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電子契約サービスの乗り換え手順|失敗しないための注意点と選び方まで解説

電子契約サービスの乗り換え手順のサムネイル画像

今使っている電子契約サービスの料金プランが改定される、実印相当署名やAPI連携などの機能不足で全社展開が止まっている、電子帳簿保存法の要件を満たしているか自信が持てない——このような理由から、他社サービスへの乗り換えを検討する法務・総務・情シスの担当者が増えています。

しかし乗り換えは、保管契約書の消失・二重支払い・契約締結の空白期間といった実害が出やすい業務移管であり、抽象的な「事前準備を丁寧に」では判断できません。

本記事は、既に電子契約サービスを利用中の担当者に向けて、乗り換えの時系列手順・失敗しないためのチェックリスト・締結済契約書の法的有効性・乗り換え先の選び方までを一気通貫で解説します。乗り換え候補となる主要な電子契約・契約管理サービスも紹介します。

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電子契約サービスの乗り換え手順(時系列8ステップ・逆算スケジュール付き)

乗り換えを成功させる分かれ目は、作業そのものの丁寧さよりも、時系列の設計です。ここでは、いつ乗り換えを開始すべきかという時期判断の勘所を先に押さえたうえで、現行契約の確認から旧サービスの解約まで8ステップで進め方を整理します。

乗り換えを開始する最適タイミング(契約期間・二重支払い・空白期間の回避)

乗り換えの時期を決めるうえで押さえるのは、次の3点です。第一に、現行サービスの契約期間の満了日と、解約通知期限(30日前・数か月前など、サービスによって異なる)。第二に、新サービスと旧サービスの契約期間が重なる二重支払い期間を最小化すること。第三に、新旧の切替の谷間で締結業務が止まる空白期間を作らないこと。

実務では、解約通知期限から切替日を逆算し、その手前に並行運用期間・新サービスへの移行作業期間を積み上げていく発想が有効です。たとえば解約通知期限が3か月前であれば、切替日の3か月以上前に解約通知を打てるよう、その前に新サービスの選定・トライアル評価・社内周知を終わらせておく必要があります。

並行運用期間は業務量や契約書量に応じて設計する項目で、数週間程度を目安に取る企業が多い一方で、案件が集中する期間があるならもう少し余裕を持たせる判断もあります。

この逆算スケジュールを一枚のシートに落とし込んでおくと、上長・経理・情シス・営業との調整ミーティングで「誰がいつ何をやるか」を短時間で握れます。次に示す8ステップは、この逆算スケジュールの中身にあたります。

乗り換えの8ステップ

乗り換え作業は、次の8ステップで進めるのが標準的です。各ステップの目安時期は、切替日から逆算した相対時期で示します(絶対日数は現行サービスの規約と自社の業務量で調整します)。

1. 現サービスの契約期間の確認
2. 現サービスに保管している契約書をダウンロード
3. 新サービスの契約
4. 新サービスに保管したい契約書をアップロード
5. 現サービス解約

出典:【体験済】電子契約サービスを他社に乗り換える際の手順と注意点|MONOLISIX blog
  1. 現行契約の期間・解約通知期限の確認(切替日の逆算起点):現行サービスの利用規約と契約書面から、契約満了日・自動更新条項・解約通知の要否と期限(30日前・60日前・3か月前など)を確認する必要があります。SaaSの多くは年払いプランを持つため、更新月の直前は避け、更新月をまたぐ月に切替を合わせるのが二重支払いを抑える基本です。
  2. 旧サービスに保管中の契約書PDF・メタデータの全件ダウンロード(切替日のかなり前に):解約後にデータが取り出せなくなるサービスと、無期限に保管され続けるサービスがあり、ポリシーはサービスごとに真逆です(後述のチェックリストで詳述)。いずれにせよ、締結済契約書は自社に紙・PDF・メタデータCSVの形で全件ダウンロードしておくのが安全です。
  3. 乗り換え先の選定・無料トライアル評価:後述の「選ぶ観点」に沿って候補を2〜3社に絞り、無料プランまたはトライアルで実際の締結フローを試すのが実務的です。想定シナリオ(社内承認→取引先送信→締結→保管)を最低1件は流し、既存業務システムとのAPI連携も動作確認しておくのが望ましいです。
  4. 社内・取引先への周知:契約締結業務は自社内で完結せず、取引先にも影響します。新サービスの署名依頼メールが取引先で迷惑メール判定されないよう、事前にドメイン・送信元アドレスの共有が必要です。社内向けには、新サービスの操作マニュアル・切替日・並行運用期間の運用ルールを配布することが望ましいです。
  5. 新サービスへの契約書アップロード・テンプレート設定:締結済契約書を新サービスに移す場合は、保存要件(電子帳簿保存法の検索機能等)を満たすメタデータ(取引先・取引年月日・取引金額)を付与してアップロードする必要があります。頻繁に使う契約書はテンプレート化し、承認ワークフローも本稼働までに設定を済ませておくのが実務的です。
  6. 並行運用期間の設定:新規締結を新サービスに寄せつつ、旧サービスは受信済み案件の対応と閲覧のために稼働を残す運用が推奨されます。並行運用期間は業務量に応じて数週間程度を目安に、案件が集中しない時期に合わせた設定が必要です。
  7. 本稼働への切替:切替日以降は、原則すべての新規締結を新サービス側で受ける運用に切り替えます。切替直後の1〜2週間は、旧サービス側にも念のためログインして未処理案件が残っていないかの確認が推奨されます。
  8. 旧サービスの解約手続き:ステップ2で全件ダウンロードが完了し、ステップ7の切替後に取り残しがないことを確認した段階で、解約通知期限に間に合うタイミングでの正式解約が必要です。年間契約の期日をまたぐ場合は、更新の自動発生を止める操作もあわせて行うことが望ましいです。
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時期(切替日Dからの逆算)D-90〜D-120D-60〜D-90D-30〜D-60D-14〜D-30D-dayD+14D+30
やること現行契約の期間・解約通知期限確認、乗り換え理由の言語化候補サービスの選定・トライアル・見積取得社内・取引先への周知、新サービス初期設定・テンプレ移行保管契約書のダウンロード・並行運用開始本稼働への切替進行中案件の残処理確認旧サービス解約手続き

