と管理部門が同じ情報を見て判断できるようにすることで、決算書には表れない変化を早めに捉えられます。
一つの情報源だけで与信を判断している
決算書の数字だけ、あるいは第一印象だけで与信を決めるのも危うい進め方です。決算内容が良く見えても、粉飾(決算を実態より良く見せる操作)や一時的な資金調達で取り繕っているケースがあり、数字だけを信じると実態を見誤ります。反対に、決算が芳しくなくても、業歴や商流、経営者の姿勢まで見れば取引を続けられる相手もいます。
財務内容などの定量的な情報と、経営者の資質・業界での評判・取引の実態といった定性的な情報を組み合わせ、複数の情報源から多角的に判断することが求められます。自社だけで情報を集めきれないときは、信用調査会社の報告書を併用すると精度が上がります。
売上を優先し、与信審査を省いてしまう
新規の引き合いを逃したくない気持ちから、与信審査をせずに取引を始めてしまうことがあります。とくに大口の取引ほど売上への影響が大きく、審査を急いで飛ばしたくなりますが、金額が大きい取引ほど焦げ付いたときの損失も大きくなります。
取引開始前には必ず与信審査を行い、取引金額に応じて承認する人の役職を分ける、といった段階的な承認の流れを決めておくと、急ぎの案件でも歯止めが利きます。与信管理は売上にブレーキをかけるものではなく、安心して取引を伸ばすための土台だと捉えることが、失敗を避ける考え方の起点になります。
売掛金の未回収・連鎖倒産が経営に与える影響
ここでは、なぜここまで与信管理に気をつけるべきなのかを、数字で確かめます。取引先の倒産は決して他人事ではなく、1件の未回収が経営に与える打撃は大きいためです。
東京商工リサーチによると、2025年の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は1万300件で、前年比2.9%増と4年連続で前年を上回りました。とくに負債1億円未満の倒産が7,892件と全体の76.6%を占め、この構成比は過去30年間で最も高く、小規模・零細企業を中心に倒産が広がっているのが最近の特徴です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:東京商工リサーチ 全国企業倒産状況「2025年(令和7年)の全国企業倒産1万300件」(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202288_1610.html)
とりわけ深刻なのは、取引先の倒産が自社の資金繰りを直撃し、連鎖的に経営を追い込むことです。倒産の原因区分の一つに「他社倒産の余波」があり、親会社や取引先の倒産による焦げ付きから連鎖的に行き詰まる連鎖倒産がこれにあたります。
連鎖倒産は景気後退の局面で急増する傾向があり、東京商工リサーチの集計では、1998年に1,390件、リーマン・ショックの2008年にも770件が発生しています。直近でも増勢は続いており、2024年1〜8月時点の連鎖倒産は370件と、前年同期の288件から28.4%増えました。取引先の倒産が自社の焦げ付きに直結する構図は、今も変わっていません。
出典・参考資料(1件)
- 出典:東京商工リサーチ「企業が恐れる『連鎖倒産』が急増、過去は景気後退のシグナル」(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198918_1527.html)
1件の未回収がどれだけ重いかは、失った利益を売上で取り戻す計算をすると実感できます。売掛金が回収できずに損失となった場合、その穴を本業の利益で埋めるには「未回収額 ÷ 営業利益率」に相当する追加の売上が必要になります。
たとえば営業利益率が2%の会社で200万円が回収不能になると、これを埋めるには1億円もの追加売上が要る計算です。与信管理は、こうした割に合わない損失を未然に防ぐための取り組みだといえます。
回収できなかった売掛金は、会計上は貸倒損失として処理することになり、利益が出ていても資金繰りが行き詰まる黒字倒産の引き金になりかねません。貸倒れとして損金に算入できる要件や、黒字倒産を避ける考え方は、以下の記事で整理しています。
そもそも与信管理とは?目的と全体像
対策に入る前に、与信管理とは何か、そして債権管理との役割分担を簡単に整理しておきます。与信とは、取引先に対して信用を供与すること、つまり代金を後払いで受け取る掛け取引を認めることです。与信管理は、その信用が妥当かを見極め、売掛金を回収できないリスクをできるだけ抑えるための一連の管理を指します。
似た言葉に債権管理がありますが、両者は重なりつつ役割が異なります。与信管理は取引を始める前後に「どこまで信用してよいか」を判断する事前の管理で、債権管理は発生した売掛金の入金予定を追い、期日どおり回収する事後の管理です。取引先の信用を見極める与信管理と、生まれた債権を取りこぼさず回収する債権管理は、両輪で未回収を防ぎます。
