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コミュニティマーケティングとは?メリット・始め方・企業の成功事例をわかりやすく解説

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広告の獲得効率が落ち、新規顧客を集めるコストが上がるなかで、「これからはコミュニティだ」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、コミュニティマーケティングが従来の広告や日々のSNS運用と何が違うのか、自社でも取り組むべきなのかは、意外とはっきりしません。

コミュニティマーケティングは、顧客同士や顧客とブランドが継続的に交流する「場」をつくり、その関係を通じてロイヤルティやLTV(顧客生涯価値)、口コミを育てる手法です。広告で新規顧客を追い続けるのではなく、すでにいる顧客との関係を深めて売上につなげる、いわば「広告に頼りきらない顧客育成」の考え方です。

本記事では、コミュニティマーケティングの定義や違い、始め方、国内企業の成功事例をわかりやすく整理します。あわせて、注目される背景やメリット・デメリット、主な手法、そして実際に自社で運営するときのツールの選択肢もご紹介します。

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コミュニティマーケティングとは?

コミュニティマーケティングとは、企業が顧客・ファン・利用者の集まる「場」をつくり、その双方向の交流を通じて、製品やサービスへのロイヤルティを育てるマーケティング手法です。新規顧客の獲得を目的に広告を打つのではなく、既存の顧客との関係を深め、その熱量を口コミや継続利用という形で成果につなげる点に特徴があります。

この考え方は特定の企業の造語ではなく、業界団体が設立されるほど広く共有された枠組みになっています。一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会は、コミュニティマーケティングを次のように定義しています。

コミュニティマーケティングとは、事業者等が、製品やサービス利用者を対象として主宰する「コミュニティ」との双方向のコミュニケーションを通して、顧客同士の交流と情報発信を促すことで、顧客の製品・サービスへのロイヤルティ創出、向上に貢献すると共に、「1.顧客理解」、「2.顧客育成」、「3.顧客創造」を相互に連動させ、スケーラブルに実施するマーケティング手法です。

出典:一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会 設立のお知らせ|PR TIMES

ポイントは、顧客を「理解し、育て、新たな顧客の創造につなげる」という循環を、コミュニティという場を軸に回すところにあります。企業が一方的にメッセージを届けるのではなく、顧客が自ら発信し、顧客同士がつながることで、関係性が広がっていく設計です。

従来の広告型マーケ・SNS運用との違い

コミュニティマーケティングは、これまでの広告型のマーケティングや、企業アカウントによるSNS運用とは、目的も時間軸もコミュニケーションの向きも異なります。自社が今取り組んでいる施策と照らし合わせると、違いがつかみやすくなります。

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主な目的時間軸コミュニケーションの向き主役成果の現れ方
従来の広告型マーケティング新規顧客の獲得・認知拡大短期(キャンペーン単位で成果を測る)企業から顧客への一方向企業(発信者)問い合わせ・購入などの直接反応
企業のSNS運用情報発信・話題づくり短〜中期企業発信が中心(返信・拡散はあるが企業起点)企業(アカウント運用者)フォロワー数・エンゲージメント
コミュニティマーケティング既存顧客との関係構築・ロイヤルティ向上中長期(関係を育てるほど効果が出る)顧客同士・顧客と企業の相互・多方向顧客・ファン(参加者)継続利用・口コミ・UGC・顧客の声(VoC)

広告やSNS運用が「いかに多くの人に届け、反応を得るか」を追うのに対し、コミュニティマーケティングは「すでに関わってくれている人との関係をどれだけ深められるか」を追います。両者は対立するものではなく、獲得は広告で、育成はコミュニティで、と役割を分けて併用する企業も少なくありません。

コミュニティマーケティングが注目される背景

コミュニティマーケティングへの関心が高まっている背景には、新規顧客の獲得が以前より難しくなり、既存顧客との関係を重視する流れが強まっていることがあります。

Web広告の運用環境は、プライバシー保護の強化やターゲティングの制約が進み、以前ほど効率的に新規顧客を集めにくくなっています。獲得単価が上がるほど、一度つながった顧客に長く利用してもらい、その顧客が新しい顧客を呼ぶ流れをつくる重要性が増します。

