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コンプライアンスチェックとは?反社チェックとの違い・実施手順・情報収集5手段・ツールの選び方までわかりやすく解説

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新規取引先の契約前、あるいは既存の取引先を定期的に見直す場面で、「コンプライアンスチェックを実施する」よう社内から求められたものの、具体的に何をどこまで調べればよいか自信が持てないことはないでしょうか。反社会的勢力とのつながりや過去の法令違反・不祥事の有無を、限られた情報源から漏れなく拾い、証跡として残さなければならず、担当者の負担は少なくありません。

取引先のコンプライアンスチェックは、暴力団排除条例が全都道府県で施行されたことや、金融庁が反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みを求めていることなどを背景に、業種や規模を問わず実務で欠かせない業務になりつつあります。ただし、根拠となる法令の位置づけや反社チェックとの違い、実施手順の標準形については、社内で共通認識を作る前に検索でつまずくケースが多く見られます。

本記事では、取引先のコンプライアンスチェックを主軸に、定義(反社チェックとの関係を含む)・法的な位置づけ・実施手順・情報収集の5手段・ツール選定までを整理します。取引先を軸としますが、採用候補・株主・M&A対象など他の対象にも共通する型として使える構成です。

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コンプライアンスチェックとは

コンプライアンスチェックとは、取引先・採用候補・株主などが、反社会的勢力とのつながりや、過去の法令違反・行政処分・不祥事に関わっていないかを、取引開始前と継続中に事前・定期的に確認する業務を指します。会社名・代表者・役員などの属性情報と、暴力団・逮捕・行政処分などのネガティブワードを掛け合わせ、新聞記事データベースや反社情報データベース、公表資料から該当情報の有無を照合するのが基本の進め方です。

取引開始前の初回チェックだけでなく、既存取引先を年1回〜数年に1回の頻度で見直す「継続モニタリング」もコンプライアンスチェックの一部です。契約書に反社排除条項を組み込み、判明した場合には契約解除できるようにしておくところまでを含めるのが、実務の一般的な範囲です。

反社チェックとの関係

実務で「コンプライアンスチェック」と「反社チェック」は同じ意味で使われることが多いですが、厳密にはコンプライアンスチェックは反社チェックを含むより広い概念です。両者の包含関係は次のとおりです。

  • 反社チェック:取引先・関係者が反社会的勢力(暴力団・フロント企業等)に該当・関与しないかの確認
  • コンプライアンスチェック:上記に加えて、過去の法令違反・行政処分・重大な不祥事・訴訟履歴など、企業のコンプライアンス上のリスクを広く確認する業務(反社チェックを内包)

次章「与信チェックとの違い」の対比表では、コンプラチェック・反社チェック・与信チェックの3者を並べて位置関係を整理しています。反社会的勢力の定義について、法務省が公表する「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(犯罪対策閣僚会議幹事会 2007年6月)は次のように整理しています。

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|犯罪対策閣僚会議幹事会(2007年6月)
https://www.moj.go.jp/content/000061957.pdf

反社会的勢力に該当するかどうかは、暴力団・総会屋といった「属性」だけでなく、不当要求などの「行為」からも判断するのが指針の考え方です。コンプライアンスチェックは、この属性・行為のいずれについても、公表情報や独自データベースを使って照合していく業務と位置づけられます。

与信チェックとの違い(コンプラ・反社・与信の3者関係)

コンプライアンスチェックと混同されがちなのが与信チェックですが、両者は目的も見る観点も異なります。同じ「取引先を事前に調べる業務」でも、コンプライアンスチェックは法令・社会規範への遵守状況を、与信チェックは支払能力・財務健全性を確認する業務です。反社チェック(コンプライアンスチェックの中核)と与信チェックを含めた3者の関係を、対比表で整理します。

比較軸コンプライアンスチェック反社チェック(コンプラの中核)与信チェック
主な目的反社会的勢力・法令違反・不祥事との関与を排除する反社会的勢力との関係を排除する取引先の支払能力・倒産リスクを見極める
確認する対象会社・代表者・役員・株主の属性と行為(反社関与、行政処分歴、不祥事など)会社・代表者・役員・株主の反社会的勢力への該当・関与財務状況、決算内容、支払遅延履歴、業界動向
主な情報源新聞記事DB、反社情報DB、公表資料、業界団体リスト反社情報DB、警察・暴追センターへの相談、新聞記事DB信用調査会社の企業レポート、決算書、商業登記、支払履歴
判断のタイミング取引開始前+定期モニタリング(年1回〜数年に1回)コンプラチェックの一部として実施取引開始前+与信限度額の更新時

実務では、両者を並行して実施し、コンプライアンス面と与信面の双方から取引可否を判断するケースが一般的です。信用調査会社のレポートには、反社チェックの一部項目(重大な行政処分・訴訟履歴など)が含まれることもありますが、反社データベースそのものは信用調査の主目的ではないため、コンプライアンスチェックの代替にはなりません。

コンプライアンスチェックが必要な理由

取引先のコンプライアンスチェックが実務で求められる背景には、次の4つの根拠があります。暴力団排除条例(全都道府県で施行)、法務省の指針、金融庁の推進通知、東証の上場審査基準です。導入判断の説明では、これらを条例名・指針名・発表主体・発表日レベルで押さえておくと、意思決定者との合意形成がしやすくなります。