与信管理の目的は、貸し倒れや回収遅延による損失を防ぐことに加え、資金繰りの悪化や連鎖倒産を避け、安心して取引を広げられる状態をつくることにあります。取引先を必要以上に怖がって取引を絞るのではなく、リスクを見極めたうえで取引を伸ばすための管理だと捉えると、進め方の方向性が定まります。
注意点を踏まえた与信管理の正しい進め方
ここからは、先に挙げた失敗を避けながら与信管理を進める基本的な流れを、5つのステップで解説します。どの段階で何を怠ると失敗につながるかを意識しながら読むと、自社の運用の抜けが見えてきます。

- 取引先の情報を集める:取引開始前に、登記情報・決算・支払いの実態などを集めます。一つの情報源だけで判断すると実態を見誤るため、定量・定性の両面から集めるのが勘所です。
- 支払い能力・信用度を評価する:集めた情報から、期日どおり支払える相手かを評価します。決算の数字だけを鵜呑みにせず、経営者の姿勢や商流も加味して多角的に見ます。
- 与信限度額を設定する:評価に応じて、その取引先に認める掛け取引の上限額を決めます。「適切に」で済ませず、後述の「必要な範囲」と「安全な範囲」から金額を絞り込みます。
- 条件を決めて取引を開始する:限度額や支払い条件を取り決めて契約します。金額が大きい取引ほど、売上を優先して与信を飛ばさず、段階的な承認の流れを通します。
- 取引開始後も見直し続ける:取引先の信用状態を定期的に再評価し、限度額を調整します。決めたきり放置すると業績悪化の兆候を見逃すため、決算期ごとなど時期を決めて見直します。
この流れのなかで実務者がとくにつまずきやすいのが、ステップ3の与信限度額の決め方と、ステップ1の取引先情報の集め方です。次にこの2つを掘り下げます。
与信限度額の決め方
与信限度額とは、その取引先に対して認める掛け取引の上限額です。「適切に設定しましょう」で終わりがちな部分ですが、実務では「必要な範囲」と「安全な範囲」の2つの視点から金額を絞り込むのが基本的な考え方です。
1つ目の「必要な範囲」は、取引を回すのに必要な金額から考える方法です。月間の売上見込み額に、代金を回収するまでの期間(回収サイト)を掛けると、その取引先に常時発生しうる売掛金の目安が出ます。
たとえば月間売上見込み500万円で、締め翌月末払い(回収サイトは約1.5〜2ヶ月)なら、安全側に2ヶ月で見て500万円×2ヶ月=1,000万円が目安です。検収に時間がかかる取引や季節変動がある場合は、そのぶん多めに見積もります。
2つ目の「安全な範囲」は、取引先の信用力から見て「そこまで貸しても大丈夫か」を確かめる視点です。取引先の財務内容や信用度を格付けし、格付けごとに与信限度の上限を決めておくと、必要な範囲で出した金額が信用力に見合っているかを検証できます。
たとえば財務の健全性や支払い実績から取引先を数段階に格付けし、上位の相手には必要な範囲まで、下位の相手には必要額の一部にとどめる、といった具合です。信用力が高い相手には上限を厚めに、低い相手には薄めに設定し、必要と安全の両方を満たす金額に落とし込みます。
限度額の具体的な算定方式は一つではありません。売掛債権額から求める方法(売掛債権基準)のほかに、取引先の純資産の一定割合を上限とする方法(純資産基準)や、取引先の仕入債務額をもとに見積もる方法(仕入債務基準)もあります。
複数の方式で試算し、最も低い金額を採用するという考え方もあります。こうすると、限度額を必要と安全の両面からより堅めに設定できます。
限度額は一度決めて終わりではありません。取引実績を積むなかで支払いが安定していれば段階的に引き上げ、支払い遅延や信用不安の兆候があれば引き下げるなど、定期的な見直しとセットで運用することが、焦げ付きを防ぐうえで重要です。
ここでは決め方の基本的な考え方を示しました。計算式を自社の取引先に当てはめて具体的な金額を出したい場合や、格付けを金額へどう反映するかまで踏み込みたい場合は、以下の記事が参考になります。
取引先情報の集め方(自社調査と信用調査会社)
与信判断の質は、集める情報の質で決まります。取引先情報の集め方は、自社で調べる方法と、外部の信用調査会社に依頼する方法に大きく分かれます。それぞれの特徴を理解し、取引の規模やリスクに応じて使い分けることが大切です。
自社でできる調査の代表例が、商業登記簿(登記事項証明書)の取得です。会社の商号・本店所在地・役員・資本金などの登記情報は、法務省の案内でも「どなたでも,所定の手数料を納付して,その交付を請求をすることができます」とされており、取引先の基本情報を第三者でも確認できます。加えて、取引先のホームページや公表資料、営業担当者による訪問・面談を通じて、事業の実態や現場の雰囲気を把握します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji11.html)
