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農業向け会計ソフトおすすめ11選|農業法人・個人農家の選び方と料金を比較

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農業の記帳や確定申告に、一般の会計ソフトでは手が届きにくいと感じていませんか。種苗費や素畜費といった農業特有の勘定科目、育成中の果樹や家畜の資産計上、JAとの取引の記帳など、農業の会計には他業種にはない処理が数多くあります。手書きや表計算ソフトでの管理は農繁期の負担が大きく、青色申告特別控除の要件を満たせているか不安を抱えたまま申告期を迎える農家も少なくありません。

農業所得の決算書様式や農業用の勘定科目に対応し、なおかつ自分の経営規模や申告スタイルに合った会計ソフトを選ぶには、どのような観点で比べればよいのでしょうか。

本記事では、農業向け会計ソフト11サービスを3つのタイプに分けて比較・解説します。料金の実額や農業対応機能に加え、青色申告特別控除(55万円・65万円、令和9年分以後は最大75万円)の要件や育成資産の資産計上といった、農業会計に特有の選定ポイントを整理しました。個人農家から農業法人まで、自社に合うソフトを選ぶための判断材料としてご活用ください。

また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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本記事で紹介する農業向け会計ソフトの範囲

ここでは、農業所得の確定申告や農業経営の記帳を前提に、次の条件を満たす会計ソフトを対象にします。農業用の勘定科目(種苗費・素畜費・肥料費など)や農業所得用の決算書に対応していること、または農業向けのテンプレート・設定を備え、農業の会計を実務でこなせることです。

個人農家が自分で青色申告を完結できる低価格ソフトから、農業法人が部門別の経営管理まで行う高機能なシステムまで、農業経営に実際に使える製品を幅広く取り上げます。

一方で、農業向けの機能や実績が確認できない汎用ソフトや、記帳代行を主体とする経理アウトソーシング、大企業向けの基幹システムは対象外としています。農業に限定せず会計ソフト全般を広く比べたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

農業向け会計ソフトとは?農業経理の特殊性と一般の会計ソフトとの違い

農業向け会計ソフトとは、農業経営に固有の会計処理に対応した会計ソフトのことです。一般の会計ソフトが商業・サービス業を想定した勘定科目や決算書を標準にしているのに対し、農業向けでは種苗費や素畜費といった農業用の勘定科目、農業所得用の決算書様式、育成中の果樹や家畜の資産計上、JA(農協)を通じた取引の記帳などを扱えます。

農業を営む個人事業主・農業法人が、記帳から決算・確定申告までを無理なく進められるように設計されている点が、一般の会計ソフトとの最大の違いです。

農業向けの対応には二通りあります。ひとつは農業専用に作られたソフトで、農業用の科目や決算書が最初から組み込まれています。もうひとつは、freee会計やマネーフォワード クラウド会計のような汎用のクラウド会計ソフトに、農業用の勘定科目やテンプレートを追加して使う方法です。どちらが向くかは経営規模や申告スタイルによって変わるため、まずは農業会計の特殊性を押さえたうえで比較すると選びやすくなります。

農業特有の勘定科目(種苗費・素畜費・肥料費など)

農業では、一般の事業では使わない経費科目を用います。国税庁の「青色申告決算書(農業所得用)」の損益計算書には、種苗費・素畜費・肥料費・飼料費・農具費・農薬衛生費・諸材料費といった農業特有の科目があらかじめ区分されています。収穫した農産物を自家消費した分は「収穫した時の価額」で計上するなど、農業ならではの記帳ルールも様式に組み込まれています。

農業向け会計ソフトが必要になる根本的な理由は、この農業所得用の決算書の科目・様式に沿って記帳する必要があるからです。汎用の会計ソフトでも科目を追加すれば対応できますが、農業専用ソフトなら初期設定の手間を省けます。

出典・参考資料(1件)

育成資産(未成熟の果樹・家畜)と棚卸資産の扱い

農業会計でつまずきやすいのが、育成中の果樹や家畜の扱いです。まだ収穫・出荷の段階に達していない果樹や繁殖用の家畜は、その育成にかかった費用を経費としてすぐに落とすのではなく、資産として計上したうえで、成熟後に減価償却していきます。収穫前の農産物や販売用の家畜も、棚卸資産として期末に評価します。

こうした農業特有の資産処理は、青色申告決算書(農業所得用)にも「育成費用の明細」や棚卸高の内訳として組み込まれています。具体的には、育成にかかった費用をいったん資産に計上し、成熟の時点から減価償却します(計上・償却の手順は「農業会計の実務ポイント」で国税庁の様式や会計基準にもとづいて解説します)。会計ソフトを選ぶ際は、この育成資産の管理に対応しているかが判断材料のひとつになります。

青色申告と農業所得の確定申告

農業所得は所得税法上の事業所得に含まれるため、農家も青色申告の対象になります。複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内に申告すれば、所得金額から一定額を差し引ける青色申告特別控除を受けられます。控除額は記帳方法や申告方法によって10万円・55万円・65万円に分かれ、令和9年分(2027年分)以後は要件を満たすことで最大75万円まで広がります。