暴力団排除条例(2011年10月までに全47都道府県で施行完了)

暴力団排除条例は、東京都と沖縄県が2011年10月1日に施行したことをもって、全47都道府県で施行が完了しました。条例は事業者に対し、契約時に相手方が暴力団関係者でないことを確認する努力義務を課し、契約書に暴力団排除条項(無催告解除条項)を盛り込むよう求めています。罰則付きの義務ではないものの、条例違反時は公安委員会からの勧告・公表の対象となり、金融機関や取引先からの信用低下の要因になります。

(事業者の契約時における措置)
第十八条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。

東京都暴力団排除条例 第18条(平成23年3月18日 東京都条例第54号)
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004199.html

他の都道府県の条例もおおむね同様の枠組みを採用しており、契約時の相手方確認と契約書への反社排除条項の盛り込みが、事業者共通の実務課題として設計されています。条例の努力義務であっても、契約実務のスタンダードとして根づいてきたのが実態です。

法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(2007年6月)

法務省が公表している「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(策定は犯罪対策閣僚会議幹事会、2007年6月19日)は、企業が反社会的勢力から被害を受けないための行動指針として、次の5つの基本原則を示しています。

反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
○ 組織としての対応
○ 外部専門機関との連携
○ 取引を含めた一切の関係遮断
○ 有事における民事と刑事の法的対応
○ 裏取引や資金提供の禁止

企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|犯罪対策閣僚会議幹事会(2007年6月19日)
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html

指針は「取引を含めた一切の関係遮断」を基本原則の一つに掲げており、コンプライアンスチェックの実施は、この関係遮断を担保するための入口の実務と位置づけられます。指針の解説文書では、警察・暴力追放運動推進センター(暴追センター)などの外部専門機関との連携方法や、反社会的勢力に関する個人情報の取り扱いについての整理も示されています。

金融庁「反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について」(2013年12月)

金融庁は2013年12月26日、金融機関に対して反社会的勢力との関係遮断を強化するよう求める報道発表資料「反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について」を公表しました。これを受けて2014年には金融庁の監督指針が改正され、反社対応の実務基準がより明確化されています。

金融庁及び各金融機関・業界団体は、反社会的勢力との関係遮断の実効性を高めるため、関係省庁及び関係団体とも連携し、下記の取組みを推進する
1. 入口段階(暴力団排除条項の徹底、反社データベース充実、提携ローンの反社チェック強化、警察庁データベース接続の加速化)
2. 中間管理(事後的な反社チェック態勢の強化、内部管理態勢の徹底)
3. 出口段階(反社との取引解消の推進、特定回収困難債権買取制度の活用)

反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について|金融庁(2013年12月26日)
https://www.fsa.go.jp/news/25/20131226-2.html

直接の適用は金融機関ですが、警察庁データベースとの接続や反社データベースの整備といった枠組みは、その後の民間反社チェックツールの提供にも影響しています。金融機関以外の事業者にとっても、金融業界の実務水準が業界標準を先導する形で大企業・上場企業の取引先要件に波及することから、金融庁の姿勢を把握しておくと自社の対応方針を検討する材料になります。

東証「有価証券上場規程」における反社関与の排除

東京証券取引所は2008年2月4日、上場審査と有価証券上場規程を改正し、反社会的勢力の排除を上場審査の観点として明確化しました。現行の企業行動規範第14条は「上場会社は反社会的勢力の関与を受けているものとして本所が定める関係を有しない」と定め、第22条では反社排除に向けた社内体制の整備が努力義務として求められています(本則市場 Prime/Standard/Growth 共通)。

(反社会的勢力の排除)
第14条 上場会社は,上場会社が反社会的勢力の関与を受けているものとして本所が定める関係を有しないものとする。
(反社会的勢力排除に向けた体制整備)
第22条 上場会社は,反社会的勢力による被害を防止するための社内体制の整備及び個々の企業行動に対する反社会的勢力の介入防止に努めるものとする。

有価証券上場規程 企業行動規範 第14条・第22条|東京証券取引所
https://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/regulations/tvdivq0000001w6i-att/b7gje6000003ke6s.pdf

本則市場の上場審査に関する詳細な基準は「上場審査等に関するガイドライン」で示されており、こちらは公開度が限定されています。同趣旨の実質基準を公開資料で確認できる経路として、TOKYO PRO Market 上場ガイドブックの特例第113条(5)が参考になります(下記は TOKYO PRO Market の特例の逐語で、本則市場も同様の実質基準で運用されています)。

(5)反社会的勢力との関係を有しないことその他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項
 新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。

TOKYO PRO Market 上場ガイドブック 特例第113条(5)|東京証券取引所
https://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/listing/tvdivq0000007z5r-att/tvdivq000000ucs8.pdf

新規上場申請時には、「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出も求められます。IPO準備企業は、上場審査に向けて過去数年分の取引先について反社関与のチェック体制と証跡整備を進めておくのが実務の流れです。

上場審査で求められる反社チェックの体制・対象範囲・確認書の水準は、日常の取引先チェックとは前提が異なります。IPO準備で反社対応の整備を進める場合は、以下の記事で一般企業との違いや求められる体制・対象範囲・確認書の詳細を整理しています。