既存顧客との関係を維持することの経済的な効果は、古くから指摘されてきました。サービス業の顧客維持を分析したフレデリック・ライクヘルドらの研究では、顧客の維持率を高めることが利益に大きく影響するとされています。

Companies can boost profits by almost 100% by retaining just 5% more of their customers.(顧客の維持率をわずか5%高めるだけで、企業は利益をほぼ倍増させられる)

出典:Zero Defections: Quality Comes to Services(Reichheld & Sasser, Harvard Business Review 1990)|Bain & Company

この数値は業種によって幅があり、あらゆる事業に同じ倍率が当てはまるわけではありません。ただ、「新規を追い続けるより、既存顧客に長く関わってもらうほうが利益に効きやすい」という考え方は、多くの企業に共通します。コミュニティは、その既存顧客との継続的な接点を持ち続けるための場として位置づけられています。

実際に、コミュニティ運営への投資は業界的にも広がっています。コミュニティ運営者を対象とした年次調査では、対面イベントを開催するコミュニティの割合が近年大きく高まるなど、企業がコミュニティを事業成長の手段として位置づける動きが強まっています。

出典・参考資料(2件)

コミュニティマーケティングのメリット

コミュニティマーケティングに取り組むと、顧客との関係を軸に複数の効果が期待できます。それぞれ、なぜその効果が生まれるのかという仕組みとあわせて見ていきます。

顧客ロイヤルティ・LTVの向上

コミュニティで他の利用者や企業と交流するうちに、顧客はブランドへの愛着を深めます。困ったときに質問でき、活用のヒントを得られる場があると、その製品を使い続ける理由が増え、解約や離反が起きにくくなります。結果として、一人あたりの利用期間や購入額、すなわちLTVの向上につながります。

口コミ・UGCによる新規顧客の獲得

熱量の高いファンは、自らの言葉で製品の良さを発信します。共通の関心で集まったコミュニティでは、メンバーの体験談やレビュー、つくった作品といったユーザー生成コンテンツ(UGC)が生まれ、それがコミュニティの外の人へと伝わっていきます。コミュニティマーケティングを提唱する小島英揮氏は、この流れを「Sell Through The Community(コミュニティを通じて売る)」と表現しています。

出典・参考資料(1件)

顧客の声(VoC)の獲得と商品開発への活用

コミュニティは、顧客の率直な声が日常的に集まる場でもあります。アンケートでは拾いきれない要望や不満、使い方の工夫が交わされ、商品開発やサービス改善のヒントになります。少数の熱心なファンが売上の大きな割合を支える事業も多く、その声を直接聞ける場を持つ意味は大きいといえます。

サポートコストの削減

利用者同士が使い方を教え合うコミュニティでは、企業のサポート窓口に寄せられていた質問の一部が、メンバー間で解決されるようになります。同じ疑問への回答が蓄積されれば、後から参加した人が過去のやり取りを参照でき、問い合わせ対応の負荷が下がります。

コミュニティマーケティングのデメリット・注意点

効果が期待できる一方で、コミュニティマーケティングには向き合うべき難しさもあります。始める前に、次のような点を理解しておくことが大切です。

成果が出るまでに時間がかかる

コミュニティは、関係を育てることで効果が現れる中長期の施策です。広告のように出稿してすぐ反応が返ってくるものではなく、メンバーが集まり、交流が生まれ、熱量が高まるまでには時間を要します。短期の売上目標だけで評価すると、成果が見える前に打ち切ってしまいかねません。

運営に専門的なスキルと体制が必要

場を用意するだけでは、コミュニティは活性化しません。メンバーが発言しやすい雰囲気づくり、企画の運営、投稿への反応など、日々の地道な運営を担う人手とノウハウが要ります。片手間で運営できるものではなく、担当者や体制をあらかじめ確保しておく必要があります。