会計ソフトを使う大きな目的のひとつが、この青色申告特別控除を確実に受けられる状態を作ることです。複式簿記による記帳や、電子帳簿保存・e-Tax(国税電子申告・納税システム)による申告に対応したソフトなら、控除の要件を満たしやすくなります。控除額ごとの要件は「農業会計の実務ポイント」で整理します。

農業向け会計ソフトの3つのタイプ

農業向け会計ソフトは、提供形態と対象とする経営規模によって、大きく3つのタイプに分けて考えると選びやすくなります。それぞれ得意とする領域と料金の考え方が異なるため、まず自社がどのタイプに近いかを掴んでおきましょう。

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汎用クラウド会計+農業対応型農業特化ソフト型(個人農家向け・買切中心)農業法人・高機能型(会計事務所連携・管理会計)
特徴商業・サービス業でも使われるクラウド会計に、農業用の勘定科目やテンプレートを追加して使うタイプ。銀行・カード連携や自動仕訳などクラウドの利便性が高い。農業専用に作られ、農業科目・農業所得決算書・育成資産などを標準装備。買い切り型が中心で、簿記知識が少なくても記帳しやすい。部門別・生産品目別の業績管理や内部統制まで踏み込む高機能型。税理士・会計事務所との連携を前提とする製品も含む。
提供形態クラウド(月額)インストール(買い切り中心)クラウド(法人向け)
主な対象個人農家〜農業法人(幅広い)個人農家・家族経営農業法人・規模拡大期の経営体
該当する主なサービスfreee会計/マネーフォワード クラウド会計/弥生会計 Next/ジョブカン会計農業簿記13/らくらく青色申告 農業版/かんたん農業簿記<複式>マネーフォワード クラウド会計Plus/勘定奉行クラウド/PCAクラウド 会計/FX2農業会計クラウド

※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別のサービスの機能や提供形態は各社情報をご確認ください。

どのタイプが自社に合うか判断しにくい場合は、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」をご活用ください。いくつかの質問に答えると、条件に近いサービスを絞り込めます。

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【比較表】農業向け会計ソフトの料金・農業対応機能を比較

ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、農業向け会計ソフト11サービスの料金の実額と農業対応機能を一覧にまとめます。提供形態や対象、育成資産の管理・JA取引の取込・新規就農者向け価格といった農業特有の観点を横並びで確認できます。

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サービス名弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド会計ジョブカン会計農業簿記13らくらく青色申告 農業版かんたん農業簿記<複式>マネーフォワード クラウド会計Plus勘定奉行クラウドPCAクラウド 会計FX2農業会計クラウド
提供形態クラウドクラウドクラウドクラウドインストール型(買い切り)インストール型(買い切り)インストール型(買い切り)クラウドクラウドクラウドクラウド(税理士経由)
対象法人個人事業主〜上場企業ひとり法人〜中小(〜50名想定)中小企業・個人事業主中心個人農家・農業法人個人農家(青色申告)家族経営・個人事業主の農家IPO準備・中堅〜上場小規模〜中小企業中小〜中堅企業農業法人(経営管理型)
初期費用0円0円0円0円66,000円(税込・本体)8,800円(税込・新規)40,840円(税込・本体)0円(要確認)0〜70,000円(エディションによる)0円(イニシャル0プラン)要見積もり(会計事務所経由)
月額費用約2,900円〜(エントリー年契約・税抜)2,980円〜(ひとり法人・年払い税抜/従量課金別)2,480円〜(ひとり法人・年払い税抜)2,500円〜(スタートアップ・3ユーザー)なし(買い切り型)なし(更新5,500円/年 税込)なし(更新5,600円/年 税込)要見積もり(利用ID数に応じる)7,750円〜(Eシステム・税抜)15,600円〜(会計hyper・税抜)要見積もり(顧問契約に含む)
農業対応農業科目追加で対応(要確認)農業所得決算書に対応/農業科目を初期設定で登録農業科目追加で対応農業科目追加で対応農業専用(科目・決算書標準)農業専用(個人農家向け)農業専用(個人/家族経営)農業科目追加で対応農業科目追加で対応農業科目追加で対応農業専用(法人経営管理型)
育成資産の管理
汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応
要確認
汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応
要確認
JA取引の取込
汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応
×手入力支援のみ要確認
汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応

汎用型は設定で対応
クミカン(北海道)対応/全国JAは順次対応予定
インボイス・電帳法要確認要確認
新規就農者向け価格なしなしなしなし新規就農応援パックなしなしなしなしなしなし
対応OSクラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)Windows(Mac非対応)Windows(Mac非対応)Windows(Mac非対応)クラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)クラウド(ブラウザ)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイトオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト

※2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。農業対応列の「◎」は農業専用で機能が充実、「●」は標準対応、「△」は一部・条件付き対応、「×」は非対応、「-」は農業専用の機能で、汎用クラウド型は農業用の勘定科目を設定・追加して対応する前提です。「要確認」は公式に記載がなく確認できなかった項目です。最新の料金・機能は各社の公式情報をご確認ください。

