企業の公式SNSやオウンドメディアの運用が広がるなかで、投稿の一言や従業員の私的なSNS利用がきっかけで「炎上」に発展する事例が後を絶ちません。他社のニュースを見て、自社の運用のままで大丈夫かと不安を感じている担当者も多いはずです。
炎上への備えは、精神論や「日頃の心がけ」で終わらせず、具体的な打ち手に落とし込むことが肝心です。運用ガイドラインの整備、投稿前のチェック体制、従業員研修、モニタリングといった予防策を項目ごとに固め、いざ炎上が起きたときの初動手順まで決めておくことで、被害を最小限に抑えられます。
本記事では、炎上の主な原因の型を押さえたうえで、企業が整えるべき予防策をチェックリスト形式で解説します。あわせて、炎上が起きたときの初動対応フロー、投稿削除・発信者情報開示といった法的対応、そして自社だけで対応しきれない部分を支える外部サービスの選び方までを一通りご紹介します。
目次
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SNS炎上とは?企業で炎上が広がる理由
ここでは、対策の前提として炎上の基本的な捉え方だけを短く整理します。SNS炎上とは、特定の企業・商品・人物に対する批判的な投稿が短時間に拡散し、多くの人の目に触れる状態を指します。
炎上が急速に広がる背景には、SNS特有の拡散構造があります。X(旧Twitter)のリポストやスクリーンショットでの転載により、InstagramやTikTokに投稿された小さな火種が別のSNSへ飛び火し、まとめサイトやニュースへと連鎖して急速に広がります。だからこそ、火種が小さいうちに気づいて動けるかどうかが、被害の大きさを大きく左右します。
炎上が企業に与える影響(売上・ブランド・採用)
炎上の影響は、投稿が拡散している最中だけにとどまりません。不買運動や取引の見直しによる売上への打撃、長期にわたるブランドイメージの毀損、さらには採用への悪影響まで、複数の面に及びます。
とりわけ採用への影響は見落とされがちです。求職者が応募前に企業名でSNS検索することは珍しくなく、過去の炎上が候補者の判断材料になります。炎上そのものが法的責任を問われるかどうかとは別に、企業が被る信用や評判の低下という実害は、投稿の内容や立場を問わず生じる点に注意が必要です。
企業のSNS炎上はなぜ起きる?主な原因と事例【5つの型】
ここからは、企業のSNS炎上が起きる原因を5つの型に分けて整理します。原因の型を押さえると、次章の予防策のどれが自社のどのリスクに効くのかを結びつけて考えられます。
炎上は「悪意」よりも「想定不足」から起きることが多く、公式アカウントの運用、広告・キャンペーン、従業員の私的投稿、情報漏洩、顧客対応という日常業務のなかに火種があります。それぞれの型と、起こりやすい例、特に効く予防策を対応させると次のとおりです。
| 原因の型 | 公式アカウントの不適切な投稿・対応 | 広告・キャンペーンの表現 | 従業員・アルバイトの私的投稿(いわゆるバイトテロ) | 情報漏洩・内部告発 | 顧客対応・商品やサービスへの不満 |
|---|---|---|---|---|---|
| 起こりやすい例 | 配慮を欠いた表現、センシティブな話題への言及、クレームへの不誠実な返信 | 差別的・ジェンダー的と受け取られる表現、誇大・比較表現 | 勤務中・店舗内での不適切な動画、業務や顧客に関する投稿 | 機密情報・個人情報の誤投稿、内部からの告発 | カスタマー対応の不備がSNS上で可視化される |
| 特に効く予防策 | 投稿前の承認・ダブルチェック、担当者への研修 | 企画段階での複数人レビュー、多様な受け手を想定した確認 | SNS運用ガイドラインでの私的利用の線引き、リテラシー研修 | アクセス権限の管理、公私アカウントの分離、通報体制の整備 | モニタリングによる早期検知、対応フローの事前整備 |
たとえば従業員の私的投稿の型では、飲食店のアルバイトが勤務中に店舗の設備を使った悪ふざけ動画を投稿し、拡散の末に店舗の信用低下や閉店に至るケースが繰り返し起きています。広告・キャンペーンの型では、性別役割を固定的に描いた表現が差別的だと受け取られ、批判が広がる例が典型です。
いずれも投稿した本人に強い悪意がなくても、想定不足から燃え広がる点が共通します。5つの型に共通するのは、担当者個人の感覚に運用が委ねられ、組織としての判断や確認が働いていない状態で起きやすいことです。次章では、これらの火種を組織で防ぐための予防策を具体的に見ていきます。
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【チェックリスト】SNS炎上を防ぐために企業がやるべき予防策