解約通知期限(30日前・60日前・3か月前)を起点に、上記の相対時期を自社の更新月に合わせて調整してください。

出典・参考資料(2件)

乗り換えで失敗しないためのチェックリスト(注意点を実害とセットで)

ここでは、手順を踏んでも見落としやすい注意点を、「見落とすと何が起きるか」の実害とセットで整理します。印刷して社内共有できる形にしておくと、経理・情シス・営業との調整で漏れが減らせます。

  • 保管契約書のダウンロード:解約前に全件のPDFとメタデータCSVを手元に取る
    解約時のデータ扱いはサービスごとに真逆です。たとえば電子印鑑GMOサインは、公式ヘルプで「解約後は、保管データは弊社サーバー上から消去されます。事前に契約データ(PDFファイル)をダウンロードし、別途保管してください」と明記しています。一方でクラウドサインは、書類ファイルは無期限に保存されると案内されています。ただし後者でも、エンタープライズプランでは解約時にアカウントが削除されアクセス経路が失われるため、いずれにせよ解約前にPDFで手元に取っておくのが安全策です。実害:ダウンロード漏れ=電子帳簿保存法上の保存義務(後述)を自社が果たせなくなる。
  • 契約期間の重複:更新月をまたぐ月に切替を合わせて二重支払いを最小化する
    年払いプランの場合、更新月をまたいでしまうと丸1年分の追加費用が発生します。実害:数十万円〜数百万円規模の二重支払いが1回で発生し、以降の予算枠を圧迫。
  • 空白期間の回避:並行運用期間を挟んで新旧の谷間を作らない
    並行運用期間を設けず一気に切替を行うと、切替直後に締結業務が停止し、取引先へ「今日中に返送予定でしたが1週間ずれます」と連絡することになりかねません。実害:契約締結の遅延で自社の売上・支払いが後ろ倒しに、取引先の信用も損ねる。
  • 電子帳簿保存法対応:新サービス側で保存要件を満たせるか事前確認
    電子取引で授受した契約書は電子帳簿保存法の保存対象で、真実性・検索機能などの要件を満たす必要があります(要件詳細は次節)。新サービスでタイムスタンプ・検索機能・訂正削除の履歴が担保されているか、契約前にドキュメントで確認します。実害:保存要件を満たさない状態が続くと、税務調査での指摘や青色申告承認取消のリスク。
  • 取引先への周知:新サービスの送信元ドメイン・アドレスを事前に共有
    新サービスからの署名依頼メールを取引先が受信できないと、締結が進みません。実害:既存取引先のメールフィルタで迷惑メール判定され、締結依頼が届かないまま失注につながる。
  • 締結済契約書の法的有効性の確認:民法・電子署名法・電子帳簿保存法の3層で押さえる
    旧サービスで結んだ契約書が乗り換え後も有効か、証拠力が残るか、保存義務をどう果たすかは、それぞれ根拠が異なります(次節で詳述)。
出典・参考資料(4件)

主要電子契約サービスの解約時データ扱い

以下は10社の解約後データ扱いの一覧です(要問い合わせは公式ドキュメントに明示なし)。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサインCLOUD LEGALHubbleHubble miniOLGALAWGUEマネーフォワード クラウド契約freeeサインWAN-Sign
解約後の保管方針書類ファイルは無期限保存(ヘルプ公式)。ただしエンタープライズプランでは解約時にアカウント削除でアクセス経路が失われる解約後にサーバー上のデータが消去される旨をヘルプで明示要問い合わせ要問い合わせ(CLM系)要問い合わせ(CLM系)要問い合わせ要問い合わせ(作成レビュー主体)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
参照公式ヘルプ公式ヘルプ

旧サービスで結んだ電子契約は、サービスを乗り換えても法的効力を維持できます。ただし、「契約自体が有効か」「証拠力(真正な成立の推定)が残るか」「保存義務をどう果たすか」の3つは根拠となる法律が異なり、まとめて「電子署名法第3条の要件を満たすかどうか」の1本で判断すると読み違いにつながります。ここでは3層に分けて整理します。

締結済契約書の法的有効性は3層に分かれる。層1は民法にもとづく契約自体の有効性で、契約は当事者間の意思の合致で成立し保管場所と分離される。層2は電子署名法第3条にもとづく訴訟での証拠力で、締結時点で付与された電子署名・タイムスタンプに帰属し、事業者署名型(立会人型)も三省Q&Aで推定効が及ぶ。層3は電子帳簿保存法第7条・問24にもとづく保存義務で、保存義務者である自社に課され、変更前のシステムで検索機能を確保する運用も差し支えないとされる。

