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経理の内部統制とは?業務別にやるべき統制と会社法・J-SOXの必要範囲をわかりやすく解説

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会社が成長して取引や従業員が増えたり、上場の準備に入ったり、監査法人から体制の整備を求められたりする場面で、経理の「内部統制」を整えなければならないと感じている担当者は少なくありません。人に依存した経理のままでは、ミスや不正が見過ごされ、決算書の信頼にも関わります。

ただ、内部統制と聞くと「言葉は分かるが、経理で具体的に何をやればいいのかが分からない」という声が多いのも実情です。定義や制度の話だけを追っても、自社の経理業務に落とし込めなければ前に進めません。

この記事では、経理の内部統制とは何かを短く押さえたうえで、現金・経費精算・売掛・買掛・決算といった業務ごとに「やるべき統制」を一覧で整理します。あわせて、会社法と金融商品取引法(J-SOX)でどこまで求められるか、整備の進め方と文書化、システムでの効率化までを解説します。

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経理の内部統制とは

経理における内部統制とは、決算書などの報告を正しく作り、資産を守り、業務を効率よく法令に沿って進めるために、経理業務のなかに組み込む「誰が担当してもミスや不正が起きにくい仕組み」です。特定の担当者の記憶や善意に頼るのではなく、承認やチェックの手順としてルール化する点に特徴があります。

内部統制は、企業会計審議会が定める「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」で、次のように定義されています。

内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(令和5年4月7日改訂)Ⅰ.内部統制の基本的枠組み|金融庁

なぜ経理に内部統制が必要か・何を防げるか

経理は、現金の出納や請求・支払、帳簿づけといったお金そのものを扱う部門です。ここで一人の担当者が入力から承認、支払までを完結できてしまうと、入力ミスがそのまま決算に残り、着服や水増し請求のような不正の余地も生まれます。内部統制は、こうした事故が「起きにくい」状態を業務の手順として作る取り組みです。

整備を怠ると、実際の不正や誤りに加えて、監査で指摘を受けて決算の信頼が揺らぐ、上場審査で体制不備を問われる、といった形で表面化します。担当者の退職で業務が止まる属人化のリスクも、統制を仕組みにしておくことで小さくできます。次章では、この「仕組み」を経理業務ごとに具体的な統制として一覧で示します。

経理業務別にやるべき内部統制【一覧表】

内部統制は抽象的な理念ではなく、日々の経理業務に落とし込んで初めて機能します。ここでは、主な経理業務ごとに「起こりやすいリスク」と「効かせる統制」を一覧にしました。自社のフローと照らし合わせ、抜けている統制がないかを確かめる出発点として使えます。

経理業務起こりやすいリスク効かせる主な統制
現金・預金管理着服、記帳漏れ、残高の不一致出納担当と記帳担当の分離(職務分掌)、現金実査のダブルチェック、通帳・残高証明との定期照合、ネットバンキングの権限分離
経費精算架空・水増し申請、私的経費の混入申請者と承認者の分離、上長承認フロー、領収書など証憑の添付・保管、規程に基づく上限・費目のチェック
売掛金(債権)管理請求漏れ、入金消込の誤り、回収遅延の見逃し請求担当と入金消込担当の分離、売掛残高と入金の照合、滞留債権の定期モニタリング
買掛金・未払金(債務)管理二重払い、架空取引、支払金額の改ざん発注・検収・支払の担当分離、請求書と発注・検収記録の突合、振込データ作成者と承認者の分離
固定資産管理資産の実在性の不備、減価償却の誤り、除却漏れ資産台帳の整備、現物との定期照合、取得・除却の承認手続き
月次・年次決算計上漏れ・期ズレ、見積りの恣意的な操作締め処理のルール化、勘定残高の内訳照合、作成者と上長レビューの分離、修正仕訳の履歴保存

表を横断して見ると、多くの業務で共通するのは「作業する人と承認・確認する人を分ける」「記録を証憑で裏づける」「残高や現物と定期的に突き合わせる」という考え方です。次に、この共通する統制の型ごとに、効かせ方の勘所を整理します。