企業都合ではなくユーザー起点で設計する必要がある

売りたい気持ちが先に立ち、宣伝の場になってしまうと、メンバーは離れていきます。コミュニティは、参加する顧客にとっての価値が先にあって成り立つもので、「ここにいると楽しい・役に立つ」と感じられる体験があってこそ人は集まり続けます。心理的安全性の高い場をつくり、メンバーが安心して発信できる状態を保つことが、活性化の前提になります。

過疎化・炎上のリスク

投稿や反応が乏しいまま放置されると、コミュニティは過疎化し、かえってブランドの印象を損ないます。逆に、不適切な発言やトラブルへの対応を誤れば、炎上につながることもあります。運営ルールの整備や、問題が起きたときの対応方針を、立ち上げの段階から準備しておくことが求められます。

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主なコミュニティマーケティングの手法

コミュニティマーケティングと一口に言っても、取り組み方はさまざまです。オンラインとオフライン、そして目的によって、いくつかの型に分けられます。自社に合う始め方を考えるうえで、まず全体像をつかんでおきましょう。

オンラインコミュニティ(コミュニティサイト・アプリ)

専用のコミュニティサイトやアプリを設け、会員が投稿・交流できる場を常設する手法です。掲示板やチャット、イベント告知、会員限定コンテンツなどを備え、日常的な接点を持てるのが強みです。地理的な制約がなく、蓄積された投稿が後から参加した人にも役立ちます。顧客コミュニティやファンサイト、オンラインサロンなどがこれにあたります。

SNS・既存プラットフォームの活用

XやInstagram、LINEオープンチャット、Discordといった既存のプラットフォーム上でコミュニティを形成する手法です。多くの人が使い慣れており、参加のハードルが低い点が利点です。一方で、独自のブランド体験の設計や会員データの蓄積には制約があり、プラットフォームの仕様変更の影響も受けます。

ファンミーティング・ユーザーイベント(オフライン)

ファンや利用者を集めてリアルの場で交流するイベントも、代表的な手法です。直接顔を合わせることで熱量が高まりやすく、その場の様子がSNSで発信されて外へ広がる効果もあります。オンラインコミュニティと組み合わせ、日常はオンラインで、節目はオフラインで、と使い分ける企業が多く見られます。

アンバサダー・ユーザー会

熱心なファンをアンバサダーとして認定し、製品の発信や新規顧客への紹介に協力してもらう手法や、利用企業の担当者同士が学び合うユーザー会もあります。少数でも影響力の大きいメンバーとの関係を深めることで、外への波及を生みやすくなります。

コミュニティマーケティングの始め方【手順で解説】

ここからは、コミュニティマーケティングを実際に始めるための手順を、順を追って解説します。場を用意する前に、目的と設計を固めておくことが、過疎化や短期での頓挫を避ける鍵になります。

コミュニティマーケティングの始め方を示す6ステップの縦フロー図。STEP1目的とKPIを設定する、STEP2ターゲットとペルソナを設計する、STEP3場・プラットフォームを選ぶ、STEP4コンテンツと運営ルールを企画する、STEP5運営体制を整える、STEP6小さく立ち上げ改善を重ねる、の順に上から下へ進む。

ステップ1|目的とKPIを設定する
最初に固めたいのが、コミュニティで何を実現したいのかという目的です。ロイヤルティ向上か、口コミによる新規獲得か、顧客の声の収集か。目的によって、集めるべきメンバーも運営の仕方も変わります。あわせて後述のKPIを決めておくと、成果を測る土台ができます。

ステップ2|ターゲットとペルソナを設計する
次に描きたいのが、誰に集まってほしいのかというターゲット像です。既存顧客のうちどの層を中心にするか、その人たちがどんな関心で集まるのか(関心軸)を具体的にしておきます。共通の関心が明確なほど、メンバー同士の交流が生まれやすくなります。