タイプ別のおすすめ農業向け会計ソフト

ここからは、先ほどの3つのタイプごとに、各サービスの特徴・料金・農業対応を個別に紹介します。自社に近いタイプから読み進めてください。自分で記帳から青色申告まで行う個人農家は、農業科目や農業所得決算書を標準で備えた「農業特化ソフト型」から見ると候補を絞りやすく、汎用のクラウド会計を検討する場合は農業用の設定を追加して使う前提になります。

汎用クラウド会計+農業対応型

普段使いのクラウド会計に農業用の設定を加えて使うタイプです。銀行・カード連携や自動仕訳、スマートフォンからの記帳など、クラウドならではの利便性を活かしながら農業の記帳をこなしたい農家・農業法人に向きます。

1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next の公式サイトトップページ

弥生会計 Next は、弥生株式会社が2025年4月にリリースした法人向けのクラウド会計サービスです。会計に加えて見積・請求書発行、経費精算、証憑(書類)管理を1つに統合し、これらのデータが自動で会計処理に連携します。従来提供してきた「弥生会計 オンライン」は2025年4月7日で新規受付を終了し、その後継にあたります。

対象は法人向けで、農業用の勘定科目や農業所得用の決算書への標準対応は公式に明示されていません。個人農家が青色申告まで自分で行う場合は、同じ弥生の「やよいの青色申告 オンライン」など個人事業主向けの別製品が候補になります。農業所得での運用可否は資料や問い合わせで確認しておくと安心です。

料金は初期費用0円で、年額はエントリープランの34,800円(税抜)から。銀行・クレジットカード明細の自動取込とAIによる勘定科目の自動提案に対応し、全機能を最大3か月試せる無料体験を用意します。顧問税理士への会計データのリアルタイム共有にも対応します。

2. freee会計(フリー株式会社)

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簿記の知識が浅くても記帳を進められる設計を掲げるクラウド会計ソフトが、フリー株式会社の freee会計です。銀行口座やクレジットカードなど1,000を超えるサービスと連携して取引データを自動取得し、AIによる自動仕訳から決算書作成までを一つの画面で進められます。個人事業主から上場企業までを対象にしています。

料金は初期費用0円で、法人向けは代表1名の「ひとり法人」プランが年払い月額2,980円(税抜)から。スターター以上のプランは基本料金に加えて、利用人数や機能に応じた従量課金が別途発生します。無料トライアルは30日間です。

農業所得の記帳では、種苗費などの農業用の勘定科目を追加して使う形が基本となります。育成資産の管理やJA取引の取込が自社の運用に合うかは、30日間の無料トライアルで実際の入力を試しながら確かめておくとよいでしょう。

3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計の公式サイトトップページ

株式会社マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトで、ひとり法人・中小企業(従業員50名以下を想定)向けと位置づけられています。2,300以上の金融関連サービスと連携して明細を自動取得し、複式簿記での帳簿・決算書の作成に対応します。請求書・経費・給与など同社のほかのクラウド製品と同一基盤で連携できます。

複式簿記や勘定科目を前提とした運用で、経理経験のある担当者が科目や設定を細かく調整しやすい構成です。料金は初期費用0円で、法人向けは年払い換算でひとり法人が月額2,480円(税抜)から、ビジネスプランが月額6,480円(税抜)から。作物別・部門別の損益管理はビジネスプランで利用できます

農業所得の記帳では、農業用の勘定科目を追加して運用する形になります。農業専用の機能を標準で備えるわけではないため、種苗費などの科目設定やJA取引の扱いが自社に合うかを、無料トライアルや問い合わせで確認しておくとよいでしょう。

4. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

ジョブカン会計の公式サイトトップページ

勤怠管理や給与計算などを揃える「ジョブカンシリーズ」の会計・決算領域を担うのが、株式会社DONUTSのクラウド型会計ソフト「ジョブカン会計」です。パッケージソフトの操作性を踏まえたキーボード中心の入力と自動集計を特徴とし、法人・個人事業主の双方の決算書作成に対応します。

料金は初期費用0円で、月額2,500円(3ユーザーまで)のスタートアッププランから。銀行・カード明細の自動取込やインボイス制度・電子帳簿保存法に対応し、契約前に30日間の無料トライアルを利用できます。勤怠・給与・経費精算などジョブカンシリーズの各製品との連携も可能です。

農業用の勘定科目は汎用の科目設定として追加する前提で、農業専用の機能を標準で備えるわけではありません。AI-OCRやAI仕訳の作成機能は、有償オプション「ジョブカン証憑管理」で提供されます。

農業特化ソフト型(個人農家向け・買切中心)

農業専用に作られ、農業科目や農業所得決算書を最初から備えたタイプです。買い切り型が中心でランニングコストを抑えやすく、簿記に不慣れでも自分で青色申告まで進めたい個人農家・家族経営に向きます。

5. 農業簿記13(ソリマチ株式会社)

農業簿記13(ソリマチ)の公式サイト画面

ソリマチ株式会社が販売する農業簿記13は、農業専用のインストール型(Windows)会計ソフトです。肥料費・種苗費・素畜費といった農業用の勘定科目や育成資産の管理、農業所得用の決算書を標準で備え、簿記に不慣れな農家でも記帳から決算・申告まで進められます。