ここからは、炎上を未然に防ぐための予防策を、自社の運用に照らして点検できるチェックリスト形式で解説します。「整備しましょう」で終わらせず、それぞれ何を決めればよいかまで踏み込みます。
ソーシャルメディアポリシー/SNS運用ガイドラインに書くべき項目
予防の土台となるのが、判断のよりどころとなる文書の整備です。全従業員に向けた「ソーシャルメディアポリシー」と、公式アカウント運用者に向けた「運用ガイドライン」を分けて用意すると、対象と粒度がかみ合います。
- 投稿してはいけない情報の範囲(機密情報・個人情報・未公開情報・他者の権利を侵害する内容)
- 私的アカウントでの発信に関する線引き(勤務や業務に関する内容の扱い、身元が推測される投稿の注意点)
- センシティブな話題(政治・宗教・社会的な論争)への向き合い方
- 炎上や不適切投稿を見つけたときの報告ルートと連絡先
ガイドラインは作って終わりではなく、入社時や定期研修で繰り返し周知し、実際の投稿判断に使われる状態にして初めて効果を持ちます。
投稿前の承認・ダブルチェック体制(何段にするか・属人化の排除)
公式アカウントの炎上は、一人の担当者がその場の判断で投稿できてしまう体制で起きやすくなります。投稿前に別の担当者が内容を確認するダブルチェックを標準ルールにすることで、配慮を欠いた表現や誤解を招く投稿を出す前に止められます。
承認を何段にするかは、投稿の性質で分けると運用が回ります。日常の定型投稿は担当者間の相互チェックにとどめ、キャンペーンや社会的な話題に触れる投稿は責任者や広報・法務まで確認を上げる、といった具合です。作成者と承認者を必ず別の人にし、判断を属人化させないことが要点です。
従業員研修・リテラシー教育の内容
従業員の私的投稿による炎上は、ルールの存在を知らない、あるいは軽く考えていることが原因になりがちです。ガイドラインを配布するだけでなく、研修で「なぜ問題になるのか」を具体例とともに伝えると理解が定着します。
- 過去に実際に起きた炎上の型と、そこから何が起きたか
- 身元が特定される仕組みと、私的投稿でも会社に影響が及ぶ理由
- 勤務中の撮影・投稿や、業務・顧客に関する情報発信の禁止
日常のモニタリング(何を・どの範囲で監視するか)
炎上は、火種が小さいうちに気づけるかどうかで被害の大きさが変わります。自社名・ブランド名・主要な商品名・役職員に関する投稿を継続的に監視し、批判が拡散し始める前に検知する体制が、予防の最後の要になります。
監視対象はSNSだけでなく、掲示板・口コミサイト・ニュースのコメント欄まで広げると、飛び火の起点を早く捉えられます。担当者が手作業で検索し続けるには限界があるため、後述するモニタリングツールや監視サービスの活用も選択肢になります。
現状リスクの事前点検(自己点検チェックリスト)
最後に、ここまでの予防策が自社でどこまで整っているかを点検します。次の項目に「はい」と答えられない箇所が、優先して着手すべき穴になります。
- 全従業員向けのソーシャルメディアポリシーがあり、周知されているか
- 公式アカウントの投稿に承認・ダブルチェックの手順があるか
- 炎上リスクを扱う研修を定期的に実施しているか
- 自社に関する投稿を監視する仕組みがあるか
- 炎上が起きたときの初動手順と役割分担が決まっているか
SNS炎上が起きたときの初動対応と対応フロー
ここからは、実際に炎上が起きてしまったときの対応を、時間軸と役割分担、やってはいけない対応まで含めて解説します。初動の速さと正確さが、その後の収束を大きく左右します。
初動タイムライン:発生直後から何を・誰が判断するか(広報・法務・経営の役割分担)
炎上の初動は、決まった順序で進めると混乱を防げます。発生直後にまず状況を把握し、社内で情報を集約したうえで、外向きの一次対応を早めに出す流れが基本です。時間軸に沿った初動の流れと、各段階で主に動く部門を整理すると次のとおりです。

| 段階 | 検知直後 | 初動の数時間以内 | 方針決定後すみやかに | 事実確認の完了後 |
|---|---|---|---|---|
| やること | どの媒体で何が起きているかの事実確認、投稿・拡散状況の記録(スクリーンショット・URLの保全) | 社内で情報を集約し、事実関係と論調を整理。対応方針の骨子を決める | 「現在事実を確認している」旨の一次対応を発信し、沈黙による憶測拡大を防ぐ | 原因に応じた見解・謝罪の発信、再発防止策の検討 |
| 主に判断・実行する部門 | 広報・SNS運用担当 | 広報・法務・経営 | 広報(経営の承認のもと) | 広報・法務・経営 |