各統制の効かせ方と勘所

上の一覧に出てくる統制は、大きく6つの型に整理できます。それぞれ「何のために・どこまでやるか」を押さえると、自社の業務に当てはめやすくなります。

  • 職務分掌(役割の分離):一つの取引を一人で完結させず、「実行する人」と「承認・記録する人」を分けます。特に、お金を動かす権限と帳簿をつける権限を同一人物に持たせないことが要になります。人数が少なく完全に分けられない場合は、後述の上長チェックやシステムの権限設定で補います。
  • 承認・決裁フロー:支払や仕訳を実行する前に、金額や内容に応じた承認を通します。誰が・いくらまで承認できるかを決裁規程で定めておくと、承認が形骸化しにくくなります。
  • ダブルチェック:入力・計算・振込データなど誤りが致命傷になりやすい箇所で、担当者以外の目を通します。全件か抜き取りか、金額の大きさでチェックの濃さを変えると負担を抑えられます。
  • 証憑管理:仕訳の一つひとつを、領収書・請求書・契約書などの証憑と結びつけて保存します。後から「なぜこの取引をこう処理したのか」をたどれる状態にしておくことが、監査対応と不正抑止の両方に効きます。
  • アクセス権限の管理:会計システムや銀行取引に、担当者ごとの個別IDと役割に応じた権限を設定します。共有IDの使い回しは、誰が操作したか分からなくなるため避けます。
  • モニタリング(監視):残高照合や滞留債権の確認、操作ログの点検などを定期的に行い、統制が実際に機能しているかを確かめます。作った仕組みを放置すると時間とともに形骸化するため、見直しを習慣にします。

明日から見直す実務チェックリスト

自社の経理で「今できていない統制」を洗い出すためのチェックリストです。まずは高リスクの現金・支払まわりから確認し、当てはまらない項目を優先的に整えていくと効果を実感しやすくなります。

  • 現金・預金の出納担当と記帳担当が分かれているか
  • 振込データの作成者と承認者が別の人になっているか
  • 金額に応じた承認・決裁のルールが規程として定まっているか
  • 経費精算や仕訳に、領収書・請求書などの証憑が紐づいて保存されているか
  • 預金残高・売掛残高・買掛残高を、通帳や取引先記録と定期的に照合しているか
  • 会計システムや銀行取引に、担当者ごとの個別IDと権限が設定されているか(共有IDになっていないか)
  • 取引先マスタの新規登録・変更に承認の手順があるか
  • 月次・年次決算の締めと、上長によるレビューの手順が定まっているか
  • 固定資産の台帳と現物を定期的に突き合わせているか
  • 規程どおりに運用できない例外処理の扱いを、記録に残しているか
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内部統制の4つの目的と6つの基本的要素

ここまで見た業務別の統制は、内部統制の「目的」と「基本的要素」という共通の枠組みに位置づけられます。金融庁の基準では、内部統制は次の4つの目的を達成するための仕組みとされています。

  • 業務の有効性及び効率性:事業活動の目的を達成するため、業務の有効性と効率性を高めること
  • 報告の信頼性:組織の内外への報告(非財務情報を含む)の信頼性を確保すること
  • 事業活動に関わる法令等の遵守:事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること
  • 資産の保全:資産の取得・使用・処分が正当な手続と承認のもとに行われるよう、資産の保全を図ること

そして、この4つの目的を達成するために、内部統制は次の6つの基本的要素で構成されます。経理の現場では、承認や照合といった統制活動が目立ちますが、それを支えるルールや風土(統制環境)、情報の伝達、ITの活用まで含めて一つの仕組みと捉えるのが基準の考え方です。

  • 統制環境:誠実性や倫理観、方針・手続など、他の要素の土台となる組織の気風
  • リスクの評価と対応:目的の達成を阻むリスクを識別・分析し、対応を決めること
  • 統制活動:職務分掌・承認・照合など、指示が実行されることを確保する方針と手続
  • 情報と伝達:必要な情報が正しく識別・把握・処理され、関係者に伝わること
  • モニタリング(監視活動):内部統制が有効に機能しているかを継続的に評価すること
  • ITへの対応:業務に組み込まれたITに対し、方針を定めて適切に対応すること

4つ目の「報告の信頼性」は、令和5年(2023年)の改訂で従来の「財務報告の信頼性」から名称が広がったものです。財務諸表などの信頼性を確保する「財務報告の信頼性」はそのなかに含まれ、金融商品取引法の内部統制報告制度(J-SOX)が対象とするのは、この財務報告の信頼性です。出所は前掲の金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」をご参照ください。

出典・参考資料(1件)