提供形態は月額課金のないパッケージの買い切り型で、本体価格は公式サイトで66,000円(税込)です。農業所得・不動産所得・一般(事業所得)の3つの申告様式に対応するため、兼業農家の複数の所得もまとめて扱えます。

JAの購入・出荷・入出金明細を仕訳として自動で取り込めるほか、e-Tax(国税電子申告・納税システム)による電子申告やインボイス制度・改正電子帳簿保存法にも対応します。買い切り型のため、複数拠点やスマートフォンからの記帳、リアルタイムの税理士共有はクラウド型に譲ります。

6. らくらく青色申告 農業版(株式会社セーブ)

らくらく青色申告 農業版の公式サイト画面

らくらく青色申告 農業版は、山形県鶴岡市で米づくりを営む農家が自ら開発した、個人農家向けのインストール型(Windows)会計ソフトです。提供元は株式会社セーブで、確定申告を自分で行う農家に対象を絞っています。

複式簿記を意識せず単式簿記の感覚で入力すると、青色申告決算書に必要な貸借対照表・損益計算書を自動で作成します。農機具などの減価償却費の自動計算や、家計分と農業分の家事按分にも対応し、e-Tax向けのファイル出力も行えます。

価格は新規購入で8,800円(税込)、2年目以降の更新は直販価格で5,500円(税込)です。農業法人向けの経営管理や部門別の業績管理、クラウドでの共有といった機能は持たず、自分で青色申告を完結したい個人農家に用途を絞った製品です。

7. かんたん農業簿記<複式>(ミライソフト有限会社)

かんたん農業簿記<複式>(ミライソフト)の公式サイト画面

かんたん農業簿記<複式>は、農業の複式簿記を簡易帳簿の感覚で記帳できるように機能を絞り込んだ、家族経営・個人農家向けのインストール型ソフトです。提供元はミライソフト有限会社です。

現金出納帳・売掛帳・貸借対照表・損益計算書といった農業の会計書類を作成でき、農業特有の複雑な減価償却も自動で計算します。作成したデータはExcelファイルに出力でき、貸借対照表・損益計算書の作成を通じて青色申告特別控除の適用につなげられます。

料金は本体(新規)が40,840円(税込)、更新版が5,600円(税込)です。新規8,800円のらくらく青色申告 農業版より高い一方、法人にも対応する農業簿記13より抑えた価格帯で、法人の経営管理やクラウド共有には対応しないため、家族経営・個人事業の農家に向きます。

農業法人・高機能型(会計事務所連携・管理会計)

部門別・生産品目別の業績管理や内部統制まで踏み込みたい農業法人向けのタイプです。税理士・会計事務所との連携を前提とする製品も含み、規模拡大期や法人化後の経営管理を支えます。兼業や6次産業化で加工・直売など一般事業の比率が高くなった農業法人や、法人化・上場準備で仕訳承認・権限管理を強めたい経営体が、農業の記帳を汎用の高機能会計でこなす選択肢になります。

ただし、この区分の汎用高機能型は農業専用の機能を標準では持たず、農業用の勘定科目は設定で追加する前提となる点には注意が必要です。

8. マネーフォワード クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計Plusの公式サイト

マネーフォワード クラウドシリーズのうち、IPO準備や上場を見据える中堅〜上場企業向けに、内部統制の機能を加えた上位版です。無印の「マネーフォワード クラウド会計」で培った自動仕訳やデータ連携の使い勝手を保ちつつ、仕訳の申請・承認フロー、権限管理、操作ログ(仕訳更新履歴)、月次締めといった機能を備えます。

監査法人と会計システムを共有してWeb上で証憑を照会できる監査対応機能を持ち、公開APIやiPaaS(システム間をつなぐ連携基盤)で既存システムとも接続できます。導入実績は1,000社以上で、経費精算・給与計算・請求などマネーフォワード クラウドの各サービスと同一基盤で連携します。

料金は利用ID数に応じた要見積もり方式で、監査法人・税理士法人など外部共有用のアカウントもIDの1つとして数えます。農業専用の機能や農業所得用の決算書は標準では備えないため、農業に用いるには農業用の勘定科目を追加するなどの設定が前提となります。

9. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウドの公式サイト

株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の「奉行シリーズ」に含まれるクラウド会計ソフトです。金融機関の入出金明細や領収書・Excelデータから仕訳を自動起票し、標準で50種を超える帳票を備えます。

勘定奉行クラウドは、オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する奉行シリーズの会計ソフトで、中小企業を中心に導入されています。伝票明細の件数や機能に応じてEからSまでのエディションが分かれ、公式のラインナップ上は小規模〜中小企業向けに位置づけられます(中堅・大企業帯は上位の奉行V ERPクラウドが担います)。

最小構成のEシステムは年額93,000円(税抜)から、初期費用はエディションにより0〜70,000円で、30日間の無料お試しがあります。電子帳簿保存法の要件適合を示すJIIMA認証(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会による認証)を4種取得し、インボイス制度にも対応しますが、農業専用の科目や農業所得用の決算書は標準では持たず、農業向けには勘定科目の追加設定が必要です。

10. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 会計の公式サイト

1980年設立のピー・シー・エー株式会社(東証プライム上場)が提供する、老舗パッケージ会計ソフト「PCA会計」をクラウド化した財務会計システムです。日常の伝票入力から元帳・試算表・決算書、経営分析帳票までを作成できます。

標準グレードの「PCAクラウド 会計」と、グループ企業管理やセグメント管理に対応した中堅企業向けの「PCAクラウド 会計 hyper」があり、仕訳の承認機能や部門の階層管理を備えます。提供基盤はデータセンター版・AWS版・サブスク版から選べます。導入実績はPCAクラウド全体で25,000法人を突破しています。

会計 hyper のみの構成で月額15,600円(税抜)から、初期費用0円のプランと2ヶ月の無料体験があります。電子帳簿保存法のJIIMA認証を取得しインボイス制度にも対応しますが、農業専用の機能は標準では備えず、農業向けに使うには農業用の勘定科目を追加する設定が前提となります。

11. FX2農業会計クラウド(株式会社TKC)

FX2農業会計クラウド(TKC)の公式サイト

この区分で唯一、農業専用に作られているのが、株式会社TKCが提供するFX2農業会計クラウドです。中堅・中小企業向け会計システム「FX2」の農業特化版で、農業用の科目体系に沿って記帳できます。

記帳・申告にとどまらず、部門別・生産品目別の業績管理や、日々の経営状況を限界利益ベースで見る365日変動損益計算書など、経営改善に踏み込んだ機能を備えます。インターネットバンキングやクレジットカードからの自動仕訳に対応し、JA取引データは現在、北海道のクミカン(JA組合員勘定)データに対応し、全国のJA取引データへは順次対応を進めています。

インボイス制度・改正電子帳簿保存法に対応し、TKC専有のデータセンターで運用されます。導入はTKC全国会に所属する税理士・公認会計士(会計事務所)経由が前提で、料金は公式に明示されず、顧問契約・システム利用料の中で提供されます。税理士と組んで経営管理まで踏み込みたい農業法人向けの選択肢です。

農業向け会計ソフトの選び方

農業向け会計ソフトを選ぶときは、農業ならではの要件を軸に候補を絞り込みます。ここでは6つの観点を挙げます。自社の経営規模や申告スタイルに照らして、優先度の高いものから確認してください。

農業簿記・農業用の勘定科目に標準対応しているか

まず確認したいのは、種苗費・素畜費・肥料費といった農業用の勘定科目に標準で対応しているかです。農業専用ソフトなら初めから組み込まれていますが、汎用のクラウド会計では農業用のテンプレートや科目追加の機能があるかを見ます。科目の追加を自分で行う手間を許容できるかどうかが、専用ソフトと汎用ソフトの分かれ目になります。

農業所得の確定申告・決算書様式に対応しているか

青色申告を行うなら、農業所得用の青色申告決算書を作成できることが必須です。育成費用の明細や農業特有の経費区分に対応し、e-Tax向けのデータ出力ができれば、申告作業の負担が大きく減ります。確定申告を自分で行う個人農家ほど、この対応の有無が重要になります。

クラウド型か買い切りのインストール型か

提供形態は使い勝手とコストの両面に効きます。クラウド型は自動連携や共有に強く月額課金、買い切りのインストール型は初期費用のみでランニングコストを抑えられるのが基本的な違いです。

クラウド型は銀行・カード連携やスマートフォン記帳、税理士とのデータ共有に強い一方、使い続ける限り費用がかかります。インストール型は複数拠点からの利用やリアルタイムの共有には向きません。記帳する場所と人数、税理士との関わり方から判断しましょう。

自動取込・自動仕訳・JA連携に対応しているか

記帳の手間を減らすには、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳を提案してくれる機能が有効です。農業では取引先としてJAの比重が大きいため、JAの購買・販売・入出金データを取り込めるかも確認したい点です。取引量が多い農業法人ほど、自動化の範囲が日々の作業時間を左右します。

操作性とサポートが農繁期の運用に耐えるか

農繁期は記帳に割ける時間が限られます。簿記の知識が浅くても入力できる画面か、困ったときに相談できるサポート体制があるかは、続けられるかどうかを左右します。導入時期を農閑期に合わせられるか、税理士に運用を任せられるかも、体制面の判断材料になります。

費用対効果と新規就農者向けの価格に見合うか

最後に、機能と価格のバランスを見ます。個人農家で申告作業が中心なら低価格の買い切りソフト、経営管理まで求める農業法人なら高機能型と、重心によって見合う価格帯は変わります。新規就農者向けの割引価格を用意する製品もあるため、就農間もない場合は対象になるか確認するとよいでしょう。

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農業向け会計ソフトの費用相場

費用は提供形態と対象規模で幅があります。個別の実額は比較表のとおりですが、ここでは比較表からは読み取りにくい「数年単位の総額」の観点で桁感を整理します。

個人農家向けの農業専用ソフト(買い切り型)は、新規購入で1万円前後から数万円程度が中心です。ただし多くは毎年の更新版が有償で、たとえば新規8,800円・更新5,500円の製品なら3年で約2万円と、初年度価格だけで比べると実際の負担を見誤ります