要点は、誰が最終的に対外発信を判断するかを事前に決めておくことです。担当者が独断で反応すると批判をかえって強めかねないため、経営・法務・広報の連絡経路をあらかじめ用意しておきます。証拠保全として、問題の投稿や拡散状況をスクリーンショットとURLで残しておくと、後の削除依頼や法的対応で役立ちます。
やってはいけないNG対応(慌てた削除・沈黙・感情的反論)
初動でよくある失敗には共通の型があります。第一に、慌てて問題の投稿を削除することです。削除は隠蔽と受け取られて二次炎上を招きやすく、証拠も失われるため、事実確認と方針決定の前に消さないのが実務上の定石です。
第二に、沈黙して様子を見続けることです。何の発信もないまま時間が過ぎると、憶測や不確かな情報が広がります。第三に、批判している相手へ感情的に反論することです。個別の応酬は対立を長期化させるため、公式の見解として一本化した発信に集約します。
【原因別】対応の3分岐(自社に非がある/事実無根のデマ/事実がすぐ分からない)
事実確認の結果によって、取るべき対応は分かれます。どの分岐に当てはまるかを見極めてから発信することで、対応のちぐはぐさを防げます。

- 自社に非がある場合:事実を認め、何が問題だったか・どう再発を防ぐかを含めて謝罪します。言い訳や責任転嫁と受け取られる表現は避けます。
- 事実無根のデマ・誤情報の場合:正確な事実を冷静に示して訂正します。悪質で権利侵害に当たる場合は、後述の削除依頼や発信者情報開示など法的対応も検討します。
- 事実関係がすぐに分からない場合:断定を避け、「事実を確認中である」と一次対応を出したうえで、確認が済み次第あらためて見解を発信します。
謝罪・見解の出し方(盛り込む項目とNG対応)
謝罪や見解の文面は、誠意が正しく伝わるよう構成します。次の要素をそろえると、対応の全体像が過不足なく伝わります。
- 何が起きたかの事実:確認できた範囲を具体的に示し、まだ分からない点は「確認中」と切り分けて書きます。
- 原因:なぜ起きたのかを、憶測ではなく判明した事実にもとづいて説明します。
- 影響を受けた方へのお詫び:誰に対する何についての謝罪かを明確にし、条件を付けずに述べます。
- 再発防止策:今後どう防ぐかを具体的な打ち手として示し、同じ問題を繰り返さない姿勢を明確にします。
- 今後の対応窓口:問い合わせ先や続報の出し方を明記し、発信が一過性で終わらないことを示します。
一方で、責任の所在を曖昧にした表現や、「ご不快な思いをさせたなら」といった条件付きの謝罪は、かえって反発を招きます。検索を避ける意図を疑われやすい画像やPDF形式だけの掲示も避け、テキストで明示するのが無難です。
再発防止策の実行と公表
収束後は、同じ原因を繰り返さないための再発防止策を実行し、必要に応じて公表します。原因の分析、運用ルールや承認体制の見直し、研修の追加といった具体策を示すことで、対応の誠実さが伝わり、信頼の回復につながります。
SNS炎上の法的対応(削除請求・発信者情報開示)
ここでは、悪質な投稿や誹謗中傷に対して取り得る法的対応を、根拠となる条文や公的な手続きとあわせて解説します。自社でできる範囲と、弁護士など専門家に頼るべき局面の切り分けを押さえておきましょう。
従業員の私的投稿は会社の責任になるか(使用者責任・民法715条)
従業員の投稿が炎上したとき、会社が法的な責任を負うかは、民法の使用者責任(第715条)が判断の起点になります。条文は次のとおりです。
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十五条|e-Gov法令検索
ここで鍵になるのが「その事業の執行について」という要件です。純粋に私的な(勤務外・個人アカウント・業務と無関係な)投稿は、原則として会社が使用者責任を負う場面ではありません。一方、勤務中や店舗内での不適切な行為、業務に関連した投稿など、業務の執行に関連して行われた場合は、使用者責任が問われ得ます。
ただし、法的責任を負うかどうかと、会社が実害を被るかどうかは別の問題です。純粋な私的投稿であっても、企業の信用低下や評判の毀損という実害は生じ得ます。だからこそ、ガイドラインや研修で私的利用の線引きを教える予防策が効いてきます。
投稿削除の依頼方法
権利を侵害する投稿を削除したい場合、いきなり弁護士に依頼する前に、自社でできる段階があります。法務省は、プロバイダなどに「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」を送付したり、各プラットフォームの削除依頼フォームを通じたりして削除を依頼できると案内しています。