1. 契約自体の有効性は民法上維持される

日本の民法では、契約は当事者間の意思の合致で成立し、書面や電子データの形式は原則として契約の有効要件ではありません。電子契約か紙契約か、どのサービスで締結したかを問わず、当事者が合意した契約はその内容で有効に成立し、その効力は契約書の保管場所(サービス)とは切り離されます。乗り換えによって旧サービス上のデータが移動しても、契約そのものの有効性が失われることはありません。

2. 訴訟の場での証拠力は電子署名法第3条で担保される

民事訴訟の場で「この電子文書は本人が作成したものか」を争うとき、電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)第3条が、要件を満たす電子署名がなされていれば真正に成立したものと推定するという証拠力を与えます。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第3条|e-Gov 法令検索

この推定効は、締結時点で電子署名法第3条の要件(本人性・非改ざん性)を満たして付与された電子署名・タイムスタンプに帰属します。締結後にサービスを乗り換えても、締結時に付与された電子署名・タイムスタンプ自体は文書に埋め込まれているため、その電子文書を自社で適切に保管している限り証拠力は維持されます。

クラウドサイン・電子印鑑GMOサインなど、現在の電子契約サービスの多くが採用する事業者署名型(立会人型)についても、総務省・法務省・経済産業省・デジタル庁の三省Q&Aで、利用者との認証プロセスや事業者内部の鍵管理が要件を満たせば第3条の推定効が及ぶことが公的に整理されています。

出典・参考資料(2件)

3. 保存義務は保存義務者に残り、乗り換えで免除されない

電子取引で授受した契約書は、電子帳簿保存法第7条により「保存義務者」(=所得税・法人税の納税義務者、つまり自社)に対して電磁的記録での保存が義務付けられています。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条|e-Gov 法令検索

ここで重要なのは、保存義務は「保存義務者」(=自社)に課されている点です。電子契約サービス提供者に課されているわけではないため、サービスを乗り換えても義務は消えず、旧サービスから離れる際に保管先を自社側で確保する必要があります。「取引情報」には契約書が明示的に含まれると条文で定義されており(第2条第5号)、電子契約で交わした契約書はそのまま第7条の保存義務対象です。

乗り換え時に「旧サービスの検索機能を残せなくなる/新サービスに移すべきか」を悩む場面がありますが、国税庁の一問一答(電子取引関係)問24で、変更前のシステムを用いること等により検索機能が確保されているのであれば、現在使用しているシステムで検索できなくても差し支えないと明示されています。

問24 電磁的記録の検索機能は、現在使用しているシステムにおいて確保しなければならないのでしょうか。
【回答】
変更前のシステムを用いること等により検索機能が確保されているのであれば、現在使用しているシステムにより検索ができなくても差し支えありません。
【解説】
例えば、システム変更等をした場合に、変更前のデータについては、変更前のシステムにおいて検索機能を確保している場合などがこれに該当します。なお、このような場合には、検索に使用する電磁的記録が要件を満たして保存してある電磁的記録と同一のものであることを確認できるようにしておく必要があります。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和7年6月 問24|国税庁

実務では、①旧サービスの検索機能を残す(契約が続いている間の閲覧ルート)、②新サービスに一括アップロードし直す(要件を満たす形での同一性確保)、③自社ストレージにダウンロードした上で自社側で検索インデックスを整える、のいずれかを組み合わせます。いずれのルートでも、保存すべき電磁的記録の同一性を確認できる仕組みを残す点は共通です。

電子帳簿保存法の保存要件は、真実性と可視性を確保する複数の要件で構成されます。真実性の確保では、タイムスタンプの付与、訂正削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の運用のいずれかを選べる形になっています。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則2②一イ、二、⑥五、六、4①)。
○ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合の要件の概要
・電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)
・見読可能装置の備付け等
・検索機能の確保
・次のいずれかの措置を行う
 一 タイムスタンプが付された後の授受
 二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
 三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受及び保存を行う
 四 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】令和7年6月 問18|国税庁
出典・参考資料(2件)
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電子契約サービスを乗り換える主な理由(自己診断)

手順と法的な整理を押さえたら、次は自社の乗り換え理由を改めて言語化しておくと、続く「選ぶ観点」の重みづけがぶれません。乗り換えを検討する典型的な理由は、次の5類型に整理できます。自社がどれに当たるか、複数該当する場合はどれが最重要かを、上長・関係部門と共有できる形にしておくのが目的です。

  • コスト増:従量課金の想定超過、料金プラン改定による年間費用の上振れ、上位プランへの強制移行など。同種の機能を持つ他社に替えれば下げられるか、無料プランや従量の少ないプランに落とせるかを見ます。
  • 機能不足:実印相当署名(当事者署名型)が使えない、SMS認証・多要素認証がない、スキャナ保存要件を満たせない、既存業務システムとのAPI連携がない、締結後の契約管理(全文検索・期限アラート・台帳連携)が弱い、など。
  • 電子帳簿保存法対応:真実性・可視性の要件(タイムスタンプ・訂正削除の履歴・検索機能)を満たしきれず、税務対応で不安が残る。JIIMA認証の有無や、事務処理規程の運用サポートの有無で差が出ます。
  • 操作性・UI:画面遷移の多さ、テンプレート編集の柔軟性、モバイル対応、取引先側の使いやすさ(アカウント不要で署名できるか)など。現場から「使いにくい」の声が多いなら、切替後の定着率を左右する項目です。
  • サポート体制:日本語での問い合わせ対応、カスタマーサクセスの伴走の厚さ、導入支援・トレーニング資料の充実度、内部統制・監査対応の伴走の有無など。全社展開フェーズでは、初期の設定支援とその後の運用相談の両方が重要になります。