一方で、取引先の決算書の入手は簡単ではありません。株式会社には会社法上、貸借対照表を公告する義務があります(会社法第440条)。ただし実際には公告を行っていない中小企業が多く、決算内容を確認したい場合は、取引先から任意で開示を受けるか、次に述べる信用調査会社の報告書に頼ることになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:会社法(平成17年法律第86号)第440条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
自社だけでは集めきれない企業情報を補うのが、信用調査会社への依頼調査です。国内では東京商工リサーチや帝国データバンクが代表的で、独自に蓄積した企業データベースや取材にもとづく信用調査報告書を提供しています。
東京商工リサーチの倒産集計は1952年から一貫した基準で続けられ、政府や日本銀行、官公庁でも採用されるなど、自社では持ち得ない情報を得られる点が依頼調査の強みです。新規取引や高額な取引など、リスクの大きい場面では、こうした外部調査を組み合わせて判断の精度を高めます。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:東京商工リサーチ(https://www.tsr-net.co.jp/)
- 参考資料:帝国データバンク「数字でみる帝国データバンク」(https://www.tdb.co.jp/about/numbers/)
依頼調査の費用は、1社あたりおおむね15,000〜50,000円が目安です(2026年9月時点の一般的な相場。既存の調査報告書を取り寄せる場合は安く、新規に実地調査を行う場合は高くなる傾向があります)。取引の規模やリスクに見合うかを踏まえて、依頼する場面を絞るのが実務的です。
調査会社に依頼する場合の費用の相場や、自社調査との具体的な使い分けまで知りたい場合は、以下の記事にまとめています。
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属人化・人手不足はどう解決する?
ここまでの注意点や進め方を踏まえても、「専任の担当者を置く余裕がない」「取引先の情報を集めきれない」という悩みは残ります。そうした自力運用の限界は、社内のルール化に加えて、与信・請求業務を外部に委託する選択肢で補えます。
社内でできることは、先に触れたとおり判断基準や承認の流れを文書にまとめ、属人化を防ぐことです。それでも「取引先の情報を集めきれない」「与信の専任者を置けない」という限界は残ります。この残った部分を外部サービスで補うと、少ない人手でも与信管理を安定して回せます。
外部への委託には、大きく2つの方向があります。1つは、与信審査から請求・回収・督促・未回収保証までをまとめて代行してもらう掛け払い代行・請求代行で、回収業務ごと引き受けてもらえるため人手不足の解消に効きます。
もう1つは、取引先ごとに売掛金の未回収を保証してもらいつつ与信判断を外部の目に委ねる売掛保証で、属人的な与信からの脱却や情報収集の負担軽減に向いています。以下は、本記事で紹介する代行・保証サービスの比較表です。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | RP掛け払い | マネーフォワード掛け払い | Paid(ペイド) | リコーリースの債権保証(Mamotte) | URIHO(ウリホ) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サービス種別 | 掛け払い代行・請求代行 | 掛け払い代行・請求代行 | 掛け払い代行・請求代行 | 掛け払い代行・請求代行 | 売掛保証 | 売掛保証 |
| 与信審査の代行 | ●(契約前・3営業日以内) | ● | ●(機械学習・最短1秒) | ●(企業与信・限度額最大5,000万円) | ●(取引先の信用力を8段階評価) | ●(保証推奨度5段階) |
| 請求・回収・督促の代行 | ●(請求書発行〜回収・消込・督促) | ●(請求情報のアップロードで完結) | ●(発行・消込・督促を代行) | ●(発行・回収・消込・督促を代行) | ×(保証のみ。回収は自社) | ×(保証のみ。回収は自社) |