実施しない場合のリスク

コンプライアンスチェックを実施せず、結果として反社会的勢力や重大なコンプライアンス違反企業と取引を継続してしまった場合、次のような具体的リスクが生じます。導入判断の材料としても押さえておきたいポイントです。

  • 契約違反・無催告解除のリスク:取引先が反社関与と判明した場合、自社の契約書に反社排除条項が入っていても、そもそもの相手方確認を怠っていた責任を問われる可能性があります
  • 入札禁止のリスク:官公庁・自治体の入札では、反社チェック体制の整備が入札参加条件になっているケースが多く、体制不備が判明すると入札から排除されます
  • 金融機関との取引停止リスク:金融機関は反社関係企業との取引を解消する義務があり、自社の取引先に反社関係が判明した場合、自社と金融機関との融資・預金取引にも波及するリスクがあります
  • 監督官庁からの行政処分:金融機関・保険会社・宅建業者など業法対象事業者では、反社関与を含む顧客管理体制の不備が業務改善命令・業務停止命令の対象になります
  • 上場廃止・管理銘柄指定のリスク:上場会社が反社関与を放置した場合、東証の管理銘柄指定や上場廃止の対象になり得ます(有価証券上場規程 企業行動規範第14条・第22条の遵守事項違反)。IPO準備企業では上場審査で反社対応の実態が問われ、体制不備は上場不承認の要因になります
  • 信用毀損・レピュテーションリスク:報道・SNSで反社関与が拡散した場合、既存取引先からの取引停止・株価下落・採用への影響など、事業全般に波及します

コンプライアンスチェックの対象と実施タイミング

コンプライアンスチェックの対象は、取引先を主軸としつつ、業種・体制によっては採用候補者・株主・出資受け入れ先・M&A 対象企業にも広がります。「誰を・いつ調べるか」を対象別に整理すると、社内での役割分担や運用ルールの設計がしやすくなります。

対象実施タイミング主な根拠・実務背景
新規取引先契約締結前(相手方確認)暴排条例の努力義務、金融庁監督指針、各企業の内部規程
既存取引先年1回〜数年に1回の定期モニタリング/取引条件変更時継続取引中に反社化するリスクの検知、上場審査対応
採用候補者内定前のバックグラウンドチェック企業防衛・情報漏えい防止。実施範囲は法定ではなく企業判断
株主・出資者出資受け入れ前、大口取引開始前反社マネーの流入阻止、上場審査での資本政策確認
M&A 対象企業DD(デューデリジェンス)段階取得後の反社関係の承継リスクを事前確認

特に取引先については、新規契約前だけでなく、既存取引先の定期モニタリングを組み込むかどうかが実務設計の分かれ目になります(頻度の具体的な考え方は後述のステップ4で解説します)。

取引先本体だけでなく、代表者・役員・株主・関連会社をどこまで対象に含めるかで判断に迷う場合は、以下の記事で対象別のリスク優先度と実務での範囲設計を整理しています。

コンプライアンスチェックで何を調べるか

実際にコンプライアンスチェックを回すと、「対象の属性情報」と「ネガティブワード」を掛け合わせて情報源を検索するのが基本の型です。属性情報だけ、ネガティブワードだけでは絞り込めないため、掛け合わせで該当情報の有無を照合します。

確認する対象属性

  • 会社名(正式名称・略称・過去の商号)
  • 代表取締役の氏名
  • 役員・監査役の氏名(登記事項)
  • 主要株主・実質支配者の氏名(登記事項・株主名簿)
  • 本社所在地(同一住所での関連法人の有無を含む)

掛け合わせるネガティブワード

  • 反社会的勢力関連:暴力団、暴力団員、フロント企業、総会屋、共生者
  • 犯罪・訴訟関連:逮捕、起訴、有罪、送検、告発、詐欺、脱税、贈収賄
  • 行政処分関連:業務停止、業務改善命令、行政処分、業務改善指示
  • 不祥事関連:不祥事、隠蔽、粉飾、内部告発、コンプライアンス違反
  • マネロン・反社関与関連:マネーロンダリング、資金洗浄、反社関与

チェック結果は、取引可否の判断だけでなく、後日の監査や上場審査で「実施した証跡」として求められることもあります。検索結果のスクリーンショット・検索日時・使用した検索式などをセットで保存する運用が、実務の一般的な進め方です。

コンプライアンスチェックの実施手順

実施手順は、大きく「情報収集 → リスク評価 → 契約時の反社排除条項 → 継続モニタリング」の4ステップと、実務で失敗しがちなNG例に分けて整理できます。各ステップで扱う情報と判断の粒度が異なるため、社内で工程を分担する場合は、この4段階を基準に役割を割り振ると分かりやすくなります。

ステップ1: 情報収集(詳細は次章の5手段比較へ)

対象企業の属性情報(前章)とネガティブワードの掛け合わせで、複数の情報源から該当情報の有無を照合します。精度と網羅性を確保するには複数手段の組み合わせが基本で、具体的な手段は次章の5手段比較で解説します。