会社法とJ-SOX(金融商品取引法)でどこまで必要か

「内部統制は上場企業だけの話ではないか」と考える方もいますが、根拠となる法律は会社法と金融商品取引法の2つがあり、求められる範囲が異なります。自社にどこまでの義務がかかるかは、この2つの線引きで整理できます。

会社法とJ-SOXの義務を、上場の有無と会社の規模の2軸で整理したマトリクス。大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)は上場・非上場を問わず会社法により整備方針の決定が義務で、上場の場合はJ-SOXによる内部統制報告書の提出も加わる。大会社でない会社は、上場していればJ-SOXで内部統制報告書の提出が求められ、非上場なら法律上の直接の義務はない。
会社法(内部統制システムの整備)金融商品取引法(J-SOX・内部統制報告制度)
主な対象大会社(資本金5億円以上、または負債200億円以上)。上場・非上場を問わない上場会社(金融商品取引所に上場する有価証券の発行者)など
根拠条文会社法362条4項6号・5項、会社法施行規則100条金融商品取引法24条の4の4
求められること取締役会で内部統制システムの整備の方針を決定すること内部統制報告書を作成し、有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出すること(財務報告の信頼性の確保)
中小・非上場の扱い大会社に該当しなければ、法律上の直接の義務はない(体制整備は実務上有用)原則として対象外

まず会社法では、大会社である取締役会設置会社に対して、内部統制システムの整備方針を取締役会で決定する義務を定めています。「大会社」とは、資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の株式会社を指します(会社法2条6号)。上場しているかどうかは関係なく、規模が基準を超えれば非上場でも対象になる点が特徴です。

大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。

出典:会社法(平成17年法律第86号)第362条第5項|e-Gov法令検索

ここでいう「前項第六号に掲げる事項」が、会社法362条4項6号の定める「業務の適正を確保するために必要な体制」です。その具体的な中身は会社法施行規則100条に定められており、情報の保存・管理、損失の危険(リスク)の管理、業務の効率性、使用人の職務執行の法令適合などの体制が挙げられています。経理の職務分掌・承認・モニタリングは、これらの体制を実際の業務で形にしたものと位置づけられます。

出典・参考資料(2件)

一方、金融商品取引法(J-SOX)は、上場会社などに対して内部統制報告書の提出を義務づけています。対象は有価証券報告書を提出する会社のうち、金融商品取引所に上場する有価証券の発行者などに限られ、平成20年(2008年)4月1日以後に始まる事業年度から適用されています。

第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(中略)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書(中略)と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。

出典:金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第24条の4の4第1項|e-Gov法令検索

整理すると、上場会社はJ-SOXにより内部統制報告書の提出まで求められ、大会社は上場・非上場を問わず会社法により整備方針の決定が義務づけられます。それ以外の中小・非上場企業には法律上の直接の義務はありませんが、貸し倒れや不正の防止、将来の上場準備の観点から、業務別の統制を段階的に整える意義は小さくありません。

内部統制の整備の進め方と文書化(3点セット)

統制の中身が分かったら、次は自社にどう根づかせるかです。ここでは整備の進め方と、統制を目に見える形にする文書化の考え方を整理します。

整備を進める手順

内部統制の整備は、次の流れで進めると無理がありません。一度に完璧な仕組みを目指すより、リスクの高い業務から着手して回しながら整える方が定着します。

内部統制の整備を進める4つのステップを示したフロー図。STEP1は現状把握で、経理業務の流れを棚卸しし誰が何をどの権限で行っているかを洗い出す。STEP2はリスク特定と統制の設計で、業務ごとのリスクを見極め職務分掌・承認・照合などの統制を割り当てる。STEP3はルール化と運用開始で、決裁規程や業務手順として明文化し担当者に共有して運用を始める。STEP4はモニタリングと見直しで、実際に機能しているかを定期的に点検し業務や組織の変化に合わせて更新する。
  1. 現状把握:経理業務の流れを棚卸しし、誰が何をどの権限で行っているかを洗い出します。
  2. リスクの特定と統制の設計:業務ごとに起こりやすいリスクを見極め、職務分掌・承認・照合などの統制を割り当てます。前掲の業務別一覧が設計の下敷きになります。
  3. ルール化・運用開始:決裁規程や業務手順として明文化し、担当者に共有して運用を始めます。
  4. モニタリングと見直し:統制が実際に機能しているかを定期的に点検し、業務や組織の変化に合わせて更新します。