| 未回収保証 | 100%保証(与信通過した適格債権) | 100%保証(与信通過した適格債権) | 100%入金保証(所定条件下) | 100%保証(所定条件下・反社該当等は対象外) | 倒産・夜逃げ・支払遅延を限度額内で保証 | 倒産・1ヶ月以上の支払遅延を保証 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 料金の目安 | 月額利用料+手数料1.0%〜 | 要問い合わせ(料率は取引条件により変動) | 手数料 委託金額の0.5〜3.5% | 保証料0.5〜3.5%+事務手数料125円/件 | 月額19,800円〜(パッケージ)/個別見積 | 月額4,980円〜(取引先数の上限なし) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
※料金・手数料は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく概要です。最新の内容・適用条件は各社にご確認ください。
ここからは、それぞれのサービスを個別に紹介します。各サービスの「100%保証」は、いずれも与信を通過した適格な債権など所定の条件を満たす場合に限られ、あらゆる未回収を無条件に補償するものではない点に注意してください。
ここで取り上げた代行・保証サービス以外も含め、与信管理システム全体を選び方や機能で幅広く比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
与信・請求・回収まで丸ごと任せる「掛け払い代行・請求代行」
与信審査・請求書の発行・代金回収・入金消込(入金と請求データの照合)・督促までを一括で代行し、与信を通過した債権については売掛金を保証するサービスです。回収業務そのものを外部に移せるため、経理や与信の人手が足りない企業に向いています。
1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボは、企業間取引の請求業務に特化したアウトソーシングサービスです。与信審査・請求書発行・代金回収・入金消込・督促までを株式会社ROBOT PAYMENTが代行し、同社の審査で適格債権と判断され与信を通過した債権については、売掛金を100%保証します。
与信を通過しなかった取引先分も、同じプラットフォーム上で請求書発行や自動消込を自社管理でき、通過分と未通過分を一元的に扱える点が特徴です。
与信審査は契約前に原則3営業日以内で実施され、督促はメール・電話に加えて弁護士法人による対応まで含みます。料金は月額利用料と手数料(公式サイトでは1.0%〜と案内)で構成され、具体的な手数料率は取扱う商材や金額によって個別に算定されるため、詳細は見積もりでの確認となります。新規取引先の与信を外部に任せたい企業や、請求から回収までまとめて省力化したい企業に適しています。
2. RP掛け払い(株式会社ROBOT PAYMENT)

RP掛け払いは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する企業間取引向けの掛け払い(後払い)決済代行サービスです。与信審査・請求書作成と送付・代金回収・入金消込・督促までの請求/債権管理業務を代行し、利用企業は毎月の請求情報をアップロードして入金を待つだけで業務が完結する設計になっています。
与信を通過した適格債権については、入金遅延や貸し倒れが起きても100%の債権保証が付くため、利用企業は未回収リスクを負いません。初期費用・月額費用や手数料率は公式サイト上で複数の表記があり取引条件によって変動するため、確定した料率は問い合わせで確認する形です。請求から回収・保証まで一気通貫で外部化し、社内の請求業務を軽くしたい企業に向いています。
3. マネーフォワード掛け払い(マネーフォワードケッサイ株式会社)

マネーフォワード掛け払いは、機械学習を用いた与信審査を軸に、企業間の後払い取引で生じる請求業務をまとめて代行します。与信審査・請求書発行と送付・入金消込・督促・未回収リスクの各業務を一括して任せられ、所定の条件を満たす場合には買い手からの入金の有無にかかわらず請求金額が支払われる100%入金保証を備えています。適格請求書の発行や電子帳簿保存法への対応もサービス側で提供しています。
与信審査は機械学習を用いた独自モデルで自動化されており、最短1秒で結果が通知され、蓄積した取引データを活かして中小企業や個人事業主にも対応します。入金保証つきプランは初期費用・月額0円から利用でき、手数料は委託金額の0.5〜3.5%です。会計ソフトや販売管理システムとの連携も進んでおり、幅広い業種で後払い取引の与信・回収を効率化したい企業に向いています。
4. Paid(株式会社ラクーンフィナンシャル)