ステップ3|場・プラットフォームを選ぶ
目的とターゲットに合わせて、運営の場を選びます。専用のコミュニティサイトやアプリを構えるのか、既存のSNSを使うのか、リアルのイベントを軸にするのか。会員管理やデータ活用をどこまで行いたいかによって、適した選択肢が変わります。ツールの種類は後半の「自社で始めるには」で解説します。

ステップ4|コンテンツと運営ルールを企画する
メンバーが参加する動機になるコンテンツや企画を用意し、あわせて投稿のガイドラインやモデレーションの方針を整えます。歓迎の仕方、盛り上げる企画、トラブル時の対応まで決めておくと、立ち上げ後の運営が安定します。

ステップ5|運営体制を整える
運営を続けるには、日々の担当者と社内での役割分担を決めておくことが欠かせません。投稿への反応やイベントの企画運営には継続的な手間がかかるため、無理なく続けられる体制が大切です。外部の運営支援を活用する選択肢もあります。

ステップ6|小さく立ち上げ、改善を重ねる
立ち上げは、最初から大規模を目指さず、コアになる少人数から始めるのが無理のない進め方です。KPIを見ながら企画や運営を調整し、積極的なメンバーを起点に少しずつ輪を広げていきます。反応を見て改善を重ねることで、過疎化を避けながら育てられます。

成果を測るKPIの設計

コミュニティの成果は、売上だけでは測りきれません。関係が育つ過程を捉えるために、KPIを「活動量」「関係性の質」「事業貢献度」の3つの層に分けて設計すると、運営の状態を多面的に把握できます。

コミュニティマーケティングの成果を測るKPIを3層に分けた図。上から事業貢献度(LTV・解約率・経由の紹介や購入)、関係性の質(NPS・継続率・再訪頻度)、土台となる活動量(会員数・アクティブ会員率・投稿数やコメント数・イベント参加者数)。立ち上げ期は活動量を、軌道に乗ったら関係性の質と事業貢献度を重視する。
  • 活動量:会員数、アクティブ会員率、投稿数、コメント数、イベント参加者数など、コミュニティがどれだけ動いているかを示す指標
  • 関係性の質:NPS(顧客推奨度)、継続率、再訪頻度など、メンバーがブランドにどれだけ愛着を持っているかを示す指標
  • 事業貢献度:会員のLTV、解約率、コミュニティ経由の紹介・購入、問い合わせ削減数など、事業の成果につながっているかを示す指標

立ち上げ期は活動量を、軌道に乗ってきたら関係性の質や事業貢献度を、と、コミュニティの成長段階に応じて重視する指標を移していくと、成果を無理なく評価できます。

コミュニティマーケティングの企業成功事例

コミュニティマーケティングは、もともと海外の事例から広く知られるようになりました。代表例が、オートバイメーカーのハーレーダビッドソンが1983年に立ち上げた会員組織「H.O.G.(Harley Owners Group)」です。

また、ファンが商品アイデアを投稿し、一定数の支持を集めたものが製品化の候補として選考されるレゴの「LEGO Ideas」も知られています。熱量の高いファンを企業活動の中心に据える発想は、こうした取り組みから広まってきました。

ここからは、国内企業が実際に取り組んでいる事例を紹介します。業種や目的の異なる次の3社を、前述の手法の型と照らし合わせながら、自社に近い形を探す手がかりにしてください。

  • サイボウズ「キンコミ」:オンラインで利用者の相互支援を促すタイプ(BtoB)
  • ヤッホーブルーイング「超宴」:オフラインのファンイベントを軸にするタイプ
  • カゴメ「&KAGOME」:ファンサイトで顧客の声を集めるタイプ(BtoC)