文書化・3点セットと、非上場・少人数向けの簡易版

内部統制を評価・説明できるようにするため、業務プロセスを文書化するのが一般的です。実務では「3点セット」と呼ばれる3つの文書がよく使われます。これは実務上の通称で、金融商品取引法に基づく内部統制評価の実施基準が参考として示す、次の文書を指します。

  • 業務の流れ図(フローチャート):取引の流れと、どこで承認・記録が入るかを図で示したもの
  • 業務記述書:業務の手順を文章で説明したもの
  • リスクと統制の対応(リスク・コントロール・マトリックス):どのリスクに対してどの統制が効いているかを対応づけた表

ただし、これらは決められた様式で必ず作らなければならないものではありません。実施基準自体が、参考例であり既存の文書を利用してもよい旨を明記しています。

これは、必要に応じて作成するとした場合の参考例として掲載したものであり、また、企業において別途、作成しているものがあれば、それを利用し、必要に応じそれに補足を行っていくことで足り、必ずしもこの様式による必要はない

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年4月7日改訂)|金融庁

そのため、J-SOXの対象ではない非上場・少人数の会社であれば、はじめから網羅的な3点セットを揃える必要はありません。まずは業務の流れと承認のポイントを簡単なフロー図や一覧にまとめ、既存のマニュアルや規程を土台に補っていく形で十分です。人数が少なく職務分掌を完全に分けられない場合は、上長によるチェックやシステムの権限設定・操作ログで補うのが現実的な進め方になります。

クラウド会計ソフトで内部統制を効かせる

ここまで挙げた統制の多くは、手作業でも実現できますが、担当者の負担が大きく、続けるうちに形骸化しがちです。クラウド会計ソフトを使うと、承認フロー・権限管理・操作ログ・証憑の電子保存といった統制を、システムの機能として無理なく効かせられます。

たとえば、仕訳や支払を承認なしには確定できないようにする、担当者ごとに操作できる範囲を制限する、誰がいつ何を変更したかをログに残す、といった統制はシステム側で標準化できます。あわせて、電子帳簿保存法に対応した形で証憑を保存し、インボイス制度(適格請求書等保存方式)に沿って請求書を管理すれば、証憑管理の統制と法令対応を同時に進められます。

前章で挙げた6つの統制の型は、クラウド会計ソフトの機能に次のように対応します。手作業で担っていた統制を、システムの標準機能に置き換えていくイメージです。

  • 承認・決裁フロー → 仕訳や支払を承認なしには確定できない申請・承認機能
  • 職務分掌・アクセス権限 → 担当者ごとの個別IDと、業務分担に応じた権限設定
  • モニタリング → 誰がいつ何を変更したかを残す操作ログ・仕訳更新履歴
  • 証憑管理 → 電子帳簿保存法に対応した証憑の電子保存と、仕訳との紐づけ

また、電子帳簿保存法では、電子取引データの電子保存が原則として義務づけられており、証憑の電子保存を統制として効かせるうえでも対応範囲を押さえておく必要があります。

出典・参考資料(1件)

以下では、内部統制の効かせ方が異なる2つのサービスを取り上げます。1つは会計ソフト自体に承認・権限・ログの機能を持たせ、自社で統制を仕組み化する型です。もう1つは記帳・決算を専門家チームに委託し、社内だけでは組みにくいけん制を外部から補う型です。次の比較表は優劣を示すものではなく、それぞれが得意とする統制の効かせ方の違いとしてご覧ください。

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比較項目マネーフォワード クラウド会計PlusTenbook(テンブック)
提供形態クラウド会計ソフト
(内部統制機能を標準搭載)
クラウド会計ソフト+
記帳・決算・申告の代行
内部統制の効かせ方承認・権限・ログを
システム機能で標準化
専門家チームへの外部委託で
けん制と属人化解消を補完
仕訳承認フロー記帳・決算を専門家チームが代行しけん制
権限管理(業務分担)公式に記載なし
操作ログ・監査証跡仕訳更新履歴・監査法人連携に対応公式に記載なし
証憑の電帳法・インボイス対応会計シリーズとして対応(Plus単体は要確認)請求書はインボイス、支払・証憑は電帳法に対応
対象企業規模IPO準備・中堅〜上場企業創業期〜中小企業
(売上5億円以下が主対象)
初期費用要問い合わせ0円
月額費用要問い合わせ
(利用ID数に応じた見積もり)
29,500円〜(免税事業者)
43,500円〜(課税事業者)
決算料不要
詳細情報ミーティングを予約する公式資料を見る