株式会社ラクーンフィナンシャルが運営するPaidは、取引先の与信管理・請求書発行・代金回収・入金消込・督促までを一括で引き受ける企業間決済・請求代行の仕組みです。所定の条件を満たす債権については未入金が発生しても代金を100%保証します。保証には反社会的勢力への該当や取引先の支払不能などの除外事由があり、無条件の保証ではない点は事前に確認しておく必要があります。
取引ごとではなく企業単位で与信を判断する企業与信を採用しており、初回審査を通過すれば与信限度額(最大5,000万円)の範囲内で、以降は都度審査なしに取引できるのが運用上の特徴です。初期費用・月額0円から利用でき、保証料は請求金額の0.5〜3.5%と請求1件あたり125円の事務手数料が中心です。反復取引が多く、審査の手間を抑えて安定的に後払い取引を回したい企業に適しています。
未回収を保証しつつ与信を外部に委ねる「売掛保証」
回収業務は自社で続けつつ、取引先ごとに売掛金の未回収を保証してもらうのが売掛保証サービスです。倒産や支払遅延で回収できなくなった売掛金を保証で補い、あわせて保証会社が取引先の信用力を評価するため、与信判断そのものを外部の目に委ねられます。属人的な与信管理から抜け出したい企業に向いています。
以下では代表的な2つの売掛保証サービスを紹介します。保証範囲や料金をより多くのサービスで見比べたい場合は、以下の比較記事も参考になります。
5. リコーリースの債権保証(Mamotte)(リコーリース株式会社)

Mamotte(マモッテ)は、リコーリース株式会社が提供する法人向けの債権保証サービスです。取引先の倒産・夜逃げ・支払遅延によって売掛金が回収できなくなった場合に、あらかじめ設定した保証限度額の範囲内で、実際の損失分に相当する保証金が支払われます。1976年からのリース事業で培った審査ノウハウと、約40万社との取引データを与信判断の基盤に使っている点が特徴です。
保証をかける取引先を選んで契約でき、取引先の信用力を8段階で見える化するため、取引を広げる・縮小する・止めるといった与信判断の材料としても活用できます。
料金は、月額定額のパッケージプラン(月額19,800円からの複数プラン)と、高額債権向けに保証限度額に応じて個別見積もりするオーダーメイドプランに分かれ、初期費用は0円です。経営者の経験と勘に頼っていた与信管理を、組織的な仕組みへ切り替えたい企業に適しています。
属人的な与信管理が実際にどのような企業で課題となり、外部委託につながっているのか。同サービスを提供するリコーリース株式会社の阿久津氏は、次のように語っています。

特に向いているのは、卸売業や製造業など、創業から長く続いている中小企業です。こうした企業では、代表者の方が一代で築き上げてこられたケースも多く、長年にわたって代表者ご自身の経験と勘で与信管理を行ってきた、ということも珍しくありません。事業承継のタイミングで次世代に経営を引き継ぐ際に、代表者独自の与信の目利きやノウハウまでは引き継ぐことができません。そこで、与信管理は外部の専門機関に委託して、新しい経営者は経営そのものに専念していこうという形で導入いただくケースは非常に多いです。
6. URIHO(株式会社ラクーンフィナンシャル)

URIHO(ウリホ)は、株式会社ラクーンフィナンシャルが運営するネット完結型の売掛保証サービスです。取引先の倒産や1ヶ月以上の支払い遅延で売掛金が回収できなくなった場合に取引代金が保証され、申し込みから取引先の登録、保証金の請求までをすべてオンラインで完結できます。
月額定額のサブスクリプション型で、保証する取引先の数に上限を設けない料金体系を採っている点が特徴です。料金はミニプランの月額4,980円からAプラン9,800円・Bプラン29,800円・Cプラン99,800円まであり、保証料や審査費用は月額料金に含まれます。
取引先の信用リスクを保証推奨度として5段階で表示するため、与信判断の材料にもなります。取引先が多く、費用を見積もりやすい形で未回収リスクに備えたい企業に向いています。
まとめ
与信管理でやりがちな失敗は、属人化・限度額の放置・情報連携の断絶・単一の情報源への依存・与信審査の省略の5つに集約できます。いずれも「気づかないうちに焦げ付きを招く」落とし穴であり、判断基準や進め方を文書にして組織で共有し、定期的に見直す仕組みをつくることが対策の柱になります。
取引先の倒産や連鎖倒産は決して珍しいことではなく、1件の未回収が経営に与える打撃は大きいものです。与信限度額は「必要な範囲」と「安全な範囲」から絞り込み、取引先情報は自社調査と信用調査会社を使い分けて多角的に集めることで、判断の精度は高まります。自社だけで抱えきれない部分は、与信・請求代行や売掛保証といった外部サービスも選択肢に入れて、無理のない体制で未回収リスクに備えてください。
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与信管理に関するよくある質問(FAQ)