また、法務局では、相談者の被害申告などに基づいて名誉毀損やプライバシー侵害に当たるかを判断し、人権侵害に該当すると認めた情報についてプロバイダへの削除の要請を行っています。ただし、これらの依頼・要請に強制力はなく、削除するかどうかは最終的にプラットフォーム側の判断に委ねられます。強制的な削除を求めるには、人格権に基づく差止請求(訴訟・仮処分)といった弁護士の領分の対応が必要になります。
出典・参考資料(1件)
発信者情報開示請求(開示命令)の流れと費用感
匿名の投稿でも、一定の要件を満たせば発信者を特定する道が用意されています。根拠となるのが、旧・プロバイダ責任制限法である「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」の発信者情報開示請求です。同法第5条は、権利侵害が明らかであること、開示を受けるべき正当な理由があることの2つの要件を満たすときに、発信者情報の開示を請求できると定めています。
実際に裁判所を通じて開示させる手続きが、同法第8条の「発信者情報開示命令」です。これは、令和3年改正法(2022年10月1日施行)で新設された非訟の一体的な手続きで、それまで必要だった二段階の手続きの負担を軽くしました。
また、従来の発信者情報の開示請求の裁判は、㋐まずは、「SNSの運営者等のコンテンツプロバイダ」に対する開示仮処分の申立てを行い、当該申立てが認容された場合、㋑次に、「インターネット接続サービスを提供する事業者等である経由プロバイダ」に対する開示請求訴訟を提起するという、少なくとも2段階の手続を経ることが通常必要となる。
出典:プロバイダ責任制限法 逐条解説(令和5年3月)|総務省
従来はこの2段階の間に、発信者にたどり着く手がかりとなる通信記録が消えてしまう恐れがありました。現在は開示命令という一体的な手続きにより、匿名の投稿者を特定して損害賠償や削除につなげる道が整理されています。
法律名が「情報流通プラットフォーム対処法」へ変わり、大規模プラットフォーム事業者に削除対応の迅速化・透明化の義務が加わったのは、これとは別の令和6年改正法(2025年4月1日施行)による整備です。開示命令の新設とは改正の段階が異なる点に注意が必要です。
要件を満たさなければ開示されないため、「匿名なら必ず特定できる」わけではありません。開示請求から特定、損害賠償までは専門的な判断を要するため、実務では弁護士に依頼するのが一般的です。
費用の見通しとしては、投稿先のサービス提供者と経由プロバイダで手続きが分かれ、発信者を特定した後に損害賠償請求が続くため、着手金と報酬を合わせてまとまった額になりやすい傾向があります。金額は事案や依頼先によって幅があるため、複数の事務所に見積もりを取って比較検討するのが安全です。
出典・参考資料(2件)
削除請求や発信者情報開示は、弁護士や専門の対策会社に依頼して進めるのが一般的です。削除・逆SEO・弁護士連携・監視代行といった対応範囲の違いや、依頼先をどう選ぶかを比較したい場合は、以下の記事で整理しています。
自社だけで対応が難しいとき:SNS監視サービスと弁護士の選択肢・費用感
ここまでの予防策や初動対応には、自社だけでは手が回らない部分があります。24時間の監視や炎上時の専門的な判断、発信者情報開示のような法的対応は、外部の監視サービスや弁護士の力を借りるのが現実的です。まずは無料で使える公的窓口として、法務省の「みんなの人権110番」や、総務省が支援する「違法・有害情報相談センター」への相談も選択肢になります。
監視サービスの3タイプの違い(有人監視型/ツール型/ハイブリッド)と料金レンジ
SNS監視・炎上対策のサービスは、監視の担い手によって大きく3つのタイプに分かれます。自社のリソースや求める対応範囲に合わせて選ぶのが基本です。
- 有人監視型:オペレーターが目視で投稿を確認します。文脈を踏まえた判断や柔軟な対応に強く、24時間365日体制を組めるサービスもありますが、費用は高めになりやすいです。
- ツール型:AIやシステムが投稿を自動で収集・検知します。広範囲を低コスト・高速に監視できる一方、検知の精度は監視条件の設計に左右されます。
- ハイブリッド型:AIによる自動検知と有人の確認・初動支援を組み合わせます。誤検知を抑えつつ人の判断を得られる利点があります。
選ぶときは、自社のリソースと求める対応範囲で当てはめると迷いにくくなります。24時間の即応やコメント対応まで任せたいなら有人監視型・ハイブリッド型、まずは低コストで広く自動検知したいならツール型が向きます。次の比較表の「監視方式」列で、各サービスがどの型に当たるかを確認できます。