※2026年8月時点の各社公表情報にもとづきます。「公式に記載なし」は公式サイトで機能の記載が確認できないもので、機能の非提供を意味するものではありません。マネーフォワード クラウド会計Plusの料金は利用ID数に応じた個別見積もりです。最新の料金・対応状況は各社の資料でご確認ください。

マネーフォワード クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計Plusのウェブサイト

マネーフォワード クラウド会計Plusは、中小企業向けの「マネーフォワード クラウド会計」の使いやすさを引き継ぎながら、IPO準備・中堅〜上場企業に必要な内部統制機能を追加した会計システムです。仕訳の申請・承認フロー、業務分担に応じた権限設定、操作ログや仕訳更新履歴の記録といった機能を標準で備え、紙ベースだった承認・記録の統制をシステム上で完結できます。

監査法人と会計システムを共有して証憑照会などの監査手続きをWeb上で行える点も、上場準備やJ-SOX対応を進める企業に向いています。導入相談はIPOや上場を目指す中堅企業からが多く、料金は利用ID数に応じた見積もり方式(監査法人など外部共有用のアカウントもID数に含む)です。上場を見据えて、承認・権限・監査証跡を一つのシステムで整えたい経理部門に適した選択肢といえます。

経理の内部統制を整える動きは、実際にはどのような場面で起きているのでしょうか。提供元であるマネーフォワードは、寄せられる相談の傾向を次のように話しています。

栗本賢人氏
株式会社マネーフォワード SMB本部 パートナービジネス部 部長 兼 パートナーアライアンス室 事業開発担当
栗本賢人氏
独自インタビューより

最も多いのは、IPOや上場を目指していて内部統制をしっかり整えたい、J-SOX対応の必須要件に対応したいという中堅企業からのご相談です。導入の主導は経理の責任者が中心になることが多く、IPO準備など全社的な取り組みの文脈ではCFOが関与されるケースも少なくありません。

Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)のウェブサイト

公認会計士がプロデュースしたクラウド会計ソフト「10book」に、記帳代行・月次処理・決算・税務申告までの人的サポートを組み合わせたのが、Tenbook(テンブック)です。運営元のシンアカウンティングサービスが、原則3名のチーム制でオンライン完結の会計アウトソーシングを提供します。

内部統制の観点で特徴的なのは、社内だけでは職務分掌やチェック体制を組みにくい少人数・新設法人でも、専門家チームに記帳・決算を委託することで、けん制と属人化の解消を外部から補える点です。担当者の退職で経理が止まるリスクを避けたい企業にも向きます。

料金は個別見積もりで、免税事業者は月額29,500円から、課税事業者は月額43,500円からが目安です(決算料は不要)。ソフト側も支払管理や証憑管理で電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しています。

少人数の経理で担当者に業務が集中する属人化のリスクについて、運営元のシンアカウンティングサービスは、外部委託が果たす役割を次のように説明しています。

上田氏
シンアカウンティングサービス株式会社 代表取締役
上田氏
独自インタビューより

それと、経理担当者の退職などで業務が不安定になるケースもよくあります。属人的なフローになっていると引き継ぎが大変ですし、退職に伴って経理が回らなくなるリスクが出てきます。そこを専門家に任せることで、経理業務の安定性を提供したいと考えています。

ここでは内部統制の効かせ方という観点で2つのサービスを取り上げましたが、規模やタイプごとの選び方や料金まで含めてクラウド会計ソフト全体を比較検討したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。

また、証憑の電子保存に欠かせない電子帳簿保存法については、制度の要点と対応の進め方を次の記事で詳しく解説しています。

まとめ

経理の内部統制は、決算書の信頼性を守り、ミスや不正を防ぐために、日々の業務へ職務分掌・承認・ダブルチェック・証憑管理・アクセス権限・モニタリングといった統制を組み込む取り組みです。まずは現金や支払まわりの高リスク業務から、前掲のチェックリストで自社の不足を洗い出すのが着手しやすい進め方になります。

法律上の義務は、上場会社はJ-SOX(金融商品取引法)、大会社は上場・非上場を問わず会社法が根拠になります。それ以外の企業でも、統制を段階的に整える意義は大きく、承認・権限・証憑保存といった統制はクラウド会計ソフトの機能で効率的に効かせられます。自社の規模と体制に合わせて、無理なく続けられる仕組みから整えてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 経理の内部統制とは何ですか?