サイボウズ:kintoneユーザーの相互支援コミュニティ「キンコミ」

グループウェアを提供するサイボウズ株式会社は、業務改善プラットフォーム「kintone」の利用者向けに、オンラインコミュニティ「キンコミ」を運営しています。2020年10月に正式開設され、利用者が他社の担当者と交流しながら活用のヒントを得られる場として位置づけられています。同社はこのコミュニティの目的を次のように説明しています。

kintone活用で分からないことを解決したい、活用の幅を広げたいと考えている担当者様に、他社の担当者様と交流していただくことで、業務改善のヒントを見つけたり、kintone活用の楽しさを実感していただく場

出典:オンラインコミュニティ「キンコミ」開設|サイボウズ株式会社

開設時点で150名以上が登録し、kintone自体は16,500社以上(2020年8月時点)に利用されています。社内に相談相手が少ない「ひとり情シス」のような担当者にとって、同じ製品を使う他社とつながれる場は貴重で、利用者同士が疑問を解決し合うことで、製品の定着とサポート負荷の軽減の両面に効果が期待できます。

ヤッホーブルーイング:ファン参加型イベント「よなよなエールの超宴」

クラフトビールを手がける株式会社ヤッホーブルーイングは、「よなよなエールの超宴」というファン参加型のリアルイベントを継続的に開催しています。「ビールでピースな大人の超文化祭」をコンセプトに、ファンとつくり手が直接交流する場です。

2015年に始まり、2018年には5,000人規模の大型イベントに成長しました。コロナ禍による中断を経て2024年にリアル開催が復活し、10周年の2025年には約1,100名が参加しています。規模の大小はあっても、10年続くファンとの接点になっている点がこの取り組みの特徴です。

大規模な広告を打つ代わりに、ファンとの濃い接点をつくり、その体験がSNSや口コミで広がっていきます。オフラインのファンイベントを軸にコミュニティを育てる、消費財ブランドの代表的な事例です。

出典・参考資料(2件)

カゴメ:ファンコミュニティサイト「&KAGOME」

カゴメ株式会社は、2015年に自社のファンコミュニティサイト「&KAGOME(アンドカゴメ)」を開設しました。「みんなとカゴメでつくるコミュニティ」をテーマに、ファンとカゴメが継続的に交流することを目的とした場で、レシピの共有や会員同士のトークなどの機能を備えています。

カゴメがコミュニティに力を入れる背景には、少数のコアなファンが売上の大きな割合を占めるという顧客構造があります。カゴメの取り組みを取材した記事では、上位2.5%のユーザーが売上の約30%を占めていると報じられており、こうしたコアファンとの関係を深める場としてコミュニティが機能していると紹介されています。

出典・参考資料(2件)

コミュニティマーケティングを自社で始めるには(運営の場・ツール)

コミュニティマーケティングの全体像がつかめたら、次に検討したいのが「どんな場・ツールで運営するか」です。既存のSNSでも始められますが、会員管理やデータ活用、独自のブランド体験を重視するなら、専用のコミュニティ運営ツールを使う選択肢があります。

コミュニティ運営ツールの主な種類

コミュニティ運営ツールは、得意とする領域によっていくつかのタイプに分かれます。自社の目的に合わせて選ぶと、無理のない運営につながります。

  • 顧客・ファンコミュニティ向けSaaS:企業のファンサイトや顧客コミュニティを、ノーコードで構築・運営できるタイプ。会員管理や顧客の声の分析、CRM連携まで備えるものが多い
  • オウンドコミュニティ特化型:デザイン性の高い独自の世界観で、クリエイターやブランドの「居場所」をつくることに強みを持つタイプ
  • オンラインサロン・収益化型:月額課金や会員管理、専用アプリを備え、コミュニティ運営を収益化まで含めて支援するタイプ
  • Web3・トークン活用型:NFTやトークンを使ってファンの参加にインセンティブを設計し、ロイヤルティを高めるタイプ