ステップ2: リスク評価の視点

情報収集で「該当情報あり(ヒット)」となった場合、次に判断するのは「本当に取引を止めるべきか」です。同姓同名の別人・過去の軽微な事象・すでに解決済みの案件など、ヒットしたからといって直ちに取引拒否につながらないケースもあります。以下の観点で1次スクリーニングと2次判定を分けるのが実務の一般的な設計です。

  • 時期:直近か過去か(10年前と直近1年では判断が変わる)
  • 属性関連度:対象企業本体か関連会社か、代表者本人か家族か
  • 事象の深刻度:反社関与そのものか、軽微な行政指導レベルか
  • 現在の状態:継続中の関係か、断絶が確認できているか

1次スクリーニングで自動的にNGとする基準(例:暴力団関与が確定的な場合)と、2次で法務・コンプライアンス部門に上げて判断する基準を、事前に社内規程として定めておくと、担当者ごとに判断が揺らぐのを防げます。

ステップ3: 契約時の反社排除条項

取引を継続すると判断した場合でも、契約書に反社排除条項を盛り込んでおくことで、契約後に反社関与が判明した場合の無催告解除を可能にしておきます。全国銀行協会(全銀協)が公表している「銀行取引約定書に盛り込む暴力団排除条項参考例」は、業界を問わず広く参照されているモデル条項です。

第○条(反社会的勢力の排除)
① 私または保証人は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、および次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約いたします。

銀行取引約定書に盛り込む暴力団排除条項参考例(2023年6月改正)|全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news230602_1.pdf

参考例は銀行取引を想定していますが、条項の骨格(属性要件・行為要件・表明保証・無催告解除・買戻・免責)は、一般の商取引契約の暴排条項ひな型として広く踏襲されています。2023年6月の改正で「暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者」を条項に明記するなどの見直しが加えられており、既存契約書のひな型を最新版に更新しておくことが、実務上の管理ポイントの一つです。

自社の契約書・誓約書に反社排除条項をゼロから起こす場合は、以下の記事で契約書・誓約書のひな形と、必須要素(属性要件・行為要件・表明保証・無催告解除など)の具体的な書き方を解説しています。

ステップ4: 継続モニタリング

取引開始時のチェックだけでは、契約後に取引先が反社関係化した場合や、代表者交代・株主交代でリスクプロファイルが変わった場合を検知できません。既存取引先に対する定期モニタリングを、年1回・半年に1回など自社のリスク許容度に応じて設定します。金融庁の推進通知は、金融機関に対して「中間管理」段階での事後的な反社チェック態勢の強化を求めています。

モニタリングの頻度は法定ではなく、業種・取引金額・取引継続期間・過去のヒット状況を踏まえて自社で決めます。取引金額の大きい主要取引先は年1回、それ以下は数年に1回、といった段階的な設計が一般的です。

初回・定期・随時それぞれのタイミングをどの粒度で設計するか、業種・取引金額別の具体的な目安を確認したい場合は、以下の記事で実務での回し方を整理しています。

モニタリングを機能させる仕組み(契約設計と社内共有)

定期モニタリングは頻度を決めるだけでは十分ではなく、次回のチェックを待たずに取引先の変化を早期に把握できる仕組みを持たせるかどうかで実務の質が変わります。契約設計と社内の情報共有の2点で、変化検知の導線を作っておくのが実務の要点です。弁護士の阿部由羅氏は、この点について次のように述べています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

代表者・役員・株主・所在地などの変更については、契約において直ちに通知することを相手方に義務付けましょう。また、相手方に直接対応する営業担当者などが違和感を覚えたときは、すぐに法務部門やコンプライアンス部門などへ共有できる仕組みを整えることも重要です。

実務で失敗しがちなNG例

コンプライアンスチェックの運用でつまずきやすいのは、次のようなパターンです。導入直後に見落としがちな論点として、業務設計の段階で潰しておきたいポイントです。

  • 対象範囲の抜け:新規取引先だけチェックし、既存取引先の継続モニタリングを組み込まない
  • 証跡未保存:検索したものの、いつ・誰が・どの検索式で調べたかの証跡を残していない(監査・上場審査で「実施の事実」を示せない)
  • ヒット時の対応遅れ:ネガティブ情報がヒットしたのに、社内で判定基準が決まっていないため取引可否の結論が出せず、案件が塩漬けになる
  • 役員・株主のチェック漏れ:会社名だけ検索し、代表者・役員・主要株主の氏名を掛け合わせていない
  • 属性表記のゆらぎ:正式名称と略称、旧商号・現商号の両方で検索していない

証跡未保存を防ぐには、1件のチェックに対して次の項目を1レコードにまとめて保存する運用が実務の標準です。表計算ソフトや自動化ツールのエクスポート機能で、後日の監査・上場審査に耐える形にまとめておきます。

  • 対象社名(正式名称・略称・旧商号)/対象者名(代表者・役員・株主)
  • 検索日時・検索者名
  • 使用した情報源(Google/新聞記事DB名/自動化ツール名/信用調査会社名)と検索式
  • ヒット件数(ゼロなら「該当なし」で確定)
  • ヒット時の根拠となる記事URL・記事日付・記事媒体
  • 判定結果(取引可・要検討・取引不可)と判定者・判定日

情報収集の5手段の比較

コンプライアンスチェックで使える情報収集手段は、大きく5つに整理できます。費用・精度・網羅性・始めやすさが手段ごとに大きく異なり、自社の取引件数と体制に合わせて組み合わせるのが基本的な設計です。