自社の理由が特定できると、次節の選定観点のどこに重みを置くかが自然と定まります。「コスト増」なら料金体系、「機能不足」なら該当機能の有無、「電帳法対応」ならJIIMA認証と要件充足、「操作性」ならデモ・トライアルでの現場評価、「サポート」なら導入支援の実績、を優先軸に据える形です。

乗り換え理由の5類型と、対応して重みを置くべき選定観点のマッピング。コスト増は料金体系(従量/定額/送信数上限が自社の締結件数に合うかを試算)へ。機能不足は該当機能の有無(標準搭載か追加費用か外部連携か)へ。電子帳簿保存法対応はJIIMA認証と要件充足(タイムスタンプ・訂正削除履歴・検索機能・事務処理規程の運用サポート)へ。操作性・UIはデモ・トライアル評価(現場の担当者が実シナリオで触り、切替後の定着率を事前検証)へ。サポート体制は導入支援の実績(オンボーディング・テンプレ整備の伴走、同業種・同規模の導入事例)へ対応する。

乗り換え先の電子契約サービスを選ぶ観点

乗り換え先を評価する軸を、「なぜ大事か(乗り換え後の実務で何が変わるか)」とセットで整理します。前節で握った自社の乗り換え理由に対応する観点を優先しつつ、他の観点も抜けがないか通しで確認する使い方を想定しています。

料金体系(従量/定額/送信数上限)は自社の締結件数に合っているか

電子契約サービスの料金は、月額定額+送信数超過分の従量、または送信数完全従量、あるいは無制限プランなど複数の形式があります。自社の月次の締結件数(法務・営業・人事・購買の合計)を数か月分の実績で押さえ、想定超過分の従量が発生するかどうかを試算します。乗り換え理由が「コスト増」の場合、送信数と料金の関係が業務のピークに耐えられるかを一番先に検証します。

電子署名法・電子帳簿保存法への対応は、公的説明レベルで担保されているか

電子署名法第3条の要件(本人性・非改ざん性)を満たす電子署名・タイムスタンプが締結時点で付与されるか、電子帳簿保存法の真実性・検索機能の要件がサービス側で満たされるかは、公式ドキュメントで確認します。JIIMA認証(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)を取得している製品は、電子帳簿保存法の法的要件への準拠が第三者機関によって確認されており、税務対応の説明工数を減らせます。

実印相当署名(当事者署名型)に対応しているか

不動産取引・金融取引・官公庁向けなど、実印相当署名(当事者署名型)が求められる契約を扱うなら、事業者署名型(立会人型)のみのサービスでは対応できません。乗り換え候補が両方のハイブリッド運用に対応しているか、追加費用がかかるかを確認します。全社展開の段階で「一部の契約は紙運用に戻す」となるのを避けるためです。

立会人型と当事者型それぞれの法的効力の違いや、どの契約類型でどちらを選ぶべきかの判断軸は、以下の記事で比較表とあわせて解説しています。

API連携・既存業務システム連携は、想定シナリオで動作するか

Salesforce・freee・kintone・Slack・Teams・Microsoft 365など、既存の営業・会計・コミュニケーションツールとの連携があると、契約書作成〜承認〜締結〜保管の各段階で二重入力や画面切替を省略できます。トライアル段階で、実際の業務シナリオを1本流してみるのが確実です。カタログスペックとしての「連携可能」と、実務での操作性は別物であることが多いためです。

取引先側の使いやすさ(アカウント不要・多言語・モバイル対応)

電子契約は取引先が署名してはじめて締結が完了します。取引先がアカウント登録なしで署名できるか、モバイルから完結できるか、海外取引先向けに多言語UIがあるかは、切替後の締結完了率を左右します。取引先側の操作でつまずくと、自社の営業・法務が個別サポートに時間を取られる、という副作用が出ます。

締結後の契約管理機能(全文検索・期限アラート・台帳・AI要約)

「今の電子契約は残しつつ、締結後の管理機能だけ強化したい」場合、電子契約サービス単体ではなく契約管理システム(CLM)を組み合わせる選択肢もあります。全文検索・更新期限のアラート・AI台帳自動作成・条項レビュー支援などが揃うと、法務の稼働が管理業務から高付加価値業務にシフトできます。

電子契約は現行のままで締結後管理レイヤーだけを差し替えるアプローチや、CLMを単体で選ぶ場合の観点は、以下の記事で製品タイプ別に整理しています。乗り換え理由が「締結後管理の弱さ」に集中している場合、電子契約サービス自体を替えずに済む選択肢の当たりが付きます。

セキュリティ・内部統制対応(ISMS・SOC2・監査ログ)