料金は、監視するキーワード数・監視対象の範囲・体制(自動のみか有人を含むか)によって幅があります。目安として、SNSのコメント監視などで月額8万円台から始まるサービスがあり、監視キーワードや監視対象を広げるほど料金は上がります。有人監視や炎上時のコンサルティングまで含めると、月額十数万円以上になることもあります。
初期費用の有無や最低契約期間もサービスによって異なるため、資料請求で自社の監視範囲に合わせた見積もりを取るのが確実です。次の比較表で、代表的な4サービスの監視方式・対応範囲・料金の考え方を整理します。
| 比較項目 | AI-mining(AIマイニング) | Webリスクモニタリング(エルテス) | インターネットモニタリング(MONI/アディッシュ) | ネットパトロール(イー・ガーディアン) |
|---|---|---|---|---|
| 監視方式 | ツール型(AI自動検知)+有人監視オプション | ハイブリッド(AIスクリーニング+専門家の有人判定) | ハイブリッド(AI×ヒトの有人監視代行) | ハイブリッド(AI×人の有人監視) |
| 主な監視対象 | X・掲示板・口コミ/評価サイト等 約2,000メディア(動画SNSは有人監視代行で対応) | X・Instagram・Facebook・TikTok・YouTube・5ch等の掲示板・ブログ・ニュース | 企業SNS公式アカウント(X・Instagram・Facebook・TikTok・YouTube)のコメント/自社コミュニティ・掲示板 等 | SNS・掲示板・EC/レビュー・動画/ライブ配信・ゲーム・企業メール |
| 24時間・有人体制 | △有人監視はオプション(24時間365日) | ●24時間365日 | ●24時間365日 | ●24時間365日 |
| 炎上時の対応範囲 | 検知〜初動支援・沈静化コンサルまで(追加料金なし) | 検知〜初期対応・沈静化コンサル・評判回復まで | 検知・エスカレーション・緊急連絡(削除/法的対応は要問い合わせ) | 検知・削除(コンテンツモデレーション)中心 |
| 料金の考え方 | メインキーワード数に応じた変動制(要問い合わせ) | 個別見積もり(要問い合わせ・無料相談あり) | 個別見積もり(参考: SNS監視 月額8万円〜) | 個別見積もり(要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※各社の監視方式・対応範囲・料金は2026年9月時点の公式情報およびカタログ掲載情報にもとづく。最新の料金・条件は各社にご確認ください。
上の表は代表的な4サービスを取り上げたものです。これ以外のサービスも含めて監視方式・監視対象・料金を横並びで比較し、自社に合う一社を選びたい方は、以下の記事で選び方と費用の目安を詳しく解説しています。
AI-mining(株式会社リリーフサイン)

AI-mining(AIマイニング)は、SNS・Web上の口コミをリアルタイムで収集し、炎上の火種を早期に検知するデジタルリスク監視・分析ツールです。株式会社リリーフサインが提供し、累計1,500社以上への導入実績があります。
特徴は、AIの自然言語処理で投稿の文脈を読み取り、論調がポジティブ・ネガティブ・ニュートラルのどの割合かを可視化できる点です。日本の炎上で拡散の起点になりやすいX(旧Twitter)の公式データをリアルタイムで取得し、投稿が削除された後もさかのぼって参照できる設計になっています。
ツールの提供だけで終わらず、キーワード設定や監視条件のチューニングを支援し、部署ごとに検知したいリスクを分けることもできます。万一の炎上発生時には、導入企業は追加料金なしで専門コンサルタントが論調・原因の分析やリリース発信の要否といった判断材料の整理を行い、沈静化まで支援します。
必要に応じて、深夜・休日を含む365日の有人監視を組み合わせることも可能です。契約プランに応じて、炎上対応費用を補償する保険(引受はあいおいニッセイ同和損害保険、上限300万円)が付帯する点も特徴です。料金は、設定するメインキーワードの数に応じた変動制です。
まとめ
企業のSNS炎上対策は、精神論ではなく具体的な打ち手の積み重ねで進めます。炎上の原因を型で押さえ、運用ガイドライン・承認体制・研修・モニタリングという予防策を自社の運用に照らして点検することが出発点です。
そのうえで、炎上が起きたときの初動タイムラインと役割分担、原因別の対応分岐を事前に決めておけば、いざというときに慌てずに動けます。投稿削除や発信者情報開示といった法的対応、24時間の監視など自社だけで難しい部分は、外部の監視サービスや弁護士を活用するのが現実的です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 企業のSNS炎上対策とは何ですか?