A. 経理の内部統制とは、決算書などの報告を正しく作り、資産を守り、業務を法令に沿って効率よく進めるために、経理業務のなかに組み込む「誰が担当してもミスや不正が起きにくい仕組み」です。特定の担当者の記憶や善意に頼るのではなく、職務分掌・承認・照合といった手順としてルール化する点に特徴があります。

Q. 中小企業や非上場企業でも経理の内部統制は必要ですか?

A. 中小企業や非上場企業は、資本金5億円以上などの「大会社」に該当しない限り、内部統制に関する法律上の直接の義務はありません。上場会社は金融商品取引法(J-SOX)で内部統制報告書の提出が求められ、大会社は上場・非上場を問わず会社法で整備方針の決定が義務づけられますが、それ以外の企業には直接の義務が及びません。

ただし、義務がないことと不要であることは別です。着服や水増し請求などの不正防止、売掛金の貸し倒れ回避、担当者の退職による属人化リスクの低減、将来の上場準備といった観点から、現金・支払まわりの高リスク業務を中心に、業務別の統制を段階的に整える意義は小さくありません。

出典・参考資料(2件)

Q. 経理が少人数で職務分掌(担当者の分離)ができない場合はどうすればよいですか?

A. 経理が少人数で職務分掌を完全に分けられない場合は、上長によるチェック、会計システムの権限設定・操作ログ、記帳や決算の外部委託でけん制を補うのが現実的です。担当者と承認者を人で分けられなくても、承認・確認の目を一段入れたり、誰がいつ何を操作したかを記録に残したりすることで、統制の狙いは実現できます。

とくに現金の出納と記帳、振込データの作成と承認など、一人で完結させると事故につながりやすい業務を優先して分離を検討し、どうしても分けられない部分をシステムや外部の専門家チームで補うと、少人数でも無理なく続けられます。

Q. 内部統制の3点セットとは何ですか?

A. 内部統制の3点セットとは、業務の流れ図(フローチャート)・業務記述書・リスクと統制の対応(リスク・コントロール・マトリックス)という3つの文書を指す実務上の通称です。金融商品取引法に基づく内部統制評価の実施基準が、業務プロセスを文書化する際の参考例として示しているものです。

これらは決められた様式で必ず作らなければならないものではなく、実施基準自体が既存の文書を利用して補う形でよい旨を明記しています。J-SOXの対象ではない非上場・少人数の会社であれば、はじめから網羅的な3点セットを揃える必要はなく、業務の流れと承認のポイントを簡単なフロー図や一覧にまとめ、既存のマニュアルや規程を土台に補っていく形で十分です。

出典・参考資料(1件)

Q. 内部統制と内部監査の違いは何ですか?

A. 内部統制が業務に組み込まれた「仕組み」そのものであるのに対し、内部監査はその仕組みが正しく機能しているかを、業務から独立した立場で点検・評価する活動です。両者は対立するものではなく、内部監査は内部統制を支える6つの基本的要素のうちモニタリング(監視活動)の一翼を担います。

経理の現場でいえば、職務分掌や承認・照合のルールを整えるのが内部統制の整備、それらが規程どおりに運用されているかを定期的に確かめて改善につなげるのが内部監査(およびモニタリング)にあたります。仕組みを作るだけで点検を怠ると時間とともに形骸化するため、両輪で回すことが重要です。

Q. クラウド会計ソフトを導入すれば経理の内部統制は代替できますか?

A. クラウド会計ソフトの導入だけで経理の内部統制を代替することはできず、承認フローや権限をどう設計・運用するかというルール作りが前提になります。システムはあくまで、職務分掌・承認・操作ログ・証憑の電子保存といった統制を効率よく効かせる手段です。

とはいえ、手作業の統制は担当者の負担が大きく形骸化しがちなため、システムで標準化できる効果は大きいです。仕訳や支払の承認、操作範囲の制限、変更履歴のログ、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応した証憑保存といった統制は、システム機能で効かせられます。これらを運用ルールと組み合わせることで、内部統制を無理なく継続できます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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