Q. 与信管理とは何ですか?
A. 与信管理とは、取引先に後払い(掛け取引)を認めてよいかを見極め、売掛金を回収できないリスクをできるだけ抑えるための一連の管理です。取引を始める前後に「どこまで信用してよいか」を判断する事前の管理で、発生した売掛金を期日どおり回収する債権管理と両輪で未回収を防ぎます。貸し倒れや回収遅延による損失を防ぎ、安心して取引を広げられる状態をつくることが目的です。
Q. 与信管理を社内でできないのはどのような会社ですか?
A. 与信管理を社内で回しにくいのは、経理担当者が専任ではなく、審査の判断基準やノウハウが特定の人に依存している中小企業です。専任の担当を置く余裕がなく基準が明文化されていないと運用が属人化し、担当者の異動・退職で審査が止まったり甘くなったりします。
こうした場合は、与信審査から請求・回収までを引き受ける掛け払い・請求代行や、与信判断を外部の目に委ねられる売掛保証の利用を検討すると、少ない人手でも与信管理を安定して回せます。
Q. 与信限度額はどうやって決めればよいですか?
A. 与信限度額は、「必要な範囲」と「安全な範囲」の2つの視点から金額を絞り込むのが基本的な考え方です。必要な範囲は、月間の売上見込み額に回収サイト(代金を回収するまでの月数)を掛けて算出します(たとえば月間売上見込み500万円×回収サイト2ヶ月=1,000万円)。
安全な範囲は、取引先の財務内容や信用力を格付けして上限を決め、その金額が信用力に見合っているかを確かめます。両方を満たす金額に落とし込み、取引実績や支払い状況に応じて定期的に見直すことが焦げ付き防止のポイントです。
Q. 取引先が決算書を見せてくれない場合、信用情報はどこで集めればよいですか?
A. 決算書を任意で開示してもらえない場合は、誰でも取得できる商業登記簿(登記事項証明書)で基本情報を確認し、必要に応じて信用調査会社の報告書を併用するのが現実的です。株式会社には会社法第440条で貸借対照表を公告する義務がありますが、実際には公告を行っていない中小企業が多く、決算内容を確認したいときは東京商工リサーチや帝国データバンクといった信用調査会社の依頼調査に頼ることになります。
新規取引や高額な取引などリスクの大きい場面では、自社調査と外部調査を組み合わせて判断の精度を高めます。
出典・参考資料(2件)
- 出典:法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji11.html)
- 出典:会社法(平成17年法律第86号)第440条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
Q. 与信・請求代行と売掛保証は、それぞれ何を任せられますか?
A. 大きく分けて、与信・請求代行は与信審査から請求・回収・督促・未回収保証までをまとめて代行し、売掛保証は回収業務を自社で続けつつ、取引先ごとの未回収を保証して与信判断を外部の目に委ねるものです。回収業務ごと手放して経理・与信の人手不足を解消したいなら代行、回収は自社で行いつつ属人的な与信から抜け出したい・情報収集の負担を減らしたいなら売掛保証、というように自社の課題に応じて選びます。
Q. 与信管理サービスの「100%保証」は、すべての未回収を保証してくれますか?
A. いいえ、「100%保証」は与信を通過した適格な債権など所定の条件を満たす場合の保証で、あらゆる未回収を無条件に補償するものではありません。与信を通過していない取引先分や、反社会的勢力への該当・取引先の支払不能といった除外事由に当たる場合は保証の対象外となることがあり、保証限度額や条件はサービスごとに異なります。契約前に、どの範囲まで・いくらまで保証されるのかを必ず確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。