A. 企業のSNS炎上対策とは、自社や従業員のSNS投稿がきっかけで批判が拡散する事態を防ぎ、起きてしまったときの被害を最小限に抑えるための、予防と初動対応の取り組み全体を指します。
具体的には、運用ガイドラインの整備・投稿前のダブルチェック・従業員研修・モニタリングといった予防策と、炎上が起きたときの事実確認から一次対応・謝罪・再発防止までの対応フローで構成されます。精神論ではなく、項目ごとの具体的な打ち手に落とし込むことが肝心です。
Q. 従業員の私的なSNS投稿は会社の責任になりますか?
A. 従業員の私的な投稿が会社の責任になるかは、民法715条の使用者責任にいう「その事業の執行について」行われたかで分かれ、純粋に私的な(勤務外・個人アカウント・業務と無関係な)投稿は、原則として会社が使用者責任を負う場面ではありません。一方で、勤務中や店舗内での不適切な行為、業務に関連した投稿など、業務の執行に関連して行われた場合(いわゆるバイトテロ型)は、会社の使用者責任が問われ得ます。
ただし、法的責任を負うかどうかと、会社が実害を被るかどうかは別の問題です。純粋な私的投稿であっても、企業の信用低下や評判の毀損という実害は生じ得るため、ガイドラインや研修で私的利用の線引きを教える予防が効いてきます。
出典・参考資料(1件)
Q. SNS炎上は投稿を削除すれば解決しますか?
A. SNS炎上は、問題の投稿を慌てて削除しても解決せず、むしろ隠蔽と受け取られて二次炎上を招きやすいうえ、後の削除依頼や法的対応に使う証拠も失われるため、逆効果になりがちです。まず事実確認と対応方針の決定を先に行い、問題の投稿や拡散状況をスクリーンショットとURLで保全したうえで、原因に応じた謝罪や見解の発信で対応するのが実務上の定石です。削除するとしても、方針を固めてからが原則です。
Q. 匿名の投稿でも発信者を特定できますか?
A. 匿名の投稿でも、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)の発信者情報開示請求により、一定の要件を満たせば発信者を特定できる道が用意されています。同法第5条は「権利侵害が明らかであること」「開示を受けるべき正当な理由があること」の2つの要件を求めており、これを満たさなければ開示されないため、匿名なら必ず特定できるわけではありません。
実際に裁判所を通じて開示させる手続きが同法第8条の発信者情報開示命令で、令和3年改正法(2022年10月1日施行)で新設された一体的な非訟手続きです。開示請求から特定、損害賠償までは専門的な判断を要するため、実務では弁護士に依頼するのが一般的です。
Q. SNS炎上対策を外部に委託する費用の相場はどれくらいですか?
A. SNS炎上対策の外部委託費用は、依頼する内容によって幅があり、監視を自動ツールで行う場合は比較的抑えられる一方、有人監視や炎上時のコンサルティングまで含めると月額十数万円以上になることもあります。
監視サービスの料金は、監視するキーワード数・監視対象の範囲・体制(自動のみか有人を含むか)によって変動します。発信者情報開示や削除請求などの法的対応を弁護士に依頼する費用も事案や依頼先によって幅があるため、複数のサービスや事務所から見積もりを取って比較検討するのが安全です。
Q. SNS炎上について無料で相談できる公的な窓口はありますか?
A. SNS炎上や誹謗中傷については、法務省の「みんなの人権110番」や、総務省が支援する「違法・有害情報相談センター」といった無料の公的窓口に相談できます。
法務局では、相談者の被害申告などに基づき、名誉毀損やプライバシー侵害などの人権侵害に該当すると認めた情報について、プロバイダへの削除の要請を行っています。ただし、これらの窓口は削除方法の助言や要請が中心で、本人に代わって強制的に削除するものではない点には留意が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。