ISO/IEC 27001(ISMS)・SOC2・ISO/IEC 27017などの第三者認証の取得状況、操作ログ・アクセスログの保管期間、権限管理の粒度、IP制限やSSOの対応可否は、内部統制・監査対応で確認される項目です。全社展開後に監査部門から遡って質問される項目でもあるため、事前にドキュメントを揃えられるサービスを選ぶと運用がスムーズです。

サポート体制と導入企業規模の実績

導入時のオンボーディング支援、テンプレート整備の伴走、運用フェーズでの相談窓口の有無は、乗り換え後の定着スピードに直接影響します。自社と近い業種・企業規模の導入実績があるかも、要件のフィット感を測る材料になります。

他社の乗り換え事例(Before/After)

実際に他社サービスから乗り換えた企業の公開事例を2社紹介します。乗り換えの動機と、乗り換え後に何がどう変わったかを、担当者の言葉で確認できる素材です。

RIZAP:他社サービスからクラウドサインへ乗り換え、作業時間・待ち時間・コストが半分以下に

フィットネス・ヘルスケア事業を展開するRIZAPは、2018年4月に他社の電子契約システムを導入した後、翌2019年4月にクラウドサインに切り替えました。旧システムでは契約書作成に多くの工数がかかっていた点が、切替後に短縮されたことが公開事例で語られています。

以前のシステムでは契約書を作成するだけで1日が終わってしまうほどでした。

今は確実に労働時間が減って、契約書類にかかわる作業は半分以下になりました。コストも全体的にはおおよそ半減しています。

出典:他社電子契約サービスから乗り換え、作業時間・待ち時間・コストが半分以下に|RIZAP株式会社|クラウドサイン導入事例

Beforeは他社の電子契約システム(記事内では「以前のシステム」「旧システム」として言及、具体名の記載はなし)、Afterはクラウドサイン。労働時間の削減とコストの削減が同時に実現しています。

NIN JAPAN:料金値上げと契約数上限を機にリーテックスへ乗り換え、コスト削減と業務効率化を両立

フィットネス・エンタメ関連事業を展開するNIN JAPANは、契約中のサービスで料金値上げと契約数の利用上限(上限超過ごとに追加課金の手続きが必要)に直面したことから、2024年末に乗り換えを検討し始めました。

契約していたサービスの料金が値上げされることになりまして経費の適正化を図る中で、2024年末に乗り換えを検討し始めました。

今までの電子契約サービスには契約数の利用制限があって、社員数が多い私たちの会社では頻繁に上限を超えてしまうことが課題でした。上限を超えると、その度に追加課金の手続きが必要で、業務負荷になっていました。

これまでのサービスでは、契約完了までに画面遷移が5回必要でした。でも、リーテックスはわずか3回。

出典:他社からの乗り換えで、リーテックスデジタル契約へ「コスト削減」と「業務効率化」の双方を実現!|NIN JAPAN株式会社|リーテックス導入事例

乗り換えの動機は「コスト増」と「契約数上限による機能不足」の2つで、前節の自己診断の類型に重なります。Beforeは他社の電子契約サービス、Afterはリーテックスデジタル契約。コスト・上限・操作性(画面遷移の少なさ)で改善が同時に実現した例です。

乗り換え候補となる主要な電子契約・契約管理サービス

ここからは、乗り換え候補として検討したい主要な電子契約・契約管理サービスを紹介します。前節で握った乗り換え理由・選定観点に対応させながら読み進められるよう、料金体系・電帳法対応・実印相当署名・API連携・締結後管理の観点でまず一覧比較し、続いて個別に位置づけを解説します。

3タイプに分けて紹介します。乗り換え理由が「機能不足(締結後管理)」の場合は、電子契約サービスを丸ごと替えるのではなく、既存の電子契約は残しつつ契約管理サービスを追加する運用も有効です。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサインCLOUD LEGALマネーフォワード クラウド契約freeeサインWAN-SignHubbleHubble mini法務オートメーション「OLGA」LAWGUE
サービス種別電子契約電子契約法務BPaaS(AI+弁護士)電子契約+契約管理電子契約電子契約+契約管理契約管理(CLM)契約管理(締結後特化)法務プラットフォーム契約書作成・レビュー支援
月額料金目安無料〜11,000円/月〜(Light・税抜)無料〜8,800円/月〜(ライト年間契約・税抜)11,000円/月〜(ブロンズ・税込)2,480円/月〜(ひとり法人プラン・年払い・税抜)
※クラウド契約単体の料金は要問い合わせ
無料〜5,980円/月〜(Starter年払い実質・税抜)0円〜(基本プラン・従量課金型)要お問い合わせ60,000円/月〜(第三者掲載値・公式は要お問い合わせ)要お問い合わせ要お問い合わせ
無料プランあり(月2件・1ユーザー)あり(月5件・1ユーザー・立会人型のみ)なしなし(無料トライアルあり)あり(月1通・3ユーザー・立会人型のみ)あり(基本プラン。当事者型3件/月+立会人型10件/月)あり(3アカウント・30ドキュメント)なしなしなし(短期トライアルあり)
実印相当署名(当事者型)マイナンバーカード署名で対応実印タイプ/ハイブリッド署名可要お問い合わせ×立会人型のみ有料プランで対応(200円/通・税抜)実印版/ハイブリッド署名可×電子契約サービス(クラウドサイン/GMOサイン等)と連携×電子契約サービス(クラウドサイン/GMOサイン等)と連携×電子契約サービスと連携(電子署名はオプション)×電子契約サービス(クラウドサイン等)と連携
電子帳簿保存法対応認定タイムスタンプ標準付与JIIMA認証(契約印&実印プラン向け)要お問い合わせクラウドBox自動保存で対応改正電帳法に対応JIIMA認証(3保存方法すべて)JIIMA認証取得JIIMA認証取得(電子取引ソフト・電帳法スキャナ保存ソフトの2種)要お問い合わせ要お問い合わせ
締結後の契約管理AI契約書管理を標準搭載/別サービス「カンリ」で拡張文書検索・契約更新通知・スキャン文書管理標準搭載(高度な締結・原本管理はWAN-Sign連携)一元管理・更新期限アラート・全文検索フォルダ管理・全文検索電子契約+書面契約+他社締結PDFを一元管理/紙原本保管と連携台帳(AI自動抽出)・更新期限アラート・全文検索台帳の自動作成・更新期限アラート・全文検索台帳自動生成・更新期限アラート・全文検索ステータス管理・全文検索(台帳・更新期限アラートは限定的)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインのウェブサイト

弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。導入企業数は250万社を超え、法務・営業・人事など幅広い部門で採用されています。事業者署名型(立会人型)を主軸に、月2件までのフリープランで実際の締結フローを試せるため、乗り換え検証にも向いています。

電子帳簿保存法の要件対応・タイムスタンプの付与・書類の無期限保存に加え、サーバー上のデータは残る旨がヘルプに明記されているものの、エンタープライズプランでは解約時にアカウント削除でアクセス経路が失われます。プラン別の運用差異に注意が必要です。

締結後管理のオプション(クラウドサイン カンリ・レビュー)で契約管理レイヤーまで拡張できます。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインのウェブサイト

導入企業数350万社以上、上場企業の82%が利用する電子契約サービスです(2026年6月末時点、公式サイト表示)。事業者署名型(立会人型)と当事者署名型(実印相当署名)のハイブリッド運用に単体で対応し、乗り換え理由が「実印相当署名にも対応したい」「電子帳簿保存法(JIIMA認証)への対応を強化したい」層に単独でフィットします。

スキャン文書管理により、紙で保管している既存契約書の取り込みまで含めた一元管理も可能です。

料金は事業者署名型で1件100円台からの従量プランを持ち、締結件数の変動が大きい企業でも月次の予算が読める設計です。ただし解約時のデータ扱いは公式ヘルプで「解約後は、保管データは弊社サーバー上から消去されます」と明記されており、事前のPDFダウンロードが必須の運用となる点は、乗り換え時に留意する項目です。

CLOUD LEGALのウェブサイト

MOLTON株式会社が提供する、電子契約・AI契約レビュー・弁護士等のスケール体制(BPaaS)を統合した法務プラットフォームです。ALSP(Alternative Legal Service Provider)として、契約書のドラフト作成・レビュー・締結・管理までを一体で担える設計となっています。

乗り換えの動機が「法務リソースの慢性的不足」「AIレビューを組み込みたい」「契約書チェックを外部リソースで補いたい」といった、単なるサービス替えでは解決しない課題を含む場合に有効です。電子契約・AIレビュー・弁護士サポートを一体で扱える構成となっています。

乗り換え時に気になる導入負荷と立ち上げ期間について、提供会社は次のように説明しています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO
金沢由樹氏
独自インタビューより

当社の「クラウドリーガル」は、多機能化されたリーガルテック・SaaSのように大掛かりな導入支援は不要です。すぐに利用開始できる短期導入のサービス設計になっています。エンタープライズの場合は、前提仕様の確認など調整事項も出てきますが、それでも最長で約2ヶ月を目安に立ち上げています。

4. マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド契約のウェブサイト

マネーフォワードクラウド(会計・請求書・給与・経費など)と同一アカウントで連携する電子契約+契約書管理サービスです。バックオフィスSaaS群との一体運用に強みを持ち、他社サービスで締結済みの契約書もアップロードして一元管理できます。

会計側との契約情報の突合、請求書側との取引先マスタの統合が同一アカウント内で完結するため、乗り換え後の運用でバックオフィス全体の入力工数を継続的に減らせます。事業者署名型を主軸に、電子帳簿保存法対応も担保されています。

5. freeeサイン(フリー株式会社)

freeeサインのウェブサイト

freee会計・freee人事労務など、freeeエコシステムと同一アカウントで運用する電子契約サービスです。有料プラン(Standard・Business・Enterprise)では、freeeバックオフィス群との深い連携・電子帳簿保存法の要件対応・当事者署名型オプションによる実印相当署名まで利用できます。

freeeで会計・人事労務を運用しており契約もfreeeに寄せたい組織に適しています。個人事業主・中小企業向けには無料プランも用意され、コスト面での移行選択肢としても機能します。

取引先はアカウント登録なしで署名でき、モバイルにも対応します。フォーム型テンプレートで頻出契約書の作成を自動化できる点は、契約書量の多い部門で作業効率が上がる要素です。

6. WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

WAN-Signのウェブサイト

紙原本の保管サービスを長年提供してきたNXワンビシアーカイブズが運営する、電子契約と紙原本保管を一元管理できるサービスです。事業者署名型と当事者署名型のハイブリッドに対応し、金融機関・官公庁・医療・製薬など、内部統制・情報セキュリティ要件が高い業界での導入実績があります。