汎用のクラウド会計は月額(年額)課金で、個人向けの下位プランなら年額1万円台から、使い続ける限り費用が発生します。新規就農者向けの割引がある製品もあり、就農間もない時期は対象になるか確認しておくとよいでしょう。

農業法人向けの高機能型や、税理士・会計事務所との顧問契約を前提とする製品では、料金を公開せず個別見積もりとするケースが多く、システム利用料に税理士の顧問料を加えた総額で考える必要があります。部門別の経営管理や内部統制まで求めるほど費用は上がりますが、その分だけ経営判断に使える情報が得られます。

農業向け会計ソフトを導入するメリット

農業向け会計ソフトを導入すると、記帳・申告の効率化だけでなく、経営の見える化にもつながります。主なメリットを整理します。

第一に、青色申告特別控除を確実に受けやすくなります。複式簿記による記帳や電子帳簿保存・e-Taxに対応したソフトを使えば、控除の要件を満たしやすくなるためです。第二に、作物別・圃場別・部門別に収支を把握でき、どの作物や部門が利益に貢献しているかが見えるようになります。

第三に、補助金・助成金の申請や収入保険の加入に必要な帳簿・決算書を整えやすくなります。これらの制度は正確な記帳が前提となるため、日々の入力が申請準備を兼ねます。第四に、記帳データを税理士とスムーズに共有でき、決算・申告の相談や経営助言を受けやすくなります。

農業向け会計ソフト導入・運用時の注意点

導入で失敗しないために、事前に押さえておきたい注意点があります。順に確認しましょう。

導入のタイミングは、記帳に時間を取れる農閑期に合わせるのが無難です。年の途中で切り替える場合は、期首からのデータ移行や残高の引き継ぎに手間がかかる点に注意が必要です。また、農業所得用の決算書に対応しているか、育成資産の管理方法が自社の作物・家畜に合うかは、契約前に必ず確認しておきたいところです。

JAの取引データを取り込みたい場合は、対応範囲が地域やJAによって異なることがあるため、自分が利用するJAのデータに対応しているかを確認しましょう。作物別・圃場別の収支管理を行いたい場合は、部門やタグで区分できるかも見ておくとよいでしょう。税理士に記帳や申告を依頼している場合は、税理士が使い慣れたソフトや連携方式に合わせると、やり取りがスムーズになります。

農業会計の実務ポイント(青色申告特別控除・育成資産)

ここでは、会計ソフト選びの前提となる農業会計の実務のうち、つまずきやすい「青色申告特別控除の要件」と「育成資産の資産計上」を、国税庁の様式や会計基準にもとづいて整理します。

青色申告特別控除の控除額と要件

青色申告特別控除は、記帳方法と申告方法に応じて控除額が変わります。国税庁は控除額と要件を次のように定めています。

青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その1つに所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。(1)上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。(2)次のいずれかに該当していること。イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

出典:タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

55万円控除の要件は、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内(翌年3月15日)に申告することです。これに電子帳簿保存またはe-Taxによる申告を加えると65万円になります。農業所得は事業所得に含まれるため、農家もこれらの控除の対象です。会計ソフトを選ぶ際に、複式簿記・電子帳簿保存・e-Tax連携への対応が重視されるのは、この控除要件に直結するからです。

青色申告特別控除の要件を満たせる会計ソフトを、農業に限らず幅広く見比べたい場合は、以下の記事で65万円控除の要件や各製品の料金・対応状況を整理しています。

令和9年分以後の最大75万円への引き上げ

青色申告特別控除は、令和8年度税制改正により見直され、令和9年分(2027年分)以後の所得税から最大75万円に引き上げられます。財務省の税制改正の大綱では、次のように示されています。

65万円の青色申告特別控除について、対象者を上記①の見直し後の要件を満たす者であって、その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳につき、(略)電磁的記録の保存等を行っていることとの要件を満たすものとした上、控除額を75万円に引き上げる。

(注)上記の改正は、令和9年分以後の所得税について適用する。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf

75万円の控除は、現行65万円の要件に加えて、優良な電子帳簿の要件を満たして電磁的記録の保存を行う場合に適用されます。すでに優良な電子帳簿とe-Taxで65万円控除を受けている農家であれば、令和9年分から自動的に75万円の対象になると整理できます。改正の年度(令和8年度)と、実際に適用される所得の年分(令和9年分)は別物である点に注意してください。

控除額と、それぞれに求められる要件の関係を整理すると次のとおりです。

青色申告特別控除の控除額が要件に応じて上がることを示す図。複式簿記で記帳し貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告すると55万円、これに電子帳簿保存またはe-Taxによる申告を加えると65万円、さらに優良な電子帳簿の保存を加えると令和9年分以後は75万円になる。

75万円控除の前提となる「優良な電子帳簿」や電子帳簿保存法への対応そのものを詳しく知りたい場合は、以下の記事で制度の要点と実務上の注意点を解説しています。

育成資産(生物・育成仮勘定)の資産計上と減価償却

育成中の果樹や繁殖用家畜は、育成にかかった費用をいったん資産として計上し、成熟後に減価償却します。農業法人の会計基準である「農業の会計に関する指針」では、この扱いを次のように定めています。