手段費用精度網羅性始めやすさ向く企業規模代表サービス例
インターネット検索無料低(同姓同名・情報の真偽の判断が必要)低(検索エンジンにヒットしないネガティブ情報も多い)取引件数が少ない小規模事業者の初期対応Google/Yahoo!検索
新聞記事データベース月額数千〜数万円+従量課金中〜高(一次報道に基づく事実確認)中(新聞掲載されない事象は拾えない)中(アカウント契約と検索式の設計が必要)中小〜中堅企業日経テレコン、G-Search 記事データベース
業界団体・公的機関リスト照会会員費または照会都度の実費高(該当情報の信頼性は高い)低(リスト掲載企業に限定)中(照会条件・手続きの整備が必要)暴追センターは業種問わず/警察庁DB接続は金融機関等に限定各都道府県 暴力追放運動推進センター(暴追センター、業種問わず相談可)、警察庁データベース(金融機関等向け)
自動化ツール(SaaS)月額数千〜数万円+従量中〜高(複数DBの統合検索・AI要約)中〜高(新聞DB・独自DB・海外DB等を統合)高(アカウント発行後は画面操作で完結)中小〜大企業まで幅広くRoboRobo コンプライアンスチェック、RISK EYES、RiskAnalyze など
信用調査会社(人手調査)1件数万〜十数万円高(人手による現地調査・関係者ヒアリング)高(登記・報道・独自ソース・現地情報)低(依頼から報告まで数日〜数週間)大口取引・M&A DD 等の重要案件帝国データバンク、東京商工リサーチ

実務では、「日常のチェックは自動化ツールで回し、重要案件は信用調査会社に人手調査を依頼する」という組み合わせが多く見られます。インターネット検索だけに頼る運用は、証跡の残しにくさ・網羅性の限界から、監査・上場審査で実施の事実を説明しにくくなる点に注意が必要です。取引件数が月あたり数十件を超えるようなら、自動化ツールの導入を検討する目安になります。

ここまでの5手段はいずれも「会社名・代表者名でネガティブ情報を検索する」ことを中心にしています。大口取引や上場審査対応など重要度の高い案件では、名前検索だけでは背後の関係性を捉えきれないため、信用調査会社の人手調査や、自動化ツールの実質支配者検索機能を追加で使うのが実務の型です。阿部氏はこの点について、次のようにも指摘しています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。

出典・参考資料(1件)
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コンプライアンスチェックツールの選び方と主要サービス

ここからは、コンプライアンスチェックを自動化ツールで回す場合の選定軸と、主要サービスを紹介します。自動化ツールは月額数千円〜数万円で導入でき、証跡保存や複数DBの統合検索など、手作業では時間のかかる作業を効率化できるのが特徴です。

ツール選定の主な観点

コンプライアンスチェックツールを比較する際は、次の観点で自社の要件に合うかを確認します。

  • 調査範囲:新聞記事DBのみか、独自の反社情報DB・Webサイト・海外DB・行政処分公表など複数ソースを統合しているか
  • 料金体系:月額固定型・従量課金型・件数プラン型のどれか。自社の年間チェック件数で総額を試算しやすいか
  • AI・自動化機能:生成AIによる記事要約・注目度判定・スコア化など、担当者の判定作業を軽減する機能があるか
  • 海外対応:海外取引先や海外役員のスクリーニングが必要な場合、グローバル制裁リスト・PEPsリスト(政治的地位のある人物およびその関係者リスト)への対応があるか
  • 証跡保存・監査対応:検索履歴・結果レポート・エビデンスの一元管理と、監査目的でのエクスポート機能があるか
  • 外部システム連携:Salesforce・kintone などのCRM・顧客管理システムと連携し、既存業務フローに組み込めるか

自社の取引先件数・業種・海外取引の有無で、必要となる調査範囲と料金体系の組み合わせが変わります。ここからは、上記の観点で意思決定候補になる主要サービスをスポット比較表で提示します。