たとえば、顧客の声を集めてLTVを伸ばしたいなら顧客・ファンSaaS、独自の世界観を大切にするならオウンド特化型、月額課金で収益化したいならサロン型、というように選択肢が分かれます。目的に合わせて選ぶと、候補を絞り込みやすくなります。以下は、コミュニティ運営に使える代表的なサービスの比較です。

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サービス名commmune(コミューン)coorum(コーラム)OSIRO(オシロ)FANTS(ファンツ)24karatマーケティングプラットフォーム
提供会社コミューン株式会社株式会社Asobicaオシロ株式会社株式会社スタメン24karat株式会社
初期費用要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせあり(要お問い合わせ)要お問い合わせ
月額費用要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
(別途決済手数料5%)
要お問い合わせ
主な用途・強み企業のファン・顧客コミュニティ
VoC活用・大手BtoC導入多数
ロイヤル顧客コミュニティ・VoC活用
ブランドアプリ版に対応
クリエイター・企業の
オウンドファンコミュニティ
デザイン性重視・専任伴走支援
オンラインサロン・収益化コミュニティ
専用アプリ+サブスク決済をオールイン
NFT・トークン活用の
ファンエンゲージメント基盤
ノーコード管理コンソール
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式資料を見る

※料金は多くが非公開のため「要お問い合わせ」と記載しています。最新の費用・機能・提供形態は各社の公式情報をご確認ください(2026年9月時点)。

上のスポット比較で全体像をつかんだうえで、各ツールの選び方や機能の違いをさらに詳しく比較検討したい場合は、コミュニティ運営ツールを網羅的に比較した以下の記事が参考になります。

ここからは、タイプごとに代表的なサービスをご紹介します。

commmune(コミューン株式会社)

commmune(コミューン)公式サイト

顧客との信頼関係をコミュニティで築くためのプラットフォームです。ノーコードでコミュニティを構築でき、掲示板やイベント、ポイント・バッジといったエンゲージメント機能を備えます。日産・パナソニック・サントリーをはじめとする大手BtoCブランドで幅広く導入されています。

コミュニティ運営にとどまらず、顧客の声を構造化する「Commune Voice」やCRM統合、LINE連携まで、顧客理解の周辺機能を自社のプロダクト群でそろえている点も特徴です。戦略設計からKPI管理、運営代行までを担う専任チームの伴走支援もあり、運営ノウハウに不安がある企業でも始めやすくなっています。

coorum(株式会社Asobica)

coorum(コーラム)公式サイト

株式会社Asobicaが提供する、ロイヤル顧客プラットフォームです。コミュニティを、顧客の本音データ(VoC)を集めて分析するための基盤と位置づけ、集めた声を商品開発やCRMに活用してLTV最大化につなげる設計になっています。ノーコードでのコミュニティ構築に対応するほか、自社ブランドのアプリとして提供できる「coorumアプリ版」も用意されています。

料金プランは、対応するメンバー数に応じてLight(〜2,500名)、Standard(〜5,000名)、Professional(〜30,000名)などが用意されています。顧客の声を起点に、コミュニティを事業成長に結びつけたい企業に適しています。

OSIRO(オシロ株式会社)

OSIRO(オシロ)公式サイト

「独自の世界観で活性化するコミュニティを構築する」ことをコンセプトにした、オウンドコミュニティ専用のプラットフォームです。クリエイターやアーティスト、企業・団体などの表現者とファンをつなぐ場として、デザイン性の高い没入感のあるコミュニティづくりを得意とします。

専任のコミュニティプロデューサーが、コンセプト設定から交流を生む活動内容の具体化まで、1〜2ヶ月ほどかけて設計を伴走する点も特徴です。ブランドの世界観を大切にしながら、腰を据えてファンコミュニティを育てたい企業に向いています。

FANTS(株式会社スタメン)

FANTS(ファンツ)公式サイト

オンラインサロンやオンラインコミュニティの運営を、収益化まで含めて支援するクリエイタービジネス向けのプラットフォームです。専用アプリ、募集用の紹介サイト、会員管理、サブスク決済までをオールインワンで備え、最短2週間で開設できます。