「育成仮勘定」は販売するための製造目的ではないため、「棚卸資産」の区分ではなく、「有形固定資産」の区分に表示することに留意する。

生物の減価償却は、当該生物の成熟の時点から行う。成熟の時点とは、家畜のうち乳牛については初産分娩時、乳牛を除く繁殖用家畜については初産のための種付時であり、果樹等については当該果樹等の償却額を含めて通常の場合におおむね収支相償うに至ると認められる樹齢とする。

出典:農業の会計に関する指針(最終改定 平成31年4月19日)|全国農業経営コンサルタント協会・日本農業法人協会(https://hojin.or.jp/files/standard/190419shishin.pdf

未成熟の果樹・家畜は棚卸資産ではなく有形固定資産(生物・育成仮勘定)として扱い、育成期間中の費用を育成仮勘定に集計し、成熟の時点から減価償却を始めます。この会計基準は第一義的には農業法人を対象としています。

個人農家の場合は、国税庁の青色申告決算書(農業所得用)に設けられた「育成費用の明細」欄に沿って育成費用を集計し、資産計上する形で処理します。会計ソフトを選ぶ際は、この育成資産の管理・償却に対応しているかを確認するとよいでしょう。

育成資産の会計処理の流れを示す図。育成期間中は費用を経費にせず有形固定資産(生物・育成仮勘定)として資産計上し、成熟の時点(乳牛は初産分娩時、繁殖用家畜は初産の種付時、果樹はおおむね収支相償う樹齢)から、生物として減価償却を始める。
出典・参考資料(3件)

農業法人化・6次産業化に伴う会計ソフトの見直し

経営の成長に合わせて、会計ソフトを見直す場面があります。特に、個人農家から農業法人への法人化や、加工・直売・観光農園などに広げる6次産業化のタイミングは、それまでのソフトで足りるかを再検討する機会です。

個人農家向けの買い切りソフトは法人の会計処理や部門別管理に対応しないことが多く、法人化の際は法人対応のクラウド会計や高機能型への移行を検討します。6次産業化で加工・販売など複数の事業を持つと、事業別・部門別に収支を分けて把握する必要が生じ、部門管理やセグメント管理ができるソフトが有効になります。

移行時はデータの引き継ぎ範囲や、税理士との連携方式もあわせて確認しておくと、切り替えの負担を抑えられます。

乗り換えの見直しは農業に限らず、基幹となる会計ソフト全般で起こります。どのような場面で相談が生まれるのか、クラウド会計を長年提供してきたPCAの担当者の説明を紹介します。農業経営でも、法人化や6次産業化による事業拡大は、この「企業の成長に合わせたステップアップ」に重なります。

田崎氏
ピー・シー・エー株式会社 事業戦略部 プロダクトマーケティングセンター
田崎氏
独自インタビューより

基幹業務ソフトはどの企業様でも何かしらお使いになっているものですので、やはり他社ソフトからの乗り換えのご相談が非常に多いです。主なきっかけとしては、制度改正や法改正を機にシステムを見直したいというケース、企業の成長に合わせてステップアップした機能を使いたいというケース、そしてお使いのソフトがサービス終了となり他社製品を検討されるケースがあります。

まとめ

農業向け会計ソフトは、農業用の勘定科目・農業所得決算書・育成資産の管理など、農業に特有の会計処理に対応している点が一般の会計ソフトとの違いです。選ぶ際は、農業所得の確定申告への対応、提供形態(クラウド型か買い切り型か)、自動取込やJA連携、農繁期に耐える操作性とサポート、そして費用対効果を軸に、自社の規模と申告スタイルに合うものを絞り込みます。

個人農家で申告作業が中心なら農業専用の買い切りソフトや農業対応の汎用クラウド、農業法人で経営管理まで求めるなら高機能型と、重心によって適したタイプは変わります。まずは気になるサービスの資料を取り寄せ、料金と農業対応機能を見比べてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 農業向け会計ソフトとは何ですか?

A. 農業向け会計ソフトとは、種苗費・素畜費などの農業用の勘定科目や農業所得用の決算書、育成資産の管理、JA(農協)取引の記帳といった農業特有の会計処理に対応した会計ソフトです。一般の会計ソフトが商業・サービス業を想定しているのに対し、農業を営む個人事業主・農業法人が記帳から決算・確定申告までを無理なく進められるように設計されています。

農業専用に作られた製品と、汎用のクラウド会計に農業用の設定を加えて使う製品の両方があります。

Q. 農業でも一般の会計ソフトではなく農業向け会計ソフトが必要ですか?

A. 農業向け会計ソフトが必要になる理由は、農業所得の青色申告決算書が、種苗費・肥料費・素畜費などの農業特有の科目や育成費用の明細に沿って記帳することを求めているためです。一般の会計ソフトでも勘定科目を自分で追加すれば対応できますが、初期設定の手間がかかります。農業専用ソフトならこれらが最初から組み込まれており、簿記に不慣れでも記帳しやすくなります。

汎用のクラウド会計を使う場合は、農業用の科目やテンプレートを追加できるか、農業所得の決算書に対応できるかを確認しておくとよいでしょう。

Q. 兼業農家でも確定申告は必要ですか?

A. 会社員などの給与所得者が農業を兼業する場合、給与以外の所得(農業所得の所得金額)が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされますが、この場合でも住民税の申告は別途必要になることがあります。

専業農家は農業所得で生計を立てているため、金額にかかわらず確定申告が必要です。青色申告特別控除などの節税メリットを受けるには、いずれの場合も日頃からの記帳が前提になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 農業でも青色申告はした方がよいですか?