主要なコンプライアンスチェックツールの比較

以下はご紹介するコンプライアンスチェックツールの比較表です。

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サービス名RISK EYESRiskAnalyzeRoboRobo コンプライアンスチェックGチェッカー日経リスク&コンプライアンスアラームボックス パワーサーチSP RISK SEARCH反社チェックヒートマップ
初期費用無料無料無料無料要問い合わせ無料要問い合わせ30,000円(税抜・入会費)
月額費用15,000円〜(税別)27,500円〜(ライトプラン)5,000円〜(ミニマムプラン)660円(税込・クレカ会員)要問い合わせ3,000円〜(ライトプラン・ポイント制)要問い合わせ(会員制)20,000円(税抜・システム利用料)
検索単価300円〜/検索(1媒体ごと)約116〜175円/件(プロプラン)250円〜/件(インターネット検索)165円/検索(最大50件・別途本文閲覧料)要問い合わせ500円〜/件(反社チェック・ワンコイン)要問い合わせ1,000円/件(e-与信ナビ取得時500円、いずれも税抜)
主な調査範囲WEB記事・新聞・ブログ/掲示板・制裁リスト・独自反社DBの5系統国内約1,000媒体+海外240以上の国・地域・PEPs/Sanctionインターネット・新聞・海外DB(約190カ国・約540万件)新聞・雑誌記事DB(約120紙誌・過去40年分)日経テレコン(1975年〜・50紙以上)+ダウ・ジョーンズWatchlist(400万件超)専門調査会社情報・新聞・WEB(約500万社DB・与信一体型)独自DB「QSS」(60万件)・新聞(1960年〜)・ネット風評・海外コンプライアンス500万社超の独自企業DB・新聞約50紙(過去10年分)
海外対応(日米制裁リスト)(240以上の国・地域)(約190カ国540万件)(別プラン)(Watchlist・PEPs・200以上の国/60以上の言語)×(PEPs・制裁リスト)×
AI・自動化機能(除外ワード自動抽出・懸念度ラベリング)(AI判定済みDB・自動レポート作成)(生成AI要約・AI注目度3段階判定)×(NLPでノイズ抑制)(AI+専任担当者)(表記ゆれ対応・年齢自動補正)(AI+スタッフ精査の2段階)
API連携(無料・Salesforce/kintone連携)(月20,000〜70,000円)(別プラン・要問い合わせ)(データフィード・API提供)(エンタープライズプランのみ)(要問い合わせ)(要問い合わせ)
無料トライアル(10件まで)(審査あり)(30日間)要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る詳細を見る詳細を見る公式資料を見る詳細を見る詳細を見る

本記事で扱った8サービス以外も含めて反社チェック/コンプライアンスチェックツールを幅広く比較したい場合は、以下の反社チェックツール16サービスの比較記事もあわせてご参照ください。データソース・料金・精度の観点でタイプ別に整理しています。

主要コンプライアンスチェックツールの個別紹介

ここからは、比較表の8サービスを個別に紹介します。8社を4系統に整理すると次のとおりです——特化SaaS型(RISK EYES・RiskAnalyze・RoboRobo)/新聞DB型(Gチェッカー・日経R&C)/独自DB・危機管理型(SP RISK SEARCH・反社チェックヒートマップ)/与信一体型(アラームボックス)。詳細を自社の運用条件に照らしてご活用ください。

1. RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

RISK EYES(リスクアイズ)のウェブサイト

WEB記事・新聞・独自のアンチソーシャルDBなど5系統の検索ソースを組み合わせたサービスで、ソーシャルワイヤー株式会社が提供しています。初期費用無料・最低月額15,000円(税別)・1検索300円と料金を公式公開しており、費用の見通しを立てやすい点が特徴です。累計1,000社以上の導入実績があり、公式トップは「サービス提供後 株式公開59社(2026年4月時点)」と掲示しています。

AIによるノイズ除去・ネガティブ度合いの自動スコアリング・複数対象の一括検索など、担当者の判定作業を軽減する機能を搭載しています。カスタマイズプランではAPI連携・海外DBオプションにも対応可能です。

2. RiskAnalyze(KYCコンサルティング株式会社)

RiskAnalyze(リスクアナライズ)のウェブサイト

個人名・企業名から反社・逮捕歴・行政処分・訴訟・風評情報をレポート形式で出力するAI型のWEBサービスで、KYCコンサルティング株式会社が運営しています。累計1,300社超(2025年6月時点)の導入実績があり、月額27,500円〜のプラン設定を公式公開。Salesforce・kintone との API 連携もあり、既存の顧客管理システムに接続してチェック業務を自動化しやすい構成です。

1回の検索で最大1,000件を1分程度で一括処理でき、大量の取引先スクリーニングを短時間で回したい企業の意思決定候補になります。生成AIによる記事要約・リスクスコア化機能もあり、判定作業の一次スクリーニングを担わせやすい設計です。

3. RoboRobo コンプライアンスチェック(オープン株式会社)

RoboRoboコンプライアンスチェックのウェブサイト

AI×自動化を訴求するコンプライアンスチェックサービスとして、オープン株式会社が提供しています。生成AIによる記事要約・AI注目度による3段階自動選別・約190カ国540万件の海外データベース検索など、機能面での訴求が具体的な点が特徴です。100件のチェック作業時間を最大98%短縮したという運用効果を公表しており、IPO準備企業への導入も進んでいます。

Google検索・新聞記事の両方を同時検索でき、担当者ごとにばらつきの出やすい検索式を統一できるのが実務上のメリットです。料金は月額5,000円のミニマムプランから始まり、対応件数・機能範囲に応じた上位プランは要問い合わせです。

取引件数が増えたときに手作業のチェックがどこまで膨らむか、また自動化でどの程度の運用転換が起きるかについて、提供元のオープン株式会社は次のように述べています。

関根氏
オープン株式会社 RoboRobo事業部 マーケティング部 部長
関根氏
独自インタビューより

たとえばシステム会社では、毎日数十件から多い時には100件のチェック業務が発生しますが、人手で行うと1件あたり1分として100分以上かかります。自動化によって怪しい情報が出た時だけ担当者が確認するという運用に切り替えることで、大幅な工数削減を実現しています。