費用は初期費用と月額運営費用に加え、売上に対して5%の決済手数料がかかる構造です。芸能人やYouTuber、プロスポーツ、教育事業など幅広いジャンルで採用されており、専任プロデューサーによる運用支援も受けられます。会員から月額課金を得るサロン型のコミュニティを始めたい場合の選択肢になります。

24karatマーケティングプラットフォーム(24karat株式会社)

24karatマーケティングプラットフォーム 公式サイト

NFTやトークンを活用してファンの応援をロイヤルティに変える、24karat株式会社のファンエンゲージメント基盤です。ファンの参加にトークンでインセンティブを設計し、長期的な関係へと育てます。ブランド向けの管理画面はノーコードで、リワードやキャンペーンの作成、参加状況の可視化をエンジニアなしで行えます。

上新電機やロッテなど大手企業への導入実績が公表されており、トークンを起点にファンの応援をロイヤルティにつなげたい企業に向いた選択肢です。Web3ならではの仕組みのため、まずは資料でできることを確認するとイメージしやすいでしょう。

まとめ

コミュニティマーケティングは、顧客との継続的な関係を「場」を通じて育て、ロイヤルティや口コミ、顧客の声へとつなげる手法です。広告で新規を追い続けることが難しくなるなかで、既存顧客との関係を軸に成長を目指す考え方として注目されています。

効果が出るまでには時間がかかり、ユーザー起点の設計と継続的な運営が欠かせません。だからこそ、目的とKPIを定め、小さく始めて改善を重ねる進め方が大切になります。自社で運営する際は、目的に合ったコミュニティ運営ツールを選ぶことで、立ち上げと運営の負担を抑えられます。まずは各サービスの資料を取り寄せ、自社に合う場のつくり方を具体的に検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. コミュニティマーケティングとは何ですか?

A. コミュニティマーケティングとは、企業が顧客・ファンの集まる「場」をつくり、その双方向の交流を通じて製品やサービスへのロイヤルティを育てるマーケティング手法です。新規顧客の獲得を目的に広告を打つのではなく、既存顧客との関係を深め、その熱量を口コミや継続利用という成果につなげる点に特徴があります。

Q. どんな企業・商材がコミュニティマーケティングに向いていますか?

A. リピート購入や継続利用が売上を左右する事業、ファンや思い入れを持たれやすい商材、利用者同士で活用ノウハウを交換できるBtoB SaaSなどは、コミュニティマーケティングの効果が出やすい傾向があります

一方、顧客との関係が一度きりで終わりやすい商材や、短期の売上だけを追う段階では、成果が出るまで時間のかかるコミュニティは優先度が下がります。既存顧客のロイヤルティやLTVを伸ばす余地が大きいかを見極めると、取り組むべきかの判断がしやすくなります。

Q. コミュニティマーケティングはBtoB企業でも効果がありますか?

A. コミュニティマーケティングは、BtoB企業でも有効で、製品の利用者同士が活用ノウハウを交換するユーザーコミュニティという形で広く実践されています

本記事で紹介したサイボウズの「キンコミ」は、kintoneの利用者が他社の担当者と交流して業務改善のヒントを得るBtoBの事例です。社内に相談相手が少ない担当者にとって、同じ製品を使う他社とつながれる場は価値が高く、製品の定着やサポート負荷の軽減にもつながります。

Q. コミュニティマーケティングの成果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. コミュニティマーケティングは、成果が出るまでに時間がかかる中長期の施策で、広告のように出稿してすぐ反応が返ってくるものではありません。メンバーが集まり、交流が生まれ、熱量が高まるまでには相応の期間を要します。短期の売上目標だけで評価すると成果が見える前に打ち切ってしまいかねないため、立ち上げ期は会員数やアクティブ率などの活動量を追い、関係が育つ過程を段階的に測ることが大切です。