電子契約だけでなく既存の紙契約書も含めて全社の契約管理を一元化したい組織向けの構成です。電子契約と紙原本保管をワンストップで扱える点で、紙原本の物理保管の運用ノウハウを継承できます。

7. Hubble(株式会社Hubble)

Hubbleのウェブサイト

契約書のライフサイクル全体(作成〜レビュー〜交渉〜締結〜締結後管理)を一気通貫で管理する、契約ライフサイクル管理(CLM)システムです。Word・Slack・Teamsといった日常業務ツールと直結し、契約書のバージョン管理・コメント・承認プロセスを日々の作業の延長で行えるため、法務と事業部門の分断が起きにくい設計です。

電子契約サービス(クラウドサイン・GMOサインなど)との連携を前提とした構造のため、乗り換え理由が「今の電子契約は残しつつ、全社の契約業務基盤を刷新したい」型の場合、電子契約を替えずにHubbleを追加する運用も選択肢になります。

「全社の契約業務基盤を刷新したい」という乗り換え動機の背景で、実際にどのような課題感からの相談が多いかを、提供会社は次のように説明しています。

安田氏
株式会社Hubble Partner Sales Manager
安田氏
独自インタビューより

もっとも多いのは、「全社のガバナンスをきちんと統制したい」という、ある意味で概念的な理由です。これを少し噛み砕きますと、契約依頼の入り口の部分が、電話、メール、口頭などバラバラになっていて、誰が今どの案件を対応しているのか分からない、どんな契約書を誰が作っているのか把握できない、完成した契約書がどこに保管されているのかも人によってバラバラ、といったご状況が多いです。こうした課題に対して、入り口から出口まで一元的に管理したい、というのがご相談の中心になります。

8. Hubble mini(株式会社Hubble)

Hubble miniのウェブサイト

Hubbleの締結後管理レイヤーに特化したサービスです。AIによる台帳自動作成・全文検索・期限アラート・タグ管理を中心に据えており、乗り換え理由が「今の電子契約サービスは機能的には問題ないが、締結後の管理機能が弱くて更新期限を見逃す」場合の追加レイヤーとして機能します。

既存の電子契約サービスをそのまま残し、締結後の契約書を Hubble miniに集約する運用にすれば、乗り換え自体を最小化しつつ管理レイヤーだけを強化できます。全面切替のコストとリスクを避けたい場合の選択肢です。

締結後の管理から段階的に整えていく入り方について、提供会社は次のように説明しています。

安田氏
株式会社Hubble Partner Sales Manager
安田氏
独自インタビューより

成功パターンとしては、契約書の件数が多くて単純に作業時間を短縮したい企業様はもちろんですが、特定の法務担当の方の業務に台帳管理が依存していて属人化している、ナレッジを社内に展開したい、というところからご導入いただくケースもあります。まずは出口の部分から自動化を始めて、現場の効果を実感いただいてから、契約業務全体の最適化に広げていく、という入り方がしやすいプロダクトです。

9. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーションOLGAのウェブサイト

AI契約レビューと締結後管理、外部システム連携を統合した法務オートメーションプラットフォームです。契約書のレビュー段階で条項の抜け・修正案を提示するAI機能と、締結後の台帳・全文検索を一体で運用できる設計となっています。

「AIレビューと契約管理を一体で運用したい」「法務のリソース不足に、レビュー段階から支援を組み込みたい」といったニーズに対応できるのが特徴です。Hubble miniが管理特化なのに対し、OLGAはレビュー支援の範囲まで踏み込む点で役割が異なります。

乗り換え後の運用で既存業務システムとの連携がどのように効いてくるかについて、提供会社は次のように説明しています。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

今までのリソースをそのまま使えますし、現場の方がFAQのような形で知見を直接体感できる仕組みになっています。営業部門であれば、SalesforceなどのSFA・CRMと公式連携しているリーガルテックサービスは数少ないので、そこも決め手になっています。

10. LAWGUE(ローグ)(FRAIM株式会社)

LAWGUEのウェブサイト

契約書の作成・編集・レビュー・バージョン差分管理をAIで支えるドキュメントワークスペースです。締結前段階(ドラフト作成〜社内レビュー〜取引先との交渉)の効率化に軸足があり、締結ステップは既存の電子契約サービスと連携する使い方が想定されています。

電子契約サービスの締結機能自体には不満がないものの、締結手前のドラフト・レビュー・差分管理でExcel・Wordの手作業が残っている組織で、上流工程の刷新を重視する場合の選択肢となります。電子契約の乗り換えとは別軸で検討する価値があります。

本記事の10社よりさらに広い母集団で比較したい場合は、以下の記事で詳しく比較しています。

まとめ|乗り換えの要点

電子契約サービスの乗り換えを成功させる要点は、次の4点に集約されます。

  • 時系列で設計する:契約期間・解約通知期限を起点に、切替日から逆算して並行運用・移行作業・選定を積み上げる。抽象論より順序が命。
  • 保管契約書は解約前に必ずダウンロードする:サービスごとに解約時のデータ扱いが真逆(消去/無期限保存)で、いずれにせよ自社にPDFとメタデータを持つのが安全策。
  • 法的有効性は3層で押さえる:民法(契約の有効性)+電子署名法第3条(証拠力の推定)+電子帳簿保存法第7条・問24(保存義務・検索機能)を切り分けて判断する。
  • 自社の乗り換え理由に対応する観点を優先する:コスト・機能・電帳法対応・操作性・サポートのどれが最重要かを言語化し、選定観点の重みづけをぶらさない。

乗り換え候補の絞り込みが進んだら、複数社の資料請求で費用感と機能の詳細を並べて比較するのが次の一歩です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 電子契約の「当事者署名型」と「事業者署名型(立会人型)」は何が違いますか?