4. Gチェッカー(株式会社ジー・サーチ/富士通グループ)

Gチェッカーのウェブサイト

新聞・雑誌記事データベースを基盤としたコンプライアンスチェックサービスで、富士通グループの株式会社ジー・サーチが運営しています。ジー・サーチが長年運用している記事データベース「G-Search」の資産を活かし、日経・全国紙・業界紙などの一次報道を横断的に検索できるのが特徴です。1回のリクエストで最大50件の対象を一括検索でき、複数の取引先を効率的に確認できます。

新聞記事DBを基盤とする調査型は、一次報道に紐づく事実確認が中心で、精度の高い証跡を残しやすい点が実務上の強みです。他ソースを組み合わせたい場合は、独自DB系のツールと併用する運用も想定されます。

5. 日経リスク&コンプライアンス(株式会社日本経済新聞社)

日経リスク&コンプライアンスのウェブサイト

日経テレコン(1975年以降の記事DB)とダウ・ジョーンズの Watchlist(400万件超のグローバル制裁・PEPsリスト)を組み合わせた総合スクリーニングサービスで、株式会社日本経済新聞社が提供しています。国内報道と海外制裁リストを1つの画面で横断検索でき、AML/経済安保/IPO 対応で活用されています。料金はIDライセンス+従量課金の構造で、詳細は要問い合わせです。

海外取引・グローバル制裁対応が求められる金融機関・大企業の運用に向いており、日経新聞グループの記事資産を国内の反社チェックにも活用できます。国内単独よりは海外含めた総合スクリーニングを求める企業の選択肢になります。

6. アラームボックス パワーサーチ(アラームボックス株式会社/弥生グループ)

アラームボックス パワーサーチのウェブサイト

与信管理と反社チェックを1つのフローで運用できるサービスとして、アラームボックス株式会社(2025年7月に弥生グループに参加)が提供しています。ポイント制の料金体系で月額3,000円から利用でき、反社チェックは1件500〜1,500円の従量課金です。5,000社を超える導入実績があり、2025年7月に弥生グループに参加したことで、会計・給与ソフトとの連携拡張が見込まれています。

新規取引開始時に「与信+反社」を1つのフローで確認したい担当者の意思決定候補になります。ポイント制なので使わない月は費用が抑えられ、月ごとの取引件数が変動する事業に向いています。

SP RISK SEARCHのウェブサイト

独自DB「QSS」(60万件)・1960年以降の新聞記事・インターネット風評・海外コンプライアンス(PEPs・制裁リスト)を1回の検索で統一レポート化する会員制サービスで、危機管理コンサルティング会社の株式会社エス・ピー・ネットワークが提供しています。累計3,000社の利用実績と、年間2,700万件の検索実績があります。

危機管理コンサル会社が運用しているという背景から、ヒット時のエスカレーション対応・専門家への相談ラインが整っている点が実務での安心材料になります。国内・海外・独自DB を1つの経路でカバーしたい大企業・大規模取引の担当者の選択肢になります。

8. 反社チェックヒートマップ(リスクモンスター株式会社)

反社チェックヒートマップのウェブサイト

リスクモンスター株式会社の反社チェックサービスで、反社警戒・事件事故・訴訟問題・行政処分の4象限をヒートマップで可視化するUI設計が特徴です。500万社超の独自企業データベースと、新聞50紙・10年分の記事アーカイブを基盤にしており、担当者以外の判定者にも「どこにリスクがあるか」を直感的に伝えられる形にしています。入会費30,000円・月額20,000円と料金を公式で公開しています。

ヒットの詳細だけでなく、リスクの分布を経営層や取引審査委員会に共有する場面で、可視化されたレポートが説明資料としてそのまま使える点が強みです。意思決定者への情報共有を効率化したい担当者に向いています。

まとめ

取引先のコンプライアンスチェックは、暴力団排除条例(全都道府県で2011年施行完了)、法務省の指針、金融庁の推進通知、東証の上場審査基準といった複数の根拠に支えられた実務です。反社チェックを含みつつ、法令違反・不祥事まで範囲を広げた業務として捉えると、社内での位置づけが整理しやすくなります。

実施手順は、情報収集→リスク評価→契約時の反社排除条項→継続モニタリングの4ステップが標準形で、情報収集には5つの手段(インターネット検索/新聞記事DB/業界団体リスト/自動化ツール/信用調査会社)があります。取引件数が増えて手作業では回らなくなったら、月額数千円〜の自動化ツールが選択肢に入ります。

本記事で紹介した8社から候補を絞る場合、次の観点が目安になります。

  • 日常の全件チェックを効率化したい → 特化SaaS型(RISK EYES・RiskAnalyze・RoboRobo)
  • 海外取引・グローバル制裁対応が必要 → 日経リスク&コンプライアンス・SP RISK SEARCH
  • 新聞DBを中心に据えたい → Gチェッカー・日経リスク&コンプライアンス
  • 与信チェックと一体で回したい → アラームボックス パワーサーチ
  • 判定結果の可視化を重視 → 反社チェックヒートマップ

詳細な機能・料金は各社の資料で確認するのが確実です。

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よくある質問(FAQ)

Q. コンプライアンスチェックはどこまで対象を広げるべきですか(役員・株主・関連会社は?)

コンプライアンスチェックの対象範囲は、取引先の法人本体だけでなく、代表取締役・役員・主要株主(実質支配者)・関連法人まで拡げるのが実務標準です。反社会的勢力は役員・株主・関連会社を通じて関与するケースが多く、法人名だけを検索しても取りこぼしが発生します。IPO準備や大口取引・M&A DDの場面では、実質支配者の親族・過去の役員・関連会社(同一住所など)まで遡って確認するのが一般的です。