Q. コミュニティマーケティングを始めるにはどのくらいの体制が必要ですか?

A. コミュニティマーケティングは、日々の運営を担う担当者を最低限確保したうえで、小さく始めるのが現実的です。場を用意するだけでは活性化せず、発言しやすい雰囲気づくりや企画の運営、投稿への反応といった地道な運営に人手がかかります。

最初から大人数の専任チームを組む必要はありませんが、片手間では続きにくいため、無理なく回せる役割分担を決めておくとよいでしょう。運営ノウハウに不安がある場合は、後述の外部支援を活用する選択肢もあります。

Q. コミュニティマーケティングにはどのくらいの費用がかかりますか?

A. コミュニティマーケティングの費用は、運営する場の選び方によって大きく変わり、既存SNSを使えば無料で始められる一方、専用のコミュニティ運営ツールを使う場合は初期費用や月額費用がかかります

専用ツールの多くは料金を公開しておらず「要お問い合わせ」としており、会員規模や機能に応じた見積もりが一般的です。ツールによっては、売上に対する決済手数料がかかるものもあります。正確な費用感は各サービスの資料で確認するのが確実です。

Q. コミュニティマーケティングは既存のSNSだけで始められますか?

A. コミュニティマーケティングは、XやInstagram、LINEオープンチャット、Discordといった既存のSNSでも始められますが、会員管理やデータ活用、独自のブランド体験を重視するなら専用ツールが向いています

既存SNSは参加のハードルが低い反面、会員データの蓄積やブランド体験の設計に制約があり、プラットフォームの仕様変更の影響も受けます。まずSNSで小さく試し、目的が固まってきたら専用のコミュニティ運営ツールへ移す進め方もあります。

Q. コミュニティマーケティングを小さく始めるにはどうすればよいですか?

A. コミュニティマーケティングは、最初から大規模を目指さず、熱量の高いコアな少人数から始めて、反応を見ながら育てるのが無理のない進め方です。まず目的とKPIを定め、既存顧客のうち関心の近い層に声をかけて小さな場をつくり、企画や運営を調整しながら少しずつ輪を広げます。初期から会員数を追うより、参加者が安心して発信できる状態づくりを優先すると、過疎化を避けやすくなります。

Q. コミュニティが過疎化・炎上するのを防ぐにはどうすればよいですか?

A. コミュニティの過疎化・炎上は、運営ルールとトラブル時の対応方針を立ち上げ段階から整え、企業都合ではなくメンバーにとっての価値を優先して運営することで防ぎやすくなります

投稿や反応が乏しいまま放置すると過疎化し、宣伝の場になってしまうとメンバーは離れていきます。歓迎の仕方や盛り上げる企画、モデレーションの方針をあらかじめ決め、心理的安全性の高い場を保つことが、活性化と炎上リスクの低減の両面に効きます。

Q. コミュニティマーケティングの成果はどのように測ればよいですか?

A. コミュニティマーケティングの成果は、「活動量」「関係性の質」「事業貢献度」の3層にKPIを分けて測ると、売上だけでは捉えきれない関係の育ちを多面的に把握できます

活動量は会員数・アクティブ会員率・投稿数など、関係性の質はNPSや継続率など、事業貢献度はLTVや解約率、コミュニティ経由の紹介・購入などが指標になります。立ち上げ期は活動量を、軌道に乗ってきたら関係性の質や事業貢献度を重視すると、成果を無理なく評価できます。

Q. コミュニティの運営を外部に任せることはできますか?

A. コミュニティの運営は、専用ツールの提供会社などによる伴走支援や運営代行を活用でき、社内にノウハウが少ない企業でも始めやすくなっています。ツールによっては、戦略設計からKPI管理、日々の運営代行までを担う専任チームのサポートや、専任プロデューサーによるコンセプト設計の伴走が用意されています。自社の体制やノウハウに応じて、どこまでを内製し、どこを外部に頼るかを検討するとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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