A. 契約当事者本人の電子証明書で署名するのが当事者署名型、電子契約サービスの事業者が当事者の指示に基づき自社の署名鍵で署名するのが事業者署名型(立会人型)です。当事者署名型は各当事者が電子証明書を用意するため実印相当の証拠力を確保しやすく、不動産取引・金融取引・官公庁向けなどで求められます。

一方の事業者署名型はメールアドレス・SMS認証で本人性を確認するため導入と運用のハードルが低く、現在の電子契約サービスの多くが採用しています。総務省・法務省・経済産業省・デジタル庁の三省Q&Aで、事業者署名型についても利用者との認証プロセスや事業者内部の鍵管理が要件を満たせば電子署名法第3条の推定効が及ぶことが公的に整理されています。

乗り換え候補が両方のハイブリッド運用に対応しているかは、扱う契約の種類によって重要な選定軸になります。

Q. 電子契約サービスを解約すると、これまで締結した契約書はどのくらいの期間取り出せますか?

A. 保管期間はサービスによって真逆で、電子印鑑GMOサインは解約後にサーバー上のデータが消去され、クラウドサインは書類ファイルが無期限に保存されるなど、扱いが大きく分かれます。ただしクラウドサインでもエンタープライズプランでは解約時にアカウントが削除されアクセス経路が失われるため、いずれのサービスでも「解約前に必ず自社にPDFとメタデータを全件ダウンロードしておく」のが安全策です。

電子帳簿保存法上の保存義務は保存義務者(=自社)に課されており、サービス側の保管ポリシーに関わらず、自社側で保存先を確保する必要があります。

Q. 電子契約サービスの乗り換えで二重支払いを避けるにはどうすればよいですか?

A. 現行サービスの年払い更新月を切替日に合わせ、解約通知期限(30日前・60日前・3か月前など)から逆算して解約通知を出すのが基本です。年払いプランの場合、更新月を1日でもまたぐと丸1年分の追加費用が発生するため、更新月をまたぐ月に切替日を寄せると二重支払い期間を最小化できます。

自動更新条項の停止操作を忘れると気づかないうちに次年度分が発生するため、解約手続きでは更新の自動発生を止めるオペレーションもあわせて確認します。並行運用期間中は新旧2サービスの費用が重なる期間が数週間発生する点も、予算立ての際に見込んでおきます。

Q. 電子契約サービスの乗り換え時、並行運用期間はどのくらい確保すべきですか?

A. 数週間程度を目安に、契約締結案件が集中しない時期に合わせて設定するのが実務的です。並行運用期間を設けずに一気に切替を行うと、切替直後に締結業務が停止し、取引先へ「今日中に返送予定でしたが1週間ずれます」と連絡することになりかねません。一方で長く取りすぎると新旧2サービスの二重運用で現場の負荷が増すため、月次の締結件数と業務ピークを見て設計します。

並行運用中は新規締結を新サービスに寄せつつ、旧サービスは受信済み案件の対応と閲覧のために稼働を残し、切替後1〜2週間は旧サービスにもログインして未処理案件が残っていないかを確認します。

Q. 電子契約サービスを乗り換えるとき、電子帳簿保存法の要件はどう引き継げばよいですか?

A. ①旧サービスの検索機能を残す、②新サービスに一括アップロードし直す、③自社ストレージにダウンロードして自社側で検索インデックスを整える、のいずれかを組み合わせるのが実務的な選択肢です。

国税庁の一問一答(電子取引関係)問24で、変更前のシステムを用いること等により検索機能が確保されているのであれば、現在使用しているシステムで検索できなくても差し支えないと明示されています。いずれのルートでも、保存すべき電磁的記録の同一性を確認できる仕組みを残すことが共通の要件です。

新サービス側でタイムスタンプ・訂正削除の履歴・検索機能が担保されているかは、契約前に公式ドキュメントで確認しておきます。JIIMA認証を取得している製品は電子帳簿保存法の要件準拠が第三者機関で確認されており、税務対応の説明工数を減らせます。

Q. 電子契約サービスを乗り換えると取引先に手続きの負担はかかりますか?

A. 取引先には署名依頼メールの送信元ドメイン・アドレスの変更を事前に共有する程度で、多くのサービスでは追加のアカウント登録は不要のため、実質的な手続き負担はほぼ発生しません。ただし新サービスの送信元ドメインが取引先のメールフィルタで迷惑メール判定されると署名依頼が届かないため、切替日の前に取引先の情シス・営業窓口へ送信元情報を共有し、必要に応じてホワイトリスト登録を依頼しておきます。

海外取引先向けには多言語UIの有無、モバイルからの操作性も選定時に確認しておくと、切替後の締結完了率が下がりません。取引先側の操作でつまずくと自社の営業・法務が個別サポートに時間を取られるため、乗り換え先を評価するトライアル段階で「取引先目線の受信〜署名フロー」を実際に流してみるのが確実です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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