日常のチェックでは、法人本体・代表者・代表権のある役員までを最低ラインとし、大口取引・上場審査対応・M&A の場面では株主・実質支配者・関連法人まで対象を拡げるという段階的な設計が現実的です。役員・株主の情報は登記情報(法人登記簿)で公開されているため、法人名検索と組み合わせて属性情報を確定させます。

Q. コンプライアンスチェックに対象者の同意は必要ですか?

コンプライアンスチェックのうち取引先の反社関連チェックは、原則として対象者本人の同意なしで実施できます。個人情報保護法は要配慮個人情報(犯罪の経歴等)の取得に本人同意を求めていますが、20条2項に例外が定められており、反社チェックはこの例外の枠内で行える整理が実務で採られています。

具体的には、反社DB・業界共有情報など非公開データは「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」(20条2項2号)、新聞記事DB・官報・行政処分公表など公開情報は「公開されている場合」(20条2項7号)が根拠です。法務省の「反社指針解説」も同じ例外に当たると整理しています。

同解説は2007年公表時の条番号ですが、現行法では取得段階は20条2項2号・7号、利用段階は18条3項2号、第三者提供段階は27条1項2号にそれぞれ対応します。

Q. 中小企業でもコンプライアンスチェックは必要ですか?

中小企業の場合、専任のコンプライアンス部門を持たない前提で「最低限どこから着手するか」の設計が現実的な論点になります。初期は法人本体+代表者・代表取締役の氏名を対象に、Google 検索+新聞記事DB(日経テレコン等の月額数千円プラン)を併用し、証跡を1件1レコードで残す運用から始めるのが実務の型です。ここまでなら月額1万円未満で回せます。

取引件数が月あたり数十件を超えたら、自動化ツール(月額数千〜数万円)で証跡保存・複数DBの統合検索を効率化する段階に進みます。取引先側から「反社チェックの実施状況を教えてほしい」と照会されるケースも増えており、体制整備の遅れは営業機会の逸失にもつながるため、無料手段だけで済ませず、証跡が残る形にしておくのが実務の分岐点です。

Q. Google検索だけでコンプライアンスチェックを済ませてはいけないのですか?

コンプライアンスチェックをGoogle検索だけで済ませる運用は、網羅性と証跡保存の両面で不足するため、実務では推奨されません。検索エンジンにインデックスされていないネガティブ情報も多く、古い記事は検索結果から落ちやすいうえ、同姓同名・同名企業のノイズを担当者の目視で切り分けることになるため判定がぶれます。

また、後日の内部監査や上場審査で「いつ・誰が・どの検索式で調べたか」の証跡を提出できるかが問われますが、Google検索は検索履歴の一元管理・レポート出力の機能を持たず、証跡整備に追加の運用工数がかかります。実務では、新聞記事データベース・自動化ツール・信用調査会社を組み合わせ、Google検索は一次スクリーニングの補助に留めるのが標準的な設計です。

Q. コンプライアンスチェックの継続モニタリングはどのくらいの頻度で行えばよいですか?

コンプライアンスチェックの継続モニタリング頻度に法定基準はなく、取引金額・業種リスク・過去のヒット状況に応じて年1回〜数年に1回の範囲で自社設計するのが実務の一般的な形です。金融庁の推進通知は金融機関に対して「中間管理」段階での事後的な反社チェック態勢の強化を求めていますが、他業種では自社のリスク許容度で頻度を決めます。

実務では、取引金額の大きい主要取引先は年1回、それ以下の取引先は数年に1回、といった段階的な設計が多く見られます。契約更新のタイミング・代表者や主要株主が交代した情報を掴んだタイミング・与信限度額の見直し時などに、スポットの再チェックを追加する運用もあります。年1回の全件再チェックを、自動化ツールの一括処理機能で年度末に走らせる企業も増えています。

Q. コンプライアンスチェックでネガティブ情報がヒットした場合、どう対応すればよいですか?

コンプライアンスチェックでヒットが出た場合、直ちに取引拒否とはせず、時期・関連度・深刻度・現状の4観点で1次スクリーニングと2次判定を分けるのが実務の標準的な進め方です。同姓同名の別人・過去の軽微な事象・すでに解決済みの案件など、ヒットの内容を吟味しないと取引可否を判断できないケースが多いためです。

暴力団関与が確定的な場合など「1次で自動的にNGとする基準」と、法務部門で2次判定する基準を、事前に社内規程で線引きしておくと、担当者ごとの判断のぶれを抑えられます。判定結果は、監査・上場審査に備えて、判断根拠と証跡(検索結果・検索日時・検索式・判断者と判断日)を保存するのが実務の標準です。反社関与が確定的で契約解除に進む場合は、契約書の反社排除条項(無催告解除条項)を根拠に進めます。

同姓同名か本人か、直近の重大事象か過去の軽微事案かなど、ヒット内容ごとの具体的な見分け方や、社内の判定フロー・エスカレーションのステップは、以下の記事でより実務に沿って解説しています。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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