A. 農業所得は所得税法上の事業所得に含まれるため、農家も青色申告の対象で、複式簿記で記帳すれば青色申告特別控除をはじめとする節税メリットを受けられます。青色申告には、所得から一定額を差し引ける青色申告特別控除のほか、赤字(純損失)を翌年以降に繰り越せる、生計を一にする家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)といった利点があります。

会計ソフトを使えば、複式簿記の記帳や決算書の作成を自動化でき、青色申告に取り組むハードルを下げられます。

Q. 農業向け会計ソフトで青色申告特別控除の65万円・75万円は受けられますか?

A. 複式簿記での記帳に加え、電子帳簿保存またはe-Tax(国税電子申告・納税システム)による申告に対応した農業向け会計ソフトを使えば、65万円の青色申告特別控除を受けやすくなります。控除額は記帳・申告方法により10万円・55万円・65万円に分かれ、55万円の要件(複式簿記・貸借対照表と損益計算書の添付・期限内申告)に電子帳簿保存またはe-Taxを加えると65万円になります。

さらに令和8年度税制改正により、令和9年分(2027年分)以後は、優良な電子帳簿の要件を満たすことで最大75万円に引き上げられます。すでに優良な電子帳簿とe-Taxで65万円控除を受けている場合は、令和9年分から75万円の対象になると整理できます。

Q. 育成中の果樹や家畜(育成資産)はどう会計処理すればよいですか?

A. まだ収穫・出荷の段階に達していない果樹や繁殖用の家畜は、育成にかかった費用をすぐに経費にせず、いったん資産(生物・育成仮勘定)として計上し、成熟の時点から減価償却していきます。「農業の会計に関する指針」では、育成仮勘定は棚卸資産ではなく有形固定資産に区分し、乳牛は初産分娩時、繁殖用家畜は初産のための種付時、果樹はおおむね収支相償う樹齢を成熟の時点として償却を始めるとされています。

個人農家の場合は、青色申告決算書(農業所得用)の「育成費用の明細」欄に沿って集計します。会計ソフトを選ぶ際は、この育成資産の管理・償却に対応しているかを確認するとよいでしょう。

Q. 農業向け会計ソフトはJAの取引明細を自動で取り込めますか?

A. JA取引の自動取込への対応は製品によって異なり、農業専用ソフトや農業特化型のクラウドはJAの購買・出荷・入出金明細の取込に対応する一方、汎用のクラウド会計は農業用の設定を加えて運用するのが基本です。農業では取引先としてJAの比重が大きいため、JAデータを取り込めれば記帳の手間を大きく減らせます。

ただし対応範囲は地域やJAによって異なることがあるため、自分が利用するJAの明細に対応しているかを、資料請求や無料トライアルで確認しておくと安心です。

Q. 農業向け会計ソフトは買い切り型とクラウド型のどちらを選ぶべきですか?

A. ランニングコストを抑えて自分で申告まで完結したい個人農家は買い切りのインストール型、銀行・カード連携や自動仕訳、税理士とのデータ共有を重視するなら月額課金のクラウド型が向きます。買い切り型は初期費用のみで継続コストを抑えられますが、複数拠点やスマートフォンからの記帳、リアルタイムの共有には向きません。

クラウド型は使い続ける限り費用がかかる一方、自動化と共有のしやすさに強みがあります。記帳する場所と人数、税理士との関わり方から判断するとよいでしょう。

Q. 農業法人化したら会計ソフトは変えるべきですか?

A. 個人農家向けの買い切りソフトは法人の会計処理や部門別管理に対応しないことが多いため、法人化の際は法人対応のクラウド会計や高機能型への移行を検討するのが一般的です。加工・直売・観光農園などに広げる6次産業化のタイミングも、事業別・部門別に収支を分けて把握する必要が生じるため、見直しの機会になります。

移行時はデータの引き継ぎ範囲や、税理士との連携方式もあわせて確認しておくと、切り替えの負担を抑えられます。

Q. 新規就農者向けの割引価格はありますか?

A. 製品によっては、新規就農者向けの特別価格や割引を用意している農業向け会計ソフトがあります。就農して間もない時期は初期投資を抑えたいことが多いため、対象になるかを資料請求や公式情報で確認するとよいでしょう。あわせて、農業専用の買い切りソフトは新規購入価格と2年目以降の更新価格が分かれる製品が多く、更新費用まで含めた数年単位のコストで比較すると、実際の負担を見誤りにくくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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